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2013年08月31日

「組織社会化研究の概要とAOM2013参加報告」

2013年8月31日(土)10時〜12時 @ 青学HIC


青学HIC M1のIさんからのお誘いで

「組織社会化研究の概要とAOM2013参加報告」という勉強会を

担当させて頂きました。


参加者は、青学の院生の方々中心で、皆社会人です。

===

1.「組織社会化」研究の概要


入山先生の本(2012)が、経営学の全体像を、
とてもわかりやすく示しています。

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「組織社会化」は、経営学の中では主に「ミクロ分野」に位置する
「OB:組織行動論」の中で取り上げられます。


経営学と教育学を架橋しようとしている東大の中原先生の著書
『経営学習論』(2012)の中で、「組織社会化」は、教育機関から
組織に入る過程として位置付けられています。

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もちろん、一つの組織から、別の組織へと「再参入」する中途採用者に対する
「組織再社会化」という研究もあるのですが、それでも大部分の
「組織社会化」研究は、いわゆる新入社員を対象にしたものです。
(Ashforth, Sluss & Harrison 2007)

上記を述べたAshforthらは、最新のレビュー論文(Ashforth, Myers & Sluss 2012)で
組織社会化研究における主要な5つの領域を示しています。

1)社会化段階モデル
2)社会化戦術
3)新人の能動性
4)社会化内容(新人の学習)
5)新人適応

私の修論「新卒社員の組織社会化を促す社会化エージェントの役割分担」と
いう研究は、「社会化戦術」を行う「社会化エージェント」に関する研究に
位置づけられます。

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勉強会では、社会化エージェントに関する先行研究を概説した上で、
私の修論の研究内容を紹介しました。

こちらは現在、投稿論文化をはかっていますので、時期を見て、
ブログ等でも共有します。


最後に、私の目から見た「組織社会化研究のトレンド:最近の傾向」として

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といった話をしました。

Local socializationについては、

Ashforth, Sluss & Harrison (2007)
Socialization in organizational context の中で触れられています。

(レジュメはこちらのブログから↓)
http://learn-well.com/blogsekine/2012/04/2012.html

Co-workersに着目した研究は、最新(2013年8月)の
Academy of Management Journal でも、2つの論文がそれに関するものでした。

Onboarding(オンボーディング:新人を船に乗せる)に関しては、
The Oxford Handbook of Organizational Socialization 2012 
の中で、実践事例ということで複数が紹介されています。

http://learn-well.com/blogsekine/2012/09/the_oxford_handbook_of_organiz.html

===

2.意見交換

参加者の方々からは、多くの質問やコメント等を頂きました。

・リニアの関係だけではなく、面や場でも捉えられないか。
・不良青年の社会化においては、ピア(仲間)の影響が大きい
・矛盾するやり方、考え方を知ることも、新人にとっては重要
・中途採用者が少ない会社では、同期という存在がいない

・外資系ではジョブディスクリプションが厳密な所とそうでない所がある。
 厳密な会社では「グレーゾーン」や「ニッチ」はやらない人もいる。
・アメリカの企業は、ショートタームで考える。

後半の話から、AOM2013参加報告につなげてお話しをしました。

===

3.「AOM2013」参加報告

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今回のAOMでは、厳密なジョブディスクリプションの範囲外である、
「Extra role behaviors役割外行動」として「OCB組織市民行動」に関する
研究が多かったような気がします、と。

(AOM2013参加ふり返り)↓
http://learn-well.com/blogsekine/2013/08/aom.html

===

終わった後は、青学キャンパスそばのイタリアンレストランで、
昼食をご馳走になりました。

貴重な休日にご参加下さった皆さん、そしてお声掛けくださったIさん
ありがとうございました。


2013年08月25日

『世界の経営学者はいま何を考えているのか』

『世界の経営学者はいま何を考えているのか:
  知られざるビジネス世界のフロンティア』

 入山 章栄(著)  2012年

○第一線研究者が最新の学術知見を、分かりやすく提供。
 こういう本は、ほんと数少ないと思う。

(・要約 ○関根の独り言)

===

・世界の経営学者の間で議論されている「経営学の知」が、日本では
 あまり知られていない。

・AOM2012への、日本からの参加者は41人にすぎなかった。

●これが世界の経営学

・科学とは「世の中の真理を探究すること」

・ドラッカーの言葉は、名言ではあっても、科学ではない。

・HBRは、経営学者と実践者の接点の場。学術誌ではない。

・アメリカのビジネススクールの経営学者にとって、教育(ティーチング)は
 研究と比べればさほど重要ではない。

・経営学とは、人間の意思決定を分析する学問。
 人間が何をどう考えるかを分析する学問にほかならない。

・理論分析とは「なぜそうなるのか」という原理を理論的に説明すること。
 実証分析とは「仮説が一般的にあてはまるのか」をテストすること。

・欧米型の経営学のアプローチは、演繹的。
 理論的仮説を立てて、統計的な手法で検証する。

 日本型のアプローチは、帰納的。
 事例分析で得られた定性的情報から、経営の法則や含意を引き出す。

・経営学(Management)の研究領域:
 
 マクロ分野:経営戦略論、マクロ組織論、横断領域
 ミクロ分野:組織行動論

・経営学の三大流派:
 1)経済学ディシプリン:人は合理的な選択をするもの ポーター
 2)認知心理学ディシプリン:それほどの処理能力はない サイモン
 3)社会学ディシプリン:仮定をおかない 

●世界の経営学の知のフロンティア

・企業の究極の目的とは何か?競争戦略論では「持続的な競争優位」を
 獲得することであるとする。

・SCP:Structure(構造)Conduct(遂行)Performance(業績)パラダイム
 一言で表せば「ポジショニング」

・SCPのポイントは「どうやって競合他社との競争を避けるか」にある

・現在の優れた企業は、長い間安定して競争優位を保っているのではなく、
 一時的な優位をくさりのようにつないで結果として長期的に高い業績を
 得ているよう(Wiggins & Timothy 2002他)

・より多く競争行動を行う企業や、長期間にわたって競争行動をしかける
 企業の方がその後の市場シェアが上昇し、総資産利益率を向上させる。

・差別化などによって業界内でユニークなポジションをとれれば、それだけ
 ライバル企業との市場の重複度が低下するので、結果として積極的な
 競争行動をとりやすくなる。

 SCPの「守りの戦略」とコンペティティブ・ダイナミクスの「攻めの競争
 行動」は、相矛盾するものではなく、むしろ両立する可能性がある。

・ラーニングカーブの研究(Reagansら2005)

・「トランザクティブ・メモリー」Who knows what

 組織の各メンバーが、他メンバーの「誰が何を知っているか」を知っておく
 ことが、組織の記憶力にとって重要。

・組織は、互いを知り合うほど「相手が何に詳しいか」という
 トランザクティブメモリーを自然に持つようになる(Wegnerら1991)

・トランザクティブメモリーが効果的に働くためには、組織のメンバー
 それぞれが専門性を深めていること(専門性)そして相手が何をしって
 いるかを正しく把握していること(正確性)が重要である(Austin 2003)

・多くの経営効果に関する分析は「内生性」や「モデレーティング効果」を
 考慮していないため、過大評価されている可能性がある。

 分析で取り上げた要因以外の要因が影響をもち、見かけ上の効果を示す
 場合もある。

・見せかけの経営効果に惑わされないためにも、自身で因果関係の図を
 描くことが有効。

・「両利き(Ambidexterity)の経営」

・ほどほどに幅広い知識をもつ企業こそが、優れたイノベーション成果をだす
 (Katila & Ahuja 2002)

・「知の探索 Exploration」「知の深化 Exploitation」

○「Exploitation 知の深化・活用」は、「今日の飯のたね」のために使う。
 「明日の飯のたね」を作るためには、「Exploration 知の探索」が必要。

・コールマン「強い結びつき」からソーシャルキャピタルが生まれる
 グラノベッター「弱い結びつき」の方が情報が効率的に伝播される

・暗黙知を得るには「強い結びつき」形式を得るには「弱い結びつき」

○一緒にいないと学べないこと、会っているからこその「強い結びつき」
 ツイッター等の「弱い結びつき」からの情報収集。

・「知の探索」のためには「弱い結びつき」
 「知の深化」のためには「強い結びつき」

・バート「Structural Holes 構造的な隙間」商売の基本中の基本。

 「構造的な隙間」に恵まれた人や組織の方がより得をする。

○学術と現場の間の「構造的な隙間」この間に立つ。
 この本もそういう位置づけ。

・ゲマワット「CAGE」
 進出先国と自国との間の4つの「距離」を測りリスク要因として分析
 1)Cultural 国民性 2)Administrative 行政上
 3)Geographic 地理的 4)Economic 所得格差

・ホフステッド指数:国民性の4つの次元
 1)Individualism 個人主義 か Collectivism 集団主義
 2)Power distance 権力の不平等の受入
 3)Uncertainty avoidance 不確実性を避ける傾向
 4)Masculinity 「男らしさ」の特徴

・コグート・シン指数では、日本はポーランドやイタリアと国民性が近い。

・自分の所属するグループ外部の人たちを一番信用しやすいのは、実は
 個人主義であるアメリカ人(Huff & Kelley 2003)

・起業家やVCは、一定の地域に集中する傾向がある。

・知は人に根付いたもの。知識は遠くに飛ばない。

・世界の経営戦略論の研究者は「コンテンツ派」と「プランニング派」に 
 わけられる。

・不確実性が高いときは「リアルオプション」のような
 小規模、段階投資が有効

・M&Aにおいても、経営者の意思決定は、とても人間臭いもの。

・科学理論にとって重要な条件は、その命題が「反証可能」であること。

・社会科学では、理論に使われる抽象的な概念をConstructと呼ぶ。
 これらはあくまで頭の中で考える概念。

 実証研究を行う場合は、コンストラクトをこの世で体現していると考え
 られる変数 Variableをデータから作る必要がある。

●経営学に未来はあるか

・「経営学の研究って、本当に役にたつのだろうか」

○そう!これこそまさに、疑問に感じていること。

・経営学者の理論重視の傾向が、理論フレームワークの「サファリ化」という
 結果に表れている

・90%以上の理論仮説が、理論家が「言いぱなし」の状態で、本当に現実に
 即しているのか検証されなまま放っておかれている。

・経営学はあはり実学としての役割が重視されるべき。
 たとえ知的に面白くなくても、実証研究に裏付けられた「定形化された
 事実法則」を重視すべき。

・統計学は根本的に「平均」の概念に基づいた手法

「外れ値」となるような独創性こそが、その企業の競争力の理由かも
 しれない。そのときにはガウシアン統計では分析できない。

・Evidence Based Management 実証研究で確認された経営法則、つまり
 「定型化された事実法則」を企業経営の実践に応用する。

○この本すばらしい!著者もとても真摯で誠実な方だと思う。

 この方の足元にも及ばないけど、自分も特定分野(ミクロなOB論、
 その中でも「組織社会化論」)については、学術誌を読んで、
 現場に向けて情報発信していこう!

○中原先生の授業「2013年 経営学習論」でも取り上げられていて、
 読んだ文献がいくつかあった。

  http://www.nakahara-lab.net/blog/2013/03/_2013.html

○Aランク学術誌:
 「Academy of Management Review」(理論系)
 「Academy of Management Journal」(実証系)
 「Strategic Management Journal」
 「Journal of International Business Studies」
 「Journal of Management Studies」欧州
 
 Bランク:
 「Journal of Management」

 と考えていいのかな。

 AOMの学術誌は、定期購読しているから、これからも読もう!
  http://aom.org/journals/

○あと、中原先生が読んでいる海外文献のリスト(教育、HR系)
  http://www.nakahara-lab.net/blog/2010/04/post_1676.html

 これも全部は無理だけど、自分が興味ある範囲で少しずつ追っていこう。

===

『戦略サファリ:戦略マネジメント・ガイドブック』

『戦略サファリ:戦略マネジメント・ガイドブック』

ヘンリー ミンツバーグ (著), ジョセフ ランペル (著), ブルース アルストランド (著)
斎藤 嘉則 (翻訳) 1999年

○戦略論を10スクールとして提示。
  ポーターさんにはやっぱり手厳しい。

(・要約 ○関根の独り言)

===

・学問としての経営学が未成熟な日本においては、経営学、ことに戦略と
 いうと、ポーターそのものであると捉える傾向が強い。

●サファリツアーのねらいと構成

・盲目の男たちと象の寓話
 
 一部分を捉えただけで、全てを分かった気になる

・戦略の5つのP:戦略=
 Plan, Pattern, Position, Perspective, Ploy(策略)

●デザイン・スクール

・基本モデルは、アンドルーズの「SWOT分析」

・戦略策定と実行を分ける:思考と行動の分断
 
 これは教室でのケーススタディー学習には好都合。

●プランニング・スクール

・目標と戦略をわけようとする

・CEOは戦略プランを設計せず、むしろ承認を与える役割。

●ポジショニング・スクール

・戦略形成プロセスとは、分析的な計算に基づいて、包括的なポジションの
 中から、一つを選択すること。

・意味が明確な格言は、意味が明確な他の格言と矛盾する可能性がある。

・ポジショニングスクールは、まさにコンサルタントの為に仕立てられた。

・ポーターのいうような戦略の特定化は「柔軟性を損ね、組織の視野を
 狭めてしまうのではないか」とミラーは疑問を提示。

・ポジショニングスクールが伝えたかったのは、現場に出て学べ、ではなく、
 机に向かって計算しなさい、ということであった。

・ポーターは「日本企業にはほとんど戦略がない」としているが、
 ミンツバーグらは「ポーターこそ、日本企業から戦略を学ぶべき」

●アントレプレナー・スクール

・上記3つは「規範的スクール」
 ここからは「記述的スクール」

・中心となる概念は「ビジョン」リーダーの頭の中で創られ、または思い
 描かれているメンタルな戦略の表現。

・戦略的思考とは:
 前を見る、後ろを見る、上から見る、下を見る、横を見る、越して見る
 全体を通して見ること。

・ベニス曰く「それが本当にビジョンなら、忘れはしないだろう」

・戦略はリーダーの頭の中に存在する。それはパースペクティブであり、
 長期的な方向性に対する感覚であり、組織の将来像でもあるのだ。

●コグニティブ・スクール

・起業家の心の中を分析することによって戦略形成のプロセスを解明しよう
 とする

・意思決定時のバイアス:
 裏付ける証拠を探す、一貫性の欠如、保守性、新情報の優先、
 思いだしやすさ、釘つけにする、相関の幻想、選択的知覚、逆行性、
 成功と失敗の理由、楽観主義、希望的観測、不確実性の過小評価

・戦略を公にすることで、戦略の変更に対する心理的な抵抗が生まれる

・知識を系統づける心的構造(フレーム、スキーマ、コンセプト、メンタル
 モデル等の呼び名で知られる)の存在が、戦略的認知には不可欠。

●ラーニング・スクール

・創発的戦略と組織学習が主要テーマ

・ストラテジスト(戦略家)は、時の経過に従って学習する。

・問題の本質は、戦略策定と実行を分けてしまうこと、つまり思考と行動を
 切り離すことにある。

・ワイクの言うEnact(想造)は、React(反応)への対比

・知識創造企業において、特に重要なことは、暗黙知を形式知に変換する
 ことであり、そこではミドルマネジャーが重要な役割を果たす。

・ラーニングスクールは、合理的な計画性と上手くバランスをとるもの

・学習の注意:
  日常業務も効率的に行う必要性、集団志向、
  エスカレートするコミットメント、高くつく

●パワー・スクール

・パワー=影響力の行使

・組織における政治の世界:
  最も重要な意思決定は、限られた資源の配分に関わること。

・政治のベネフィットとして、相互チャネルの提供がある。

●カルチャー・スクール

・ある組織を他の組織と区別するものが「カルチャー」

・マッキンゼーの7S

・企業は、市場の不完全性から、その優位性を導き出している

・ルメルト曰く「もし2人の学者が同じアイデアをもっていれば、そのうちの
 一つは余計である」(同じことを違うラベルで言いたがる)

●エンバイロンメント・スクール

・組織では無いもの全てが「環境」

・条件適応(コンティンジェンシー)理論から派生。すべて「何か次第」

●コンフィギュレーション・スクール

・戦略はパターンであり、時間の経過に伴い一貫性がなくなり、矛盾がでる。
 つまり、それは全てに通用する総合的な戦略はないということを意味する。

・戦略だけでなく、組織構造はまた、流行にも従うのだ。

・ミンツバーグの「変革キューブ」戦略と組織、両方を変える必要性。

・全ての理論は間違いである。現実は常にもっと複雑なもの。

 しかし、マネジャーは欠点のある理論の中から選択しなければならない。

○だからこそ、ポーターさんの3つ「差別化」「コスト」「集中」は分かりやすいし、
  それこそ「選択」につながる。

 うちみたいな小企業であれば、ポーターさんで「選択」(→選択肢は「集中」)
 しておいて、動き始めたら「学習・修正」というのが現実的かも。

●新たなるパースペクティブ

・必要なのは、整然とした理論ではなく、優れた実践なのだ。

○戦略的に考えるというのは「多方向から見る」こと、というのが面白い!

===

『経営戦略 全史』

『経営戦略 全史』

 三谷 宏治 (著)  2013年

○面白くて、一気に読んだ! さすが三谷宏治さんの本。
 巨人達の架空の対話、各項のつなげ方も上手い!ぐいぐい引き込まれる。


(・要約 ○関根の独り言)

===

・経営戦略史は、60年代に始まったポジショニング派が80年代までは圧倒的で
 それ以降は、ケイパビリティ派が優勢。
 
 これは大テイラー主義とも言われる「定量的分析」と、大メイヨー主義と
 仮に名づける「人間的議論」の戦いでもあった。

・テイラー、メイヨー、フェイヨル。この3人が作り上げた「考え方」が
 経営戦略論すべてのベース。

●近代マネジメントの3つの源流

・テイラーこそが全ての源流。

・モチベーション研究、リーダーシップ研究等は、すべて人間関係論の
 そしてメイヨーの子どもたち。

・テイラーは工場を管理し、フェイヨルは企業を統治した。

・管理者による○○が生産性向上につながる
  テイラー:分析とマニュアル
  メイヨー:作業者との対話
  フェイヨル:経営・管理プロセスの遂行

●近代マネジメントの創世

・バーナードは、世界恐慌で苦しむトップたちを「経営者の役割」で鼓舞。

・ドラッカーは、「マネジメントの伝道師」

・アンゾフは「ギャップ分析」「アンゾフ・マトリックス」を提唱。
 ほとんどの戦略コンセプトは、アンゾフによってその原型が生み出された

・チャンドラーが見出したのは、経営者にとって「事業戦略」は変えやすく、
 「組織戦略」は変えにくいから、事業戦略にそって組織戦略を立案、実行
 していくのが無難ということ。 

 「組織は戦略に従う」と言いたかったわけではない。

・バウアーはマッキンゼーを作り「事業部制の導入支援」を主力商品にした。

・アンドルーズはSWOT分析を作ったが、企業戦略はアートだと考えていた。

・SWOTの機会、脅威ひとつひとつに、強みと弱みをかけあわせていく
 TOWS分析は、戦略オプション出しに使える。

・PLC理論(4ステージ)に、イノベーション普及理論(顧客の5パターン)に
 マーケティングミックスが組み合わされ、PLC戦略が生まれた。

●ポジショニング派の大発展

・経営戦略史に日本が登場したのは、J.アベグレンの「日本の経営」(1958)

・BCGの「成長・シェアマトリックス」により、経営者は部下の事業部長達と
 戦う武器をもてた。

・「負け犬」ではなく、今後成長が期待される「子犬」としておけば
 よかったかも。 低成長市場は、PLCで言う黎明期ステージかもしれない。

・ポーターは、ポジショニングを重視。「儲けられる市場」を選んで、かつ
 競合に対して「儲かる位置取り」をすること。

・状況は5力で分析できる。戦略は3パターンに類型化できる。
 ポーターこそ、大テイラー主義の権化。

●ケイパビリティ派の群雄割拠

・パスカルによると、ホンダのアメリカ進出に明示的な戦略はなく、
 失敗を重ねる中、創発的に戦略が生まれてきた。「ホンダ効果」

・ピーターズの「エクセレントカンパニー」により、企業の統計的調査と
 ストーリーを組み合わせたビジネス書というジャンルができた。

・ストークの「タイムベース戦略」:付加価値の向上(差別化)と
 コストの低下(コストリーダーシップ)は、二律背反ではなく、
 時間短縮により、同時に実現できる。

・ハマーの「リエンジニアリング」は、抜本的改革ではなく、事業スリム化、
 雇用削減の道具にされた。

・ハメルは、自社と競合を見比べて、自社のコアコンピタンスを見極め、
 それが効きそうな市場を開拓せよと主張した。

・バーニーらは、企業間でパフォーマンスに差があるのは、経営資源の使い方
 の効率に差があるからだと考えた。

●ポジショニングとケイパビリティの統合と整合

・ポジショニング重視か、ケイパビリティ重視かは「場合による」としたのが
 ミンツバーグの「コンフィギュレーション(組み合わせる)」という考え方

・BSCは、ポジショニング(顧客の視点)と
 ケイパビリティ(業務・学習の視点)をつなぎ、更にそれを財務指標にまで
 つなげようとした偉大な試み。

・ブルーオーシャン戦略:良い戦略とは敵のいない新しい市場を創り出すこと

●21世紀の経営環境と戦略諸論

・エヴァンスは、インターネットのもたらす本質的な変化は、これまで
 トレードオフの関係にあった「リーチ」と「リッチネス」の両立が可能に
 なったことであるとした。

・「情報の拡散」の大部分は「弱いつながり」がもたらしている。

・ソーシャルな課題の解決

 クリステンセンの「教育×破壊的イノベーション」
 ITの力を借りて、子供たちにあった自在なプログラムを提供しようと提唱。

●最後の答え「アダプティブ戦略」

・ワッツによると、大失敗の要因は、
 1)過去と現在を必然と考えたがる
 2)結果に目が眩む
 3)自分に甘い

・ゆえにこれらから逃れるためには、
 1)過去(成功)から学ばない
 2)結果(成功)だけで見ない
 3)自分で自分を評価しない

 「未来ではなく、現在に対応する」という戦略。

・過去に学ぶのではなく、今の智慧を集める。
 予測、推測するのではなく、実際にやってみる、が社会学からの答え。

・クリステンセンは「破壊的イノベーション」は、遠く離れた所からひそかに
 始まるとした。リーダー企業はイノベーションに乗り遅れて「担当の変更」
 が起こらないように、一見無駄な試行錯誤を小さく色々やってみるしかない

・やってみなくちゃわからない「試行錯誤型」経営が最後の答え。

・スタートアップに必要なのは「商品開発」と「顧客開発」のみ。

・ビジョンに向かって、ピボット(軌道修正)を繰り返す。

●全体俯瞰のためのB3Cフレームワーク


○ほんと面白い!
 
○ただ、うちみたいな小企業にとっては、
 やっぱり「ランチェスター戦略」が一番はまる。

 http://learn-well.com/blogsekine/2013/06/post_386.html

 実際に「今日の飯を稼ぎ、明日の飯の種を作る」ために
 何をすればよいか明確だから。

 ここで取り上げられている戦略は、考える材料としては参考になるけど
 「じゃー、うちみたいな小さい会社でどう使う」となると、難しい。
  (自分の応用力が足りないだけかもしれませんが・・・)

 「やっぱり試行錯誤が大事だよ」というのが、本当に経営学の
 最後の答えだとしたら、ちょっと悲しい。「そりゃ、そうだけど・・・」


===

『経営学の開拓者たち:その人物と思想』


『経営学の開拓者たち:その人物と思想』

喬晋建 (著) 2011年

○経営学初期の巨人たち。
 その人となりも紹介されていて、親しみを感じられるかも。


(・要約 ○関根の独り言)

===

・経営学発展の歴史における3つの波:
 1)古典派:テイラー、ファヨール「経済人」
 2)新古典派:メイヨー、マズロー、マグレガー、ハーズバーグ「社会人」
 3)近代派:バーナード、サイモン「経営人」

●テイラーの科学的管理法

・以前の管理思想は「もっと働こう how to work harder」であったが、
 テイラーは「上手に働こう how to work smarter」に重点をおいた。

・テイラーの科学的管理の本質は、労使双方の「精神革命」である。

・テイラー主義のもっとも大きな欠陥は、働く人間を機械同様に捉え、
 労働者の人間性に関する諸問題を見落としていたことである。

・テイラーの基本思想は、トヨタシステムやマクドナルドマニュアルの
 形で引き継がれている。

●ファヨールの管理論

・ファヨールは、管理的活動 administrative activitiesを、経営活動
 managerial activities の一部として組織全体の中で位置付けた。

 更には、経営 managementと管理 administrationを区別し、両者の混同を
 しないように警告した。

・ファヨールは、管理過程学派の元祖。近代管理論の真の父。

●フォードシステム

・フォードは「偉大な福祉資本主義great welfare capitalism」の実験を開始
 主要内容は3点:1)高賃金と低価格 2)大衆奉仕主義 3)顧客の創造

・フォード社で実施されていたリーン生産方式は、大野耐一によって
 トヨタでのJIT、カンバン方式、カイゼン、TQC活動、価値連鎖分析などの
 形で展開された。

●メイヨーの人間関係論

・メイヨーは、ホーソン実験において、心理学、社会学、臨床医学を経営学に
 融合させ、人間関係論の創設者となった。

・メイヨーの「面接調査実験(1928-1930)」により、企業内部の人間関係が
 改善。仕事と無関係の雑談(ガス抜き)をしただけでも仕事の能率があがる
 という思わぬ事実が発見された。

・ホーソン効果:人間としての従業員は
 1)経済的報酬だけでなく、社会的報酬をも求める
 2)合理的理由だけでなく、感情的理由にも左右される
 3)公式組織だけでなく、非公式組織にも影響される

・メイヨーは、行動科学の父とも言われている。

●マズローの欲求階層説

・マズローは、行動主義にもフロイト主義にも属さない第三勢力として
 人間主義心理学を創設した。

・マズローは、1938年の長女誕生後に行動主義からの独立を決めたと言う。
 「父親となることで、私の全人生が変わった」

●マグレガーのX理論・Y理論

・経営の問題は、人間の問題であり、人間の性質と行動に関する基本仮説は
 すべての経営決定と経営行動の前提になるとマグレガーは捉えていた。

・「統制による管理 management by control」に対して、マグレガーは、
 「目標による管理 management by objectives」を提唱した。

・多くの管理者は、性善説のY理論を信じながら、性悪説のX理論を実行する
 と心に決めているようである。

●ハーズバーグの動機づけ・衛生理論

・ハーズバーグは、フラナガンからCritical incident technique臨界事象法
 を直接に学んだ。

・Motivation-Hygiene theory M-H理論 動機付け・衛生理論

・人間状態の分類:
  動機付け要因(元気であるか否か)衛生要因(病気であるか否か)

●バーナードの組織論

・バーナードは、アメリカ管理哲学の王様と言われている。

・バーナードは、非公式組織なしに、公式組織は長続きできないと考えた。

・組織が成立するための基本要素:協働意欲、共通目的、意思伝達

・権限=コミュニケーション

●サイモンの意思決定論

・「制約された合理性」

・人間は多くの選択肢と意思決定に迫られるが、限られた情報量と処理能力
 しかもっていない。

・現実の意思決定は、主観的には最大基準であっても、
 客観的には満足基準でしかありえない。

○「経営行動科学 平成24年4月号」の書評で紹介されていたので、読んだ。

 評者曰く「バーナードとサイモンについての
 いくつかの思い切りのよい解釈を提示している」とのこと。

○大学院の夏合宿(2012年)の課題レポート「組織の源流をさぐる」の前に、
 この本を読んでいたらなー。

 でも、あれを書いた後だから、よりすっと頭に入ってきたのかも。

PDF「組織の源流を探る」を見る

===

2013年08月22日

OCB:組織市民行動に関する論文(1)

AOMに参加したことがきっかけで、OCBに関する論文をいくつか読んでいます。

(・要約 ○関根の独り言)

===

●Organizational Citizenship Behaviors: A Critical Review of the
Theoretical and Empirical Literature and Suggestions for
Future Research

P.Podsakoff et al.(2000)

 http://myweb.usf.edu/~jdorio/Organizational%20citizenship%20behaviors%20a%20critical%20review%20of%20the%20theoretical%20and%20empirical%20literature%20and%20suggestions%20for%20future%20research.pdf

○OCBのレビュー論文。似た概念との違いを整理し、OCBを発生させる要因と
 OCBによる効果についてまとめている。

・OCBと似た概念として、以下がある:
 Extra-role behavior 役割外行動
 Prosocial organizational behaviors 向社会的組織行動?
 Orgnizational spontaneity 組織自発性
 Contextual performance 文脈的パフォーマンス

・同じアイデアや概念が、違う研究者によって、違う名称にされてしまう。

・OCBの種類として、7次元がある:
 1)Helping 援助
 2)Sportsmanship スポーツマンシップ
 3)Organizational loyalty 組織忠誠心
 4)Organizational compliance 組織従順性
 5)Individual initiative 個人自発性
 6)Civic virtue 市民道徳
 7)Self-development 自己開発

・OCBの先行要因としての4つ:
 1)個人特性 2)仕事特性 3)組織特性 4)リーダー行動

・メタ分析の結果からも、リーダー行動が、OCBに大きな影響を及ぼしている

・OCBの結果として2つ:
 1)上司による部下評価に対してのOCBの効果
 2)組織パフォーマンスに対してのOCBの効果

・OCBは確かに、上司の部下評価に影響を及ぼしている。

===

●日本の職場にとっての組織市民行動

  田中堅一郎 日本労働研究雑誌 No.627 October 2012

・組織や職場には誰にも割り当てられていない職務が常に相当数存在する。

 職場で実際に行われている職務に必要な全ての活動を、フォーマルな
 組織図や分掌規定で完全に網羅することは事実上不可能である。

・OCBをしやすい従業員は、過去の研究結果から見ると、一般的に自分の仕事
 に積極的で、退職意図や欠勤率もおしなべて低い。また業績評価も高い
 傾向にある。

・Podsakoff et al(2009)のメタ分析によれば、組織市民行動と組織全体の
 業績とはかなり高い相関関係を示している。

 従業員がOCBを盛んに行うほど、組織全体の様々な業績指標が高い傾向を
 示すことは間違いない。

・そもそもOCBに相当するものの多くは、日本の職場には伝統的に根付いて
 いたと思われる。

・90年代以前の日本の職場では、組織のためによかれと自発的に働くことは
 自明のことであって「組織市民行動」などと称するまでもなかった。

・本来日本の職場に根付いていたはずの組織市民行動が、いつの間にか
 行われなくなってしまったのは何故だろう。

○成果主義の影響もあるだろうし、雇用形態の多様化の影響もあるだろう。 

 ただ、その中でも毎年入ってくる新人への周囲のOCBは比較的残っている
 と思う。

・成果主義的賃金制度の下では、明示的に報酬を受けない行動(すなわちOCB)
 に対する従業員のモチベーションを失わせかねない。

・Spitzmuller et al.(2008)によれば、OCBを規定する要因として、
 性格特性としての調和性と誠実性、職務満足感、公正感、組織コミットメント、
 ポジティブな感情がある。

・Eatough et al.(2009)によるメタ分析によれば、職務負担の過剰感が
 あったり、職務上役割葛藤が生じた時に、OCBは有意に減少する。

===

●組織市民行動を規定する集団的アイデンティティ要因と動機要因の探究
  
  潮村公弘、松岡瑞希 人文科学論集. 信州大学人文学部 編 2005年

・Niehoff(2000)は、3つの動機、達成、親和、権力を用いて、動機的側面
 から、OCBのモデルを提案している。

・OCBは一般的に美徳的な行動と考えられている。

 しかし、西田(1997)は、OCBの多くは自分自身の為に行われているという
 結果を面接調査から得ている。

・田中ら(1998)は、OCBが功利的コミットメントの影響を受けるという
 結果から、OCBが「見返り」を期待して行われるという可能性を示唆。

・西田(1997)のOCB尺度を用いた。

・職場集団において、OCBは「内因的な過程動機」「内的自己概念動機」
 によって規定されることが明らかになた。
 
・内因的な過程動機に基づく仕事や課題には恵まれていない人ほど、OCBを
 積極的に行うことを通して、自身の役割や仕事、課題の価値を見出している
 というダイナミクスが推量される。

○ちょっと悲しい結果。大した仕事をさせてもらえない人ほど、職場における
 自分の存在価値を示すために、OCBを行う。

 自身の納得感と、他者に対する印象管理の側面もあるのかも。

・大学生サークルにおいて、OCBは「内因的な過程動機」「内的自己概念動機」
 「内集団の評価」によって規定される。

・行動自体の魅力に動機づけられていない人ほど、OCBを行う。
 より高いレベルに到達したいと思っている人ほど、OCBを行う。
 自分が属しているサークルを高く評価している人ほど、OCBを行う。

・OCBとモチベーションにおいて、内因的な過程は負の、内的自己概念は正の
 有意な関係性をもっていた。

 内因的な過程動機が低い人ほど、OCBを行う。
 内的自己概念(自分の内部評価)を高めたい人ほど、OCBを行う。

===

参考:AOMでのOCBに関する話

LMXとOCB
http://learn-well.com/blogsekine/2013/08/aom_3_lmxocb.html

組織コミットメントとOCB
http://learn-well.com/blogsekine/2013/08/aom_4commitmentocb.html
 

2013年08月20日

OCB 組織市民行動

OCB 組織市民行動

D.オーガン、S.マッケンジー、P.ポザコフ著 2007年

○「OCB組織市民行動」研究の全体像がつかめる


(・要約 ○関根の独り言)

===

・(筆者は)日本的経営のスタイルが、OCBの重要性を認識し、かつOCBを
 妨げてしまうような業務慣行を回避することで、グローバルなビジネス
 環境の中で、業務の有効性を実現させることができたと信じていた。

・OCBのような貢献を喚起する従来の慣行を放棄する危険性について、
 もっと日本の研究者や管理者は考えたほうがよいのではないか。

○日本ではある程度、自然とOCBが起こる環境にあったのでは。

 アメリカでは、Job description 職務規定が明確な分、役割外行動を
 取る動機づけが働きにくかったのかも
 (役割への浸食と見られることもある)

・組織市民行動 Organizational Citizenship Behaviorの定義:

 自由裁量的で、公式的な報酬体系では直接的ないし明示的には認識されない
 ものであるが、それが集積することで組織の効率的および有効的機能を
 促進する個人的行動。

・通常よりストレスを感じる状況に置かれると、向社会的行動を減少させる
 傾向がある(Cohen 1980)

・その逆に、人間は否定的な気分にあると、誰かを助けることで、その悪い
 気分を和らげられると考えることがあり、援助の可能性が増大するという
 研究結果もある(Cialdini & Kenrick, 1976)

・他者が援助するのを見る場合、自分も援助をする傾向がある。
 (Macouley, 1970) つまり、慈善的行動は、模倣される。

・「労働者の満足」は「生産性」に影響すると言う社会的通念は、実証研究
 では立証されなかった。

 著者(Organ)は、1977年の論文(労働者の貢献をOCBとして提示)を通じて
 職務満足が職務業績に関係する重要な要因であることを、固く信じる実務家
 を、学術研究家が過度に非難すべきでないことを訴えかけたかった。

・上記で述べたように、OCBに関する考え方は「満足度-生産性」の論争から
 生まれたものである。

 職務満足は、より狭義の客観的タスク業績における生産性ではなく、より
 自由裁量的ないし自発的な労働者の貢献に影響する可能性がある。

・OCBの種類:7つ

 1)Helping 援助(他者を手助けする)
 2)Compliance 従順性(協力の精神を順守する)
 3)Sportsmanship スポーツマンシップ(例:不満や文句を言わない)
 4)Courtesy 厚意性(礼儀正しさ)
 5)Civic virtue 市民道徳(建設的な参画)
 6)Individual initiative 個人自発性
 7)Self-development 自己開発

・Barnard(1938)は、組織の本質を「協働体系 Co-operative system」として
 捉えて分析した初の文献。

 Barnardにとって、組織化とは「ボトムアップ型」の過程であり、多くの
 「自然発生型の組織」が存在し「全ての巨大な公式組織は、多くの小規模
 の組織から成り立っている」ものなのである。

 経営者の職能は「協働的活動の体系を維持する役割を果たす」もの。

・LMXとOCBの相関係数の値が、LMXと役割内行動の業績の相関係数よりも
 高いという研究結果もある(Settoonら1996)。

・実務家が「業績」を考えた場合、そこに含めるものの一部には、組織の真髄
 ともなる協力、コミットメント、相互依存性、「我々思考 We thinking」的
 な活動も含まれるのである。

・OCBは能力に制約されることがはるかに少ない。
 ほとんど誰もが何らかの援助を行える能力を備えている。

・OCBは「社会的交換 Social Exchange」(Blau,1964)の状況で生じる。

・職務満足は、社会的交換を通じて、OCBの原因となる可能性が高い。

・2つの要因間の関係に影響を及ぼす第三の要因として、mediator 媒介要因
 と、moderaor 干渉要因がある。

・OCBを行う従業員の動機づけ:
 1)従業員自身のため 
 2)他者(リーダーや同僚)のため
 3)組織自体のため

・従業員のPerceived Organizational Support組織支援知覚は、組織との互酬
 に関する彼らの義務感と欲求を増加させ、彼らの社会感情的ニーズを満たし

 彼らの社会的アイデンティティを確立し、さらに組織に対する職務満足と
 コミットメントを向上させることで、OCBに影響を与える可能性がある。

・OCBの頻度に影響するであろう要因の一つは、組織における従業員間の
 構造的、心理的、機能的な距離である。距離はOCBに負に関係する。

・OCBの知覚や表現に影響を影響すると予想できる2つの文化次元
 (Hofsted, 1984)には、個人主義-集団主義 Individualism-Collectivism
 と権力格差 Power Distance があると言える。

・管理者は、従業員の組織コミットメントの程度を知るための情報として、
 OCBを使う(Shoreら,1995)

・OCBが組織の効率性を高める一つの理由は、それが同僚や管理者の生産性を
 高めるからである。

 例えば、新参者が仕事のコツを覚えるのを経験豊富な従業員が自発的に
 助けることは、その新参者がより早く生産的な従業員となって、作業集団や
 作業単位の効率性を高めることに寄与する。

・Cross training 交差訓練とは、従業員に対して当人の専門とは異なる部門
 に出向させ、幅広い適応能力と視野を身につけさせようとするもの。

 日本企業で典型的に行われている配置転換も、このような目的に沿って
 行われる場合が少なくない。

・管理者が部下の昇進可能性を評価する際には、OCBがかなり重視されている
 (Shoreら,1995 他)

・メンタリングがそれを受けた人間のOCBを増加させる(Donaldsonら,2003)

○「自分も教わってきたから・・・」ということで、後輩指導を自然なもの、
 当たり前のものとして受け入れている指導員もいる。

 それは、その会社で「教える連鎖」が、上の代から続いているからだろう。

===

2013年08月15日

AOM (米国経営学会)2013 参加ふり返り

今回初めてAOM(米国経営学会)@オーランド FL に参加しました。

全体をふり返って感じたことを記録に残しておきます。

===

1.外国人研究者が多い


私が参加したのは、OB組織行動論のセッションが多かったのですが、
発表者の多くは、アメリカ人以外の研究者でした。

Ph.D(博士号)取得を目指す留学生や、
アメリカの大学で教えている外国人研究者達です。

プレゼンでは「ちょっとアクセントは違うけど・・・」と謙遜しながらも、
流暢な英語で発表と質疑応答をします。すごいです。

参加者にも外国人が多く、そのため、私の下手な英語でも
何となく話しやすい雰囲気がありました。

現時点でのAOM側データでは、参加者は約8400名、88の国々からの参加です。
アメリカ人は約4000名の参加ですから、半数以上は外国人だったようです。

アジア系で目立ったのはやはり中国の方々で、発表も多かったです。
参加者数も284名。日本人(28名)の約10倍です。(トップも中国の方ですし)


外国人の目線であることと、今回のテーマが「Capitalism in Question」
ということで、アメリカ(大きくは西側)での研究や施策に懐疑的な
内容も多かったようです。

私が参加したセッションでも、研究サンプルにアジア圏の企業を使ったもの
が多かったり、文化の違いに留意すべきだという発表もありました。

===

2.OCB:組織市民行動に関心と期待が集まっている?


最初、私は「Organizational Socialization組織社会化」や「Newcomer新人」
でセッションの検索をかけたのですが、そこにひっかっかたのは、
「OCB:組織市民行動」でした。

それもあって、OCBのセッションに多く参加することになったのですが、
参加してみると、OCBに対する関心と期待の高さを感じました。

(セッション数は全部で1661もあり、その中で、たまたまOCBに多く参加
 したので、そう感じたということもありますが・・・)

2日目の「OB組織行動の研究者とのグループ討議」でも、
OCBは「Prosocial、Helping、Proactivity」の中で扱われていました。

(他のテーマは、Leadership、Motivation等、OBの主流とも言えるものです。)

911以降、Positive Organizational Scholarshipに注目が集まり始めたように
ポジティブで、利他的な観点もあるOCBに、研究者の関心と期待が集まって
いるのかもしれません。

それは、今回のテーマであるCapitalism in Questionと共に考えた場合、
Greedy貪欲で利己的とも見られる資本主義の中に
「助け合いの精神もあるんだよ」ということで、OCBに注目が
集まったのかもしれません。

私自身のテーマで言えば、研修内で指導員に対して

「新人育成を指導員1人で行わず、周囲の協力を得て下さい」

と言うのは、いわば周囲のOCBを期待しての発言となります。

では、どうすれば、周囲のOCBを促すことができるのか?
このあたりは、別の機会にじっくり考えてみたいと思います。

===

3.より精緻な研究


今回良く使われていたのが、Multiple sources of Data多様なデータでした。

Self-report本人の自己知覚データのみのSingle sourceでは、
研究としての信頼性に疑問符がつくということのようです。

Journal論文誌に載せたいならば、多様なデータ(本人、周囲、上司評価等)
そして、Longitudinal縦断的調査の方がよいとのことでした。

そういう意味ではより精緻で信頼性の高い研究知見が、今後生み出されて
くるのかと思います。


その反面、発表を聞きながら「これは、実際にどう活かすのだろう?」
あるいは「誰が、この知見を必要とするのか?」といった素朴な疑問を
持ってしまう研究もありました。

特に、「経営学会」であれば、研究のあて先は「経営」であるはずで、
経営に資する研究でないと、存在価値が無いのではないかと思ってしまい
ました。

「学会」という閉ざされた世界で生き残っていくことだけ考えるのであれば、
そこで認められるために精緻な研究は必要かもしれませんが、現場で使える
Practical実践的な研究とはかけ離れていくのではないかと思いました。


これは、自分が研究者ではないからそう感じるのかと思っていたら、

最終日に知り合ったフランス人の若手研究者が、
同じようなことを言っていました。

彼曰く

「基礎研究的なものも大事だが、経営学であれば実践につながる研究が必要。
 その割合が現状低い。」

「せっかくの役立つ知見も、論文の海の中に埋もれてしまう。
 現場には届いていない。」

「経営学者が、狭い範囲で研究を極めていくほど、経営者の役に立たなくなる。
 経営者は、幅広い領域(マーケティング、会計、開発等)を考えないと
 いけないから。」

我が意を得たり!という感じです。

学術の世界と現場の世界をつなぐ重要性を、改めて感じた学会参加でした。

===

以上、今回のAOMに参加して感じたことをまとめました。

来年は、8月1日〜5日に、ペンシルバニア州のフィラデルフィアで
開催されます。

来年も都合をつけて参加しようと思います。

===

下記は、今回のAOM参加に関するブログ記事です。


参加前
http://learn-well.com/blogsekine/2013/08/academy_of_management.html

宿題(POSの本読み)
http://learn-well.com/blogsekine/2013/08/positive_organizational_schola.html

1日目
http://learn-well.com/blogsekine/2013/08/aom_20131.html

2日目
http://learn-well.com/blogsekine/2013/08/aom_2_ob.html

3日目
http://learn-well.com/blogsekine/2013/08/aom_3_lmxocb.html

4日目
http://learn-well.com/blogsekine/2013/08/aom_4commitmentocb.html

5日目
http://learn-well.com/blogsekine/2013/08/aom_5_organizational_socializa.html

===

今回このような海外出張の機会を得ることができたのも、
お世話になっている方々のお陰です。本当にありがとうございました。

自分が得たことを少しずつでも還元していけたらと思っています。

2013年08月13日

AOM (米国経営学会) 5日目 「Organizational Socialization」

2013年8月13日(火) AOM最終日。 今日は2セッションに参加。


自身の研究分野である

・Organizational Socialization 組織社会化

のセッションがいくつかあるので楽しみ。

(・文献要約 講演内容 ○関根の独り言)

===

9時45分〜11時15分 @Dolphine Resort Oceania 3

『Developing and Managing Performance』


後半2つに参加するために、途中から参加。
今日も教室形式、プロジェクターで一安心。

===

●Contribution of Information Seeking to Organizational
Newcomer's Leader-Member Exchange

・新人による「情報探索」は「LMX」に正の効果を与えていた。

 情報探索の先行要因は「組織による社会化戦術」と「APOS:
 Anticipated Perceived Organizational Support組織支援の期待認識」

 高い「LMX」は、新人の「Strain緊張」と「Turnover Intention離職意思」
 に負の効果を示し、新人の「Extra-role Behavior役割外行動」
 に正の効果を示していた。

・情報探索してくる新人は「学ぶ気がある新人」と見られ、
 上司が「目をかけてくれ」やすい。

・組織社会化戦術が新人に対して行われることで、新人は自分たちが
 insiders内部者であると感じられることと、組織側は情報提供する気が
 あることを感じ、その結果、情報探索に積極的になると言える。

○「入社前」「3週間後」「3カ月後」「6カ月後」と4回に分けてデータ習得。
 素晴らしい!

 気になるのは、LMXを測った3カ月後、
 その従属変数であるOCB等を見たのが、6カ月後。

 この間に、LMX以外の何かの影響は無かったのか。
 そこは統制されているのかな。

○情報探索する新人もやりすぎると、上司から「うっとうしく」思われたり
 印象管理(やる気を前面に出して周囲の評価を高めよう)していると
 思われたりするかも。

 実際、聴講者からは「曲線の関係(ある程度までは上がるが、
 一程度を超えると下がる)もあるのでは」と指摘があった。

===

●How Do Post-Training Transfer Interventions Affect Trainee
Attitudes and Transfer of Training?

・Transfer of Training(Baldwin & Ford 1988他)研修の転移
 は、2つのPost-training transfer interventions介入策で促進される。

 1)Relaps prevention 逆戻りの予防
 2)Proximal and distal goal setting 近位と遠位の目標設定

・これら2つの介入策が、研修受講者の態度である
 「Autonomous motivation to transfer 自主的意欲」と
 「Readiness to change 変化への準備」に影響し、研修の転移を促す。

・「Relapse prevention」とは、研修の転移を妨害するネガティブな脅威を
 列挙し、それに対してどのような対応をすればよいかを考えること。
 
 「Proximal and distal goal setting」では、いくつかの目標を設定し、
 その進捗を管理するフィードバックの方法も検討する。

・Relapse preventionの方が、実現性が高いと、受講者に受け止められ
 より研修の転移につながりやすい。

○この発表も楽しみにしていたけど、なんと発表者が欠席。ヒエー。
 ま、しょうがない。

○Relapse preventionは、知らずに研修の中でやっていた。

「(研修内容の現場実践を妨害する)じゃまもの」というセッションとして。

 こうやって実証されるとありがたい。

===

同じ時間に下記セッションをやっていたので、大急ぎで会場を移動。
最後の質疑応答には間に合った。

===

『Navigating One's Career: Self-Direction
  and Psychological Contracts』

●Fulfilling Employees' Psychological Contracts: The Role of
Organizational Socialization

・社会化戦術3分類:Social社会的、Context文脈的、Content内容的
 のうち、社会的社会化戦術が、新人の組織コミットメントと、POFitに
 影響していた。

・Psychological contract心理的契約を使って説明。

○竹内・竹内(2004)でも同じような結果がでている。
 http://learn-well.com/blogsekine/2009/11/post_296.html

 この発表でもTakeuchi&Takeuchi(2009)として引用されていた。

○調査データを、Online serviceで購入していることについて
 かなり突っ込まれていた。

 「お金で回答しているデータだから、信頼性が低い。
  回答慣れしている回答者もいるはず。」


===

午後のセッションに向けて文献読み。今日は隙間時間も少なくて2本が限界。

130812a.JPG

5日目となると、結構つかれもたまってきてるかも・・・。

===

13時45分〜14時45分 @Dolphine Resort Salon A4

『Leaders and Followers: Expectations, Fit, Needs and Knowledge』


後半2つのセッションを聞くために途中から参加。

===

●Knowledge Transfer Across Hierarchical Lines: The Importance of
Structure and Type of Knowledge

・アメリカンフットボールチーム(Tall Organization縦組織)と
 アイスホッケーチーム(Flat Organization横組織)の知識伝達方法の違い

===

●They Need Your Help! Newcomers' Needs for Socialization Support
and Supervisor Responses

・Taormina(1997)は、新人は4つのニーズをもつとした:
  Training訓練、Understanding理解、Cowoker support同僚の支援、
  Future prospects将来予想

 http://ebookbrowsee.net/10497-taormina-1997-organizational-socialization-a-multidomain-continuous-process-pdf-d86434252

・ただ、これは新人は同質であるという前提。
 新人によってはもつニーズに違いがあるのでは。

・組織社会化しづらい存在として、HEY:High-school Educated Youthがいる。
 年若い高卒の新人。

・彼らHEYと、大卒、年長と、3種の新人、および彼らの上司に
 インタビュー調査を行った。

 ニーズの違いと上司支援の内容を把握するために。

・その結果、新人のニーズは3種類に分かれることがわかった。

 1)年長で他社で仕事経験のある新人:Survival Needs(特にニーズなし)
 2)年若く経験も少ない新人:Standard Needs(4つのニーズをもつ)
 3)年若い高卒の新人:Extra Needs(4つ以上のニーズを持つ)

・上司は、2種類のSupervisory Socialization Tactics社会化戦術を
 使っていることが明らかになった。

 1)Supportive支援:細かく世話を焼く
 2)Test試験:突き放し試す

・Supportiveな戦術を使う上司は
 −自分も高卒、同じような経験
 −職種によって、長期就労が必要(辞めてほしくない)
 −組織文化 の影響で、そのような戦術を使うと考えられる。

 新人が「Extra Needs」を持っている場合ははまるが、
 「Survival Needs」の場合、うっとうしがられる。

・Testな戦術を使う上司は
 −自分も教わってきていない
 −新人が既存のチームに合わせるべき(合わなければいらない)
 −職種により大量採用、離職が珍しくない(例:飲食業)ため

 新人が「Survival Needs」を持っている場合ははまるが、
 「Extra Needs」の場合は、リスクがある。

・Accomodation適応重視:個人の特徴を生かすSupportive型上司は、
  Homophily mechanismsが働いている(似た者を助ける)

 Assimilation同化重視:グループの要求を重視するTest型上司は、
  社会化を、Rite of Passage通過儀礼と捉えている。

・両者のバランスを取るのが理想で、それは新人のニーズに
 合わせた対応(上司側の社会化戦術)を取ることにつながる。

○面白い!

 特に、上司がなぜ「Supportive」か「Test」の戦術をとるのか、
 その原因分析が興味深い。

 LMXの研究では「新人に見込みがありそう
 (Perfomanceの高さ・情報探索の度合)」なとき、上司は積極的に
 新人に関わるとしている。

○組織社会化しづらい新人は「高卒の若者」というのは、日本とは逆かも。
 
 年若く、早く学校を出た新人の方が、組織の色に“染めやすい”と
 考えるのが日本。

○上司の取る戦術は、本当にこの2つだけなのか。

 細かく見て行けば、Job-focused advice仕事に関するアドバイス、
 Guidance指導、Role modeling役割模範等もありそう。

 また、Situational Leadership的に考えれば、新人の成熟度によって、
 「Supportive」か「Test」かも変わってくるのでは。

○「Standard Needs(4つのニーズ)」の場合は、4つのニーズに応えられる
 よう、どちらかというと「Supportive」戦術を使うことになるのか。

===

 ↑ と、ここまでは文献を読んだ段階で感じたことだったのですが、
   発表に参加したら、そこから更に深い分析をしていたそうで、
   内容が変わっていました。


・Supervisor上司は、3つのTactics戦術をとっている。
 1)Test 2)Corrective 3)Support

・Corrective tactics 修正戦術:新人の行動を修正する

・上司は、2つのPhases段階で、新人の社会化を行っている。

 1)Getting rid of the misfits 合わない新人を外す

    新人の人柄と価値観を見る段階(PWF、PVF、PGF)

 2)Evaluate the newcomer potentials 新人の潜在能力を評価する

    新人の業務能力と組織とのフィット感を見る段階(PJF、POF)

・各段階で「misfit合わない」と判断すれば辞めさせる。

・フランスでは社会に適応できない若者達の社会化が喫緊の課題となっている

○これまた面白い! 

 上司は入ってきた新人を2段階に分けてテストする。
 1)「うちとあいそうか」 2)「うちでやっていけそうか」

○入ってきた新人を辞めさせるというのは日本では難しいけど、
 能力を見極めて、合った仕事を与えるという点では、
 小池(2012)の「上司の査定」「OJT機会」が参考になるかも。

 http://learn-well.com/blogsekine/2012/12/post_375.html

○彼(Dr.Dufour)の発表は、組織社会化研究として、とても面白かったので、
 色々質問し、発表資料をもらうことにした。

○話しているうちに、研究者としてだけでなく、人間的にも魅力ある人物
 だったので、これから長くつきあっていくことになりそう。

 (フランス人の若手研究者。組織社会化を含む組織行動論が専門。)

 早速9月にスカイプでミーティングすることに。

 最終日に、いい人と出会えたのも、ご縁。 ありがたいこと。


===

16時30分ごろ終了。

2013年08月12日

AOM (米国経営学会) 4日目 「CommitmentとOCB」

2013年8月12日(月)AOM 4日目スタート!

今日は朝8時からのセッションに参加。

今日参加するのは、

・Organizational Commitment 組織コミットメント
・OCB:組織市民行動 に関するセッションが中心です。

(・文献要約 講演内容 ○関根の独り言)

===

8時〜9時30分 @Dolphine Resort Europe2

『Commitment: Types, Antecedents, and Consequences』

今回はプロジェクターでのプレゼンあり、
椅子は教室形式。こっちの方が安心して聴講できる。ふ〜。

===

●How Expatriates Influence the Organizational Commitment of
Host Country Nationals

・外国人マネジャーは、現地スタッフの組織コミットメントにどのような
 影響を及ぼすのか。

・中国にあるドイツの会社で調査。ドイツ人マネジャーと中国人従業員。

・外国人マネジャーの存在は、現地スタッフの組織コミットメントを 
  低下させていた。特に、現地スタッフの役職が高い場合に顕著。

 しかし、現地スタッフがより「個人主義」で「金銭第一主義」であった
 場合、その低下は軽減される。

○つまり、現地スタッフが、より西洋的(個人主義で金銭第一主義)で、
 外国人マネジャーの価値観に近いほど、組織コミットメントが
 下がりにくいということかな。

○現地スタッフが、いかに外国人マネジャーに合わせるかということに
 なるかもしれないけど、外国人マネジャーが現地スタッフに合わせようと
 することも必要。

 セッションに参加していた中国の人は、自分の上司がドイツ人だったとの
 こと。上司が少しでも、中国語を「ニーハオ」とかしゃべろうとしてくれる
 とそれだけで気持が近くなったと語っていた。きっとそうだろうなー。

===

●Contagion of Organizational Commitment in the Context of
Contradeictory Influences

・組織コミットメントの高い人と低い人に囲まれて仕事をしている時、
 その本人は誰の考え方に最も影響を受けるのか。

・自分と同じ仕事をし、その組織に長く勤めていて、友達関係にある人の
 態度や意見に最も強く影響を受けることが明らかになった。

・人種や性別の影響は関係なかった。

○面白いけど、この知見をどう組織側は活用したらよいのかな。

===

●A Mindset of Obligation: Exploring a Normative Commitment Orientation
beyond the Workplace

・Normative Commitment Orientation(NCO)という尺度の開発。

・組織コミットメントの3種類:
 1)Affective 情緒的 They want to
 2)Continuance 功利的 They have to
 3)Normative 規範的 They ought to

・このうち、Normative commitmentは、Affectiveと重なるのではないかとして
 あまり研究でも重視されてこなかった。

・しかし、仕事以外でも「規範的コミットメント」をもつ人がいるのでは
 ないか。例)結婚生活、友人との関係。

・規範的コミットメントの高い人は、組織を辞めない。

・それらを測る尺度を開発する。

・本研究で開発した尺度NCOにより、全人的な「規範的コミットメント」の
 測定が可能になる。

○規範的コミットメントの高い人ばかりの組織も「義務感」の強い
 真面目な人ばかりで、ちょっと息苦しそう。
 
 またそういう人ほど、燃え尽きそう(Burn out)。

===

●Relationship of Personality to Organizational Commitment:
A Meta-Analysis

・PesonalityのBig5と、コミットメント3種の関係を分析。

・どのような性格の人が、どのようなコミットメントを持ちやすいのか。

・6項目、8項目どちらの組織コミットメントの尺度を使うかで結果に
 違いがでている。

===

セッションの最後に、参加者の1人から
「2014 Conference on Commitment」の案内があった。

http://fisher.osu.edu/~klein_12/Commitment.htm

「組織コミットメント」に特化した会だそう。

===

午後のセッションに向けて、4本の文献を読む。

今回AOMに参加して、英語文献を読むスピードは速くなったかも。

ざっと読みだけど、1日に8本ぐらい読んでいる。
(約20ページの文献に、約30分かかる)

やっぱりこういう環境に身を置くことは大事。

===

地下一階では、出展社Exhibitionがありました。

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何冊か本を購入。

(今日が最終日ということで安く売ってました)

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左側2冊は、Training研修に関するもの。
右側のマンガは、Daniel Pink氏のキャリア本です。

===

15時〜16時30分 @Dolphine Resort Oceanic1

『Organizational Citizenship Behavior:
  New Perspectives on the "Good Soldier"』


こちらもプロジェクターによる教室形式で、ほっと一安心。

===

●A Need to Belong as a Driver of Newcomer Organizational
Citizenship Behavior

・Need to Belong(Baumeister & Leary 1995)所属欲求?がOCBを行う理由。

・OCBを行うということは、自分の仕事が滞るというコストが発生する。
 にもかかわらず、何故個人がOCBを行うのか、その理由はわかっていない。

・新人は「自分は受け入れられているのか?Am I accepted?」を気にしている
 (Miller & Jablin 1991)

・OCB:The Good Soldier Syndrome(Organ 1998)

・Impression Management 印象管理?は、ネガティブにも受け取られる。

・Relational Value 関係価値?
 自分は「付き合うだけの価値がある人間である」とアピールする

 OCBを行うことで、周囲に好かれ、チームメンバーとして認められるように
 なる。つまり、新人の関係価値が上がるということ。

・本研究は概念モデルの提示まで。実証研究は今後。

○松本(2003)は、新人による「雑用」を「教えてもらうための対価」
 としている。ここで取り上げられているOCBはこれにも近いかも。

 http://learn-well.com/blogsekine/2012/07/post_370.html

 あと、中原先生との雑談で出た「新人の早朝出勤」も、
 IM 印象管理の一つであり、関係価値を高めているのかも。

 http://www.nakahara-lab.net/blog/2013/07/post_2062.html

○新人には「所属欲求」があり、それを満たすために、
 「自分はメンバーとして付き合うに足る人間である」ことを、
 「関係価値」の向上を通じて示す。そのために、OCBを行う。

 という、新人側が、OCBをしたくなる理由は分かった。

 では、新人を受けいれる周囲が、OCBを行う理由は何か?

 自分の研究に引きつけて言うと、新人の面倒を見る「指導員」以外の
 他者が、新人指導を手伝う(OCB)を行う理由は何か?

 ここはもう少し考えたい。


===

●Combined Effects of Job Satisfaction and Impression Management
on OCB and Job Performance

・自身の能力不足を感じている人ほど、IM 印象管理を行う。

 周囲からIM 印象管理を行っていると見られる人ほど、
 上司から、その人のパフォーマンスに関する評価が低い。

 Job satisfaction職務満足は、職務パフォーマンスとOCBに正の効果を示した。
 特に、IM印象管理が低いほど、上記の関係が強く示された。

・職務満足とパフォーマンスの関係については様々な議論がなされてきた。

 Organ(1977)はパフォーマンスに「Extra role behaviors(役割外行動)」
 が含まれていないので、職務満足とパフォーマンスの関係が出づらいとした

 職務満足の高い人は、役割外行動もいれた場合、パフォーマンスが高くなると。

・しかし上記もまだ弱い関係である。そこには媒介要因があるのではないか。
 それがおそらく、IM印象管理。

・アメリカや西側諸国のようにIndividualistic culture 個人主義的文化では
 IM印象管理は効果があるかもしれないが、パキスタンやアジアのように、
 Collectivistic culture 集団主義的文化では、IM印象管理は好ましいもの
 とは受け入れられないのかもしれない。

・北アメリカで得られた知見を、そのまま集団主義的なアジア諸国で
 実践しない方が良い。


○「能力に自信がない人ほど、印象管理をしやすい」ということは、
 もしかすると、新人ほど(そしてプライドが高い人ほど)、
 「自分をより良く見せよう、大きく見せよう」としてしまうのかも。

 そして、それは他人には見抜かれていて、結局は能力の低さを、
 更にさらしてしまうことにつながるのかも。 

○職務満足は自己評価。印象管理は他者評価。OCBとパフォーマンスは上司評価
 ということで、3者からのデータを取っているところがすごい。

 これからの研究は、自己知覚データだけでなく、このくらいやらないと
 だめなのかもね。

○これまで西側の研究で得られてきた知見、東側(アジア)では合わない
 かもしれないとのこと。

 確かにそうかもしれないけど、そしたらすべて「文化による」で
 終わっちゃうのでは。

 せっかくの研究知見も「自分の国には合わない」となったらもったいない。

 西側の知見を参考に、自国に当てはめて考えてみるのが必要なのかも。
 (西側の知見をうのみにせずに)

===

●Short and Long-term Effects of Relational Ambivalence with
Managers on Employee Citizenship Behavior

・上司に対するAmbivalence反対感情は、短期的にはOCBに正の効果を示し
 長期的には負の効果を示す。

・既存研究では、上司と部下との関係を「High or Low quality高質か低質」
 と2分法で捉えている。その前提は、部下の上司に対する態度は、
 固定的で変化しないものという考え方。

・しかし現実には、上司に対してはポジティブ(好意)と
 ネガティブ(嫌悪)、両方の感情をもつであろう。

・本研究は、このようなAmbivalence反対感情に着目した最初となるだろう。

・上司との関係がポジティブなものであると、従業員はOCBをする
 モチベーションが高まる。

・上司に対する反対感情が、短期的にはOCBを行わせるのは、部下が
 上司が良い方向に変わってくれるのではないかという期待があるから。

 部下がOCBをすることで、上司が自分を認め、関係がポジティブなものと
 なることを期待。

・長期的には、反対感情がOCBを行わせなくなるのは、部下が反対感情の
 バランスをとれるようになることと、OCBをしなくても必要な資源を
 手に入れたからと考えられる。

○部下が「上司の変化を期待しなくなった、あきらめたから」っていうのも
 あるのかも。


===

●Constructive Organizational Culture and Organizational Citizenship
Behaviors: A Configurational View

・建設的な組織文化は、OCBの3行動:組織支援、自主性の発揮、
 創造的パフォーマンスに関連している。


===

同じ時間帯に違う部屋でやっていたのが、

『The Self, Scandal and Swearing:
Research on the Dark Side of the Organization』

です。途中でこちらの会場に移動します。

===

●The Dark Side of Socialization: A Longitudinal Investigation
of Newcomer Alcohol Use

・Informal Socialization非公式な社会化によって
 1)サボることを覚えたり 
 2)長時間労働となったり
 3)顧客と過剰な飲食をしたり といったことを先輩から学んでしまう

・Veterans先輩とClients顧客のNorms規範が
 Perfomance Motivesパフォーマンスの動機づけに影響し、
 Behaviors行動(付き合いでお酒を飲む)につながる。

・新人は先輩の行動を観察し、Sensemaking「これが大事なんだ」と納得する

・非公式な社会化を見過ごしたままにしておくのは組織にとって危険。

○今年のAOMで数少ない「Organizational Socialization組織社会化」に
 直結したセッション。使われている言葉に馴染みがあるのが嬉しい。

○先輩からの非公式な社会化により、新人がお酒につきあうようになり、
  人によっては過剰なアルコール摂取につながっているとのこと。

○発表者の中国人教授の方に、論文をメールで頂くことに。

===

16時30分ごろ終了。

2013年08月11日

AOM (米国経営学会) 3日目 「LMXとOCB」

2013年8月11日(日)AOM 3日目スタート!


9時から、AOMプレジデントの講演があります。
(その前に、表彰等もあったので、講演は10時スタートでした)

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AOM2013年のプレジデントは、Ming-Jer Chenという中国の方です。
http://aom.org/About-AOM/Presidents-Archive/Presidential-Gallery.aspx

講演のタイトルは「Being Ambicultural」

参加者の中を歩き回り、ユーモアまじえて質問し、笑いのある講演でした。

「Ambicultural」をどう訳していいか悩みますが、
「両側、双方の文化を知ろう」といったメッセージだったと思います。

この場合の両側とは「West西」と「East東」です。

2011年のAOM年次大会のテーマが「West meets East」だったそうです。
http://annualmeeting.aomonline.org/2011/


中国の哲学と西側の社会科学の両方のいいところから学ぼう。
そして、AOMそのものもAmbicultural organizationになろう。

それがプレジデントのメッセージだったと思います。


ただ、現状は「The East-West Divide 東西の分裂」状態であり
次のようなことを、我々は考えるべきではないかと訴えていました。

・Globalization vs Global Americanization
 グローバリゼーション vs 世界的なアメリカ化

・China Threat vs Colonization of China by Western MNCs
 中国の脅威 vs 西側多国籍企業による中国の植民地化

・Management theory & practices are culture specific or universal?
 マネジメント理論と実践は、文化特有なのか、万人的か?


こういうことを、アメリカ組織の中枢にいる人が発言するのが面白いですし、
そういう人をトップにすえているアメリカ組織も面白いですね。


===

今日から「Paper sessions 研究発表」が始まります。

今日(8月11日)は、主に以下のセッションに参加します。

 LMX:Leader-Member Exchange リーダー/メンバー社会的交換理論
 Social Exchange 社会的交換理論
 OCB:組織市民行動 

===

(・文献からの要約 講演内容 ○関根の独り言)

11時15分〜12時30分 @ Dolphin Resort in Salon A3

『Personality, Environment, and Role Development』


プロジェクターで映写せず、口頭での説明となりました。
事前にPaper論文を読んでおいたほうがよさそうです。

===

●Rethinking the Benefits and Pitfalls of LMX: A Dissonance-Based
Environmental Moderator Perspective

・LMXは、いいことづくめではない。

・LMXが高いために、部下のストレスが高まるケースもある。
 そこには環境要因がある。次の3つのケースの場合、上記が起こりうる:
 1)組織の変化 2)倫理的問題 3)危険な状況

・逆にLMXが低い部下は、上記環境で上司から何かを指示されても無視する。

・ただ、LMXが低い部下は、上記環境で「点数稼ぎ」のために、
 あえて上司の指示を聞くこともあるかも。

○LMXは、上司と部下との社会的交換関係。
 これは「垂直的交換関係」とほぼ同じと考えていいのかな?

○「上司に目をかけられる」と「部下も一生懸命働く」これが
 LMXが高い状態と考えていいのかな。

===

●Subordinates' Performance and Persoality as Predictors of
Leader Rated Leader-Member Exchange

・部下のPerformance業績、Locus of control統制の所在、
 self-efficacy自己効力感が、上司のLMXに影響する。

・時間の経過によって、上司のLMXは変化する。
 低いLMXの部下も、その後の向上が見られれば、高いLMXとなる。

・LMXが、Consequences結果として、
 部下のPerformanceに影響するという研究はある。

 本研究は部下のPerformanceがAntecedents原因として、
 LMXに影響すると見る。

○優秀そうな部下であれば、上司も良い接し方をする、
 無能そうな部下であれば、上司の接し方もいい加減なものになる、
 って感じかな。

○ただ「部下にするなら・・・」という目で見たら、やっぱり業績あげそうで
 自分に自信をもっていて、他人のせいにしないような奴がいいと上司なら
 思うだろうな。

===

●The Curious Case of the Curvilinear Relationship Between
Role Clarity and Supervisor Satisfaction

・これまでの研究では「役割の明確化」と「上司に対する部下の満足度」は
 Linear直線の関係で捉えられてきた。

・本研究では、そこにCurvilinear曲線の関係があることを明らかにした。

・Organizational Support theory組織支援理論?(Eisenberger et al.1997)

・「役割の明確化」が低い状態であると、部下はストレスや不安を感じる。

 しかし、あまりに細かく役割を規定(Micro-management)されると、
 部下は自主性を発揮できず、上司から信頼されていないと感じる。

○細かく指示し過ぎると、部下が委縮する。
 かといって放任し過ぎだと、上司に能力がないと見られる。

 ある程度、部下の期待役割を明確にしたうえで、あとは任せるのが、
 マネジメントの基本ということかな。

===

昼食を食べた後、夕方のセッションのペーパーを読む。

===

16時30分〜18時 @ Dolphin Resort in Salon A4

『Learning and Absorptive Capacity』


こちらもプロジェクターを使ってのプレゼンは無く、
発表者を囲んでのラウンドテーブル形式。

===

●The Relationships Between Core Confidence, Causal Attributions,
and Performance

・Confidence自信/信頼は、希望、自己効力感、楽観主義、回復力といった
 4つの兆候の核となるもの。

・Entity beliefs 固定的知能観 こちこち 
 incremental beliefs 増大的知能観 しなやか

・失敗を「低い能力」と見るか「学習の機会」と見るかは上記知能観で決まる

・個人の自信の程度が、パフォーマンス結果を
 その個人がどう受け止めるかを決める。

・上司は、部下がうまくやった時は、その部下個人の能力と結びつけ、
 失敗したときは、学ぶ機会が得られたと励ますべし。

○引用されていたドゥエックの本
 http://learn-well.com/blogsekine/2009/09/post_275.html

===

●Leadership and the Creation of Human Capital: Stewardship
Theory at the Relational Level

・Stewardship 執事?みたいなリーダー?

○論文を読んでも、今いちよくわからなかった。

===

●Helping to Learn and Learning as Reciprocation: A Social Exchange
Perspectives on Firm Performance

・「OCB」は「チーム学習」を通じて、チーム「パフォーマンス」に影響する。
 
・「上司の支援」と「チームの心理的安全」が、OCBが実践されるために必要。

・これまでの研究では、何故OCBがチームのパフォーマンスを向上させるのか
 そのメカニズムが解明されていなかった。

・本研究では、Social Exchange theory社会的交換理論に基づき、
 「チーム学習」がそのメカニズムとなると仮説を立てた。

・組織における「学習」は、知識、技術、新しい物の見方の
 社会的交換により起こる。

 従業員が同僚に仕事を教えることで、適切なやり方を学んだり、
 忙しそうな同僚を手助けすることで、他のやり方を学んだりする。

○チームの仲間を助ける(OCB)ことで、自分や相手が学び、
 その結果、チームの業績が上がるというのは納得がいく。

 ただ、「心理的安全」が「OCB」の先行要因になっていたけれど、
 逆の矢印もあるかも。「OCB」があるから「安心」できるとか。

===

●Team Organizational Behavior's Impact on Absorptive Capacity and
New Product Success

・Team OCBは、NPD:New Product Development新商品開発と
  ACAP:Absorptive Capacity吸収能力の双方に、正の効果をもつ

・Team OCBは、ACAPを通じて、間接的な影響を、NPDに対してもつ。

・OCBが何故効果を発揮するのか、その理由をつきとめる必要がある。
 (Podsakoff et al. 2009)

・ACAPには4つの能力が含まれる:
 1)Acquisiton 獲得 2)Assimilation 同化
 3)Transformation 変容 4)Exploitation 活用

○「Team OCB」が、なぜNPDパフォーマンスに影響するのか、
 それは「ACAP吸収能力」が、OCBによって高まるから、というのは、
 「チーム学習」の研究と似ていて面白い。

 OCBは、組織の学習能力(新しい知識、技術、見方の獲得)に影響し、
 その結果、チームのPerfomanceに影響を及ぼすというのはありそう。

○これは、指導員が周囲の協力を得ながら新人指導を進める
  「ネットワーク型OJT」の考え方ともつながりそう。

 職場ぐるみでの新人指導を円滑に進めるために、
 OCBが起こりやすい環境を作る。

 そのためにどうしたらよいか、もう少し考えてみよう。

===

発表後、「どうしたらJournal論文誌に載せられるのか?」という話し合いに。

・信頼できる手法を使う
・多様なデータ源を使う(Self-reportだけでは足りない)
・博論がピークで後は書けないという状態にならないよう


18時ごろ終了。 

2013年08月10日

AOM (米国経営学会) 2日目 「OB 組織行動の研究者達」

2013年8月10日(土)AOM 2日目スタート!


今日は午後から2つのワークショップに参加。
午前中から会場に入り、本を読みます。

静かな会場だったので、本読みが進みます。

ところが、近くの席で、面接のようなものが始まりました。
初老の白人男性が、でかい声で、インド人らしい女性と話をしています。

===

一通りその人の研究について話を聞いた後、男性が、

「研究と教育の比重はどうする?」と質問。


対象の女性が、少し考えながら

「ん〜。55% 研究。 45% 教育 でしょうか。」


男性は

「難しい質問だよね。自分ならこう答えるよ。

 100% 研究。 100% 教育。」


研究者にとって、教育(Teaching)と研究(Research)のバランスは
どこの国でも難しい問題のようです。


===

昼食は、「ビスケット&グレービー」(朝飯の一種)を食べました。

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留学していた当初、最初見た時は、

「なんだ、この○○ぶちまけたような食べ物は!?」と思いましたが、

なれると美味しいです。今回も見つけて思わず食べてしまいました。


===


午後から「Organizational Behavior 組織行動」のワークショップに参加。

13時〜14時45分 @ Dolphine Resort Asia 2


「Essentials of the OB Division」


「組織社会化」研究で有名なE.W.Morrison教授が
スピーカーをされると言うことで、参加を決めました。


まずは、OB Divisionに関する説明から。

・OBは、AOM最大規模。6200人のメンバーがいる。
・OBを通じて、人とのつながりを作るべき。
 将来のCo-authors共同研究者と出会えるかも。
・OBのトレンドを知るには、最新のJournalを読むべき。
・プレゼンをするのが一番。
・色んなセッションに行くより、特定テーマに絞った方がいいかも。


続いて、OBに初参加するメンバーもいるので「Networking(人脈作り)」

「10 minutes speed dating」ということで、
10分ごとに3つのテーブルを回ることに。下記テーマで話をします。


1)What do you want to get out of AOM?
  (今回の学会から何を得たい?)

2)What are your research interest?
  (研究テーマは?)

3)What do you do 〜 ?
  (研究以外で何してる?)


実は、こういうのは苦手なのですが、
今回は比較的スムーズに参加できました。

・自分は、Researcher研究者ではなく、Practioner実務家。
・ただ、今年、Master's degree修士号をとった。
・その研究は、the roles of socialization agents 
 社会化エージェントの役割分担

と、下記スケッチを使って説明。

130810d.jpg


Socialization社会化というテーマは、OBメンバーにとって
なじみ深いらしく、意外と話が通じて嬉しかったです。

双方が「研究」という共通言語を通して話せるのが
大きいのかもしれません。


しかも、私が行ったテーブルには、E.W.Morrison教授がいました。

この方の論文(1993年)「Information seeking 情報探索」に
多くのヒントをもらったので、そのお礼を言い、写真も取らしてもらいました。
(ミーハーなので)

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(Morrisonさんは、昨年までOBの長をされていたそうです。)

===

15時15分からは、同じ会場で

「OB New Member Networking and Research Forum」がありました。


こちらには「組織社会化研究」で有名なD.M.Sluss教授とB.E.Ashforth教授が
参加されます。

このワークショップは、企画者であるSluss教授にメールして、
「参加承諾コード」をもらわなくてはいけないというハードルがありました。

「メールしても反応があるのかなー」と思っていたら、
2日ぐらいできちんと返信をもらえました。忙しい中ありがたいことです。


会場は、テーマごとにいくつかのテーブルに分かれています。

・Creativity
・Leadership
・Identity
・Motivation 等

私は「Prosocial, Helping, Proactivity」というテーブルに着きました。
こちらが「OCB 組織市民行動」に関するテーマだったからです。

Mark C. Bolino教授とNathan P. Podsakoff教授が、
ファシリテーターでした。

・OCBは、近年活発な研究領域。

・以前はManagementやOBでしか扱われていなかったが、
 今ではNursing等別の領域でもOCBが出てくる。
・Social Exchange理論と結びついて、OCBがより発展した。

・ただ最近は「OCB」「Prosocial behaviors」「Proactive behaviors」と
 様々なラベルが貼られていて混乱気味。

・Voiceとの関連


参加者の殆どは院生で、自身の研究に結びつけて活発な質問をしていました。
私も「何故OCBが近年活発になったのか?」を訊き、上記回答をもらいました。


最後に、Podsakoff教授(左)とBolino教授(右)と、記念に写真を取らしてもらいました。

130810b.jpg


OCBでは、Organ教授ぐらいしか知らなかったのですが、

スラムダンク風にいうと、この二人も、「要チェックや」。


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●OCB

「組織市民行動」


OCBに関するレビュー論文(Podsakoff et al. 2000)
http://myweb.usf.edu/~jdorio/Organizational%20citizenship%20behaviors%20a%20critical%20review%20of%20the%20theoretical%20and%20empirical%20literature%20and%20suggestions%20for%20future%20research.pdf

===

ちなみに、組織社会化のAshforth教授は「Identity」のテーブルを
担当され、今回は遠くから拝顔するのみとなりました。

この方のレビュー論文から多くを学ばせて頂いているので、今後機会を
見つけてお礼を言えたらと思います。


OB 組織行動論の研究者たちは、なんとなく気さくな感じでした。
(皆ファーストネームで呼び合ってました。)


17時過ぎに終了。

===

2013年08月09日

Getting Great Field Data

Getting Great Field Data: Strategies for Successfully Partnering
with Organizations to Collect Data

2013年8月9日(金)14時〜16時5分 @ Dolphine Resort

○研究者がいかに組織と組んで、フィールドデータを獲得するか。
 5人の研究者が自分の経験をもとに語る。

(・講演内容 ○関根の独り言)

===

●Stuart Bunderson Washington U

・「仮説をたてて、その仮説検証に理想的なサイトを探す」といった
 モデル通りには進まない。 

 どちらかというとImprovisation(即興劇)の考え方のほうがしっくりくる。

・インプロのルール4つが、フィールドデータ獲得にもあてはまるかも。

 1)研究者とサイト側のゴールの重なる点を探す
 2)研究者という立場を維持する
   (お金をもらうと、それにあった研究をしないといけなくなる。
    高いStandardは維持すべし)
 3)「Yes, and」の気持で、予期せぬ事態にのっていく
 4)先方の問題解決につながるよう

===

●Ethan Burris U ot Texas, Austin

・Who you know(誰を知っているか)ではなく、
 Who knows you(誰に知られているか)が大事。

○やはり研究者にもマーケティングが必要では。
 自分の存在を知ってもらい、先方から声をかけてもらえるような。

○既にサイトをもっている人達(コンサル、研修講師、士業等)
 に協力しもらうという手は?

・組織にとってなるべく簡単にしてあげる
 (例:研究について簡単に説明できる資料を準備したり)

・研究者の仕事は、データを得ること。

・コンサルよりも多くの深い知見を伝えることができるはず。
 それを活かすべし。

○研究者にも営業的なセンスが必要なのかも
 お客様を見つけ、それを維持する。

○その反面、研究者には自分で明らかにしたいテーマ(RQ)がある。
 それが、お客様の要望とピッタリ当てはまらないときもある。
 
 研究者の求めるStandardは大事にしながら、
 組織にとってもメリットがあるような研究にしていく。

 そのあたりのすり合わせが難しそう。

===

●Carrie Leana U of Pittsburgh

・サイトへのアクセスがあったとしても、まずはRQを大事にする。
 RQによっては、サイトを断ることもある。

・Management 経営陣 だけでなく、Employee 従業員にも提供できる
 ものが何かを考える。

・研究者を信用する理由が必要。そのためにも、直接研究者が話をすべき。
 Third party 仲介会社 PI? を使わずに。

○そういう会社があるのかな。研究者と組織をつなぐような。

・研究レポートは、経営陣と従業員双方に同じものを見せる。

・経営陣は「どの支店が、ベストでワーストか」を知りたがるが、
 それは調べない。

 伝えるべきは、研究で得られた知見 
 例:社会関係資本が高い学校は、生徒の成績がよい

・Compensationは払ってよいと思う。
 今後は、いくら払ったかを論文で示す必要も出てくるかも。
 (メディカル関係の論文では、それが必要になっている?)

・論文として出すことと、Confidential守秘義務の矛盾をどうするか。

===

●Hui Liao U of Maryland

・従属変数(例:イノベーション、クリエイティビティ)を、組織の
 興味と結びつける

・自分のネットワーク(論文の共著者や知り合い)を使って
 サイトへのアクセスを作る

・アメリカは、経営陣が成熟していて、研究者の知見をありがたがらない。
 他の国をサイトとして考えることも必要になってくる。

・研究者としてのStandardは下げない。“Bad data is worse than no data.”

===

●Michaela Schippers Erasmus U, Rotterdam

・組織に売りやすい研究テーマ(例:イノベーション)と
 そうでないテーマ(例:従業員の退屈)がある。

・そういう場合は、言い方を変える(例:従業員の興味喚起)

===

○部屋は満席。立ち見も出たくらい。それだけニーズがある問題なのかも。
 参加者には院生が多いよう。

○伊達さん達の活動は、研究者にとってのサイトアクセス
 という意味でも意義がありそう。

 株)ビジネスリサーチラボ 
    http://business-research-lab.com/

○皆、プレゼンが上手い。
 一人20分の持ち時間を飽きさせない。質問への対応も的確。素晴らしいなー。

POB and Motivation

Positive Organizational Behavior for a Better World: Premise, Research, Results

2013年8月9日(金)10時45分〜12時30分 @ Coronado Spring Resourt

○「POBの知見を一般に発信すべし!」というメッセージ。

(・講演内容 ○関根の独り言)

===

●Opening

・何故、研究者は、POBの領域であまり活躍していないのか?
 
・Self-Help関連のビジネス著者(S.Covey等)は、ミリオンセラーを
 出しているのに。

・自身(Self)を変えていくことで、周囲を変える。

・その際は、相手のEmotion感情に働き掛けることが重要。

●Management Excercises

・「Marshmallow Challenge」
  http://marshmallowchallenge.com/Welcome.html

・Collaboration協働、プロトタイプ作り、トライ&エラーの重要性を学べる

●POBの企業事例

・United Airline、Adidas、Harley

●Consulting & Publishing

・ASTDの調査結果

・躊躇せずに本を出すべし。

○ゲームのあたりから、続々と席を立つ人が出た。
 「I hate this…(こういうの嫌い)」といって席を立つ人も。

 研究者には、こういうスタイルは合わないのだろう。
 (何となくASTDのセッションのようだった)

 「マシュマロチャレンジ」は、研修内のゲームとして使えそう。

○POBの研究者達に「もっとPOBを一般の人向けに発信しよう!」というのが
 メッセージだった。

 この先生(Dr.Provitera @Barry Univ. in Miami)は、元々ウォール街で
 仕事をしていた人らしい。民間企業から研究の世界へ来たよう。

○ただ、研究者達にしてみると「まずは、POBを科学として確立させたい」
 という思いもあるのでは。

 中途半端に一般向けに発信すると、その他大勢のビジネス著者と
 変わらなくなるという恐れ。

AOM (米国経営学会) 2013 1日目

2013年8月9日(金)午前8時30分〜

AOM(米国経営学会)に初参加!

最初のワークショップ会場である
Disney Resort Coronado Springsに到着。

入口から入ってすぐの場所に、こんな感じの受付(Kiosk)があり、

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メールで受け取っていたバーコードをかざすと、
名札等が印刷されます。 とっても簡単でした。

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バッグ等をもらって、早速中を探検。

えらく広いです。

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午前中のワークショップ「POB & Motivation」に参加。
http://learn-well.com/blogsekine/2013/08/pob_and_motivation.html


午後からは会場を移動し、Dolphine Resortへ。

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しゃちほこみたいなドルフィンが目印。遠くからも目立ちます。

観光客の姿も多く見られます。


午後からは「Getting Great Field Data」のワークショップに参加。
http://learn-well.com/blogsekine/2013/08/getting_great_field_data.html

16時すぎに終了。 ホテルへ戻り。

Positive Organizational Scholarship

Positive Organizational Scholarship

Kim S. Cameron, Jane E. Dutton, Robert E. Quinn編著(2003年)

○POS(ポジティブ組織研究)に関する初期の本。
 POSの全体像とどんな研究がPOSなのかが分かる。

 大学院ゼミで、この本より新しいの(2011年)を輪読した ↓

 2011年 冬学期 中原ゼミ 英語文献 POS(1)
  http://learn-well.com/blogsekine/2011/11/2011_1.html

 2011年 冬学期 中原ゼミ 英語文献 POS(2)
  http://learn-well.com/blogsekine/2011/12/post_353.html


 今回、AOM(米国経営学会)で、POS関連のセッションが多いことと、
 自分もPOSのワークショップに参加するので、目を通してみた。

 読んだのは、目次と概要および執筆者をみて興味をもった所のみ。

 (・要約 ○関根の独り言)

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Ch.1 Foundations of Positive Organizational Scholarships

・POSの関連領域:ポジティブ心理学、コミュニティ心理学、
  OD(組織開発)とAI、市民行動、CSR

・POSは「新鮮なレンズ」である。

・POSは、価値中立では無い。

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Ch.2 Positive Organizational Studies: Lessons from Positive Psychology

・ポジティブ心理学は、M.セリグマンが、APA(アメリカ心理学会)の会長で
 あった1998年に提唱。

・メタな教訓として:
 1)ポジティブ社会科学は、一般受けはしやすいが、
   研究者には受け入れられにくい
 2)領域を支援するインフラ(学会誌やハンドブック等)を作れ
 3)領域を引っ張っていくシニアリーダーを見つけよ
 4)ジュニア研究者を歓迎せよ
 5)知見を発信せよ
 6)悪い仲間には気をつけよ(ポジティブ好きで、科学軽視な人達)
 7)エリートで凝り固まっちゃだめだよ
 8)先行研究をしっかりと、その上でオリジナリティを
 9)理論と調査を大事に
 10)特殊なものばかりに目を向けちゃ駄目 
 11)調査と実践に最適な場所を見つけよ(それは恐らく職場)
 12)縦断的研究を
 13)ポジティブな従属変数を

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Ch.3 Virtues and Organizations

・VIA(Values in Action)で分類されている6つのVirtues(徳):
 1)Wisdom & Knowledge 知恵と知識
 2)Courage 勇気
 3)Love 愛
 4)Justice 正義
 5)Temperance 節度
 6)Transcendence 超越

・組織レベルの徳:
 1)Purpose 目的
 2)Safety 安全
 3)Fairness 公正さ
 4)Humanity 人間性
 5)Dignity 尊重

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Ch.5 Positive Organizing and Organizational Tragedy

・ポジティブな組織化は、エラーや間違いの存在を受けいれる
 ネガティブな組織化は、知恵を過小評価する

・確実性と失敗は並列の関係。

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Ch.8 Investing in Strengths

・強みに投資した方が効率が良い。
 弱みは訓練で減らすことができるかもしれないが、効率性は低い。

・実験群に対するプレ、ポスト調査を実施

・優秀なマネジャー達は、強みの開発に焦点をあてている

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Ch.9 Transcendent Behavior

・行動(B)は、人間(P)と環境(E)の関係で示される
 EとPがBに影響する。(E,P→B)

・超越行動(B)は、EとPに影響を及ぼす(B→E,P)

・功利主義におかされた考え方と低い自己効力感が、超越行動を妨げる。

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Ch.11 Positive Emotions and Upward Spirals in Organizations

・Broaden-and-Build theory 広げて築く?理論

 ポジティブな感情は、人間の思考と行動の幅を広げ、それが積み重なること
 で、人間的、社会的資源が築かれていく。

・Specific action tendencies 特定行動傾向? 

 伝統的な上記概念は、ネガティブ感情の機能について説明している。

・ポジティブな感情の例:楽しさ、興味、誇り、満足

・ポジティブな感情は「Upward spirals 上向きのらせん」を作っていく。

 ポジティブな感情は、その個人をより柔軟性があり、統合された人間に
 変容させていく。

・311の事件後、ポジティブな感情は、うつ状態を防ぎ、耐える力をもつ
 ことに役立っていた。

・ポジティブな感情を、T1時点で持っていた従業員は、T2時点で、
 上司や周囲からの社会的支援を受けていたことが明らかになった。

・仕事でポジティブな感情をもっていた営業担当者は、より顧客に対して
 親切な対応をしていた。

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Ch.12 Positive and Negative Emotions in Organizations

・組織研究は、ネガティブな状態(不安、燃え尽き、対立、差別、不満等)
 に焦点をあててきた。

・感情も極端に示されるとネガティブなものとして受け止められ、
 中くらいの示し方であれば、ポジティブなものと受け止められる。

・感情は、リアクション(反応)によって起こるのみでなく、
 予想することで起こることもある。

・ネガティブな感情が、ポジティブな効果を持つときもある。

・オランダ人の営業は、恥という感情がネガティブな影響をもったのに対し
 フィリピン人の営業の場合、恥はそれほどの脅威とはならなかった。

・組織との同一化が進むほど、ポジティブな感情が生み出され、それが
 組織市民行動につながっていく。

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Ch.13 New Knowledge Creation in Organizations

・従来ネガティブに捉えられてきた「失敗や依存」が、新しい知識創造を
 促進している。

・Nonaka & Takeuchi(1995)は、拘束的なルーチンを壊し、個人に
 自治を与えることが、新しい知識を創造するとした。

・組織においてポジティブな価値とされてきた「有能さ」や「自立」が、
 ネガティブな結果となることもある。

・有能さを重視すると言うことは、「失敗は許さない」ということかも
 しれないし、自立は「他人に依存するな」という意味をもつかもしれない。

・新しい知識を創造するのは、実験(試行錯誤)である。
 失敗を受け入れることが、知識創造につながる。

・help-seeker周囲に助けを求める人ほど、新しい情報、専門性、技術を
 獲得する。

・周囲に依存していると「自分には力が無い」と思いこんでしまう。

・男性より女性のほうが、周囲に手助けを求める。

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Ch.15 Toward a Theory of Positive Organizational Change

・組織開発においては「Deficit based inquiry 欠損探索(問題解決型)」
 に当てられてきた

・Appreciative Inquiry(強み発見型)では、組織を「関係のネットワーク」
 と捉え、組織の「ポジティブな核」に触れることを目指す。

・4つのステップ:Discovery、Dream、Design、Destiny

・1990年代のエルサレム訪問で、ダライラマ法王は、各宗教のリーダーが
 お互いを理解すれば、世界はよりよくなると発言。

 それを受けて、リーダーが集まるミーティングで、AIの手法が使用された。
 その結果、2000年にUnited Religions Initiativeが創設された。

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Ch.16 Authentive Leadership Development

・Authenticity真正、本物は、「本当の自分をもち、かつそれに基づいた
 行動をとる」(自分に嘘をつかない)

・リーダーの中にポジティブさをもたせたTriggerきっかけがあるはず。

・Authentic Leadership Development Modelを提示。

・冷笑的で政治的動きが盛んな組織では、マネジャーも皮肉屋的な見方を
 するので、360度フィードバックの効果が薄れる(Atwaterら2000)

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Ch.18 A Theory of Relational Coordination

・「high quality connection 高質なつながり」は、
 高質なコミュニケーションと高質な関係の2つからなる。

・組織デザインは、高質なつながりを創り出す働きを持つ。

・組織デザイン:Boundary Spanner、Supervisor、Routines

・Boundary Spanners 境界に橋をかける人は、情報をフィルターし、
 関係をマネジメントし、高質なつながりを創り出す。

・相互依存的な仕事においては、Supervisorsによる活発な関わりが
 必要になる。

・伝統的な組織デザインでは、Routinesは、人々のつながりを代替する
 ものとして使用されるが、つながりを促進させるものとしても利用できる。

・組織デザインには、情報の流れを促進させるだけでなく「高質なつながり」
 を創り出す働きも期待できる。

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Ch.19 Finding Positive Meaning in Work

・Work 仕事は人々の人生において何らかの重要な役割を果たしている。

・お金は、動機づけの中心としての力を失いつつある。

・Work as a Job 職としての仕事 
 Work as a Career キャリアとしての仕事
 Work as a Calling 使命としての仕事

・Callingと捉えている人は、自身の役割を超えて働こうとする。
 彼らは組織のトップパフォーマーであり、それは職種をこえて存在する。

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Ch.20 Fostering Meaningfulness in Working and at Working

・仕事は意味の源である。

・意味ある仕事は、ポジティブな組織の中心といえる。

・Meaning creation 意味創造 = Sensemaking 

・「私は誰か?」というアイデンティティに関する問いが、意味創造の根本。

・Meaningfulness in Work 「仕事の中での有意味」は、
 Role 役割:What I am Doing に関係する。

 Meaningfulness at Work 「仕事場での有意味」は、
 Membership メンバーシップ:Where Do I Belong に関係する

・上記二つが、アイデンティティ:Who am I に影響し、それが、
 Meaningfulness 意味ある仕事:Why Am I Here に影響する。

・「意味ある仕事」とするために組織にできることが大きく2つある:
 タスクと役割を充実させる、メンバーシップ関係を充実させる

・ディズニーでは、集中的な厳選採用と社会化実践、およびコミュニティー
 プログラムにより「意味ある仕事」という意識を従業員にもたせている。

・Transcendence超越は、個人よりも更に大きなものとつながっている感覚

・「仕事の中での有意味」より「仕事場で有意味」の方が作りやすい。
 まずは、職場環境を整えることが「意味ある仕事」につながる。

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Ch.21 Positive Organizational Network Analysis and
Energizing Relationships

・Energizing Relationships 元気をくれる関係 
 De-Energizing Relationships 元気を減らす関係

・目に見えない「ポジティブな関係」を、ネットワーク分析は見える化する。

・他者を元気づける人は、より良い業績をあげていた。

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Ch.22 Empowerment and Cascading Vitality

・従業員は、エンパワーされることで、エンパワーの仕方を学ぶ。

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Ch.23 Developing a Discipline of Positive Organizational Scholarship

・ポジティブな現象の重要性

・Heliotropic 向日性 は、全ての生物がもつ指向。
 ネガティブさを避け、ポジティブさを得たい。

・POSにおける今後の6つの課題:
 1)分析レベル
 2)測定
 3)因果関係
 4)促進
 5)時間
 6)新しい概念とその関係

・Baumeisterら(2001)は、人間にとって「Bad 悪い」ネガティブなことの 
 ほうが、「Good 良い」ポジティブなことよりも強い影響をもつとした。

 一つのネガティブな出来事を乗り越えるためには、多数のポジティブな 
 出来事が必要になる。

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○AOMでPOSのワークショップに参加する当日朝までに目を通せた。
 これで自分に課した夏休みの宿題の一つが終了!

 今日のワークショップでも色々学びたい。

2013年08月05日

アメリカ経営学会(Academy of Management)年次大会に行ってきます!

2013年8月9日(金)〜13日(火)フロリダで開催される
経営学会(Academy of Management)の年次大会に参加してきます。


昨年度、大学院の指導教員である中原准教授が行かれて

「関根さんも機会があれば行ってみたら」と言われていたのが

心に残っていたからです。

http://www.nakahara-lab.net/blog/2012/08/_suffering_organization.html

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ASTD(米国人材開発機構)の年次大会には、2回ほど参加したのですが、

2007年度@アトランタ
http://learn-well.com/blogsekine/cat65/cat41/astd_2007/

2008年度@サンディエゴ
http://learn-well.com/blogsekine/cat65/cat41/astd2008/

AOM(米国経営学会)には初めてです。


(2009年から大学院受験準備が始まり、2013年3月末に大学院を卒業するまで、
 海外に行けていなかったので、久しぶりです。)

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まず、ウェブサイトはこんな感じです。

http://aom.org/

私は「Executive(実務家)」で会員登録しました。

(研究者の紹介が無いと入れないということはなく、
 お金さえ払えば誰でも会員になれるようです。)


興味ある領域は

「Organizational Behavior 組織行動」
「Human Resources 人的資源」

を選びました。


その上で、Annual meeting(年次大会)に申し込みます。

http://aom.org/meetings/


今年度(第73回)のテーマは「Capitalism in Question」です。

「疑問視される資本主義」とでも訳せばよいでしょうか。

http://aom.org/annualmeeting/theme/


説明文では、資本主義の特徴として、

1)Market competition 市場競争
2)Wage employment 賃金雇用
3)Limited government 小さな政府

をあげています。

しかし、これらの有効性が疑問視される中、どのように
「A better world(より良い世界)」を目指すのか、
研究者や実務家として何ができるのかを問う会にしたいようです。


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年次大会のプログラムは、PDFで500ページ近くあります。
これを見た瞬間にちょっと嫌になりました(苦笑)

年次大会は、大きく2つにわかれて進行するようです。

1.Professional Development Workshops(PDW)

http://aom.org/annualmeeting/components/pdw/

8月9日(金)〜11日(日)にかけて、
2~3時間のワークショップが開催されます。


2.Scholarly Sessions

http://aom.org/annualmeeting/components/scholarly/

8月12日(月)〜13日(火)に行われるいわゆる研究発表です。

「Online Annual Meeting Program」という参加者用のサイトを使い
どのセッションに参加するかを決めていきます。


私が興味関心をもっている

・Organizational Socialization(組織社会化)
・Newcomer(新人)
・Training(研修)

で検索してみたところ、そんなにヒットしませんでした。

その代わり、関連領域として

・Organizational Citizenship Behavior(組織市民行動)
・Organizational Commitment(組織コミットメント)
・Leader-Member Exchange(LMX)

が出てきたので、それらのセッションに参加することにしました。


参加するセッションで、既に文献が手に入るものは、
PDFを印刷して、もっていきます。

1論文あたり40pgぐらいが多いです。

英語文献にどっぷりつかる良いチャンスと思って
頑張って読みます。

どんな様子だったのかは、おってご報告します。


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ちなみに、リクルートマネジメントソリューションズさんの
「組織行動研究所」に、2006年度からの経営学会年次大会
参加レポートがありました。

非常に参考になります。こういう情報発信はやはり大事ですね。
ありがとうございます。

http://www.recruit-ms.co.jp/research/report/121128.html


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アメリカ出張そのものは、8月5日(月)〜19日(月)の2週間となります。

(「えらい、長いな」と突っ込まないでください(笑))


向こうでネットは使えるはずなので、メール等は大丈夫かと思いますが、
もしかするとご連絡等が遅れることがあるかもしれず、
ご容赦のほどよろしくお願いします。

それでは、行ってきます!