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2009年04月30日

「フィールドワークの技法」

「フィールドワークの技法 〜問いを育てる、仮説をきたえる」

  佐藤郁哉著

○フィールドワークを行う際の落とし穴がよく見える。

(・引用/要約 ○関根の独り言)

1.暴走族から現代演劇へ〜体験としてのフィールドワーク

・民族誌(エスノグラフィー)は、むしろフィールドワーカーと現場の人々の
 対話や議論にとっての新たな出発点になるべき。
 (現場の声を民族誌にまとめて終わりではなく)

・妻に文章をチェックしてもらう


2.他者との出会いと別れ〜人間関係としてのフィールドワーク

・フィールドワーカーは「身内」の一人になろうとしながら、一方では「よそ者」
 としての構えをとる。それはストレスのかかること。

・それぞれの社会には、外部からやってきた調査者の人柄や目的を値踏みし、
 調査や取材の可否を判断し決定する権限と責任をもつ門番のような役割を
 担う「ゲートキーパー」がいる。

○田舎に家をたてた今、このゲートキーパーの存在を感じる。

 私がその地域にふさわしい人物なのか、値踏みしつつ、
 少しずつ色々なことを教えようとしてくれる方の存在。


・フィールドワーカーの「得体の知れなさ」という問題を解消するために
 有力な「ツテ」を探すこと、そして最終的な報告書のイメージを提示すること。

・交際の範囲は偏らないようにする。

・うろうろしながら、そこにやってくる青年たちから話しかけられるのを待つ。

・頼りになるゲートキーパーやスポンサーが誰かを見極めることは、調査や取材の
 鍵を握るうえで極めて重要なこと。

○この辺りは、営業活動にも似ているかも。

 「窓口担当者」から「インフルエンサー(影響者)」「意思決定権者」を
 探していくプロセス。


・アクセスに際してどのような困難に直面したのかについて分析していくことは
 その社会がどのような性質をもっているかを見極めるうえでのチャンスになる


・フィールドワーカーは、その社会における「新人」のような立場や位置づけに
 なることが多い。

 異文化の中に入りこんでその場の慣習を学んでいくフィールドワークというのは
 いわば文化的な子供時代の再現であり、成人してから体験する一種の再教育、
 あるいは再社会科のプロセスであるともいえる

・最も理想的なインフォーマントは「西も東もわからない」フィールドワーカーに
 対して現地の常識や作法について根気よく教えてくれる師匠や先生のような人

 どのような社会であっても、たいていは新人や新参者に対してその社会で
 生活していくために必要な知識や技術、わきまえておくべきマナーなどについて
 教える役割を担う人たちが存在するもの

○企業に入ってくる新入社員に対する教育担当者(会社社会)
 OJT担当者(職場社会)がそれにあたるのだろう。


・好感をもって迎えられるのは、自分の無知を率直に認めて現地の人々から
 謙虚に学ぼうとする姿勢


・矛盾や非一貫性をできあいの概念や理論を使って性急に単純化したり
 抽象化したりして切り捨てず、なんとかすくいあげようとする

 「恥知らずの折衷主義」は「トライアンギュレーション」「マルチメソッド」


・フィールドワーカーはむしろ異人として構えを維持する必要がある。
 その際のストレスを解消する上で、フィールド日記がきわめて効果的な
 自己治療の道具になる。

・現地の当事者は必ずしも自分たちの社会について一番良く知っている人々で
 あるというわけではない

○外部講師である自分が、研修をする際に、この考えがよりどころになるかも。


・対象者と同一化しすぎることによって生じる「オーバーラポール」の問題が
 ラポールの問題と同じくらい、あるいはそれ以上に深刻な問題となりうる。

・自分の抱えている悩みや問題が実は自分だけのものではなく、多くの人に
 共通しているものであることが分かると、それだけで悩みや苦しみが薄れていく。

○これは「新人フォロー研修」で特に感じること。
 悩みや苦しみの共有はやはり大事。


3.「正しい答え」と「適切な問い」〜問題構造化作業としてのフィールドワーク

・フィールドワークという調査法の本質は、調べようとする出来事が起きている
 「現場(フィールド)」に身を置き、自分自身の目で見、耳で聞き、肌で感じた
 体験をもとにして、一次資料を集める作業(ワーク)をおこなう点にある。

・そもそも何を知りたいのかを明確にする。

○新人が職場でどう育つのか? 新人の成長を促進する要因には何があるのか?
 「新人が成長した」ことを、周囲はどのように把握するのか?
 どんな時に「成長した」と、本人は感じるのか?(松尾先生の調査)
 周囲はどのような働きかけを行うのか?

・フィールドワークを通して入手できるデータには、正しい答えを導き出すための
 材料つまり「現実の社会現象をより的確に説明できる答えを作り出すための材料」
 という側面だけでなく、適切な問いを組み立てるための材料つまり「理論的にも
 現実的にも意味のある問題設定を行うための材料」というもう一つの側面がある。

○「それを知ることで、なんの役に立つの?」という疑問に答えられる「問題設定」

 何を知りたいのか、それを知ることが本当に役に立つのか、意味あることなのか。


・致命的な落とし穴の一つに、学術用語とも日常用語ともつかない中途半端な用語や
 概念を無批判に使ってしまうというものがある。

○これは気をつけないと。


・先行研究を検討する際の文献リストの作成が重要。
 研究テーマと一つ一つの文献との関連を明らかにする。

・リサーチクエスチョンが最も明確なものになるのは、フィールドワークの作業を
 あらかた終えて報告書としての民族誌を書いているときのことの方が多い。

・フィールドワークの結果をある程度まとまった文章にしていく作業をなるべく
 早めに行ったほうがよい。


・現地社会(フィールド)の事情に対する土地勘があると、現地の人々にとって
 何がリアリティーのある問題であるか、共感的に理解できる。

○職場の人々にとって、何がリアリティーのある問題か。

 新人を早く一人前(手がかからない、自分で仕事をしてくれる)にするには?
 そのために、自分たちは新人にどのような絡み方をすればよいのか?

・リサーチクエスチョンは、理論的、学問的にも意味があるものでないと。
 すでに同種の研究の蓄積があり、あらためて調査研究を行わなくても答えが
 わかりきっている問題について調査をしても意味がない。

 ただ、どの程度の先行研究があり、また現在どの程度まで問題が明らかになって
 いるのかについて、調べるのは容易なことではない。

○ここが、最初につまずくところなのかも。


・低レベルのサーベイ調査 

 独断、偏見、思い込み、人生経験、勘、狭い範囲の日常経験からの問題設定

○これは気をつけないと。


・フィールドワークを行うときには、次の点をチェックする

 問題設定(問い)に関する問い

 −この問題については、先行研究ではどこまでは分かったとされているのか?
  通説に「穴」はないだろうか?

 −わかっていないのは、どのような点についてなのだろうか?

 −この問題設定は、理論的に意義があるものなのだろうか?

 −これは現場の人々にとってもリアリティーのある問題なのだろうか?

 仮説(仮の答え)に関する問い

 −まだわかっていないことはどんなことなのか?
  それを明らかにするにはどのようなデータをどのような手順で進めればいいのか?
  そうした場合、どんな結果がでると予測できるのか?

 −調べようとする問題は、いまどの程度明らかになったのか?
 
 −どういう手順で、また、どういう根拠(データ)で、それが「明らかになった」
  といえるのか?

 −明らかになったことは、はじめの予想と同じだったか?
  違っていたとしたら、どのように違っているのか?
  どうしてそんな違いが出てきたのか? 
  調査を始める前は思いもよらなかったような発見はなかったか?

・民族誌全体の主張を一言で表現できるようなキーワードやキャッチフレーズが
 できあがったとき、調査はあらかた完了したといえる。

・アドバイス

 1)先行研究などの文献をしっかりと読み込む
 2)文献リストを作ったり、読書メモを書いたりして、関連する研究分野の
   現況を把握しておく
 3)文献を読むだけでなく、現場に入り込んで何が実践的に意味があり、
   またリアリティーのある問題なのかを明らかにする
 4)浮かんできたアイデアはメモやレポートとしてこまめにまとめておく

・試行錯誤を通して文献の探し方や、テーマや問題の見つけ方について学ぶ
 プロセスそれ自体が、きわめて大切な作業。

○自分が勉強すべき先行研究のリストがあったら楽だなーと思っていたけど、
 それを自分で作っていくことに意味があるということなんだな。


4.フィールドノートをつける〜「物書きモード」と複眼的視点

・フィールドノーツは、調査地で見聞きしたことについてのメモや記録の集積

・Rashomon=証言の食い違い、一つの出来事をめぐる異なるバージョンの説明の存在

・鳥の目と虫の目のバランス

・未来の自分は他人 (後から読んでわかるようなメモをとる)

・すぐにメモをもとにして清書をしておくこと

○これは、営業時代に顧客との面談後すぐに「面談記録」を記入していた経験が
 役に立ちそう

・いい情報を手に入れるためには、いい視点が必要になるが、
 いい視点を作り上げるためには、いい情報が必要にある。

・時間順に記録する。

・清書版フィールドノートは箇条書きではなく、物語的な記録が望ましい。

・民族誌の章立てや中間報告書をできるだけ早い段階で書いておく。

・書くことを通して、頭の中だけでなく、手と目で考えている。

・現場調査の結果をまとまった文章として書き上げるときにこそ、
 真に意味のあるカルチャーショックを体験している。

5.聞き取りをする〜「面接」と「問わず語り」のあいだ

・問わず語りに耳を傾けるのが、インフォーマルインタビュー

・フォーマルインタビューは、問題設定が明確であり、
 仮説ができあがっている時に有効。

 インフォーマルインタビューは、問題発見や仮説生成時期に適している。

・現地の人々が「何を」話したかだけでなく、「どのように」話したかという点
 についても細心の注意が必要。

・最終的に公表する段階では、慎重な配慮が要求される。

・フォーマルインタビューでは、十分下調べして質問を準備したうえで、
 相手から「どうして特にこの私を選んで聞くのか?」と訊かれても答えられるよう
 にしておく

・問いが構造化されているということは、それに対応する仮説、すなわち
 予想される答えそのものがかなりの程度構造化されているということ。

・フォーマルインタビュー時には、依頼書、質問リスト、年表などを
 準備しておく。

・聞き手と話し手の共同作業を通じで、仮説をより厳密なものとしていく。


6.民族誌を書く〜漸次構造化法のすすめ

・分離エラーに満ちた論文 問いと答えのちぐはぐな関係

 あえて調査をしなくても、結論は最初から決まっているか
 本来は事後解釈であっても、あたかも初めから仮説があったかのように書く

○気をつけないと・・・

・裏付けとなる資料やデータをたたみかけるように提示する

・一見矛盾と見えるようなパターンについて説明できるロジックを築き上げられた
 ときにこそ、民族誌は「分厚い記述」となる

・良質な民族誌を読むべし

「質問紙法」

「心理学マニュアル 質問紙法」
  鎌原雅彦 他編著

 
○質問紙による調査の全体像と具体的なやり方が見える本。
自分が質問紙調査を行う前に、再度読み返したい。


(・引用/要約 ○関根の独り言)


・質問紙法の特徴は、主観的な自己報告を求める点。
 これが人間の内面に迫ろうとする研究領域において欠くことができない理由

・入念な準備、専門的なトレーニングが必要。

・2つの利用法 1)心理尺度法 2)社会調査法


・何を調べようとする質問紙なのかをまず明確に

・質問項目作成作業においては、まず先行研究をすること
 既に質問紙が存在することも多い

・調査者の意図が明確になりすぎないように、フィラー(ダミー)項目も含める

・質問紙で得られた結果は、どのような形であれ、調査対象者に還元する

・質問紙作成の流れ
 1)測定対象を明確にする
 2)項目の候補を収集する
 3)予備データを収集する
 4)項目を決定する
 5)本調査を行う
 6)信頼性の検討
 7)妥当性の検討

・母集団からサンプル(標本)を抜き取るサンプリング(標本抽出)には、
 1)無作為抽出法 2)有意抽出法 がある

・サンプルの大きさを決めるのは、調査費用、労力、時間の制約といった
 現実的な条件

・回収率をあげ、質の高い回答を得るためには
 1)簡単な構造、分かりやすい言葉、多すぎない質問量
 2)依頼状による目的、結果の説明 
 3)謝礼 
 4)返信用封筒に切手
 5)督促状を出す

・結果のフィードバックは、集団レベルの結果にとどめ、個人名は慎む


・回収された質問紙を点検し、整理することを、editing という
・質問紙の個々の項目への回答を記号や数字などの符号に置き換えることを coding

・質問紙調査は、ある時点での集団に関する横断的な「静的」特徴をつかむのに
 適している。定点観測的に根気強く蓄積することで貴重な情報となる


・構成概念を測定する尺度(ものさし)を作るということは、
 数値をある規則に従って割り振ることである。

・尺度の信頼性(正確さ)と妥当性(測りたいものを本当にはかっているのか)

・予備調査を通して、項目の信頼性と妥当性を高め、本調査に臨む

・予備調査においては、尺度項目の10倍の人数は必要。


・ひとつの質問紙で調べられることは限られている

 まず、自分が調べたいことの的を絞ること。
 次に、先行研究を調べる。すでに質問項目が作られていることもある。

・量的資料収集のための回答方法として、
 自由記述法、単一回答法、複数回答法、限定回答法、順位法、一対比較法、
 強制選択法、評定法(7段階)などがある。

・質的資料収集のための回答方法として、
 自由記述法、文章完成法などがある。

・質的データ(カテゴリカルデータ)の分析には、母集団について特別な仮定
 をもたないノンパラメトリック検定が用いられる。

・質的データの検定を行う際に推測統計学が使用される。それが統計的仮説検定。

 統計的仮説検定では、証明しようとする仮説(対立仮説)が正しいことをいう
 ために、それと反対の仮説(帰無仮説)をたて、それを証明しようとする

 わざわざ否定されるために立てられる仮説が、帰無仮説。

 帰無仮説が正しくないことを証明することによって、正しいと言おうとする。

・仮説検定において注意すべきこと
 1)本当は帰無仮説が正しいのに、それを棄却した
 2)本当は対立仮説が正しいのに、帰無仮説を採択した
 
 1)を、タイプIエラー α  2)を、タイプIIエラー β という

・心理学では、2つの変数の関係について言及することが多い。
 その相関関係を表現するための3つの方法として
 1)散布図 2)相関係数 r 3)回帰直線 がある。

・因子分析は、変数の分散をなるべく上手く説明できるような因子を見出し、
 その因子負荷量を決定する手法


○「調査系論文の読み方」の後、この本を読んだから、少しは言葉の意味が
 分かるようになってきた。逆なら、難しかったかも。


○第三部「質問紙法の実際」で取り上げられている調査結果(学校教育)を
 読むと、公立学校に子供を預けていることが怖くなる。

 やはり、教室の中にいる教員によって、ずいぶん変わってくるだろう。

 恐ろしくなる。

・教師には「外部からの批判に対する警戒心」があり、自らの力量の低さを
 同僚や管理職に知られまいとする態度が反映されている。

○小学校でいえば、教室という閉ざされた空間に、大人は自分一人。
 隠そうと思えば、隠せる環境。

 

・いじめ被害ありと答えている子供が在籍するクラスの担任教師の4割が、
 「自分のクラスにいじめはない」と答えている。

 自分のクラスにいじめが存在すると認めることは、自分の指導力不足を
 認めることになり、受け入れるのが苦痛。そこで、自我が「現実を認めないで
 無視する」という手だてを講じているのである。


・教師による評価のゆがみの存在

 教師から見て「望ましい」とされた生徒の特徴は「勉強がよくできる」という点。
 (勉強ができない子は、成績とは関係のない側面まで、悪くみられがち)

 教師は評価項目であらわされている多様な側面をあまり区別できていない。

 教師は、生徒をきめ細かく見ているつもりでも、実際にはそれほど
 きめ細かな認識が出来上がっているわけではない。


○これは、ある意味仕方ないことかも。
 人間である一人の教員が、多数の人間を見るわけだから。

 だが、教師にとって大事なのは、自分が「それほど見えていない」ということを
 自覚することではないだろうか。

 「見えているつもり」の教員もいるのでは。


・自己の要求水準と実績が一致している子供は「ゆるぎない自信」を持っていて
 自尊心が高い

・自己を否定的にとらえていない子供は、順応性に優れている


○娘達にも、こういう面をもってほしい。そのために親にできることは何だろう。

「調査系論文の読み方」


「心理学・社会科学研究のための調査系論文の読み方」

   浦上昌則・脇田貴文著


○論文に対する苦手意識が減る本。
 これからもがんばって論文を読もう!という気にさせてくれる。


(・引用/要約 ○関根の独り言)


1.論文とは

・この本は、人の心を研究対象とし、統計(推測統計)を使った論文を
 読めるようになることを目指すもの

・論文も統計も、研究者が示したいことを示すために使う手段

・論文や統計が分かると、研究というものがとても楽しいものだということが
 一層はっきりわかる。

○ぜひ!こうなりたい!


・「何がわからないかをはっきりさせておく」ことが、学ぶ際の大事なポイント

○「何がわからないのかが分からない」時期が、大変なんだよな。


・研究の一部として論文に仕上げるという作業がある

・論文を書く作業は、研究活動で得られたことの中から論文に必要不可欠な
 ものを選出し、話の展開に破たんのないように再構成することといえる

 ひとつの論文の背景には、そこには表現されていない様々な研究活動がある
 
 研究活動のすべてが論文に記してあるわけではない

・論文は、書かなければならないことを、ルールに沿って記した文章

・論文は常に「問題と目的」「方法」「結果と考察」「引用文献」の4つから
 構成される

・論文の全体構造は「明らかにすべき問いを示し、それに対してどのように
 答えられるのかを記す」という自己完結的な形をしている

 問いを示して、それに答える 

 無意味な寄り道をせずに、直線的に答えまで進む

・論文では、そのように言える根拠が常に求められる

 資料自身に語らせること著者の仕事

・現実と研究の世界の往来が必要。
 その往来を担当する部分が主に「問題」と「考察」

○なぜ自分がこの研究をするのか。この研究の意義は。
 
 それに答える部分なんだろうな。


・論文には一定の形式がある。単純な構成なので、慣れてしまえば
 他の文章より読みやすくなる。

・同業者である研究者、専門家に読まれることを前提にしている。

・研究者などの専門家は、研究の結果だけを知りたいのではない。
 その結果にたどり着いたプロセスを含めて、できるだけ詳しく知りたい。

・論文においては客観性が非常に重視される。

 他の誰が考えても同じ結論に達することができるような論理的整合性が
 求められる。

・研究の目的にてらして必要十分な文章、図表を意識する

 論文を書くことは、自分の立てた目標に向かって一本の道を作るようなもの

○今後は、こういう指導を受けるんだろうな。

 「なぜ、この文章、図表を?」「根拠は?」「〜が足りないのでは?」


・研究の出発点を導く作業は、それぞれの研究者の自由な発想に任されている。
 この目の付け方が研究のオリジナリティーになっていく


・3種類の読み 1)分析的読み 2)総合的読み 3)批判的読み

・批判は、その研究を良いところも悪いところも含めて自分のものにし、
 更に自分が進んでいくための手段

○やっぱり、先行研究が大事なんだろうな。

・研究が明らかにしている範囲(限界)を意識すること


2.測定

・対象をとらえる(数字に置き換える)

・観察できる領域(観測変数)観察できない領域(潜在変数)

○見えないものをできるだけ見えるような形にする


3.統計

・論文では多種多様な統計的分析が用いられている

 その多くは、2つに分類できる

 1)平均系:平均値を用いて検討
  (t検定、分散分析)

 2)相関系:指標間の関連を検討
  (相関係数、偏相関係数、因子分析、重回帰分析、共分散構造分析)

・分布:データの散らばりの様相

 平均値を見ると同時に分布を見る。
 散らばりが小さいということは、平均値近くにほとんどのデータが集まっている


・統計的検定の考え方

 「前提となる条件の下で生じたこと(結果)が、確率から考えてめったに
  起きないことであれば、前提を間違ったものとして判断する」

 帰無仮説:間違った前提、否定される仮説
 対立仮説:帰無仮説が否定されることで、正しいことが証明できる仮説


4.因子分析・t検定

・因子分析において、研究者が注意するのは、項目のまとまりの良さと説明率

 できるだけ少ない因子に、できるだけ多くの情報を載せるポイントを探す

・因子分析は試行錯誤で何度も繰り返す分析

・因子分析の2つのステップ

 1)因子を抽出
 2)初期解(最初に出た因子)に回転という操作をかけ結果を読み取りやすくする

・まとまりが認められた時点で、因子に名前を与える

 よい因子名には 1)測定したい構成概念の表すものとして適当
 2)他の因子と明確に区別 3)項目のまとまりとうまく対応、イメージしやすい

・因子分析は、項目のグルーピングを通して、その背後にある概念の構造を
 探索する手法

 観測変数から潜在変数を推定する

・t検定は、2群の母集団における平均値の差を検討する検定


5.1要因分散分析・相関係数・偏相関係数

・1要因分散分析は、2群以上の母集団における平均値の差を検討する方法

 ANOVA Analysis of Variance

・分散分析も統計的分析のため、まずは帰無仮説が必要

・研究者の読みをデータが裏切る場合もある

・相関係数:2変数間の直線的な関係の強さを数値化したもの

 −1.0 もしくは 1.0 に近づくほど、強い直線関係が認められる
 0 に近づくほど、2つの変数間に相関はない。無相関の状態。


6.2要因分散分析・因子分析

・測定結果をもとに統計的検定を行うので、測定の信頼性が大事

・調査対象者を限定することにはメリットとデメリットがある

・因子分析の利用法には2つの方法がある
 
 1)探索的:因子構造が不明、データから構造を探る
 2)確認的:因子構造が既知、実際データに認められるか検討する

・交互作用:2つの要因のうちどちらかだけで説明できる影響でなく、
      複合的な効果

・初期解だけでは、かたまりがあるのか分かりにくいため、
 回転(バリマックス、プロマックス)という操作を行う

・t検定や分散分析は「影響」を分析しようとする検定
 2要因分散分析では、影響をあたえるものが2つになる。


7.重回帰分析

・従属変数(説明される変数) 独立変数(説明する変数)

○新入社員の成長?(従属変数) OJT担当者の存在 周囲の協力度(独立変数)?


・パス path とは道筋のことで、要因間をつなぐ経路のこと

・重回帰分析は、回帰式とよばれる関数によって、1つの従属変数の値を
 いくつかの独立変数で表現しようとする分析

・独立変数と従属変数は、説明の向きを示すのであり、因果を示すわけではない

・パス解析:重回帰分析を繰り返すこと


8.共分散構造分析

・ダミー項目:分析には利用しない項目 調査者の意図が伝わることを防ぐ

・モデルがデータを上手く表現できているかどうかを確認するのが、
 共分散構造分析

 モデルの改良ができる

・共分散構造分析は、利用範囲が多様


○この本で自分が学んでいることは、大学院に行った人や研究者には
 当たり前のことが多いんだろうな。

 「こんなことも知らないの」「なぜいまさらこんなことを」と思われてもよし。

 知らないことは恥ではない。その過程を楽しむべ。


○この本を読んだだけでは、良くわからなかったことが、こうしてブログに
 文字として書くことで分かるようになってきたこともある。

 

「社会人大学院へ行こう」


「社会人大学院へ行こう」

  山内祐平 中原淳編著

○大学院で学んでいる自分の姿がイメージできる本。
 

(・引用 ○関根の独り言)


・論文はその研究室に入ったら何ができるかとか、校風とかを一番反映する。

・定期的に研究会があって、学生が自分の研究の進捗状況を発表する。
 その成果に対して、皆でディスカッションをして、そのあとで指導教官からの
 質疑応答と指導が行われる。

 指導教官は厳しい。特に研究の方法論をきちんと踏まえているかを見ている。

・学生さんに議論で打ち負かされることもある。

・厳しいコメントは大学院ならでは。ストレートにものが言い合える。
 年の差は関係ない。立場も関係ない。僕は素直に耳を傾ける。


○「素直に耳を傾ける」これができるかどうかが大事だろうな。

 自分も、経営者、研修講師、ビジネス本の著者という立場になり
 会社員時代と比べ、周囲から「厳しいこと」を言われる機会が
 少なくなっているのかも。

 大学院では、ケチョンケチョンにやられて、ズーンと落ち込んだり、
 プライドを傷つけられて「いや、そんなことは!」と
 自己防衛に走りそうになったりするかもしれない。
 
 そこをぐっとこらえて、「素直に耳を傾ける」ことができるかどうか。
 そこがカギになるだろう。

 「学び上手」を目指す人間としては、きちんとできないとな。


・基本的な論文の輪読などは学部生のうちにやっておいて、大学院に来ると
 そういう基礎を押えているという前提の上で、かなり専門性の高い各論に
 入っていくことが多い。これが社会人にとってみれば厳しい。

 学部生が当然もっている基礎がない分、最初は適応が難しくなる。


○今、東大の中原先生から示されている
 「推薦本リスト170冊」が、この基礎にあたるのだろう。

 こういう形で見取り図を示して頂いているのはありがたい。

 先は長いし、かなり大変だが、ま、なんとかなるべ。

・大学院はやっぱり問題意識をもつことから始まる。
 自分の問題意識にあった大学院にいけば、充実した時間が持てる。

○自分が知りたいことは「新入社員の成長を促進する要因は何か?」だ。

 それを今研修で関わっている「OJT担当者(先輩社員)」という側面から
 調べたい。

 
・研究計画書では、自分の問題関心はまだ誰も解決したことがない
 スゴイ問題なのだ、ということをアピールしなければならない。
 それも最先端の研究をしている研究者が読んで納得いくようなものに。

・社会人には実務経験がある。それに対する自負もある。
 社会での経験は、生きてきた証であり、
 社会人大学院生のオリジナリティーでもある。

 だから先生とディスカッションするときは真剣に体当たりする。

・大学院で学んだことの価値は、論文執筆のプロセス。


○自分が大学院で得たいことの一つは、これに近いかも。
 知りたいことを明らかにする、研究の仕方そのものを学びたい。


・思わぬ収穫だったのは人脈。ちょっと手伝ってくれへんと声かけできる。

・社会人大学院は、人と知恵のコラボレーションの場。


・子供が成長し、自分の世界を持ち始めた時、母親である自分が子供のこと
 だけに注意を集中しているよりも、自分も打ち込める何かがあるといいと思う。
 それは子供にとっても救いになると思う。

○確かにそうかも。ま、うちの奥さんなら、大丈夫でしょう。


・研究計画を立て、それを実行し、修士論文を書き上げていく過程では、
 知識だけでは十分ではない。

 自分が作り上げた原案を発表し、仲間にたたいてもらい、より良いものに
 していくという「対話の中で学ぶ」プロセスが必要不可欠。

 これは研究者がもともと研究コミュニティーの中で行っていた活動。

○こういう「知の紡ぎ方」が自分もできるようになりたい。
 そのためにもアカデミックな世界に入ることはやはり必要。


・大学院を目指す多くの人たちは、心の中に何らかの葛藤をかかえ、それを
 解消してくれるものを求めて、学びの場に戻ってくる。

○自分もそうだ!

 今のままでは足りない。その危機感が、大学院入学のきっかけかも。


・「問題」の発見は、研究の中でも最も本質的で重要な過程である。
 解決すべき問題を見つけることができれば研究の半分は終わっているという
 人がいるぐらい。

 社会人は働くという現実の中で、そのような「問題」を発見しやすい状況に
 いるのだろう。

・学問体系は長い時間をかけて、多くの研究者が力を合わせてつくりあげてきた
 巨大な知的構成体である。それは現実の自然や社会に対象領域をもちながらも、
 独自の論理をもち、独自の言語体系をもった巨大な生き物のような存在。

・大学院に来て学びたいという社会人は、現実の「経験」を「理論」によって
 超えたいと願っている。そういう人たちにとって理論や研究は一種の魔法の
 ように見える。

 しかし、現実にたどりついてみれば、ほとんどの場合そのような万能薬の
 ような解はなく、そこには解を作るための道具や材料があるだけなのである。

○それでも、いや、それだからこそ、自分は大学院に行く。

「OJTの実際」

「OJTの実際〜キャリアアップ時代の育成手法」

  寺澤弘忠著


○OJTについて歴史的背景から今後の在り方、具体的な方法論まで
 幅広く学べる本。

(・引用 ○関根の独り言)


・人材育成の基本は「仕事が人を育てる」

・OJTが今後も日常の職場において、上司の一連の管理行動の中で
 行われることは従来と異ならない。

 ただこれまでと異なることは、,修梁仂櫃単に仕事に必要な
 知識、技能、態度の習得、伝承にこだわらないこと
 ⊇祥茲里茲Δ望紊ら下、すなわち上司から部下への一方通行ではなく
 教え、教えられながら「共に学び、共に育つ」という変化、拡大がなされた。


・「教育とは何か」を意味論から整理すると「教育とは、教え、かつ育てるという
 行為を同時に行うことであり、人を善くしようという意欲や気持ちにささえれた
 すべての行動や発言」ということができる。

○ここが教育の難しいところだよな。まずは自分を律していかないと。


・なぜOJTが企業内教育の中心となってきたのか、その理由は
 1)職場で部下に最も影響力をもつのは上司である
 2)職場の問題はその職場の責任者である上司でなければ解決することが難しい
 3)職場の実績や業績は上司と部下が行った仕事の総和である

○確かに、OffJT(集合研修)に関わる講師として、
 職場での活動に影響を与える難しさを常に感じている。

 職場で最も影響力をもっているのは、その職場の責任者である。
 だから、その者から指導を受けるOJTが、企業教育の中心だというのはうなづける。

 ただ、職場の問題が、その職場の責任者の行為によって引き起こされている
 ケースもある。それは、部下へのOJTでは解決しない。

 その職場の責任者に対する、その上からのOJTが必要になる。
 (役員→部長、部長→課長 といった感じ)

 ここのOJTはあまりなされていないのではないか。


・OJTを広く、企業における「仕事の伝授」という大きな枠組みでとらえる。
 OJTの2つの側面
 1)職場の日常業務の円滑な遂行
 2)個人の自立、成長、巣立ち 

・多面的といわれる管理、監督者の役割を体系的に整理した研修プログラムに
 MTP(Management Training Program)がある。

 MTPに基づきOJT実践のステップを考えると
 1)仕事の改善 2)仕事の管理 3)部下の育成 4)職場の人間関係
 の4つになる。

・職場における管理、監督者(上司)の何気ない行動と発言は、常に部下に
 大きな影響を与えており

 全管理行動=部下の指導育成行動=OJT行動→リーダーシップ行動

 という枠組みでとらえるべき。

・日常の何気ない管理、監督者の行動と発言をあえて「OJT」となづけたのは、
 これまで無意識的に行ってきた日常の管理行動を、常に部下の指導育成に
 結びつけて、自覚的、意識的に行っていくためである。


・OJTを成功させるためのツールとして、現場から圧倒的に多い要望は、
 「体験談、事例集を作成してほしい」である。

○これは、確かにそうかも。

 OJT研修でも「他指導員、他職場、他社での事例を知りたい」という声は多い。

 せっかく参加型研修を実施し、参加者の生の声を研修内でも
 出してもらっているのだから、これを上手く活用していかないともったいないな。

 特に「OJTフォロー研修」で、半年新人指導を行っての「苦労と工夫」を
 あげてもらえば、そこから「体験談、事例集」は作れるかも。

・これまでOJTというと、とかく部下の問題として受け止められがちであったが、
 実際には上司自身が問題となっていることが多い。

・上司の立場になったとき、自らの体験をふり返って「良かったこと」を
 OJTとして実践していけばよい。

○OJT研修内で、参加者自身の経験をふり返る「教え下手・教え上手」は、
 やはり大事なパートだな。


・今日のように技術革新の著しい時代には「負うた子に教えられて浅瀬を渡る」
 ということわざのように、上司といえども部下から学ぶことがある。

 更に職制上の上司と部下という関係だけでなく、他部署あるいは他社の人々
 からも多くのことを学ぶ機会がある。

 これらの周囲の人たちすべてからあらゆる機会を利用して勉強することが大切。

○ここに「ネットワーク型OJT」の意義があるかも。

 ただ、新入社員のOJT担当は多くの場合、職場の責任者であり
 影響力が最も大きい上司ではなく、一先輩社員だ。

 影響力がそれほど大きくない彼らが、自分の職場だけでなく、他部署、
 他社の人々にも協力してもらってOJTを進められるかどうかがカギだ。

 そのためにも、まずは職場の上司に理解してもらい協力してもらう必要がある。
 
 上司が「ネットワーク型OJT」という考えをまず理解する必要があるのかも。


・OJTに関するQ&A

○研修内でも個別具体的な事例(今まさに参加者が困っている問題)に対する
 解決策を求められることが多い。

 そのときに、講師である私自身が答えるのもよいが、
 次のような質問をしてもよいのかも。

 −どんな状況なんですか? もう少し詳しく教えてください。
   (他参加者にも聞いてもらう)

 −何が原因なんでしょう?

 −過去出会ってきた先輩や上司でしたら、どのように対処すると思いますか?

 −ご自身は、どのように対処すればよいと考えますか?

 −他の参加者の方は、どう思います? (他参加者にふる)

 他にも良い質問の仕方があるかも。


○「答えを求められる」これは、OJT研修においてよくあることかも。
 
 「Aという新人が、〜だ。どうすればよいでしょう?」

 (何か答えると)

 「それは既にやったのですが、うまくいかない。どうすれば」

 この繰り返しになってしまうこともある。(私の力不足もありますが)


 やはり研修や外部講師に「こうすれば上手くいく!」という答えを
 求められてしまうことは仕方ないのかも。

 
 十人十色な新人に、十人十色なOJT担当者が関わっていくなかで、
 「こうすれば“絶対”上手くいく!」という“魔法のリンゴ”のようなものは
 無いと思っている。

 その限界を分かった上で、かつ参加者の役に立つ研修を提供していきたい。


・本当のOJTは、日常のごく自然な上司と部下の接触の場にある

・なかなか思うようにいかない部下の場合、まず与えた仕事の必要最小限は
 きちんと行わせ、職場や周囲にマイナスの影響を与えないような配慮をすべき。
 OJTの中には、マイナス要因を防ぐ要素もある。

○これは、悲しいかな、確かにあるかも。

 ただ、複数の部下を持つ上司と違い、1人の後輩しかいないOJT担当者で、
 その新人がこういう対象者だときついだろうな。


・今日でもOJTというと、多くの企業や職場では
 1)あらかじめ育成必要点を把握し
 2)その教育(指導、育成)の計画をたて
 3)その計画に基づくOJTを実施し
 4)その結果を評価し
 5)さらに必要に応じてフォローを行う というパターンが形作られた。

・OJTのPlan-Do-Checkの流れをさらに面倒にしたのが、1)を把握するために
 設定された日常業務把握のための職務分析の導入であった。

・OJTで最も大切である実施の部分(Do)がないがしろにされ、ラインの管理、
 監督者にとっては、フォーマット類を出さないと・・

・これまでOJTの推進、定着が上手く進まないといわれてきたのは、実はこの制度、
 しくみ面からのOJTである。もともとは日常業務遂行過程でのOJTを補完、補充する
 ために活用していくのが本来の姿。


○「OJTは面倒くさいもの」という現場の見方は、こういう書類、フォーマット類の
 記入に一因があるな。


○人事関連の人たちからは「OJTが機能していない」という言い方をよくされるが、
 これは制度、しくみ面からのOJTだけを意味してはいないだろう。

 新人に関してのOJTでいえば、

 −外(人事)から見ると、なかなか新人が育っているように見えない。
 −現場で育ててほしいのに、新人が放置されがち。
 −OJT担当者はいても、新人の面倒を見ていない。 
 −新人の声をフォロー研修などで聞くと、面倒を見てもらっているように見えない。
 −メンタル面で問題を抱える新人や離職する新人の数が多い。
 
 などの状況をとらえて、現場での「OJTが機能していない」という言い方に
 なるのだろうか。

 彼らが何をもって「OJTが機能していない」と言っているのかを、
 私自身がしっかりとらえておかないとな。


・部下のすべてが仕事にやりがいを求めているわけではない。上司は、すべての
 部下にチャレンジングな仕事を用意する必要はなく、決められたルーチンワーク
 をしっかり行ってほしい部下には、それなりの仕事の目標を与えればよい。

○これは確かにそのとおり。ただ、これを新人へのOJTを担当する先輩社員に
 伝える際には、注意が必要かも。


・これからのOJTの特徴としての指導育成の方法

 上司先輩は「教える人」、部下後輩は「教えられる人」という一方通行的な
 受け止め方だけではなく、上司先輩も知らないこと、できないことは
 部下後輩と「ともに学ぶ」という相互啓発の時代となった。


・OJTの特徴は、自分を取り巻く周囲の第三者(他人、特に上司先輩)の
 アドバイスと援助によって自己啓発(能力開発)を行い、自らの自立、巣立ち、
 成長を図り、企業内(組織内)で有用な人材となること、すなわち
 仕事ができる人材になることを目指してきた。

・(動機に主体性があるキャリア開発に対して)OJTは、その出発点において
 「他人のアドバイスと援助」ということで動機が従属的であり、その狙いも
 1)仕事の知識、技術、態度の習得、伝承と
 2)日常業務の円滑な遂行として受け止められてきた

 この意味でOJTはあくまで企業人(組織人)としてその枠内で役に立つ人間として
 企業の生産性向上に寄与することが基本であった。

・これまでなぜOJTの重要性や必要性が叫ばれながら、推進、定着しなかったかは、
 それがいつも他人ごととして受け止められ、受け身の姿勢だったから。

・OJTがキャリア開発から学ぶこと、それは主体性の哲学。


○OJTがいつも他人ごととして受け止められ、受け身の姿勢だったから
 OJTは定着しなかった。

 これは、確かにそうかも!


 そんな中でも主体的にOJTを実施する先輩社員もいる。

 「自分も教わってきたから、後輩にも教える」という人たち。

 (エリクソンの世代継承性?)


 OJTをしてもらえなくても、自ら仕事を学びとってきた人たちもいる。


○OJTを(教える側も教わる側も)「やらされ仕事」にせずに、
 主体的に取り組むものとするには・・・

・ビジネスコーチングの基本スキルとプロセスを、OJTの一環として活用していく
 ことは、何ら矛盾しない。これまでのOJT実践過程で曖昧であったことを
 補完、補充するものとして有益なこと。

・日常業務の遂行にあたって過去の経験や知識、技能がいかせない時代に変化した
 ことであり、職場における管理監督者、リーダーは自ら的確な「答え」を
 提示することが難しい時代となった。

 そこで、ビジネスコーチングがアメリカから紹介され普及してきた。

・ビジネスコーチングでは人間性の理解にあたって「性善説」を前提にして展開
 されている。

 OJTで対象としている人間性は、必ずしも性善説を前提にしていない。
 きわめて多面性をもった複雑なものであり、性善説を前提にした画一的な
 接触、対応だけではすまされないことがある。

○全く余談ですが、著者の寺澤さんは、私が以前住んでいた
 埼玉県寄居町に住んでいらっしゃいます。

 いずれお会いする機会を頂戴できればと考えています。

2009年04月18日

「みんなで“やる気”を科学する」に参加してきました。

09年4月17日(金)夕方 Learning Bar @ 東大

「みんなで“やる気”を科学する」に参加してきました。


この日まで4日間連続で「OJT研修」が続いていて、家に帰っていなかったので、
早く帰りたい気持ちもあったのですが、

募集人員を上回る人気のセミナーなので、疲れた足と気持を奮い起こして
小雨降る中、東大に向かいました。


ふり返って考えてみると、正直当日参加しようという「やる気」は下がっていました。

・研修の疲れ
・出張続きの疲れ
・家族との時間がとれないむなしさ
・足もとの悪さ(雨のため)


そんな中、自分が参加しようという「やる気」はどこから起こったのか?

・中原先生の主催
・抽選で参加させてもらっている
・テーマが面白そう
・参加者に企業教育担当者が多い
・何か新しい発見がありそう
・参加しないと後で後悔しそう


参加しないことによる「信頼関係の減退」「学習機会の損失」という負の側面と、
参加することによる「信頼関係の構築」「学習機会の獲得」という
ポジティブな期待があったのかも。

その二つを秤にかけて「やる気」を出したのかも。

周囲から見ると比較的何にでも前向きに「やる気」をもって取り組んでいるように
見える自分でも、やる気が下がる時がある。


主には

・身体が疲れている時

・家族と過ごす時間が少ないと感じている時

に、そういう状態になるようです。

さて、それはともかくとして参加した「ラーニングBar」の様子です。

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(・講演内容 ○関根の独り言)


1.「やる気」の常識を考える

   株)JTBモチベーションズ 代表取締役 大塚雅樹氏


・ハイパフォーマーもモチベーションは完璧(常に高い?)わけではない。
 不満も当然抱えている。

・モチベーションの高い人は、プライベートでも仕事の話をしている。
 (プライベートでも仕事の話をするから、モチベーションが高まる?)

 社外の人と交流する際に、自分の仕事を面白おかしく話すことにより、
 自分の仕事を客観的に認識することができる。

・業績の良い組織は、多様なモチベーターをもつ人材が集まっている。

・モチベーションの高い人は、ボキャブラリー(語彙)が多い、増えてくる。
 モチベーションの高い組織は、一つの共通言語だけでなく
 様々な言葉が飛び交っている。

・ボキャブラリーが増える要因は、社外の人との接点。刺激を受ける。

・21世紀型のハイモチベーション組織とは、自分の仕事を多彩なボキャブラリー
 で表現することができるビジネスパーソンがたくさんいる集団である。


○社外の人との接点の場としてのラーニングBarで話すテーマだから、
 こういったお話をされたのかもしれないが。

 「自分の仕事を他者に面白おかしく話す」これが自分はできるか?できているか?

 自分の仕事=企業研修講師 

 
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2.ミドルの「やる気」を科学する

   リクルートマネジメントソリューションズ 石井宏司氏


・ミドル=部下をもつ課長クラス
 
・RMSの調査結果 2007年 547名の課長クラス

 「マネジャーにやりがいを感じている」 52%
 「マネジャーをやってて良かった」 48%
 「マネジャーとして能力発揮できている」 45%

○約半分が否定的意見という状況は「やる気がある」状態とは言えないのでは? 

 約半分のマネジャーの下についた部下は、どのような状況にあるのか。


・「マネジャーをやってて良かった」と感じる理由

 裁量が広い、部下育成成長、組織での目標達成


○自分の判断で動ける。これが「やる気」のもとなのでは。

 担当者レベルでは決めて動けなかったことが、マネジャーになるとできる。

 「自分で決めることができる」

 しかも組織という「自分で決めることが難しい環境の中で」


 独立した自分にとっては、「自分で決める」ことは当たり前のことで、
 これは空気のように当然の状態になっている。


・やる気がある人、無い人の差として
 
 「仕事時間のプレイング比率」「マネジメント補佐役の存在」
 「成長経験があるという回答比率」が目立った。

・ミドル(課長)のやる気は、3年目までは上昇。4年目から下降。

 「マネジャーとしての成長経験を持つ」=「部下育成、成長」「組織目標の達成」

  ことがやる気上昇に影響。


・ミドルのやる気を上げることが本当に優先順位の高いことなのか?
 結果的にやる気もあがる別のことに手を付けるのか?

○これは、確かにそうだよなー。

 個人経営の小さな会社を経営していて思うのは
 「やる気」よりも「戦略」の重要性。

 間違った方向に、やる気をもって進んでいったとしても、待っているのは自滅。

 最初に入った会社(教材の訪問販売。今はない。)は、宗教的なぐらい前向きな
 モチベーションをもって高いやる気で仕事をしている人が多かったが、結局失敗した。

 経営者が指し示す方向が間違っていたら、ヘンにやる気が高い状態だと、
 皆が同じ方向を向いて一心不乱に進むから、軌道修正がききづらいのかも。


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3.ワーク・モティベーションの測定

   近畿大学 経営学部 山下京教授


・「やる気」という言葉には、すでに価値(やる気=良いこと)が含まれている。

・ベストセラー「虚妄の成果主義(2004)」では、デシの内発的動機付けを引用。

・ワークモティベーションと企業業績の関係を調査

 外発的動機付けだけ、内発的動機付けだけだと、業績は高くない。

・新卒採用を重視する姿勢を示すと、従業員の内発的動機付けが高まる。

・企業統治のスタイルとして、米国=資本主義 日本=人本主義

 企業と従業員との安定した信頼関係があれば、ノウハウの伝授も行われる。


○自分がアカデミックな世界に入ったら、

 研究者 → 教育担当者(研修企画者) → 現場従業員(研修参加者)

 を上手くつなぐ存在になりたい。

「分かりやすさの弊害」はあるかもしれないが、「分かりやすさ」を求めたい。
 

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4.社会的構築物としての「やる気」

   産業能率大学 情報マネジメント学部 長岡健教授


・「誰の」やる気が問題なのか?

・「やる気がない」と判断される側
 「やる気がない」と判断する側

・他者から「やる気がある」と判断されるのは、

 やらなくても許される範疇の仕事に対しても自主的に取り組み、
 想定されるレベル以上の成果を目指して主体的に行動している。

            +

 行動の結果が、評価者の利益に合致している。

・「評価者の利益」誰のための「やる気」という問題

 1)本人の主体性が高く、かつ評価者が得る利益が大きければ、評価者から見て
   「やる気」あり。

 2)本人の主体性が高くても、評価者が得る利益が小さければ、評価者から見て
   「やる気」?

    → 独立起業の準備に励む社員。会社を内部告発する従業員。

 3)本人の主体性が低く、評価者が得る利益も小さければ、評価者から見て
   「やる気」なし。


 4)本人の主体性が低くても、評価者が得る利益が大きければ、評価者から見て
   「やる気」?
  
   → 反抗せずに、組織に染まる? 言われたことを唯々諾々と行う?


・「部下にやる気がない」と見えたら、「本人の意識の問題」とすぐに考えずに、

 → 本人は「やる気がない」とは思っていない可能性
 → 本人は主体的に行動しているが、その方向性が上司の求めるものでない可能性
 → 上司の示す評価基準に対する“第三の反応”である可能性


・RHC石井さん?「部下の成長も、上司の望ましい方向に成長しているのであれば、
 成長と認められるのかも」


○このあと近くの参加者2名と一緒にディスカッションをしたが、
 この長岡先生の話に対する反応が多かった。

 「こういう視点はもったことがなかった」
 
 モノの見方が変わったという意見が出た。


 短時間で、大人のものの見方を変える、というのはすごいことだと思う。

 やはり、自分たちでは考えもしなかった視点を提供されると、人は素直に驚き、
 その見方を受け入れるのかもしれない。


○参加者とのディスカッションの中で
 「やる気は下がっていたけれど、成長はしたという経験がある」という話がでた。

 厳しいプロジェクトで、やる気そのものは下がっていたが、
 あとからふり返ると、成長していた。

 RHCの石井さんの「部下のやる気が下がるような試練を与えることも必要」
 という言葉とも重なるのかも。


○チューター制度をとっている会社で、チューターが現場で孤立してしまう、
 という話が出た。そこで、昨年度はマネージャーの育成責任を明確にして、
 チューターを支援するよう現場に指示を出したそうだ。その結果、チューターの
 孤立感は、減ったそうだ。


○組織に属している限り、評価者である上司の視点は重要だろう。


○いつかは皆組織を出ることになる。(定年退職)
 ずっとマネジャーとして、部下を持つことはできない。

 会社という組織の中で認められてきた権威、権力、ルールがあるから、
 マネジャーとしてやっていけるという人もいるのだろう。


○自分は独立してから、今回のBarで取り扱ったような
 「やる気」が下がったことはないのかも。

 すべて自分で決めて行動できる。これが大きいのかも。

 組織に属しているからこそ「できること」「できないこと」がある。


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今回のラーニングBarでも大きな学びがありました。

企画してくださった皆さん、ありがとうございました!


(中原先生が書かれたラーニングBarの様子)
 http://www.nakahara-lab.net/blog/2009/04/learning_bar_21.html

2009年04月11日

新聞活用術

09年4月11日(土)の日経新聞に、4月6日(新聞をヨム日)特集として、

IT企業トップの新聞活用術を紹介していました。

共通していたのは、

・新聞は記事の大きさで重要度が示される。限られたスペースに意義がある。

・ネットは自分が興味ある情報しか見ない。新聞は興味関心以外の情報も目に入る。

・世の中の動き、社会を知る際に役立つ。

といった点でした。


情報を俯瞰できるのが、新聞のよさかもしれませんね。