OJT担当が周囲を巻き込んで新人を指導育成している事例
08年3〜7月の間、600名近い参加者と「OJT研修」で
触れてきた中で、彼ら指導員が「周囲を巻き込んで」
新人を指導育成している様々な事例が見つかりました。
そのいくつかをご紹介します。
新人育成を担当するOJT指導員が「苦労していること」の中に、
・時間がない
(自分の業務が忙しく、新人を指導する時間をとれない)
・教えられない
(自分の業務分野とは違うことを新人に教えなくてはいけないこともある)
といったものが多くあがります。
その打開策として、OJT指導員の方が「工夫していること」の一つが、
「周囲の力を借りる」ことです。
その具体的な例を、いくつかご紹介します。
1)育成スケジュール
ある会社のOJT指導員(女性)は、「月間の育成スケジュール」をエクセルで
作っていました。
導入研修終了後の配属直後から3か月分ほど作るそうです。
・月曜日の午前中は、○○さんが、〜について教える。
午後は、OJT指導員の活動に同行する。 など
OJT指導員が研修や会議で不在の時も、新人を一人にしないように、
教えてくれる人を周囲から募っておくそうです。
2)教育ノート
ある会社のOJT指導員(男性)は、新人が「何をどこまで学んでいるのか」を
職場全体で共有するために「教育ノート」を活用しています。
新人に日々の感想を書かせるのではなく、
「何を学んだのか」「わからない言葉は何か」「質問事項」などを書かせるそうです。
それを、自分だけでなく職場メンバーも見ることで、
新人の理解度が把握でき、教えやすくなるそうです。
3)「新人の仕事募集!」メール
あるメーカーのOJT指導員(男性)は、新人に与える仕事がなくなってしまい
困ったそうです。
新人の技術レベルで任せられる仕事は少ない。
かといって放置したり、雑務ばかりでは、新人も意欲が下がる。
そこで、職場や他部署の知り合いに、「新人に与える仕事募集!」のメールを
出したそうです。
すると、何人かの方が新人に与える仕事を出してくれたそうです。
後でわかったのは、周囲も実は遠慮していたということです。
「OJT指導員がいるから、勝手に仕事をやらせるわけにもいかないし」
OJT指導員から周囲に協力を求めれば、
周囲も新人に関わりやすくなるというわけですね。
4)「武者修行」
ある会社では、新人育成の一環として、他工場やグループ会社に、
1週間ほど「武者修行」に出します。
OJT指導員がいる一部署だけでなく、色んなところを回ることで、
新人の成長を促しているそうです。
そのOJT指導員の方いわく
「この会社では顔が売れている方が仕事が進む」
「新人の顔を売るために、私の人脈を生かす」
新人に武者修行させられるのは、OJT指導員自身が人脈をもっているから。
人脈のないOJT指導員の下につくと、新人は苦労するかもしれませんね。
以上「新人育成に周囲を巻き込んでいる」事例のいくつかをご紹介しました。