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AOM (米国経営学会) 5日目 「Organizational Socialization」

2013年8月13日(火) AOM最終日。 今日は2セッションに参加。


自身の研究分野である

・Organizational Socialization 組織社会化

のセッションがいくつかあるので楽しみ。

(・文献要約 講演内容 ○関根の独り言)

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9時45分〜11時15分 @Dolphine Resort Oceania 3

『Developing and Managing Performance』


後半2つに参加するために、途中から参加。
今日も教室形式、プロジェクターで一安心。

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●Contribution of Information Seeking to Organizational
Newcomer's Leader-Member Exchange

・新人による「情報探索」は「LMX」に正の効果を与えていた。

 情報探索の先行要因は「組織による社会化戦術」と「APOS:
 Anticipated Perceived Organizational Support組織支援の期待認識」

 高い「LMX」は、新人の「Strain緊張」と「Turnover Intention離職意思」
 に負の効果を示し、新人の「Extra-role Behavior役割外行動」
 に正の効果を示していた。

・情報探索してくる新人は「学ぶ気がある新人」と見られ、
 上司が「目をかけてくれ」やすい。

・組織社会化戦術が新人に対して行われることで、新人は自分たちが
 insiders内部者であると感じられることと、組織側は情報提供する気が
 あることを感じ、その結果、情報探索に積極的になると言える。

○「入社前」「3週間後」「3カ月後」「6カ月後」と4回に分けてデータ習得。
 素晴らしい!

 気になるのは、LMXを測った3カ月後、
 その従属変数であるOCB等を見たのが、6カ月後。

 この間に、LMX以外の何かの影響は無かったのか。
 そこは統制されているのかな。

○情報探索する新人もやりすぎると、上司から「うっとうしく」思われたり
 印象管理(やる気を前面に出して周囲の評価を高めよう)していると
 思われたりするかも。

 実際、聴講者からは「曲線の関係(ある程度までは上がるが、
 一程度を超えると下がる)もあるのでは」と指摘があった。

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●How Do Post-Training Transfer Interventions Affect Trainee
Attitudes and Transfer of Training?

・Transfer of Training(Baldwin & Ford 1988他)研修の転移
 は、2つのPost-training transfer interventions介入策で促進される。

 1)Relaps prevention 逆戻りの予防
 2)Proximal and distal goal setting 近位と遠位の目標設定

・これら2つの介入策が、研修受講者の態度である
 「Autonomous motivation to transfer 自主的意欲」と
 「Readiness to change 変化への準備」に影響し、研修の転移を促す。

・「Relapse prevention」とは、研修の転移を妨害するネガティブな脅威を
 列挙し、それに対してどのような対応をすればよいかを考えること。
 
 「Proximal and distal goal setting」では、いくつかの目標を設定し、
 その進捗を管理するフィードバックの方法も検討する。

・Relapse preventionの方が、実現性が高いと、受講者に受け止められ
 より研修の転移につながりやすい。

○この発表も楽しみにしていたけど、なんと発表者が欠席。ヒエー。
 ま、しょうがない。

○Relapse preventionは、知らずに研修の中でやっていた。

「(研修内容の現場実践を妨害する)じゃまもの」というセッションとして。

 こうやって実証されるとありがたい。

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同じ時間に下記セッションをやっていたので、大急ぎで会場を移動。
最後の質疑応答には間に合った。

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『Navigating One's Career: Self-Direction
  and Psychological Contracts』

●Fulfilling Employees' Psychological Contracts: The Role of
Organizational Socialization

・社会化戦術3分類:Social社会的、Context文脈的、Content内容的
 のうち、社会的社会化戦術が、新人の組織コミットメントと、POFitに
 影響していた。

・Psychological contract心理的契約を使って説明。

○竹内・竹内(2004)でも同じような結果がでている。
 http://learn-well.com/blogsekine/2009/11/post_296.html

 この発表でもTakeuchi&Takeuchi(2009)として引用されていた。

○調査データを、Online serviceで購入していることについて
 かなり突っ込まれていた。

 「お金で回答しているデータだから、信頼性が低い。
  回答慣れしている回答者もいるはず。」


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午後のセッションに向けて文献読み。今日は隙間時間も少なくて2本が限界。

130812a.JPG

5日目となると、結構つかれもたまってきてるかも・・・。

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13時45分〜14時45分 @Dolphine Resort Salon A4

『Leaders and Followers: Expectations, Fit, Needs and Knowledge』


後半2つのセッションを聞くために途中から参加。

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●Knowledge Transfer Across Hierarchical Lines: The Importance of
Structure and Type of Knowledge

・アメリカンフットボールチーム(Tall Organization縦組織)と
 アイスホッケーチーム(Flat Organization横組織)の知識伝達方法の違い

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●They Need Your Help! Newcomers' Needs for Socialization Support
and Supervisor Responses

・Taormina(1997)は、新人は4つのニーズをもつとした:
  Training訓練、Understanding理解、Cowoker support同僚の支援、
  Future prospects将来予想

 http://ebookbrowsee.net/10497-taormina-1997-organizational-socialization-a-multidomain-continuous-process-pdf-d86434252

・ただ、これは新人は同質であるという前提。
 新人によってはもつニーズに違いがあるのでは。

・組織社会化しづらい存在として、HEY:High-school Educated Youthがいる。
 年若い高卒の新人。

・彼らHEYと、大卒、年長と、3種の新人、および彼らの上司に
 インタビュー調査を行った。

 ニーズの違いと上司支援の内容を把握するために。

・その結果、新人のニーズは3種類に分かれることがわかった。

 1)年長で他社で仕事経験のある新人:Survival Needs(特にニーズなし)
 2)年若く経験も少ない新人:Standard Needs(4つのニーズをもつ)
 3)年若い高卒の新人:Extra Needs(4つ以上のニーズを持つ)

・上司は、2種類のSupervisory Socialization Tactics社会化戦術を
 使っていることが明らかになった。

 1)Supportive支援:細かく世話を焼く
 2)Test試験:突き放し試す

・Supportiveな戦術を使う上司は
 −自分も高卒、同じような経験
 −職種によって、長期就労が必要(辞めてほしくない)
 −組織文化 の影響で、そのような戦術を使うと考えられる。

 新人が「Extra Needs」を持っている場合ははまるが、
 「Survival Needs」の場合、うっとうしがられる。

・Testな戦術を使う上司は
 −自分も教わってきていない
 −新人が既存のチームに合わせるべき(合わなければいらない)
 −職種により大量採用、離職が珍しくない(例:飲食業)ため

 新人が「Survival Needs」を持っている場合ははまるが、
 「Extra Needs」の場合は、リスクがある。

・Accomodation適応重視:個人の特徴を生かすSupportive型上司は、
  Homophily mechanismsが働いている(似た者を助ける)

 Assimilation同化重視:グループの要求を重視するTest型上司は、
  社会化を、Rite of Passage通過儀礼と捉えている。

・両者のバランスを取るのが理想で、それは新人のニーズに
 合わせた対応(上司側の社会化戦術)を取ることにつながる。

○面白い!

 特に、上司がなぜ「Supportive」か「Test」の戦術をとるのか、
 その原因分析が興味深い。

 LMXの研究では「新人に見込みがありそう
 (Perfomanceの高さ・情報探索の度合)」なとき、上司は積極的に
 新人に関わるとしている。

○組織社会化しづらい新人は「高卒の若者」というのは、日本とは逆かも。
 
 年若く、早く学校を出た新人の方が、組織の色に“染めやすい”と
 考えるのが日本。

○上司の取る戦術は、本当にこの2つだけなのか。

 細かく見て行けば、Job-focused advice仕事に関するアドバイス、
 Guidance指導、Role modeling役割模範等もありそう。

 また、Situational Leadership的に考えれば、新人の成熟度によって、
 「Supportive」か「Test」かも変わってくるのでは。

○「Standard Needs(4つのニーズ)」の場合は、4つのニーズに応えられる
 よう、どちらかというと「Supportive」戦術を使うことになるのか。

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 ↑ と、ここまでは文献を読んだ段階で感じたことだったのですが、
   発表に参加したら、そこから更に深い分析をしていたそうで、
   内容が変わっていました。


・Supervisor上司は、3つのTactics戦術をとっている。
 1)Test 2)Corrective 3)Support

・Corrective tactics 修正戦術:新人の行動を修正する

・上司は、2つのPhases段階で、新人の社会化を行っている。

 1)Getting rid of the misfits 合わない新人を外す

    新人の人柄と価値観を見る段階(PWF、PVF、PGF)

 2)Evaluate the newcomer potentials 新人の潜在能力を評価する

    新人の業務能力と組織とのフィット感を見る段階(PJF、POF)

・各段階で「misfit合わない」と判断すれば辞めさせる。

・フランスでは社会に適応できない若者達の社会化が喫緊の課題となっている

○これまた面白い! 

 上司は入ってきた新人を2段階に分けてテストする。
 1)「うちとあいそうか」 2)「うちでやっていけそうか」

○入ってきた新人を辞めさせるというのは日本では難しいけど、
 能力を見極めて、合った仕事を与えるという点では、
 小池(2012)の「上司の査定」「OJT機会」が参考になるかも。

 http://learn-well.com/blogsekine/2012/12/post_375.html

○彼(Dr.Dufour)の発表は、組織社会化研究として、とても面白かったので、
 色々質問し、発表資料をもらうことにした。

○話しているうちに、研究者としてだけでなく、人間的にも魅力ある人物
 だったので、これから長くつきあっていくことになりそう。

 (フランス人の若手研究者。組織社会化を含む組織行動論が専門。)

 早速9月にスカイプでミーティングすることに。

 最終日に、いい人と出会えたのも、ご縁。 ありがたいこと。


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16時30分ごろ終了。

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