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2012年09月13日

大学院 夏合宿 2012 「源流を探る」

2012年9月10日(月)〜12日(水)東大大学院 
中原研の夏合宿に参加しました。

今年のテーマは「源流を探る」です。

私は「組織」の源流を探るというテーマにしました。

組織論の源流として、C.バーナードの定義を主軸に、
バーナード以前として、テーラー、ファヨール、ウェーバー、メイヨーを。
バーナード以降として、サイモン、マーチ、ワイクの論を取り上げました。

(関根のレジュメ ↓
 PDFファイルを開く )

議論で印象に残ったキーワードをメモしておきます。

===

●異文化

・近代以前に話を持っていく

●学び

・個人 ⇔ 環境 
  相互作用

・空気、雰囲気の変化

・普及と評価

・「学び」以外の言葉 例)知識創造 
 己のテリトリーを作る

●キャリア

・キャリアは、希望というよりも「不安」「怖いもの」

・社会属性に応じたキャリア論が必要かも。差が大きくなってきた。

●大学

・ふわふわ、迷う場 NPO迷い場とか

●教室

・空間管理 使いやすい 自由さ

・平日空いている無駄なスペースを使う 例)おしゃれなカフェ
  空間はこれから余る

●政策

・バジェットが切れた後の研究者の現場への関わり方

●教師

・いじめが深刻化するプロセスに、教師個人では対応しきれない

・昔より外から学校に人が入ってきている。
  招かれざる人ほど、学校に入りたがる。

●書く

・読書感想文が諸悪の根源 書くことが嫌いになってしまう

・宛先性 誰に向けて書くのか

●人事

・外注できないのは「配置」組織の中を知っていないと

・人事は、労働法に縛られる ドメスティックな仕事

●ゲーム

・「ゲームを通して学ぶ」「ゲームを与えて学ぶ」の違い

●5年後

・おわこん(終わったコンテンツ)

・ベンチャー研究者で行くなら
 1)ピボットターン理論 2)自分を知らせる Storyful text
 3)出会いを作る 4中程度のメディア 5)プラットフォーム

・5年後に、主概念は残るのか・・・
  新卒一括採用、組織社会化、

・今後
  高等教育との連携、老年×学習、非正規雇用(労働経済×学習)

・新結合 例)アート×経営

・研究とは贅沢な行為 社会にお返しする姿勢が必要

===

皆さん、どうもありがとうございました。

(快く送り出してくれる専務、いつもありがとうございます)

2012年09月10日

青学 集中講義「海外勤務研究」

2012年9月9日(日)午前9時〜午後4時

中原先生の青学での集中講義「海外勤務研究」に参加しました。

論文メモと授業の様子を、さし障りのない範囲で共有します。

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Black, J. S. and Mendenhall, M. and Oddou, G.(1991) Toward a
comprehensive model of international adjustment : An
integration of multiple theoretical perspectives. Academy of
management review Vol.16 No.2 pp291-317

・国内での組織社会化研究と、海外での適応研究をレビューし、
 それらを統合したフレームワークを提示。
 (「経営学習論」p218参照)

・予期的適応→赴任先での適応

・制度的社会化戦術は、低い役割革新に、
 個人的社会化戦術は、高い役割革新につながるのではと予想。

===

Black, J. S. and Mendenhall, M. and Oddou, G.(1990) Cross-
cultural training effectiveness a review and a theoretical
framework of rthe future research. Academy of management
review. Vol.15 No.1 pp113-136

・実証研究をレビューし、異文化研修の有効性を主張。

・異文化研修の理論的枠組みとして、バンデューラの
 「社会的学習理論(SLT)を提示。

 Attention→Retention→Reproduction

・SLTを教育の組み立て方として提示。

===

Takeuchi, R., Shay, J. P. and Li, P.(2008) When does dicision
autonomy increase expatriate managers adjustment. Academy of
management Journal Vol.51 No.1 pp45-60

・現地での自治の程度が、適応に正の効果がある。
  本社からの統合プレッシャーと、本社の海外派遣経験が、
  その効果に影響を及ぼす。

===

Spreitzer, G. M. et al (1997) Early identification of
international executive potential. Journal of applied
psychology. Vol.82 No.1 p6-29

・経験から学ぶ能力が、海外勤務者には重要。

・「Prospector」という尺度を開発。

===

Caliguri, P, M. (2000) Selecting expatriates for personality
characteristics : a moderating effect of personality between
host national contact and cross-cultural adjustment. Management
International Review. Vol.40 No.1 pp61-80

・Openness と Sociability 

===

Stahl, G. K. and Caliguri, P.(2005) The effectiveness of
expatriate coping strategies : the moderating role of cultural
distance, position level and time on the international
assignment. Journal of applied psychology. Vol.90 No.4 pp603-615

・文化距離が離れている(ドイツ→日本)場合、「問題焦点型
 コーピング」を使うことが、適応により強い効果を示す。

・自分が経験してきたコーピング対策があるのでは。
 (こういうときは、こう対処する)

・看護士は、患者の死に対して、コーピング対策をとっているのかも
  しれないが、それを言語化するのは難しい。

 どうやって学んできたのかも言語化が難しい。

・日本人は、問題焦点型よりも、
  情動型コーピング対策を多く使うのでは。

・コーピング対策の多くは、行動レベル
 本人の内面での「意味づけ」レベルのコーピング対策は見えない

・日本での滞在期間が長ければ、外国人マネジャーも、
  情動型コーピングを用いそう

・文化的に全く違う環境だと、最初からあきらめがついて、
  コーピング対策をとるのかも。変に似ている環境だと
 「これくらい分かるだろう」という甘えが発生するのかも。

===

Schneider, S. C. and Asakawa, K.(1995) American and Japanese
expatriate adjustment : a psychoanalytic perspective. Human
Relations Vol.48 No.1 pp1109-1127

Nicholson, N. and Imaizumi, A. (1993) The adjustment of
Japanese expatriates managers in Britain. British Journal of
Management. Vol.4 pp119-134

・精神分析における人格形成の課題を、
 駐在員の適応に当てはめて説明。

・依存と自律で説明できるのでは。

・日本人は適応が上手い民族なので、注目されていた 1980年〜

・アメリカ人マネジャーが、日本に来て上手くいかない
 変えようとするが上手くいかない

・東浩「アメリカと日本の育児」
  アメリカ:教え込み型 日本:しみこみ型
 
 日本の母親がやってきた「しみこみ型」の育児こそ、
 「The OJT」の原点なのでは。

・しみこみ型なので、自分が学んできたことを、言語化して
  教えるのが難しいのかも。

・日本人マネジャーは、適応度は高いが、幸福感が低い。

・適応を、時間に応じて変化するプロセスと捉える。

===

Yamazaki, T. and Kayes, C(2007) Expatriate learning :
exploring how Japanese managers in the United states.
International Journal of Human Resource Management. Vol.18 No.8
pp1373-1395

・日本で、「概念化」「省察」学習モードだったマネジャーが、
 アメリカに来て「具体的経験」「試行」モードに変わる。

・何故、変わったか。周りがそうだから

・アメリカ人マネジャーが、日本の状況を学ぼうとしない事例

  3年の赴任期間の最初1年で「部下が言うことを聞かない」
  「自分のキャリアに傷がつく」とアメリカに戻ってしまう

・日本人だから上手くいったのでは

・1980年代 アメリカが自信を失っていた時代

===

Yamazaki, Y. and Kayes, D. C.(2004) An experiential approach
to cross cultural learning : A review and integration of
success factors in expatriate adaptation. Academy of management
learning education. Vol.3 No.4 pp354-79

・海外勤務は強烈な経験 経験学習が関係するのは、
  ある意味、自明。

・組織開発で有名なケースウェスタンリザーブ大学 Kolbもいた?

・批判理論:自分の立ち位置を疑う Assumption(前提)を疑う 

 例)批判教育学、批判経営学

・批判的内省 と 普通の内省 の違い

  普通:例)仕事の改善 批判的:そもそも・・・

===

●中原先生

・揺れ続ける振り子 研究法

 〜1990年 量 (客観的・主観的×)

 1990〜2000年 質 エスノグラフィー、エスのメソッド

 2000年〜 混合研究法 Mixed approach 
       混合のさせ方が大事

・Storyfulな実証研究を目指している

 量:Computation(確率論的計算)A×B(相関)A→B(因果)

 質:Story  

 Primary One shot:量
 Secondary 深堀:質

・量 例)上司内省志向×上司業務支援→能力向上
      という命題があっても、だから何?

 それに答えられるよう、
 リアルなフィールドでのInterpretation

・解釈するためのナレッジベースを、週2〜3回のインタビュー
 を通して得ている


●ディスカッション

・選抜基準をどう作るか 
 「うちの社員は海外に行ってすぐ戻ってくる。これを防止したい」

・先行研究、インタビュー、経験者の報告書からヒントを探る
  異動時の周囲の評価、

・実務家の多くは、先行研究の読み込みまではしない。

・調査をする場合

 1)概念定義 例)適応とは何か?不適応とは?
          それが分かれば対象者を選べる

 2)既存データの活用 
   −Demographic要因(学歴、業務経験、家族構成等
   −個人特性(採用時のデータ、SPI等)
  
 3)適応、不適応のプロセス把握(予測できる可能性)

・能力 2軸:自己/他者評価  絶対/相対評価


●まとめ

・今後の「経営学習」の方向性

1)ダイナミックな変化への対応

  −移動(Mobility)個人
  −動態的組織(境界があいまいになってくる)
  −多層性(一つの組織だけでは生計が立てられない)

2)Interaction analysis

 今まで:個人特性A → 個人特性Y
 今後: A × B → Y (2要因〜)
 
     階層線形モデル 組織×個人→個人特性Y

 どういう個人が、どういう組織にいるのかで変わる。

3)実践性のある研究

 場を作りながら、現場に関わっていきながらの研究
 Action research 

 教育実践の世界では当たり前の光景 経営学では少ないのでは

・新結合 例)経営×芸術 

・リアル書店では、分野外の書棚を見る そこでの流行りが、
  自身の専門ではまだ無いとすれば、そこが穴かも。


●ふり返り

・自分の研究に役立ったところ:

  海外勤務研究の知見を、組織社会化研究に活かせそう

・今後の研究

  社会化される個人、適応する個人に関する研究だけでなく、
  組織を社会化する、革新を起こすような個人に関する研究
  (組織個人化)

・新しい風を期待されての中途採用 
  受入側は、ローカルルールを覚えて早く即戦力になってほしい
  そのギャップ

・Feldman(1985)相互作用 実証研究はほとんど見当たらない
  新人が入ることで、受入側にどのような影響が起こるのか
  実証すると面白いかも

===

今回も刺激的でした。参加者メンバーにも恵まれ、楽しかったです!

どうもありがとうございました。

2012年09月03日

The Oxford Handbook of Organizational Socialization 2012

The Oxford Handbook of Organizational Socialization 2012
オックスフォード ハンドブック 「組織社会化」

○組織社会化の主要な研究テーマを網羅。
 よくまとまっていて分かりやすいレビュー論文集。

(・引用 ○関根の独り言)

===

Ch.1 Facilitating Organizational Socialization:
An Introduction

・組織社会化を、個人が新しい仕事役割に適応するために
 必要は、知識、スキル、態度、行動を獲得する過程と定義

・ASTDやSHRMなどの実践家の団体で、Onboarding という
 組織社会化と似た概念が取り上げられ始めている

・Onboardingオンボーディング(新人を組織に乗り込ませる)
 はより狭い概念で、組織による特定の実践をさす。
 組織社会化はより広い概念である。

===

Ch.2 From Past to Present and Into the Future:
A Hitchhiker's Guide to the Socialization Literature

・個人が組織での役割を果たす為に必要な社会的知識、技術を
 獲得するプロセス
 (Van Maanen & Schein, 1979, p.211)が最もよく使われる定義

・社会化は、個人がキャリアにおいて境界を越える際
 全てに起こる

・いつ社会化が始まるのか。社会化ステージモデルでは、
 「予期的社会化」という概念も提唱されている。

 いつ社会化が終わるのかも分かりにくい。

・制度的社会化戦術は、多くの肯定的な結果に関連しており、
 個人的社会化戦術は、役割革新に関連している
 (Allen & Mayer,1990a; Baker,1995)

・社会化研究に重要な理論として3つ。

 1)不確実性減少とコントロール欲求
 2)個人-環境フィット理論
 3)社会的アイデンティティ(同一化)理論

・社会化は「Learning the ropes」と言われるよう、
 学習課題、認知課題と捉えられてきた。

・社会化ステージモデル
  予期、直面、適応、安定

・組織社会化の研究者は、職業的社会化研究のエスノグラフィー
 から多くのヒントを得るであろう

・Van Maanen & Scheinの焦点は、
 1970年代は「プロセス」に、1980年代は「コンテンツ」に。

・Top 10 socialization Reads

○5つは読んでた。まだ半分。残りも読もう。

===

Ch.3 Getting Newcomers on Board: A Review of Socialization
Practices and Introduction to Socialization Resource Theory

・Van Maanen & Schein(1979)が表現したように、社会化は
 特定の組織役割を学ぶ過程である(「Learn the ropes」)

・組織によって提供される出来事と活動が、本章の焦点である。

・Socializatio Practices(社会化実践)5つ:
 1)Orientation オリエンテーションプログラム
 2)Training(研修)プログラム
 3)Socialization Tactics 社会化戦術
 4)Job characteristics 仕事の特徴
 5)Socialization Agents 社会化エージェント

○各分野の先行研究をレビューし、総括を加えている。
 分かりやすい。

・Wanous & Reichers(2000)は、オリエンテーションプログラム
 として「ROPES」を提唱。

・Van Maanen & Schein(1979)の6つの戦術次元
 1)Collective 集団的 − Individual 個人的
 2)Formal 公式的 − Informal 非公式的
 3)Sequential 連続的 − Random 非連続的
 4)Fixed 固定的 − Variable 可変的
 5)Serial 継続的 − Disjunctive 断続的
 6)Investiture 付加的 − Divestiture 剥奪的

・Jones(1986)は、2つのまとまりに集約:
 1)Institutionalized 制度的
 2)Individualized 個人的

・Jones(1986)は、更に3つの要素に集約:
 1)Social社会的
 2)Context文脈的
 3)Content内容的

・Van Maanen & Schein(1979)と違い、Jones(1986)は、
 fixed と Investiture 戦術が、役割維持反応を
 Variable と Divestiture 戦術が、役割革新反応に
 つながると考えた。

 そのため、Jonesが提示した枠組みは、上記2次元において
 Van Maanen & Scheinとは反対になっている。

○そう!ここが前から疑問だった。かすかなズレがある。

・最近のメタ分析でも、制度的社会化戦術はいくつかの変数に
 影響がある。

・Rollag et al.(2005)は、新人が他の職場メンバーと
 関わりを持たざるを得なくなるような
 「Network Assignments」を出すことで、新人がより早く
 職場メンバーと関係を構築できることを発見した。

・社会化エージェントが果たす役割に関する研究は少ない。
 彼らが実際に何をしているのか、何をすべきなのかが
 分かっていない状況にある。

 現時点で分かっていることは、社会化エージェントは、
 新人の学習を促進するような情報を提供していることと、
 彼らは新人のストレスを軽減し肯定的な職務姿勢につながる
 重要な支援の源であるということである。

・社会化エージェントの研究は上司と職場メンバーに焦点が
 あてられ、その他の可能性あるエージェントについては
 ほとんど光が当てられていない。
 (例:他部署のメンバー、部下、顧客、クライアント等)

・Socialization Resource Theory(SRT)社会化資源理論は、
 組織社会化とオンボーディングに対するアプローチとして、
 新人が仕事、役割、職場集団、組織に成功裏に適応するために
 必要な資源に焦点をあてたものである。

 17次元に整理されている。

○新人への質問項目がついているのが参考になる。
 自社の組織社会化施策(実践)状況について尋ねる項目。

○中原先生の授業でのコメント:
 Social Resource Theoryが、Theoryであるなら、17項目の関係を
 説明する必要がある。

===

Ch.4 Newcomer Proactive Behavior:
Can There Be Too Much of a Good Thing?

・新人の能動性は、3つのカテゴリーに分けられる:
 1)Change Role or Environment 役割や環境を変える
    例:仕事のやり方をかえる、仕事の再定義、実験する
 2)Change Self 自身を変える
    例:直接質問、情報探索、フィードバック探索、間接質問、観察、ロールモデル作り
 3)Mutual Development 双方の発展
    例:上司との関係構築、資源交換、人脈構築

・能動性は、革新、リーダーシップ、仕事習熟、キャリア成功等につながる。

・他での勤務経験や年齢が上の新人ほど、上手に能動性を発揮している。

・能動性には、リスクもある。
 
 あまりに質問や情報探索しすぎることで、「ずうずうしさ」や「あせりすぎ」と 
 いった感情を周囲に持たせる可能性あり。

 上司と部下間の境界があいまいになるリスクもある。

・能動的に動くことでのコストが高いと新人が感じると、新人は
 間接質問や観察等の手段を使う。

・組織が制度的社会化戦術を使うことで、新人が能動性を発揮せずとも
 必要な情報を得られる場合もある。

===

Ch.5 Getting the Right Connections? The Consequences and
Antecedents of Social Networks in Newcomer Socialization

・新人の人的ネットワークは、新人が意味形成を行うために
 必要な情報と観察対象として重要な資源である。

・新人は、スポンサーシップあるいは「ソーシャルキャピタル
 を借りる」(例:Burt,1998)ことで、彼らの人的ネット
 ワークを更に広げることができる。

・新人のスポンサーシップとネットワーク発達に関する研究は
 皆無である(Sparrowe & Liden, 1997参照)

・上司が人的ネットワーク内で、新人に正統的に「ソーシャル
 キャピタルを貸せる」ポジションにあることが、スポンサー
 シップを発揮するためには必要である
 (Sparrowe & Liden,2005)。

○面白いなー。
 自分が組織内で構築してきた人脈を、新人に分け与える。

===

Ch.6 Organizational Socialization Outcomes:
Now and Into the Future

・これまでの研究で、戦術と社会化の関係については明らかに
 されてきた。
 
 しかし、新人が仕事に適応することを手助けするために、
 組織が活用する実際のプログラムとメカニズムについては
 まだあまり明らかになっていない。

・まずは社会化に成功することが、新人がチェンジエージェント
 として組織の変革を担うための必要条件であると言える。
 
 新人が変化を促す役割に関する研究は少ない。

○組織社会化の結果(近位、遠位)を測る指標を提示。

===

Ch.7 The Odd One Out:
How Newcomers Who are Different Become Adjusted

・新人のダイバーシティ(多様性)は3種類ある:
 1)Separation 分離(ポジションや意見の違い)
 2)Variety 多様さ(知識や経験の違い)
 3)Disparity 相違(社会的地位の違い?)

○Variety diversityが、様々な社会化プロセスにおいて
 高い価値を示す?

・社会化研究においては「Social acceptance社会的受容」が、
 新人の適応において最も重要なOutocomes結果であるとされて
 きた。

 他メンバーと「違う」個人は、低い社会的受容を経験すること
 が多い。

===

Ch.8 Content and Development of Newcomer Person-Organization

Fit: An Agenda for Future Research

・POフィットは、個人と組織の文化の調和/一致あるいは、
 個人と組織の価値の合致に関する概念である。

・新人は入社後「ハネムーン」期間を経て
 「Hangover二日酔い?」(例:職務満足の低下)に至る。

・入社後の3〜6カ月間が、新人の適応において重要である
 (例:Bauer & Green,1994他)

 この期間の後、新人の知覚には主だった入社後の変化が
 みられなくなる(Lance, Vandenberg, & Self, 2000)

・メンターと過ごした新人が最もPOフィットに変化が見られた。
 新人の価値は、メンターに近いものとなったのである。

・制度的(5つ)社会化戦術と剥奪的戦術(6つ目)は、新人の
 価値に変化を起こす可能性があり、
 個人的(5つ)社会化戦術と付与的戦術(6つ目)は、新人の
 直接の組織環境に変化あるいは、新人の環境の見方に変化を
 起こす可能性がある

○ここちょっと分からない。
 この文献でも、6次元目の扱いは別物になっている。

===

Ch.9 The Role of Time in Socialization Dynamics

・Ashforth(2012)は、近位の新人適応を「役割の明確化」
 「課題習熟」「社会的統合」そして「役割革新」と定義。

○4つ目は異質だよなー。めったに起こらないのでは。

・Event time(出来事時間)には、「驚き」(Louis,1980)、
 「転換点」(Bullis & Bach,1989)、「Critical incidents」
 (Gundry,1993)のような概念が含まれる。

・Rentsch(1990)は「小さな出来事が大きなメッセージを運ぶ」 
 と表現した。

・Jones(1986)の制度的社会化、個人的社会化

○共に5つしかあげていない。6つ目には触れていない。

・制度的社会化による心理的安心感は、質問や実験をする
 社会的コストを減らすため、新人の能動性が高まるという
 研究結果が多い(例:Ashforth et al.2007b他)

・Swift socialization 迅速な社会化

===

Ch.10 This is How We Do Research Around Here:
Socializing Methodological and Measurement Issues

・重回帰分析で、代替説明をコントロールする方法も
 組織研究では良くつかわれる。

 その際は、第三の説明変数を見誤り、真の原因をつきとめ
 られないという問題を避ける必要がある。

 そのためにも先行研究を通して、可能性の高い第3の変数を
 もっておくべきだ。

・量的調査を補完する目的で、質的手法を使う。その際は、
 量的調査の結果の背後にある「理由」の説明に、質的調査
 を活用する。

○俺の修論もこれを目指そう

===

Ch.11 The Impact of Socializing Newcomers on Insiders

・新人が組織に入ってくることは、変化のチャンスとなる
 可能性がある。

・既存社員が新人の入社にどのように反応するかの研究は
 少ない(Bauer & Green,1998)

・社会化エージェントとなることで、既存社員は、自身を
 「親切で育成に積極的な組織市民」として見るようになる
 (Feldman,1994他)。

 このセルフイメージの拡大は、新人のメンタリングに
 積極的に関わっている既存社員ほど起こりやすい
 (Hallier & James, 1999他)。

・既存社員も新人に組織がどのように動いているのかを説明
 することで、自身のスキーマを再構築し、センスメーキング
 (意味形成)が促進される(Weick, 1977)。

・新人の採用、選別、社会化を通して、既存社員は外部環境を
 Scanning概観する機会を得る(Sutton & Louis,1987)。

・既存社員は、特に新人の採用過程を通して、組織の優先課題
 が何かを知ることになる。

・社会化プロセスが、Individualizedであるほど、新人は
 Proactive能動的となる。

○これは他のレビューと違う。他はInstitutionalizedが
 新人の能動性に正の効果を示すと言っている。
 Ashforth et al., 2007のモデルもそう。

・「破壊的な新人」が入ってくることによる悪影響もある。

・社会化の既存社員への影響は、社会化研究の
 次のフロンティアである。

===

Ch.12 The Perspective of Host Country Nationals in
Socializing Expatriates:
The Importance of Foreign-Local Relations

・社会化と海外勤務者の適応には共通点が多い。

・海外勤務の失敗は確かにあるし、コストも高い。
 「失敗」としては
  −アサインメントの途中で帰国
  −現地への知識転移の失敗 がある

・海外勤務研究においては、
 「Stressor-Stress-Strain」の枠組みが使われてきた。

・海外勤務者に焦点をあてた研究がほとんどで、
 Host Countory Nationals(HCN)の視点に立った研究は
 ほとんどない

・社会化研究の枠組みである「社会化戦術」→「学習」→「適応」
 のうち、「学習」という視点が、海外勤務研究にはほとんどない。

・HCNとの協働は、海外勤務者にとって重要。
 ただ、HCNにはそのためのモチベーションが働きにくい。
 海外勤務者の支援は、彼らのジョブディスクリプションにはない。

○社会化研究の「学習」の視点が、海外勤務研究には欠けている
 という指摘は面白いなー。これから読みこんでいこう。


===

Ch.13 Socializing the "Other" Organizational Newcomers
-Customers, Clients, and Guests

・世界経済は、サービス産業中心になってきている。
 サービス産業においては、新規を含む顧客との数多い
 相互作用が必要になる。

・顧客が「Partial employees部分的従業員」になることもある
 (Mills & Morris, 1986)

・自主的で、社会化された顧客に対しては、
 企業内の資源をそれほど使わずに済む(Bateson, 2002他)。

・適切な社会化は、高い顧客満足にも通じる
 (Kelley et al.,1992)。

○これ面白いなー。社会化の概念を、新規顧客の獲得、
 既存顧客の維持に適用する。確かに使えるかも。

・制度的社会化戦術は、顧客満足の向上と関係がある
 (Fonner & Timmerman, 2009)。

・「要る時は、人を。要らない時は、技術で。」
 保険会社の広告。

○直接的な接触を望まない顧客は、まずはウェブ等で
 こちらを調べてくる。

・4社の事例:ブルーナイル社、アップルストアー、
 ハーレイダビッドソン、ウィロークリーク教会

・新しい教会に行くのは、居心地が悪く、ストレスフルな経験
 となる。

○「よくわからない」「居心地が悪い」「緊張する」
 「居場所が無い」「どう振る舞えばよいか」といった
 ストレスフルな環境に入る人達を対象とする場合、
 組織社会化の概念は役立つのかも。

 Closed community 一見さんお断り、敷居の高い場所等。

 そこでの立ち居振る舞いの仕方を教えてくれる。

===

Ch.14 Are Organizations On Board with Best Practices
Onboarding?

・効果的で効率的に新人を社会化する必要性が増加してきている
 (Klein & Heuser, 2008)。
 その理由の一つとして、雇用関係の変化と従業員移動の増大が
 ある。

・Onboardingとは、組織またはそのエージェントが、新人の適応を
 促す為の全ての公式、非公式の実践、プログラム、方針をさす。

・Onboardingは、数時間から数カ月間の期間限定の活動であり、
 3つの目的を持つ 

 1)Inform 情報提供
 2)Welcome 歓迎
 3)Guide ガイド、指導?

・特定のオンボーディング実践に関する研究は少ない

・Inform-Welcome-Guide フレームワーク 
 (オンボーディング活動の一覧)

・OJTを受けることと、一定期間同僚を観察する機会を与えられる
 ことは、新人にとって有益性が高いものと受け止められる
 (Klein et al.,2010)

・新人をGuide導く4種のエージェント:人事担当、同僚、上司、
 メンター。

・研究者は、具体的なオンボーディング活動を検討していない。
 実践者は、オンボーディング活動の実証的研究をしていない。
 両者のギャップを埋めていくことが必要。

===

Ch.15 The Development of a Comprehensive Onboarding Program
at a Big Ten Research University

===

Ch.16 Socializing Leadership Talent: Ensuring Successful
Transitions into Senior Management Roles

===

Ch.17 Socializing Socialization: Everything is Connected
-Especially Recruiting, Hiring, and Accelerating Talent

===

Ch.18 Developing Organizational Cultural Competence through
Montoring: Onboarding the Menttium Way

・Menttium社における一対一とグループメンタリングの事例

・営業のグループメンタリングにおいて、メンティーと近い立場の
 営業経験2年未満の者がメンターとなる。

・メンティーの進捗状況を確認するための調査とチェックポイント
 質問紙がある。

===

Ch.19 Moving Forward: Next Step for Advancing the Research
and Practice of Employee Socialization

・新人適応の先行要因として3つの変数が主に研究されてきた
 1)組織の戦術、実践
 2)新人の特徴と行動
 3)同僚と部下の役割

・既存社員が新人を社会化する際の時間と労力についても
 将来の研究は見て行くべきである。

・社会化の根底を流れるメカニズムはまだよくわかっていない。

===

○大分での夏休み中に、頑張って読んで良かった!
 組織社会化の過去の研究群と今後の研究の方向性を一望できる。

2012年09月02日

青学 集中講義「組織社会化論」


2012年9月2日(日)13時30分〜15時30分

青山学院大学大学院で開催された中原先生の集中講義
「組織行動論」に参加してきました。

http://www.nakahara-lab.net/blog/2012/06/post_1859.html

私は「組織社会化論」の下記文献を担当し、発表しました。


・Louis, M. R.(1980) Surprise and sense making : what newcomers
experience in entering unfamiliar organizational settings.
Administrative science quarterly. Vol.25 No.2 pp227-251

・Gundry L. and Rousseau, D.(1994) Critical Incidents in
communicating calture to newcomers. The meaning is the message.
Human relations. Vol.47 No.9 pp1063-1088

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ついでに、この夏休みに読んだ
オックスフォード ハンドブック 「組織社会化」
The Oxford Handbook of Organizational Socialization 2012

http://learn-well.com/blogsekine/2012/09/the_oxford_handbook_of_organiz.html

のポイントをいくつか紹介しました。


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●中原先生

【組織社会化研究のパラダイム】

・組織社会化研究のパラダイム
 
 質問紙調査が多い 

 独立変数(例:介入、行動)→従属変数(例:コミットメント)

 スナップショット(一回)から、プロセスを見る
 客観的から、主観的意味に着目する

・この2つの論文は、質的調査を含んでいる。

【シンボリック相互作用論】

・「出来事」「驚き」があって、解釈する。
 センスメイキング(納得、腹落ち)できれば良し。

 センスメイキング(納得)できない人や時もある。

・解釈主義では「解釈こそ全て」と考える。主観的視点。

・Symbolic Interactionism(象徴的相互作用論)は、
 社会学の一派。ミード、ブルーマーが代表的研究者。

 1)人間はシンボル(言語)を使う
 2)人間は意味を形成していく
 3)意味が行動を形成する
 4)行動が意味を形成する

・シンボリック相互作用論は、それまでの社会学の主流であった
 「規範的、機能的主義」(デュルケーム)への批判から出た。

 社会が人間をコントロールする、社会が人を作る。

・シンボリック論では、人間が社会を再解釈すると考えた。

・このシンボリック相互作用論を、組織社会化研究に持ち込んだ
 ことが、この2つの論文の新しさ。

 一時点での現象をバスっと切って見ても仕方が無い。
 人間がどのように出来事を解釈するかを見ないと。
 それが2つの論文のメッセージでは。

・主観的というのは、客観主義の学問の世界では異端。

【ワイクの組織化論】

・組織論には2つ:実存と解釈アプローチ。

・実存アプローチでは、組織図、役割、関係、目的を重視。
 例)バーナードの組織定義

・解釈アプローチ ワイクの組織化論

 「固まった組織はない、組織化 Organizingはある」

 作り上げていくプロセス。

 組織メンバー同士で「うちの会社ってさ〜 ●●だよね」と語る
 コミュニケーションによって作られている。

 キーワードは、相互作用と境界(内と外)

 「〜さんは、ちがうよね」「うちっぽくないよね」

・境界はどこにあるのか、2人の関係性の中にある


●ディスカッション

・新卒には手厚いが、転職者や異動者には
 Onboardingのようなものはない

・チーム志向でなく、管理志向だからこそ成長できる場合もある。

 コンサルティング会社でほったらかし だからこそ育った。
 30人入って、3人しか残らないような厳しい環境

・そのような「経験」(修羅場、苦難)からの学習を
 「経験学習理論」ではとりあげている

・組織社会化がますます必要になる。

 現代社会が「流動化」「液状化」「多様化」していく中で、
 組織は、従業員を「社会化する力」を持つ必要がある。

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貴重な機会を下さった中原先生、参加者の皆さん、
ありがとうございました。

https://twitter.com/nakaharajun/status/242386561558257664


次回は、9月9日(日)の「海外勤務」の文献共有時にお邪魔します。

(日曜日なのに心よく送り出してくれた奥さん、
 いつもありがとうございます。)