「カークパトリックの4つのレベルの実践」

ASTD 2007 参加報告

●Implementing Kirkpatrick’s Four Levels
「カークパトリックの4つのレベルの実践」
  Dr. Donald Kirkpatrick, University of Wisconsin
  June 5th 10:00-11:15
「研修の効果測定」で有名な「4つのレベル」提唱者である
カークパトリック教授自身が話すセッションということで参加しました。
教授は、低い声でテンポ良く話す、ユーモアあふれる方でした。
以下に私の理解の範囲で、概要をお伝えします。

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○Requirements for an Effective Program
 効果的な研修に求められるもの
1. Based on Needs ニーズに基づいて
2. Aimed at Objectives 目的に向けて
3. Scheduled at the right time 適切なスケジュールで
4. Held at the right place 適切な場所で
5. For the right people 適切な相手に対して
6. Conducted by an effective leader 効果的なリーダーが実施し
7. Using effective techniques 効果的な技術を使い
8. Objectives are reached 目的が達成され
9. Participants are satisfied 参加者が満足し
10. Program is evaluated 研修内容が評価される
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○Why Evaluate? なぜ評価を?
・Should the program be continued? この研修を続けるべきか?
・How can the program be improved? どうしたら改善できるか?
・How can trainers justify their existence? 講師の存在意義を示すために
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○The Four Levels 4つのレベル
1.REACTION 反応
  satisfaction measure 参加者の満足度
2.LEARNING 学習
  change attitudes, increase knowledge, increase skill
  態度の変化、知識・技術の向上
3.BEHAVIOR 行動
  change in behavior 行動の変化
4.RESULTS 結果
  final result 最終結果
・「5つめのレベルはないよ。ジャック。」
 と、「5つのレベル」を提唱しているJ.フィリップを揶揄する言葉で、
 会場を沸かせていました。
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○Guidelines for Evaluating Each Level 各レベル評価の際の留意点
1.Reaction
・何を探りたいのかを明確にする
・あまり分量を多くしない
・文章でのコメントも書いてもらうようにする
・直後の反応を取る
・できれば、しばらくたった後の反応もとる
2.Learning
・事前と事後を測る
・測るのは「態度」「知識」「技術」
・紙ベースのテストで「知識」と「態度」を測る
・「パフォーマンステスト」(実際にやらせてみる)で、「技術」を測る
・研修参加者を「Experiment」、非参加者を「Control」として違いを測る
3.Behavior
・Change in Behavior requires: 行動変容に必要なのは
 1)Desire to change 変えたいと思う気持ち
 2)Necessary Knowledge and Skills 変えるの必要な知識と技術
 3)The”Right” Job Climate 適切な職場風土
 4)Encouragement and Help 励ましと手助け
 5)Rewards for Change 変えることに対する報酬
・Job Climate 研修で学んだ「知識」「技術」「態度」を、
 (1)Preventing 邪魔する (職場風土か?)
 (2)Discouraging 使わせない (職場風土か?)
 (3)Neutral 中立的な (職場風土か?)
 (4)Encouraging 励ます (職場風土か?)
 (5)Requiring 求める (職場風土か?)
・一定期間をおいて測る(3~6ヶ月後)
・定期的に、測定する
・「研修の結果、あなたの行動はどのくらい変化しましたか?」
 もし「大きく変わった」「少しだけ変わった」という場合、詳しく説明してください。
 もし「変わらなかった」という場合、その理由はなぜですか?
 今後は「変えていこう」と思われていますか? といった設問
4.Result
・一定期間をおいて測る(6~12ヶ月後)
・定期的に測定する
・「研修に参加していないグループ(Control)」ともできれば比較する
・Proof(立証)は難しくても、Evidence(証拠)はとれるようにする。
・営業、生産性など、数字が出るものは、数字で結果を示せる。
 リーダーシップなどは、数字で結果を出せない。
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○コメント
・行動変容の度合いを測るのも大事だが、
 「研修だけでは、多くの場合、行動変容しない」という前提で、
 「どうやって行動変容を、研修後に促すか」を考えた方がよいのでは?
・「研修」単独が、「結果」に結びつくとは考えづらい。
 参加者自身が、仕事で「結果」を出すための
 様々な「要素」の一つに「研修」があるだけ。
 
 営業という仕事に従事する参加者で考えてみれば、よく分かる。
 
 営業で「結果」を出すための要素には、
 参加者個人の知識、技術、態度(前向きな姿勢や行動量も含む)だけでなく、
 周囲の環境(上司や職場の雰囲気)客先の状況、競合の動き、業界動向なども含まれる。
 これらが密接に絡み合って、「結果」につながってくる。
・だとしたら、研修がいかに結果に結びつくかを測ろうとするよりも、
 研修で得た「知識」「技術」「態度」を、現場でも「継続」してもらう
 つまり「レベル3」の「行動変容→習慣化」を
 
 支援することに力を入れたほうがよいのでは?
 
 研修内容を、いかに現場で実践してもらうか?
 そして、いかに続けてもらうか?
 そのための支援(例えば、研修終了後の定期的なフォローメールなど)を
 研修提供者側は行う必要があるのではないか?
・研修が現場で実践されない理由は、次のように考えられる。
 1)研修内容を忘れてしまう 
 2)研修内容を現場で実践する「必要性」を感じない
   (上司や職場の雰囲気、実務との関連性)
   (「研修は研修、現場は現場」)
 3)研修内容を現場で実践することに「ためらい」を感じる
   (上司や職場の雰囲気)
   (わざとらしさ、違和感を感じる)
 4)研修内容を現場で実践してみたが「失敗」したので、やらなくなる。
   (上手くいかなかったら、懲りた)
 5)研修内容を現場で実践してみたが、「良否」がわからないので、やらなくなる。
   (講師が常にそばにいるわけではなく、上司も指導できないので、
    自分がやっていることが正しいのか、疑問も解消できないので、やらなくなる)
・だとすれば、研修提供者側にできるのは
 1)研修内容を思い出してもらえるような工夫
 2)会社の方針として、研修内容の現場実践を促してもらえるようにする
   実務と研修を連動させる
 3)研修を現場で実践しやすい雰囲気を作る
   職場の上司や同僚の多くが、研修を受けている
   研修に対する前向きな空気
 4)失敗に対するフォローを行う
   研修で学んだことの「使い方」が悪かっただけかもしれない
 5)講師が質問を受け付ける
   上司が指導できるようにする などが必要ではないか。
・色んな案が浮かんでくる、頭に刺激を与えてくれるセッションでした。
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投稿者:関根雅泰

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