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2010年02月18日

「組織社会化」に関する論文のまとめ(2)

南山大学 高橋先生「組織社会化研究をめぐる諸問題−研究レビュー」です。


初心者の自分にとって、組織社会化研究の全体像が見渡せる
素晴らしいレビューです。


(・引用/要約 ○関根の独り言)


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◎組織社会化研究をめぐる諸問題−研究レビュー

  南山大学 高橋弘司 1993


●社会化の概念をめぐって

・本研究の目的は「組織社会化 Organizational socialization」に
 関するこれまでの研究を批判的に検討し、組織社会化研究において
 今後取り組むべき諸問題について考察を行うことにある。

・組織社会化とは、もとは社会学の一用語である「社会化」の
 下位概念である。

・統一的な組織社会化の見解はいまだ提出されていない。
 諸定義を集約してみると、3つの共通要素が存在する。社会化は;

 1)成員性の習得である
 2)学習の過程である
 3)他者との相互作用を通してパーソナリティを社会体系(システム)
    に結びつける過程である

・組織社会化の定義を集約すると「組織への参入者が組織の一員となる 
 ために、組織の規範、価値、行動様式を受入れ、職務遂行に必要な
 技能を習得し、組織に適応していく過程」と定義できる。


・組織社会化と類似した概念に「職業的社会化 occupational/vocational
socialization」がある。

・これまでの組織社会化研究では、両概念の区別があいまいにしか
 行われていない。

・本稿では、組織社会化には「職業的側面」と「組織的側面」とが併存する
 という立場をとる。

 そしてより正確には、この2つの側面をそれぞれ「技能的側面」と
 「文化的側面」と呼ぶことにする。

 「技能的側面」は、組織の中で達成される技能形成を表し
 「文化的側面」は、組織における個人の文化受容を表している。

・技能的側面は個人の「職業人性」を、文化的側面は個人の「組織人性」
 を示す指標となる。

・個人にとって、組織社会化の達成とは、両方の側面を必要なだけ充足
 することである。

・組織社会化研究において、技能的側面と文化的側面とを組織社会化の
 達成指標として分化、仮定することは極めて有効。

 今後広く定着することを望む。


○確かにこうやって2つに分けて考えると分かりやすい。

 研修テーマとしての「仕事の教え方」は、新人の「技能的側面」の
 充足を手助けするために、組織が企画する。

 「ビジネスマナー」や「仕事の学び方」は、新人の「文化的側面」の
 充足支援が主たる目的になる。

○「社会化の心理学ハンドブック」を読んだ時、職業的社会化は項目として
 あったけど、組織社会化が無かったのを不思議に思った。


●組織社会化の研究テーマ

・組織社会化の要件として基本になるのは「組織」と「個人」である。

・組織→個人

 組織は、組織社会化の促進策として「社会化戦略」や「社会化戦術」を
 行う。

・個人→組織

 「参入前の社会化」の時期に、個人は参入後の組織社会化に連続する
 「予期的社会化」を行う。その主な内容は「期待形成」である。

 
 現実ショックと幻滅経験の大きさは、個人の組織社会化の正否と関係が
 あり、特に離職率の増加と密接な関係がある。

 そのため、組織は個人が参入する前に、過大な期待の鎮静化を図ること
 がある。これを「現実的職務予告」と言う。


 「参入後の社会化」の時期に、個人は多様な社会化の諸課題に直面し、
 その課題の達成することで、個人は学習し、態度変容を起こしていく。

 個人の態度変容を、組織への適応の達成、あるいは組織社会化の成功と
 みなす。

○この過程で、新人は「自分の個性が失われてしまう」「型にはめられて
 しまう」という恐れを抱くのかも。


・個人の組織社会化の成否は、何らかの結果(組織コミットメントの低下、
 離職率の増加)となって現れる。

 組織社会化の達成や態度変容は、極めて心理的なプロセスであり、
 測定も困難。


・組織社会化の研究テーマは、図2のようにまとめられる。

○分かりやすいなー。こういうのが書けるようになるためには、
 よくよく先行研究をした上で、自分の頭で考えることが必要なんだろうなー。

 俺の研究テーマはどこにあてはまる?

 (5)組織による働きかけ=社会化促進策
 (4)参入後の社会化 (特に態度変容?)
 (6)組織社会化の結果


 新入社員を指導するOJT担当者 = 組織社会化のエージェント

 その働きかけ = 社会化促進策

 OJT担当者のみならずその他の職場構成員(他部署も)の関わり 
  = 相互作用領域? 

 社会化促進策と言っても、フォーマルな施策というより、
 メンバーによる関わりというインフォーマルな働きかけの影響が、俺の
 見たいテーマ。


 「組織社会化の結果」として、組織コミットメント、職務満足、離転職
 があげられているが、新人の「成長」という観点も入れられないか。

 OJT担当者としては、自分が教えた(=組織社会化を支援した)新人が
 成長してくれることが大きな喜び。

 では、新人が成長したとはどういう状態なのか。

 それは彼らが、自分で仕事を回せるようになった時、提案をしてくる時、
 相談や質問が的を射たものになってきた時、数字があがるようになった時、
 仕事を任せておける状態になった時、などだろう。

 そうすると、それは組織社会化の「技能的側面」の達成が主であり、
 「文化的側面」は必要最低限の前提条件かもしれない。

 組織のルール(明示化されたもの、暗黙のもの)に従うのは、
 当たり前のこと。

 それができているという前提で「技能的側面」の充足がはかられ、
 目に見える成果として現れたときに、OJT担当者は新人が成長したと
 判断するのでは。

 つまり、組織社会化の結果として、今挙げられているものは、より
 「文化的側面」を強調しているのでは。

 「技能的側面」の結果を現す指標は他にもあるのでは。


●組織社会化研究の個別テーマ

(1)参入前の社会化

・予期的社会化のエージェント(マスメディア、学校)が、個人に非現実的
 かつ理想的な期待を形成させ、そのために個人の組織への適応が阻害
 されるメカニズムを明らかにした。

○日本では「就職活動」が、予期的社会化のエージェントを果たしている
 側面もあるのでは。

 就職活動での「自己分析」「自己アピール」等が、

 「自分の好きなこと、強いことを活かす」
 「自分のやりたい仕事を探す」ことを過度に強調し、

 そういう仕事ができるという期待を抱かせてしまっているのでは。


 それは、新人が「この会社を希望した理由」を聞かれた時
 「自分がやりたい仕事ができそうだから」と答えるのに現れているのかも。

 実際に職場に入ると、自分がやりたい仕事ができる訳ではない。


 でも、なかなか内定がとれず、面接でも厳しさを味わっていると、
 それが予期的社会化となり「世の中は厳しい」「会社に入るのは大変」
 と新人に思わせることになるのかも。

 その分、内定がとれ、会社に入れた時には、組織内社会化はスムーズに
 進むのかも。

 あ、でも「リベンジ転職」とかもあるか。自分の第一志望でない会社に
 入った場合。

 うわべだけ「組織社会化されてますよ」と新人が猫を被り、いざ転職の
 チャンス(景況)が来た時に出て行くということもありえるか。


(2)組織参入

・組織参入(organizational entry)の中心テーマは、
 現実ショック(reality shock)と幻滅(disillusionment)である。

・Dunnetteら(1973)は、幻滅経験の大きさと離転職の増加との間に
 密接な関係があることを明らかにした。

・若林ら(1980)は、幻滅経験は新入社員のキャリア発達の主観的側面
 に、ごくわずかしか影響を及ぼさなかったと報告。


(3)現実的職務予告

・現実的職務予告(realistic job preview RJP)についての主な研究
 課題は、その効果に関してである。

・Wanous(1992)は、現実的職務予告が離転職率に与える効果を実証した。


(4)参入後の社会化

・組織社会化の課題(学習、達成内容)は、いくつかのカテゴリーに
 分類される。


○この辺は、前にまとめた論文に書いてあったぞ。(尾形さんの研究レビュー)

  http://www.learn-well.com/blogmanabi/2009/11/post_157.html


・組織社会化を個人の学習のプロセス、特にモデリング(modeling)に
 基づいた社会的学習(social learning)のプロセスとする見方はポピュラー。
 (Bandura 1977 Weiss 1977 佐々木1990等)

・組織社会化研究のうち、最も特徴的な分野は、段階モデル(ステージモデル)
 である。だが、その内容は疑問視され、有効性も実証されていない。

・態度変容の問題も、今後の発展が望まれる分野。


(5)組織社会化の促進策

・Van Maanen & Schein(1979)は、社会化戦術の他次元性を明らかにした。

 6次元

○これは、この間中原先生に勧めれた英語論文「Toward a theory of
  organizational socialization」に書いてあったぞ。

 少しずつ繋がってくるなー。やっぱりどんどん論文を読もう!

(6)組織社会化の結果

・組織社会化は、様々な結果変数の原因変数とされることが多い。

 結果変数の代表例として、
 −職務満足(job satisfaction)
 −組織コミットメント(organizational commitment)
 −職務関与(job involvement)
 −動機づけ(motivation)
 −離転職(turnover) など


(7)研究対象となる組織

・組織イコール企業である必要はない

 
(8)研究対象となる個人

・新規参入者(newcomer)を研究対象とすることが多い。

・組織内部の場に存在する社会化のエージェントに着目した研究も
 少数ながら見られる(Wanousら 1984)

○この論文読んでみよう!

 「Organizational socialization and group development: Toward
and integrative perspective」

○俺が注目したいのは、新入社員に対するOJT担当者。

 つまり「組織社会化のエージェント」

 彼らの働きかけ方(より効果的な社会化戦術、特に技能的側面)
 彼らの任命基準(どんな人物がふさわしいのか? 人脈多し;仮説)
 新人の受け止め方

 などについて明らかにしたい。


●組織社会化研究の視点

・組織社会化研究の質を落としている原因は、不十分な研究視点と、それに
 基づく不適当な研究フレームワークにある。

・これまでの研究は主として2つの視点から行われている

 視点A キャリア発達論の立場 Schein と Van Maanen

  −変数設定があいまいにある傾向が強く、実証研究が困難になる。


 視点B 組織行動論の立場 Buchanan, Feldman, Wanous ら

  −独立変数と従属変数が設定され、統計的処理を多用した検証をする。


●今後の組織社会化研究の方向性

・組織社会化研究のフレームワークは、
 次の2点を満たしていることが望ましい。

1)組織行動論の視点に基づいた実証研究であること

2)縦断的な因果関係を変数間に想定すること


・実証研究の蓄積の少なさは重要な問題。

・基礎的な研究も十分に行われていない。

・社会化の他の下位概念と比較する研究も不十分。
 特に、職業的社会化に関しては、様々な方向性から比較がなされるべき。


○この論文で、組織社会化の全体像がつかめそう。

 自分の研究テーマが、どこに当てはまりそうなのかが
 何となく見えてきたかも。


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2010年02月07日

メンターとOJTの違い

雑誌「能力開発21」10年2月号で、東京経済大学 経営学部 教授

関口和代先生の記事が分かりやすかったので、転載します。

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(・引用/要約 ○関根の独り言)


・OJT(On the Job Training)は、職場に新たに配属された従業員や新たな業務を
 担当することになった従業員に対して、指導役であるOJTリーダーが持つ技能、
 スキルや経験を、実際の業務活動を通じて伝え、それによって従業員の技能や
 スキルを向上させることである。

・ブラザー/シスター制度は、新入社員対象のOJTであり、通常新入社員よりも
 3〜5年先輩の比較的年齢の近い社員を指導員役として任命し、業務知識や
 スキルを教えると共に、組織の規範、行動様式や社会人としてのマナーなどを
 指導する中で、新入社員の組織社会化(組織の規範や価値観を受け入れ、個人が
 組織への適応する過程)を促進することを主な目的とする。

・プリセプターシップは、医療界におけるブラザー/シスター制度といえる。

 入職したばかりの医師、看護職(プリセプティ)のリアリティショックを軽減し、
 医療現場で経験を積めるよう、指導、支援する人のことをプリセプターと呼ぶ。

・ブラザー/シスター制度やプリセプターシップなどのOJTと、メンタリングの
 最も異なる点は、その目的にある。

 OJTは、当面の職務遂行に必要な能力やスキルを向上させ、リアリティショック
 の軽減、組織社会化の促進などが主たる目的であるのに対して、
 
 メンタリングはメンティーのキャリア形成の促進を目的とする比較的長期の
 サポート行動である。


○確かに、こう考えるとわかりやすいかも。

 OJT(特に新入社員に対するもの)は、初期段階での支援が中心であるのに対し、
 メンタリングは、長期のキャリア形成を支援する。

 ただ、OJTという言葉は、新人に対するものだけでなく、一般にマネジャーによる
 部下育成全般に使われるから、メンタリングやコーチングと区別が難しくなる。

 言葉はやっぱり大事。人によって、会社によって「OJT」の意味するところが
 微妙に違っていることも、関係するのかも。

 
 弊社が支援している「OJT研修」(この言葉も微妙ですが・・・)
 新入社員に対するものが主です。つまり関口先生の言う「ブラザー/シスター制度」
 がニュアンス的に近いです。


 ただ、この「ブラザー/シスター制度」も会社によって、ちょっと違うのが
 難しいところです。


 いずれは「新入社員の初期支援」に関する共通言語が見いだせたらと思っています。

 
 関口先生にも何かの機会にお会いして、色々お話を伺えたらなーと思います。

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(関口先生、ありがとうございました。

 能力開発21編集の皆さん、参考になる記事ありがとうございました。
 今年3月に廃刊されるのが、残念です。

 ツイッターでも少しつぶやきました。 

  https://twitter.com/masahiro_sekine/status/8756858818 

「日本教育工学会 論文誌」

最近の「日本教育工学会 論文誌」で興味をひかれた論文の一部を

今後のために、ブログに記録しておきます。

(・引用/要約 ○関根の独り言)

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◎日本教育工学会 論文誌 第33巻 増刊号 2009 


●教師が協調学習場面で「足場はずし」を行う際の観点

   坂本篤朗ほか 85−88

・教師が学習者のどのような要因に着目して足場はずし(Fading)を行うのか
 明らかにすることを目的とした。

・支援者が支援から手を引いていく過程やそれを試みるタイミングに関する
 十分な研究は行われていない。

・足場はずしの類型化 
 A)必要性解消による足場はずし
 B)教育的意図による足場はずし
 C)制約および優先順位による足場はずし

・これまで足場はずしは、課題の達成状況のみに焦点があてられていた。
 しかし教師は児童の学習状況だけでなく、児童自身の可能性や教師の効率的な
 ふるまい方を総合的に考慮して足場はずしを行っているものと考えられる。


○新入社員に対するOJT指導員が、手とり足とり教える状態から、
 少しずつ独り立ちさせていく過程を「足場はずし」で表現できるかな。

 (「最初から放置して、足場そのものもかけていない」という
  ことが無いという前提で)

 「必要性解消」「教育的意図」が理想的だけど、どちらかというと
 「制約・優先順位」がニュアンス的に近いのかも。

 −自分の仕事が忙しくなって、面倒が見られなくなってきた
 −新人も大分自分でできるようになってきたので(それに甘えて?)
  放っておくことが増えた
 −新人からの質問、相談が減ったので(それに甘えて?)
  「もう分かっているんだろう」ということで、放っておくことが増えた。


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◎日本教育工学会 研究報告集 09年12月19日

  FDの組織化、大学の組織改革/一般


●ファカルティ・ディベロッパーのID的基礎とは何か

   鈴木克明 


・FD担当者は、高等教育機関におけるインストラクショナルデザイナーで
 あるとみなすことができないだろうか。

・学習意欲を高める方策。IDでは「効果、効率、魅力」の3つの目標の最後、
 「魅力」に関わる研究成果としてARCSモデルがある。

 学習意欲の問題を
  Attention 注意 おもしろそうだな
  Relevance 関連性 やりがいがありそうだな
  Confidence 自信 やればできそうだな
  Satisfaction 満足感 やってよかったな
 の4要素に区分し、問題の所在を明確にしてから対応策を考えるという枠組み。

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●研究室コミュニティ論の構築に向けて:研修室に関する参加、移動、創発のモデル

   辻高明


・研究室での学習について議論するための共通の言語、フレームワークといった
 概念装置が求められる。

・実践コミュニティと学習の関係を説明する理論として
 1)正統的周辺参加論 
 2)共変移
 3)ノットワーキング
 の3つを取り上げ、それらから研究室における学習モデルとして
 参加、移動、創発の3つのモデルを提起する。

・正統的周辺参加モデルは、新入生の研究室への適応過程を説明するのに
 有効なモデル。

・共変移の概念を研究室での学習活動に適用したモデルを「移動のモデル」と呼ぶ。

 研究室間、あるいは研究室と他の世界の間を移動、越境する学生が、それらの
 境界で生じるコンフリクトを乗り越え、知識やアイデンティティを増殖、拡張
 する現象を説明するのに有効。

・ノットワーキングは、学生たちが研究室内外を問わず、目的やニーズに応じて
 臨機応変に結びつき、また結び直しあう創発的な活動をするのに有効。

○俺の立場だと、今まさに「参加」しようとしていて、
 別の世界(仕事:企業内研修)と研究室の間を行きつ戻りつしている。

 今後必要になるのが、自らノットワーキングをしていく姿勢や
 新参者として共同体にまずは受け入れてもらうこと、なのかも。


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●大学と社会をつなぐ体験学習の教育的効果

   酒井浩二


・多様な社会で通用する汎用的能力の育成が教育目標の大きな柱になる。

 この能力を高める教育方法の一つとして、体験学習(Experiential Learning)
 が有効と考える。

・体験学習の学習形態例

 −インターンシップ
 −サービスラーニング
 −PBL
 −宿泊研修

・体験学習を大学教育の中で提供する場合、デューイ(2004)や吉田(2008)の
 指摘のように、学習の内容や方法だけでなく、体験や現場の質を高める必要がある。


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◎日本教育工学会 論文誌 第33巻 No3 2010年1月

  特集:協調学習とネットワークコミュニティ


●知識創造実践のための「知識構築共同体」学習環境

    マリーン・スカーダマリアほか

・共同体の視点が導入される以前は、主に個々の学習者の内的表象の変化を
 学習ととらえる考え方が主流であった。

 SFARD(1998)は、こうした認識論を「獲得メタファ acquisiton metaphor」
 と呼んだ。

・状況的認知や分散認知を支持する研究社の認識論では(SFARDはそれを
 「参加メタファ participation metaphor」と呼んでいる)、学習を社会文化的
 に有意味な実践に参加する活動と捉える。

・相互教授法による文章読解活動は、ジグソー学習法(ARONSON 1978)という
 グループ学習の設計と融合して、学習共同体の根幹をなしている。

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●初任教師メンタリング支援システムFRICAの開発

  脇本健弘ほか 

・メンタリングにおける問題点。メンターの能力により、メンタリングの成果が
 左右されるという指摘がある(Kennedy 1991, Evertson and Smithey 2000)。

・メンタリングは、心理的支援やキャリア的支援などの支援を含む
 (Kram 2003)

・システムの有効性に関して、信頼性を高めるために、被験者間多重ベースライン
 を用いた単一事例実験を行う方法。これは別々の時期に異なる複数の被験者に 
 処遇を行う実験(南風原ほか 2001)

○中原ゼミの先輩、脇本さんの論文

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●幼児のNarrative Skill習得を促す
 親の語りの引き出しかたの向上を支援するシステムの開発

   佐藤朝美 


・幼児の語りの詳細を引き出す言葉がけをする親とそうでない親がいる

○ヒエー。これは怖いなー。うちはどうかな。


・過去の出来事を子供から詳細に引き出すことができる Elaborative mothers と
 単純の質問のくり返ししか行わない Repetitive mothers というスタイルがある
 ことを、Fivush(2007)が明らかにした。

・より詳細な内容を引き出そうとする母親の試みが、より詳細な内容を物語る
 言語的な技能を子供に学ばせていくことを示唆している。

○親もそうかもしれないけど、4歳の次女を見ていると、長女(6歳)と
 遊んだり、口喧嘩したりしながら、言葉が増えている気がする。

 (今もちょうど口げんか中。うるさい。)

 そうはいっても親の引き出しが大事なんだろうなー。父親の役割はどうなのかな。


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●大学院生の研究プロジェクトへの十全的参加の軌跡

    岸磨貴子ほか


・研究論文を書き、研究者になることだけが、大学院進学の目的ではない。

・院生の意識と従来の大学院教育の体質とのズレについて、これまでのような
 徒弟的な形態で教育を行うことには限界があると、曽余田(2001)は指摘。

・職場におけるOJTをそのまま大学院教育に持ち込むことは難しい。

・OJTは、他者と協同した現場での学習という特徴がある。


・従来の学習に関する説明では、教師により知識が伝達され、それが頭の中に
 蓄積されることを学習とみなしてきた。

 レイブとウェンガー(1993)は、知識が個人の中に蓄積されることを学習と
 捉える見方に異議を唱え、実践共同体に参加する過程そのものが、学習である
 とする社会、文化的な視点から状況的学習論を提案した。

・十全的に参加するようになった院生は、リーダーとして必要なノウハウを習得
 していた。それを可能にした行為の一つが「複数のプロジェクトへの参加」で
 あった。

○今まさに、大学院に参加しようとしている自分にとって、参考になる内容。


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●社会人メンターを導入した中学校でのキャリア教育の実践と評価

    尾澤重知ほか


・学習やコミュニケーションにおいて「質問」という行為は重要な役割を担って
 おり、対象に対する理解の度合いや関心の内容を示す指標と考えられる。

・FAQが典型であるように、よく聞かれる質問の検討は、今後のキャリア教育
 プログラム開発の重要な基礎資料になると考えられる。

・メンターとのやりとりに関して「メンターへの質問を考えるのは楽しかった」や
 「メンターからの回答を読むのは楽しかった」という調査項目に対し、
 6〜7割が肯定的に回答した。


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●協調学習のプロセスと個人の貢献を測定する試み

   大島純ほか

・協調学習を分析するための理論的な枠組みとして
 「分散知(distributed intelligence)」と「分散認知(distributed cognition)」
 の概念(Salomon 1993)が有効であると考えた。


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●協調学習研究における理論的関心と分析方法の整合性:
  階層的データを扱う統計的分析手法の整理

    北村智

○09年10月に受けた「階層的データ研究会」で読んだ論文。

   http://learn-well.com/blogsekine/2009/10/post_289.html

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2010年02月01日

「新人こそが組織活性化のカギ!?」を読んで

雑誌「人材教育」10年2月号の中原先生の記事

「新人こそが組織活性化のカギ!?」を読んで色々考えさせられました。

今後のために記録に残しておきます。

(・引用/要約 ○関根の独り言)

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・組織社会化と組織活性化の間には「矛盾」がある。

・組織社会化のプロセスでは、若手の「やんちゃな部分」を削除する
 方向で物事が進む。

・組織活性化を促すためには、すぐに「成長したね」となっては困る。

・「やんちゃな部分」がずっと残るのも困るが、それによって職場に
 「ゆらぎ」や「ゆさぶり」が生じた後で、次第になくなることを望むはず。


・新人の組織社会化が成功したときこそが、新人による組織活性化の終焉。


○これは、面白いなー。言われてみればその通りだよなー。

 新人として入って間もない時点で感じた疑問や問題意識が
 だんだんと組織になじんでいくにつれ、なくなっていく。
 
 「こんなもんなんだろう」と当たり前になっていく。


 そこに「自身が成長した、大人になった」と感じて一抹の寂しさを覚えたり、
 逆に、組織の中では疑問が少なくなった分、仕事はしやすくなったりする。

 その時期がちょうど、新人フォロー研修を過ぎて、2〜3年目あたりなのかも。

 研修での少ない経験しかないけど、1年目と2〜3年目では、
 研修内で出る発言や物の見方がやはり違う気がする。

 2〜3年目から1年目を見ると、とても幼く見ている気がする。


  
 ある程度のゆさぶり、ゆらぎを与えた後で、やんちゃな部分が次第に
 消え去っていく。


 それを手助けする一つは、1年後に後輩が入ってくることなのかも。

 新人を見て、自分の1年前をふり返る。

 (しかし、後輩がなかなか入ってこなかった世代(バブル入社)は
  どうだったんだろう。)

 

・新人の組織社会化と組織活性化のダイナミズムを描き出す研究があったら
 面白い。

・1980年代以降、膨大な数の組織社会化研究において新人や若手は、
 「染められる=社会化」される存在として描かれてきた。

・一方で新人自身が職場に与える影響は、十分に考慮されてきたとは言えない。
 
 経験的には多くの人が「新人による組織活性化」を事実として知っており、
 望んでいるにも関わらず、そのインパクトを明らかにする研究は限られている。

・新人が配属された職場とそうでない職場を比較して、職場の風土や
 コミュニケーション環境がどのように変化するかを定量的に把握する研究
 も面白いかも。


○このあたりは、俺の研究テーマとも関わってくる部分。
 大きなヒントになるかも。

 尾形さんが「新人による組織活性化」の研究はしている。

  http://www.learn-well.com/blogmanabi/2009/10/post_92.html


 俺にできることは何か?オリジナリティーは?


・「新人による組織活性化」を、「新人を採用する意味」として、積極的に
 打ち出してもよい。

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中原先生、どうもありがとうございました。