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2009年11月30日

「自律する組織人〜組織コミットメントとキャリア論からの展望」

「自律する組織人〜組織コミットメントとキャリア論からの展望」

 鈴木竜太

○自律を促すことが、組織への情緒的コミットメントを強くする。
 


(・引用/要約 ○関根の独り言)

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●まえがき


・人はいかにして組織と上手く折り合うことができるのか

・自分らしく仕事をしていきたい。しかし会社や組織がなければ仕事ができない。

○これは御蔭さまで今の俺にはないなー。

 会社や組織に属していなくても仕事はできる。
 お客様を見つけることさえできれば。


・選択肢は、組織を飛び出して自分のキャリアを自律的に歩むことか、
 組織に従い組織のメンバーとして仕事をしていくことの2つしかないのか。

○第3の道の一つとして、組織と契約を結ぶICの生き方もあるよなー。
 田代さんのように。


・組織としても、従業員に自分の強みや特徴を自律的に伸ばしてほしいと思う反面、
 組織に沿う形で仕事をしてほしいと願い、きちんと組織の命令に従ってほしい
 というアンビバレントな考えを持っている。


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●第1章 組織と個人の関係の考え方


・会社との距離感をどのように保っていくのか、会社の要求と自分の目標を
 いかに折り合わせていくのかということをより強くキャリアの中で考えていく
 必要のある時代に入ってきている。

・現代において社会の中での存在を確かめるためには、組織に属し、人と協力する
 ことが必要条件になるのである。そのためにも人は社会と個人の間に、組織と
 いうものをおかねばならない。

○組織を間に置かなくても、社会での存在を確認することはできないか。

 

・「組織と個人の関係はどう考えたらよいか」これは「考えなくてもよい問題」
 である。今までは、自分が考える必要はなく、会社が考えてくれた。

・しかしバブル崩壊後、考えなくてもいい問題は、たまには考える必要がある
 問題になってきた。


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●第2章 組織と個人の関係はどのように表現できるのか


・組織行動論の中の「組織コミットメント」という研究分野。

・社会学は「行動」に結びつくコミットメント。→1)「功利的コミットメント」
 社会心理学および行動科学は「態度」に関わるコミットメントを検討してきた。
  →2)「情緒的コミットメント」

・1)功利的コミットメント: しがらみ、交換関係

・付属的賭けとは、首尾一貫した行動を止めると失われるか、無価値になると
 みなされる個人が投資した価値のこと。

・一見非合理に見える行動をし続ける人間をコミットメントという概念で説明。
 一度はまると抜け出すのが難しい。


・2)情緒的コミットメント: 愛着、一体感、誇り


・仕事コミットメントという概念は存在し研究もなされている。


・仕事の豊かさや役割の状況は、その従業員に会社における意義や重要性を
 認識させる一つのメッセージであり、そのメッセージが好意的であるほど、
 従業員は情緒的にコミットするのである。

・職場の雰囲気が好意的な状況であるほど、そこで働く従業員の情緒的な
 コミットメントは強くなる。

・親和的な組織文化であるほど、そこで働く従業員の組織コミットメントは高い。

・親和的な組織文化とは、困った時に皆が助けてくれる文化や、階層などに関係なく
 意見を尊重してくれる文化といったようなこと。

 職場のメンバーが仲が良ければ、そこで働く従業員の組織へのコミットメントが
 強くなる。


・日本人がいう「忠誠心」と「組織コミットメント」は似て非なるもの。


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●第3章 組織と個人の関係はキャリアの発達と共にどのように変化していくのか


・J字型カーブ

・勤続年数によって変化する「何か」が、コミットメントに影響を与えている。


・リアリティショックへの3つの対処「ギャップの解消」「先送り」「規範性」

・2年目以降は、仕事に慣れてきたことと並行して、組織と個人の関係を考える
 ような機会が極めて少ないことが、組織と個人の関係を停滞させる原因となっている

○2年目社員に対する研修企画は「ネタがない」という話を、教育担当者から
 聞くことが多い。

 組織と個人の関係を考える機会としてもいいのかも。

 1年以上やってきたふり返り、自分が何を会社に期待していたのか、
 会社は自分に何を期待しているのか、今後自分は何をしたいのか、

 いわゆるキャリアのことを考えさせてもいいのかも。


・昇格が、組織へのコミットメントを強くする。
 組織と個人の関係を考えさせる機会となっている。

 昇格という組織の中での次のステージに進むことで、それまでのキャリア上の
 焦りが、仕事や会社への前向きな気持ちに一度整理、消化されるのである。

・組織に長くいるほと、転機をより良い方向に理解する傾向がある。
 
・Jカーブが上昇に向かうのは、大体7年目。それを引き起こす要因は、
 「昇格」「30歳」「結婚」

・二十代後半から三十代にかけて、自分のキャリアを考える人がそれほどいない
 という事実が、調査から分かった。

・キャリアホープを強く感じる人ほど、情緒的に組織にコミットする傾向があり、
 キャリアがドリフトしている状態、つまり自分のキャリアに関心が低い人、
 自分でかじ取りをしていないと感じている人ほど、情緒的に組織にコミット
 しなくなる傾向が見出された。

 キャリアに関心のある人、自身でかじ取りをしていると感じている人ほど、
 会社に対して愛着や一体感を持つ傾向がある。

○これが「寝た子を起こしても」大丈夫そうな理由かも。

 キャリア研修等を通して、改めて自分と組織の関係を考えさせる。
 それがひいては、個人の組織への情緒的コミットメントを高める要因となる。


・キャリアは会社が決めることではなく、自分で決めることだということを考えて
 もらうこと、その上で会社が従業員に示せる可能性をきちんと示すことが
 できるのであれば、従業員の組織へのコミットメントは高くなるのである。


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●第4章 会社は従業員との関係をいかに管理していくのか


・組織は同時に多くの人との関係を持っているが、個人は一つの組織との関係
 しか持ちえない。となれば、関係のあり方に不一致があった時に、パワーを
 持つのは組織の側であるのは必然。

 個人が組織のやり方に沿うこと以外に、良好な関係を維持するのは難しい。

・組織側が考える組織と個人の関係は、マネジメント、経営管理手法に現れる。


・途中で転職すると「見えざる出資」が回収できなくなる。

・企業特殊スキルが大きい従業員は、特定企業に居続けるインセンティブを持つ。

・上記2つは、付属的賭け理論で説明できる。

 「見えざる出資」「企業特殊スキル」は両方とも企業を離れることで無価値になる。
 その結果、功利的に組織にコミットすることになるのである。


・補欠のメンバーのモチベーションやコミットメントが高い時にはチームが強くなる

・コア人材のコミットメントを高めて定着率を上げるというよりも
 非コア人材のコミットメントをいかに維持していくのかということが重要かも。

・サブのメンバーのコミットメントを上げたいと思っても、サブの役割を与える
 ということ自体が、コミットメントを下げる大きな要因になっている。


・失敗への適応過程として、再加熱と冷却という考え方がある。

・企業としてより多くの人を加熱して競争をあおることで、努力やコミットメント
 を引き出すことは重要であるが、同時に選抜されなかった人たちをいかにして
 取り扱うのかが問題となる。

・日本企業は上手に加熱すると同時に、上手に冷却していた。


・情緒的なコミットメントが強い人は「組織市民行動」をとる。
 
 自分の役割ではなくても、組織の一員として行うような行動のこと。


・組織への情緒的コミットメントが強いことの良さは、組織のため、仲間のために
 ほんのちょっとの頑張りや努力が、組織全体で起こることではないかと思う。

 仲間がいるからもう少し頑張れる。

○これは確かにあるよなー。

・社会全体として「自分のキャリアは自分でデザインしていく」ということが
 一般的になった状況が、結果として安定を求めるというパラドキシカルな結果を
 生み出しているのである。

・自律を促せば促すほど、人は不安に陥り、その自由や自律を有効に活用するので
 はなく、その不安を取り除くために体制に対して依存的になってしまうこともある


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●第5章 これからの組織と個人


・状況対応スキルを持っていると認識している30代前半の人ほど、キャリアに
 対しての見通しが立ち、そのキャリアに対して希望を感じているのである。

・30代後半で自律している人ほど、将来の見通しや希望を強く感じることができ、
 同時に組織への情緒的なコミットメントを強くしている。

・自律できることが、自分のキャリア形成に取り組むことになり、それが将来の
 見通しや希望を感じさせ、結果として今の組織に情緒的にコミットすることになる

○キャリアを考えた時に、見通しが立たない状況を再認識してしまったときは
 どうする。


・自律している人ほど、むしろ情緒的にコミットする。


・組織変革を成し遂げる人材は「組織を背負う意識」をもち、
 「組織の未来に対してコミットしている」

 そういう人材は「発言行動」も多い。

・キャリアホープを強く感じ、キャリアドリフトしていない人ほど、組織を背負う
 意識が強い。

 組織の中でキャリア上の希望がしっかりと見え、自分でキャリアをかじ取りしよう
 という意識が強い人ほど、組織を背負う意識が強いのである。

○「希望がしっかりと見え」これを見せるのが大変そう。


・タマノイ酢の事例 ローテーションが早い

 周りが教えたり、支えたりしないと仕事が動かないという現実。

・お互いに教え合ったり、支え合ったりする文化は、他者を大事に思う結果、
 自分がいち早く自律しなくてはならないという意識を強く持つことになる。

○これが新入社員だと、あまりに手厚すぎると依存心が高くなってしまわないか
 という不安もあるかも。


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●自律する組織人


・本書の主張の一つは、自律することと組織との関係を保つことは、決して
 二律背反な事象ではないということ。

 自律をしていくことは、組織から離れることを必ずしも意味しないし、
 組織との関係を強固にすることあ、必ずしも個人の自律を阻害する訳ではない

・自分の意志で組織と関わる

・2つの自律する組織人の姿

 1)自分のアイデンティティを強くもち、それにより組織ときちんとした距離
   にいる存在としての組織人  組織との適切な距離

 2)組織を背負っていくような形での自律する組織人
   その個人の意志や行動そのものが組織の行動となる

・この本は「組織と個人」の続編のつもりで書いた。


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「組織と個人〜キャリアの発達と組織コミットメントの変化」

「組織と個人〜キャリアの発達と組織コミットメントの変化」

鈴木竜太


○入社7年目が転機。
 20代〜30代の若手社員の組織コミットメントの変化が見て取れる。

(・引用/要約 ○関根の独り言)

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●第1章 本書の目的と立場


・人と組織の関係は、どのように変化していくのか。

・コミットメントという言葉に対応する言葉が、日本語では多様。

・組織行動論において研究されてきた組織コミットメントの概念を用いる。

○俺の研究も「この領域」で「この概念」を使ってと
 明確に示せるといいんだろうなー。


・仮説発見型の研究。本書では、理論的な仮説の構築を目指す。

・理論の土台とするのは組織論。

・現場発の理論を目指す。データ対話型理論の構築方法に基づいて。

・本書では3つの調査対象に対して、定量的と定性的の2つの方法をとる。

○俺もこの両方をやってみたいなー。

 指導員に対しては、定量的、統計的方法。
 新入社員に対しては、定性的、質的方法。


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●第2章 見過ごされてきた課題


・いくつかの研究トピックや概念が置き去りにされてきた

・組織コミットメントの概念

 1)情緒的コミットメント
   〜感情的な愛着、同一化と没入

○シャインの本や、DECの本を読んでおこう。

 2)功利的コミットメント
   〜サイドベットを失う恐れ(付属的賭け理論)
    組織を離れることで無価値になる、個人がそれまでに投資した価値

○日本だと「企業内特殊スキル」もこれに当てはまるのかも。


・「媒介変数アプローチ」は、勤続年数とともに組織コミットメント
 が強くなるという前提。

・「変数探索アプローチ」は、組織コミットメントを変化させる
 要因を探索した。(例:くぐり抜けた障害の多さ、物理的移動の前後)


・組織コミットメントは、キャリアの中でどのように変化していく
 のか。この問いに答えるためには、長期の継時的調査(longitudinal study)が必要。

○俺が新入社員の成長をおう際も、この継時的調査が必要かも。


・組織コミットメントは、入社半年間で単調に減少することがわかった。

・キャリア初期における組織コミットメントの変化に関する
 もう一つの主たる発見事実は、初期の組織コミットメントの減退後、
 組織コミットメントが高くなるという事実である。

・キャリアが進展するにつれ、組織コミットメントが強くなる。

・組織コミットメントは必ずしも勤続年数とともに単調に増加しない。


・本書は、初期の付属的賭け理論には、組織コミットメント研究の体系化
 による限界を乗り越えるエッセンスが潜んでいると考える。

○こういう切り口を見つけられるといいんだろうなー。OJT関連で何かあるかな。


・付属的賭けが健在化する局面として、Beckerは4つあげている
(文化的予測、没人格的/官僚的手続き、社会的地位への適応、対面の相互作用)


・付属的賭けが大きい人ほど、組織へのコミットメントが強いという
 基本仮説のもとに実証研究がおこなわれてきた。

 しかし統一的な発見事実は得られず、付属的賭け理論の妥当性は、
 十分に検証されていない。

・付属的賭け理論の十分な検証がなされないまま、組織コミットメント研究は
 情緒的コミットメントによる体系化に焦点を移し、付属的賭け理論への
 注目度をなくしていく。

・付属的賭け理論は、存続的コミットメントとして3次元概念に吸収されたことで
 情緒的コミットメントの研究との融合がなされた。

・付属的賭け理論の最も特徴的な側面は、付属的賭けを失う時に初めて自身の
 コミットメントが顕在化すると考える点である。

○これは確かに言われてみれば面白い点。

 失うことの怖さから、自分がそれに縛られていることを知る。

・変化やプロセスといった動態的な問いには、定量的方法は向かない。

・勤続年数による組織コミットメントの変化の姿は、社会化過程における研究を
 除き、経時的な調査によるものはほとんどない。

○俺もこうやって、自分の研究のオリジナリティーをアピールしたいなー。


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●第3章 日本的なものと普遍的なもの


・日本の方が組織コミットメントが強いという通説を、研究結果は支持せず、
 アメリカと比べて同じか、やや低いという結果を示した。

・日本における組織コミットメントの発達過程は、入社5〜6年目までは低下し
 その後上昇するJカーブを描いた。

 2つの解釈がある「期待と現実のギャップ仮説」「先払い、後払い仮説」

・組織コミットメントは、初期から中期キャリアにドラスティックな変化をする
 可能性を示唆している。

・初期キャリアの出資が「人質」として捉えられているため、途中で企業を離れる
 と、この「人質」が取り返せなくなる。「見えざる出資」

○これも右肩上がりで、給料が上がっていくという前提だもんなー。

 頑張っても返ってこない(今の年金のように)なら、
 頑張る気を維持するのは難しい。


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●第4章 調査の概要


・3つの対象に、2つの調査方法
 (質問票による定量的調査と、インタビューによる定性的調査)

・定量的方法が「鳥の目」によるデータ収集というならば、
 定性的方法は「虫の目」によるデータ収集といえる。

・定性的方法で理論を構築するために、Glaser&Straussの
 「データ対話型理論の発見」の方法に準拠した。

○この人たちの本は、読まないと。


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●第5章 組織コミットメントとキャリア変数


・定量的調査の目的は、定性的調査データの分析や考察において、
 土台となる事実を確認することと、定性的調査の焦点を絞ること。

・パートタイマーは、別の職場に移ることが容易であると言える。つまり愛着が
 あるからこそその組織にいるのであって、そうでなければ辞めていると考えられる

 フルタイマーは、たとえ愛着が低くても、功利的に組織と結びついていることが
 考えられる。

・これまでの先行研究の結果と同様に、勤続年数、年齢、職位のキャリア変数は
 情緒的コミットメントと功利的コミットメントの2つの変数と正の相関関係が
 示された。

・フルタイマーの情緒的コミットメントは、キャリアの初期から中期にかけて
 停滞し、キャリアの中期以降に急激に発達するJ字型の傾向がある。

・フルタイマーは、1年目から2年目に情緒的コミットメントが低下し、その後
 停滞した後キャリアの中期から急激に上昇する。

・p127 定量的調査からの発見事実。

・パートタイマーの場合、組織コミットメントの強い人の方が組織に居続ける。
 フルタイマーの場合、その時点での組織コミットメントが低くても組織に居続ける。


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●第6章 7年目の転機


○このタイトル、魅力的。

・組織コミットメントの変化に準じて、4つの段階があると考えられる。
 1)急激な低下(社会化過程)2)停滞 3)停滞 4)急激な強化

・社会化過程とは、新人が組織になじんでいく過程

・リアリティショックは2つのタイプに開けられる。
 1)組織イメージと現実のギャップによるもの
 2)仕事内容へのショック

・リアリティショックは、キャリア初期の組織コミットメントを低下させるが、
 長期的には影響はないと結論付ける研究もある。(Mowday 1982)

○これ、読んでみよう。 Employee-Organization linkage これかな。


・リアリティショックによる組織への違和感や疑問の解消が先送りにされて
 仕事への適応が優先されることによって、新人はそのまま社会化過程を過ごす。

 この先送りにより、新人の組織コミットメントは低下し、停滞したままで、
 社会化過程を過ごしていくことになる。

・組織への違和感や疑問、理想と現実のギャップとの折り合いの付け方は、3つ。
 1)2年目になり周りが見えることで
 2)考えないまま先送りにすることで
 3)割り切ることで

・1年が終わり、一通りサイクルをこなすと、仕事に慣れ、仕事への緊張感が
 失われてしまう。

・「慣れ」や「くり返し」によって、仕事が上手くやりこなせることが、仕事への
 意識を低下させ、組織へのコミットメントを弱くさせる。

・先行研究では、自分の職務が豊かであると感じている人ほど、組織コミットメント
 が高いことが示されている。

 それは仕事の挑戦的な要素が、仕事への意識を高め、組織への貢献意識を高める
 ためであると考えられる。

 その反対に、職務への順応による定型感と単調感は、組織コミットメントの停滞
 を助長すると考えることができる。

○これは難しいよなー。あとは本人のタイプにもよるのでは。

 単調な仕事だからこそ職務満足が高くなりそうなタイプの人と、
 常に挑戦的な仕事を与えてくれることに感謝するタイプの人。


・研修は、組織と個人の関係を改めて内省する1つの機会とも捉えられる。

 日常業務を離れて、客観的に自分と仕事あるいは会社組織との関係を見直す
 機会を提供する。

○研修の意義。 日常業務を離れて、自分と組織の在り方を考える。
 
 同時に「寝た子を起こす」ことにはならないのかな。

 考えずに、疑問を先送りして、7年目に組織コミットメントが上がるなら、
 それまで研修しないという選択もあるのでは。考えさせないという。

 でも、それでは「考える社員」の育成を標榜するなら矛盾するか。

 
 そういえば、鈴木さんのこの後の本で
 「自律のチャンスを与えられた社員の方が、実は組織コミットメントが高まり、
  組織に居続けてくれる」とあった気がする。(確かめよう)

 そうだとすれば、研修で「寝た子を起こす」のもいいのかも。


・キャリアドリフトが、組織コミットメントを停滞させるのは、ドリフトによって
 組織と個人の関係を考える機会が存在しないから。


・入社7年目から急激に組織コミットメントが高まることが発見された。
 
 その要因は2つある。

 1)組織内での昇格によるもの
 2)転職の選択肢の減少によるもの

・新卒者の場合、入社7年目前後で30歳に達する。


・日本労働研究機構(1997)の調査では、日本企業において最初の選抜が行われる
 平均は、入社7年目であることが示されている。

・昇格という一つの変化が、組織へのコミットメントを変化させる節目となるのだ。

○7年目前後に、昇格しなかった人はどうなるのかな。

 それでもやっぱり選択肢の減少から、組織コミットメントは高くなるのかな。

 その会社にしがみつく状態。


・p161 初期-中期キャリアにおける組織コミットメントの変化

○この図も分かりやすいなー。俺もこういうのを自分の研究で書けるようになりたい


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●第7章 キャリア上の転機による組織コミットメントの変化


・p187 Schein(1978)のキャリアのコーンモデル


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●変わるコミットメントと変わらぬコミットメント


・組織の節目

・組織変革前と変革後の組織風土の変化

・ある転機が、誰にとっても組織コミットメントを変える転機となる訳ではない
 その転機を、本人が「変化」と感じることが必要。

・「主観的な組織」という存在。

○これは面白いなー。確かに言われてみればそうだ。

 Aさんにとって、X社と、Bさんにとっての、X社は違う。

 本人の受け取り方、感じ方、価値観に関係する部分なんだろうなー。


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●終章 結論


・組織コミットメントの変化を促す転機の特徴の一つに、責任の増加があり、
 それによって組織と自分の価値観を一体化させていることが示された。

・本書の結論は、勤続年数が長くなればなるほど、組織コミットメントは強く
 なるが、その関係は直線的、比例的なものではなく、勤続年数の長期化に伴う
 様々なキャリア内での要因の複合が、組織コミットメントに影響を与えている
 ことが示された。

○J字型。組織の節目。転機

・日本的キャリア育成システムが、組織コミットメントの長期的な変化に影響を
 与えていることが、本書の分析から示された。

○遅い昇進、入社7年目の選抜、ローテーション


・初期から中期キャリアプロセスの重要性。

 会社に慣れてから中心的存在として活躍できるまでの10年ほどの期間を
 いかに過ごすか。この点が見落とされがち。


・本書では、2つの相反する含意を提示する。
 
 1)キャリアドリフトが起こらないように、常に組織の中での自分の位置づけを
   はっきりさせることにより、組織と個人の良質な関係を構築するという考え方

 2)キャリアドリフトを起こしたままで、自分で組織と自分の関係を模索させる
   ことによってこそ、良質な関係が構築できるという考え方

・どちらにせよ(20代から30代前半)は、キャリアにとって重大な時期であることを
 認識することが重要。

・転機を大事にしてほしい。


○俺の場合、

 24歳で、大学卒業。
 25歳で、1社目就職
 27歳で、2社目転職
 33歳で、独立
 37歳で、大学院入学。

 特に、20代後半からの2社目で得たことが大きかったなー。

 仮に1社目だけで独立したり、あるいは2社目に違う会社に行っていたら、
 今とは違った状態になっていただろうなー。

 改めて感謝します。


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「本当にわかりやすい すごく大切なことが書いてある ごく初歩の統計の本」

「本当にわかりやすい すごく大切なことが書いてある ごく初歩の統計の本」

   吉田寿夫

○統計学は何のためにあるのか。どのように活用すればよいのか。
 なんとなく見えてくる。


(・引用/要約 ○関根の独り言)


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●統計について学ぶにあたって


・統計学ではなく、統計法のテキストとして

・一般的なユーザーにとって、統計に関する厳密な知識は必要ない。

・詳細は「心理学のためのデータ解析テクニカルブック」を参照。

○この本、持ってる! 次の段階で読むで!

・統計=測定

・理論や仮説を主張する場合、その理論や仮説に合致した現象が実際に
 起こっているという事実をデータで示すことで、研究を行っている。

○俺の場合は、OJT指導員が新入社員の指導を、周囲の協力を得て
 行っているという仮説がある。それをデータで示したい。


・ただ、ローデータを眺めるだけでは「こういう結果になってほしい」とか
 「こういう結果になるはずだ」といった研究者の期待や仮説が一種の先入観
 として働いて、事実を歪んで認識してしまうようなことも起こりかねない。

○これは気をつけないとなー。自分に都合の良いデータを集めてしまう。

 でも、データから自分の説にふさわしい、説を説明しやすい結果を使うという
 話もあったなー。

 この辺は、実際の研究をしながら確認していこう。


・研究目的およびデータの性質にあった適切な分析を行うことによって、データに
 潜んでいる何らかの傾向(有意味な情報)を的確に取りだそうとする。

 これを具体的にどのようにするかについて知ることが、統計を学ぶ主目的。

○なるほどなー。こう言ってもらえるとわかりやすい。何のために統計を学ぶのか。


・共通の判断基準を設けることで、データ解釈の主観性を抑える。

 “科学的な研究と呼ばれるものにおいては、データから理論や仮説が支持された
  と判断するために、少なくともこの程度の基準は満たしている必要がある”
 
 といったルールが決められている。そこで利用されるのが、統計的検定。


・変数(Variable)=対象によって値が変化するもの”
 定数=常に一定であるもの

・統計とは、検討したい変数についてのデータを収集して分析し、その変数の
 特徴についてまとめること、だと言える。


・変数ないしデータは、4つの水準に分類される
 1)名義尺度の変数(データ)
 2)順序尺度 〃
 3)感覚尺度 〃
 4)比率尺度 〃


・社会科学、特に心理学において測定したいと研究者が考えている特性は、
 多くの場合、内面的なものであり、直接観察して測定できない。

 そのため間接的に測定(推定)しようとする。

・何らかの心理量を測定するためのデータは、すべてせいぜい順序尺度の 
 変数でしかない。


・統計では、“終わり良ければすべて良し”ではなく“初め悪けりゃすべて悪し”

 いかにして質の高いダイヤが多く含まれているデータを収集するか
 (データの中に、多くのごみが混入しないようにするか)が非常に重要。

○ここだろうなー。

 自分の明らかにしたいことが明確であり、それを探索できる質問があり、
 聞くべき相手にきちんと聞く、そうすることで、ダイヤが多く含まれる可能性を
 高めるといった感じなのかなー。

・自然科学においては、妥当性は常に十分高い。

 社会科学で妥当性が高いと言えるためには、
 1)測定したい内面的特性と直接観察される変数との間に、特定の関係があること
 2)それ以外の特性によって、特定の大きな影響を受けていないこと


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●1つひとつの変数についての分析1


・量的変数の度数分布を図にまとめる →ヒストグラム、デジタルスコアグラフ、
                    度数ポリゴン

・質的変数の度数分布を図にまとめる →棒グラフ、円グラフ、絵グラフ


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●1つひとつの変数についての分析2


・代表値=データの中で最も一般的、典型的な値。平均値、中央値、最頻値

・正規分布(normal distribution)

 統計に関する多くの理論が、問題にしている変数の本来の分布が、正規分布と
 同じ形をしていることを前提にしている。

・質的変数では適用できる代表値は、最頻値のみ。


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●2つの変数の関係についての分析1


・おおくの場合、研究者の関心は、2つの変数の関係について検討することにある

・2つの量的変数の関係の特徴を、視覚的、直感的に把握するために
 作成されるのが相関図または散布図である。


・予測ないし説明をする変数=X(横軸)独立変数?
 予測ないし説明される変数=Y(縦軸)従属変数?

・相関図の分類

 1)正の相関 (r>0) 右上がり
 2)負の相関 (r<0) 右下がり
 3)曲線相関 (r≒0) U字型
 4)曲線相関 (r≒0) 逆U字型
 5)無相関  (r≒0) 丸

○rって? ← ピアソンの相関係数


・ピアソンの相関係数 −1≦r≦+1 

 相関係数の値は、必ずこの範囲に収まる。収まらなければ、相関なし。


・第3の変数(Z)が、XYという両方の変数に影響を及ぼしているために、
 見掛け上、XとYの間に相関関係が示される場合、それは擬似相関と呼ばれる。

・擬似相関が起こる原因として、データの収集法の問題がある。

○これも気をつけないとなー。


・ある特定の因果関係の存在が主張できるか否かは、本来データの分析方法に
 依存しているのではなく、データがどのような方法によって収集されたかに
 依存している。

・中央値を用いた方が適切だと判断される場合、
 スピアマンの順位相関係数(rs)


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●2つの変数の関係についての分析2


・質的変数どうしの関係について分析する際には、クロス表を用いる。

・質的変数どうしの関係の強さを、数値要約するための指標は、連関係数

 ファイ係数 φ   クラメールの連関係数 V


・2つの変数の間に、特定の方向の因果関係が存在することを立証するためには、
 “因”であると想定される変数のみを人為的に操作した時に、それに伴って
 “果”であると想定される変数の値が変化するという事実を得る必要がある。

○「周囲の協力を得ていない」指導員(因)のもとにいる新人の成長度(果)が低い
 「周囲の協力を得ている」指導員(因)のもとにいる新人の成長度(果)が高い。

 こういう関係を証明するということかな。


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●変数の変換


・1次関数を用いた変換である「線形変換」とそれ以外の変換である「非線形変換」

・世の中で一般に使われている偏差値は、1次関数のみを用いて変換したもの

・入試のような相対比較をせざるを得ない場面では、素点をそのまま使うよりも
 偏差値に変換する方が適切。


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●統計的検定の基礎


・研究の目的は、何らかの事柄(主張したい理論、仮説の正否)について、
 得られたデータを越えた一般的な結論を下すことにある。

・標本から確率論的に母集団の特性について推測する=推測統計

・推測統計は、統計的推定と統計的検定に分類される。

・「どの程度の差であれば、意味があるとみなしてよいか」ということについて、
 一定の基準が必要になるのです。

・単なる偶然によっても十分に起こり得る程度の差でしかなかった結果に対して
 過大な意味づけをしてしまう。


・統計的検定の基本的考え方

 “差がある”という仮説の正否について吟味したい。そこで
 
 1)逆の“差がない”という仮説を立てる(帰無仮説?)
 2)データを得る
 3)データが“差がない”とい仮説のもとでは偶然には稀にしか起こりえない
   大きな差を示したならば、帰無仮説を棄却し“差がある”という結論を下す

 “差がない”という仮説のもとではほとんど起こり得ない(即ち確率論的に矛盾)
 データが示された場合に“差がない”という仮説を否定し“差がある”と判断する

○これ分かりやすいなー。これでなんとなく「帰無仮説」が分かった気がする。


・有意水準 α 心理学では一般に5%と設定

 有意でない n.s.

・基本的には、両側検定を行うべき


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●適切な検定の選択


・どのような場合に、どの検定を適用したらよいか

 それさえ分かれば、実際に真似することは難しくない。(統計ソフトにより)

・独立変数 → 従属変数

  剰余変数 →

○この図、分かりやすい。


・従属変数が、名義、順序、間隔、比率尺度の中の、何尺度のものかということが、
 どの検定を適用すべきか考えるときに重要。

・検討する独立変数がいくつあるかによって、適用される検定は当然異なる。


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●統計的検定の実際


・t検定は、平均値を検定の対象として、2つの条件のデータの全般的な
 大きさを比較するもの
 
 U検定は、2つの条件の個々のデータの大小比較をする

・分散分析における帰無仮説は“各条件の平均値は全て正しい”
 したがって、対立仮説は“各条件の平均値は全て等しいわけではない”


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●統計的検定の問題点・適用上の留意点


・統計的検定は、あくまでデータからある事柄について結論を下す際の一つの
 手がかりになるものにすぎない。

・有意な差が得られやすい研究をするための極めて有効な方法は、
 とにかく多くのデータをあつめること。

・検定するまでもなく、帰無仮説は誤りであることは、理論上分かっている。

・有意差の得られやすさはデータ数に大きく異なる

・統計的検定には恣意的な面が多々ある

・データ数が少ないからこそ、偶然性の高い結果に対して、過大な意味づけを
 しないよう検定する必要がある。

・1回の実験や調査における仮説の支持は、あくまで仮説の例証にすぎない。
 結局、判断保留的態度のもとに研究を積み重ねることが重要。

○この辺の姿勢を大事にしないとな。


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●統計に関する知識と日常の思考との関わり


・人の性格特性は、何らかの傾向が“ある”か“ない”かの2者択一ではない。

・マスコミが提示する調査データの場合、有効データ数および回収率に注意する
 必要がある。

・ある現象がなぜ生起したのかについて様々な理由(解釈)が考えられるのに、
 もっともらしい理由を一つ考えると他の理由を考えなくなる傾向がある。

○これは気をつけないとなー。

 新入社員の成長は「指導員が周囲の協力を得た」からだけではない。

 新入社員自身の姿勢や能力、与えられた仕事、指導員の直接指導方法、

 他にもいくつかの剰余変数が考えられる。


・統計学の考え方の基本は、日常行っている思考の中の良識あるものを、
 少し洗練して定式化したものにすぎない

○こうやって言われると、確かにそうかも。
 論理的な人の話は、こういう統計学の考え方を活用しているのかも。


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「誰も教えてくれなかった因子分析」

「誰も教えてくれなかった因子分析」

  松尾 太加志, 中村 知靖


○この本で少し因子分析がわかってきた。感謝!


(・引用/要約 ○関根の独り言)

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●はじめに


・一度自分が正しく理解してしまうと、わかっていることが当たり前になって
 しまい、分からない人の立場に立てない。

○これはあるよなー。

 それでも分からない人の立場にたって考えて説明できるのが、本当の
 教え上手なんだろうな。


・ちょっと統計に詳しい人 というのがミソ。詳しすぎると、説明下手になる。


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●因子分析の結果を見る


・因子分析とは、質問項目に共通している因子をいくつか見つけ出す分析。

・結果だけを知りたいのであれば、分からなくてよいものまで無理に理解 
 しようとする努力は必要ない。

○これは新鮮。言われてみればそうだよな。全部細かく知っている必要はない。


・「因子負荷」はわからないといけない。因子分析の手法は分からなくてよい。

・論文を読む側にとってはどうでもよいこと。

・因子分析の手法は、適当に決めている。
 データに上手くマッチした手法を使っていると好意的に受け止めよう。


・たくさんのデータをできる限り少ない値で、分かりやすく説明しようとすることが
 目的。

・因子の名前は、独断で「えいや!」とつけている。極めて主観的。

 その関連の度合いを計算することが、因子分析をするということ。


・因子分析は、複数の質問項目が共通に関連している潜在的な因子を見つける
 分析手法。問題になるのは、どの程度、その潜在的な因子と関連しているかだ。

・因子負荷を通して、各質問項目と因子との関わりの度合いが出てくる。

・関連があるのかないのかの判断基準は、分析をした人が適当に決める。

・質問項目を作る段階で、どのような因子が出てくるかを頭に描いている。

○どんな質問項目を作るのかの準備段階が大事なんだろうなー。

 自分が示したい結果を示せるような質問を作る? ちょっと恣意的なのかなー。


・因子分析は、一回限り行うものではなく、質問項目を取捨選択しながら、
 何度も因子分析を行って上手く解釈できるようにするためのもの。

・因子分析は、ある観測変数(質問に対する回答)が、どのような潜在因子から
 影響を受けているかを探るもの。

・因子が見つかるということは、因子と項目との関係が成立しているということ。

・因子寄与とか共通性を産出することで、どの程度うまく因子を見つけることが
 できたかが分かる。

・質問の回答(観測変数)に影響を与えるのは、共通因子と独自因子しかないと
 考える。そのため、それぞれの影響を合わせると 1 になる。

・研究は、先行研究の問題点を見つけ出して、新たな研究に発展させるということ。

○ここだよなー。まずは何をおいても先行研究(巨人)を知ること。

 自分が知りたい、明らかにしたいことはある。

 それは既に誰かが明らかにしているかもしれない。まずはそれをはっきりさせること。

 ここに時間と労力がかかるんだろうなー。


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●因子分析を自分でする


・質問項目=観測変数

・因子分析は、項目間の相関関係をもとに、共通因子を探る分析。

・直線的な相関関係である必要

・相関係数は、−1に近いほど、負の相関があり、+1に近いほど、正の相関がある。

・自分が調べたいと思っている事柄について観測されたデータであれば良い。

・因子に関連する質問項目は、3〜4は必要。したがって、あらかじめ因子の数の
 目安がある場合は、その3〜4倍以上の質問項目を準備すればよい。

・質問を作る時は「心理学マニュアル質問紙法」が役立つ。

○この本は、既に読んだ!

   http://learn-well.com/blogsekine/2009/04/post_229.html


・質問項目ができあがり、回答が集まってきたら、因子分析を行う。
 因子分析は、統計パッケージ(SPSS、SAS)を使って行う。

・因子分析は、答えが一つであるといった分析ではない。色々な答えを
 出してみないといけない分析。どの答えが自分のデータに最もあうのかは、
 自分で見つけ出さないといけない。

・自分に都合のよいように因子軸を回転して、うまく自分のデータをその因子軸で
 説明できるようにする。

・自分のデータにあった因子抽出法を選ぶが、最尤法を使うのがベストと言われる。


・結果として重要なのは「因子負荷」

・何を基準としてうまくいったと判断すればよいのでしょうか。

 −計算自体が上手くいったのか? −因子数はいくつでたのか?

・上手くいかないケース

 −データの数が少ない −データの入力がおかしい −因子抽出法があってない

・因子数は、ある基準に従って決められている。その基準は2つ。
 1)固有値という言われる値を基準にする
 2)こっちの都合(解釈の可能性)で決める

・固有値とは、因子のなりやすさと考えるとよい。

・因子数をいくつにするか。それを決める際に最も重要なのは「解釈の可能性」
 自分のデータをいかに上手く解釈できるかどうかが決め手。

・上手く解釈するために、別々の次元(軸)で考える。

・回転とは、ただ見る方向を変えているにすぎない。

・自分の解釈に都合のよい回転を見つける。

○なるほどねー。「都合のよい回転」かー。説明しやすくするために。


・自分の判断でこうしたいと皆が納得してくれるのであれば。

・出てきた結果が自分の解釈に都合がよい回転を選べばよい。

○なんか俺でもできそうな気がしてきた。

 データの解釈はあとでできそうだから、どんなデータをとるか、
 どんな質問をするかが重要そう。

 データをとってしまった後「あ、これ聞いとけばよかった」だと大変そう。


・各因子の名称は、主観的につける。

・出てきた因子がはたして妥当であるのかどうかを検討する必要がある。

・バリマックス回転=直交回転 解釈が比較的簡単。因子負荷と相関係数は同じ値。

・プロマックス回転=斜交回転 因子負荷だけでなく、相関係数まで出力される

・斜交とは、因子の間に関係性(相関)があるということ。
 直交とは、因子の間に相関なし。

 相関が低い場合は、まったく違った概念の因子だと考えて解釈する。

・因子分析は、自分のデータを上手く説明できる解を求めればよいので、色々な
 回転を試してみ、一番合っているものを見つけ出せばよい。

・因子分析の結果の見方は、かなり主観的なもの。
 分散分析とは違う。


・ただ漠然と見るだけでは、データの関係性を上手く説明できない。
 色々な角度から見ることで、上手くデータを説明できるところが見つかる。
 そのデータを見る角度を探そうというのが、軸の回転である。

○そういうことかー。これ分かりやすいなー。

・因子寄与は、因子が質問項目に対してどの程度寄与しているのかという指標。

 因子分析では、質問の回答が潜在的因子の影響を受けていると仮定している。


・因子間の相関は、持ちつ持たれつの関係。

 「持ちつ持たれつ」の部分を捨ててしまうのが「影響を除去した」
 「持ちつ持たれつ」の部分まで組み入れてしまうのが「影響を無視した」

・因子分析の計算をするときは、4つの要素を考える必要がある。
 1)質問紙などで得られたデータ 2)因子の抽出法
 3)因子数の決め方 4)共通性の値

・まず、十分な数のデータを集めることが第一。

・質問に回答した人は、いったいそれらの因子をどの程度強くもっているのか。
 
・パス図において、因子は○、質問項目のような観測変数は□で表現される。


・統計とは、確率的な手法であるから、確率的に最も近いようなところで
 値を決めているだけ。

・因子得点は、とりあえず適当な値を勝手に決めただけと考えてよい。

 因子分析とは、因子得点がどの程度であるのかを探るのが目的。

・因子分析とは、質問の回答が、2つの部分(共通因子と独自因子)から構成されて
 いると考える。

・因子分析の利用目的の中でかなり多いのが、新しく質問紙を構成する場合。
 因子分析をすることによって、質問紙尺度の中にどのような因子が存在するかが
 分かり、そのためにどのような質問項目を設ければよいかが分かる。

○ここ、よく分からないな。

 因子分析をした後に、質問項目を作る?

 質問項目でデータを集めた後、因子分析をするのではないの?

・因子分析を行った時に、どのような形で論文に書けばよいか

 −因子抽出法に何を使ったか
 −因子数をどうやって決めたか
   最小固有値で決める スクリープロットによる 
   因子寄与で決める 解釈可能性で決める
 −回転法は何を使ったか
 −因子名はどうやって決めたか
 −項目の削除など
   因子負荷や共通性の基準など
 −因子負荷の表や因子間の相関の表

・因子抽出法と回転法について、何故その方法を選択したかの説明は不要。

・因子として成立するかどうか


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●因子分析の正しい使い方


・因子分析は、多変量解析の一つにすぎない

・多数の変量(観測変数)でのデータは、多変量解析の対象となるので、
 多変量データともいわれる。


・因子分析は、多変量データに共通な潜在的な因子を探るもの

・主成分分析は、多変量データに共通な成分を探って、一種の合成変数を作りだすもの
 因子をできるだけ少なくすることを目的とする。

・主成分分析では、より少ない次元で説明することが目的。
 そのため第一成分でほとんどが説明できるというのは喜ばしい状態。

・主成分分析では、質問項目から主成分という合成成分を作るという仮定をもとに
 分析をしていく。

○「合成成分」って?

・主成分分析は、因子分析の中のある一つの計算の仕方にすぎない。

・主成分分析で用いる「主因子法」という計算方法は、第一因子にできるだけ
 因子寄与率を高くしようというもの。


・重回帰分析では、予測される変数のことを従属変数(予測変数)、予測に使う
 変数のことを独立変数(説明変数)と呼ぶ。

・重回帰分析の場合、関係ない項目は捨て去りたいと考える。目は外の予測したい
 変数の方を向いている。


・因子分析は、質問項目をクラスターにわけるような分析ともいえる。


・因子分析=第一世代の多変量解析  共分散構造分析=第二世代の多変量解析

・共分散構造分析では、変数間の関係性(構造)をあらかじめ決めておいて分析する


・因子分析は、「探索的」因子分析
 共分散構造分析は、「検証的」「確認的」因子分析

・因子分析の神髄は、探索的因子分析にある。何か分からないところから潜在的な
 因子を見つけてくれるという所に魅力がある。

・因子分析は、他の多変量解析と違って「構造方程式」によって限定されていない。


・因子分析は、意図的にやろうとすると、自分の思い通りの結果を出してしまうのが
 たやすい。

 したがって質問項目の内容の妥当性を十分に吟味する必要がある。

○これは気をつけないとなー。


・一番きれいにみえたところ、そこが最適の場所。
 他の人が見ても納得できればいいのです。

○こういわれると気が楽になるなー。


・統計分析とは、たくさんのデータを少ない情報にまとめあげる作業

 因子分析に乗らない多くの情報を捨てている。

・因子分析をどの程度厳密に行ったかよりも、どのような観測変数や質問項目を
 準備したかの方が圧倒的に結果を左右する。

・因子分析を行う時に最も大事なのは、いかにデータをとるか。

○この本のあと「質問紙法」を読むといいのかも。


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「多元化する能力と日本社会」

「多元化する能力と日本社会
 ―ハイパー・メリトクラシー化のなかで」

   本田 由紀


○子を持つ親として怖くなる。専門性がカギ。

(・引用/要約 ○関根の独り言)

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●現代社会で求められる「能力」


・何を目標とし、どのような努力を重ねてゆけば「成功」にたどりつけるかに
 ついて、共有されたセオリーはぼやけつつある。

・「あらかじめ決められたレール」そんなもののリアリティは既に失われた

○そう言われればそうだよなー。7〜80年代の子供時代、例えばTVドラマとか
 だと「あらかじめ決められたレール」に反発する話とか多かったような気がする。

 長渕剛の「家族ゲーム」だったけ? 印象にのこってるなー。


・更に昔 江戸時代?:属性主義(生まれや身分)
           アリトクラシ―(貴族による統治と支配)

 一昔前 近代社会:業績主義、産業社会、配置しなおす仕組み「学校教育制度」
        メリトクラシー(業績主義を社会的位置づけのルールとする社会)
          第二次産業(耐久消費財の大量生産)

 現代 ポスト近代社会:情報化と消費化、第三次産業(サービス)
            ハイパーメリトクラシー(むき出しの苛烈な業績主義)


・メリトクラシーの極限形態が日本社会。競争と不可分。

・「近代社会」のメリトクラシー下では、何をめぐって競争し、何を目指して努力
 すればよいかについての指針が人々に明示されていた。

・「努力」が少ないものほど「自信」をもつという傾向が顕著化

○これはドゥエックさんの本で、アメリカの事例としても出ていたなー。


・近代型能力:基礎学力、標準性、知識量、知的操作の速度、共通尺度で比較可能、
       順応性、協調性、同質性

 ポスト近代型能力:生きる力、多様性、新奇性、意欲、創造性、個性、個別性、
          能動性、ネットワーク形成力、交渉力


・受験勉強に代表されるような知識の暗記など「近代型能力」を身につけるための
 ノウハウというものが存在し、それを的確に踏襲すれば、多くの者がそれを
 習得することが可能であった。

・メリトクラシーの指標としての教育達成に加えて「ポスト近代型能力」が、
 これまでよりはるかに明示的な形で要請されるようになってきている。

○これはあるかもなー。特に就職活動時。

 「近代型能力」はある前提で「ポスト近代型能力」がある人材がほしいと、
 企業は建前的には言っているよう。

 実際に採用しているのは「近代型能力」にたけた人材が大多数?


・雇用する側は、働く機会の提供をめぐる支配力を増大させ、学校教育が証明する
 「業績」以外の不透明な諸要素(ポスト近代型能力)に基づく選抜をほしいままに
 行うようになってきたのである。

・ハイパーメリトクラシーの母体である「ポスト近代化社会」は、社会に共有された
 「大きな物語」の終焉や、価値観の多様化、個別化をその重要な特徴としている。

○皆が信じてきた「大きな物語」例えば、偏差値が高い有名大学を出れば、
 一流企業に入れて、それで人生は安泰といったようなものかな。


・低年齢の子供の中にすらハイパーメリトクラシーは浸透している。

 彼らにとってのそれは「序列づけ」(人気のあるなし)や「生活の質」(明るく
 楽しい日々を送れるか)を決定づける基準として立ち現われていると考えられる。

○これは怖いなー。でも思い当たるところはあるな。

 俺らが小学校時代から既にこういう兆候はあったのでは。
 (70年代後半〜80年代)

・独創的な発想、視野の広さ、コミュニケーション能力、そういうものが求めれる
 時代には、ガリ勉人間の価値は下がる。

・ハイパーメリトクラシーは、人間の全人格におよぶ様々な側面を不断に評価の
 まなざしにさらそうとする働きをもっている。

・ポスト近代型能力の形成は、個々人の幼時からの日常的な生育環境としての
 家庭の質的なあり方に大きく左右されると考えられる。

○これは怖いよなー。3人の子を持つ親として。家庭の在り方次第と言われると。


・ハイパーメリトクラシーは、個人の尊厳、社会的不平等という点で大きな問題を
 はらんでいる。

・社会が個人を裸にし、そのむき出しの柔らかい存在の全てを動員し活用しようと
 いう状況。

 社会にさらされ吸い取られかねない「個人」の領域をいかに確保するか、
 「鎧」をきることができるか、真剣に議論する必要がある。

・どのような家庭に生まれおちるかによって個々人が社会を生き抜いていく上での
 有利、不利にあからさまな格差が生じることになる。

・ハイパーメリトクラシーに抗う別種の能力原理として「専門性」を取り上げたい。

 ここでいう「専門性」とは、ある程度輪郭の明瞭な分野に関する体系的な知識と
 スキルを意味している。しかもそれはきわめて狭い範囲でかつ固定的なものでは
 なく、他分野への応用可能性と時間的な更新、発展可能性に開かれたものとして
 想定している。

・ハイパーメリトクラシーという見方そのものは、社会全体で立ち向かうべき重要な
 課題としてしっかり受け止めてもらいたいと思う。

○こうやって受け止めている人は、どのくらいいるんだろう。


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●ハイパー・メリトクラシーの大合唱


・「言説」は、一方では現実を映し出したものであり、他方では現実を更に
 特定の方向に進める働きをもっている。

・90年代以降、経済界の掲げる人材像は、主体性や独創性、意欲や
 コミュニケーション能力、思考力などの「ポスト近代型能力」であった。

○ここに出てきた「人材像」はもっともだなー、と思えるものばかりだった。
 こういう人材に来てほしい、働いてほしい、と思うのは当然と思える。


・現代日本の教育政策の起点となっているのは、1984年〜1987年の
 臨時教育審議会である。臨教審は「個性重視の原則」に基づく「第三の教育
 改革」の基本方針を最終答申に示した。

 その後の教育行政は、臨教審の考えを概して受入れ、それに即した方向を
 一貫してたどってきた。

・「新学力観」すなわち知識の詰め込みよりも子供の自発的な活動や体験を重視し
 「指導ではなく支援」を重んじる教育理念、教育方法として注目を集め、
 社会全般や教育現場に大きな波紋を呼び起こすことになった。

・1996年の中教審第一次答申が、1996年の「学習指導要領」(3割削減や
 総合的な学習の時間の新設)のベースとなった。

・教育界の「生きる力」言説と経済界の「人材」提言の相似性は明らか。

○ここに出てきた「生きる力」の内容も、もっともだよなー。自分の子供にも
 こういう力を身につけさせたいなーと思わせるもの。反対できない。


・1990年代後半の「学力低下」論争と「ゆとり教育批判」を経て、
 「生きる力」から「人間力」という新たなキャッチフレーズが
 用いられるようになった。

・社会の中枢に位置するエージェントによって、くり返したたみかけるように
 ハイパーメリトクラシー言説が生産されてきたのが、90年代以降の日本社会。


・2003年「学力は家庭で伸びる」の著者である陰山英男は「見える学力、
 見えない学力」(1981)の岸本裕史の直系の弟子でもある。

○岸本先生の本は、1社目の学習教材の訪問販売会社にいた時の説得材料として
 使っていたなー。家庭での学習環境づくり。


・家庭における「ポスト近代型能力」の育成方法に関する様々な言説が、大衆向け
 の媒体に日常的に登場するようになっている。

○ここで出てくることも、なるほど、もっともだと思える。家庭で実践しようと
 思わせるものが多い。

 ここが、既に批判的に考えることをせず、言説を受け入れてしまっている状態
 なのか。


・着々と進行するハイパーメリトクラシー化の中で自衛する手段としては、家庭で
 親が綿密な配慮のもとに子供の「自主性」などのポスト近代型能力をつけてやる
 ということがほぼ唯一の解となっているのが日本社会の現状。

○これは考えてみると怖いよなー。それができる家庭ばかりではない。


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●「がんばる子ども」の作り方


・「閉じた努力」=与えられた目標に向かって反復練習などを通じて自身の
         単線的な向上を遂げること 

・「開かれた努力」=多くの他者からなる環境の中での自分の位置づけを調整、
          模索しながら貫くような態度 高度な努力

・「努力」を「勉強」と同一視し、しかも勉強時間という行動の「量」として
 計測しようとすることは、旧式の発想を抜け切れていないといえる。

・「キレる」若者の「平静さ」

 それは「感情を否応なく波立たせ苛立たせる環境からの圧力に対して、
 できるだけ平気でいられるよう努力すること」から生まれている。

・なんとか平気でいようとし続ける激しい努力としての「感情のしまいこみ」

○これは、そうなのかもなー。

 情報が多くなったからなのか。

 なるだけ感情を表に出さないよう、
 クールにちょっと茶化すような形で、相対する。


・自分のあり方を調整し維持するという自己調整面での「努力」

○これはきついよなー。

 しかも学校という逃げられない人間関係の渦の中に閉じ込められていたとしたら。

 小さいうちはなるべく身体を使って遊ばせたい。

 困った時のよりどころを作ってあげられたらなー。
 身体性、学校以外の友達、家族、


・努力を「行動」とみなすとき、それをするかしないかは個々人の自己責任に帰す。
 努力を「能力」とみなすと、その分布が不平等であることはあり得る。

・子供たちの「がんばり」や「努力」の中身は、他者と競うことではなく、自分が
 選択したものや自分の考えを貫き通すことへと徐々に比重を移しているのでは。

・子供が「自分は頑張ることのできる人間だ」と感じるためには、家族との密な
 コミュニケーションや親から期待されているという実感が、ますます必要。

 家族が子供に「勉強しなさい」ということは、マイナスの影響がある。

○これも気をつけないとなー。

 過信ではなく、自信。自分を信じる力。自分なら乗り越えられる、やれる、
 という気持をもってほしいなー。

 ただ、俺自身がそう思えるようになったのは、正直いって20代後半ぐらいかも。
 ある程度仕事ができるようになって、いくつかの成功体験を積んだ後かもなー。


 小中学校での野球での補欠、高校時代の演劇部での才能の無さ。
 自分は「これができる!」「これが得意」みたいなものが無かったのかも。

 アメリカで英語学校に入り、短大にいったあたりから、学ぶことそのものが
 楽しくなり、しかも「結構得意かも」と思えたのかもなー。

 自分の子供には何かより所となるような「自分を信じる力」をもってほしいなー。

 それはやっぱりこれから波にもまれて行くことがわかっているからだろうな。


・「人を楽しくさせることが上手」なことも「がんばり」の一側面なのである。

○次女はこういうの得意かも。


・子供はかつてと比べて「がんばらなくなった」訳ではない。「がんばる」対象が
 変化し多様化しているのだ。

・日ごろからの親子の密な会話や親からの高い期待、子供に身体化された生活習慣など
 の一朝一夕には成立しない家庭の質的なあり方が、子供が「開かれた努力」を 
 遂行する「能力」を持てるかどうかを決定的に左右しているのである。

○これは怖いよなー。

 大人になってこの事実を知り、自分は「開かれた努力」ができていない、
 その責は自分の家庭にある、なんて思っても、きついよなー。


・「詰め込み」的な旧式な授業よりは「新学力観」に近い授業の方が、子供の
 「努力」に対してプラスの関連が現れる。

○これはちょっと救いかも


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●高校生の「対人能力」


・メリトクラシーの凝縮としての日本の高校教育。

・日本の高校教育は、全体が壮大な選抜、配分装置として機能してきた。
 その特徴は、高校間に細かく輪切りにされた階層構造が成立していたこと。

○偏差値による かな。


・「わずかな偏差値の違いで学校が総序列化されている」

・属する高校によって別々の「走路 トラック」が用意され、個々の走路に応じた
 生徒の進路分化を「トラッキング」と呼んだ。


・高校生にとっての「勉強」や「学校」のもつ意味が希薄化している。
 (79年と97年の比較調査による)

・高校そのものの重要性が低下し、家庭の影響力が顕在化した。


・日本の高校生にとって学校は知識習得という「近代型能力」獲得の場というよりも、
 「自由な生活を楽しむところ」とみなされている。


・親の階層的な特性が家庭生活全体に浸透し、それを通じて子が自然発生的に
 影響を受けている。

○これはそうだろうけど、怖いよなー。うちはどうだろう。
 親の自分も本を読んだり、勉強したりしている様子は示せているとは思うけど。


・現代の高校生の生活の中では、メリトクラシー的な「勉強」や「知識の取得」の
 圧力が低下した代わりに、ハイパーメリトクラシー的なポスト近代型能力の一部 
 としての「対人能力」がより大きなエネルギーを割くべきテーマとして浮上している

・土井によれば、子供たちは周囲の身近な人間(親密圏)から「個性的な自分」を
 常に承認してもらうことを必要とし、そうした関係を破綻させないために相手への
 繊細な配慮を払うようになっている。

 しかし逆に見知らぬ他人(公共圏)に対しては全く無関心で傍若無人な態度をとる

○これはその通りかも。こう言われると自分が見ていることも説明できる。

 公共圏での傍若無人さは、普段の繊細なやりとりの疲れから出てきているのかも。
 そう思うと、見る目も優しくなるのかもなー。


・若者のコミュニケーション能力が低下しているのではなく、むしろ「高度化」 
 している。

○これは面白いよなー。

 オジサン達は「最近の若いもんはコミュニケーション能力が無い」なんて言うけど
 実は若者の方がより高度なコミュニケーション能力を発揮しているのかもしれない。


・「学力」が高い者の方が「対人能力」も高い。
・「対人能力」が高いほど「進路不安」が少ない。

・「やりたいことが見つからない」若者の増加が指摘されている現今の日本において
 問題解決の一助として高校での「対人能力」の形成に着目する必要性がある。

・「対人能力」が低い者は「進路不安」の高さから、ある種の選択の延期として
 進学に向かうのではないか。


・家族とのコミュニケーション密度が高い者ほど「対人能力」が高い。
 家族関係の質的な良好さは、子供の「対人能力」を高める上で非常に重要な働き。

○これも怖いなー。家族関係の質的な良好さ。

 今はよくしゃべっているけど。いずれはなー。

 夫婦仲良く暮らしていることが、子供たちにとってはいいことなのかも。
 それぐらいしかできないかもなー。


・専門高校への在学が「対人能力」とプラスの関係にある。
 職業的な意義が見えやすい教育が「対人能力」の向上に寄与するという可能性。


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●生きるためのスキル

・直線的移行からヨーヨー型移行へ

 学校を出てすぐ正社員として就職し、やがて結婚して一家を構えて子供を持つ
 という単線的な「大人」への道筋が見えにくくなっている。


・多元化に伴って進行するのは人生の「個人化」である。

 多くの複雑な選択肢の中からいかにして自分なりの選択を行い、自分が求める
 ことを実現していけるかが難しい課題となる。

○そうだろうなー。でも半面、チャンスが広がったという見方もできる。
 今までは選択肢そのものが少なかった。


・社会的地位に影響を及ぼす可能性がある能力を「ライフスキル」と呼ぶ。

・男性は親元から独立した方が「ライフスキル」の向上につながる。

・圧力的な親子関係は、ライフスキル形成に対して阻害的に働く場合がある。

・ライフスキルの基盤として、基本的な知的能力が極めて重要。

・「学力」という近代型能力が「ライフスキル」というポスト近代型能力の
 ベースになっている。


・正社員という形での職業的地位の達成に強い効果を及ぼしているのは、
 学力や学歴などの近代型能力である。

・男性の場合「家事スキル」が高く「ポジティブ志向」が強い者ほど、収入が高い。

○これは面白いなー。
 家事スキルが高いと、女性への配慮ができ、段取り力が高まるから?

・女性の場合「コンピュータスキル」が収入と強い相関関係をもっている。


・「コンピュータスキル」が高い場合、結婚による家族形成に消極的になる。

○これ怖いなー。でも何となく分かる気がする。


・女性では収入が高いほど、教育年数が長いほど、結婚をちゅうちょしがち。


・男性の「家事スキル」を増大させ、女性の家事負担を軽減することが、男女双方
 の職業面、家族面でのバランスのとれた「社会的地位」の獲得にとって有効。

○俺も「家事スキル」を少し高めよう。

 朝ごはんをたま〜に作る。洗濯物をたま〜にたたむ。ぐらいしかできないなー。
 子供の面倒は比較的見ているほうかも。


・男女とも中3時の成績という「学力」がコミュニケーションスキルの基盤として
 重要。友人関係などで充実した学校生活を送っていた場合に、コミュニケーション
 スキルは高まるという傾向。

・男女とも父親との関係性が「ポジティブ志向」に影響を示している。
 父親が自分のことを理解してくれている場合には高く、口うるさい場合に低い。

○怖いなー、これ。

 ある程度、父親には厳しさも必要ではないかと考えている。
 子供のことを理解しようとはする。その努力は示したい。でも甘やかしたくはない。

 ま、色々考えても、普段の自分が素にでちゃうもんなー。
 家庭で子供に向き合っていると。カッコつけられないし、さらけでてしまう。


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●女性たちの選択

・ハイパーメリトクラシ―が増大させる母親の教育責任。

・近年の母親のあり方を「人格も学力も」という全方位型の教育関心を持つ
 「パーフェクトマザー」への志向として、広田は記述した。

○確かにそうかもなー。特に、都会のお母さんたちはそうなのかも。

 うちの奥さんは、こういう志向はあんまりなさそう。
 俺が頭でっかちな分、奥さんのこういう自然さは大事。このままでいてほしい。


・ハイパーメリトクラシー化に伴う母親の教育役割の増大は、女性に子供を
 もつことをちゅうちょさせる方向に働いているのではないか。


・「たくましい子供の育ち」が「ポスト近代型能力」への考慮を含んでいるとすれば
 それを家庭外の学校教育において確保しようとする試みは、母親の教育責任の
 軽減につながる可能性がある。

○父親にできることは?

 子どもと話す 
 妻と仲良くする
 子供を理解しようとする
 家事スキルの向上
 家庭の質的なあり方を良くする ?


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●ハイパー・メリトクラシ―に抗うために


・ハイパーメリトクラシー言説は、多様なメディアを通じて社会全体を広く
 覆いつつある。その威力は、対抗言説が成立しにくい状態するもたらしている。

・現代社会の中で望ましい社会的地位を獲得する上では、近代型能力だけでなく、
 ポスト近代型能力を兼ね備えていることが不可欠になっている。

○家庭のあり方→学力→対人能力→社会的地位の獲得 という流れなのかなー。


・親子関係が良好であることが「ポスト近代型能力」の形成を強く促進している。

○「親は無くとも子は育つ」はないのかなー。


・ハイパーメリトクラシー下では、ちょっとした気遣いや当意即妙のアドリブ的な
 言動が、個々人のポスト近代型能力の指標とされる。

 その中で生き続けるためには、極めて大きな精神的エネルギーを必要とする。


・家庭以外の場においてポスト近代型能力の形成を補償する仕組みが必要なのでは。

・その有力な候補として挙げられるのは「地域」であるが、過度に期待することには
 格差と集団主義的同調圧力という点から疑問符がつく。

・もうひとつ考えられるのは「学校教育」であるが、難しい。

 何故なら学校、学級はフィードフォワードコントロール(事前制御)により
 かく乱要因をできるだけ排除したチェーンシステムとしてのハードウェア上の
 特徴をもつのに対し、ソフトウェア面では「児童中心」「個性尊重」などの
 教育言説が肥大し、両者の間にはかい離が存在するから。

○そういうことだったのか。

 確かに学校において「かく乱要因」(騒がしい子供、“個性的”な子供)は
 排除したいという本音がある。

 学校の秩序の中で、先生たちに従ってくれる子が、いい子。

 それは、チェーンシステムとしての特徴だから、至極当たり前のことということか。


・筆者が主張したいのは、ポスト近代型能力へのいや増す圧力を別の方向に逃がす、
 ないし「かわす」という方向性である。

○合気道の考え方みたいだなー。


・専門性への期待

 専門性とは、個々人が社会の中で、特に仕事に関する面で、立脚することができる
 一定範囲の知的領域のことである。

○自分の専門性により、社会に役立っている、貢献しているという実感をもてる。


・専門性を個々人が身につけることが、ハイパーメリトクラシーがつきつけてくる
 容赦なくかつ捉えどころのないポスト近代型能力の要請に対抗するための有効な
 「鎧」となり得る。

・意欲、問題解決能力、創造性、対人能力などのポスト近代型能力が要求されると
 しても、あくまでその「専門」的な領域に関わる範囲において応えればよい。

○ポスト近代型能力を身につけているからこそ、
 専門性を発揮できるとも考えられないか。

 専門バカになっていない人は、ポスト近代型能力、
 例えば対人能力が身についている。

 家庭→学力→対人能力(ポスト近代型能力)→専門性→社会的地位→更なる専門性?


○確かに、自分の強い分野「専門性」があると、自分のより所、立脚点とはなる。
 他では弱いけど、この分野なら強い。そこで自信を取り戻せる。

 
 講師として質問を受けた時、自分の得意分野に話をもっていって、
 その範囲で質問に答えるというやり方「ブリッジング」がある。

 これも一つの鎧なのかも。


・人間の内面=心にまで鋭い視線を注ぐハイパーメリトクラシーに対抗して
 「専門性」という区切り、仕切りを設けることで、圧力を緩和する。

・一定の幅広さをもち継続的な更新が可能かつ必要な「専門性」に個々人がそれぞれ
 足場を持つことにより、実は個人の中にポスト近代型能力が形成されやすく
 なるのでは。

・専門性は個人と個人が結びつくための強力な「ネタ」を提供する。

○確かにそうだ。他者に自分に無い専門性がある、つまり自分と違う人間だからこそ
 会うと面白いのかも。


・専門性は個々人にとって何らかの「選択」を不可避とすることから、
 アイデンティティの感覚や意志力、決断力の形成に役立つ。

○確かにそうだけど、選択をいつ行うのか、それは途中で変更可能なのか
 という点も大事だろうな。

 自分の専門性「これでいこう!」と決めるためには、その前の試行錯誤も
 やっぱり必要。

 独立した後、弱い自営業者が生き残っていくために、常に自分の専門性をどこに
 置くか、お客様が評価してくれる専門性は何かを、俺は常に問うてきたつもり。

 専門性は既に身につけている人が、言うのは簡単だけど、そこに至るまでは大変。
 
 それでも、筆者の言うように、専門性が鎧になる、向かうべき方向としては
 良いと、俺も思う。


・専門性は、自己効力感や社会的責任感の形成にも貢献し得る。

・専門性はハイパーメリトクラシーに対する「鎧」を提供するだけでなく、実は
 迂回的にハイパーメリトクラシーに向けて個人を準備させる「意図せざる結果」
 をも伴っている可能性が高い。

・個々人が専門性を形成できる機会を、社会の中に潤沢かつ周到に設けることが、
 現実的な対処となりえる。

 その際に、特に重視されるべきは、やはり学校教育である。


・現状は、長期雇用の対象となる基幹労働力の主要なプールである新規学卒者に
 対しては主に「ポスト近代型能力」を基準とする「人物本位」の採用が行われている

 より専門性へと重心を移した採用手法を取り入れることが企業にとっても個人に
 とってもより望ましい結果をもたらすと考えられる。

○学校教育で、本当に専門性が身につくのか。
 
 会社に入った後、その専門性一本で仕事ができるのか。
 (本人の飽き、モチベーションの低下、視野の狭さ、縦割り組織

 小池先生の言うように「ローテーションで人材育成」をしてきた日本企業にとって、
 専門性よりも、どこでもある程度順応し仕事ができる人材、つまり
 ポスト近代型能力をもつ人材の方が、使いやすいという面はあるのでは。

 
○そうは言っても、色々やってきたけど、やっぱり自分に興味のあったのは、
 〜だったということもある。

 俺で言えば「学び」なのかも。(未だ幅広いけど)

 今は企業内教育で新入社員の育成という分野で、職場での指導育成、OJT
 という点で、専門性を磨きたいと思って、大学院に入った。

 でも、この専門性もいずれ変っていくかも。


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●あとがき


・ハイパーメリトクラシー化と総称される事態が着々と進んでいるにも関わらず、
 社会全体としてそうした動向やそれがはらむ問題性についてほとんど無自覚である。

・本書のテーマは、他の多くの研究領域との接続可能性をもっている。
 自己論、組織論、ソーシャルキャピタル論、キャリア形成論、学習理論など。

○俺がやりたい「新規学卒者の職場での成長支援」も、
 このテーマに関わってくるのかも。


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「若者と仕事〜学校経由の就職を超えて」

「若者と仕事〜学校経由の就職を超えて」

  本田由紀


○教育の「職業的意義」について考えさせられる。
 フリーター問題は、若者の意識の問題ではない。


(・引用/要約 ○関根の独り言)

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●はじめに 序章 「教育から仕事への移行」をめぐる閉塞の打開に向けて


・本書では「学校経由の就職」の支配と行き詰まり、そして「教育の職業的意義」
 の不在が日本の「若者と仕事」をめぐる混迷を深めているという理解を提示する。

・「職業的意義」を回復させることを通じて、若者が仕事の世界を生き抜いて
 いく上での実質的な力づけを行う。


・日本における「教育から仕事への移行」の閉塞をもたらしているのは主に
 労働需要側の要因ではあるが、混迷をいっそう深いものとしている原因は
 固有の歴史的経緯から生み出された「学校経由の就職」という独特な
 「移行」の形式にある。

・90年代初頭の段階では「フリーター」に対して基本的に
 好意的な見方が多かった。

 しかし2000年代に入ると「フリーター」に関するマスコミ報道は
 その悲惨さを強調するものへと変化する。

・「フリーター」問題を若者の意識の問題と見なす捉え方が
 強まってきている。

・1990年以降に起きた企業側の急変に学校側は適応できなかった

・日本では「教育の職業的意義」が、他の諸国とは比較にならない
 ほど損なわれてきた

・日本では学校と企業が直接に関係を結び、若者をやりとりする。

○こうやって考えると恐ろしいことだよな。

 本人の自由意志、選択する権利が尊重されない。

 「七五三現象」を、若者の忍耐不足等で批判する向きもあるけれど、
 「学校経由の就職」の問題もあるのかもなー。


・教育と企業という社会的領域の落差に、学校からの出口において直面させられた
 若者は、従来の組織間関係に基づく移行のバックアップも存在せず、
 当惑を余儀なくされている。

○言われてみれば確かにそうだよなー。若者は大変な状況におかれている。


・すべてを個人の「自己責任」に帰しては絶対にならない。


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●「学校経由の就職」の盛衰


・成人とは諸メルクマールをすべて達成し「社会へ完全に参加した存在」
 であるとされる。
 
 その中でも最も重要なメルクマールは、経済的自立、言い換えれば、
 職業的地位の確立である。

・組織の関与:強 + 職業能力形成:弱 が日本の制度的環境

・日本人にとって当たり前にみえる「学校経由の就職」の常態化は、
 世界的には特異な現象である。

・学校経由の就職は、生徒の希望をしばしば制約する。

・1950年代の日本の農村においては、戦後の帰郷者家族問題と次三男問題が
 顕在化しており、余剰人口をいかにして放出するかが課題とされていた。

○今では信じられないけど、当時は予測は難しかったのかなー。


・学校経由の就職は、1960年代に生じた偶発的な背景に基づきながらも成立し
 1980年代までは大きなほころびも顕在化することはなく、
 合理的で効率的なものとして日本社会に受け入れられていた。

 1990年代における偶発的ないくつかの諸要因により、
 大きく変化せざるを得なくなった。

・90年代における若年労働市場の悪化の背景には、人口構成という
 景気動向とは無縁の社会的要因が存在していたのである。

・女性の就業行動という要因も、若年女性労働力の労働市場への
 滞留を促進することになり、企業の新規学卒採用抑制を促す方向に働いた

・産業構造のサービス経済化。第二次産業の減少。

 非正規労働者への依存度が高い第3次産業の増加。

・企業にとってきわめて好都合な非正規社員を活用するという「うまみ」を
 一度覚えてしまった日本企業がその「うまみ」を手放さない可能性は高い。

・学校経由の就職の慣行は、今後容易に復活しない可能性。

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●「学校経由の就職」の定着に伴うコンフリクト


・教育と仕事という二つの社会的領域の接点においてはコンフリクトを伴うもの
 であり、これは若者の心理的な葛藤のみならず、社会的な領域間の
 コンフリクトとみなすべきもの。

・1960年代、ブルーカラー労働力を量的に確保するために、
 高卒者を採用し始めた。それまでは、中卒者が大半。

・中卒中心のブルーワーカーの職場に高卒者が採用されたことで、
 コンフリクトが起こった。

  中卒者 vs 高卒者
  高卒ブルーカラー vs 高卒ホワイトカラー


・日本企業では社内ローテーションそのものが、重要なOJTとして機能していた。

○小池先生の調査


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●1990年代における高卒就職の変容


・高校と企業の間の「実績関係」の衰退

・高校は企業の要求を満たす生徒を送り出し、企業も安定的な求人、採用を
 行うという形で信頼関係が形成されており、こうした「実績関係」が
 高卒者の「教育から仕事への移行」をスムーズにしていると言われてきた。

・「一人一社制」の原則

・学業成績や欠席日数などの客観的指標が、就職先の決定に直結する
 という点が、日本の高卒就職の大きな特徴とされてきた。

・1990年代以降、高校にとっての「実績企業」が大きく減少した。

・1994年頃までは、過去の継続性を維持しようとする作用が、
 高校ー企業間に残存していたが、95年以降は、若年労働市場環境の
 変化の下でそのような努力が放棄されはじめた。

・2002年以降、新規高卒就職における「一人一社制」は緩和されてきている


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●「フリーター」を生み出すもの


・1990年代に顕著な増加を遂げたのが「フリーター」である。

・フリーターは、アルバイトを転々とする社会集団。
 約半分が高校を最終学歴とする。

・フリーターの増加を、若者の意識の問題に還元してとらえると、
 社会変化の全体像を見誤りかねない。

・なにがきっかけで、フリーターになったのか。

・フリーターになるのは、本人の意識が過度に不明確な場合と明確な場合に
 両極している。

 同様に家庭のアドバイス機能も、放任的な親子関係で欠落している場合と特定の
 進路のみを想定した硬直的で過剰な期待や圧力をかけている場合の両極がある。

○親として、自分も気をつけないとなー。

 こうやっていろいろ知れば知るほど、子育てが怖くなる。
 知らない方が気楽かも。迷いそう。

 でも、ま、なるようにしかならないべ。

 親はなくとも子は育つ。
 俺は俺にできること、正しいと思うことをやるだけだべ。

 俺の勉強しすぎ、知識の詰め込みすぎの面は、
 うちの奥さんにカバーしてもらうべ。


・組織から組織への移行の「失敗」としてのフリーター

○こうやって決めつけられるのも本人としたら悔しいだろうな。

 「フリーターになったことは(負け惜しみではなく)失敗ではない」と
 後から言い切れるように。

 松井選手がメジャーリーグにいったとき「いってよかったね」と
 いわれるようになりたいといっていたっけ。
 (今回のMVP、おめでとうございます!)


・若者にとっては、彼らが属する教育機関の教育内容が実は自分にとって
 「意義 relevance」を欠いていたことが強烈に意識化されることになった。

○これはきついよなー。

「なんだよ。学校で習ったことなんか、全然意味ないじゃん。使えねー」状態。

 何のために学ぶのか
 その答えを、親や教育者は自分の言葉で持っておく必要があるんだろうな。

 俺は、自分の子供たちになんと伝えるだろう。
 
 俺自身は「学ぶことそのものが楽しい。仕事にも役立っている」
 そうしている姿を、子供たちに見せることぐらいかなー。


・近年の「フリーター」対策として指摘されるのは、高校等における
 「適切」な「勤労観・職業観の育成」である。

○これはそうなんだろなー。

 俺が、独立初期の頃お手伝いした「高校でのキャリア教育」も
 押し掛けボランティアとしてやった「小中学校でのキャリア教育」でも
 でてきたのは、この言葉だったもんなー。

 でも、若者個人の意識、職業観も大事だが、もっと大きな社会的領域での
 働きかけがないと、フリーター問題は解決しないということなんだろうなー。


・いったんフリーターになった後に正規労働市場に復帰することは
 時間の経過とともに益々困難さを強めているのが現実。

・フリーターの抱える困難を彼ら個々人に帰することなく、
 社会制度レベルで対処すべき構造的な問題として引き受けることが必要。


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●失われた「教育の意義」


・「意義 relevance」とは、二つの異なるもの同士の間に
 成立する、何らかのポジティブな関連性を意味している

・発達心理学者のJ.ブルーナーが、教育の意義を取り上げた。

 「教育は人々にいったに何を教えているのか」という
 「教育の意義」問題に真摯に取り組んだ。

○これは大事な問いだよなー。


・ブルーナーのような「教育の意義」へのストレートな取り組みは
 その後の教育研究においては支配的なものとならなかった

・コリンズの葛藤理論、ブルデューやボウルズとギンティスの再生産理論、
 ヤングらの「新しい教育社会学」マイヤーのチャーター理論、正当化理論、
 あるいは教育経済学におけるスクリーニング理論やシグナリング理論は、
 教育の意義に関して懐疑的な感覚を共有している。

 かつ「解決済み」であるという外面のもとで、実際には回避されてきた。

○これらの理論については、今後学ぶ必要があるんだろうなー。


・教育の意義は、教育ー学習行為に向けて学習者を動機づける最も
 健全な要素であるといえる

・学校知識の有効性で、日本の現実に当てはまるのは
「隠蔽説」であるとするが、実際は「空洞説」である。

○つまり実際に役立ちもしないし、受けている本人たちも
 役立たないと思っている。


・学校教育の意義に関する順位が高いのは、イギリス、アメリカ、
 スウェーデンである。

 逆に評価が低い国は、ロシア、日本、ブラジルである。

・特に日本では「友情をはぐくむ」「自由な時間を楽しむ」の2項目では
 評価が高いが、「職業的技能」「専門的知識」の取得、「自分の才能の伸長」に
 関して評価が低い。

・日本の若者たちが、学校の公式のカリキュラム内容には総じて「意義」を
 感じておらず、むしろ同年齢集団と日常的に顔を合わせ時間を過ごす「場」と
 してのみ学校教育を評価しているという事実。

○これは改めて考えさせられるよなー。別に学校でなくてもよい
 ということになってしまうかも。

 先生たちの存在意義そのものも。

 思い出や仲間づくりの場としてしか学校が機能していないというのはどうなのかな。
 
 それも大事なことだとは思うが、それだけじゃーないだろう。

 親としては何ができるのか。

 うちは、自営業だからこその強みとして
 家で仕事を手伝わせるのは一つかもな。

 しかし、根が深いなー。学校の問題。


・専門学校以外は、教育に対して「職業的意義」を見出していないという結果

・教育経験のあり方を改革することによって、主観的な「教育の職業的意義」を
 向上させうる余地があるということ。

○これは救い。


・日本という国には、大学教育の効果が「人格」の発展と結びついた
 ものとして認識されるという固有の特徴がある。

・日本の大学は「エリート型」の段階を脱し「マス型」の段階に入ってから
 既に30年以上経過しているにも関わらず、その教育の実践内容および
 主観的意味付与においては、依然として「人格形成」という「エリート型」
 段階の特徴が色濃く残っている。

・きわめて旧態依然たる大学の理念モデルに固着したままであることが
 その「職業的意義」の低さと表裏一体の関係にあると考えられる。

○これはあるんだろうなー。

 でも教養教育とか、人格形成も大事だろうしなー。

 人格形成は学校内というよりも、日々の生活の中でなされる?
 仕事が人を磨く?


・日本の高校や大学教育において大きな量的比重を占めているのが
 普通科や社会科学、人文科学など「職業的意義」の低い学科、学部である。

○そういえば、「入社後初期、職業発達研究の展望」(小林 1999)で、
 文系の卒業者は、ローテーションが多く、
 理系は最初の配属先から動かないという話があったな。


・中高年男性の「職業的自律性」は、学校教育に左右されるのではなく仕事に
 ついてから経験した継続教育訓練や、現在の職業のあり方に規定されている。

・諸外国では明らかに存在している、学校教育の量や質が「職業的自律性」
 を高めるという因果関係が日本では全くと言っていいほど存在していない

・「職業的自律性」という指標を用いた限りにおいては、日本の教育の
 「実際上の有効性」は確認されず、教育が実際的にも認識的にも効果を
 あげていないという「空洞説」を指示する結果が得られた。

○これは悲しいよなー。意味がない、ってことになっちゃうもんな。

 でも、そうではない。教育の意義はきっとあると反論する人も多いんだろうな。


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●若者に力を与えるために


・学校経由の就職をあえて「奇妙な現象」をみなすことにより、
 その本質的な限界を露わにした。

・新規学卒労働市場の自由化。

 1997年に大卒の就職協定が廃止され、
 高卒の「一人一社制」の緩和が進行

・インターンシップ、デュアルシステム、若年者トライアル雇用、社会人大学院、
 キャリア教育、ジョブカフェ等の諸施策は、若年労働市場の「アメリカ化」を
 目指すもの

・短期の職場体験学習や試行的雇用が若者の学校から職業への移行を
 円滑化する上での効果はあまり芳しくないとされている。

○これはそうなのかー。これ以外に良い方法はあるのかな。


・キャリア教育については、職業意識の啓発に重点が偏り、職業能力形成が
 重視されていない。

・学校教育における職業能力形成をより強化するという道も十分に可能

○これは具体的にどんな姿になるのかなー。

 職業専門学校的なイメージかなー。

 普通科高校、文系大学とかだと「職業的意義」があまりないということ?
 
 自分がその道を通ってきたから、自己否定するのが難しい。
 どこかに「そういう道を通ってきてよかった」と思う自分がある。


・20代という時期は、非正規就業や試行的雇用、最強幾訓練など
 を経験しながら納得のゆく着地先を模索する段階となってゆくと予測される

○こうなったらいいよなー。大卒で最初に正社員になれないと、
 その後はい上がれないなんて社会はやっぱり間違っている。

・職業的意義の特徴は、その変化の速さである。
 そのため綿密な継続的点検と更新体制を必要とする。

・内容豊かな職業教育

・高校を長期的には何らかの基礎専門に特化した高校へと再編することを提案したい。

○この辺が難しいよなー。

 あんまり若いうちから、自分の得意分野や適正は見極めれないのでは。

 この道でいこう!と専門に特化した高校に進んでも、
 入ってみたらあわなかったとか、仕事として続けるには力不足とか、
 少し年を経ないとわからないこともあるのでは。

 だからこそ幅広い知識や、自分の興味ある分野を見つけるための
 モラトリアム期間的な普通科、文系という選択肢が選ばれてきたのでは。

 少なくとも俺はそうだったな。

 アメリカの大学に行って、勉強そのものが楽しくなって人類学と国際関係を学んだ。その後の職業的意義は直接的にはなかったのかもしれないけど
 そこで身につけた「スケジュール管理」や「コミュニケーション」
「多様な価値観を受け入れようとする」ことは、今の仕事にも役立っているのかも。

 職業的意義をあまり短期に求めても、だめなのかもしれないなー。


・教育の意義を向上させるということは、特定の教育内容が学習者に
 要請されることの「理由」についてのアカウンタビリティー(説明責任)を
 教育に対して逆に要請し返す運動にほかならない。

・若者は「職業的意義」をもつ教育に裏付けられた職業能力という武器を
 携えて仕事の世界に入っていく。「教育の意義に基礎づけられた移行」こそが
 追求すべきモデル。

○その前提としては、やっぱり受け入れ先の企業が、若者の職業能力を尊重し
 それを発揮できる職場に配属するということか。

 しかしこれだといわゆるアメリカ式、ジョブディスクリプション方式になる。

 日本企業の現状にはあわないのでは。かつ変えていくとしても
 時間がかかるだろうし、本当にこの方向でいいのかという疑問符もつく

 日本型人材育成といわれる「ローテーション」が難しくなったり、
 それほどタイミング良く、その職業能力にあった職があるわけでもない。

 しかもいくら職業能力を身につけたからといって、所詮学校レベル。
 現場での仕事とは違うと思われるのでは。


○本田先生の「現行の学校教育に対する怒り(職業的意義がない教育)」と
「若者を救いたい(若者個人の問題では片付けられない)という想い」から
 生まれた本なんだろうな。

次はこの先生の「多元化する能力と日本社会」を読むべ。


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「聞きとりの作法」

「聞きとりの作法」



○企業を対象に質的調査を行う際の具体的方法が細かい点まで分かる。
 (営業活動における顧客ヒアリングでも役立つ)


(・引用/要約 ○関根の独り言)

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●はじめに


・企業での聞きとりの方法をかんがえる本

・数量分析だけで説明できる現象は決して多くない。
 むしろぬけおちてしまう情報が案外に多い。

・この本の主な目的は、企業の中での聞き取りの方法を具体的に説明すること。
 従の目的は、数少ない事例を調べてどこまで広い適用性を主張できるかを考える。


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●調査計画ー聞きとりの前に


・全ての探求は、まず問題の設定から始まる。それはその人の問題関心による。

○問題の設定は、本人しかできない。
 自分が何を知りたいのか、明らかにしたいのか。

 確かにそうだよなー。他者から「これ研究テーマとして面白いんじゃない」と
 本人が興味ない分野を言われても、しらけてしまうだろう。


・「例」こそ質的で非数量な事柄を追求する手掛かりである。

・話し手のコスト、特に時間を配慮する。意識せざる傲慢に気をつける。

○確かにそうだよなー。時間を割いてくれる相手への配慮。

 俺は、この配慮が足りなかったなー。手土産とか特に。すみませんでした。


 ただ、コストだけでなく、聞き取りによって相手に与えるメリットもあるのでは?
 話し手にとってのメリットは何か?

 −語ることで、本人がふり返る、内省の機会
 −自分の経験が整理される 新しいことに向かうきっかけとなる?
 −気持良く語れることそのものの楽しさ
 −自分の経験が研究者にとって意義あるものとわかる 経験への誇りを喚起
 

・仮説の設定が、実験計画の要である。ここを練り上げておかないと、既に
 わかっていることしかわからない。

・第一段階「分析概念」の設定とは、説明さるべきもの=被説明変数、
 それを説明する要因=説明変数、ときにその間に働く媒介変数を用意する。
 理由も考えておく。

 その前にやっかいなのが、被説明変数の例えば技能の高さを、どのようにして
 測定するかという問題がある。

 技能が高いとどのようなことが起こりそうか、そのあらわれ方を想定してみる。
 例えば、技能が高いと「問題への対応」と「変化への対応」が良くこなせる、など。

○これは大事だよなー。

 俺の研究の場合「新人が成長した」ということを、どう測るのかという問題がある。

 特に、第三者から見て「あの新人は成長した」と見られるのはどういう状態なのか
 を明らかにしたい。

 それは、本人の行動を見て

 −仕事を任せられる 期日内に終わらせられる 
 −報告、連絡、相談が的確 
 −スケジュール管理が自分でできている
 −自分から何か提案してくる 

 とか。

 あとは、他の新入社員(同期や後から入ってきた新人)を見て比較で評価するかも。

 −(Aに比べると)〜ができる、わかっている
 −(Aよりも)早い段階で

 とかかなー。

 ここは、もう少し深く考えてみよう。


・聞きとりは、話し手と聞き手の共同作業。

 共同できるほど、努力してきたこと、せめて勉強してきたことを、話し手に
 分かってもらうことが大切。

○これは、営業も一緒だよなー。その会社について勉強してきてくれないと、
 お客様は話す気になれない。


・仮説は複数用意しておくこと。

・話し手は、日ごろ大いに痛感していることがある。それをズバリ聞かれれば
 聞き手が当初思っていたことよりもはるかに深いことを話し手は語ってくれる。

○これはあるだろうなー。

 しかも外部の人間に言われると「我が意を得たり」って感じで
 熱く語ってくれるんだろう。

 そのヒットポイントを探すのが、仮説設定なんだろうなー。


・タイ、マレーシアと日本の技能比較をした際、まず「どこを見たら」その技能の
 異同がわかるのか、それを探した。

○「どこを見たらわかるのか」これが大事なんだろうなー。
 ここが分かれば、そこをチェックポイントにして観察すればよい。


・企業での事前勉強として、有価証券報告書を読んでおく。


・比較しながら語ることのできる人に、聞き取りをすると良い。
 比較こそが、事実に接近する近道である。

・もっともよく知る人の話を引き出すには、その人が主人公である場でこそ
 聞かなければならない。

○これが俺はできていなかったなー。今までのインタビューでは、教育担当の方に
 セッティングして頂き、応接室や会議室で話を聞くことが多かった。

 本来は、職場まで行って話が聞けるといいんだろうなー。


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●聞きとり


・「なかば構造化した聞き方(half-structured interview)」

・聞くべき要点をまえもって良く考えておく、仮説の重要性。

・実際の質問は、相手の答えにのって聞いていく。

・具体的に聞いていく。

○具体的に聞くためには、ある程度その職場や現場の様子がわかって、それを
 表現しながら、特定して聞いていかないとだめなんだろうな。


・何か答えがでたら、最近の「例」を聞く。

 量的な分析と違い、事柄の分析、つまり質の面についての追求の場合、
 例こそ命である。

・聞き取りはある程度、軽々しく決断できる人のほうが向いている。

・聞き取りはできるだけ職場で行いたい。機械のそばに立ったまま、あるいは
 職場の詰め所や休憩室で行う。

・職場での滞在時間を長くする。

○これが俺の今までの聞き取りではやってなかった点だよなー。


・まず組織を大まかに説明してもらい、その後焦点の職場をやや詳しく見せてもらう


・比較こそ事実への接近の大道である。できるだけ多くの職場を見ておくこと。


・相手からされる質問から、逆にどんなことに困っているか、それがよくわかった。

○これはあるよなー。OJT研修をやっていてもそう。

 −新入社員へのほめ方、叱り方(特に叱り方)
 −マナー、身だしなみ等の注意について
 −相手のモチベーションの高め方
 −個別具体的な対応(〜という新人にはどうすれば)
 −上手な教え方、効果的、効率的
 −新人の現状レベルの見極め方
 −忙しい中での指導時間確保の方法
 −育成計画の立て方、その運用の仕方

 こういう質問が多くでてくる。この辺が、OJT指導員の困っていること。


・聞き取りノートが、もっとも大切な一次資料となる。
 メモは浄書しておく。箇条書きではなくフルセンテンス。文章にして。

・ノートは保存し、門外不出とする。相手のプライバシーのために。

・聞き取りノートをくり返し読みなおし「コーディング」する。
 内容を一言で言いあらわす見出しをつけること。
 
・草稿を話し手にチェックしてもらう。


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●聞きとり調査の説明力


・聞き取り調査の説明力、数少ない事例を調べてその妥当性を主張する、を
 数量的な方法と比較する。

・聞き取り調査や事例調査でないと、逆に肝心な実態に迫れないこともあるのでは。

・聞き取りと数量分析、双方で補いあえないか、三角法で。


・名目論 nominalism と 実在論 realism の対立。

 もし名目論をとれば、個別具体的な知識こそがほんものの知識となる。
 他方、一般的な概念が存在するという実在論をとれば、多くの事例が存在し、
 数量分析が欠かせなくなる。

・個別例を、なぜ、どうやってと深くじっくりと聞いていけば、これだけでも
 広く他にも適用できそうなモデルが引き出せそうだ。

 わずかな事例であればこそ、深く掘り下げることができ、かえって広く説明力の
 ある一般的な仮説を形成できる。

○「聞き取り前に仮説を設定し、聞き取りでその仮説を検証しつつ磨きをかける。
  その上で、量的調査でその仮説の妥当性を検証する」という方法をとるといいのかな。


・深く見るには、事例の数が多すぎてはできない。
 ていねいな聞き取りは思いのほかに、一般的な仮説を構想する途なのだ。

○そういえば「新人を1人で育てず周囲の協力を得ながら行う」という
 “ネットワーク型OJT"の仮説を思いついたのも、あるメーカーで指導員の方の
 話を聞いていたときだったな。

 あの人のおかげで、その可能性に気づけた。ありがとうございます。


・数少ない事例の聞き取りに基づく仮説がどれほど一般性を主張できるか。
 
 その方策として、

 1)聞き取りの事例をまずはなるべく小さな「種」の中におさめる
 2)その上で2〜3の種にわたって観察事例を拡張する


・聞き取り調査で主要な変数の見当をつけ、それを複数の種の多くの個体に
 アンケート調査で聞いて確かめるという順序。

 この折衷主義=三角法 Triangulation こそが本道となろう。

・聞き取りを先に、アンケート調査はその後に。


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2009年11月15日

「“組織社会化”に関する論文の要点まとめ」

「“組織社会化”に関する論文の要点まとめ」


組織社会化研究で著名な尾形先生や竹内先生ほかの論文のポイントを、
私の理解の範囲でまとめてみました。

(・引用/要約 ○関根の独り言)


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●新人の参入が組織・職場・個人に与える影響

  尾形 真実哉 (神戸大学大学院経営学研究科 博士後期課程)


○2005年の論文?

・既存の組織社会化論では、新人が環境から影響を受け、学習し社会化されていく
 という議論は多いものの、新人が環境にも影響を与えているという相互作用の
 視点が欠落している。

・広範な組織社会化論を俯瞰することができるレビュー論文として
 Bauer et al.(1998) Fisher(1986) 高橋(1993)がある。

○読んでみよう


・文化触変(acculturation)というアプローチ

・定性的データを、グラウンデットセオリーアプローチで分析。

・古川(1986)は、マンネリ化を防止するために、組織内部に多様性を、異質性を
 抱え込むことであると指摘し、その方法の一つとして人材の新規採用をあげている

・新人が上司や同僚に“上司らしさ”“先輩らしさ”“社員らしさ”を認識させ、
 社会化を促進させるエージェントにもなっている

○これは面白いなー。言われてみればそうかも。

 新人が入ってくることで、先輩らしくなる。


・尾形(2004)は、新人のストレスの一つとして「モニターストレス」をあげている
 職場の関心が全て新人に向けられることで、新人にストレスを与えてしまっている
 もの。新人をサポートしようと思う意識が高い職場ほど、逆に新人にストレスを
 与えてしまうというパラドックス。

・新人が職場に参入して、社会や組織での現実にショックを覚える現象が、
「リアリティーショック」であるのに対し、新人が既存の組織構成員に及ぼす影響を
「ニューカマーショック」と呼ぶことができるであろう。


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●新人の組織適応課題

  −リアリティ・ショックの多様性と対処行動に関する定性的分析

    尾形 真実哉 (神戸大学大学院経営学研究科 博士後期課程)


○2006年1月

・若年就業者の適応課題とされるリアリティショック(reality shock)に焦点を
 定め、若年就業者の職場適応と定着を阻害する要因について深く理解することを
 目的とする。

・既存研究 Hall(1976)、Schein(1978)、Dean(1983)、鈴木(2002)
 
 ほとんどの既存研究が、組織参入前に個人が抱く期待やイメージと実際の
 組織現実とのギャップや相違によってリアリティショックが生じると定義。

・既存研究はリアリティショックという現象の理解が硬直化しており、
 リアリティショックの多様性の存在を看過させてしまっている。

・また既存研究では結果としての離職行動だけを論じており、新人の対処行動は
 看過されてしまっている。

・Strauss and Corbin(1990)は、質的タイプの研究に適しているものがあると主張。
・金井(1990)は、比較ケース分析の強みを主張。


・リアリティショックの3構図

 1)既存型リアリティショックの構造

    楽観的、非現実的な期待 → ← 厳しい現実
 
                 ↓
           既存型リアリティショック

 2)肩透かしの構造

    厳しさへの期待 → ← ぬるい現実

             ↓
            肩透かし

 3)専門職型リアリティショックの構造

    厳しい現実が待っているという覚悟 → ← 予想を超える過酷な現実
                      
                      ↓
                専門職型リアリティショック


・リアリティショックを生じさせる前提要因は「期待」だけではない。

 「期待、過信、覚悟」という「見通し(perspective)」が、
 リアリティショックを引き起こす前提要因。

○看護師以外の職業で「専門職型リアリティショック」にぶち当たるのは?

 消防士、自衛官、とかかな。


・既存研究では説明できないリアリティショックの多様性が見出され、そのような
 多様性を生じさせる要因として、リアリティショックを生じさせる前提要因と、
 組織現実の多様性の存在があることを(本論文では)提示した。


・リアリティショックへの対処行動の多様性

 1)肯定的 自己完結型 対処行動

    リアリティショックを克服することを成長の機会ととらえ、自分で努力し
    学習し、克服していこうとする。

 2)肯定的 他者依存型 対処行動

    他者からの支援によって克服する

 3)否定的 自己完結型 対処行動

    自分自身に無力感を覚え、リアリティショックの克服から逃避したり、
    諦めたり、妥協したり、解決を先送りしてしまう。

 4)否定的 他者依存型 対処行動

    直面しているリアリティショックを上司や先輩、同僚などに原因を帰属させる

・リアリティショックの効果として、短期的には「職務と組織への適応」ができること、
 長期的には「キャリア適応力」の形成。

・新人がリアリティショックを感受する対象として、仕事、組織、自己、人間関係の
 4つに分類される。

・これら4つに関する事前学習としてインターンシップは効果的。

○本田先生の本だっけな、インターンシップの効果は限定的というのがあった
 気がする。調べてみよう。


・「既存型リアリティショック」に遭遇している新人の克服を援助するためには、
 ケアリングや教育制度の充実化を図るとともに、再動機づけを行うことも必要。

・「肩透かし」に対する組織の対処方法として、新人に責任、自律性を提供すること
 が一つ。

・「専門職型リアリティショック」への対処法として、職場全体が新人を
 バックアップする制度を充実させること。


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●若年就業者の組織社会化プロセスの包括的検討

   尾形真実哉 


○2008年3月

・予期的社会化(anticipatory socialization)は、
 組織社会化(organizational socialization)の前段階。

・個人の組織社会化は、組織に参入する以前から始まっていると主張。

・Feldman(1976)は、予期的社会化の段階において社会化プロセスをスムーズに
 する2つの指標を提示し、この指標が個人にとってポジティブであればあるほど
 この後に続く社会化ステージもスムーズにいくことを指摘。

 2つの指標は「リアリズム realism 」と「適合 congruence」である。

・予期的社会化に影響を与えるものとして3つ。情報の質と情報源、訓練、期待。

 Wanous(1973、1992)は、離職行動を抑制するためには、採用候補者が
 職場参入前に抱く非現実的な期待を抑制することが必要であると指摘し、

 そのためには採用プロセスの際にネガティブな側面も含めた現実に基づく
 職務情報を採用希望者に提供することを提唱した。

 それがRJP(realistic job preview)である。


・組織に参入した新人が遭遇する課題は2つ。新人の内面で生じるメンタルタスクと
 組織や仕事について学習しなければならないというラーニングタスクである。


・リアリティショック発生のメカニズムとその帰結:文献レビューからの統合

○これ分かりやすいなー。

 既存研究をしっかり理解し、自分のものとしない限り書けないんだろうなー。


・Louis(1982)は、新人が機能的な組織メンバーとなるために成し遂げなければ
 ならない基礎的なタスクの一つとして「関係するプレイヤーをマッピングすること」
 をあげた。

○これは研修でやっている「人脈マップ」とも関連するなー。


・レビューされた組織社会化プロセスの「学習内容」を、尾形が分類。

 1)仕事に関する知識、スキル、能力、言語
 2)職場の同僚に関する名前、地位、趣味や性格、バックグラウンド
 3)組織内、職場内の人間関係
 4)組織文化と職場文化
 5)組織内政治と職場内政治
 6)伝説や儀式などに関する組織の歴史
 7)組織や職場で評価される、あるいは評価されない行動パターンや
   具体的な評価方法、評価基準
 8)組織や部門の役割
 9)組織内、職場内での自分の役割
 10)競合他社や取引相手、顧客、支店、子会社などの外的環境、ネットワーク


・新人の組織社会化を促進する役割を果たす「社会化エージェント」

・Louis, Posner and Powell(1983)は、社会化アイテムとして「訓練」「経験」「人」
 の3つをあげた。

 組織社会化を援助する要因として、特にピア、上司、年上の同僚との相互作用の
 3つの重要性を指摘。


・最近のメンタリング研究では、1対1の関係性よりも1対複数で形成される
 部分的メンタリングの方が、プロテジェに良い影響を与えることが指摘されている
 (Higgins 2000)

○これ読んでみよう!


・Fisher(1986)によると、新人がどのようにしてエージェントを選択するかは
 あまり知られてはいない。

・新人自身が様々な仕事経験から良質な人間関係を築き、その中から尊敬できる
 人物を自分自身の意思でメンターとして選択することが、最も有意義な
 メンターとプロテジェの関係性と考えられる。

○これは確かにそうだよなー。

 会社から「この人があなたのメンターです」と与えられてもなー。


・Feldman(1977)は、社会化における加入儀礼を、従業員としての適性の増加に
 役立つ「タスクイニシエーション」と、従業員としての受容感の増加に
 役立つ「グループイニシエーション」の2つにわけて捉えている。

・新人が円滑な組織への社会化を達成するためには、職場グループに受入られる
 ことの重要性が指摘されており、それはグループの風土や職場文化、職場内の
 人間関係などの職場要因が関連していると考えられる。

・Van Maanen and Shein(1979)は、組織の採用する社会化戦術を6つの次元に分類

・Gundry and Rousseau(1994)は、新人が経験するクリティカルインシデント
 (重要な出来事?)は、新人の重要な学習機会となっており、そこからの学習が
 新人の行動規範に影響を与えていると指摘。

・Van Maanen(1976)の適応モデルは、職場や組織から新人が受入られるかどうか。

 若林(1995)は、新人が経営目標と職場慣行を受入れられるかという適応モデル。


・Sheinによると、昇進などのコンスタントな再社会化のプレッシャーが存在している
 ため、組織内で創造的個人主義を維持することは特に困難だと主張。

○これは確かにそうだろうなー。組織に染まらないと、組織からは評価されない。


・Bauer et al.(1998)は、組織が個人の組織社会化プロセスを理解することの
 重要性を3つ提示している。

 1)コスト削減に有益
 2)従業員の内面に影響
 3)組織文化を伝達する手段

・Chao(1988)は、組織社会化が個人に与える潜在的な欠点として
 新人の役割過負荷(role overload)を上げている。新人にとって主要なストレス。

・田尾(1995)は、過剰な帰属意識は、反社会的な行為に無神経にさせると指摘。

○これはあるだろうなー。
 1社目の販売会社は、この過剰な帰属意識を醸成しようとしていたのかも。


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●若年就業者のキャリア展望と組織定着の関係に関する実証研究

  −専門職従事者と非専門職従事者との比較を通じて


○2008年12月

・企業と個人の関係性は本当に短期的になったのか

・加護野、小林(1991)は、終身雇用制と年功序列制の密接した関係性を
 若年期の「見えざる投資」で説明した。

 このようなシステム下においては、企業と個人の間に長期的な関係性が約束
 され、途中で会社を辞めることは損失となった。

・日本においては、組織と個人の間で、長期的な関係性を構築することを前提に、
 キャリア形成が行われることがふさわしいと考えられる。

・本稿の仮説は、組織内での明確なキャリア展望を抱かせることによって、
 組織への愛着や定着を促進することができるというものである。

・若年就業者の組織への定着を促進するためには、組織におけるキャリアの展望を
 抱かせることが重要であり、そのためには若年就業者にキャリア展望の先行要因
 となる受容感や成長感を抱かせる経験をさせ、幻滅感を抑制することが重要な
 組織的施策になると言える。

・尾形、金井(2008)は、早期離職者と在職者のインタビューデータを分析し、
 その相違として、在職者は現在の仕事経験が将来の理想自己に「連鎖」している
 のに対し早期離職者の場合は、現在の仕事経験と理想自己の間に「断絶」がある
 ことを見出している

・組織や職場から受け入れられたと感じる受容感を生起させるためには、
 グループイニシエーションを通過させることが重要である。

・若年ホワイトカラーと看護師のキャリア展望の先行要因として双方に影響を
 与えていたのは、成長感のみであった。

 若年就業者のキャリア発達のキーワードとして成長感をあげることができる。

・加藤(2004)は「キャリアミスト」と「キャリアホープ」というペア概念を提示。

 キャリアミストとは「自己の将来キャリアに関する不透明感」
 キャリアホープとは「自分の将来に関する不透明感の中でも、自分にとって
 望ましい状態に到達できる可能性はある、という感覚」

・加藤(2002)は、自分の将来に関する情報が全て得られて、先が見えてしまったと
 同時に、将来への希望も失ってしまうことになる。

 キャリア展望の良さと不確実性の高さのバランスが重要であろう。


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●導入研修が新人の組織社会化に与える影響の分析

  −組織社会化戦術の観点から

      尾形真実哉

○2009年3月

・A社において、導入時研修が、新人の組織への適応にどのような役割を
 果たしているのかについて分析、考察する。

○タマノイ酢?

 
・個人の社会化を促進させる組織からの働きかけを社会化戦術
 (socialization tactics)と呼ぶ。

・日本における社会化戦術の典型が、新人教育(OJTやOff-JT)と言える。

・OJTが有効な人材育成手段である最大の理由は、それが仕事を実際に行った
 経験を通じての学習だからである。(守島 2004)

・小池(2005)は「フォーマルなOJT」という概念を提示。
 フォーマルなOJTは、職業的社会化を促進する傾向が強いのに対し、
 公式メンターは、組織文化に関する社会化を促進する。

・日本企業の新人研修は、新人の既存の組織構成員の足並みを揃えること重点。
 文化的社会化の側面が強い。

・A社の導入時研修では、肉体的トレーニングも行われる。

・A社の導入時研修には、新人の組織社会化に影響を与えている特徴として
 「厳しさ」と「不変性」がある。

・導入時研修の「厳しさ」が与える効果

 1)タブラ・ラサ効果
 2)ヨコとの連帯感の醸成
 3)タテへの信頼感の醸成
 4)自己効力感の醸成
 5)組織コミットメントの醸成

・Louis(1980)は、新人が新しい役割を身につけるプロセスには、
 古い役割を一気に捨て去るプロセス(tabula rasa process)と
 徐々に古い役割を脱ぎ捨てるプロセス(event-anniversary process)があると主張

・Van Maanen(1976)は、新人に地位、価値、品位、評価を下げる経験
 (debasement experiences)をさせることが有効と指摘。

 これは厳しさや屈辱を与えることで、新人を型にはめていくプロセスで、
 新人の自己イメージを取り上げ、以前の役割を手放すことを強制し、新しい
 行動的性質を創造させることができるからだと言う。

・Aronson and Mills(1959)は、ある集団の成員になるために厳密な入会手続きを
 経験した個人は、その集団に対する自分の好意度を増大させると結論づけた。


・導入時研修の「不変性」が生み出す効果

 1)コミュニケーションツール (共通の話題)
 2)メンバーシップの獲得 (先輩社員の新人への適応も促進)

・導入時研修によるネガティブな感情も、研修が進むにつれて解消されていく

・A社の導入時研修は、通過儀礼と捉えることができる。

 新人や既存成員といった個人に影響を与えているだけでなく、組織文化の継承と
 いったマクロ的な効果も存在している。

・欧米型の仕事の知識やスキルを重視する職種別採用ではなく、新卒一括採用が
 一般的な日本においては、新人に対して仕事の知識やスキルよりも、組織の
 文化や行動規範を理解させることの方が、優先事項になると考えられる。

・A社の導入時研修は、肉体的、情緒的な側面が強調されており、それが
 実践的な内容であることを新人やトレーナーの口から聞くことができた。

○これは先日の「人材教育フォーラム」での日本旅行の事例(スパルタ教育)や、
 お手伝いしているJ社の話とも重なるのかも。

 ただ、単発研修の厳しさだけでなく、A社のよう会社全体のかかわりがないと
 効果も限定的なのだろう。 組織社会化という観点から考えても。


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●新人参入の組織論的考察 −職場と既存成員に与える影響の定性的分析

   尾形真実哉

○2006年?

・バブル期には多くの人員を採用したにも関わらず、バブル崩壊後に長い間、
 新卒採用を凍結したことによって、企業内の人口構成はいびつなものとなった。

・なぜ新卒採用を行うことが有益なのであろうか

・学校から職場への移行(school to work transition)を果たした新人が、
 いかにして職場になじんでいくのかを多角的な視点からとらえているのが
 組織社会化論である

・Bell and Staw(1989)は、新人は環境からの働きかけに対して受動的な存在
 (people as sculpture)ではなく、能動的で自己社会化への動機付けをもつ側面
 (people as sculptor)であると主張。

・Feldman(1994)は、新人は環境にも影響を与えていることを提示。

・既存研究と本稿の分析視点の比較

   社会化されていない新人 ← 職場・既存成員  (既存研究の視点)

   社会化されていない新人 → 職場・既存成員  (本稿の視点)

○こうやって明確に示せたらいいなー。


・定量的手法は、理論の立証や確認をするという課題のために発展し、
 定性的手法は、理論を発見する、あるいは生成するという課題のために発展。

・新人参入の影響の関するまとめ

 1)個人レベル 
 
   + ポジティブ  ← (新人の果たす役割)社会化エージェント

    学習機会の創出、指導機会の創出、原点回帰、
    モチベーション向上、職務再設計

   − ネガティブ  ←  ストレッサー

    心理的負荷、時間的負荷、職務負荷 


  2)集団レベル

   + ポジティブ  ←  ファシリテーター、変革エージェント

    集団学習機会の創出、コミュニケーションの活性化、職務再設計

   − ネガティブ  ←  ボトルネック

    仕事の停滞、信頼関係の亀裂


・今まで雑用をこなしていた若手社員は、自分の職務遂行の負担であった雑用を
 新人に任せることで、雑用から解放され本来業務だけに集中できる。

・新人の参入が既存成員間のコミュニケーションを活発にしたり、他部署との
 コンタクトが再生できたりする。

・組織は新人を参入させることによって、既存成員に「出会いの場」と「議論の場」
 を意図的に作りだすことができる。

・新人は、ほぼ外部者の視点で職場に参入してくる。

 新人こそ枠を外すチェンジエージェントになれる可能性を秘めている。


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●組織社会化施策が新規学卒就職者の組織適応に与える影響

  竹内倫和(明治大学経営学部)竹内規彦(愛知学院大学経営学部)


○2004?

・入社1年目と2年目に実施した縦断的調査に基づき検討する。

・欧米を中心にして、組織社会化戦術の組織適応に対する影響の検討は
 されているが、日本ではこれまでほとんど検討が行われていない。

・組織社会化に対する因子分析結果より「課業次元」と「組織次元」の
 2因子が明らかになった。

・3つある「文脈的」「内容的」「社会的」組織社会化戦術のうち、
 「社会的」組織社会化戦術が、新規学卒者の組織への社会化を高めると同時に、
 結果変数として入社後1年間の組織コミットメントの変化量に対して
 正の有意な影響を与えていた。

 社会的社会化戦術の重要性が示唆される結果となった。

・社会的社会化戦術とは、組織メンバーが新規参入者の役割モデルを果たす、
 あるいは新規参入者が組織メンバーから効果的なソーシャルサポートを受ける
 ことを意味しており、メンタリングに近い役割といえるだろう。

・新規学卒者は、非公式メンターシップなどの社会的社会化戦術を受けることに 
 よって、組織への社会化を高めかつ組織への積極的な関与を高めたものと思われる

・組織社会化の中で「組織次元」のみが結果変数に対して有意な影響力を有している
 ことが明らかになった。

 職務(課業)に関する社会化は、結果変数に対して有意な影響を与えない一方で、
 他方組織に関する社会化は、組織への積極的意欲や目標や規範、価値観への
 受容度を高め、転職意思を抑制させることが分かった。

・入職後においては、本研究によって効果が確認されたメンター制度など 
 社会的社会化戦術を企業が積極的に導入することが一つの方策として考えられる。


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●新規学卒就職者の初期キャリアにおける態度変容とリアリティショック
  
   −縦断的調査に基づく検討

     竹内倫和(明治大学経営学部)

○2003年?

・組織社会化とは「組織への新規参入者が、組織の規範、価値、文化を習得し、
 期待されている役割を遂行し、職務遂行上必要な技能を獲得することによって
 組織に適応すること」(高橋、2002)と定義される概念である。

・入職1年目と2年目の縦断的調査に基づいて、新規参入者の態度変容および
 リアリティショックの態度変容に対する影響の検討を試みた。

 本研究の結果、以下の点が明らかになった。

・入社後1年間において、新規参入者の勤労意欲が低下することが確認された。

 新規学卒者は組織の目標や規範、価値観の受容度を低下し、新しい知識や技術を
 獲得しようという意欲(モチベーション)も低下していることを示唆。

 それと同時に転職の意思も高めている。

・新規参入者の態度変容に対して、リアリティショックが否定的な影響を与えて
 いることが確認された。


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●新規参入者の組織社会化メカニズムに関する実証的検討

  −入社前・入社後の組織適応要因

    竹内倫和(東京富士大学経営学部) 竹内規彦(東京理科大学経営学部)


○2009年

・新規学卒者は、入社後の初期キャリア発達課題として、組織への社会化を通じ、
 円滑な組織適応を果たすことが求められている。

・本研究の分析フレームワーク

○すっきり整理されていて分かりやすい。こういうのを作れたらなー。

・(調査1)調査方法は、新入社員研修を実施している企業において、
 質問紙の配布、回答を依頼した。合計297部の回答を得た。

・(調査2)183名の新規学卒者の入社直後と1年後の質問紙調査。

○研修での質問紙配布。これなら俺もできるかも。


・(調査1)企業が求職宣伝施策を行うほど、新規学卒者の転職意思を抑制する一方、
 広報施策を行うほど、転職意思を高める傾向があることを示した。

・(調査2)企業が新規学卒者向けの組織社会化戦術を積極的に展開することにより
 新規学卒者の組織適応に必要な態度や行動、知識が獲得され、この組織社会化
 学習内容が高まることによって、1年後の組織適応が高まるという一連の
 プロセスが明らかになった。

・本研究によって

 1)初期採用施策の中でも「求職宣伝施策」を企業が積極に展開することによって
   入社直後の新規学卒者の組織コミットメントが高まり、転職意思が抑制される
   ことが明らかになった。

 2)入社前の個人要因と入社直後の組織適応との関連に関して「自己キャリア
   探索行動」のみが、入社直後の新規学卒者の組織コミットメントおよび
   達成動機を高めることが明らかになった。

 3)入社直後の組織適応が社会化学習内容に正の影響を及ぼし、組織社会化で
   必要な学習内容を獲得することによって、1年後の組織適応が高まるという
   一連のプロセスが明らかになった。

 4)企業施策である組織社会化戦術が、新規学卒者の組織社会化学習内容を
   媒介して、1年後の組織適応に正の有意な影響を及ぼすことが示された。


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●新卒採用プロセスが内定者意識形成に与える影響−製造業大手A社のデータを用いて

   林 祐司 (首都大学東京)


○2009年

・一般に企業の採用プロセスは、機能面から整理すると「選別 selection」と
 「誘引 recruitment」の二面に分けることができる。

・新卒採用プロセスが、内定者意識形成に与える影響について「誘引」という
 側面から実証的に分析する。

・本稿では、採用広報プロセスと採用選考プロセスが、企業の従業員の最初期に
 ある内定者が企業に感じる魅力という意識に対し、どのように影響したかを
 明らかにする。

・竹内ほか(2008)は、どのような採用広報施策が有益なのかを、我が国のデータを
 もとに分析した貴重な研究。

 求人広告など募集活動で使用する媒体を魅力的にする「求職宣伝施策」が
 組織コミットメントと転職意思(抑制)に有益な結果をもたらすことを明らかにした

・Allen,Mahto & Otondo(2007)では、企業の採用ウェブサイトに満足している者
 ほど企業に対する印象が良いことが明らかにされている。


・本稿の分析結果から、総じて採用広報や採用選考を適切に行うことで、
 新卒採用プロセスは、組織的予期的社会化の一助となることが示された。

・好感度が高い説明会を開催することで、採用広報プロセスは、有益な
 組織的予期的社会化施策になりうると言える。

・採用担当者の対応の好感度が高いとき、望ましい意識形成がなされうる。

○これは確かにあるよなー。K社でもよく聞いた。


・いわゆる「圧迫面接」は企業への評価を下げる可能性がある。


○採用プロセスそのものが、現場配属後の新人の仕事、職場への適応や、
 離職にも影響してくるということか。

 採用のとき好印象をもっていれば、職場でも頑張ろうとするということかな。

2009年11月13日

「人材教育フォーラム2009」に参加してきました。

09年11月12日(木)12時45分〜14時15分

JMAM人材教育主催「人材教育フォーラム2009」

「若手人材の育成で組織を活性化させる」パネルディスカッションに

参加してきました。

私の理解の範囲で、どんな内容だったかお伝えします。

(・講演内容 ○関根の独り言)

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●中原先生による導入


・若手の育成は、学術的には「組織社会化」という観点がある。

・組織社会化のパワフルなエージェントは「人」である。上司、先輩、同僚。
 80年代の若林先生の研究でも「最初についた上司の影響の大きさ」が言われている

○この先生の研究を読んでみよう。


・日本企業にかつてあったと考えられる「非意図的で暗黙の仕組み」がなくなった。

・人事部は「若手育成」といったときに対象の若手だけでなく、
 上司などにも働きかける必要があるのでは。


・新人が入ることで、組織への影響「相互社会化」もあるのでは。
 後輩ができることで、元気になる2年目社員とか。

○これはあるだろうなー。

 この分野の研究は、尾形さんの「組織社会化と組織活性化」以外だと、
 どんなのがあるんだろう。

 これを明確に示せると、新人採用や育成のメリットを、経営陣や現場に
 説明しやすくなるかも。


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●あすか製薬 人材開発センター 澤田幹夫氏


・「部下の成長は、上司の仕事」という考え方

・かといって上司だけに、部下育成を任せるとつぶれてしまう。


・若手が受ける研修は、上司もセットで内容を理解し、指導するようにする。
 研修前後に、上司がからむよう働きかける。

・会社の重点施策と関連して、部下指導が行えるよう。
 研修と業務の紐付けを意識している。

・若手と上司をセットにして、教育を提供。


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●日本旅行 総務人事部 加藤浩章氏


・採用 07年128名、08年148名、09年132名、10年30名
 (06年以前は、5〜60名の採用)

○07年〜09年は、各社ともに採用数が多かった。

 この層と、この前後の層の人数構成が、あとあと響いてこないのかな。
 バブル期の3年間(バブル、バブラー、バブレスト?)の採用時期のように。
 

・若手自身に「折れない心」を作ってもらう「心に筋肉をつける」

○この言葉いいなー。俺が考える「学び上手」とも近いのかも。したたかに学ぶ。


・1〜7年目までを研修する。(1年目、3年目、7年目)

○7年目で一人前という考え?


・導入教育は、スパルタ 20日間 
 3日間外部 泣いたり脱走したりするぐらい厳しい研修。軍隊調。

 最初やりこめる、3日目には達成感

○これは「組織社会化」の一つのやり方として、Van Maanen(1976)がいう
 「新人の地位、価値、品位、評価を下げる経験(debasement experiences)」
  というものかな。

 「一連の自己卑下や不名誉、屈辱や冒涜を通じて、
新人を型にはめていくプロセス」(尾形2008)


・研修がない年次は、人事部が現場にいって面談をしている。

○これも1人でやっているとしたら大変だよな。研修を回しながら現場にも行く。
 でも、それがいいのかも。研修ばっかりまわしていても現場との接点がなくなる。


・「里親制度」を、09年から始めた。各地域において、四半期に一回飲ませる。

・離職率の低下、後輩育成の意識向上


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●森永製菓 人材開発センター 曲尾実氏


・採用 09年50名、10年30名、

・3年間で自律型人材を育成

・新人研修は、3ヵ月。うち5月は、配属される職場での実習。

○これよさそう。自分が働く職場に実際いって、かつ戻ってきて、6月は同期と
 研修が受けられる。

 かりに「リアリティーショック」があったとしても、尾形さんのいう
 「肯定的他者依存型対処」ができるかも。

 同期同士で、励まし合って、7月からの配属への準備ができるかも。


・新人のうちからキャリアについては考えさせている。

・1年目研修から2年目研修の間は、通信教育でつないでいる「シゴトレ」

○JMAMさんの「シゴトレ」って結構売れているのかも。(あすか製薬、森永製菓)


・OJTトレーナー制度、メンター的な役割。

 配属直前(6月?)、中間(10月)、終わり(2月)の3回「トレーナー研修」

○これは結構手厚いなー。少なくとも、中間のミーティングだけでもやると
 いいよなー。

 配属直前のOJT研修だけでなく。


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●ディスカッション(近くの方と3人で)


・「育成する側」とセットでという考えが面白い。

・業務と研修の分離は確かにある。

・うちは、スパルタ研修はやってない

・世代に断絶がある。学んでいる技術も違う。価値観も違う。

・育成の概念を変える。「手とり足とり教える」のが育成ではなく「環境を作ること」

 育ちやすい環境を作るのが、マネジャーの仕事。

・上司も若手が育たないと落ち込む。でもどうやったらいいのか分からない。

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●質疑応答


・上司と部下のセットとは言っても協力しない上司もいるのでは?

 →人事部とラインでのワークショップにより、信頼関係ができているので、
  反対はない。

・メンター活動を具体的に

 →4年目以降社員が、新人のメンターとなる。ただペアで終わらないよう
  上司にも絡んでもらい、上司がメンターと話す機会を作っている。
 
  メンターが相談する相手がいないという状況を作らないよう。

○これってやっぱり大事なんだろうなー。OJT指導員一人に指導を押し付けない。
 指導員やメンターにも相談相手が必要。彼らは新人に弱みを見せにくい。


・スパルタに今の新人がついていけるのか?

 →ついてきている。ついてくるよう仲間に手を差し伸べるようにしている。
  人事は「で、どうしたいの?」と問いかけるだけ。

・「折れない心」をつけさせるために?

 →本人が納得いくまで考えさせる。会社を出ることもいとわない。
  自分で決めて、会社にいてほしい。あるいは出てほしい。


・新人へのキャリア教育は、寝た子を起こすのでは?

 →管理職から先にやって評価が高かったので、全社展開している。その心配はない。


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●中原先生からのコメント


・若手育成を「対処療法」でいくのか「環境作り」でいくのか。

・見直しの単位は「職場」では

・でもどこまでコミットするのか、環境といったときに。

 そして、民間ベンダーはどんなパートナーシップを結ぶのか。


○職場に対する働きかけは、何とかできるかも。
 外部の人間が、職場にいって、職場内ワークショップをやるのも一つだよな。

 これは今後の研修事業の一つとして考えていかないと。

 本社に呼んでの集合研修ではなく、現場に飛んでのワークショップ。


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(今回も非常に参考になりました。どうもありがとうございました。)

  雑誌「人材教育」http://www.jmam.co.jp/jinzaimm/index.html