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2009年02月28日

「ダイアローグ 対話する組織」

「ダイアローグ 対話する組織」

   中原淳・長岡健著

○中原先生・長岡先生による新刊。

 組織のコミュニケーションにまつわる問題を解決する
 「対話」の重要性と活用法をアカデミックな視点から解き明かした本。


(・引用 ○関根の独り言)


●コミュニケーション

・企業における課題は「コミュニケーションのあり方」に原因がある。

・「誰も自分に理念が浸透してほしいなんて思っていないんですよ」

○理念に共感した人が、その組織に入ってくる方が理想的なのか。

 一人の経営者、少人数の経営陣が共有している理念に、賛同する人が
 組織に加わってくる。その際に、理念は人を束ねる大きな力になるだろう。

 
 すでにその組織の中にいる人達に、改めて理念を「浸透」させることは
 確かに難しいかも。

 ただ、明文化された理念ではなくても、組織の暗黙的な文化には、
 おそらく人は染まっている。

 その文化が理念に基づくものであれば良いのかもしれないが。


・コミュニケーションを
 「情報伝達」「メッセージの正確な移動」とみなす考え方は、
 ビジネスの現場で支配的なコミュニケーション観となっている。

 「導管(Conduit)メタファー」

・学校の近代化とともに、導管メタファーは教育現場に浸透し、 
 今なお支配的な教育の在り方となっている。

 口を開けるのは教員だけ。生徒の発話は「余計なノイズ」とみなされる。

○恐ろしいな。(長女(6歳)が、もうすぐ公立小学校に入る)


・行動や思考が変化したことを外的に観察できて、
 はじめて「伝わった」と言える。


・ストーリーの形式で伝えると、聞き手の理解が深まる。

 J.ブルーナーは、思考形式や認知作用には
 「論理/実証モード(Paradigmatic Mode)」と
 「ストーリーモード(Narrative Mode)」があると考えた。

 E.ソーンダイクは「物語文法(設定/テーマ/プロット/解決)」の
 テンプレートに当てはまりやすい物語を提示した方が、
 人は理解しやすいと考えた。

○「論理/実証モード」と「ストーリーモード」を組み合わせる。

 これは「教え上手」の教え方にもつながるのかも。

 論理的な説明と具体的な体験談。


・沼上幹氏らは、職場内の人間のつながり、社会的なネットワークが
 発達しているほど根回しが必要になり
 組織の「重さ」が増すことを明らかにした。


・導管メタファー(情報伝達)とは異なるコミュニケーション観
 「創造的理解にいたる継続的な相互作用のプロセス」
 「コミュニケーションを通じて人が変化していくプロセス」

 それを実現するのが「対話(ダイアローグ)」


・社会構成主義(Social Constructionism)の根幹にある考え方は
 「物事の意味とは客観的事実ではなく、社会的な構成物
 (人々の社会的コミュニケーションによって作られたもの)」である。

 絶対的にゆるぎない「物事の意味」など存在しない。

 絶対だと思われているものは、あくまで人々のやり取りの中で
 「絶対視」されているだけ。

○この辺は今読んでいる「制度と文化」で出てくる話ともつながるな。


●対話

・物事を意味付けていくコミュニケーション、プロセスに注目すべき。
 意味を創造、共有していく効果的な方法が「対話」である。

 「対話」とは「客観的事実」と「意味づけ」の関係に焦点をあてる
 社会構成主義的な視点をもちつつ、相互理解を深めていく
 コミュニケーションの形態と考えられる。


・対話の本質は「話すこと」ではなく「聴くこと」

 「聴くこと」は積極的かつ意図的な行為。

・自分の意見を述べるときは「私は〜」という一人称の語りを重視する。
 評論家的な議論としないために。


・対話は「自由な雰囲気の中で真剣な話し合い」をする。
 Serious Fun(真面目に物事を楽しむ)というスタンス。

・対話は「自己内省」の機会ともなる。
 自己理解を深めるために、対話を通じて、
 自分の考え方や価値観を他者に語ることが効果的。

・不一致を隠すことなく、お互いに自分の考えや価値観を
 「私」の立ち位置から表出することが、効果的な対話には不可欠。

○新入社員とOJT担当者でも、これはできるか。

 新人とOJT担当がお互いについて話をする「ペア研修」に
 参加者が感じるかもしれない「不自然さ」は、
 人為的に「対話」を発生させようとするところかも。


・複数の人々が話し合うことを通して「意見の不一致」や「理解の差」 
 に気づきつつ、お互いの理解を深化させていくプロセスを
 「協調学習(Collaborative Learning)」と呼ぶ。


・解決すべき問題を適切に設定するには、状況を多面的に理解し、
 参加メンバーが意味づけを共有していくことが必要。そのためには
 「議論」ではなく「対話」が求められる。

○DHBR(09年3月)に出ていた東大EMP
 「アジェンダ・シェイピング・リーダーシップ」も参考になる。

 適切な「課題設定」ができる人材。
 その課題設定の過程において「対話」が重要な役割をもつ。


・多様なメンバーが集まるメリットは「対話を通じて、
 状況にふさわしい問題設定を共同で意味付ける」こと。


・D.ショーンは問題解決のエキスパートたちの真髄を
 「状況を瞬時に読み解き、適切に問題を設定する即興的な対応力」にあるとした。

 このようなプロフェッショナルな実務家を
 「省察的実践者(Reflective Practitioners)」と名付けた。

○Adaptive Expertとの関連は?

・省察的実践者は、長期的なビジョンに立ったかじ取りはできない
 「突貫工事のエキスパート」にすぎなかったと、D.ハルバースタムは考えた。

・自身が埋め込まれた状況から一歩抜け出し、仕事とは距離を置き、
 普段自分が無意識にとっている自分の行動や考え方を
 批判的にふり返ることが必要。

○Meta-Cognition?


・トヨタの人材育成の基本は、OJDである。
 効果的なOJDを実現するには、若手社員自身が問題を発見し、その解決に
 主体的に取り組むことが必要。

 問題解決研修は、外部講師と受講者の間で進められるのではなく、
 上司(先輩)と部下(後輩)の間で進められる。

○これは素晴らしい。上司(先輩)が部下(後輩)の学習を支援する。


●ヒューマンネットワーク

・知識の共有を可能とする人間のつながり(ヒューマンネットワーク)を
 いかに築いていくか」が重要。

・J.オールは、コピー機修理工の研究を通して、知識が「個人の頭の中」に
 蓄積されていたのではなく、彼らの人的つながり(ヒューマンネットワーク)
 全体に、分散した形で存在していたことを明らかにした。

 こうした形で地が発揮されることを
 「分かちもたれた知能 Distributed Intelligence」と呼ぶ。

・「現場の知恵」のようなタイプの知識は、ヒューマンネットワークの中に
 分散していて、特定の個人が所有している必要はない。

 共有すべきは、知識自体ではなく、ヒューマンネットワーク。

・J.ブラウンは、オールの研究結果を踏まえ「我々が必要とするのは、
 実践コミュニティーである」と言っている。

 協調的に問題を解決していくアクティブなネットワークを
 構築することこそが「知識を共有することだ」と言える。

○これは、2つの点で興味深い。

 1)「ネットワーク型OJT」

  09年7月に慶應MCCで開催される中原先生のセミナー内で、
  「ネットワーク型OJTのすすめ」というパートを担当させて頂く。

http://www.keiomcc.com/program/lin/index.html

  これは新入社員を指導育成するOJT担当者で上手くいっている人は、
  自分一人で仕事を抱えず、他の人に協力してもらって
  OJTを進めているという話だ。

  「Aさんは〜に詳しいよ。Bさんは〜。」といった感じで、
  組織に入ったばかりの新人が知らない「誰が何に詳しいか」を
  OJT担当者が教えてあげて、他の人と一緒になって新人指導を進める。

  新人が知識、技術を獲得し、所有していくことも大事だが、
  誰が何に詳しいかを知り、分からないことがあったら教えてもらえる
  関係を、組織内で築くことの方がもしかしたら重要なのかもしれない。


 2)「独立して一人で仕事をする人間」

  自分もそうだが、大きな組織に属していない分、
  ヒューマンネットワークや実践コミュニティーを、
  外に自らが築く必要があるのかもしれない。

  今の自分であれば、
  
  ・カンファ学び8(親しい知人が集まる不定期な飲み会)
  ・パートナー講師(時々仕事を手伝ってもらっている仲間)
  ・メールメンバー(困った時にメールで投げかけると
           助けてくれる人事教育担当の皆さん)

  などが、それにあたるのかもしれない。
 
  こういう方々の助けがなければ、きっと今までやってこれなかった。
  感謝!

・心理学の世界では、問と答えが一義的に結びついて、常に明快な
 答えが決まる状況を「良定義問題(Well Structured Problems)」、
 そうでない状況を「不良定義問題(Ill Structured Problems)」と呼ぶ。

 ビジネス現場で遭遇する問題のほとんどは「不良定義問題」である。
 そして「不良定義問題」では、ひとつの状況に対して
 いくつもの「正解」があり得る。


・今日求められている人材は「指示待ち」ではなく、自分で
 主体的に考え、判断し行動を起こす人材。

 メタ認知(Meta-Cognition)や自己調整学習(Self-Regulated Learning)
 能力のある個人が、多くの企業で求められている人材像。


・学習とは「伝達」ではなく「変容」である。

・経験学習の知見によると熟達者になるには
 「困難の克服とふり返り」が必要である。

 ただ、最大のアポリア(難問)は「困難をふり返ること」にある。
 それを可能にするのが他者との「対話」である。

○こういったアカデミックの知見を、まずは企業の教育担当者に伝える。
 これはもしかしたら、それほど難しくないのかもしれない。

 教育担当であれば、徐々にアカデミックな専門用語にも慣れていくし、
 この分野に興味があって仕事をしている人が多い。勉強好きだ。

 ただ、アカデミックな知見を現場のマネージャーや
 OJT担当者に伝えていく際に、難しさが発生するのかもしれない。
 
 そこを手助けするのが、研修講師である自分たちの仕事なのかも。

「制度と文化」


「制度と文化 組織を動かす見えない力」

  佐藤郁哉 山田真茂留 著


○「フィールドワーク」で有名な佐藤先生の本。
 (日経新聞で一度お会いした伊藤公一さんが編集を担当)

 組織理論の概観がつかめる。
 組織を取り巻く環境の影響について深く考えさせられる。

(・引用 ○関根の独り言)


・本書で紹介する組織理論、理論的パースペクティブ(視点)は、
 「企業文化論」「組織文化論」「組織アイデンティティー論」
 「新制度派組織理論」の4つ。

・組織文化に一定の距離を置くことができた組織メンバーこそが、
 組織変革の担い手になっていることが少なくない。


●企業文化論

・1980年代初めに出た3冊の本「セオリーZ」「エクセレント・カンパニー」
 「シンボリック・マネージャー」は、企業の成功の秘訣を
 強い「企業文化」に求めた。


●組織文化論

・企業文化論ブームが落ち着いて以降、企業文化(Corporate Culture)
 という用語だけでなく、より一般的な「組織文化(Organizational Culture)」
 という言葉が頻繁に用いられるようになった。

・見慣れてきた風景や慣行などが失われた時、人はようやく自らが当たり前と
 していた文化の存在とその力の大きさに気づく。

・現代人のアイデンティティーの拠り所として、所属組織は非常に
 重要な位置を占める。

・強い組織文化は常にプラスの効果を発揮するのか


●組織アイデンティティー論

・「わが社らしさ」自分の会社は他社に比べてユニークと思いたい。

・集団的なまとまりや集合的なアイデンティティーの基礎となっているのは
 内集団と外集団とを区別する「成員性の認知」それ自体であって、
 その他の所要因は本質的なところでは大した意味をもたない。

・1985年にS.アルバートとD.ホウェットンが「組織アイデンティティー論」
 を発表。

・共通の価値や信念が先にあるのではなく、共同体の存在がまず先にあって、
 そのあとに成員たちによって価値が共有されるというのが典型的なプロセス。

○ビジョナリーカンパニー2にも通ずる? 適切な人をバスに乗せる


・集団的な訓練が大切だという時、そこでは成員間のコミュニケーション
 それ自体がものを言うのではなく、むしろ
 「同一集団内の他者のスキルに関する知の共有」こそがキーとなっている。

 集団的な活動の成否は、単に集団において相互行為の頻度や密度が高く
 なっているなどといったことよりも、意味のある情報の交換や共有が
 実際にどのくらいなされているかの方に大きくかかっている。

○組織メンバー(集団)で新人を育てるという活動が上手くいくかどうかは、
 それぞれのメンバーがどのような知識、スキルをもっているのか、
 得意分野は何かといった「知の共有」が、その集団でなされているか
 どうかにかかっている。

 と、こんな感じでとらえてもよいのか。

●効率性モデル

・唯一絶対正しい「最適解」が存在し、それを見つけた企業こそが生き残る
 という考え方が「効率性モデル」

 A.チャンドラーが「組織は戦略に従う」という言葉とともに提唱。


●新制度派組織理論

・効率性モデルと真っ向から対立

・合理性や効率性なるものは、社会的な約束事であり、
 相対的なモノサシであるにすぎないとする考え方

・N.フリグスタインの著書「企業コントロールの転換」で提唱。

・企業内部の職能部門(製造、販売、財務等)は、学校教育や
 社内での実地研修(OJT)などを通して、独自の思考様式を
 身につけ、特定の見方をもつようになる。

 企業内の各職能集団は「企業全体が直面する問題にとって
 何が最も適切でかつ正当な解決策であるか」という問いについて
 相互にきわめて異なる信念に基づく別々の答えをもっている。

・企業内のパワーバランスの変化が、企業の戦略と構造に
 おける変化を導くと考える。

 「組織は、勝者の世界観に従う」


・J.マイヤーとB.ローワンによる論文「制度化された組織-
 神話と儀礼としての公式構造」(1977)が、新制度派理論のさきがけ。

・「官僚的組織を典型とする公式組織は、なぜ近代になって
  主流の組織形態になったのか?」

 それは「それがより効率的な組織形態であると、人々が思いこみ、
 神話として共有しているから」だ。

・組織は自らの存在と活動を巧みに「合理化(正当化)」する。


・同じような制度的環境にある組織群の場合には、互いに
 酷似したものになる傾向が強い。

 「組織は流行に従う」


・私たちは自分がなじんできた社会に特有の「レンズ」越しで
 物事を見ることに慣れきってしまっている。

 私達が客観的現実だと思っているものそれ自体が実は、
 社会的な約束事にすぎないということを強調するのが
 「現象学的社会学」や「社会的構築主義」

 新制度派理論は上記の考え方に強い影響を受けている。

○「レンズ」越しに物事をみている。

 このことを自覚させられたのが、アメリカの大学に留学して、
 ウィン先生の文化人類学の授業を受けていた時。

 自分が「日本人」というレンズで物事を見ていたことを
 痛感させられた。

 レンズがボロボロ壊れて、新しいレンズとなっていくような
 不安感とワクワク感を感じたことを覚えている。

●社会化過剰の人間観を超えて

・効率性モデルは「社会化過少」の行為者観
 新制度派組織理論は「社会化過剰」(制度中毒者)という行為者観

・文化の呪縛からの脱却

 一定の距離をとる「役割距離」という現象

 DECの事例

○大学を卒業後、最初に入った会社で、DEC社と似たような体験をしたのかも。

 「一部上場を目指して、365日働け」という指令がトップからあり、
 本当に休みなく働いていた時期があった。

 (労働基準監督署がはいったようで、途中で終わった)

 今考えれば矛盾も多く馬鹿らしい指示だと思えるが、
 そのときは、正しいことと信じ、まさにとりこまれていた。

 自分は「一定の距離」をとっていただろうか?

 当時から付き合っていた妻には、ばからしさを語っていたかもしれないが。


・組織と戦略というテーマは、きわめて意識的ないし意図的な
 意志決定プロセスのように見えるものの背後に、実は
 文化や制度の影響がありうることを示す格好の事例。

・文化と制度の起業における個人の役割をあまりにも強調しすぎることは
 「偉人史観」が陥ってきた罠に再び陥ることにもつながりかねない。

 組織文化論、組織アイデンティティー論、新制度派組織理論の研究に
 よって明らかにされてきたのは、これら突出した山の峰となっている
 起業家たちの活動それ自体が、実際には無数の人々による協業と
 協働のネットワークという稜線の中に埋め込まれ、またより大きな
 枠組みの文化や制度の文脈(山脈)の在り方によってかなりの程度
 規定されているという事実。

 
○この本は、一読してすべてを理解できるほどたやすい本ではない。

 もっと勉強した後で再読するとまた色々と学びがあるかも。

「メンタリング 会社の中の発達支援関係」


「メンタリング 会社の中の発達支援関係」

  キャシー・クラム著 渡辺直登訳 2003年6月

○OJTによる新入社員の育成という観点からも示唆に富む本。

(・引用 ○関根の独り言)

・メンタリングや他の発達支援的関係は、1990年代中頃までは、
 日本企業のあちこちで見られた。

 しかし「バブル経済」崩壊後の長引く不況の影響で、
 そのような発達支援関係は風化し、変質していっている。

 米国が1980年代から1990年代にかけて行ったようなリストラ、
 ダウンサイジング、成果主義に基づく人事考課。

 このような構造的な変化は、会社のもつ潜在的なカリキュラムの
 力を弱め、職場の中で仕事を通じて若者をケアし支援し成長させる
 教育力を脆弱化させている。

  (著者による「日本語版への序」2003年3月)


1.仕事における関係性

・本書では、キャリア発達を支援する人間関係の特徴を明らかにする。

・その原型は「メンター関係」であり、それは「発達支援的な関係」である。

・メンター自身もメンター関係を結ぶことにより、自分の過去の再評価、
 精神的な満足感、周囲からの尊敬などの利益を得る。


・ライフステージとキャリア段階のそれぞれにおいて、人はその年齢と
 キャリアヒストリーに特徴的な予測可能な一連のニーズと関心ごとに直面する。

○だからこそ、年長者がアドバイスできることも多い。


・ジョブローテーションは、組織の人的資源計画には欠かせない部分である。
 しかし一方でキャリア発達を支援する関係を妨げることもある。

・(仕事における他者との)関係性は、個人の発達にとって重要。

 その関係は、個人の成長を可能にする質の高い職業生活を保証。
 組織の効率を増加。生活の質にも影響し全体的な満足感の向上。

・しかしこれらの関係性は、たいていの組織では手に入れることが難しい。
 個人が関係性を形成するのを奨励する状況を作り出す必要性がある。


2.メンタリングの機能

・メンタリングの2つの機能「キャリア的機能」「心理・社会的機能」

・キャリア的機能は、上位者の組織における地位と影響力によって左右される。
 心理・社会的機能は、対人関係の質に依存している。

・キャリア初期における関心事は、主として3つの領域に分類される。
 1)どのようにして選んだキャリアを生産的だと感じ、満足しつつ
   自分の能力を伸長させることができるのか
 2)どのようにして個人の価値や個性を曲げることなく同僚や上司と
   やっていくことができるのか
 3)とうやって増大していく責任やコミットメントを人生の他の側面と
   折り合いをつけていくのか

○若手社員が感じることまさしくこれだな。


・組織は、発達を支援する関係を2つの方法で奨励できる。
 「教育的介入」と「組織的介入」である。

 教育的介入によって人は仕事上の支援関係を形成する概念、スキル、
 態度を学ぶことができる。

 組織的介入により、メンタリング機能を促進する制度や慣行を作る一方、
 阻害する要因を排除する。


3.メンター関係の諸段階

・メンター関係には4段階ある。

 「開始」「養成」「分離」「再定義」


・開始段階において、双方が相手との相互作用を通じて、
 貴重な体験をする。

・養成段階は、一般的に肯定的に語られる。

・分離段階では、動揺、不安、喪失感がもたらされる。

・再定義段階では、関係性が友情へと変化する場合が多い。

 ただ、どちらも連絡をとらないケースもある。
 これは心理・社会的機能が比較的なかった場合、つまり
 関係性の初期段階で愛着心が形成されないと、分離は
 自然と決別に向かう。

○新入社員とOJTの関係もそうだろうな。

 仕事以外の話をしたり相談にのってあげたり(心理・社会的機能)
 お互い愛着心のわく「先輩・後輩関係」になれれば、
 その後も関係性は持続するだろう。

 仕事だけのつきあいならば、OJT期間が終われば、 
 無理して接点はもたないかも。


・段階モデルは、メンター関係が条件によっては、片方あるいは双方にとって
 破壊的になる場合もありえることを示している。

・相補的なニーズをもつ相手同士を組ませた方が、開始段階を容易にする
 相互作用の機会が作れる。

○新入社員の方が、当然メンターを必要とする強いニーズを持っているが、
 OJT、メンターをする側もニーズがあるとよい。

 自分の仕事を振り返りたい。新人に教えることで自身の成長を図りたい。
 上司、先輩、同僚以外の関係を持ちたい。


4.各キャリア段階における関係性

・各キャリア段階において、それぞれに特徴的な発達課題がある。

・最初の上司との関係性は、キャリア初期の人に対して必然的に深い印象を残す。

・キャリア中期の発達支援的関係は、彼らの有能感を高める。
 年下の者を支援することで、肯定的な自己概念を得るのである。

 昇進に代わる重要な選択肢としての、年下の者の養成に貢献するという選択肢。

・キャリア中期のマネージャーが提供する発達支援的関係の質は、
 そのマネージャーがキャリア初期に経験した関係性に影響される。

 自分が新人のときに手助けしてくれたマネージャーを思い出すのである。

・キャリア後期の人の根本的な関心は、退職後の人生で目的感覚を
 なくすことへの恐れである。


・関係性が両者の関心に呼応する場合は、相補的関係であり、
 反対にどちらかの関心を妨害する場合は、非相補的関係である。

 すべての発達支援関係は、相補的なものとして始まる。
 しかし、関係の相補性は、限られた期間しか続かない。


・不況期には、関係を築こうとする努力を支援しないような状況が
 しばしば出現する。

 そのような時期こそ、仕事の保証や将来のキャリアへの不確実性から
 個人のストレスや不安が増大する。それらを解消する方法を見つける
 上で、発達支援的関係は主要な支援減となりうる。

 その結果、効果的に仕事が続けられるのである。

○これは、まさに今の状況を言い当てているのかも。

 こういう時期だからこそ、職場における人間の関係性を
 見直すべきなのかも。


5.異性間の関係の複雑さ

・男女とも、仕事のうえで異性と協力的な関係性を築く準備が十分に
 できているとは言い難い。

・異性間の関係性の複雑さの要因として、
 1)両者ともステレオタイプ的な役割を引き受ける傾向
 2)異性で「役割モデリング」を提供する難しさ
 3)親密さとセクシュアリティ-の伸長
 4)衆人の詮索の対象
 5)同僚の恨み

○新入社員のOJTをマンツーマンで行う場合、
 男性の先輩、上司が、心配するのが、この部分。

 特に、周囲にどう見られているかを気にする。


・男女とも、異性の同僚から世界に対する新しい関わり方を学ぶ。


6.メンタリングに代わるもの

・メンター関係は、比較的成立しにくい関係である。
 
・仕事の場面で、個人の発達を促す機能をもつ関係性として
 「ピア関係」がある。

・ピア関係はメンター関係に見られる機能を多くもつもつが、
 同時に独特の特徴がある。

 「相互性」(援助し、援助されるもの)
 「潜在的な数の多さ」「排他性の少なさ」「長期持続」
 「(否定的な属性として)競争」

・キャリア段階での発達を支援するキャリア的機能と心理、社会的機能は、
 様々な関係性によって提供される。
 
 この関係性の広がりは、個人の発達をサポートする関係性の布置として
 とらえられる。

○新入社員が会社に入って成長していくためにも
 自身の発達を支援してくれる様々な関係性をもつ必要がある。

 「発達ネットワーク」と重なる?


7.メンタリングを促進する条件

・メンタリングを阻むおもな障害

1)目先の利益を重視し、人的資源開発を軽視する報酬制度
  (ひとを育てても評価されない)

2)相互作用の機会を最小にするワークデザイン
  (個人ベースの仕事が中心で他者とのかかわりが少ない仕事)

3)業務管理制度(MBOなど)の不備

4)否定的な組織文化
  (発達や関係性に対する配慮を、大切な仕事から
   気を散らすものと考える文化)

5)個人のもつ前提、態度、スキル


・メンタリングを促進する戦略として「教育」と「構造変革」がある。

・教育においては、メンタリングの意義と価値を次の観点で訴える

1)キャリア初期層 上位の先輩との関係性の大切さ
2)キャリア中期層 自身の再評価と再方向づけの時期
3)キャリア後期層 自身の叡智や経験を年下の世代に伝える重要性

・この種の教育プログラムへの参加は「任意」であるべき。


・構造変革戦略として

1)報酬制度
2)仕事の設計
3)業績管理制度
4)公式メンタリングプログラムの導入

・理想的には、教育的介入と構造的介入は同時に実施されるべき。


○報酬制度

 OJT担当者に、金銭で報いるのは難しいかも。

 周囲からの評価、評判、後輩からの尊敬、自身の成長、やりがい、自信、貢献
 といった「無形の報酬」の方が望ましいかも。


8.メンタリングの展望

・メンタリングに関する誤解

1)メンター関係の主要な受益者は、プロテジェである。
  →メンターにもかなりの利益がある。

2)常に望ましい経験となる
  →状況によっては破壊的なものとなる。

3)どんな仕事の環境においても同じである。
  →様々に異なる。

4)望めばすぐに構築できる。
  →メンターになれる人(キャリア中期)が少ない

5)メンターを見つけることが、個人の成長とキャリア進展のカギである。
  →すべての発達支援的機能をメンター一人に依存することは危険。

   発達支援的機能を提供する「関係性の布置」を
   個人は自分の周囲に作り上げるべき。

○研究方法についての解説も非常に勉強になった。
 
 これから自分が大学院に入ってやろうと
 思っていることと重なることが多い。

「学力低下の実態」

「調査報告 学力低下の実態 
 〜新しい学力観のもと小中学生の学力はどう変化したのか?」

 苅谷剛彦他著

08年に入社した大卒社員、いわゆる「ゆとり教育」第一期生が
受けてきた小中学生時代の教育の状況が分かる本。


(・引用 ○関根の独り言)


1.小中学生の基礎「学力」はどう変わったか

・教育のみならず将来の日本社会に重大な影響を及ぼしうる
 抜き差しがたい変化が、子供達の学習と学力をめぐり
 すでに進行しているという事実。

・詰め込み教育、受験教育からの訣別を提言した96年の
 中央教育審議機会答申をもとに「自ら学び考える力」=「生きる力」
 の教育を目指した「総合的な学習の時間」が新指導要領に盛り込まれた。

・この調査報告は、1989年と2001年の比較である。

 1989年 「新しい学力観」導入以前

 2001年 指導要領が本格実施された92年から10年

・文科省が、2002年に学力調査を実施。ただ、この調査では
 「過去との比較」「家庭的な背景の影響」について調べられない。


・今回の調査では、子供達の基礎学力は低下していると言わざるを得ない。
 特に、塾にいかない子供の基礎学力の低下が著しい。

・できる子とできない子の格差が拡大
 塾に行く者と行かない者、行けない者との格差が拡大

・本来、基礎学力を下支えする主役であるはずの公立学校が、
 その役割を弱めている。

・無答の生徒が増加。
 何を選べばよいか分からない「お手あげ状態」あるいは
 答えようとする意欲さえ持たない生徒が増えている可能性。

・92年以降「読み取り」より「表現」「伝えあう力」を重視してきた。
 それによって、基本的な「読み取り」の力が低下している。

・子供達の主体性に任せるばかりの教育は、さらなる格差を拡大しかねない。
・義務教育段階での工夫をこらした学習指導、学校の手厚い支援が、
 「確かな学力」向上の核心に据えられるべき。


2.教育の階層差をいかに克服するか

・子供達の学習への取り組みに、家庭の文化的環境による
 格差の存在が見られる。

・学校の努力と工夫次第では、格差を縮小できる。


・89年から01年にかけて「新学力観」型の教育改革(ゆとり教育)
 が積極的に推進された。
 
 教師は指導者ではなく「支援者」。子供中心主義の教育。

・授業時間削減による「ゆとり」が勉強離れとテレビ視聴に向かわせた。

・ゆとりを重視し、子供達の良さや個性を重視し、主体性を尊重しようと
 いう教育界の風潮が、子供達の生活に対する「しばり」をゆるめた。

・子供達に劣等感を抱かせないようハードルが低めに設定された。
 自分を試したり鍛えたりするチャンスや体験を持ちにくくなったのかも。
 子供達はあいまいな自己イメージしかもっていない。

○これが、今のいわゆる「ゆとり社員」につながってきているのかも。


・文化的環境が低い家庭の子供の学ぶ意欲が減退している。

・調べ学習、グループ学習でまとめ役になるような子は、
 家庭の文化的環境が高く、基礎学力も高い。

 家庭の文化的環境が低く、基礎学力の低い子は、
 調べ学習、グループ学習でも何をしてよいか分からない。


・他国(アメリカ、イギリス)でも指摘されてきた「子供中心主義」教育と
 「階層格差拡大」の問題が、日本においても当てはまることがわかった。

・「子供中心主義」の教育が、あいまいで「目に見えない」教授法を
 広めることで階層差を広げていく。

○これは恐ろしい。


・塾に通えない子供は「新学力観型」「曖昧化型」授業では、
 基礎的な学力形成を損なう。

・問題がないように見える子は、塾で学力を補っている。


・授業改善に熱心な「頑張っている学校」では、家庭での学習習慣を含め
 着実に自ら学ぶ力を身につけている。


・どの子どもも自ら学ぶ意欲を自然にもち、自己選択ができるとの
 「強い個人の仮説」は、義務教育段階の小中学生にはあてはまらない。

・基礎の下支えをきちんとやった上で、発展的な学習として
 「総合的な学習の時間」をとらえる方がよい。

○09年4月から、私の長女が公立小学校に入ります。

 塾に行かせるつもりはないのですが、不安も感じます。

 しばらくは私が一緒に勉強を見たいと思っていますが・・・。


 自分の子供だけでなく、

 地域の子供達の基礎学力や彼らの学ぶ意欲を維持するために、

 そこに住む大人として、教育に携わる者として、

 何ができるのか・・・。


「教育工学を始めよう」


「教育工学を始めよう 〜研究テーマの選び方から論文の書き方まで」

 S.M.ロス G.R.モリソン 著

○2010年春に大学院に入学するために、09年3月末に、
 「研究計画」を提出します。そのための準備としてこの本を読みました。

(・引用 ○関根の独り言)


・現在の教育工学は「Educational Technology」と英訳される
 日本の教育工学が扱っている分野は幅広い。

・教育工学の標的は「教育の設計、開発、運用、管理、評価についての
 理論と実践」

・研究者と実践者の間の溝を埋めるためにも、自分の研究を教育工学の
 コミュニティーの中で広く知ってもらう必要がある。

・その為の論文の書き方、発表の仕方を本書で教える。


・教育工学研究の7ステップモデル

 1)トピックを選ぶ
 2)研究課題を明確にする
 3)文献検索ををする
 4)研究課題を明確にする
 5)研究のデザインを決める
 6)方法を決める
 7)データ分析の手順を決める


・文献研究をしないで、自分自身の研究を進めようとする人は、その行為
 そのものが傲慢であり、研究者としてふさわしくない。

・本当に自分の研究に関連のある重要な文献をまず最初に良く読むこと。

・自分が明らかにしたいことが何かを明確にする。


・「プロポーザルでさえ、まともに準備できない者が、研究を注意深く
 行っているはずがない。」

・まず研究課題の設定や研究のデザインに十分時間をかけるようにする。
 アイデアを考え抜くこと。

・発表の準備にも研究を行うのと同じくらいの労力をかける。
・短い時間で発表するのは、長い時間で発表するより難しい。


・教育工学の研究では、常に教育方法の「最適の選択肢」を模索している。
・質的研究では帰納的アプローチが、量的研究では演繹的アプローチがとられる。


○企業内研修業界でも活用できる点が多い。教育工学の知見を企業内研修業界に。


2009年02月05日

「HRD Japan 2009 第28回能力開発総合大会」に参加してきました。


09年2月4日(水)、横浜パシフィコで開催された

「「HRD Japan 2009 第28回能力開発総合大会」に参加してきました。


「新入社員の採用と育成」という私にとって興味あるテーマの

セッションがあったからです。

私の理解の範囲で印象に残った点をお伝えします。

(・講演 ○関根の独り言)

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I.新人育成 9時30分〜12時


1.「新人育成〜キャリアにおける決定的な5年」

    NTTデータ 家田武文氏


●最近の若者

・コンサマトリー(即時性価値観)

  その場が楽しければ良い。快不快で判断。

 VS インストゥルメンタル(手段性価値観)

  目的を設定して手段を判断。

・H18年入社から変わってきた感じ。
 当事者意識に欠ける。自分以外が叱られている。

・逸脱しない。村八分を恐れる。失敗を恐れる。


●新人教育における留意点

・新入社員に日よらない。腫れものに触るように扱わない。
 こちらが確固たるポリシーをもって接する。

(中原先生)教師は「おもねる」とダメ。
 子供達に一度おもちゃにされると教師に戻れない。

・新人をお客様扱いはしない。自分たちで掲示板等を見て、
 次の研修室への移動等をさせる。500名/毎年の新人。

・現場に出てリアリティーショックを受けないよう
 4〜5月にRealistic Job Preview(会社の現実)を伝える。


○「職場でのリアルな様子を伝える」これは新入社員に対して
 「仕事の学び方研修」で伝えていることとも重なる。

 先輩は手とり足とり教えてくれないよ。
 忙しそうで質問しづらいよ。

 自分で学ぶ力が必要になるよ。


●OJT

・計画的でないOJTは、OJTではない。

・OJT=どんな職務経験をさせるか

・上司と若手社員が話し合い、新人に計画的に「一通りの職務経験」を
 積むことができるよう支援。

・コーチ、メンターがいると、仕事の達成感を感じる割合が高くなる。


●導入教育

・クラス指導者(現場のエース人材)が、30名のクラスに対して
 5日間接する。

・「いきなり上級コンサルタントにはなれないよ。最初は下積み」と
 クラス指導者が自分の経験をもとに語るのが効果的。

・クラス指導者に選ばれることは名誉なことという認識が出ている。


●現場の巻き込み

・キーマンとコンセプト部分で握ることが大事。

・時間はかかる。

・現場からの信頼を得られるよう行動。


○OJTを「計画的に一連の職務経験を積ませる」ことと考えている点が興味深い。
 小池先生の「OJT=キャリア(長期間に経験する関連の深い仕事群)」と通じるのかも。


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2.「ニチレイグループにおける入社1〜3年目の
   ファーストキャリアの取り組み」

    ニチレイフーズ 日比野栄司氏
    ニチレイプロサーブ 扇慎哉氏

●1〜3年目研修

・「自責の念」で仕事をとらえさせる。
 他責で「教えてもらえない」「忙しそうで」では仕事はできない。

・問題解決技法を徹底的に仕込む。

●メンター制度

・年次の近い社員を中心に、メンターになってもらっている。
・メンター自身の「目線が上がる」など、人的マネジメントへの気づきにも
 つながっている。
・離職率の低下にも影響が出ている。


●新人育成

・3年間は育成期間とおき、成果を期待しない。
 社長も明言してくれている。

・最初の1年は、生産工場でパートと同じ仕事をさせる。

・今の若手は「あせりやすい」

 自分は他人と比べて劣っているのではないか、もっと成長しないと


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II.人材採用戦略 14時〜16時30分


1.「ローソンの外国人留学生の採用に至る経緯と考え方」

    ローソン HR改革マネージャー 井上孝氏


●多様性

・消費者の多様化に対して、ローソンの人材が多様化していない。
 
・外国人雇用を通じたマネジメントの変革を期待。

・モノカルチャー化し、硬直化した組織をゆさぶる存在。
 いるだけで組織に影響を与える。


○採用された外国人留学生が、日本社会、会社世界に
「染まる」部分と、染まらずに自分たちの個性を出せる。

 そのバランスが難しそう。

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2.「学生の心を動かす新卒採用」

    リクルートエージェント 守山高広氏


●最近の学生

・インターンシップに参加する学生は「追い込まれる」
 「厳しいことを言われる」のが好き。

 先輩社員をグループにメンターとして貼りつかせ、アドバイスや
 叱咤激励をさせている。

・「インターンで成長したい!」と願っている学生は多い。
 意識の高い学生との切磋琢磨もできる。


●新人育成

・08年は、60名の新卒を一括配属させ、1年間市場開拓の
 業務につかせた。

・現場のOJT負担は減った。

・1週間ごと、マネージャー業務を新人にさせる。
 そうすると、マネージャーの気持ちがわかり、その後の活動にも良い影響。


●人材要件

・5年後にどのような人材が必要かを考え、今採用する。


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III.これからの若者と企業の対応 16時50分〜18時30分


1.「人が育つ仕組みづくり」

    三井住友銀行 人事部 田中智之氏
  
●OJT

・少ない中堅層、急増する若手層
 組織の細分化、業務の専門家 →従来のOJTが機能しない状況

 5年前は、200名採用。07年、500名。08年、700名。

・今までは支店に放り込めば、一連の業務を体験できた。
 今は、それが難しい。

・「新人に一連の仕事を経験させてくれ」といっても与える仕事がない。

・現場に余裕がないから、本社でまとめて教育してくれ。
 その後に現場に送り出してくれというのがきっかけだったが、今は
 予想以上の効果が出ている。


●新人育成

・1年半で、担当者として「自己完結」できるレベルを目指す。
 半年で、担当者として「手が動く」レベルを目指す。

・その為に「ライジング・ルーキー・プログラム」を構築。

 半年間、研修とOJTを交互に行う。

・研修スタッフが、研修内容を現場に説明。それに合った仕事を、
 現場で実施。あった仕事がなければ、その後の研修を修正。

・OJTと研修の連携を、研修スタッフと現場OJTトレーナーで実施。

・講師が研修終了後も継続してフォローする。
 部店に定期的に訪問し、本人やマネージャーと面談。

・講師に選ばれることが名誉という認識。

・採用時の情報や、最近に新人の傾向について、
 現場に対して説明会を実施。


○研修とOJTを交互に実施できるのは魅力的。
 新人だから、現場を頻繁に抜けても実害が小さいのか?

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2.「ソニーの新入社員育成」

    ソニー 人材開発部 岸本治氏


●最近の若手社員(ゆとり世代)

・真面目で基本能力が高い。夢、やりたいことを明確にもつ。
 ITリテラシーが高い。

・対人コミュニケーションが苦手。やんちゃな人が減った。
 間違いのないキャリアを求めて焦りをもつ。失敗を恐れる。


●OJT

・新人、チューター、課長の三者で話し合い、
「3ヶ月間短期プロジェクト」を現場で実施。

 そのプロジェクトは必ず成功させ、成功体験を味あわせる。

・テーマの選定から、チューター、課長の本気度が見える。

・チューターに対しては、「チューター研修」
「チューターふり返り研修」を実施。


○現場での短期プロジェクト、しかも絶対に成功させるというのは
 興味深い。

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3.「社会人基礎力について
     〜学校と企業の人材育成を結ぶキーワード」

    経済産業省 産業人材政策室 下村貴裕氏

●若年層

・仕事の質が高度化。単純な仕事からの下積みが難しい。
 IT化により単純な作業は急速に機械化。

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3セッションのコーディネーターをされた東京大学の中原先生と
09年7月に開催される慶應MCCさんでのセッション
「ネットワーク型OJT」に関するお打ち合わせをしました。


事例紹介の仕方に関して貴重なアドバイスを頂きました。

より参加者の役に立つ情報提供ができるよう準備に尽力します。


(中原先生、お忙しい中ありがとうございました!)