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「ワークプレースラーニング2009」に参加してきました。


09年10月30日(金)10時〜17時

東大安田講堂にて、産学協同シンポジウム

「ワークプレースラーニング2009」が開催されました。


今年で3回目の参加となります。

今までは一参加者でしたが、今年からは研究室の一員として、
少し片づけなどをお手伝いします。


どんな様子だったのか、私の理解の範囲でお伝えします。

(・引用/要約 ○関根の独り言)

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●趣旨説明(中原先生)


・今回、初めての参加者が多い

・ラーニングとワークを分ける学習転移モデルを超えよう。

・Learningful work を作りだそう

○魅力的な言葉だなー Learningful work 「学びの多い仕事、学びで一杯の仕事」

 逆にすると、どうなるのかな。

 Workful learning 「仕事の多い学び、仕事で一杯の学び」 やっぱり変か


・今回のテーマ「組織と個人」

 誰が学びのイニシアチブを取るのか? 組織、個人?
 民間ベンダーのビジネスモデルはどうなるのか? 組織対象、個人対象?


・大学=未だ分かっていないことを探求する場

○これは、いま大学院に入って、少しずつ実感してきたことだなー。


 「未だ分かっていないことを探求する」のが大学院

  既に分かっていることは何なのか? ←先行研究のカバー

  未だ分かっていないこと、探求したいことは? ←研究のオリジナリティー


・事例は学習材、アカデミアの話は前菜。
 答えは無く、問いかけをするので、モヤモヤしてくるはず。

・違いはあって当たり前。「私はこう思う」と主観で話をしてほしい。

○懐かしい同僚 Tさんと出会いました。(Tさん、久しぶり!)


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●問題提起(長岡先生)


・人材育成=生産性向上に資する学び

 (企業にとって意味がある、役立つ学びでないと、学びとはいえない)

 人材育成=実務家、大人にとっての学び ではない

・学習の方向、軌道を自らデザインする「主体的な社員」の支援と、
 競争優位性に直結した知的生産性の向上という「人材育成」のミッションの実現

 この二つの折り合いをどうつけていくのか?

 自由勝手に動いてもらいながらも、企業の望む方向に学習してもらう

・そのヒントとして「経験のデザイン」と「繋がりのデザイン」があるのでは。
 それぞれにリスクはあるが。


・本人の主体性「高」組織が得る利益「大」これが望ましい状態

 本人の主体性「高」組織が得る利益「小」
 こうなる可能性があるのが「経験デザイン」

 本人の主体性「低」組織が得る利益「大」
 こうなる可能性があるのが「繋がりデザイン」

○ここが、なぜこうなるのかが、俺には良く分からなかった。

 本人の主体性「高」組織が得る利益「小」→ 独立・転職かな。

 本人の主体性「低」組織が得る利益「大」→ 指示待ち、言われたことを学ぶ
 

・この先にある3つの道

 1)「個人の主体的な学び・成長」の可能性よりも、組織主導による
   “人材育成”の効果を追求する

 2)「競争優位性に直結した知的生産性向上を“社員自らが”目指し、主体的に
    学び、成長する」ための方法を探る

 3)「学習の方向&軌道を自らがデザインする主体的社員」の存在を“受入れ”
    組織と個人が win-win の関係を構築することを目指す


○3)のような社員は、そうは言っても数少ないのでは。

 2)は、組織の方を向いている社員、企業にとっては最も求めたい社員かなー。

 1)は、言うことを聞く社員を対象。
   でも「自律性がない、主体的でない」と非難される層でもあるのかな。

 俺個人としては、3)を応援したいけど、
 企業にとっては、1)あるいは、2)なのかなー。

 多くの企業にとっての本音は
 「社員が学ぼうが学ぶまいが関係ない。仕事をして結果を出してくれればよい」
 というところも多いのでは。

 ただ、その結果を出しやすい環境、
 本人がそこで力を発揮し貢献したいと思える環境、が必要になるのでは。

 そこに「個人の学びが促進される環境」
 つまり、Learningful work である意義があるのかも。

 「自分がいる職場でならLearningful workが得られる」という充実感、満足感を、
 本人が持てれば、それが本人が力を発揮する原動力の一つとなるのかも。

 高橋俊介先生?が言う「employmentability」も関係してくるのかも。

 従業員がその企業にいる意味、感じる価値、そのひとつが Learningful work
 「自分がここにいると学べる。自分を成長させてくれる環境である」
 
 
 これってやっぱり難しい問題だなー。色々な矛盾が出てきそう。
 


・「社員が100%は言うことを聞かない」ことを受け入れる
 「言うことを聞かない社員はもういらない」ではなく。

 これは「パンドラの箱をあける」ことでもあり「ルビコン川を渡る」ことでもある。
 もう昔には戻れない。 100%言うことを聞く社員はもういない。


・各事例を、自分(長岡先生)は、こんな観点で聞く

 1)CCC 経験のデザイン 社員自ら成長する

   「個の自立は、組織の発展に結びつくのか?」

 2)アサヒビール 繋がりのデザイン 多様なメンバーが個人の成長に関わる

   「繋がりは、個人の成長を阻害しないか?」

 3)バンダイ 生産性とは異なる評価軸(仕事を楽しむ)

   「そういう社員はまれなのでは?」


○やっぱりこういう「良い質問」をしながら、講演を聞くのが大事なんだろうなー。

 こうやって言ってくれると、聴衆が何に注目して話を聞けばよいかが分かる。


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●事例1「社員自ら変わる環境づくり」

  カルチュア・コンビニエンス・クラブ 代表取締役C00 柴田氏


・マーサージャパンで、人事コンサルティングの仕事をしていた。

・CCCは、生活する人の「時間をデザイン」する企業

○こうやって自分の会社を定義できるのは、素晴らしいな。
 自分の会社は、何をしているのか? 何を提供しているのか?


・Tカードは、日本人の25%、20代の60%が保有している。

○これはものすごい数字。


・人事、経営をやってきての結論は「環境を作ること」

・これからの「できる人材」の要件は、
 高付加価値を生み出せる人、外国人と一緒に働ける人

○後者を、日本で公言する人って少ないのかもしれないけど、大事なことだよな。

 これから労働者人口が減っていく中で、外国人と
 一緒に働ける人、マネジメントできる人は、必要だろう。

 今のような、年齢、性別、就業形態、以外の多様性が出てくる。

 この辺は、外資系企業や海外現地法人で働いてきた人の強みなんだろうな。


・「0」から「1」を生む 「1」をN倍化する

○前者は、起業家(アントレプレナー)後者は、経営者(マネジャー)かな。


・高付加価値を生む主体性をもった人材は、5%もいないのでは。

 こういう人たちは、人と人をつなぐ。
 そこから情報を得る。生きた情報は人の中にある

○これは「ネットワーク論」で、バート教授が言っていることとも重なるのかな。
 集団と集団をつなぐ結節点にいる人ほど、情報を得られる。


・結果よりも原因が大事。 原因=環境 
 結果を生み出せる環境を作る。それが原因となり、結果が出る。

 結果を出せる環境とは「お互いに良く知っている」環境
 そのためには、時間を共有するしかない。

・アメリカ合理主義のように、目に見えるものだけ集中するのではなく、
 目に見えないものを意識することが大事。

・皆忙しい「集団皿回し」状態 自分の仕事で手一杯

・原点回帰 数名で事業を始めたときを思いだす
 制度に支配されてはならない

・自分の仕事は自分で決める
 R2制度 Re-set Re-entry 自分で自分のキャリアを考える機会

・09年11月1日付けで、第一回目を実施 3000人を対象

 Stay(同じ仕事を継続)希望 81% 
 Move(新しい仕事につく)希望 19% だいたい想定


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●解説・コメント


・主体性をもつ5%は、Moveしたのか?
 →どちらでもよい。Stayするのも、主体的な意思。

○これは確かにそうかも。

 転職や独立する人だけが、主体性をもっている訳ではない。
 自ら主体的に組織に残り、自分の仕事を継続する意思決定をした人もいる。

 これは大事な観点だよなー。今までの俺には足りなかったかも。


・主体性を持つ5%は、こういう制度があることで、逆にへそを曲げるのでは。


・「社員は主体的である」という前提での施策。
 「社員の主体性を身につけさせる」ための施策ではない。パラダイム転換。

 「自由にやれ!」と会社に言われたら、上手く会社に合わせた行動をするのでは。


・サファリパークと動物園、自社はどちらにするのか?


・自分で自分のキャリアを考える。そういう環境を作る。
 環境論までくると大変になる。どこまでコミットするのかという問題。


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●ディスカッション


・「新人には、主体性がない。主体的になってほしい」という依頼で
 企業研修を受けるときがある。

 発表は「なんでも自由に」というと、何が正解なのかを聞いてくる新人もいる。

○「主体的になれ!」 Be spontaneous というのは
 矛盾していると言った人がいたなー。


・人は基本的に主体性があるけれども、会社の中にいる間はそれを出さないのでは。
 ある程度、我慢して会社生活を送っているのでは。

・企業が望まない学びを、職場にいる間にはしないのでは。

○これは面白い。確かに、主体的な学びは、職場の外にあるのかも。

 通勤時間の学習や、職場外での勉強会の参加。

 
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●昼食


学食で「赤門ラーメン」を、知り合いと食べた。

慶應MCCのHさんとバッタリ隣の席となった。


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●事例2「熱く、温かく、人から人へ、そして未来へ」

  アサヒビール 人事部長 丸山氏


・新人が独り立ちするまで、あつく手助けするのが「ブラザー・シスター制度」
 3年前から体系化したが、昔からあったもの。
 
 合宿で論理を学び、新人を待ちうける。公募制で2倍の応募あり。


・キャリアアドバイザー(OB)による2〜3年目から中堅に対するフォロー
 これは効果的「困ったことはないか」と聞いて回る。二人で全国、100人を担当。

○Ky社のKさんがやっていることがこれに近いのかも。
 「保健室のおばさん」的な役割を、企業の担当が担う。

・武者修行も極めて有効。グループ内武者修行では、
 1週間トップセールスに同行。

 グループ外武者修行では、半年〜1年間かけて出る。
 ヒット商品を開発した者もいる。


○「ブラザー・シスター制度」「年配OBによるフォロー面談」「武者修行」

 多様な人々が、若手社員に絡んでいる様子が伺える。
 ネットワークで、若手を支援。


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●解説・コメント


・人が育つ経験として「ストレッチ」「フィードバック」
 「エンジョイメント」が重要。

 「フィードバック」が強化されている印象。

・「ナナメの関係」を作る配慮も必要では。

 →部門間の交流が多く、仲が良い。派閥もない。ただ、女性が少ない?

・寄ってたかって面倒を見ている印象。

 認知的徒弟制の4段階
 「モデリング→コーチング→スキャフォルディング→フェーディング」を
 1人でやるのは大変。

 人が寄ってたかって、目についた時にどこかをやってあげることができる。

・360度の関係性が学習を促すともいえるが、それが「組織の重さ」につながり、
 変革の障害となる可能性もあるのでは。

○沼上教授だったかな。組織内の関係性が強いほど、根回しが必要になったりして
 組織が重くなる。過去の成功体験や義理を重んじ、変えることが難しくなる。


(Q&A)

・ブラザー、シスターに応募してくるような人は「教えたがり」が多い。

 教員のように教え込もうとすると、失敗する。
 失敗を見せること、遠くない未来像を見せることが大事。

・アサヒさんの強烈な文化は、同質化を招くかも。違いを維持する工夫も必要では。
 イノベーションは、コンフリクト(葛藤、対立)から生まれる。

 →外国人が1人職場に入るだけで変った。

○組織社会化と組織活性化が同時に起こっている事例かも。


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●ディスカッション


○アパレル企業の店舗人事の方やコンサルティング会社の人と話し合った。

 (Hさん、ありがとうございました!何となく気があいそうですね。)

・ネットワークは大事。他の店との間で。本社と店舗は壁がある。
 フィードバックする風土を持つ「良い点も悪い点も率直に伝える」

・人は、環境で変わる。特に、初期の職場環境。

 採用抑制時に採用された人たちは、与えられた仕事を粛々とやることを
 求められてきた。後輩もできず、ずっと下っ端。

 主体性の発揮を求められてこなかった?

・主体性という議論を、人材育成の場でするのもいかがなものかとという話が、
 午前中のディスカッションで出た。(他のメンバーの時に)

 言いたいことだけ言う、自分の権利ばかり主張する社員も困る。
 企業に入ったからには、ある程度主体性を殺してもらう必要性もある。

 まずは、やるべきことをやる、それから(主体性うんぬんは)

○これは面白い考え。意見に「違い」があって当たり前の部分だな。

 社員が学ぼうが、成長しようが、それは二次的なもの。
 まずは結果を出せ。言われたことをきちんとやれ。そういう考えなのかな。


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●事例3「人が成長するって・・・?」

  バンダイナムコホールディングス 管理本部人事部 紀伊氏


・「成長した」って感じるのは「分かった・知った・できた!」
 つまり「レベルアップ」を実感した時では。
  
 それは単純に「嬉しい、楽しい」ことなのでは。

○バンダイが「楽しい時を創る企業」であるならば、もしかすると今後
 人が成長することを支援するビジネスを始める可能性もあるかも。

 バンダイ流人材育成の外販。


・自ら成長しようという姿勢を持つ人に、その機会を提供したい。

 それは「研修」ではないのかも。

 研修で「すぐ」には変わらない。今後の進む方向や進み方に微妙な変化が現れる。
 それは、日常現場に出てくる。日々の業務こそ成長の場。

 OJTと異動を積極的に行うことで機会を提供している。

・4年やれば、惰性でできるくらいのレベルになる。

・なるべく人を「混沌」におく 
 そうすれば、混沌を何とかしたいという欲求から、人は動きだす。

○中小企業では、異動がない。これは大企業の強みの一つかも。

 個人経営の俺も、異動はない。
 1つの専門性に特化して磨きをかけていく。

 意図的に「混沌」を作らないと、惰性やマンネリに流されるのかも。
 今回、大学院に入ったことは、混沌状態に置く意味でも有効なのかも。

 中小企業ならどうする? 仕事の交換? 


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●解説・コメント


・エンジョイメント重視。全体底上げのマネジメント。

・ほどよいギャップがフロー状態をもたらす。

・イノベーターは、熟達者なのか。
 プロフェッショナルな職業における熟達を、手本とする危険性。

・機会による育成(異動)は、有効な手段。
 小池和男先生が「日本型人材育成」として説明。

 機会による育成は、パワフルだがコントロールが難しい。
 研修はコントロールできるので、パワフルでは。

○研修はコントロールできても、そこに短期に参加して得られるものと、
 長期に参加する「異動」で得られるものは、違う。

 つまり、研修は異動ほどパワフルな育成手段とはなりえないのでは。

 異動ほどパワフルではなくても、研修だからこそ提供できるパワフルさは何か?

 これは、研修講師を生業とする自分が常に考えていかないとな。


・異動を人事主導で行うには、人事が現場をよく知らないといけない。
 

(Q&A)

・混沌をどう創るか。絶えず変化するために、外部環境との接点が必要。
 
 ワークライフバランスを意識すると、変化を起こしやすい。
 普段と違った環境での仕事。

○これは面白い観点だなー。
 WLBを、混沌を創りだし、知識創造を起こすきっかけとする見方。


・専門性の壁が低くなってきている。営業と開発など。

○これは言えるかも。仮に学校で、専門性を高める勉強をしてきても、
 その専門性がいつ陳腐化するかは分からない。

 やはりジェネラルスキル(どの分野でも通用しそうなもの)は必要なのでは。


・異動にはやはり反発が多かった。


・仕事は本当に楽しいものなのか?
 ビジネスでは没頭するのが難しい。クライマーズハイになりにくい。

 組織の望ましい方向にしか人事は言わない。それを認めた上で社員に向き合う。
 上から「楽しめ!」と言われると、社員はしらけるのでは。

 →社内で、そうは言っていない。


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●ディスカッション


・ロールモデルがいない職場。研修も今までやってこなかった。営業重視。
 カフェテリア型研修を用意して走らせる。

・研修には限界があるのでは。現場をどう支援するのか。

・人が成長したのを見て、自分のレベルアップを感じる。そういうマネジャーが多い。
 パートから採用し、その企業で育ててきた。そういう人が店舗マネジャーになる。
 
 環境が人を作っているのでは。


・新人は、成長感を感じている人が少ない。


・組織と個人の成長競争。600人→1300人 まさに混とん。


・個人の成長は、企業のやるべきことではないのでは。


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●リフレクティブシアター


・5分間のムービー


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●ラップアップ(中原先生)


・3年、WPLをやって、ついに「環境論」まで来たかという感じ。
 環境デザインに関して、語る方法論をアカデミックは持っていない。

・個人と組織の成長観のミスマッチが起こっているのでは。


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●懇親会


東大大学院 研究室 M1の方々が中心となって
「和」のパーティーを企画して下さいました。


受け付けで「リフレク書」ということで、漢字一文字で、
今日1日のシンポジウムを表現し、名札に書くよう促されました。

たったこれだけのことでしたが、この漢字一文字を決める作業を通して、
膨大な情報量を短時間で整理し、自分にとって説明できる一字に集約しようと
頭が働きました。

短時間で密度の濃いリフレクション(復習・内省)ができ、
かつ他者とそれを楽しみながら分かち合える有効な手法だと感じました。

「リフレク書」 ネーミングもいいですねー!

懇親会では、多くの方と出会いました。どうもありがとうございました。


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(今回のWPLでも多くの学びがありました。どうもありがとうございました。)


(前2回のWPLの様子。関根のブログから)

2007年 
http://learn-well.com/blogsekine/2007/09/post_49.html

 2008年
http://learn-well.com/blogsekine/2008/10/post_120.html

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