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2009年12月31日

「知識経営実践論」 

「知識経営実践論」 

  妹尾 大 (著), 野中 郁次郎 (著), 阿久津 聡 (著)

○伝統的な経営学の切り口とは違う「知識経営」という概念を用いて
 企業事例を分析。「マエカワ」「ドコモ」の事例が特に面白い。


・2001年

(・引用/要約 ○関根の独り言)

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●序章


・知識経営の本質は、新知識の創造である。

・ナレッジマネジメントは、既存知識の共有ないし再利用ばかりを強調している
 ように見える。

・共有はあくまでも創造の前提であって、目的ではない。


・知識創造理論の中心をなすSECI(セキ)プロセスの背後には、
 哲学的方法論がある。


・組織の課題を「知識経営」という考え方を用いることで解決したいと考えて
 いる人々に思考の材料を提供することを主たる目的とした事例集が本書。


・価値創造の源泉は知識にある。


・知識創造理論の骨格をなす3つの要素
 1)暗黙知と形式知の相互変換作用を表現する「SECIプロセス」
 2)知識創造(意味創出)を可能とする文脈としての「場」
 3)SECIプロセスの材料ともなり成果ともなる「知識資産」

・知識創造プロセスの推進力となった活動や要因を「ナレッジイニシアティブ」
 と呼ぶ。


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●1章 連続的な自己革新


◎セブンイレブンジャパン「変化への対応と基本の徹底」

・7−11の高収益を支えているのは「変化への対応」「基本の徹底」という
 二本柱の基本理念。

・徹底したアウトソーシング、組織は極限までスリム化

・商品企画部に「ブラブラ社員」と呼ばれる「1日中好き勝手に過ごしてよい」
 自由な社員がいる。

 ブラブラ社員には、まだ7−11のシステムになじんでいない男女2名ずつの
 新卒社員が選ばれている。

 彼らは会社組織に飲み込まれておらず、年齢的にもターゲット顧客に近い。

○これ面白いなー。「ブラブラ社員」

 組織社会化される前の貴重な時期を活かす。あえて組織社会化を遅らせる。


・会議にこだわるのは、時間と空間を共有しなければ伝わらない情報があるから。


・消費者と接することが重要と考える7−11では、新入社員をすぐに本社の
 部門に配属することはせず、最低でも2年間はOFCを経験させる。

・7−11では毎日がOJTのくり返しである。成文化されたマニュアル類など
 は一切無いという。毎日が変化へのキャッチアップ。

◎花王「TCRによる継続的自己革新」


・「オモチャ箱方式」全社の業務を一度ひっくり返して、本当に必要なものだけ
 箱に戻す。

・TCRを通じて人材の多機能化を図り、また業務の見直しによって優秀な人材を
 余剰資源化して、新規事業や国際展開に投入することが大きな目的。

・花王の変革活動は、15年間以上もマンネリ化することもなく、継続、維持され
 さらに進化、飛躍し続けている。


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●2章 知識創造理論の実践


◎エーザイ「hhc活動と知創部の設置」


・O病院の院長は、自分の親を安心して預けることのできる病院を目指し、
 どうしたら親が安心し喜ぶだろうかということを判断基準とした。

・O病院での病棟実習において、頭で理解した理念が、現実さの重さを伴って
 実感されてくる。

・薬は単なる道具

・参加者の大部分が患者に直接接したことによって、単に物理的に介護体験を
 して現場を知ったということに留まらず、介護をしているスタッフの働きぶり
 にも触発され、自らの仕事のあり方、ひいては自分の人生そのものに対して
 深く考える機会を得ている。

・後輩の指導育成に関しては、それまでのベテランが新人の担当エリアに同行
 するというスタイルに加え、新人がベテランの担当エリアに同行するという
 スタイルのOJTを導入した。

・サーベイの結果、業績の高い組織は共同化、表出化、連結化が優位に高く、
 リーダーシップ、知識の組み合わせ能力も高いといういうことが分かった。

 つまり知識創造活動を積極的に行っているところは高い実績を出している
 ことがデータによって証明された。


・実際に医薬品が使用される現場である病棟に入り込んで、介護を体験すると
 いう研修プログラムは、世界でも類をみない試みであった。

○研修内での強烈な体験。それが意識、行動を変える。


◎NTT東日本「知識創造オフィスの構築」


・educate に最もふさわしい訳語は「開智」

・組織内のイントラネットに個人ホームページの作成を指示。
 企業の中で個人が見える仕組みを作りたかった。

○これ面白いなー。確かに個人ホームページがあれば、
 日報もそこで作れるし、個人の色々な側面を出させることができるかも。


・観葉植物を「動くパーティション」として使用。

・座席をフリーにすると、誰が隣に座るか分からないので、色々な人と出会う
 ことができる。「予期せぬ遭遇」を創りだせる。

○フリーアドレス制で、本当に座席は固定化しないのかな。

 やっぱり自分にとってなじみのある席に座りたがるし、
 それを知っている周囲もその席に座ることを遠慮するかも。


・大画面モニターに映し出された資料は、その場で修正することができるため
 暗黙知の共有から形式知の結合までの知識創造プロセスを一気に行える。


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●3章 製品開発の仕組みづくり

 
◎トヨタ「全社的取り組みとしてのプリウス開発」


・主要な要素技術は内製する方針をトヨタはとってきた。
 「メーカー」ではなく「アセンブラー」になってしまうという不安から。

・「バックアップ案を作らない」という開発手法。

・これまでのトヨタでは起こり得なかった「全社的な場」の形成が大きい。

・場の活性は、トップによる「カオスの発生」と担当者による「情報共有の促進」
 によって行われた。

・部門を超えたネットワークが構築されたことによって、信頼の輪が拡大した。

○ 信頼の輪=ソーシャルキャピタル といえるかな。

◎ソニー「知識資産とバイオ開発」


・トップがデザインの重要性を十分に認識している。

・他のPCメーカーはスペックから入ったが、バイオは色や手触りなとから
 入っている。


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●4章 顧客との共創


◎良品計画「生活者視点からの商品作り」


・良品計画の強みは商品の企画から販売までをマネジメントしていることと
 そのレスポンスの速さにある。

・優秀な店長候補は小売業界全体で不足している。

・商品企画、開発を消費者を巻き込んだ形で行っている。


 
◎前川製作所「顧客との共創の場作り」


・マエカワでは、独立法人経営という独自の経営スタイルをとっている。

・自分たちが中心になって稼がなければ誰も助けてくれないという危機感や、
 事業に失敗すればつぶれるかもしれないという恐怖感は、必然的に
 当事者意識を醸成した。

・業界に合わせたモノづくりの体制を真剣に考えるしかなかった。

・マエカワはタカキにパン作りの全行程を教えてほしいと依頼した。

○p307の質問 顧客を理解するのに役立つ。

○この事例は、ストーリー性があり、読んでいて楽しかった。
 アップダウンが大事なのかも。


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●5章 新事業の創出


◎NTTドコモ「iモードサービスの開発と事業化」


・1996年「ボリュームからバリューへ」

・榎から「中途半端な関わりではなく、やって頂くんだったらフルコミット
 してほしい」と言われたことが、松永真理を動かした。

 夏野剛は、ウォレットPCのアイデアをもっていた。

・ものは名前をもって生き始める。

○この事例も面白い。読みながら鳥肌がたった。ドラマがある。
 人が生き生きと表現されているからかな。


・他の企業やユーザーが参加できるように知識創造プロセスを開放しておくこと
 によって、単独企業ではなしえなかったような大きな知識創造プロセスが
 実現された。

○最近の本、平野氏の「プラットフォーム戦略」でもドコモの事例は扱われている。

◎セコム「綜合警備保障から社会システム産業へ」


・3条件を自分たちに課すことであった。
 1)人から後ろ指をさされない、努力すれば大きくなる事業
 2)未開拓、新分野の事業
 3)前金のとれる事業

・社会から糾弾されたことで、本物のセキュリティ会社になれた。

・セコムの憲法
 〜他のいかなる組織が実施するよりも、セコムが事業化し実施することが
  最適であるとの判断が重要。他の組織が最適な場合には、他の組織で実施
  する方が社会にとって有益である。

・セコムはサービス業には珍しく、研究部門、開発部門、製造子会社をもつ。

・様々な切り口での顧客接点が多いということは、会社にとって貴重な財産。

・経営者の一番の役割は、グランドデザインを描くこと。
 デザインというものは人には相談できない。会議にもできない。

・詳細システムはミドルがデザインする。そうすると人間はこのシステムを
 自分が作ったと思うようになる。これが一番いい。

・セコムの知識創造経営は、創業者個人の中に描かれた暗黙知が、SECI
 プロセスを通じて、グループ全体に伝播していった事例といえる。


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●6章 知識の伝達と継承

 
◎福光屋「酒蔵における知の伝達」


・熟練職人技能の継承という問題に対して、福光屋では酒造用語を整理する
 といった「暗黙知の表出化」という方法を用いて対処しようとしている。

・晩酌の習慣が定着していない2〜30代の若年層にいかにアピールするかが
 今後の日本酒の消費拡大における課題となってきている。

・日本酒の醸造の季節は冬に限られている。

・醸造工程における伝統技能を分析する一方で、その中で昔から使われてきた
 言葉を大事にする姿勢を保っている。

・技能を習得するのは、現場が一番いい。現場のあとで、座学をすると、
 ああそうか、そういうことかと、シューとはいっていく。座学を先にするとダメ。

・季節労働の蔵人よりも、通年雇用であることで、年間を通して日本酒に対する
 興味を持ち続け、常にセンサーを働かせることができる。

・酒販店が各黒帯会の会員となるには、3年以上の福光屋との取り引きが必要。

・熟練職人に対して、作りたい酒のイメージを触発し続けることがトップの役割。

・社長を超えた酒はできない。


・表出化すべき部分とそうでない部分を丁寧に見極めた。

・表出化においては「リーダーの豊かな比喩的言語や想像力」が各人の暗黙知
 を引き出すために重要な役割を果たす。

◎新日鐵「ニューエコノミーに移行する既存大企業の変革プロセス」


・既存の鉄鋼事業で培った高い技術力を武器として、金融ソフトをはじめとする
 システムソリューション事業で目覚ましい成果をあげている。

・最後は「彼ならきっとできる。彼でだめなら仕方ない」というところで
 読み込むしかない。

・日本IBMでハイパフォーマーを特定する要因を探るために、様々な要因を
 調べたが、結局ハイパフォーマーとその他の人を区別することができたのは、
 唯一「誰がその人を採用したか」であった。

・ハイパフォーマーを探し出すのは、結局直観しかない。


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●特別寄稿


◎日本ロシュ「スーパーナレッジクリエーション」


・社長直轄の24名のMR部隊が、スキルを1カ月のフル同行で伝達する。

・他者に説明する為自己の知を分析的に捉えなおすことによって、自己の
 暗黙知が磨かれていくのである。


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●終章 知識経営の実践


・知識創造理論は、知識経営という一つのパラダイムの核となる理論であり、
 組織経営に関わる様々な現象に対して有効な分析の視座を提供するものである。

・従来の伝統的経営学では、企業革新、組織設計、製品開発、顧客管理、
 事業創造、人材管理という切り口で分析されていた諸現象について、
 知識経営パラダイムを導入することで新たな分析が可能となった。

・共同化の背景となっているのは「現象学」である。

 現象学とは、自らの体験を反省しつつその本質を記述する方法論。
 真の知識は心身全体を使った直接経験によってのみえられる。

・表出化の背景となっているのは「哲学的対話」である。

 対話という相互作用とそこで生まれる創発的な発見の連続によって知が生まれる。

・連結化の背景となっているのは「合理主義」であr

 二元論は、既存の形式知を体系的に収集し、それらを体系づけ、新しい形式知
 を作り上げるプロセスにフィットする。

・内面化の背景となっているのは「プラグマティズム」である。

 知識や理論は毎日の生活の実践の中で検証され改善されていくもの。

・知を経営に役立てるには、知の多様性を念頭に置いておく必要がある。


・ナレッジイニシアティブをとることができるのは、本書の読者として想定して
 いる「反省的実践家」としての実務家である。

・「学問好きな実践家(scholarly practitioner)こそが、知識創造の担い手。

○素人考えだけど、経営学の難しさは、

 研究者(学者)と実践家(経営者)がはっきりと見えてしまうことなのかも。

 「じゃー、あなた経営してみてよ」と言われたときに、きつい。

 他の学問だと、そこまではっきり分かれていないのでは。


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「転換期の雇用・能力開発支援の経済政策〜非正規雇用からプロフェッショナルまで」

「転換期の雇用・能力開発支援の経済政策〜非正規雇用からプロフェッショナルまで」

  樋口 美雄 (著), 財務省財務総合政策研究所 (著), 財務総合政策研究所= (著)

○欧米諸国との比較を通して、日本の雇用のあり方、今後について考えさせられる。
 「新卒一括採用は今後も続くのか?」という問いへの自分なりの解が見えてきた。


・2006年

(・引用/要約 ○関根の独り言)

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●序章


・所得格差の拡大にブレーキがかかるようになった国において共通に見られる
 のは、国民の能力開発に力を注ぎ、これを中心に据え「殻の強化から翼の補強へ」
 セーフティーネットを改革し、職業相談機能の強化を試みている。

・本書は、従来の能力開発支援策に加え、新たな政府支援、社会支援のありかた、
 について財政的視点を含め検討した研究書である。

・「多様な就業形態に対する支援のあり方研究会」の成果をとりまとめた。


・先進諸国共通の3つの課題
 1)少子高齢化 2)競争激化 3)産業構造の転換

・日本固有の問題。従来日本的雇用慣行といわれた長期雇用や年功賃金が、大きく
 揺さぶられていることに起因する問題であり、背景には企業と個人との関係に
 大きな変質が起こりつつことがある。

・本質的に変わったこと。企業と社員との関係にかつて広く存在した「保障」と
 「拘束」の関係が変質しつつある。

 自己選択と自己責任の関係にシフト。しかし自己啓発する人は増えていない。


・企業は能力の底上げを狙う教育から、リーダー教育に力を注いでいくという動き。

・企業はなぜ個人の能力開発をサポートするのか。

・従来の人的投資理論に基づけば、技能、スキルというのは「一般的技能」と
 「企業特殊的技能」とに分けられる。

・政府はなぜ個人の能力開発を支援すべきなのか。


・多様な就業形態の下での人づくりには、企業内部における能力開発とともに、
 企業を少し離れたところにおける能力開発、そして両者を組み合わせた仕組みを
 用意していくことが、日本のみならず先進各国で重要性を増しているのでは。

○学校を卒業した後、企業での能力開発の機会がなかった人もいるだろう。

 企業での能力開発というとき、それは研修というより
 「能力を伸ばせる仕事」をやらせてもらえたかどうか、その仕事を完遂させる
 ために、周囲から色々教えてもらえたかどうか、という点なんだろうな。


・今後は、少子高齢化が加速される。
 フリーター等の不安的な状況が固定化される恐れ。

・従来、日本の能力開発は、企業における業務などを通じ、社員の能力を開発する
 OJTの手法が中心に進められてきたが、企業による能力開発の対象にならない
 非正規社員の割合が増えるとともに、社内では育成が難しいプロフェッショナル
 人材が求められるようになってきている。

○企業におけるOJTは今後も続くのか? 教える側である上司、先輩も自分の
 仕事で忙しく、新しく入ってきた人間に教える「時間的、精神的余裕」がない。
 
 新人(新卒、中途)の担当する業務が自分と違う為
 「内容的」に教えることがきない。
 
 能力を伸ばせるような仕事を、計画的、継続的に提供できない。

 そうなっていった時に、職場に新しく入ってきた新人が仕事ができるように
 なるために、能力伸長を図る為にどうしたらよいのか?

 本人の努力、試行錯誤、周囲ができるだけの手助け(業務指導というよりも
 精神的支援や内省支援など)

 従来言われてきた「計画的、意図的に仕事を通じて訓練する」という意味での
 OJTは難しくなっていったとしても、
 職場に入った新人に「仕事を通じて」何かを教えていくという側面は変わらず
 存在するのでは。

 そうすると、新人と職場メンバーとの間の接点、与える仕事、新人へのフォロー
 等、今もあるOJTの課題は、今後も発生するのでは。

・第1部「多様化する就業形態」では、派遣や請負などの人材ビジネスが雇用機会
 の創出に加え、キャリア形成の支援という可能性に向けて進化していくとが
 望ましいが、現状では非正規雇用の増加は「ダブルトラック化」などの若年
 雇用者の問題を拡大し、固定化するリスクをはらんでいると論じる。

・全体として企業内人材育成と社会的人材育成をバランスさせる体制が必要であり
 企業においては戦略的意図や開発したい能力を明確にして、人材育成が
 企業経営の合理性の上に成り立つようにすべきである。

・第2部「諸外国の事例」では、若年労働市場に関して発生している問題を解決
 するための重要な手掛かりが欧州に存在すると考える。

 EU、フランス、イギリス、デンマーク。

・第3部「多様な就業形態と経済政策」では、中高年フリーターの問題、税制、
 福祉で救済するのではなく、できる限り勤労を支援することで、個人の自立を
 促すシステムなどについて論じる。


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●1章 人材ビジネスの社会的機能と課題 雇用創出機会とキャリア形成支援


・人材ビジネス(派遣と請負事業)は、ユーザー企業の人材活用における
 「数量的柔軟性」を高めることに貢献するものである。

・人材ビジネスで就業する場合には、キャリア形成が特定の企業に依存しない
 ことから、働く人々にとっては、就業職種や就業地域の選択の幅を広げることが
 可能になる。

・会社を選択するのではなく、仕事や勤務地や就業時間などを重視して就業形態を
 選択する者が増加したことが、人材ビジネス成功の背景要因の一つである。

・市場環境の不確実性が持続する限り、今後の正社員層の絞り込みが人材活用の
 基本的な方針となろう。

・企業の人材活用をめぐる環境変化とそれに対応するために行われた企業の
 人材活用の見直しが、企業の外部人材活用のニーズを増大させ、そのことが
 人材ビジネスの成長を支えたのである。

・知的熟練は、幅広い仕事の経験に加えて、理論的な知識の習得に支えられたもの
 であり、こうした職務遂行能力を保有した基幹人材の育成には相当の期間を
 要することが知られている(小池2005)

・製品の基本的な設計に関する部分は、正社員が担当している。

・派遣社員に仕事を任せると、自社の正社員が仕事の経験を通じて、技能や技術を
 覚える機会が減ることになる。それによって重要な技術や技能が社内に蓄積、
 継承できなくなることが懸念されている。

・派遣社員活用上の問題点
 1)技術や技能の伝承が難しくなる
 2)業務管理を行う正社員の負担が増す
 3)正社員の技能と経験の幅が狭くなる、機密事項が漏洩する危険がある

・請負社員の定着率の悪さ

・活用業務や活用範囲が不明確なままに請負社員の活用を増加させてきたことや、
 請負社員の定着対策が不十分であることに原因がある。

・キャリアとは一般に労働者が経験してきた仕事の連鎖を指す。

・派遣会社のキャリア管理には2つの類型がある。
 1)派遣社員が希望する仕事を探して派遣することのみを行う
  (一時点のマッチング)
 2)中長期的な視点から派遣社員のキャリアアップにつながるような仕事を
   探し提供する

・2)のような派遣会社も存在するのである。

・人材ビジネスは、特定の企業を超えた継続的なキャリア形成支援を行う可能性を
 有している。

○人材ビジネスベンチャーのグッドウィルやフルキャスト、隆盛を誇ったが。


・近年、大卒を中心として新卒採用の規模が拡大しつつあるが、これは90年代半ば
 以降における新卒の採用抑制が長期にわたったため、若年層が過度に不足している
 こと及び団塊世代の退職に対応するものであり、今後も新卒採用の規模拡大が
 持続するとは予想しにくい。

○特に、2006年〜2009年は新卒採用が急拡大した。
 
 採用が抑制されたため、なかなか後輩が入ってこなかった先輩社員が、
 急に入ってきた新人にどう対応するのかが分からない。

 そこから「OJT指導員研修」のニーズが顕在化した。

 俺が独立したのが、2005年。OJT研修を始めたのが、2006年夏。
 タイミングが良かったのが大きい。

 では、これからはどうなる? 

 新卒採用の規模拡大が二度と起こらないとしたら。
 毎年定期的に少人数ずつ採用されるとしたら(それは職場にとっては望ましい)。


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●2章 若年層の雇用の現状と課題 「ダブルトラック」化にどう取り組むか


・高度経済成長期以降の日本の若年労働市場においては「新規学卒一括採用」と
 呼ばれる国際的に見ても独特な慣行により、極めて効率的な「学校から仕事への
 移行(transition from school to work)」が成立してきた。

・日本の移行のあり方の特殊性は、ある種の畸形性でもあった。

○大卒一括採用に関しては、卒業時期が3月という状況が動かない限り、
 変わりにくいかも。

 そしてこの卒業時期を、例えばアメリカの大学のように、5月、8月、12月と
 複数時期に渡らせるためには、入試時期の問題も関わってくるらしい。

 センター試験を、複数回実施するのは難しいということのよう。


・90年代半ば以降、離学とともに直に典型雇用へと移行できない若者が
 急激に増大した。

・「典型雇用」と「非典型雇用/失業/無業」という若年労働市場の
 「ダブルトラック」化ともいうべき、新しい労働市場の形が顕在化している。

・この二つのトラックの間には「移動障壁」と「処遇格差」という二重の断崖が
 存在している。

・男性の20代後半層の約3割が、非典型的雇用に従事している。

・個々の若者の現況は、彼らが教育機関を最後に離れた瞬間に、どのような状態で
 あったかによって、かなりの程度決定づけられてしまっている。

・離学とともに、大半の若者が典型雇用に従事するという日本型の「学校から
 仕事への移行」があらゆる学校段階に関して崩れてしまっている。

・典型/非典型間の「移動障壁」は、学歴が低いことなど条件が相対的に不利な
 者にとって特に厳しくそびえたっている。

・「処遇格差」は「移動障壁」のために非典型的労働者が、そこから脱出できない
 まま高齢化したときに、一層深刻な問題として顕在化する。

・典型/非典型間の「処遇格差」は、他の先進諸国と比べても日本で格段に大きい。

・「ダブルトラック構造」が、景気の多少の上昇によって大きく覆させると見る
 ことは非現実的である。

○これは怖いなー。早稲田大学の武藤教授が07年12月の日経BSセミナーでも
 言っていたけど「中高年フリーターは、1年ずつ年をとっていく」


・若年労働市場の「ダブルトラック」化は何故生じたのか。
 1)バブル経済崩壊後の長期不況
 2)第1次ベビーブーマーが、90年代に50代という賃金カーブの
   ピーク上にあり、この大量の高賃金社員の存在が企業の若年採用を圧迫
 3)バブル期に大量採用された第2次ベビーブーマーが不況下では余剰人員となり、
   企業は新たに若年者を正社員として雇用する余力を枯渇させた。

・職業上の能力やスキルを身につけられる機会が企業の外部においては極めて限定
 されていることも、正社員にならずに離学した層にとっては大きな不利を
 生み出している。

・日本では、学校教育が職業能力形成の場として有効に機能していない。

○企業の中に、正社員として採用されないと、職業上必要な能力が身に付かない。

 企業に雇用される形以外で、職業上の能力を身につけるには?

 B2Bで、起業するなら、やはりBに勤める経験はあった方がいいかも。
 B2Cで、起業するなら、もしかすると雇用される経験はなくてもいいかも。

 でも、典型社員として雇用されなかった人が、起業するのは考えにくいのかな。


・典型雇用でないほうのトラックに踏み込んでしまった者は貧困や展望の無さ
 などの苦境に即座に直面せざるを得ない。それはこの層の中に不満を醸成し、
 社会全体をも不安定にする危険がある。

・ダブルトラック化に伴う格差化は、個人の生涯にとって重要なより所である
 家族という基本的な単位すら形成することが困難な層を大量に生み出す危険を
 はらんでいるのである。

○収入の低さは、結婚率の減少、そして、少子化にもつながるよなー。


・世の中の趨勢としては、個々の若者の内面における何らかの問題性-「やる気」が
 ないこと、「自信」がないこと、「甘えている」こと、非現実的な「夢」を
 追いがちであることなどに、若年雇用問題の原因があるかのように論じる言説の
 方が声高。

・「ニート」問題は市場や制度などの環境要因ではなく、若者自身の意欲や意識
 そのものに原因があるという通俗的な理解が成立してしまった。


・若年労働市場における「ダブルトラック」を変革するための提言、そのポイント
 の一つは、90年代初頭以前の日本の若年労働市場を特徴づけてきた
 「新規学卒一括採用慣行」の縮小ないし撤廃である。

○新卒一括採用の撤廃は難しいとしても(卒業時期は3月というのが変わらない限り)
 縮小はありうるかも。

 今後、労働力の更なる多様化(女性、高齢者、外国人など)が進むなら、
 典型雇用社員を新卒一括でまかなうのは難しくなるのかも。

 その反面、自社独自の色にそめあげたい(組織社会化したい)というニーズは
 残るだろうから、新卒採用が無くなることも考えにくい。

 特に若者の人口が減っていくなら、貴重な資源としてとっておきたいという
 企業側のニーズは発生してくるだろう。


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●3章 ニート、フリーター、若年失業とマクロ的な経済環境


・ニート、フリーター、若年失業者は、90年代以降の経済停滞と共に増加。
 これらは経済問題であることを示唆。

・変わったのは経済情勢であって、若者や社会ではないのではないか。

・ニート、フリーター、若年失業の増加は、多くがマクロ的経済環境の結果である
 というのが本稿の主眼。


・若年労働問題の原因が、若者の働く意識をゆがませる社会問題や何らかの構造
 問題にあるという見解が一般的。


・推計において、若年失業率とフリーター率は、景気情勢を反映している
 失業率と深く相関している。

・ニートを豊かな社会の病理現象と説明することは基本的に誤りであり、むしろ
 貧しさの結果である。

・ニート、フリーター、若年失業問題は、一般的な失業率の低下によって改善される。

・マクロ経済運営がなにより重要。

○景気が良くなること以外に、対策は打てないものなのか。


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●4章 企業内人材育成における現状と課題 


・バブル期以降の企業内人材育成の特徴は「投資の縮小と集中」に集約される。

・1988年をピークに、労働費用に占める教育訓練費の割合を低下させてきた。

・戦後、多くの企業が採用してきた「職能資格制度」は、その制度の根幹に
 「職務遂行能力を高める」という人材育成的な要素が含まれていた。

 「成果主義」は、成果に応じて賃金を支払うという支払い方の制度であり、
 人材育成の要素を含んでいなかった。

 そのため職能資格制度から成果主義へと移行する過程で、人材育成の「空白」が
 生まれたと考えられる。


・投資効果が評価しにくいため、人材育成投資は最も削減対象としやすい経費の
 一つになってしまった。調整的な経費の扱い。


・削減された人材育成投資は、対象者を集中して投下された。研修の結果という
 「出口」ではなく、対象者という「入口」を選別。

・2003年時は「新人」と「経営層」に比重が置かれた。


・3割超にあたる非正社員に対する人材育成は一般に手薄。

・人材育成投資の縮小と相まって「教育機会に恵まれるもの」と「恵まれないもの」
 という格差が拡大している可能性はある。


・90年代に一斉に企業は「即戦力求む」というメッセージを発信してきた。

・即戦力という言葉が新卒採用の場面でも使われるようになり、それが新卒採用市場
 に誤解を与える結果となった。

・企業が大卒者に求める力は「特定の職の遂行に直接役立つ具体的な能力ではなく、
 むしろあらゆる職務に必要な基礎能力の水準を高めたりすることで、新卒者に 
 求める能力の全体的な水準を上昇させていた」

○確かに、今の新卒にはかなり高いレベルを、企業の採用担当は求めているのかも。
 実際、自分たちはどうなのか? という問いは置いといて。


・新卒で採用した人材が戦力化するには平均して3年程度の時間がかかる。

・大学教育の4年間を専門学校化させてしまった可能性。


・若年にとって、成長できるということは重要な企業選択基準であり、成長は
 「働く意味」であり、成長できなければ離職理由になる。

・企業は人材採用に熱心であるならば、人材育成投資も熱心にならざるを得ない。

・人材採用が容易な時期には採用によって戦力を確保できる一方、人材育成は
 おろそかになりやすく、反対に人材採用が困難な時期は人材育成に力を入れざるを
 えなくなる。

・2007年卒の大卒採用市場はまさしく「採用難」であり、人材育成投資に
 目を向けざるを得なくなる。

○2006年〜2009年4月入社までは、企業の採用意欲が高かった。
 (2008年冬から一挙に冷え込んだが)

 採用数が増えると、内定辞退や離職を防ぐ取り組みに力がいれられる。

 「先輩社員による新人育成を効果的に行いたい」というのも、
 この人材育成投資増の一環かも。

 2010年4月入社は一挙に減った。2011年も厳しい。
 ただ、2012年は、団塊世代が65歳になり、再雇用も終わる。


・プロの論理として市場競争や管理の論理ではなく、顧客の満足のために徹底的に
 一つの道を追求していくというものである。これを「第3の論理」と位置づけ、
 そのプロの論理の回復が企業のガバナンスに求められている。

・プロがプロとして育っていくには、いくつかの段階がある。
 「仮決め」「見習い」「本決め」「開花」「無心」という5段階。


・米国では、プロフェッショナルスクールが各企業にカスタマイズした教育
 プログラムを提供することが大学の大きな収入源になっているが、日本では
 まだそのような産学連携は進んでいない。

○これは今後は出てくるかも。大学が企業内教育に関わってくる。既に兆しはある。
 業界内での競争が更に激しくなる。


・ワーキングパーソン調査(2003)により、ビジネスパーソンで学習行動を
 とっているのは、2割弱。

 学習行動に至らない理由は2つ:時間がない、時間的余裕がない。しかし、
 どちらも言い訳にすぎない(学び時間と労働時間、年収とに相関関係は無い)

 学習への取り組みが低いのは、学生時代に継続的学習習慣を身につけていなかった
 ためではなかろうか。

○これは面白いなー。

 ビジネスの世界に入った後も学習習慣を持つ人は、能力を高め、結果も出す。

 とするならば、そういう人は「学生時代に学習習慣をつけている」

 実際にそうなのかを、大学での調査と企業での追跡調査で明らかにする。

 そういうこともできるかも。


 大学教育を通して社会に出て役立つ力の一つは「継続的学習習慣」と
 考えることもできる。

 09年12月の日経の記事でも出ていたな。
  https://twitter.com/masahiro_sekine/status/6875424150


 
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●5章 人事担当者から見た企業における若年層


・2004年度から、企業の採用意欲は高まり続けている。これは1947年〜
 49年に生まれた「団塊の世代」が、2007年から10年にかけて定年を
 迎えることで、中長期的に労働力が減少していくことが予想されることが理由。

・新卒採用は比較的安価な労働力を大量に確保するための最も効率的な方法である。


・新卒採用者の「質」は中途採用者のそれと比べて高いと言われている。

・人気企業であれば、60万人近い労働力の予備軍から、上澄みの人材を
 好きなだけ選ぶことができる。

・新卒はそれぞれの企業固有の「マインド」を持たせることができるために、社内で
 成果を上げやすくなるといえるかも。

・企業が求める人材像で共通するのは、基本能力と知識とマインドを備えること。
 その中でも特に重視しているのはマインドである。

 マインドは、その企業の社員全員で共有される価値観であり、それぞれ社員に
 求める働き方である。

○組織社会化の著名な研究者、シャインは、最初「洗脳」の研究をしていたそうだ。
 洗脳=brainwashing というと、マインドコントロールも連想される。

 組織社会化には、マインドコントロールの側面もあるのかな。


・学生たちの就職活動は競争であるが、その一方で同じ経験を共にする仲間が
 連帯する場ともなる。

 「みんなの就職活動日記」(みん就)での情報交換

 就職活動が、人間成長の場となっている。


・学生は就職活動を通して「とんがっていること」つまり個性的であることに
 価値を置くことを学ぶ。さらに企業の人事担当者も「光る人材」つまり集団に
 埋没しない人材を採用する。
 
 しかしこうした人材が運命共同体に帰属すると、自己矛盾に陥ることになる。

○ここが組織社会化と組織活性化の難しさなんだろうなー。

 「新人こそが組織活性化のカギ!?」
  http://learn-well.com/blogsekine/2010/02/post_310.html


・太田(1993)の「組織人格」=マインド 

 個々の企業独自のマインドを獲得することで、自己の目的とは必ずしも一致しない
 組織目的の達成に自己矛盾することなく貢献できるようになり「とんがった」
 個性をもつ新卒が、自らの独立した自由意志と判断能力を失うことなく、組織に
 属することを可能にする。

・企業が新卒採用にこだわる一番の理由は、マインド=組織人格をもった人間を 
 入れていきたいという意識。


・企業にとっての新卒を初めとする若年層は「即戦力」というよりも、将来の
 発展に貢献してもらうための潜在能力である。


・できない人材は、入試の弊害か、暗記型のパターン処理をするために、
 仮説、実行、検証という頭の回転が働かない。

・大学教育がやるべきこと、つまり特別にHow toを教えるのではなく、
 真理の探究という大学レベルの教育を普通にやっていればつくであろう能力。

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●6章 EUにおける若年雇用と若者政策


・欧米先進諸国において、1970年代後半に始まった若者の変化をもたらした
 のは、青年期から成人期への移行の前提となってきた工業化時代の枠組みが
 崩壊したことにあった。

・新自由主義の流れの中で、若者の中でも不利な状況におかれた層のアウトサイダー 
 化が進行する。

・若者政策を構成する要素(人間発達、エンプロイアビリティ、シティズンシップ)
 のそれぞれにおいて、ノンフォーマル学習(社会教育、ボランティア、社会体験
 学習)を位置づけていることが、近年のEUの若者政策の特徴。


・先進諸国では、完全雇用の時代が終わり、若年層を含め失業を常に抱える社会に
 なっている。

 そのような社会では「仕事を通して一人前になっていく=発達」という道筋が
 普遍性をもたなくなった。

・欧米諸国における若者の二極化と、その一方の極の貧困化と社会的排除の
 危険性という同じ問題が、日本の若年労働市場にも起こっている。


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●7章 フランスの雇用政策、人材育成政策とその評価制度


・フランスでは、1970年代後半から、長期にわたり失業率の高い状態が
 続いており、8%を下回ることがない。

・フランスの非典型労働は、パートタイム労働と契約社員等である。

・パートタイム労働者も、フルタイム労働者に認められた権利を同様に享受する。

・フランスの若年雇用政策
 1)見習いに代表される職業と学校教育を両立するデュアルシステム
 2)若者を雇用する経済的インセンティブを雇用主に与える
 3)国や地方自治体などの公的機関が雇用主となる

・職業能力の獲得という目的においては、見習いシステムのように企業の協力を
 得た政策の方が高い評価を得ている。


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●8章 イギリスの雇用政策・人材育成政策とその評価


・1979年からのサッチャー政権により、強い個人を前提とする競争社会を
 目指す改革が行われた。

・1997年には、労働党のブレア政権により「ニューディール政策」が採用され
 積極的労働政策が本格化した。

・日本では既に人口減少がはじまっており、労働力の確保が今後の成長のカギを
 握るとされ、特に女性、高齢者の就業率を高めることが重要な課題となっている。

・現在のイギリスの雇用戦略は2つの方針
 1)長期に労働市場から離れる人を無くす
 2)将来就職困難に陥ると予想される人を減らす

・若者向けニューディール政策 3段階のプログラム
 「Gate way」「Options」「Follow−through」
 有効という評価

・税額控除制度は、課題も山積みだが、貧困世帯に就労を促す、まさに
 welfare to work, make work pay の中心にあるともいえる政策。

 特に、シングルマザーに対しては大きな効果を上げている。

・イギリスの雇用政策の特徴
 1)個別ターゲットごとの対策
 2)地方と民間との協力体制
 3)社会保障から就労へのスムーズな移行

・ながく労働市場から離れてしまうと、復帰することが困難になったり、福祉づけ
 になってしまったり、人との接点をなくしてしまったりする。

 とにかく就労させるということは、社会の一員であり続けるために重要。

○これは日本の結婚した女性や退職した高齢者にもあてはまるかも。
 日本社会に埋もれている宝。上手く発掘できれば。


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●9章 デンマークおよびEUの雇用政策とその評価


・小国デンマークは、雇用の優等生と言われてきた。

・EU諸国の中でも、失業率が極めて低く、女性の就業率が高い。

・70年代半ばから、90年代前半までは高い失業率や赤字財政に苦しんでいた。


・デンマーク型雇用政策モデル「フレキシキュリティ」
 フレキシブル(柔軟性)とセキュリティ(保障)を結合した造語。

 過度の規制緩和と過剰な労働者保護の間をとる第3の道

 労働市場の柔軟性と雇用の保護は、互いに矛盾するものではなく、高い雇用
 流動性をもちつつ、失業給付や社会扶助によって所得の安定を保証する。

・デンマークの労働市場は、転職率が高い。


・欧州の雇用政策から学べること
 1)目標を失業率の引き下げから、就業率の向上に向ける
 2)人的投資が重要。特に若者の学校から就業への移行プロセスや就業後の
   キャリア形成を通じて、仕事の質と生活を向上させていく道筋をつける
 3)柔軟性と中立性を保ちつつ、インフラを形成し、インセンティブを高める


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●10章 欧米と日本の組織モデルの違い 
      〜なぜ日本ではプロフェッショナルが育たないか


・従来型の日本企業の組織、人材モデルとは、終身雇用、年功序列、企業内組合の
 3要素に代表されるモデルである。

・この日本の代表的大企業のモデルは、会社への忠誠心の極めて強い、質の高い
 従業員群を作り上げ、日本の高度成長時代を支えた。

・従来型の日本株式会社では、勝てそうにない分野が増大。
 継続的にイノベーションを起こせるかというゲームに変わりつつある。

・プロフェッショナル人材の定義
 -誰がお客であるか明確
 -そのお客に対して価値を提供できる
 -知恵や経験が蓄積されている
 -自立的、安定的に仕事ができる

・90年代後半から05年ごろまで「成果主義」への人事制度変更が主流。

 それまでの職能資格という能力ベースの人事体系から、実際に実現した成果に
 基準をおいたシステム


・日本では、教育やトレーニングの投資が未だに、日本人、男性、正社員に
 極端に偏っている。

・修羅場がプロを作る。逃げ場のない、究極まで追い込まれる経験を短期的に
 山ほど経験することで、プロとしての器ができる。

・日本では自前主義、純血主義で、必要な人材を内部で育てようとする。
 その結果、汎用性にかけるが、その組織のニーズには完全に合致した人材が育つ。

 プロというより、その企業独自のスペシャリストになってしまう。


○三枝さんの「経営パワーの危機」でも日本における経営的人材の不足が言われている

 30〜40代から、経営者として場を与えて行く。

 数年前まで、年齢の若い経営者が話題になったが、09年、10年に大企業の
 経営者になる方は、60代以上の方々が多いなー。


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●11章 若年を中心とした雇用形態の多様化が社会・経済に及ぼす影響について


・「中高年フリーター」が増加している可能性が高い

・現在の格差が生涯にわたって継続してしまう恐れがある。

・フリーターの多くは、ずっとフリーターを続けるつもりはなく、いずれは定職を
 もちたい、正社員になりたいと考えているが、一度フリーターになってしまうと、
 なかなかフリーターから抜け出しにくいようである。

・2021年頃には、35歳以上の中高年フリーターは、約150万人に。
 50代後半のフリーターも増えてくる。

・退職金もなく、老後の生活を支える貯蓄も十分でない年金暮らしの中高年フリーター
 の存在が大きな社会問題になる恐れがある。

・フリーターの平均年収は、200万円に満たない(50代後半でも)
 正社員は、40代後半にかけて、700万円弱まで増えていく。

・正社員になっていれば現在稼げたはずの追加的な所得を諦めるだけでなく、その間
 に十分な職業経験と専門能力を蓄積できないことで、将来の獲得能力まで失って
 いることになり、生涯賃金の格差が広がっていく。

・中高年フリーターが正社員になれないことで減少してしまう個人住民税の納税額は
 年間1800億円に上ると試算される。

 減少する所得税の納税額は、年間4200億円に上ると試算。


・フリーター経験者は、正社員に比べて有配偶率が低いという調査結果。
 フリーターの増加は、晩婚化、非婚化に拍車をかける。

・少子化は何故問題なのか。働き手の減少をもたらすから。

○恐ろしくなる。あと10年後の未来。
 

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●12章 税・社会保障制度と労働供給


・税、社会保障制度は、人々の労働意欲に様々な影響を与える。

・現行の生活保護制度は、勤労控除という仕組みを持つものの、労働供給への
 インセンティブは不十分である。いったん生活保護を受給してしまうと、働く
 意欲を損ない、「貧困のわな」から抜け出せなくなってしまう恐れがある。


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●13章 人的資本蓄積と税制を考える


・日本では、政策の重点を「機関に対する補助から、個人に対する補助」へシフト
 させることが必要。


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●14章 雇用を取り巻く環境の変化に対応した制度や政策のあり方
      〜「多元的雇用・勤労福祉型システム」の創出に向けて


・長期的に見た「効率性」の追求が「公平性」実現の前提である。

・80年代に一応の完成をみた、いわゆる日本型雇用慣行およびそれを支える
 労働法、雇用政策、社会保障制度、税制、教育制度等の統一的な集合体。

 その特徴は
 1)「正社員偏重型のシステム」
 2)「労働移動制限型(企業特殊的能力育成偏重型)のシステム」
 3)「標準世帯奨励型のシステム」

・正社員は、企業と「一心同体」化することが当然視される存在であった。

・「中心」を占める正社員と「周辺」に位置づけられる非正社員との間には、
 大きな処遇格差が生じることとなった。

・日本企業では「企業特殊的能力」が育成されやすく「職業特殊的能力は
 形成されにくかった。

・日本では米国に見られるような大企業従業員の起業活動や中小企業への転職が
 活発化せず、ベンチャー企業、中小企業の成長が人材面で支えられるという
 メカニズムが働いてこなかった。

 「労働移動制限型」のシステムは、有能な人材が大企業から中小企業へ流出する
 ことを妨げたことで、70年代以降の起業活動の停滞の一因になった。

・配偶者控除は、女性の本格的な就労インセンティブをそぐ要因となった。


・90年代以降、人件費の削減が図られてきた。

 −低コストの非正社員の雇用増
 −新卒採用の大幅削減
 −中高年正社員の削減

・既存システムの修正、改変は、いくつかの深刻な問題を生じさせてきた
 1)労働力の2極化(正社員と非正社員)
 2)組織資本の弱体化(ノウハウ、DNAの蓄積)
 3)人材不足の深刻化(技能、専門、技術職不足)

・「現場の強さ」を支えてきたOJTという育成の仕組みが、従来のやり方では
 上手くいかなくなってきている。

 若い世代の勤労観が変わり、忍耐力や時間のかかるこれまでのOJT中心の
 「徒弟制度」的なやり方は通用しにくくなっている。

 人員削減で職場に余裕がなくなるなかで、かつてのOJTを支えていた現場の
 上司や先輩の「面倒見の良さ」に期待することができなくなった。


・雇用システムを、非典型化、雇用流動化、脱年功化の方向性へトータルに見直し
 ていくことが必要になる。


・今後の成長産業として期待される情報通信産業や金融サービス業、医療、教育産業
 において、有能なプロフェッショナル人材がどれだけ確保できるかが、その
 競争力を左右する。

・システムの再構築の方向性と整合的な組織、人材マネジメントのあり方
 1)コスト削減のための非正規化とは異なる多様な人材を活用するための非典型化
 2)有能なマネジメント層のリーダーシップを主軸としたチームワーク強化
 3)企業特殊的能力、職業特殊的能力の双方が育成される適度な流動性のある
   オープンな継続雇用

・欧米のデータから、正社員、非正社員の賃金格差が大きいほど、労働生産性が
 低いという傾向が見て取れる。

・日本の高齢者の就業率は、国際的に見ても誇るべき高さにある。

・今後のシステムの方向性は
 1)多元的雇用型
 2)労働移動円滑型(職業特殊能力育成支援型)
 3)家族モデル中立型、就労促進型

○p390の図 この著者の話は非常にすっきりしていて分かりやすい。


・労働法制の改革が必要。その一つとして、業務請負、業務委託が公正に行われる
 ようなルール作りが必要。

・組織形態にも多様性が認められる必要。

 とりわけNPOに期待されるのが「年金、NPO兼業」という高齢者の新しい
 ライフスタイルを創造していく可能性

 LLPは、職業特殊能力を磨いてきた人材が共同して起業する際の有力な
 組織上の受け皿となる。


・かつて企業で求められる能力の多くが企業特殊的能力であり、人材育成は入社後
 個々の企業が独自に行う部分が多かった。

 その意味で、主に企業が教育機関に求めるものは「スクリーニング機能」であり、
 必ずしも教育内容そのものではなかったという面がある。

・米国では、プロフェッション概念を体現したものとして、専門職団体が存在して
 いることの役割は大きい。

○これは太田先生の「プロフェッショナルと組織」の中でもあったなー。
   http://learn-well.com/blogsekine/2009/12/post_304.html


・業務委託の新しい形態として「インディペンデント コントラクター(IC)」
 が注目される。90年代中ごろには、IT産業における専門技術者のほか、人事、
 会計、財務関連の専門的ホワイトカラー、各種コンサルタント等、知識労働者の
 間で、自らこうした働き方を選択する動きが多く見られた。

○人事コンサルタントの田代さんは、まさしくそうだし、
 俺自身の講師業もほぼこれに近いのかも。

 複数社から研修という業務を委託されて、仕事をする。


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「はげましの経営学」

「はげましの経営学」

  金井 壽宏 (著)


○現場で使える経営学の考え方を、サラッと読める本。
 ミドルへの励ましのメッセージ。

・2001年

(・引用/要約 ○関根の独り言)

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●はじめに


・「勇気の出る経営学」という言葉は、米倉誠一郎さんの選んだ言葉。

・経営学は人々の「気」に語りかけることで役立つことがいいと思う。
 「元気の出る経営行動科学」を目指す。

・働く人々にカラ元気ではなく、芯からの「はげまし」になりそうな素材を
 見つけ出し、新書にまとめたのが本書。


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●1章 ミドルになっても「自分探し」は続く


・M.セリグマンが発見した獲得された無気力、もしくは学習性無力感。

・いつもトップに危機だ、危機だと言われて、そのたびに何度となく飛び上がり
 続けたミドルに中には「もういいよ」という気持ちがあっても不思議ではない。

・W.ブリッジズは「トランジション」において、人生の転機における「危機の両面」
 を見事に解明した。「危」険と「機」会の併存を含意。

・「移行期」における「中立圏」をどう過ごすかが、前に進むためには重要。

・トランジションサイクルモデル=準備→遭遇→順応→安定化

・E.H.エリクソンによる8段階の発達段階からなるライフサイクル論 
 epegenetic theory

・多くの研究で、結婚生活や家庭のありようが仕事の場に対してキャリーオーバー
 (持ち越し)効果があることが判明している。

○これはあるだろうなー。

 特に家族持ちになると。家庭の状況が仕事にも影響する。
 逆もまた真なりだろうな。仕事の状況が、家庭でのあり方にも影響する。

 あたりまえだけど、両方繋がっている。

 会社員時代は「ワーク・ライフ・バランス」を意識していたつもりだったけど
 自営業者になってから、バランスというよりも「一緒」「統合」という感じかも。

 「ワーク・ライフ・インテグレーション」?


・多くの人は「生殖性」「世代性」という発達課題を、子供の誕生と子供に対する
 面倒見の経験という形で象徴的に乗り越えて行く。

・ユングの「人生の正午以降の課題」

 昇る太陽の時期の間は、その軌跡を自分がきちんと乗り切れるかどうかに
 やっきになっているので、より若い世代の育成には真剣に取り組めない。

○これはあるだろうなー。

 ちょっと違うかもしれないけど、俺も独立当初は自分のことで精一杯で
 他人のことにまで頭が回らなかった。

 ある程度軌道に乗ってから、自分がどうやってきたかとか、
 後から起業したいと言う人の相談にのったりとかが、
 多少はできるようになったのかも。

 
・若い世代の面倒をきちんと見ることが、実は自分の発達にも有意義だと心より
 感じることができたときに、その人はこの段階を真にクリアできたことになる。

 生殖性という問題に初めて深いレベルで真に直面するのがミドルエイジなのだ。


○p30の図、分かりやすい。

・男性にとっての女らしさとは「生殖性」「世代性」の課題と「世話」という美徳
 に関わっている。男性の場合、人生の前半の上り調子のときに背景に退いて
 しまっていた女性性という影を統合しなければならないのである。

・おっちゃんたちの忘れ物は、自分の内なる「女らしさ」なのである。

・女性が生き生きと働ける産業社会を構築するためには、男性、とりわけ40代の
 課長、部長クラスのおっちゃんたちが変わらないとダメ。

・知らず知らずのうちに、人を傷つけることがないように自覚的にならなければ
 ならないのが、ミドルの時期。

○これは気をつけないとなー。知らず知らずのうちに、他人を傷つけている。
 それを俺自身が自覚していない。


・中年期の課題は、自分の生涯の残りの年数を逆算して、これから何をなすべきかを
 考えることに関わっている。

・ミドルになっても自分を元気づけ、若い世代にもしっかりしたリーダーシップ 
 行動をとる為には、上司からのメンタリングという「栄養」が必要。

○上司がいない俺らのような中小零細企業にとっての「栄養」は何か?

 −他の経営者の話(本、CD、講演、会話)
 −お客様とのやりとり
 −仕事そのもの
 −家族との時間 とか?
 
 上司はいないけど、自分なりに栄養を補給してなんとかやっていっているのかな。


・「イケイケどんどん」のままやっている人は、エネルギーの源泉が自分の中に
 あるだけで、上の世代のメンターから得るものも、若い世代に与えるものも
 少なかった。

○これは気をつけないとなー。俺の場合も意図的に「上司」のような存在
 (メンター?)との関わりを大事にした方がいいのだろう。

 そう考えると、組織の中にいて、自分に「上司がいる」というのも
 考えようによっては幸せなことなのかも。

 
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●2章 「部下に任せる」ことの機微


・経営や組織という「生もの」を研究の対象する経営学の場合、現場発の理論
 こそが真に実践的な理論構築の出発点であるという立場も軽視されてはならない。

 素人理論は、公式理論(二次的構成概念)よりも極めて多くの示唆に富むことが多い

 こうした対象へのアプローチは、現象学的、臨床的と呼べるだろう。

・経営者の人材育成にまつわるインタビューの中で共通して出てきたのが
 「任せる」という経営者の姿勢であった。

・上が下に任せると、下は客ではなく上を見てしまう。

○これはそうなのかも。結局、上司が正解をもっていて、その腹を探ろうとする。
 上司に満足してもらえればお客様に提出した時、間違いがすくない。


・創意工夫の必要な自律的な仕事を任されているほど、経験の深い人からの
 フィードバックをより強く必要としている。

○簡単な仕事であれば不要。難しい仕事だからこそ、経験者のアドバイスが必要。


・適応の難しい仕事につくことになった新人ほど、少し年上の身近な若手先輩を
 情報源として大切にしたいと思う度合いが高い。

 しかし上司は、新人にとっての若手先輩の役割を評価していない。

○この辺りは、俺が研究で明らかにしたい直属上司との関係(垂直的交換関係)だけ
 でなく、職場メンバー(特に身近な先輩OJT指導員)との関係にも関わってくる。


・分権化を進め担当者レベルにも思い切って任せると、少なくとも新人に限っては
 会社、職場、仕事への適応のための情報探索のアンテナは外向きではなく内向き
 になる。

・顧客の声よりも上司の腹案を探るべく、上司にお伺いをたてる。

 ヒラメパラドックスは、各企業に普遍的に存在するよう。

○誰に任せるかにもよるのかも。部下の成熟度。そうすると、SL理論が近いのかな。

○この調査の論文を読む。


・ロッテ・ベイリンは、任せ方に問題のある多くのケースは、戦略的自律性を
 求めている人に戦術的自律性を与えているミスマッチ、逆に戦術的自律性を
 望む人に戦略的自律性を授けてしまっているミスマッチで説明できると主張。

・「任せる」ことのタクソノミー(体系的分類枠組 p74)

・経営幹部の体系的な育成という点では、まだ米国の方が先行したままかもしれない。
 (M.マッコール「ハイ・フライヤー」2002年)

○読もう!


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●3章 理念やリーダーシップが「親父の繰り言」にならないために


・迷った時に頼りになるのが理念。

・現場の管理者が理念をそのまま語ることはかえってマイナスの効果をもたらす。
 原理、原則をそのまま語るだけでは、よけいな押しつけのように思われる。

・リゴラス(厳密)な調査結果よりも、ビビッドなエビソードの方がはるかに雄弁。

○この辺りが、俺の研修に足りない部分なのかも。ビビッドなエピソード。
 今までに集まったエピソードを上手に示せるといいのかも。


・経営の世界では、実演が困難な分だけ、内省力を高めること、言葉を磨くこと、 
 具体的な経験を物語として語ることが、より一層重要になる。


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●4章 なぜ部長は必要なのか?


・なぜ通常管理職は、長期勤務者の中から選ばれるのか?
 なぜアルバイトの部長はいないのか? 他の会社でも部長が務まるのか?

・部長職には、長らくその会社にいて経営理念や社風をよく知り、社内の人的
 ネットワークが備わっている人でないとできない調整の仕事がある。
 それが部長の存在意義かも。

・P.コッターの研究の結果、優れたゼネラルマネジャーに見られる行動特性の2つ。
 「アジェンダ形成」「ネットワーク構築」である。

・アジェンダという大きい絵の下に皆を巻き込んで一緒にやっていく。そういう
 スキルがGMには求められている。

○「あの人が言うなら」とか、部長に対する信頼
 (それはその人の実績や人柄にもよる)がないと、部下は動こうとしないだろう。

 外から来た人間が旗を振る難しさは「お前に何が分かる」「自分たちと
 一緒にやってきたわけではない(よそ者)だろう」という反発もあるのかも。


・部長の仕事は「企業特殊スキル」であり、ポータブルではない。
 企業特殊資産。

・R.コースの着目点。もし市場でスポットに労働力を買えるなら、20年以上も
 人を長期雇用で内部化して部長にまで育てあげる必要はないということ。

 その会社の役に立つという意味では「育て上げる」でも、他の会社では通用しなく
 なると言う意味では「無力化する」ということ。

・組織に長く居続けることの意味。

・長く同じ職務についている人ほど、その仕事内容にもえなくなる。
 その意味で職務に寿命がある。

 また同じメンバー構成で年数を経た集団では、職務遂行や成果に問題が出てくる。
 その意味で集団にも寿命がある。

 一般にはジョブローテーションと言われるが、職場というグループの
 ローテーションになっている。


・コミットメントは勤続年数が長い人ほど高まっている。
 同じ組織に長くいるメリットは、その組織が好きになり組織と一体化していくこと。

○当人にとってのメリットは? 同じ組織に長くいることで

 −組織内の人脈ができている
 −その組織での仕事の進め方を熟知している(効率的に進められる)とかかなー。

 逆に言うと、この辺が転職した時、苦労することかも。


・年数を重ねるとともに徐々にコミットメントが高まるという面以上に、節目を
 くぐることを契機にして、非連続的に組織(コープこうべ)との関わり合いを
 一気に深めて行った。

○鈴木竜太さんの研究を再確認してみよう。


・先輩との議論から商品を扱う意味、理念との整合性が腑に落ちた。

○身近な先輩社員(有効な情報源として)の存在


・組織の中でより長くキャリアを歩めば、若いときには気づかなかったことが
 分かるようになったり、意味づけできなかったことが経験と共に腑に落ちること
 もある。

○この辺も、当人にとってのメリットかも。


・長いテニュアの間に、コミットメントが高まり、理念が染み込むことが
 マイナス効果をもたらさないかという問題がある。

 組織の抱く基本価値や基本発想、動作になじませ、その組織に愛着や一体感を
 もたせるという面と、その人ならではのイノベーションや変革を期待するという
 面は、はたして両立するのだろうかという問い。

○これって大事だよなー。
 
 新人が組織社会化され染まっていくと、
 もしかすると当人の個性が発揮しづらくなるかも。とがった部分が丸くなる。

 若手の離職の問題がクローズアップされると、愛着や一体感の重要性が叫ばれる。

 その反面、自立・自律型人材の育成が叫ばれ、あまりに組織に依存した人材は
 困るという話も出てくる。


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●5章 変革型リーダーの要件


・これまでのリーダーシップ論 

 資質→行動→状況依存→変革

・理論から実践へ

 1)持論をもつ 2)すごいリーダーをベンチマークする

 他者を観察することでより多くを学ぶことができる(代理経験)


○この辺は「組織行動の考え方」のリーダーシップの章を参照する。


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●6章 「思いやり」が必要な理由


・リーダーシップの「ふたつの軸」課題関連の行動、人間関連の行動

○SPトランプでいう「黒と赤」かな。


・上司の配慮は、部下の満足度と正の相関を示す。配慮そのものが部下が 
 喜んでくれる報酬として作用する場面が多い。

・仕事には計画を立てるという側面と、部下に圧力をかけるという側面がある。

・配慮の中に課題関連の効果も織り込まれている。

○この辺も「組織行動の考え方」のリーダーシップの章を参照する。


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「社会化の心理学ハンドブック〜人間形成と社会と文化」

「社会化の心理学ハンドブック〜人間形成と社会と文化」

  斎藤 耕二 (著), 菊池 章夫 (著)


○心理学における「社会化」の概念がつかめる。
 「組織社会化」に関する記述は少ないかも。


・初版1990年


(・引用/要約 ○関根の独り言)

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●まえがき


・社会化の概念を心理学の研究の中に上手く位置づけることが本書の目的。

・社会化研究の動向をまとめることも狙い。


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●1章 社会化の問題


・子供がその社会の一人前のメンバーに育っていくプロセスを
 社会化(socialization)ととらえる。

・社会化とは、大人になる為の訓練(training)のプロセス。

・子供は受け身一方ではなく、大人と相互に影響を与えあっている相互作用の
 プロセスであって、社会化は社会的学習(social learning)と捉えられる。

・社会化の2つの定義

 1)社会がどのようにして個人をそのメンバーに作り上げていくか
 2)個人がどのようにしてその社会を支えるメンバーになっていくか

○俺が関心のある「新入社員への現場OJT」にあてはめて考えてみると

 1)職場メンバー、会社側の視点
 2)新入社員の視点

 ということかな。


・1)は、文化的伝達(cultural transmission) 文化人類学や社会学
 2)は、個人的学習(individual learning) 心理学

 社会化の概念は、学際的。


・社会心理学の立場からすれば、社会とは現実あるいは仮想の他者が存在する
 ということから始まる。この他者の存在によって我々が何らかの影響を受ける
 場合に、それを社会的影響(social influence)と呼ぶ。

 社会化の概念も、おそらくはこのことに出発点をもっているのであって、
 他者の存在とのかかわりで、我々一人ひとりの発達的変化を理解しようとした
 のが始まりである。


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●2章 発達課題と社会化


・「しつけ」という言葉は本来幅広い意味をもっていた。

・しつけは、未成熟な子供を一人前に作り上げていく社会化の一部。

○俺と奥さんが、家で子供たちにしようとしていること。
 やっぱり人様の前で恥ずかしくないようにしたいと考える。


・課題達成に必要な身体的成長が伴い、子供自身のレディネスもできて、 
 社会からの要請と一致し、ある発達課題を達成するのに最適な時が、発達の
 過程には存在しているとして、この時期をハヴィガーストは「発達課題の
 教育期(teachable moment)」と名付けた。

 この教育期という考えの背景には、発達における臨界期という概念が存在している。

○これが早期教育を促している考え方なのかな。
 何歳までに、英語をやらないと手遅れになるとか。

 うちはやってないけど。


・その後の研究が進むにつれて、特定の時期と経験や学習の間の結びつきが
 それほど強固なものではなく、後になってからの回復、復帰が完全に不可能な
 わけではないことが明らかになっている。

・発達を規定しているのが「遺伝なのか、環境なのか」「成熟なのか、経験なのか」
 という議論が古くから繰り返されている。

・発達課題の理論は、発達段階説を前提とし、2つのタイプに分類できる。
 
 1)発達段階において学習すべき内容を示す理論 ハヴィガースト
 2)発達段階において形成、獲得すべき心理的特質に関する理論 エリクソン

・ハヴィガーストは、身体的成熟、社会の文化的圧力、個人の価値と願望の3つが、
 発達課題の源泉となる要因であるとした。

・社会化の概念は、しばしば個性化(individualization)と対比されることが多い。

○これはあるだろうなー。組織の色に染まりすぎると、
 とがった個性が出づらくなる。


・エリクソンの「心理−社会的発達(psychosocial development)」理論

 それまでの「心理−性的発達(psyco-sexual development)」の段階にかえて、
 自我の特質の変化に注目して、生涯を8段階に区分している。
 
 成長するものはすべて「予定表」をもっている。

・エリクソンの理論の中核となっているのは、各発達段階での発達によって獲得
 される自我の性質であり、課題と呼ばれているのは、それぞれの発達段階で出会う
 避けることのできない葛藤の解決や危機の克服のことである。


・社会変化が急速化している現代において、次の社会の担い手となり、これまでと
 異なった環境のもとで生活することが予想される子供や青年に、現在の社会的
 要請に基づいた課題の達成を求めるのが妥当なのかという疑問が生じてくる。

○これはあるよなー。

 答えをもっていない。こうすればいいというのが分からない中、
 自分たちの枠にはめてっていいのか。 

 はめたがために、自分たち以上の発想や行動が出てこない可能性もある。

 かといって、自由奔放に任せていたら、周囲に受け入れてもらいにくい。

 
 だからこそ、どこでも通用しそうな「社会人基礎力」のような考え方も
 生まれてくるんだろうな。

 本田先生は、そうではなく専門性が身を守る鎧となると言っているが。

 どちらもそうだよなーと思える。


 大人が自信をもって社会化できない状況は、子供たちにとっても
 きついのでは。

 でも自由と可能性も広がる、若者にチャンスがあるともいえるか。


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●3章 言語的社会化


・言語習得への社会化と言語を通しての社会化の側面にわけて考える。

・ピアジェとヴィゴッキーの論争

・ピアジェが社会化というときは、協調が可能になる脱中心化が可能になった
 状態をさしている。

・ブルーナーは、母親との相互遊びの役割を強調する。

・言語の習得過程は、受動的な模倣ではなく、子供の能動的構造化によるものである。

・日本の母親は、子供の反応を引き出し理解を積み上げて行くというより、
 自ら課題の目標行動、正解を教え込もうとするような、とにかく正反応させて
 しまおうとする傾向が顕著。

・子供の知的発達にプラスに関係する母親の教授スタイルは、間接誘導式。

・アメリカの母親の言語活動は説明的、客観的であり、
 日本の母親は情緒的、文脈的。


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●4章 認知的社会化


・認知的社会化の研究の出発点の一つは、ピアジェの自己中心性という概念にある。

・ミードの役割取得という概念。

・ピアジェは、年少児は自己中心性を持つとし、そのため空間的にも他者の視点を
 理解できないし、対人的にも人の考えや気持ちを理解できないと考えた。

○こう言われると得心がいく。

 次女(もうすぐ4歳)が手ごわい。自分のわがままを通そうとする。我慢がない。
 それは彼女の自己中心性からくると思えば、納得できるかな。

 (でも、目の前でおお泣きされて駄々をこねられると、嫌になる。)


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●5章 性的社会化


・子供は親をはじめとする文化の担い手によって、社会が期待する行動の型を
 身につけていく。性役割(sex role)もその一つ。

・乳幼児期に見られる性差は、親と子の相互作用を媒介にして成立する。

・養育態度を比較すると子供に対する性の型付けへの関心は母親より父親の方が高い

・親をはじめとする周囲からの期待や圧力が、子供に性に適切とされる役割を選択
 させ、不適切とされる役割を回避させるのだが、それは同時に子供のもつ行動の
 幅を狭めて行くということでもあるだろう。

○長女もなんとなく女の子向けおもちゃとか洋服とかが好きだった。
 特に「女の子らしく」育てたつもりはないけど、やっぱり女の子らしくなっていく。

 親の影響もあるだろうけど、友達の影響も強いのでは。

 保育園のときはそんなに男女の違いを感じていなかったようだけど、
 小学校に入ってから、急に「女の子」であることを意識しているようだ。

 もうすぐお風呂も一緒に入ってくれなくなるかも。


 今8カ月の長男もなんとなく男の子っぽくなっていくのかな。
 

・思春期(中2ぐらい)の男子では、自分が男であることを積極的に呈示していく
 のに対し、女子では逆に自分が女であることを消極的にしか受容できない。

・大部分の社会が、女性より男性中心に形成されており、男性役割にはよい高い
 威信と価値が与えられている。

○女性にとっては生きづらい社会なのかな。

 年配の女性たち(50代以上)を見ているとそうでもなさそうだけど。
 男の方が窮屈そう。


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●6章 社会的スキルの習得


・社会的スキルの欠如(デートの可能性の有無の判断、会話の運び方等)が、
 異性関係に困難さを感じさせる大きな原因となっている。

・青年期は様々な社会的スキルの中から有効なものを学びとっていく「ためし」
 の時期といえよう。

・社会的スキルのトレーニング技法として、もっともよく用いられるのは、
 役割演技法である。


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●7章 道徳的社会化


・道徳とは、社会規範であり、客観的に存在するもの。

・道徳的社会化の概念が、道徳を外から教え込むものではなく、自主的、能動的に
 身につけていく発達過程であると主張されるようになったことから心理学的研究が
 なされ始めた。

・コールバーグの理論が、罰、規則等の問題に関する道徳的判断を中心として
 構築されたものであり、禁止に方向づけられた側面しか扱っていないと批判し、
 アイゼンバーグは思いやりとか愛他性といったポジティブな道徳的判断の研究が
 必要であると主張した。

・道徳性の核は、自己および他者への尊敬である。


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●8章 政治的社会化


・社会化の担い手とのダイナミックな相互作用を通して、個人が自らの政治志向を
 形成していく過程である。

・政治的社会化の基本的な考え方として、初頭、構造化原則(早期の学習が後の態度、
 行動を形作る性質)の代りに、個人の政治志向は生涯を通じて融通性があるとする
 「生涯開放モデル」のもとでの研究が増えている。

・政治的社会化研究の反省点の一つが、個人の主体性と能動性の存在をあまり
 顧みなかったことにあるとすれば、個人内部の認知的な要因を重視する傾向は
 従来の研究において欠けていた点を補うのにもっとも適した理論的背景を提供した
 といえよう。

○先行研究の欠点を把握し、その部分をカバーする概念を提示する。
 そうできたらいいなー。


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●9章 職業的社会化


・社会化とは、一般的に集団の成員がその集団の価値を内面化していく過程を
 指している。

・職業的社会化(occupational socialization)とは「職業に従事する上で必要
 とされる知識や技術を取得し、それぞれの地位に伴う役割を遂行するために
 制度化された行動様式や価値を内面化する過程である」(高橋1980)

・「職業への社会化(就職に至るまで)」と「職業による社会化(就職してから)」
 にわける(橋本1979)

○俺の興味は後者だな。


・社会化の過程は、時に組織の一員となるための通過儀礼を伴った激しい移行期を
 もつことになる。

・職業をめぐる社会的規範は、社会変化に伴って変化してきている。

○産業社会、情報社会、次の社会での社会的規範は何か?


・父親の職業への継承志向性は高い。

○うちの子たちはどうなのかな。
 
 自営業で研修講師という仕事をIC的に行っている父の姿を見て。

 長女が2歳のときに会社をやめているから、
 スーツで毎日通勤していたサラリーマン時代の姿は見ていない。

 今もジャージのひげ面でパソコンに向かっている。


・日本の場合は、専門的な教育を受けているはずの大学生に対しても、企業は
 職業的な能力や知識を身につけていることをあまり期待していない。

・父母の学歴の高い子は、小さい時から自分の将来の進路を決め、その実現に
 向けて親子ともども努力している。

・「学校から仕事の世界への移行」に際して、自分が上手くやれるかという問い
 には、自分が属することになる集団や職場での社会関係に注目せずには
 答えが得られない。

・組織的社会化(organizational socialization)とは「学生から組織人へと
 いうような移行過程を通じて、諸個人が職務遂行におけるある一定の
 モチベーションと行動のパターンを学習する過程である」(若林1981)

・シェインは、この新しい動機づけと行動パターンが学習されるプロセスを
 「氷解」「変容」「再氷結」とに分けている。

・これからは、一つの組織を選んでその組織内キャリアを形成していく人は、
 むしろ減っていくと考えられる。

○そうは言っても大多数は1社にしがみつこうとするのでは。
 安定を自ら脱するのは難しい。

 
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●10章 ライフスタイルと社会化

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●11章 乳児の社会関係


・乳児期の社会化のエージェントとして唯一母親にのみ焦点があてられ
 研究されてきた。

・現実に乳児をとりまく人々すべてを考慮に入れた社会化の理論がようやく
 台頭してきた。
 
 社会的ネットワークのモデルはその一つである。

○俺が新人へのOJTで見たいのはこの観点かも。
 「上司と部下」の2者間関係だけでなく、周囲の人々の関わり方も見たい。


・新生児は無秩序かつ無力で受身的な存在ではなく、秩序をもち刺激に対し
 積極的に反応し、有能な存在であることが分かってきた。

・生後9カ月を過ぎる頃になると「乳児−対象−人」という三項関係に基づいた
 行動が成立してくる。

○今、長男は8カ月。

 母親はおっぱいをくれる人。父親は抱っこしてくれる人。
 お姉ちゃん達は、笑わそうとしてくれる人。と何となく区別しているように思う。

 上機嫌でいても俺の姿が視界に入ると「抱っこしてよー」という感じで泣きだす。
 抱っこすると泣きやむ。


・夫婦関係が、乳児−親関係に及ぼす間接的影響

 夫から妻への感情的支持の程度が、妊娠、出産、産後を含めた妻の母性的役割
 に対する適応の容易さに関係していることが実証されている。


・きょうだい間で最も多いタイプは、年上の子が攻撃的ないし敵意的行動を向ける
 のに対し、年下の子のほうは親密にふるまうタイプ。

○これはうちの長女−次女間にもあてはまる。


・乳児期の社会関係を、個々の関係に別個に取り扱うのではなく、家族組織や
 集団保育場面での人間関係等の社会的ネットワークの枠組みの中で研究することが
 現在求められている。

○これは俺がやりたい新人へのOJTにも当てはまるかも。

 上司−新人、先輩(OJT担当)−新人、という個別の関係ではなく、
 職場全体、他部署との関わりといったネットワークの観点で見て行きたい。


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●12章 幼児の社会性


・4歳になったばかり。
 母親が退室し、子供たちだけになると相互交渉がはじまるのである。

○次女が、まさに今日(1月6日)4歳の誕生日。

 保育園の様子を見ていても、親が出た後、教室の中で、友達や先生との
 やりとりが発生している。親がいると見せない顔。


・4歳児にとっては母子分離ができるということは重要な社会性。

・友だちというのが、自分に満足をもたらす存在という自己中心的なものから、
 次第に互いに理解し合い相互に満足し合える存在というように認知が変化していく

○長女(6歳)は、この友だち作りの最初の段階にいるのかも。


・初めから良質な母子関係を経験でき、しかも仲間関係を経験する機会も数多く
 もっている幼児が、自らの対人関係能力を高めていく上で極めて有利な状況にある。


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●13章 児童期の問題


・情緒の発達に関して、幼児期の爆発的で一過性の情緒表出が、児童期になると
 コントロールされたより穏やかな表現へと変化する。

○これは、今感情が爆発的な次女と落ち着いてきた長女をみて納得。


・幼児期までは親が子供の社会化の主要なエージェントであるが、児童期になると
 学校の教師と仲間が重要な役割を果たす。

○小1になってから、長女は「学校の先生に言われたこと」や「友だちとのやりとり」
 を重視するようになったと思う。徐々にやっぱり親から離れて行くものか。


・小学生の男子の付き合い方は幅が広く、女子は数少ない特定の友人との親密な
 付き合い方をするのが特徴。

○これはあるんだろうなー。長女は小1の2学期から親しい女友達ができた。
 その子の名前ばかりが良く出てくる。


・女子の交友関係は排他的、独占的である。

○こういうことで娘たちは悩むんだろうなー。


・子供は遊びの中で自己主張をしたり、喧嘩をしたり、協力したりしながら
 社会性を身につけていく。

○これはあるよなー。姉妹で遊んでいる様子を見てもそう思うし、近所の子たちと
 遊んでいる姿を見ても感じる。


・遊び友達や遊び時間が多い子供の方が社会性が高い。

○これはどんな遊びかにもよるのかも。
 やっぱりDSに向き合っているばかりだとなー。


・自己主張の強い時期から、相手の事情も理解してある程度譲ることができる
 時期への変化は、小学校中学年の頃起こると言われている。

・小学校の高学年になると、学校の成績が良いことが自信と結び付く。

・小学校の高学年では、低学年で存在していた漠然とした自己受容的な態度が
 変化して、自己否定的な構えが強くなってくる。

○これはあるんだろうなー。でもなんでだろう。
 少しずつ自信をなくしていくのかな。


・児童期は、身体的、知的情緒的発達に伴って経験や行動の幅が広くなり、幼児期に
 比べると人格的にも奥行きが出てくる。

○これは楽しみだよねー。どんな人になっていくのか。


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●14章 青年期の課題


・発達課題とは、ハヴィガーストが初めて使った概念で、人間が各発達段階で
 果たすべき課題のことである。

・エリクソンは、ライフサイクルの観点に立って、自我発達の理論を提唱した。
 彼は自我の発達にともなって人生の各時期に直面する心理的危機を
 「エピジェネティックチャート」として表現している。

・青年期に関わる心理学的研究は、ごく少数しかない。

○企業に入った従業員の心理学的研究も少ないのかも。誰かが書いていたような。


・ユングは人生の前半の課題は、ペルソナの獲得であると述べている。これを
 成し遂げることができれば、青年は自分が他者や社会にとって十分に信頼される
 にたる有用な価値ある人間であることを感じ取ることができるのだと。

・ペルソナの獲得が人生の全てであると考えると、他者を基準として自分の
 存在価値を測ることになる。

・青年期における社会化のまとめとして問われるのは、社会の中で生きて行く
 自分自身の人生の課題を発見することである。

・「社会化そのものがもつ青年期の意味」についての研究がおこなわれることも
 望まれる。こうした研究は、個人的な内的体験を扱うことになる。そのためには
 量的だけでなく、質的研究が必要になる。

○この辺りは自分の研究のヒントにもなるかも。


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●15章 成人期社会化の問題


・成人期の発達を中心にライフサイクル論を展開したレヴィンソンらの研究は
 影響力が大きい。

 生活構造という観点から見ると段階性が存在し、しかも各段階が一定の順序で
 規則的に展開していくことが見出せると主張した。

・人生半ばの危機 midlife crisis

・ジェイキーズは、35歳前後に心理的危機が訪れると主張。
 その危機の契機となるのは、死は不可避のものであり、自分は既に人生の
 折り返し地点に達してしまった自覚であるとした。

○俺も33歳の時にきたなー。父が59歳で亡くなった時。
 自分が60歳で死ぬとしたら、という考えが初めて生まれた。

 それが独立のきっかけともなった。


・社会化は成人期前はもちろんのこと、成人期、老年期も含め、生涯にわたって
 継続するものとなっている。

・青年期に確立したアイデンティティーへの固執は不適応の原因ともなりかねない。
 アイデンティティーの形成、再形成は、生涯にわたる課題となっていると言える。

・成人期の社会化において問題になるのは、成人は既に相応の社会化を経験しており
 比較的安定した価値志向や行動パターンを形成しているという点である。

 したがって、新たに習得が求められる価値志向等と既有のそれらとの間に
 相克が生じる可能性がある。

○今まさに大学院に入る俺がこの状況かも。Unlearnが求められている。
 ビジネスパーソンとして、研修講師として10年、今度は研究者の一員に
 なることを目指す。


・ヴェイラントは、職業上のキャリアで成功することができなかった人物の特徴の
 一つとして、2〜30代に適切なメントルを確保できなかったという点を指摘。

・個人のキャリア発達においてメントル的存在の果たす役割は極めて大きい。

・人材選択、配置システム、教育研修、評価システムの整備のみでなく、管理職の
 立場にある者や年長者が日常の対面的な人間関係の中で若い成人のキャリア発達を
 促すようなシステムを作ることが企業等の組織体に求められているのかもしれない。

○俺には、こちらが勝手に思っているだけだが、メンターはいる。
 俺が誰かのメンターになれるか。なりたい想いはある。


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●16章 老年期の社会化


・65歳以上を老年期と考える。

・全ての個人に知能の低下が生じるのは、80歳を過ぎてから。

・動作性知能に比べて、言語性知能は、老年期に至っても上昇する可能性すら
 あるという。

 言語性の課題によって測定される結晶性知能は、その名の通り経験の結晶であり
 条件が最適であれば、生涯にわたって発達の可能性がある。

・老年期の人格の特徴として
 1)円熟型 調和的で円熟した人格に向かう
 2)老化型 頑固、保守的、我がまま、嫉妬、短気、依存的、

○円熟型に向かいたいねー。


・健康、経済、生活状態の他に、各発達段階において、いかにその発達課題を
 克服してきたかが、老年期の人格を規定する重要な要因である。


・代表的な老化の理論として
 1)活動理論 2)離脱理論 がある。

 どちらも社会の要求と個人の要求が一致することが幸福な老いにつながるとする。


・老年期の研究では、衰退の事実ばかりが集められてきたが、老年期は子供のような
 年齢にかえっていく段階から、すばらしい創造力を発揮する段階までのあらゆる
 可能性を含んでいるとも考えられる。

・遺伝的継承があっても社会がなければ行動は発現しない。人間は社会的な存在
 であり、人間行動を全て社会行動とみなすことも可能。


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●17章 家族心理学の課題


・家族をめぐる諸学の関心は2つにわかれる。
 構造を明らかにすることと、問題を解決すること。

・地域共同体を培養基とする伝統的な家族に比べて、核家族はユートピアであると
 されていた。

・家族問題で警戒を要するのは「犯人探し」である。「母源病」がそのいい例。

・家族心理学の重要課題の一つは、社会教育のレベルで正しい家族観を広める
 ことにある。具体的には、父親教育に力を入れることになるだろう。

・家族を「相互作用する諸部分の複合体」つまり「システム」と捉える考え方が
 家族療法を飛躍的に進歩させた。

 一般システム理論 1950年代ドイツの理論生物学者フォン・ベルタランフィ

・色々な連合(サブシステム)があっても、基盤に夫妻連合が根をおろして揺るがず
 しかも他の連合に対して柔軟に応ずる姿勢があれば万全である。

○うちは、どうかなー。

・サブシステムが病むのは一つのメッセージ。その時全体システムは緊張せざるを
 得ない。ことに中核的な存在である夫妻連合は結束を強めないわけにはいかなくなる

○確かに長男が7カ月で入院した時、夫婦間の絆は強くなったかも。
 1人だったら耐えきれなかった。二人いて良かったと思えた。


・システムはどこを押しても変化を生じ波及していくものであるから、どこに
 働きかけてもよい。小さな変化が次第に全体に大きな変化を引き起こしていく。

○これは、新人が職場に加わることが、職場全体の変化を促すことの説明に
 もしかしたらつながるかも。

 システム理論、ネットワーク論は、俺が学ぶべき領域かも。


・原因のつきとめよりも、結果をイメージし、どのような結果をもたらしたいのか
 を考える。


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●18章 友人関係の機能


・他者の感情を読み取る能力は、他者の立場にたって物事を見る能力の発達と
 密接に結びついている。

・幼児期における仲間との接触が、自分とは異なる他者の存在を気づかせる機会を
 提供し、この機会が役割取得能力の発達を促す。

・児童期の友人関係は、次の3つに沿って発達するものと考えられる。
 
 第一段階 小学校低学年 自己中心性が強く、友人からの援助を一方的に求める
      喧嘩になることが多い 席が隣あっているなど偶然的要因 長続きしない
 
 第二段階 中学年 協力して活動 親密な友人関係 男女の差が明確になる

 第三段階 高学年 人格を重視 尊敬できる、共感できる相手を友人に
      喧嘩すると仲直りが難しい 関係は長続き 友人とは親密 他者を排除

○これはうなづけるなー。なんとなくそんな流れになりそう。


・学級内で人気のある子は、心理的に安定している。

・青年期においても母親との情緒的つながりは弱まらないが、父親の影響力は
 進路の決定などの限られた問題だけに現れており、影響は間接的。

○ちょっとさびしい。自営業で家にいることが多くてもそうなのかな。


・他人と付き合うためには、家族とは異なる付き合い方の技術(社会的スキル)が
 必要となる。身内でない相手への伝え方など。

・友人は、同質的な家族や対等の立場にない教師と異なり、青年にとって新しい
 世界を示す手本、発達的なモデルになりやすい。

○だから、友人の影響力は大きい。特に親元を離れた直後など。


・小学校高学年には、ギャング現象の衰退という時代的変化が起こっている。

○これはケータイが普及した今はもっと変わってきているのかも。


・最近の青少年の友人関係が、相手と一線を画す個人主義型に変化し、友人関係に
 深入りしない傾向があるという。

・最近のいじめでは親友がいじめ相手に急変してしまう。

○これは怖いなー。友人というサブシステムよりも、クラス全体をシステムと
 とらえた方がいいのかもしれない。


・他の学問領域の知見にも目を配るべき。アメリカの心理学の成果だけでなく、
 世論調査や教育社会学にも知見は多い。


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●19章 学校での社会化


・学校は、将来子供が所属すると予想される集団または社会の規範や行動様式を
 前もって学習する「予期的社会化(anticipatory socialization)」の場と言える。

・学級は何かを作りだすというよりも「成長する」「修行する」といった集団の
 成員自身の変化を生み出すために組織されたもので、心理療法や修行のための 
 集団と似ている点がある。

・制度的には、教師の大きな影響の下に、学級の中で子供たちの社会化が進んでいく。

・教師という制度的な裏付けだけでは、社会化の担い手としては不十分であり、
 教師が1人1人の児童に対して「人間的配慮」をしなければ、社会化の機能を
 効果的に果たすことはできない。

・三隅らによる教師のリーダーシップ研究(1977)PM機能

・知的業績が重視されている現在、学校での成績が悪いと、教師や友人から軽く
 扱われ、親や教師から叱られる機会が多くなりがちである。このため好ましい
 自己像を持てず卑屈になり、将来の展望や希望を持たず、投げやりの生活を
 送りがちとなる子供も出てくる。

・「学校こそ少なからぬ子供の心を深く傷つけ、自信とプライドを奪い、無力感と
 非効力感の泥沼に沈みこむ社会的装置にほかならない」(梶田1985)

○恐ろしいなー。確かにそういう面もあるのかも。


・学校は子供を選別し、社会の役割構造の中に彼らを配分する機能も果たしている。

・学校は学習の全ての機会を提供することはできない。生涯学習。

・学校の機能は子供たちが生涯、学習していけるように子供たちを助けることである。
 単なる知識ではなく「学び方を学ぶ」「自分で学ぶ」態度や方法を教えることにある。

 学習することを尊重し、学習の仕方を学習しなければならない。

○これって大事だよなー。企業の中での仕事の学び方もそうだし。

 うちの子供たちにも「学ぶ楽しさ」とか「学び方」とかを知ってほしい。
 そのためには、親自身が楽しんでいる姿を示すのが一つかも。


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●20章 社会化と地域社会


・地域社会は、個人と全体社会をつなぐ中間集団としての位置を担う。

・主婦がユタ(巫女)になるまでの過程を社会化という枠組みに位置づけてみる。

・「社会化される存在」から「社会化する存在」への移行は、文化の新たな担い手
 になることに他ならない。


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●21章 非行への社会化


・非行が犯罪と大きく異なるのは、法的に逸脱した行為を心身の発達と関連づけて
 保護的に考えようとするところにある。

・非行は社会化と密接に関係している。

○「ハマータウンの野郎ども」? あとで読んでみよう。


・非行をより効率的に行うためには、より良く社会化されている点が前提になって
 いる点に、非行と社会化の関わりの複雑さがある。

・非行深度を、アマチュア的段階とプロ的段階とに大別(阿部1968)

・家庭の機能
 1)社会のルールを身につけるべき場所
 2)愛情を基盤とした親子の情緒的な結びつきの場

・非行をはじめとする逸脱行動が思春期に集中して生起するのは、心身の発達
 が急速に起こるこの時期が、エリクソンのいう人生の危機の時期だからである。

・集団になると非行が誘発されやすいのは、所属感情が強まるにつれて、
 集団への同一化が生じ、その集団に所属し続けようとする限り、他の少年と
 行動を共にすることが要請されるから。

・不良仲間が非行の手本を見せたり、皆と同じようにシンナーを吸ったり、学校を
 さぼることで集団への帰属意識が高められる。


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●22章 拡大する情報環境と社会化


・バンデューラは、子供が社会的行動を発達させるのは、その多くが観察を通して
 学習するからであるとし、他人が暴力をふるっている様子を観察することによって
 攻撃的行動が学習され、暴力行為が促進されることを実験的に示した。

・子供の発達、社会化にとって、長時間のテレビ視聴は、生活構造での変化を
 与えるばかりでなく、テレビが行動のモデルを提供していること、現実の認知、
 人間観、社会観といった心理的、精神的な面にも大きな影響がある。

・テレビというメディアは、環境を把握する能力を飛躍的に拡大させた。

・マスメディアの流す情報は、強力で直接的な影響を与えるものではないことを
 ラザースフェルドらは示した。「コミュニケーションの2段階の流れ」

 「情報の流れ」と「影響の流れ」を区別する。影響の流れはパーソナル
 コミュニケーションを通して流れる。

 この「影響の流れ」は社会化ということである。

・テレビの受動性に対するコンピューターの能動性。
 コンピューターの持つ能動性が、子供の遊びの世界にも変化を与えつつある。


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●23章 社会変動と社会化


・社会化、教育、しつけという概念の関係

・子供は全体社会のエージェントによって、他律的に社会化される。
 社会化される者の個人的要因よりも、社会規範やエージェントなどの
 環境要因のウェイトが大きい。

・親の態度と子供の認知のズレは、子供の年齢が高くなるにつれて縮まっていき
 ズレの最も大きいのは父と息子の間で、最小なのは母と娘の間であった。


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●24章 社会化の民俗学


・社会化は、個人と社会をつなぐキー概念であり、同時に心理学と社会学、
 人類学など他の行動科学とを結ぶキー概念ともなっている。

・民俗学におけるライフサイクルでは、死後の死霊、祖霊の時期までも収める。

・間引き堕胎の多かった時代でも、帯祝い(5カ月)を済ませた新生児は、
 育て上げることを原則としていた。共同飲食の機会は、村社会の一員として
 生存権を公認することでもあった。

・双生児を嫌うことが多い一方で、西南日本から台湾では、これを喜ぶ土地も
 少なくない。

・障害児も間引きの対象となる一方で、これを「福子」として大切にし、家も
 繁栄するという伝承も広く全国に分布している。

・しつけは、生業技能を体得し社会人として立つ態度を自得させて、一人前に
 仕上げる過程を意味した。生活者として何か理想に近い一定の型に形成していくこと

・しつけの手法は、直接叱責するよりも、人に笑われぬよう、人前で恥ずかしくない
 ようにと自覚を促すことが多く、ことわざ、なぞ、昔話などの口承文芸が多用された


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●25章 異文化体験の問題


・異文化との接触が日常的な体験になりつつある時代、社会化を一つの社会内だけ
 の現象としてとらえることが難しくなる。

○この辺は、Sさんの研究とも関連が出てくるのかも。

 日本企業に新卒で採用された留学生の職場適応。


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●26章 生涯教育の課題


・発達 developとは「包み込まれていたものを解き放つ」という意味がある。
 顕在化されていなかったものを表に明らかにする。

・大学の「リカレント教育機能」社会への解放が求められる。

・社会化とは「個人がその社会のメンバーとなるための知識、技能、傾性などを
 習得していく過程」と定義(ブリム&ウィーラー1966)

・社会化とは「個人が他の人々との間の相互影響を通じて、社会化に重要な行動や
 経験についてその個人特有の型を発達させていく過程全体を示す」(ジグラー&
 チャイルド?1969)といった定義は、個人の側に着目したもの。

・社会化とは、社会と個人の2つの水準でなされる過程であり、換言すれば
 「文化的伝達」と「個人的学習」ということになる。

○社会化しようとする職場側(OJT担当者)の視点と
 社会化される側、そして職場に逆に影響も与える側である新人の視点

 この二つの視点を研究の中に盛り込みたいな。

 「社会化」以外に、俺の研究のキーワードとなる概念には何があるのか。

 今後の俺の課題。


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「組織行動の考え方」

「組織行動の考え方」

  金井 寿宏 (著), 高橋 潔 (著)

○組織行動に関しておさえておくべき理論が俯瞰できる。
 「元気にしたい!」という想いが伝わってくる本。


・初版2004年

(・引用/要約 ○関根の独り言)

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●1章 経営学と組織行動の間柄


・組織行動とは、組織の中で起こる様々な人間の行動を科学的に
 理解しようとする学問分野である。

・「組織の中の人間行動」Human Behavior in Organizations

・ある学問領域がその国に根付くということは、まずその分野の名称が
 広まること。

・緊張下のシステム「張りがないと人は動かない」

 未達の課題の選考的想起が、緊張を生み出しその緊張を緩和するために、
 人は動機づけられる。これがツァイガルニーク効果。

・現実世界での経験、個人の洞察、理論的考察の三者をつなげることが、
 組織行動の学びのあり方

・K.レビンの「よい理論ほど実践的なものはない」
 (Nothing is so practical as a good theory)という姿勢

・経営学の起点は、F.テイラーの「科学的管理法の原理」1911年。

・H.ファヨールの組織全体の合理的管理 1916年

・M.ウェーバーの官僚制組織に関する議論 1924年

・E.メイヨーのホーソン実験 1933年 人間関係学派

・1960年代の人間主義心理学 A.H.マズローの欲求階層理論、
 D.マグレガーのX理論、Y理論

・1960年代 リーダーシップの行動理論 2軸

・1960年代 H.サイモン、J.マーチ 意思決定理論 
 合理的な意思決定はできないとする「制約された合理性」モデル

・1970年代 唯一最善の方法はなく、すべては状況に依存するという見方 
 コンティンジェンシー理論

・1970年代、80年代 組織行動の研究領域が拡大

・1990年代 組織変革と結びついた研究が増加


・組織行動(OB)に最も近しい基礎学問分野は、心理学。

・ジョン バン マーネン教授の言葉「人の問題を扱うOBは、
 さわやかでおもしろくあるべき」


・経営行動科学学会、産業・組織心理学会 
 「人事部にいながらこの種の学会に入っていなかったらもぐり」

○俺も入ろう


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●2章 コンピテンシーとは何なのか


・スポーツにおいてあるプレーがうまいというとき、
 そのうまさにはレベルがある。「知る」「わかる」「できる」の三段階。

・コンピテンシー=成果行動

・コンピテンシーは、日本の経営、人事管理にフィットしない気がする。
 コンピテンシーモデルには、きわめて米国的な能力観が見え隠れする。
 しかし、日本の人々の多くがコンピテンシーという考えに飛びついた。

・コンピタンスは、環境の中でうまくやっていくことに関わっている。

・動因でも本能でもないモティベーションの新たな概念としてのコンピタンス

・コンピタンスは、単にできるというのではなく「うまく生きられる」こと
 まで関わってくる

・コンピテンシーは多義的であり、ほかの用語と互換的に用いられることが
 多々ある。責任能力、自力、学力、知的能力、顕在能力、発揮能力など

・コンピテンシーモデル構築
 1)伝統的職務分析の手法を援用
 2)行動事例面接(BEI)法 行動に力点をおく

・コンピテンシーモデルの設計手法
 1)リサーチベース
 2)戦略ベース
 3)価値ベース

・日本的視点からのコンピテンシーの理論化「コンピテンシーラーニング」
 (古川2002)

○見舘先生おすすめの本!ちょうど買ってた


・コンピテンシーラーニング理論では、コンピテンシーが学習され、
 育成させる能力であることに力点が置かれる

・製造現場では4つの技能水準、すなわち「もの造り」のための
 コンピテンシーと呼べるものが形成されている

 この技能水準とコンピテンシーの学習方法にははっきりした対応が見られる
 レベル1には「経験による学習」2と3には「モデリングによる学習」
 4には「概念化による学習」が必要。

・コンピテンシーの学習が効果的になされるためには、学習意欲ならぬ
 達成動機の役割が欠かせない

・コンピテンシーの学習を通じて、最終的に我々が得るのは、
 有能感の経験である。

・コンピテンシーの要素分解や評価測定よりも、コンピテンシーの獲得に
 至る学習のプロセスに注目した方が、日本企業であれば良さそうだ。

 このプロセスこそが、企業の競争力を左右し、元気を生み出す過程となる
 可能性も有するからだ。

○これは今後のカギになるかも。おれの興味もこっちだなー。人の学習。


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●3章 モティベーション論のミッシングリンク


・本章では、モティベーション理論を、心理学ベース、経済学ベース、
 目標に関するもの、「夢」をキーワードにしたものを紹介する

・何らかの緊張や欠乏があったときに、それを何とかしようとして
 人が動くときに、モティベーションが生まれるというのが基本。

・心理学をベースにしたモティベーション理論では「ひとを動かす」ための
 キーワードとして「欲求」「内発性」「楽しさ」「公平感」「仕事の中身」
 などが考えられている。人間のうちなる部分に注目する心理学ならではの傾向。

・経済学的モティベーション論 欲求が効用関数で示される 
 合理的に行動するという前提 行動の監視が必要 金銭的インセンティブ 

・E.ロックとG.レイサムによる「目標設定理論」   
 1)目標が適度に困難
 2)具体的
 3)本人に受け入れられる
 4)成果とフィードバックが与えられる

 この4つが確保されることで、目標が人を動かす

・否定的フィードバックが多いことは、目標達成に向けて我々のやる気をそぐ
 (ディモティベートする)のである。

 (行動に伴って嫌な経験ばかりさせられて、次第に無力感や絶望感を
 身につけてしまうことを、学習性無力感<learned helplessness>と呼ぶ)

・プロジェクトXのような無理な目標でも動機づけられるのは何故か。
 それが動機付けのミッシングリンクである。

 このミッシングリンクに「夢」が与えるモティベーション効果を
 当てはめてみたい。


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●4章 「キャリアデザイン」のデザイン


・D.マクレランドは、達成動機の高い人からなる社会は、経済発展が
 進んでいるという大胆な主張をした。

・キャリアデザインは、戦略発想を個人に応用する最適の領域であることを
 強調したい。

・節目さえデザインすれば、あとは多少ドリフト(漂流)するのもOKだ
 というデザイン思想を広めたい。

・経営戦略論の根っこには2通りの考え方がある。
 1)内容学派 content school
 2)過程学派 process school

・会社全体の大きな方向づけに至った決定は、節目でしかなされていない

・内省と実践が将来構想という旗印のもとに同居するのが、
 デザインマインドの特徴。

・今は時代の節目で過渡期であるので、個人と組織の側双方が、
 キャリアの協同デザイナーであるべき。

・キャリアの問題は、本人だけの問題ではなくなっている。

 家族からのインプットがキャリアデザインには必要。

・トーナメント型という競争ルールは、必ず敗者が生まれるため、
 キャリアプラトーの問題と敗者のモティベーション低下の問題が切実になる。
 しかしこのルールは特定の役職以上に適応されるため、通常は表面化しない。

・キャリアデザインは、本人と家族が協力して、企業の手助けを得ながら
 設計していくのがよい。

○ここまでできているサラリーマンの人ってなかなかいないだろうなー。

 なぜキャリアをデザインするのは難しいのか。

 先が見えない、(組織にいると)個人の力ではどうしようもないと
 思えることが多いからか。

 だから流されるままになりやすいのか。

 独立した後は、「のたれ死ぬ」自由もあるけど、その分、
 自分の意思でどの方向に進むのかを考えられる。

 
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●5章 成果を意識した組織行動を目指して


・成果基準の多次元性の問題

・「デリバラブル(deliverables)」=deliver(お届けする)+ able(できる)

 戦略や成果と結びつけて人材マネジメントの機能を考察するために、
 D.ウルリッチが広めた言葉。

・「ドゥアブル」は、やっていること

 「デリバラブル」は、それぞれのドゥアブルがいったい誰になにを
 もたらしているかという問いかけ。貢献。

○俺はどうだ

 「ドゥアブル」
  −研修を行う、本を書く、雑誌に記事を書く、ブログの記事を書く、
   本や論文を読む、大学院のゼミに参加する、

 「デリバラブル」
  −参加者に考える機会と考える材料を提供している
   企画者の考えを具現化している
   企画者の社内評価を高めている(ことを目指している)
   他者の参考になる情報を発信している
   新入社員への職場OJTを効果的に進める方法を明らかに(しようとしている)


    ・・・う〜ん、難しい。デリバラブルで表現するのは。まだまだだよな。


・「結果をもたらすこと(delivery of result)こそがリーダーシップ」
  ゴーン氏

・成果につなげるのがリーダーシップやコーチングだということが、
 スポーツの世界ではごく素直に認識されている。

・リーダーシップ研究は、リーダーの属性ばかり見てきたため、
 リザルト(結果)に基盤をおいた研究は乏しい。

・バランススコアカードBSC

 財務データでは、結果は分かってもそこに至る道筋が見えない。

 1)財務 2)顧客 3)社内ビジネスプロセス 4)働く人々の学習と成長 
 の視点を入れる

 BSCを理解するためのシミュレーションゲーム 
 LFR(leadership for result)

・「誰のための成果か」「いったい成果とは何なのか」という問いを
 直視する必要がある。

○弊社が考える成果とは何か? ドラッカー5つの問いの一つ

 
 この問いはやっぱり難しいよなー。


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●6章 人事評価をめぐる根本問題


・BARS(behaviorally anchored rating scales)、
 BOS(behavioral observation scales)という2つの評定法は、
 測ろうとする評価要素自体がかなり具体的になっていること、
 段階や付された標語が工夫されていることによって、
 優れた人事評価法であると考えられている。

・悪弊のようにいわれがちな相対評価だが、絶対評価に比べて利点も多い。

・評価基準の問題は、つまるところ、属性(あるいは要素)に分解された
 行動の評価をするのか、全体としての人物評に関わってくるのかという
 問題にいきつく。

・多数の絶対基準から分析的に「行動や振る舞い」の評価を行うのが
 絶対評価であり、少数の基準上で総合的に「人物の器の大きさ」みたいな
 ものの比較を行うのが相対評価であるといえる。

・J.キャンベルによる米陸軍でのプロジェクトAにより8個の評価次元が
 抽出されている。

・日本での人事評価では、行動的側面だけでなく、従業員個々人の
 能力的側面や態度的側面などの人物側面もあわせて測っていこうとする
 傾向がある。

・P.ヘンベルの調査 英国系上司は行動とスキルに着目、
 中国系は属人的要素に重きを置く。

・日本では、評価基準は成績、能力、情意という一見三次元に見えながら
 実は「有能さ」というたった一次元で評価されている可能性が高い。

・「賞は速やかに行うべし。罰は宿を越すべし」(たとへづくし)賞賛は
 疑うことなく速やかに行うことがよく、懲罰、叱責は日を改めてよく
 検討した後に行うのがよい。

 行動主義心理学のいわんとするところが、この格言にはこめられている。

○これは、いい言葉。シンプルで説得力がある。


・ネガティブなフィードバックのほうが、はるかに特定的で情報価値、
 学習上のヒントが多い。

・個人の情報処理能力という認知的制約ゆえに、ネガティブなコメントも
 相手の心に深く届かなくなる。

・ネガティブなフィードバックばかりたくさん聞かされると、
 攻撃されているように感じ、感情的な制約ゆえに学習が起こりにくくなる。

○この辺は大事なことだよなー。


・S.アシュフォード「フィードバックは資源だ」

 大人になるほど、偉くなるほど、フィードバックという資源が
 乏しくなる可能性がある。


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●7章 360度全方角からのフィードバック


・経営のあり方を組織行動という観点から読み解く鍵の一つが、
 このどろどろした評価制度にあるとにらんでいる。

・360度フィードバックの最大の特徴は、複数の評価者の目を通じて、
 一人の対象者の特性を評価することにある。

・顧客ベースのデータを取り入れることによって、
 360度フィードバックといえる。組織内部だけであれば、せいぜい270度。

・360度多面評価を一回きりの評価だけで終わらせず、個々人の人材育成の
 ための活動へとつなげていくには、フィードバックセッションの質がきわめて
 大きな影響をもつ。

・本音では「人事部主導による人事評価」すなわちラインの
 人事評価に対する安全弁としての役割が密かに期待されているのではないか。
 
 それが見え隠れするから、日本では360度フィードバックがなかなか
 浸透しなかったのかもしれない。

・360度フィードバックの位置づけ 目的論と手段論

 この技法を職務行動に関する一つの測定法として捉え、正確で誤りのない
 フィードバックのためのツールを開発すること自体を「目的」とする考え方と
 対象者の気づきや業績向上、サービス向上などを求めていくための「手段」
 として捉える考え方。

・目的論では、評価の一致に重きをおく。
 手段論では、違いを際だたせるために複数に聞く。

・測定の信頼性と妥当性

・評価は自分を映す鏡

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●8章 変革の時代におけるリーダーシップの求心力


・リーダーシップ論の流れ
 
 「属性」→「行動」→「状況」→「変革」

・1940年代 リーダーシップの特性理論といえば「偉人論」になりがち。

・R.スタッジルは、生まれつきの個人的資質や特質に大いに注目しつつも、
 それだけではリーダーシップの全貌が見えないと示唆した。

・リーダーシップをとる人は特別な人で、自分からはかけ離れていると
 いう発想に陥りがち。

 リーダーシップを獲得するためでなく、鑑賞するように見てしまう。

・1950年代〜60年代 ふつうの人々の行動

 調査によりたえず同種の2軸が繰り返し見いだされた
 「ロバスト(頑強)な次元」

 リーダーシップのような複雑な現象が2つの軸で説明できる

・ハーバード大 課題リーダーと社会情緒的リーダー 異なる2人の人物

・ミシガン大 仕事中心型と従業員中心型 両方を兼ね備えるリーダーはいない

・オハイオ州立大 構造づくりと配慮 一人で2役

・九州大学、大阪大学 PM理論 

・Hi−Hi型が、もっとも有効なスタイル

・「課題(仕事や業務)関連」と「人間(対人関係)関連」という2つの
 行動次元は、常識的でわかりやすい。

 管理職のリーダーシップを評価するのに、業務、業績面と対人関係面の
 2つだけ見ていけばよいことになる。


・リーダーシップの条件適応理論、状況適合理論(コンティンジェンシー理論)

 P.ハーシーとK.ブランチャードによる状況理論では、状況特性として
 部下の心理的、技能的成熟度がとりあげられた (SL)

・状況によっては、リーダーシップが不要になることもある。
 リーダーシップの代替要因アプローチ。

○太田先生の「間接的」「インフラ型」マネジメントもこれに近いのかな。


・「無為の治」や「サーバントリーダー」は、ビジョンや使命だけは
 しっかりしていることが必要。


・J.バーンズ「変革型リーダーシップ」1978年


・「プロジェクトX」にみるリーダー像

 達成志向、チームワーク志向、道徳的、無為自然

・米国的なリーダーシップ論では、無為によるリーダーシップが強調される
 ことはほとんど無い

・すべてが一人に帰せられがちのアメリカンドリームに対して、
 チームワークとメンバーの創発的効果を軸とするジャパニーズドリーム

・日本でのリーダーシップの在り方を考える際には、割り切った2分法から
 脱却することだ。

 配慮こそが、課題面にも貢献するという機微。

・配慮には、微妙だがパワフルな課題関連のフィードバック機能がある。
 配慮は、間接的、長期的にパフォーマンスを支配する可能性がある。

 配慮は、微妙で強力な形で、影の課題関連の行動として作用している。


・新人の適応に役立つ情報源には何があるのかの調査

 新人の直属上司がよく配慮してくれるほど、新人は適応への機会を
 大事にしていた。

 配慮が存在するときに微妙な情報がよりよく流れる。

○この論文を読もう!

 「新人にとっての情報源と上司のリーダーシップ行動」


・構造づくりを課題関連の行動、配慮をもっぱら対人関係の行動と割り切って
 2分法で考えることは誤り。

 配慮の中に課題関連の効果も織り込まれている。

・リーダーシップの最大のエッセンスを「フォロワーがついてくること」と
 捉えるなら、2軸のうち対人関係の行動と思われてきた配慮が、
 リーダーシップの条件としては一層重要かもしれない。

○「配慮」が上位。その下に「課題」が来るというイメージかな。

 リーダーは、メンバーに配慮する。配慮を通して、課題達成を支援する。


 「フォロワーがついてくること」に関して、俺自身の最近の経験は、
 保育園で父親たちに声をかけて実施した人形劇があてはまるかも。

 http://yuzunoki-hoikuen.seesaa.net/category/4174647-1.html

 権限も義務もない中で、プロジェクトを動かしていた。

 その時はやはり「配慮」が中心だったように思う。

 課題関連の行動といっても、彼らにはやりきる義務、
 課題達成する義務はなかった訳だから。

 「子供たちのため」「父親自身が楽しんでいる姿を」

 そんなキーワードと、劇がうまくいったときの絵を伝えることを
 強調した。

 途中からメンバーが勝手にのって、動き出してくれた。
 そこから先はでしゃばらないようにした。

 自分で「リーダーシップを発揮して」というとなんかいやらしいけど、
 ああいうリーダーシップの発揮は、俺にとっては面白いのかも。

 社長としてリーダーシップを発揮すると、どうしても強権的になる。

 「配慮」は、確かにリーダーシップのカギになりそう。


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●9章 職務満足と組織コミットメントから見る職場の幸福論


・経営学のボキャブラリーの中には「幸せ」の文字はないが、
 「職務満足」がそれに近いし、研究の蓄積も豊富だ。

・職務満足の研究は、人間関係学派にその基礎があるといってよい。

 人間関係学派は「満足した労働者は生産性が高い」という考え方をもっていた。

 ロジックとして、職務満足と生産性との間に強い関連性がもたらされる
 ことが必要であった。

・しかし事実は、職務満足は生産性に直に効くとはいえない。
 相関は弱い。

・職務満足と生産性の間の関連性についての論争。
 1)職務満足が生産性を向上させる
 2)個人の成果の方が、職務満足を向上させるよう働く(逆転の因果律)
 3)特定の条件のもとだけ 

・職務満足は、個人要因vs環境要因の2要因性が意識されるのは明らか。

 仕事でハッピーになるには、自分自身の内面に目を向けるか、職場に納得
 するかのいずれかなのだ。

・職務満足は、遺伝子によって決定されている可能性。

 満足度の3割は遺伝に影響される。7割は職場環境。


・知的水準の高い人に、もてる力を十分に発揮し気持ちよく働いてもらう
 ためには、その人の知的レベルにあった複雑でチャレンジングな仕事を
 与えなければならない。

 反対に、頭のよさだけで勝負しているわけではない人にとっては、仕事の
 中身がどうであっても満足感が大きく振れることはないので、仕事の与え方
 にそれほど神経質にならなくてもよい。

○これは新卒が配属された職場でよく出てくる問題かも。

 半年後のフォロー研修で「意欲の高低」を聞いたときに出てくる。


・若年労働者の定着度の低さには、仕事と興味のミスマッチがあるとされている
 が、実は会社が与える仕事と本人の知的能力のミスマッチが見られるのかも

・組織コミットメントの3次元 
 情緒的(愛着)功利的(しがらみ)規範的(倫理感)

・組織コミットメントが企業の生産性と関連をもつということは、ある意味
 幻想であった。「コミットメントが成果につながっていない」

・組織との間の「情緒的」つながりは、管理職の生産性を向上させるが、
 「功利的」つながりは、生産性を阻害してしまう。

・組織を去った人たちだけでなく、組織に残った人達も気づ付いている可能性。

○これは、俺がやってしまったことだな。

 1社目も2社目も、出る方の俺は気楽だけれども、残された方はきつい。

 1社目のときは、出る前に「残される側」の立場も味わった。
 やはり後始末的な仕事はきつかった。出た人を正直恨んだこともあったなー。
 でも、そのあと残された人は、もっとつらかったろう。


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●10章 現実を変えることから生まれる知識創造のパワー


・「気づきをもたらす概念(sensitizing concept)」

 それを知る前と知った後では、物事の感じ方、働き方、生き方まで
 変わってしまうような劇的な影響を与える概念

 それが変化をもたらすかどうかは概念側の影響力の大きさだけでなく、
 学ぶ側の姿勢にもよる

 例「中年の危機」

・ユングもM.ウェーバーも、中年の危機の後により充実した業績を残した。

○俺にとっては「営業プロセス」「4つのタイプ」「考える枠組み」
 「ランチェスター弱者の戦略」「感情マーケティング」とかが
 気づきをもたらす概念だったのかも。

 今後はどんな概念に出会えるか、楽しみ。


・「気づきをもたらす概念」「悦ばしき知識」は、実践の中から生まれる
 知識であり、内省のできる実践家なら自ら生み出せるものだ。

 しかし実践家の誰もが、自分がうまくできること、自分がくぐっている
 経験の意味合いをうまく言語化しうるとは限らない。だから研究者が
 必要になる。

・すぐれた研究者は、実践家の側にいて、彼らの行動をつぶさに観察し、
 要所要所でうまく質問をして、その行動の意味を引き出せる人、つまり
 実践家の「持論」を引き出せる人だ。

 理論から持論を演繹し、持論から理論へ帰納する絶え間ない相互作用の
 エージェントだ。

○これは俺が今後目指したい姿。


・理論が現実に合わなかったら、おかしいのは理論の方。


・実践に役立つ知識を生み出すには、実践家と接することが何より大事だ。
 その究極の姿は、実践家そのひとに組織行動の研究者になってもらうこと。

○実践家が研究者になる場合に、自分の過去の実践家としての経験に
 とらわれすぎないようにしないといけないんだろうなー。

 「前は実践家、今は研究者」ではたぶんダメ。
 「今は研究者、今も実践家」でないといけないんだろうな。

 実践家が、研究者の考え方、観察方法、質問の仕方とかを学んで、
 実践の世界で仕事をする。そうすると研究者の目線で実践の世界を見ることが
 できるのかも。

 俺の場合は、企業内で人事教育担当という立場で実践に携わる訳ではない。
 彼らに外部からアプローチする研修運営者という立場。

 (強みは、複数の企業と接点があるということかな)

 研修という講師にとっての実践の場だけでは足りない。
 現場という従業員にとっての実践の場に、より入り込んでいかないと。

 その入り込む際には、今勉強している研究者の視点を伴っていきたい。


・社会人大学院生は、学理と実際を融合させるような知的実践的作業を
 担当するのに、ふさわしい絶好の立場にある。


・学生がインターンシップや、外部とのかかわりをもつプロジェクトで成長する

・年長者からみれば、もどかしさと心配だらけであっても、若者に言わせて
 やらせて応援することが肝心。

 次世代にチャンスを与えること。


・コンカレント アクション アンド ラーニング

 職場を離れてフルタイムで大学に戻るよりも、勤務を続けながら履修できる
 教育こそが王道。

・国の元気のかなりの部分は、産業界での会社の活力にかかわっている。


・知識のありがたさを、割り引いて考えないこと。知識創造は大切。

・SECIモデルのどの段階でも、それが生じやすい場というものがある。

 ネット上では生じにくい共同化と内面化については、場づくり(実践共同体)
 を大事にしてほしい。

・言語化の大切さを見逃さないでほしい。

 実践にも言語化にもすぐれている人「内省的実践家」

・日本の高業績企業と低業績企業、活発な職場とそうでない職場を比較すると
 最も差が大きいのが「表出化」の段階であることが分かっている。

 言語化してみることは、職場を活性化し組織の成果を高めるために
 一役買っているのである。

○新人に教えるという行為を、言語化、表出化と捉えると、
 その意義を「職場の活性化」「業績向上」という点からも説明できるかも。

 「知識創造企業」は読んだから、

  http://learn-well.com/blogsekine/2009/10/post_280.html

 今度は「知識経営実践論」を読もう!


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「仕事人と組織〜インフラ型への企業革新」

「仕事人と組織〜インフラ型への企業革新」

  太田 肇

○仕事人を活かす組織とは?
 日本企業が元来持つ風土を上手に活かす。

・1999年初版


(・引用/要約 ○関根の独り言)

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●序章 改革への視角


・日本人の職場に対する満足度や帰属意識の低さが浮き彫りになっている。

・これまで日本の企業は、優等生型の新卒者を採用し「組織人」に育てあげ
 効率的に管理するシステムを構築してきた。

○この辺が「組織社会化」に関連することなんだろうな。


・今後は、組織が「インフラ」としての役割を果たす必要性が出てくる。

 個人が仕事に専念し能力を発揮するための場を与え、それを企業の目的、
 利益に結びつける。


・日本企業の中には、組織の規模や技術面だけでは説明できない非効率的な
 システムが存在していて、それが生産性の低さにつながっていると考えられる。

・日本的経営の要素としての「集団主義」「平等主義」

・仕事内容の専門化と複雑化

 「人の専門化」の背景には、社会的なニーズの高度化がある。

・個人としての自律性がいっそう重要になってきた。


・日本の労働者に見られる満足度の低さと消極的な勤続意識は、労働市場の
 制度的枠組みが労働者の選択の幅を制約しているためであると考えられる。

・若者を中心とした労働者の間に広がっている一種の閉塞感の背景には、
 労働市場の閉鎖性があると考えられる。


・伝統的日本型システムにおける個人の動機づけは次の3つの柱から成り立つ。
 1)閉鎖的システムの中で組織人として貢献させるもの
 2)自我(プライド)によるもの
 3)仕事そのもの、内的報酬によるもの

・日本型システムに欠けているのは、努力とその結果である業績が、価値の
 ある報酬に結びつくという「期待型」のモチベーションメカニズムである。


・従業員の高齢化、女性の進出に伴って、市場や社会から切り離された
 「組織の論理」が通用しなくなるのである。


・従来のオーソドックスな経営学や組織論においては、企業の視点、あるいは
 経営者の視点から組織やマネジメントを論ずるのが一般的であった。

・労使の視点を仮に、第一、第二の視点とするならば、個人という視点が
 第三の視点となる。

・個人の視点に立つためには、態度や行動の背後にある欲求や価値観に
 注目する必要がある。


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●1章 仕事人化とその背景


・p29 組織人モデルと仕事人モデル

○これは「プロフェッショナルと組織」だと、「専門化社会」が「仕事」
 の部分になっていたっけ。

 プロフェッショナルは、専門化社会に対して最大限の貢献を果たし、
 仕事人は、仕事に対して最大限のコミットメントをもつ。

 双方とも、組織に対しては、必要な範囲での貢献、限定されたコミットメント
 のみ。


・「組織人」は、組織との包括的な関係の中で利益を最大化しようとする
 いわば全人格的なかかわり方をすることになりやすい。

 組織に対して自ら一体化している。

 組織から与えられた課題をこなすことこそが仕事。

・「仕事人」は、組織と仕事を別のものとして認識している。

 仕事に対して「最適基準」でかかわろうとする

 組織は、仕事をするための手段である。
 組織に対しては「満足基準」でかかわろうとする。

・本書の「仕事人モデル」と「プロフェッショナルモデル」はほぼ同義。


・仕事人化の背景として
 −「マイペース型個人主義」の広がり
 −出世観の変化
 −高学歴化とキャリア志向
 −人事雇用制度の改革と組織人離れ(組織から得られる期待利益の低下)
 −社会の成熟化
 −情報化、技術革新の影響

・女性が職場に進出し、男女が対等に働く社会においては、組織人離れが
 進み、仕事人的な働き方が一層広がっていく可能性が高い。

○確かに多くの女性の働き方は「組織人」型ではないよなー。「仕事人」型。

 男は組織に居場所とか生きがいを求めやすいのかな。


・上司と部下が対面的な関係の中で一緒に働くという従来の常識の範囲を
 超えるものとなる。

 その結果、態度や意欲などを評価し仕事のプロセスで管理するという
 従来の手法が通用しなくなり必然的に成果主義へと転換されることになる。

 それが組織より仕事に対するコミットメントを高めることにつながる。

○「上司と部下が対面的な関係の中で一緒に働く」
 という形ではない働き方。そこでのOJTの形。

 新入社員が、職場にほとんど来ない働き方? 

 先々どうなりそうかを、俺自身がよく考えないとな。
 研究テーマを選ぶ際にも。


・「仕事人の5類型」

 1)知的専門職型 
 2)半独立型
 3)ビジネス専門職型
 4)エキスパート型
 5)奉仕者型


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●2章 組織と個人の新たな関係


・どのような組織体であれ、組織と個人の目的を何らかの形で統合することが
 必要。

・科学的管理法、人間関係論、近代組織論ではいずれも人間のもつ欲求と 
 企業の組織、マネジメントとの関係の中に統合のカギを見出している。

・アージリス、マグレガー、リカートなどの新人間関係学派は、
 人間は成長し続ける存在であり本来保有している能力を最大限に発揮する
 ことを望んでいると考える。

・これらの理論は、直接統合を支持する

・組織から提供される有形無形の報酬と引き替えに個人は組織の目的を
 受け入れ、それを仕事上の目的として追求するのである。
 これが「直接統合」

・直接統合は、組織人を対象にした場合は、有効。
 仕事人に対しては違う。

・新人間関係学派の理論に代表されるような直接統合は、組織人と彼らが 
 中心になって働く組織を前提としている。


・仕事人を対象にした場合、仕事を媒介にした「間接統合」が望ましい。

・組織にとって本当に必要なのは、個人と組織の目的の単純な一致ではなく、
 仕事の成果による組織の利益への貢献なのである。

・間接統合では、組織の個人に対する依存度が大きくなる。裏を返せば
 個人の組織に対する依存度が小さくなるのである。


・近年における組織論の大きな潮流として、組織全体が常に最適解を
 選択できるという仮定そのものに疑問が呈せられるようになった。


・仕事人は、チームとして働く場合でも、自分の専門の仕事を通して
 チームに貢献するのが原則である。

 チームワークは、メンバーの異質性を基礎にしている。

○仕事人として専門性を発揮するためには、やはりそれだけ仕事ができない
 といけない。

 仕事ができる「仕事人」にはいきなりなれないだろう。

 まずは組織人として仕事を学び、ある程度仕事ができるようになった
 段階から、仕事人に移行するということも考えられるのかな。

 いきなり仕事人にはなれないのでは。どうなんだろう。
 
 いや、最初からそういう環境に置かれれば違うのかな。

 少なくとも俺は、ほぼ組織人としてやってきた数年間があるから
 (途中で独立を意識しだした時から、仕事人化してきたかもしれないが)
 今、仕事人?として仕事ができているのかも。

 でも、仕事人=プロフェッショナル(研究者、技術者、デザイナー、建築士)
 であるならば、最初から仕事人化していくのかも。


・同質的な構成員の間では追求する目的も同じであるために生存競争が
 激しくなるが、異質な構成員の間ではそれぞれの目的が異なるために
 争いは起こらないという。

・組織の中でも、限られたポストを争う組織人の場合には、ゼロサムの
 原理が働くため、メンバー間の協力は難しい面がある。

 それに対して組織の枠を超えた目的を追求する仕事人の場合には、
 協力が互いの利益につながることが多い。従ってむしろ自発的で
 積極的なチームワークが行われやすいと考えることができる。

○これはそうかも。

 外部講師として企業の教育担当の方と関わるときは、お互いの利益の
 ためにも協力しあっている。

 同じ組織内でのもちろん担当者同士が協力しあっているが、それでも
 一人で抱え込んでいる場合も多い。

 お互い遠慮や甘えもあって、任せきりにしてしまい、意外と協力体勢が
 とれていないのかも。

 外部の人間と仕事を進める際には、お互いの状況が見えづらいからこそ、
 細かく情報交換をしようとするのかも。


・仕事人的な傾向の強い職種では、直接統合よりも間接統合のもとで高い
 満足度と貢献度が得られている。

・間接統合のもとで高い業績が生じている。

・仕事人に対しては、直接統合よりも間接統合の方が、個人と組織の
 両方に高い成果をもたらす。

・個人の目的、目標を誘導する媒体やプロセスは、仕事人のタイプに
 よって異なるが、いずれのタイプでも組織の内部で統合が完結する
 のではなく、市場や社会というオープンな場で組織と個人の統合が行われる。


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●3章 インフラ型組織


・2種類の組織 
1)機械的(官僚制)組織
  ー集権化、公式化が進んだ組織
2)有機的組織
  ー分権的、公式化の程度が低い

・どちらの組織が有効かは、組織を取り巻く環境あるいは用いられる技術に
 よって決まるというのが「コンティンジェンシー(条件適合理論)」の
 基本的な命題である。

・そこに欠落しているのは、個人の視点である。


・組織の中で働く研究者でも民間のシンクタンクや企業よりも大学に
 所属する方が一般に身分が安定し自由度が大きいのは、制度的な保障が
 整っているからである。

 特に国公立大学の教師の場合、国家公務員法、地方公務員法、
 教育公務員特例法などによって、個人の身分や自律性が保障されている
 のは周知のとおりである。

○このあたりが、大学で研究者になりたいという院生が多い理由なのかな。

 俺は独立の魅力を味わっているが、それでもこういう保障に魅力を
 感じるのかな。名声もあり、自由度も高い。

 でもきっとないだろう。

 いかに仕事人的とはいえ、やはり組織に縛られる点は否めない。
 俺はやっぱり自分で民間企業を経営している方が楽しい。


・企業は従業員の個人主義化、仕事人化に対応しきれていない。

・有機的組織では、個人が全体の目的に貢献するように求められ、
 責任の範囲も限定されていない。

 いわば無際限無定量のコミットメントが要求されている訳である。

 有機的組織は、組織人には適合するが、仕事人には必ずしも適合しない。


・官僚制組織と有機的組織の共通点。それは組織が個人に対して深く関わり、
 場合によってはそれが個人の自律性と能力の発揮を妨げるという点。

・新しい産業社会では、官僚制組織や有機的組織に納まらない仕事人が増大する。


・アークの社内独立制度。身分上は独立でありながら、同社の仕事を安定的に
 受注できる。

○これはおもしろいなー。独立して最初に困るのは「お客様を見つけること」
 だからな。これが確保されていて、しかも安定的に継続して受注できる
 ならば、独立への不安が薄れる。

 同時に、ほかの企業からの受注もうけることができれば、独立者側の
 リスク軽減策ともなる。企業側としては秘密保持の問題もでてくるだろうが。


・今後は多くの企業が、組織の論理より市場の論理を重視する傾向となる。

・伝統的な組織のように個人を抱え込むのではなく、個人の活動をサポート
するような組織が、個人と企業の両側から追求されているのである。

 このような組織は「インフラ型組織」といえる。

○こういうインフラや場を提供するような組織が多くなってくると、
 組織の中で個人が変容していく過程である「組織的社会化」の研究意義が
 低くなってくる?

 組織が個人を抱え込む形態であれば「組織的社会化」の果たす役割は大きい。

 個人と組織の接点が少なくなれば、それは変わってくる?

 このあたりは、俺自身、よく考えた方がいいな。
 
 これからの民間企業がどのような組織になっていくのか。


・インフラ型組織では、仕事人自身が役割を分担しあいながら、
 組織を構成することがある。

・インフラ型組織の特徴
1)組織に対する強いコミットメントや一体化が要求されない
2)移動の障害が少ないオープンな組織である
3)専門とする仕事の継続ならびに仕事上必要な権限や自律性が制度として保障されている
4)仕事を継続する体勢が整っている
5)個人間、部門間の調整が行われる


・情報や知識を中心としたソフト面のインフラは、知識労働の比重が高まる
 につれていっそう重要になる。

 「組織に属していると膨大でかつ良質な情報を手に入れることができる」

○これは確かにそうだろうなー。

 俺は今、個人で会社をやっている限界を感じている。
 だからこそ大学院という組織に関わろうとしたのかも。


・仕事人は、組織人に比べてインフラ型組織を強く志向する

・近い将来社会にでる学生には仕事人志向が強く、それを反映するかの
 ようにインフラ型組織への志向も強く現れている


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●4章 タイプ別のモデル


・1)プロフェッショナル支援組織

 プロフェッショナルにとって専門家社会が準拠集団となり、
 そこで評価されることを第一義的な目的として追求する傾向がある。

・2)事業活動支援組織

 市場や社会に対して直接働きかける

・ノウハウと情報をインフラとして利用できることが、組織に属することの
 メリット

・ICの身分で組織をインフラとして利用しながら働くケースが増えてきている。

○Tさんが正にそうだよな。前職の組織と上手につきあいながら、
 ほかの組織との仕事もしている。


・3)中核人材支援組織

 このタイプの仕事人は、企業の中核的な業務に携わることが多い

・「個人ー顧客」の関係が軸になって組織を動かしている。

・4)エキスパート支援組織

 このタイプの仕事人は、特定の専門領域で比較的標準化された仕事に携わる

・技能労働者の能力形成については、小池(1997)に詳しい。

・5)奉仕活動支援組織

 このタイプの仕事人は、金銭的報酬や社会的名声よりも、
 社会や人々のために奉仕することに価値をおく

・このタイプの人々が営利企業で働く場合、利益の追求に伴うジレンマ、
 コンフリクトが宿命的につきまとう。そのため、組織からの全面的な
 サポートを期待することが難しい。


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●5章 インフラ型マネジメント


・伝統的な日本企業における人的資源管理は、今日従業員を満足させる
 ことに成功しているとはいえない。

・仕事を通して組織とつながり、仕事の成果によって有形無形の報酬を
 獲得しようとする仕事人には、成果(業績)と報酬の関係が明確に
 認識できることが必要。

・組織人の場合、個人の目的が組織の目的に直結しているため、
 目標が設定しやすい。また業績の範囲も限られているため、
 達成度による評価も容易である。

・仕事人は、市場や社会を相手にするため目標設定が必ずしも容易ではなく、
 仕事によっては既存の枠を超えるような成果が生まれることがある。

 このような仕事にあえて目標管理を適用すると、不公平感を与えたり、
 チャレンジ精神やモチベーションを抑制する恐れがある。

・従来の能力主義型人事制度は、組織の枠組み、論理に基づくものであり、
 それに納まらない仕事人には必ずしも適合しない。

・成果主義の採用には、いくつかの前提が必要になる。特に重要なのは、
 仕事の上で成果を上げる機会が備わっていることである。

 そのためには第一に業績が、個人の能力、努力に依存する仕事で
 なければならない。

 従って機械の処理能力や運不運など個人の責任外の要素が業績を
 大きく左右する仕事、あるいは「縁の下の力持ち」のような仕事には、
 成果主義は適さない。


・今後はさらに多様性を前提としたマネジメントが必要になる。

・加藤スプリングの「オプション型経営」
 日本LCAの「起業家養成機関」

○これもおもしろいなー。


・リーダーシップは、一般に集団の目的を達成するためにメンバーを
 導く影響力と定義される。

・伝統的なリーダーシップ論のうち、リーダーの行動に注目するものは
 「行動理論」と総称される。

 ミシガン研究:リカートの集団参画型「システム4」
 オハイオ研究:配慮と構造づくり

○PM理論と同じようなもの?


・仕事人は組織に対して限定的、手段的に関与する傾向がある。

 そのため、参加型のリーダーシップが必ずしも個人の満足度を高めたり、
 高い生産性につながるとはいえない。

・ハーシー=ブランチャードの「支持的行動」「協労的行動」の2次元

○SL理論?

・仕事人に対しては「委任型のリーダーシップ」が適合しやすいといえる

・「深く関与する」リーダーシップ行動は、一人前の仕事人に対しては
 適合しない可能性が高い。

・仕事人が中心になって働く組織では、部下をリードするという
 能動的役割ではなく、仕事に必要な条件を提供し側面からサポート
 するようなインフラ型のリーダーシップがとられている。

○マネジャーよりも、部下の方が専門性が高い職場も多い。その場合、
 マネジャーは「教えられない」「リードしづらい」と感じることが多いが、
 無理してリードする必要ないということか。


・組織人の場合、従業員の能力開発によって恩恵を受けるのは、
 個人よりもむしろ企業。

 そう考えれば、教育研修にかかる費用の大部分を企業が負担するのは当然。

・仕事人の場合、能力開発の成果が個人に帰属する程度が高く、
 個人のための能力開発という性格が強い。そのため一定の自己負担を
 求めることは妥当

・組織人の場合、企業が理想とするような社員像を描き、それを目標にして
 企業主導で行われる。そのため画一的、強制的なものになりやすい。

○企業が理想とする社員像の一つとして「自ら考え行動できる、
 自立、自律型社員」というのがよくでてくる。

 これはいわゆる「仕事人」的なイメージ?

 組織人に対する教育研修によって、仕事人に近づける?


・仕事人の場合、個々人が自分のキャリアプランに照らしながら、
 能力開発を行う必要がある。

・仕事人の場合、個人主導の能力開発に対して企業が必要なインフラを
 提供し、可能な範囲で支援するというスタンスである。


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●結章 日本型システムの革新


・まず個人の働き方が、組織軸から仕事軸へ移りつつあることに
 注目しなければならない。

・伝統的な組織やマネジメントのシステム、とりわけ日本型のシステムは、
 組織人を前提にして構築されたといってよい。

 従って仕事人化に伴い、システム全体を再構築する必要がある。

・日本の伝統的な企業組織は「人に仕事が割り当てられる」というように、
 できる限り個人の適性や意思を尊重しようという風土がある。

 リーダーシップも欧米のように強力で積極的なものでなく、どちらかというと
 インフラ型に近い。

 すなわち、ある意味では仕事人が育ちやすい環境があるといえよう。

・広範なローテーションを体系的なキャリア形成に結び付け、また柔軟な
 組織の中で能力を発揮すれば、スケールの大きな仕事人として育つことができた

・単に欧米型システムを模倣したり追随するのではなく、日本の組織や職場の
 風土を生かしながら、仕事人に適したシステムを構築する道もある。

・しかし日本の組織や人事制度には、克服すべき重要な問題も残されている。

 権利や報酬といった個人の利害に直接関係する部分の制度化が遅れている
 ことが問題である。それが改革のカギといってよい。

・仕事のシステムについては柔軟性を生かしながらも、報酬のシステムに
 ついては、ある面での個人主義的な枠組み作りが必要なのである。

・仕事人化によって労働組合が不要になったのかというとそうではない。
 孤立する恐れの大きい個人を守るために、むしろ組合は必要性を増している。

 ただし個人が組合に求めるものは明らかに変化しており、新しいニーズに
 対応した組合が必要になる。

・労働組合のスタイルは、自営業者が加入する同業組合へと接近しつつある。


・現代人は好むと好まざるにかかわらず何らかの形で組織と関係しながら
 働き生活していかなければならない。それが宿命だとすれば、よりよい
 働き方、組織との関係を追及すべきではないか。それが筆者の問題意識。


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「プロフェッショナルと組織〜組織と個人の間接的統合」

「プロフェッショナルと組織〜組織と個人の間接的統合」

   太田 肇


○プロフェッショナルが何に動機づけられているか。
 「間接的統合」のマネジメントの必要性。

・初版1993年 本書は1994年度「組織学会金賞」受賞

(・引用/要約 ○関根の独り言)

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●序章

・組織と個人の関係について一つの方向を示したい。

・産業社会の進展に伴い、組織で働く新しいタイプのプロフェッショナルが
 増加した。

・本書のバックボーンは、組織における個人の人間性の尊重であり、
 個人の欲求充足に第一義的価値を置いている。

・本書は分析のための方法論として、社会学の「方法論的個人主義」に立脚する。
すなわち個人の態度や行動に焦点をあて、そこから個人を取り巻く社会や組織を
解明しようとする。

 これは心理学の方法論である「認知的アプローチ」と共通する分析の手法。
 プロフェッショナル自身の認知に焦点を当てながら、組織および社会を
 見ていく。

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●1章 非専門職組織におけるプロフェッショナル

・プロフェッショナルに共通する特徴として、
 1)長期の教育訓練によって得られる専門化された知的技術を保有している
 2)仕事に責任の観点がともなう
 3)報酬は一定。利益ではなく謝礼または給料

・本書で対象にするのは「非専門職組織」に雇用されるプロフェッショナルで
 ある。

・典型的プロフェッションの多くは、元来独立して営業するのが一般的であった。
 企業等に代表される「非専門職組織」で働く人は少数である。

・組織に雇用されるプロが増大してきた背景には、組織側に内部にプロを
 雇用する必要性が生じてきたことと、プロにとってもサービスの質を維持
 するために、組織的な活動が避けられなくなってきたことが挙げられる。

・組織に属することで、自己の専門の仕事に専念できるという点があるが、
 同時に組織による統制に従わなければならなくなる。

○ここが、俺が個人で会社をやっている理由のひとつかも。
 組織に縛られたくないという想いか。

 あとは、自分で営業をすることが苦にならないことも大きい。
 今まで営業をずっとやってきたし、自分でコントロールできるのが楽しい。

 だから、研修会社の登録講師にもならない。

 自分でお客様を見つけ、一緒になって仕事を進めていくことが楽しいからだろう。


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●2章 プロフェッショナルの価値観、目的


・研究者、技術者は、管理職、事務職など一般のホワイトカラーや、
 技能労働者とは異質な価値観、目的を持っていることが伺える。

・基礎研究寄りの研究に従事する研究者は、自らの専門分野にコミットし、
 そこで高い業績をあげることに関心がある。

・製品開発その他の業務に従事する技術者は、自身の昇進それに組織の
 業績への貢献に大きな関心を抱いており、所属組織へのコミットメントも大きい。


・非専門職組織のプロフェッショナル(研究者、情報処理技術者、服飾デザイナー、
 建築士)の高次欲求は、所属組織の内部よりも、専門化社会における
 能力発揮と評価によって充足しようとしている。


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●3章 プロフェッショナルと組織の関係 


・プロは専門化社会での業績および評価を目的とした活動には最大限の努力
 を発揮するが、所属組織からの要求がそれと対立する場合には、組織に
 対して、必要な限度の努力しか投入しないと考えられる。

 このことがプロの組織に対する限定的なコミットメントをもたらしている。

・p56 組織と個人の交換関係

○この図、わかりやすいなー。


・組織がプロフェッショナルから「満足基準」を上回る貢献を引き出すことは
 困難である。

・組織によるプロフェッショナルのコミットメントの獲得を「取り込み」と
 いう概念でとらえる。

・取り込みに対するプロフェッショナルの抵抗を「抵抗モデル」で捉える。

・「取り込み」の程度は、プロフェッショナルと組織双方の「依存度」で
 決まる。

・双方の依存度を規定する大きな要因は、プロフェッショナルの労働市場に
 おける優位性である。

○確かにそうだよなー。その組織を出ても仕事ができる力があれば、依存
 する必要はない。

 でも結局、他組織に雇われる形になるかもしれないけど。

 やっぱり自分の力で食べていくには、お客様を見つける力「営業力」が
 必要になる。

 プロフェッショナルがそれを厭うなら、組織に雇用されることが必要になる。


・「組織人」としてひとつの組織に特殊化することは、プロフェッショナルの
 存在価値そのものを否定することにつながりかねない。

・組織への「取り込み」が過度になると、プロフェッショナルとしての
 貢献度が低下し、組織効率が低くなると考えられる。

○これは「組織社会化」にも関係する問題だよなー。

 あまりに組織に染まりすぎると、独自性が発揮しにくくなる。


・組織への「取り込み」は、V.A.Thompsonの用いる「人の専門化」と
 関係が深い。

 「課業の専門化(Specialization of tasks)」と
 「人の専門化(Specialization of people)」を明確に区別する必要がある。

・「課業の専門化」は、組織のプロセスであり、各人は単に作業の一部を
 分担しているに過ぎないため、他者によって容易に代替される。

 「人の専門化」は、社会的プロセスであり、まとまりのある能力、知識が
 個人に蓄積されるため、専門外の者が取って代わるのが難しい。


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●4章 プロフェッショナルと官僚制


・官僚制には、制度や規則によって管理者の権力の行使を制限し、個人の
 権利、自由を保障しようとする「立憲的(Constitutional)」な側面もある。

・プロフェッショナルは、専門的活動に専念できる条件を求めている。
 
・官僚制の有する立憲的側面は、プロフェッショナルにとって重要。

・事務系ホワイトカラーと比較してもプロフェッショナルは、権限、義務の
 明確性、個人としての自律性や職務の継続の保障など、官僚制の立憲的
 側面をより重視している。

 一方、組織のステイタスについては比較的関心が低い。

・官僚制が、プロフェッショナル自身にとって望ましくない制度であるとは
 いえない。


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●5章 プロフェッショナルのキャリア志向


・Scheinは、キャリアの諸決定を組織し制約する自己概念を「キャリアアンカー」
 と呼び、それは「自覚された才能と能力」「自覚された動機と欲求」
 「自覚された態度と価値」から構成されるとした。

・本書では、個人がキャリアの上でたどろうとする方向、キャリアの上で
 基本的に重視する事柄を「キャリア志向」として捉える。

・Gauldnerの「コスモポリタン」と「ローカル」という分類。

 コスモポリタンは、雇用される組織への忠誠心は低く、専門的技術への
 コミットメントが高い。準拠集団は組織の外。プロフェッショナル。

 ローカルは、組織への忠誠心は高いが、専門的技術へのコミットメントが
 低く、準拠集団は組織の中。組織人。

・年齢が高くなるほど、プロフェッショナル志向が低下し、逆に
 組織人志向が高くなる。

 
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●6章 プロフェッショナルと昇進


・プロフェッショナルは、昇進に対して特有の意識を持っていると推察できる。

・研究者の場合、昇進を手段的な位置づけとして捉える、すなわち専門家社会
 で能力を発揮するための条件として考えることが予想される。


・プロフェッショナルは、所属組織に対して主として専門的活動のための
 条件の提供を期待している。

 これらの条件が制度的に保障されていることが重要。

・研究者、技術者、事務系と職種によって、昇進に対する目的意識に
 明らかな違いが見られた。

・研究者は、個人単位で成果を出せる仕事が多い。そのため昇進によって
 得られる組織的な権限に対する依存度が低い。

 この点は、グループワークの比重が大きく、成果を上げるためには、
 ハイアラーキーの力を借りなければならない技術者や事務系とは対照的。

○これはあるかもなー。

 出世すること、昇進すること、えらくなることで、組織で発揮できる力に
 違いが出る。

 部長になれば、他者の稟議を通さなくても、自分の企画に自分で判を押し
 企画を通すことができる、と話してくれた教育担当の方もいた。

 部長になってはじめて、自分がやりたいことを進められるといっていた。

 組織の力を借りる必要があるならば、その組織で認められていることが必要。
 
 
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●7章 プロフェッショナルと人事管理制度


・人事管理制度は、限られた範囲内でプロフェッショナルを動機付ける
 効果を持つに過ぎないが、同時に彼らにとっては「衛生要因」的な意味で
 重要である。

・動機付け的側面で見た場合、専門職の職位あるいは資格が、能力・業績の
 象徴として組織内外に受け止められていることが必要。

・プロフェッショナル的価値観、志向の強い者にとって専門職は魅力ある
 職位であり、逆に管理職や役職はどちらかというと魅力に乏しいものと
 して受け止められている。

・全社的には、専門職に対する評価は管理職に比べて低い。
 にもかかわらず専門職をプロフェッショナルは選択することが多い。

 これは専門職制度の有する保障的側面が特に重要な意味をもっていること
 をうかがわせる。

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●8章 プロフェッショナルのQWL


・ホワイトカラーは、3つに類型化できる
 1)専門的、技術的職業従事者(プロフェッショナル、スペシャリスト)
 2)管理的職業従事者(マネジャーとその予備軍)
 3)事務、販売従事者

・QWL(Quality of working life)は、私生活を含む「ほかの役割との
 両立可能性」という次元を用いることが有効。

○これは確かにそうだよなー。職場での仕事だけ気持ちよくできても、
 家庭とか他の場所での生活が充実していなかったら、QWLが高いとは
 いえないだろうしなー。


・ホワイトカラーが能力を発揮し、高い成果を獲得するための前提としても
 広範な自律性が維持されていることが不可欠である。

・ホワイトカラーは、権威に対する要求が強い。

・Deciに代表される「認知的評価理論」に基づけば、徹底的な能力主義、
 業績主義は、仕事そのものの魅力を減退させる可能性がある。
 働くことの目的が、仕事そのものから外的報酬の獲得に移ってしまうから。


・プロフェッショナルの自律性は、他のホワイトカラーと比較して高い水準に
 あるが、これは組織が「プロフェッショナル」として雇用する以上、保障
 しなければいけない職業上不可欠の条件といえる。

・プロフェッショナルの労働生活の質は高い水準にある。

 ただこれはプロフェッショナル個人が高い精神的成熟度と個人主義的
 パーソナリティ、それに潜在的なものを含めて高い専門的能力を
 備えていることを前提にしている。

・プロのQWLが高い背景
 1)能力、知識の専門性の高さ
 2)専門家団体(professional association)の役割


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●9章 組織と個人の「間接的統合」


・個人は組織の目的のために貢献することを通して自己の目的を達成し、
 組織はそれを可能にする構造を備え管理を行うことによって、組織目的を
 達成することができると考える。

 このような組織と個人の統合の理念型を「直接的統合」と呼びたい。

・直接的統合は、組織と個人の「ベクトルあわせ」に焦点をあてるが、
 他方では両者のベクトルの分散を許容し、あるいは積極的に肯定している
 と解釈される理論がある。

 その中で代表的なものは「分化」の概念であろう。

・短期的、直接的には組織目的と一致しないプロフェッショナルの志向に
 基づく活動を、長期的にまた間接的な貢献も含めて組織の利益に
 結び付けようとすることが求められる。

 このように組織と個人の関係をオープンシステムの中で捉える理念型を
 「間接的統合」と呼びたい。

・p152の図 組織と個人の関係

 組織 個人   組織 仕事 個人

○この図もわかりやすいなー。こういう図を考えられるようになるためには、
 それだけよく理解していないとできないんだろうなー。


・プロフェッショナルと組織の目的の「不一致」を前提にした場合、統合を
 達成するためには「コンフリクト」をどのように管理するかという問題を
 避けて通るわけにはいかない。

・個人としての人間性尊重の点から「間接的統合」が志向されるべきであろう。


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●10章 組織と個人の統合についての実証分析


・多くの企業ではプロフェッショナルに対しても組織の意思決定への参加、
 全体との相互作用、組織目的へのコミットメントなどを重視した
 「直接的統合」を志向するマネジメントが行われてる可能性が高い。

・調査結果として、2000人未満の企業では「直接性」が高い傾向が見られた。
 製造業よりも、非製造業で「直接性」が高いという傾向が現れていた。

○中堅、中小で、サービス系の会社は
 直接的統合のマネジメントが多いということかな。

 なんとなくわかる気がする。


・企業側のほうが、プロフェッショナルよりも「直接的統合」による
 マネジメントを志向していることが明らかになった。

・プロフェッショナルは「プロフェッショナル」としての管理を強く
 求めているのに対し、企業側はあくまで全体のマネジメントと調和する
 枠内に位置づけようとしているのがわかる。

・外部に欲求充足の機会をもつプロフェッショナルは「直接的統合」に
 よるマネジメントを志向していない。

・プロフェッショナルが期待するのは、プロフェッショナルとして専門的な
 活動に専念できる安定的な地位と個人として広範な自律性が認められる
 ような勤務条件、それに専門的な基準に基づいた評価システムである。

○確かにこういうことをプロフェッショナルに対して提供できるのは
 やっぱり大企業なのかも。


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●11章 「間接的統合」によるマネジメント


・コスモポリタンとしての性格が強く、組織への依存度が低いプロに
 対しては、Hersey=Blanchardの「委任的」リーダーシップを基本とし、
 プロフェッショナルに対して必要な情報の提供と環境づくりによって
 成果を引き出すことが有効と考えられる。

・非専門職組織に属するプロフェッショナルがその専門的能力を伸長させたり
 陳腐化を防ぐためには、OJTのみに頼ることはできず、大学や研究機関など
 による体系的な知識、技術の提供を受けることを必要とするのが普通である。


・プロフェッショナルが期待するほど、彼らの専門性を尊重した人事管理は、
 一般的に行われていない。

・評価の際に、協調性、指導力、勤勉性などの考課要素や、組織の意思決定
 への参加を重視することは、結果として専門能力のみに秀でた人材を
 排斥することにもつながる。

・プロフェッショナルといえども、プロセスや態度は、いわゆる媒介変数として
 管理可能だり、個人の裁量によるよりも結果的によい成果につながるという
 考え方。

○キャノン社長が、デザイナーに作業着を着ることを徹底させた事例とも
 つうずるのかな。


・Scheinの「創造的個人主義」は、個人が組織にとどまるためには固守しな
 ければならない「中枢的規範」は受け入れるけれども、メンバーにとって
 は固守することが望ましいが本質的ではない「周辺的規範」は拒否する。

・プロフェッショナルのマネジメントは、それ自体が直接彼らを動機付ける
 ものではないということは、強調しておきたい。


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●結章 


・プロフェッショナルの生きがい、働き甲斐につながる高次欲求の充足場所
 として専門家社会などが重要な位置を占めている。

・専門家社会との関係は「最適基準」によって支配されていると考えられる。
 所属組織との関係は「満足基準」で貢献を行うと考えられる。

○所属組織に対しては、必要最低限の力しか発揮しない。
 専門家社会で認められるための努力は惜しまない。


・プロフェッショナルは「直接的統合」によるマネジメントを志向せず、
 「間接的統合」が必要である。

・「間接的統合」によるマネジメントは、「委任的リーダーシップ」、
 プロセスよりも長期的成果を重視する評価、仕事上の諸条件の整備などに
 よって特徴付けられる。


・本書の理論的命題の多くは、既存のプロフェッショナル以外の領域へも
 浸透していく可能性がある。

・プロフェッショナル的な価値観、目的および組織−個人関係のモデル、
 それを基盤とした「間接的統合」の適合する領域が拡大する可能性がある。


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2009年12月26日

近況報告 10月〜12月の出来事

【近況報告】


前回近況報告メールをお送りしましたのが、9月末でしたので、
その後の状況について、ブログへのリンクを中心にご報告します。


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●10月


・東京大学大学院 中原研究室に参加

 http://learn-well.com/blogsekine/2009/10/post_283.html


・東大での研究者向け勉強会に参加

 http://learn-well.com/blogsekine/2009/10/post_289.html


・ワークプレースラーニング2009 @ 東大 に参加

 http://learn-well.com/blogsekine/2009/10/post_291.html

●11月


・09年度「OJT指導員研修」アンケート結果分析終了

 http://www.learn-well.com/blogmanabi/2009/11/ojt_7.html


・人材教育フォーラム2009に参加

 http://learn-well.com/blogsekine/2009/11/post_294.html


・長女の小学校で初めての授業参観

 http://tokigawa-machi.seesaa.net/archives/200911-1.html

 

●12月


・ラーニングバー「よい仕事を考える、ことから考える」に参加

 http://learn-well.com/blogsekine/2009/12/post_303.html


・09年度「新入社員フォロー研修」参加者の声 

 http://www.learn-well.com/blogmanabi/2009/12/post_91.html


実は、12月は、私たち家族にとって大きな出来事がありました。


長男(7カ月)の入院です。

12月6日(日)の夜に、救急車を呼び、埼玉医科大学に入院しました。


髄膜炎との診断でした。

・血液製剤を使うかも(その際の感染症のリスク)

・後遺症が残るかも


主治医は誠実にリスクも含めて説明をしてくれるのですが、

不安ばかりが高まります。

調べるのは怖かったのですが、ウェブで病気や用語について勉強しました。


ここで詳細を書くのは、精神的にきついので避けますが、一つだけ書きます。

もしこのメールを読まれている方で、妊娠中の方や乳幼児がいらっしゃる方は

「ヒブワクチン」の接種をご検討ください。


http://ja.wikipedia.org/wiki/Hib

http://qnet.nishinippon.co.jp/medical/news/kyushu/post_241.shtml


うちは受けていませんでした。


細菌性の髄膜炎に対しては、2週間、抗生剤が投与されます。

意識がもうろうとして、目が合わない息子を見ているのはきつかったです。


薬が効いたのと、本人の回復力もあってか、お陰様で経過は順調です。

血液製剤は使わずに済み、後遺症も無さそうです。

今週(12月21日)普通病室に移れました。

今は、妻が泊まり込みで付き添ってくれています。


なんとか年内には退院できそうです。


また元気な姿で、家に帰ってきてくれることを楽しみにしています。

12月の東京での予定を、研修以外は、すべてキャンセルさせて頂いたので、
関係者の皆様にはご迷惑とご心配をおかけしました。深くお詫び申し上げます。


年明けからは通常通り頑張っていきますので、どうぞよろしくお願いします。

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【2010年1月以降の予定】


各社様での

・新入社員フォロー研修

・OJT指導員研修

が、続きます。

大学院のゼミも、1月末まであるので、楽しみです。
(12月は、上記の事情もあり、参加できませんでした。)


年明けは、1月5日(火)から仕事を始めます。
来年もどうぞよろしくお願いします。


2009年12月06日

ラーニングバー「よい仕事を考える、ことから考える」に参加してきました。


09年12月4日(金)18時〜21時30分

Learning bar @ Todai 2009

みんなで「よい仕事」を考える、ことから考える!?
三井物産における組織理念マネジメント:組織理念をどのように共有するのか!?

に参加してきました。

私の理解の範囲で、どんな内容だったのかをお伝えします。

(・講演内容 ○関根の独り言)

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●イントロダクション (中原先生)


・今回の学習モデルでは「歩く」も入る。
 参加者の「よい仕事」を貼りだしてあるので、ギャラリーウォークで見て回って。

・対話は「圧倒的な他者」とのもの。違っていて当然。

・理念を意識させる工夫。 社訓の唱和。クレドカード。Tシャツ。

・組織の理念経営とは何か。浸透とは。それについて考えていきたい。

・今回は実験的にTwitterを使ってみる。


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●三井物産 渡辺氏

 「組織文化を変える 〜経営理念の浸透〜」


・昔は、鉄で入ったら、鉄で卒業。鉄しか知らない。
 今は、色々な仕事をさせ、人材を流動化させている。

・色んな仕事があるが、重要なのは従業員の人間性。
 自分が中国にいたころは、お酒ばかり飲んでいた。

・1975年〜2009年 成長が当たり前の状況。
 半分の人員で、2倍の仕事。 学生にも人気がある会社。

・創業者 益田孝の言葉「人が仕事を造り仕事が人を磨く」

○この方は、確か日経新聞の創業にも関わっていると、日経のHさんから
 教えてもらったっけ。


・「組織の三菱、人の三井」と呼ばれる。多様な人材がいる。
 やっていることも部ごとに違う。一つになりにくい。どうまとめていくのか。


・会社の危機 「国後島事件」「DPF問題」

 2002年の国後島事件後、経営陣は退陣。槍田社長が引き継いだ。

 2004年のDPF問題では、対応を最優先として、
 社内の優秀な人材を480名以上集めた組織を作った。

・2002年の事件後も、危機意識は現場に浸透していなかった。
 他の本部の出来事として。

・1999年に導入した成果主義の評価制度により、自分のことしか考えなくなった。
 
 飲みに行って熱く教える「教え魔」が減った。会社がおかしい方向に進んでいた。
 横のつながり、総合力が弱まった。

・2004年以降、槍田社長が陣頭指揮をとり再発防止策を打っていった。

 経営陣と従業員の距離が遠い。社長が現場を分かっていない。

・制度面での対応として、組織業績評価制度において、定量評価100%を改めた。
 量10:質0 → 量6:質4 → 量2:質8 (現在)

 プロセスを重視するようにした。

○これはすごい変化だなー。

 俺がいた営業の世界の話になってしまうけど、定性評価を重視すると良い面も
 多いけど「結果を出さなくてもいいんでしょ。やることやっていれば」と
 言い出す人間も出てくる。

 営業として優秀で結果を出す人間は、プロセスもしっかりやっている。
 ただ、プロセス重視が、結果を出せない人間の言い訳に使われる時もある。

 すぐに結果を求めずに、中長期的に人材を育てていくという意味では、
 定性評価をしてくれるとありがたい。


 評価ってやっぱり難しいよなー。

 評価は、会社の考えていること、重視していることを、
 伝えるメッセージでもあるよなー。


・2004年以降、会社の経営理念を「MVV」として明文化した。
 
 入社5年目、9年目を集めて合宿研修も行った。

○これは「一人前の後」の人材に対してどんな研修をやるかのヒントになるかも。
 ここで何をやったのか、もう少し聞いておけばよかったなー。


・「社長車座」「アクティブトークウェンズデー(ノー残業日)」を行った。
 それまで、社長と話すなどということは考えられなかった。

 ただ、どうしても当たり障りのない話しになる。

・再発防止策としてやってきた「経営側からのメッセージ発信」「現場への歩み寄り」
 「成果主義偏重からくる歪みの是正」など。

 ここまでやったら、結構いいのでは、という所までやってきた。

 だが、従業員はまだ「評論家」。語りの主語が「会社は・・・」
 本人たちに腹落ちしていない。「私にとっては、どうなのか」


・2006年から「良い仕事とは何かを見つめなおす活動」をスタートした。

 とはいっても抽象的で何をやっていいのかもわからない。

 そもそも「良い仕事」の定義は?逆に「悪い仕事」もあるのか?
 誰のための「良い仕事」なのか?
 多忙な営業現場に対して、そんな抽象的な議論をさせてもよいのか?

 事務局としても悩み葛藤があった。


○これは大変だったろうなー。

 でもこういう葛藤を引き起こすような抽象的な問いって大事なんだろうな。

 「良い仕事とは何か?」

 色々な考えが引き出されてくる。社員個々人で考えが違いそう。
 しかもそれを共有することは、その後の仕事を考えても意義がありそう。

 こういう風な、指示を受けた側が色々考えざるを得なくなる問いや方向性を
 発信することも、経営者の仕事なんだろうなー。

 「知識創造企業」でもあったけど、トップの抽象的な考えを、ミドルが翻訳し
 現場に落としていく。

 トップがあまりに具体的な案を示していくと、トップダウンになり、
 ミドルが活きないのかもなー。

 うちみたいな零細企業や、一般の中小、中堅企業だと、トップダウンでないと
 たぶん難しいけど、大企業の良さは、ミドルがいることなのかも。

 「ミドル不要論」なんて言われていたけど、
 ミドルがいないと大企業は動かないのかもなー。


・「良い仕事」について、自分たちで語り合うしかないと決めた。
 コンサルも入れず、自前で「良い仕事ワークショップ」の全社展開をした。
 
 約400回。参加人数約6000人。全社員が参加。
 事務局からのべ250名のファシリテーターが現場に飛んだ。

・業務時間内に約2時間。

 1)事務局による「良い仕事」についての説明
 2)「変わらざるもの 三井物産の志」DVD視聴
 3)約10人程度でのグループディスカッション
 4)議論の共有

・袋叩きにあい、逃げ出したくなりながらも、続けた。
 「こんなことやって給料もらえて、お宅らはいいよね」と嫌みも言われた。

・当初はなかなかエンジンがかからなかったが、徹底して全員参加の
 ワークショップを実施した結果、徐々にイメージが形成されてきた。

・日経新聞での広告など、会社の本気さも伝わり始めた。

・良い仕事は「家族に誇れる仕事」など、従業員の様々な考えが出てきた。

・皆会社を愛している。つぶしたくない。自分の口で語らせると、止まらなくなる。
 「良い仕事」について語っている言葉の中に理念「MVV」が自然と入っていた。

・「良い仕事」の3つの視点が浮かび上がってきた。

 世の中にとって役に立つものか(社会)
 お客さまやパートナーにとって有益で付加価値をもたらすものか(取引先)
 自分のやりがい、納得感につながるものか(自分自身)

・2009年4月以降 飯島新社長のメッセージ

 「良い仕事」をすればその結果として利益がついてくる。この考え方は変えない。

○こうやって言われると勇気がでるだろうなー。


・手っ取り早く儲かるものはないかとかき集めてくるとろくな結果にならない。

○これは、俺も独立当初がそうだった。

 何か稼げるもの、お金になるものと、あせって色んな仕事をうけたけど、
 結局続かなかった。


・北海道の社有林で、新入社員が植樹を行っている。初心を忘れないために。

○こういう機会を会社が作ってくれるのは、素晴らしいなー。


・一連の取り組みを通じて感じたのは、とにかく場を作って強制的にでもやらせる
 のが重要。場さえ作ってしまえば、あとは勝手に語ってくれる。

 議論がおかしい方向に進んでいった時の軌道修正役としてファシリテーターが必要。

・「良い仕事」と「収益」の関連性に対する一部社員の誤解がある。
 「良い仕事」といった時に「収益性」が抜けてしまう。

・自分(渡辺さん)にとって「良い仕事」とは、納得できる仕事である。

○これは力強いなー。きっと渡辺さん自身が色々な所で語るたびに
 確信していった言葉なんだろうなー。

○余談ですが、

 09年11月29日の日経朝刊10面で、三井物産会長 槍田氏と一橋大学 野中教授の
 対談記事が載っていた。そこでも「良い仕事」について語られていた。

 −「良い仕事」とするかは主観的。何を基準に仕事を評価するのか?

 −営業本部ごとに数年後の姿を描き、そこに向かってどの程度前進したのかを
  定性評価する仕組みを作った。社長と各本部長が対話を重ね、イメージ通りに
  進展していればA評価。

  「良い仕事を追求する姿勢を会社は評価している」というメッセージを伝える
  意味もあるので、他の本部との比較はしない。この定性評価の比率が8割で、
  収益などの定量評価は2割。

  社会から必要とされる仕事、当社らしい仕事、自分が胸を張れる仕事をして
  いれば、収益は必ずついてくると信じている。


○更に余談ですが、

 三井物産「よい仕事ワークショップ」は、09年1月のASTDジャパンの
 シンポジウムでも紹介されていました。

  http://learn-well.com/blogsekine/2009/01/2009.html


○こうやって世の中に対して「良い仕事ワークショップ」について発信していくと
 それが従業員にとっても、このワークショップの意義を再確認する機会に
 なるんだろうなー。

 渡辺さんが「社員へのブーメラン効果」と呼んでいたけど、正にそうなんだろうな。
 社内だけでなく、社会への情報発信が、翻って社内に戻ってくる。


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●神戸大学 金井先生

 「学ぶ個人が貫くモノと、ぶれない組織が貫くモノ」


・変わらずに大事にする、貫くべきものがある。
 貫くものがあるから、変われる。しかし、こだわりすぎると変われない。

・ラインホルト・ニーバーの祈り

 「変えられるものを変える勇気と、変えられないものを受け容れる心の静けさと
  両者を見分ける叡智を、私に与えたまえ」

・ギャラリーに張り出された参加者の「良い仕事」をみると「幸せ」「他者」「社会」
 「仕事のクオリティー」といったキーワードが含まれていた。

・理念、文化、良い仕事に対して、危機や不祥事が果たす役割は、
 当たり前とみなされかけていた発想、前提、仮定が再度吟味されること。

・Walk the talk = 言行一致

・リーダー行動の内、理念の浸透により強い効果を持つのは、
 構造づくり、課題関連行動(P行動)よりも、配慮、思いやり(M行動)。


・危機で気づかされることもある「せっかく危機があったのに、それを活かさないと」

・危機で得た教訓が「風化」する。

 物語を通じての基本理念を、出来事につなげて語り継ぐ人がどれだけいるのか、
 それが風化につける薬。

・会社や組織が主語になるときは、全てあやしいと思った方が良い。
 「組織が変わる」「組織が目的を持つ」「組織が元気だ」等。

・「良い仕事」は非常にいい視点。ぜひ読んでほしい本。

 Good Work: When Excellence and Ethics Meet

○アマゾンで買った。 http://tinyurl.com/yds5h2x


・良い仕事の主語を自分にすれば、その会社で働く人の皆が「自分の頭」で
 考えざるを得なくなる。

・個人レベルの「慣れ」集団レベルでの「団結の強さ」組織レベルでの「強い文化」
 は、変わりにくくする。

・貫くものは貫きつつ、変えるべきを変えるためには、
 ピアディスカッションがおすすめ

○同僚との語りが、変化を促すということ?


・アメリカの経営学者 K.E. ワイクの研究したジャズオーケストラでは、
 楽団員の「腑に落ちる(sense-making process)」ことがいい演奏をするために
 必要であることが分かった。


・対話と内省をセットに、「良い仕事」について語る。
 小学生の子供に、自分の仕事、楽しさ、大変さを語ってみる。


・E.シャインの「戦争捕虜の洗脳」の研究

・理念浸透を洗脳とは言わない。
 ずっと信じ続けてくれたら大成功。

・組織にとって貫くものが「理念」であるなら、
 個人にとって貫くものは「キャリアアンカー」

・組織社会化(洗脳の一種?)の研究としては失敗。
 組織の価値観に影響を受ける人もいれば、あまり受けない人もいる。

 仕事が変わっても、会社が変わっても、犠牲にしたくないほど大事なもの、
 つまり貫くものがあることが、この研究から分かった。それがキャリアアンカー。

・洗脳、組織社会化といえば、ジョン・ヴァン・マーネン
 (もう一人の金井先生の恩師)

○すごいなー。金井先生は。シャイン、ヴァン・マーネン両方から教わっている。


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●隣の方とのディスカッション


○近くに座った「出版社の編集者」と「自動車業界のディーラー教育担当者」
 の方々と話をしました。


・会社では「幸せのトライアングル」という視点がある。お客様、社員、会社。

・お互い傷ついても、編集者は著者に言うべきことを言わなくてはならない。
 それが読者の為、著者の為にもなる。

・自分の「良い仕事」は視野が狭かった。
 お客様と自社の満足のみ。社会という視点はなかった。

・ギャラリーに貼られていた「良い仕事」の中に「家族に誇れる」というものは
 ほとんど無かったように思える。

・企業理念は浸透していない。リコールに関する問題があった時も、
 その危機を活かせなかった。

・自動車業界全体が危機的な状況にあるが、それでも動けていない。
 こういう危機感があると、個人的には色々と考えざるを得ない。

・零細企業の経営者としては「何を変えて、何を変えないか」は難しい問題。
 自分の判断で、全てが決まってくる。


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●全体での質疑応答


【渡辺氏】

Q.ファシリテーターとして

・ファシリテーターとして「しゃべらない」ことを意識した。
 しゃべらないから意見を引き出せる。議論がブレ過ぎたら戻す程度。

 各本部でファシリテーターを育成した。


Q.「良い仕事」という言葉は今も使われているか?浸透しているか?

・Yes.自然に言えるようになっている。

・英語に訳そうとして最初「Good Quality Work」と言っていたが伝わらない。
 今は「Yoi−shigoto」で統一。


Q.収益との関係は?現状の課題は?

・良い仕事をしたら、収益がついてくるという関係で考えている。

・若手の「稼ぐ」「収益力」に関する意識が減ってきている。
 今は利益の重要性を訴えている。

【金井先生】


Q.何を変えて、何を変えないか、その見極めは?

・それが難しい。変えない言い訳はなんでもできる。そのため全て変えるという
 前提で考えた方がよい。その上で少し変えて小さく実験することを勧めたい。

 少し変えてみて「やっぱり変えられない、自分らしさを失う」と思えば、
 変えずに貫けばよい。


Q.理念の浸透に関して、ミドルの役割は?

・トップの考えを、現場に合わせてふさわしいものに変える。自分色の言葉で。

・トップが名君ならば、発信源にする。
 アドミニ(管理)系なら、ミドルがイニシアチブをとる。

 どちらにしても、有効活用を考えればよい。


==================================

●ラップアップ(中原先生)


・「良い仕事とは?」というのはパワフルな問い。
 Driving Question(思考を掻き立てる問い)

 主語が私となりうる。解釈も曖昧。共通言語として機能する可能性。

・理念浸透、伝達、注入というのは「導管モデル」
 しかし個人的な感情として、理念を注入されたいとは思わない。

・「対話モデル」でボトムアップというのも、どうなのか。

・第3の道として「ダイアログによるセンスメイキング」をあげたい。
 トップマネジメントが基盤を作る。ミドルが解釈し現場に伝えていく?

・「あり方」について仕事の合間に語ることは大事。
 それは個人の成長実感に影響があることが、調査でも分かっている。

・正しいことを行っているかの確認にもなる。

・Learning と Unlearning をセットにする。


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●ワークショップ部による「1月23日のパーティー」の紹介


・中原先生のラップアップまでの壮大なアイスブレークの後、ここからが本番。

・「学びの3rdプレース」は論文になっていない。

・豪華ゲストに3分間しか話させず、参加者の対話を誘発する仕掛けを準備。

・1月23日(土)18時〜21時 

○1月23日は、当初予定が入っていたが、何とか調整して参加したい。
 そういう気にさせるプレゼンだった。素晴らしい!


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●バーの外での語り


後日談ですが、ラーニングバーの翌日の土曜日に、家で、娘(小1)に
仕事について話す機会がありました。


研修講師という仕事を、学校の先生に喩えて話をしました。
何とか伝わったようです。

実は、今回の「良い仕事」を考えてみて、
自分自身の視野の狭さに気づかされました。


私にとって「良い仕事」は、主である研修事業をイメージして

 『お客様に満足して頂き、次も発注を頂けること』

としました。


これは「顧客満足と継続受注」ということで、お客様と弊社の視点のみでした。
社会という視点は、欠けています。


正直「ちょっとカッコ悪かったかなー」とも思いましたが、

零細企業の経営者として「顧客満足と継続受注」は
会社をつぶさないためにも外せません。


今の私に考えられる「良い仕事」の定義はこれだ、ということで
もしかしたら将来的には変わってくるのかもしれません。

小1の娘には

「いやー、今はまだうちの家族を幸せにするために仕事を頑張っているんだけど、
 もう少し先になったら、うちだけが幸せなんじゃなくて、周りも幸せにできる
 ようになりたいんだよねー。」


(家から遠くに見える工場を示しながら)

「ああいう工場の社長さんは、お金を出して、周りの人に働きに来てもらうでしょ。
 社長さんも助かるけど、働き先があってお金が入る周りの人も助かるよね。

 お父ちゃんは、まだそこまで出来ていないけど、違った形でそういう風に
 周りの人にもいいことをしたいんだよねー。」

と話しました。


娘は「ふ〜ん」といって、静かに聞いてくれていました。


何故か目が熱くなってきました。


娘にこういう話ができるようになるとは・・・。

やっぱり家族に仕事の話をするのは大事ですね。

今までは専務の奥さんには良く話をしていましたが、
長女達にも今後は話をしていった方がいいなと思いました。

「良い仕事」とは何か?

これは職場だけでなく、家庭で話しても良い問いかもしれませんね。


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(今回も多くの学びがありました。ありがとうございました!)

2009年12月02日

先行研究の一部(1)

大学院での研究テーマである「新入社員へのOJT」に関係しそうな論文等の
私なりの要約ポイントをブログに載せておきます。

のちに検索しやすいように。

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【OJT】
 
『仕事の経済学』 (小池和男 2006)

・OJTを仕事と区別するために「フォーマルな(形ある)OJT」を設定する。
 フォーマルなOJTには「指導員の指名」「訓練成果のチェック項目」がある。
・OJTは「長期のキャリア(長期に経験していく仕事群)」である。
・「幅広いOJT」= 職場内のおもな持ち場を経験するよう移動する。
 序列方式、ローテーション方式等。
・「深いOJT」= 職場で起こる問題や変化もこなす。問題に関する報告書の作成、
 職場会議での討議、他職種の支援

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『日本企業の能力開発−70年代前半〜2000年代前半の経験から』
  (労働政策研究 研修機構研究員 原ひろみ 2007)日本労働研究雑誌

・相談についての制度や先輩が指導する職場内の雰囲気が能力開発と
 相互補完的な関係にあることが伺える。
・若手社員の仕事についての相談相手や将来的なキャリアデザインについて
 相談できる仕組みがある企業では、仕事上の能力を高めるための指導や
 アドバイスも積極的になされており、また先輩が後輩を指導する雰囲気  
 のある企業では、従業員のOff-JT受講に積極的であることが示された。

=================================

『OJTの実際〜キャリアアップ時代の育成手法』 (寺澤弘忠 2009)

・これからのOJTの特徴としての指導育成の方法。上司先輩は「教える人」、
 部下後輩は「教えられる人」という一方通行的な受け止め方だけではなく、
 上司先輩も知らないこと、できないことは部下後輩と「ともに学ぶ」という
 相互啓発の時代となった。
・OJTの特徴は、自分を取り巻く周囲の第三者(他人、特に上司先輩)の
 アドバイスと援助によって自己啓発(能力開発)を行い、自らの自立、巣立ち、
 成長を図り、企業内(組織内)で有用な人材となること、すなわち仕事ができる
 人材になることを目指してきた。

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【心理学】
 
『職務遂行能力自己評価に与えるOJTの効果〜地方自治体職員を対象として』
  (愛知淑徳大学 榊原国城 2004)産業・組織心理学研究

・「業務推進能力」「職務遂行態度」「職場運営能力」の能力向上尺度すべてに
 対して有意な正の効果を示したOJTは「権限委譲」であった。
 しかし「職場指導」はいずれの能力向上尺度に対しても有効ではなかった。
・この結果は、上司による、部下への直接的な教育・指導が部下の能力向上に
 有効に結びついていないということを明確に示すものであった。
 一方、職務機会提供と自由裁量付与こそ部下の能力向上に対して有効な、
 上司による唯一無比のOJTであった。

=================================

『わが国産業組織における大卒新入社員のキャリア発達過程:その経時的分析』
  (慶應義塾大学 若林満・南隆男・佐野勝男 1980)
    慶應義塾大学産業研究所心理学研究班モノグラフ

・入社1年目に直属上司との間で「高い」交換関係を経験したグループは、
 その経験を通じて高い組織への一体感を抱くようになり、かつ上司から
 高い職務遂行評価を受け続けている。
・1年目の上司との制限された交換関係は、以後の本人の職務遂行にとって
 一種の滑り台と化してしまう危険性をはらんでいる。

=================================

『職場内訓練の成立条件―ソシオメトリック・データを用いた実証』
  (東京大学 犬塚篤 2009)産業・組織心理学研究

・比較的自由に教授者−学習者関係を選択できる状況において、どのような
 関係が選好されやすいのか明らかにするのが、本稿の主眼。
・(組織一体化のレベルが)学習者をはるかに凌駕した教授者でないと、
 学習者は彼(彼女)の意見や指示を受け入れる気にはならない。
・モデリング学習における教授者の一体化関連変数(組織一体化・貢献的職務遂行)
 のレベルは、学習者にとっての“適度な高さ”に位置づけられていることが
 望ましい。
・多くのOJT場面において、教授者と学習者との間に大きな差を作らないと言う
 経験則を支持する結果となった。

*********************************

【組織社会化】 (経営学)

『新人の参入が組織・職場・個人に与える影響』
 (神戸大学大学院 尾形 真実哉 2005?)経営行動科学?

・新人が上司や同僚に“上司らしさ”“先輩らしさ”“社員らしさ”を認識させ
 社会化を促進させるエージェントになっている
・尾形(2004)は、新人のストレスの一つとして「モニターストレス」を
 あげている。職場の関心が全て新人に向けられることで、新人にストレスを
 与えてしまっているもの。
 新人をサポートしようと思う意識が高い職場ほど、逆に新人にストレスを
 与えてしまうというパラドックス。
・新人が職場に参入して、社会や組織での現実にショックを覚える現象が、
「リアリティーショック」であるのに対し、新人が既存の組織構成員に及ぼす影響を
「ニューカマーショック」と呼ぶことができるであろう。

=================================

 『新人の組織適応課題−リアリティ・ショックの多様性と対処行動に関する
 定性的分析』
 (神戸大学大学院 尾形 真実哉 2006)人材育成研究

・既存研究では説明できないリアリティショックの多様性が見出され、
 そのような多様性を生じさせる要因としてリアリティショックを生じさせる
 前提要因と組織現実の多様性の存在があることを(本論文では)提示した。
・「既存型リアリティショック」に遭遇している新人の克服を援助するためには、
 ケアリングや教育制度の充実化を図るとともに、再動機づけを行うことも必要。
・「肩透かし」に対する組織の対処方法として、新人に責任、自律性を提供する
 ことが一つ。
・「専門職型リアリティショック」への対処法として職場全体が新人を
 バックアップする制度を充実させること。

=================================

『組織社会化施策が新規学卒就職者の組織適応に与える影響』
 (明治大学 竹内倫和 愛知学院大学 竹内規彦 2004?) 経営行動科学?

・3つある「文脈的」「内容的」「社会的」組織社会化戦術のうち
 「社会的」組織社会化戦術が、新規学卒者の組織への社会化を高めると同時に、
 結果変数として入社後1年間の組織コミットメントの変化量に対して正の有意な
 影響を与えていた。社会的社会化戦術の重要性が示唆される結果となった。
・入職後においては、本研究によって効果が確認されたメンター制度など
 社会的社会化戦術を企業が積極的に導入することが一つの方策として考えられる。

*********************************

【School to Work Transition】

『学びの場から働きの場へ−ある一企業社員のインタビュー調査から』
  (神田東クリニック 大庭さよ 
   JMAマネジメントセンター 藤原美智子 2008)カウンセリング研究

・新入社員たちは組織に「社会化」される受動的な存在ではなく、期待との
 不一致を積極的に解消したり、たとえ不適合な「今」であっても、
 自分のキャリア上、必要な時期として意味づけようとする主体的な存在である
 ことが確認された。
・入社1年半後の適応感に上司のかかわりが大きく影響を及ぼしていることが分かった。

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【熟達化】

 『IT技術者の熟達化と経験学習』
  (小樽商科大学 松尾睦 2005) 小樽商科大学学術成果コレクション

・IT技術者が、経験を通して知識・スキルを獲得するプロセスは、
 キャリア発展段階や職種によって異なると本研究では考えた。
・分析の結果、職務内容が異なると、経験学習パターンも異なることが
 明らかになった。
・領域が異なると、熟達を促す経験のさせ方が異なると言える。

*********************************