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2012年夏「経営学習論」(3)職場学習

ここ2週間は「職場学習」に関する文献でした。 面白いです。

6月6日(水)「職場学習」

Fenwick, T.(2010) Beyond indivisual acquisition : Theorizing practice-based collective learning in HRD. Woerkon, M. V. and Poell. R. (eds.) Workplace learning : Concept, measurement and application. Routledge. Pp11-25

https://twitter.com/masahiro_sekine/status/208157506206310400

https://twitter.com/masahiro_sekine/status/208178381341204481

・1980年代に「学習論」のパラダイムチェンジが起こった。

・それまでは、Acquisition(獲得)metaphor

・有能な教師から、無能な学習者へ、伝達する=学習

 Transmission view、Conduitを通して「空の容器を満たす」

・伝達をいかに効率化するか=Instructional Design

 ID:教授デザイン
   →教えることを合理的、効率的に行うための法則

 例)先行オーガナイザー
  (知識の全体像を伝えることでの)学習効果を測る

・セサミストリート(1分くぎり)
 お母さんと一緒(3分くぎり)はIDに基づいている。

 Magazine方式:知識を詰め込んでいく
  その法則を研究するのが教育学

・1980年代後半に、人間観、学習観の転換が起こった。

・P.フレイレ 人間は知識を受け身で受け取る存在では無い。
  それまでの教育は「預金型教育」で、従属関係を作る。
  体制側に属していく個人を作る。

・人間が知識を作る主体ではという学習観。
 環境に個体が働き掛けて、知識を構成していく。

・1990年代 状況論

 個体、環境(道具、他者)との相互作用 ここへの注目が必要。


・3つの理論の共通性。新人で考えると考えやすい。

・Traditional HRDでは、学習=個の認知発達、行動変化と捉えていた

  Unit of Analysisは個

 新人がどう仕事を覚えて行くか。

 研修(Formalな学習機会)によるAcquisition:
  Management Education

 ○この前提は、伝えるべき知識は言語化できるというもの。
  「現場は違うんだよ」というのは研修では伝えられない。

  研修を通じて、現場の様子を知り「心の準備」はできるかも。

・Systemic view=脱中心化方略 3つの理論はこれ。

・‐況論 Lave & Wenger(1991)「状況に埋め込まれた学習」必読

 学習=Participation コミュニティへの参加

 組織社会化と似ている 他者、道具との関係に注目

 正統的周辺参加 周辺から中心的への移動

 熟達、コミュニティの位置、アイデンティティが同時に起こる

 ボタン付けを通して、全体像を知りつつ、
  失敗しても大丈夫な仕事をする
 
 ○「正統的」ではない「周辺参加」は多そう。
  あるいは、それを「正統的」と意味づけられていない「周辺参加」かな。

・活動理論 Engestrom

 主体(新人)→道具、他者→対象(仕事、売り上げ)

 上部構造を規定するのは、下部構造(ルール、共同体、分業)

 マルクスの考え方

 このシステムにゆらぎが起こる。要素間にコンフリクトが起こり、
  コミュニティーに変革、学習が起こる。

 Engestromの考えは、変革、学習理論。

・Actor Network Theory Callon(1988)Latour(1989)

 「科学(知識)が作られる時」

 それまで「発見、創造」は個人の資質、活動の結果と見られてきた。

 しかし、実際は「要素(Actor)間の調整、関係」で起こっている。
  要素:政治的交渉、駆け引き、資源導入、政策転換

 その際に重要になるのが「翻訳」

・3つは同じことを言っている。個ではなく、システム、関係、環境を見て行く

・伝統的HRD(Management Education)では、研修によるTransmissionを重視。

 現在は、職場学習、Workplace Learningという環境をいかに記述していくか
 に焦点。


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6月13日(水)「職場学習」

Billet, S.(2004) Workplace participatory practice : Conceptualizing workplaces as learning environments. Journal of workplace learning. Vol.16 No.6 pp312-324

https://twitter.com/nakaharajun/status/212789718650327040

・Workplace Learning ジャングル 1990年代〜2000年代から本格化

・3つの系譜

1)WL1

 米国のHRD実践者

 informal/formal、OffJT/OJT(OJD)、Training & Development

 Formal,OffJTの効果検証(HiltonIII、Cramwellなど)

 職場要因があるのではないか。

 前述した二分法をやめよう。Dualismの否定。Integration統合

 Learning Environment=WL1

2)WL2 

 学習論 Embeddedness埋め込み性

 参加=学習 関係づくり、関係づけ

 コミュニティーを移動していくためのアクセシビリティー(接近可能性)
 このアクセシビリティーを上げていくのが、学習環境のデザイン。

3)WL3

 Subset(下位) of Organizational Learning

 組織学習 組織が学習 知識の属人性へのアンチテーゼ

 知識生産、獲得→共有→制度化(例:マニュアル)→学習棄却

 会社 organizational レベル>グループ Workplace=Tribeレベル


2.発表 グループ討議 クラス共有

・J.ホルト 最良の学習共同体は、いわゆる学習共同体ではなかった

 最良の学習共同体≠“学習”共同体
 
 例)戦争の為の共同体(潜水艦)で最も学んだ
 
 学習といわない学習

・利益を生み出す共同体=企業 

・職場学習はパワフルだけど、やばさもある

https://twitter.com/nakaharajun/status/212793662638268416

1)より大きな社会、会社状況に影響を受ける
   (儲かっているか、いないかで教育が決まるとか)

2)皆に同じ教育がしづらい 学校とちがって

3)Controllabilityの低さ、結果の予測可能性の低さ

4)職場の長であるマネジャー落ちしやすい


・職場学習というのは、昔のゆりもどしでもある

 ギルド(属性主義)→近代学校→職場学習


・Input → Learning → Performance
     
 Learningが説明できるのは、5~10%ぐらいかも

・「学習」「学び」という言葉は、現場の人達には「よわっちく」映るかも

 「You are Learner」と言われた現場の人は
 「No I don't think I am a learner. I am a worker.」と答える。

 Learnerという言葉には、未熟さ、半人前というイメージもある。

・HRD系Tribeと、現場系Tribeは、言葉が違う。翻訳しないと。

・年上の部下、外国人、非正規社員に関する研究はほとんどない。
  次の学問のネタかも。

・現在のHRD研究は、大企業、正社員対象。

・長期雇用が前提。

  職場学習は、統制可能性が低く、予測可能性も低いとしたら、
   学習は偶然起こるものと考えざるを得ない。

  そうなると、長期間、その場にいてもらうことが必要になる。

・OJTも同じ
 
 1)長期間 2)非対称な関係(上下) 
 3)接点(コンタクトポイント)がある 4)模倣威光(あこがれ)

 この4つがそろわないと、OJTは回らない。

○ここ面白いなー。
 
 加登の議論「OJTはトレーニーが自主的に学ぶ仕組み」と通じる。
 「模倣威光」が減った為、学び手側の意欲が下がったとも考えられる。


・労使関係論(職場のミクロなコミュニケーションを分析)

  → 伝統的HRM論 会社の人事施策⇒アウトプット(経営学)

   → 現在のHRM論 間をつなぐ職場に注目(教育学)

・これから企業に入る新人さんは、知らない方がよい領域が、
  経営学習論なのかも。

 (例:最初の上司の影響が、13年後の給料にも反映)

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