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2013年12月28日

2013年10〜12月の活動

2013年12月27日(金)

お世話になっている皆さまにお送りした近況報告メールの一部です。

===

いつもお世話になっております。ラーンウェルの関根です。

年の瀬でお忙しく過ごされていることかと思います。

私のほうは、昨日から三浦海岸そばで「Recruitment研究会」に参加しています。

(このメールが届くころには、1泊2日の研究会が終了し、脱力した状態で
 お昼ごはんを食べているかと思います。)

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(今後こういったメールは不要という方は、お手数をおかけしますが、
 下記で「解除」して頂けませんでしょうか?ご迷惑をおかけしてすみません。)
   https://i-magazine.jp/bm/p/f/tf.php?id=learnwell

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さて、本日は、以前からお世話になっている皆さまと、最近ご縁を頂き
名刺交換をさせて頂いた方々に、近況報告も兼ねてメールをお送りいたします。

今回も長文ですので、お時間のあるときにご高覧頂けましたら幸いです。

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【前回の近況報告メール】

前回は、2013年10月18日(金)に、7〜9月の活動についてご報告しました。

http://learn-well.com/blogsekine/2013/10/post_395.html

お忙しい中ご返信下さった皆さん、ありがとうございました。

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【近況報告】


今回は、2013年10月〜12月の活動(仕事、研究、地域)について、
ブログへのリンクを中心にご報告します。

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1.仕事


10月〜12月にかけては、「指導員フォロー研修」や「新人フォロー研修」
のお手伝いをさせて頂きました。

今年は「新人フォロー研修」の新しい試みとして、漫才師「モクレン」のお二人に
「漫才師に学ぶ上手なコミュニケーション」というセッションを担当してもらいました。

●新人フォロー研修に、漫才を。

 http://www.learn-well.com/blogmanabi/2013/10/post_235.html

 笑いが多く、かつ現場で使えそうな、楽しい研修となりました。

 (ご快諾くださったお客様、
  モクレンの野村さん、矢島さん、http://moku-ren.jimdo.com/
  ありがとうございました)


●研修というより、組織開発なのかも・・・

2012年度から関わらせて頂いている「現場OJT支援プロジェクト」で、
10月中は全国を飛び回りました。


詳しくは書けませんが、このプロジェクトでは、研修だけでなく、

・現状調査分析
・人物像の明確化
・教育体系構築
・社内講師の養成
・教育支援ツールの開発
・経営役職者層への研修 等

パートナーコンサルタントの皆さんのお力をお借りしながら、
様々な形で関わらせて頂いています。


他の会社様でも「指導員研修」単発ではなく、そのフォローや、
教わる側の新人への働きかけ、上のマネジャー層の関わり促進等、
色々とお手伝いさせて頂いています。

それは単に「お客様の要望に応えたい」「お役にたちたい」という想いで
必死に対応してきた結果でした。


ところが、最近ある方から

「関根さんのところは、研修単体だけでなく、
 組織開発の観点で関わってもらえるからありがたいです。」

と言われました。


その時、改めて「あ、うちのやっていることって、組織開発なのかも・・・」と
気づかされました。

(以前「組織開発研究会」をやっていた時には考えてもいませんでした。
 でもこの研究会で学んだことが、根を張っていたのかもしれません。

  http://learn-well.com/blogsekine/2011/07/201167.html ) 

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ちょうど、その方とお話していた日は、法政大学の長岡先生から

「学部生向け授業で“組織開発の実際”というテーマで話してもらえませんか?」

という依頼を受けていました。偶然が重なるものです。


●法政大学 長岡先生の授業「経営学」で「組織変革の実際」を講演

 http://learn-well.com/blogsekine/2013/12/post_400.html


改めて、弊社のやっていることは、「新人への指導」を切り口にした
「教えあう風土づくり」という組織開発のお手伝いなのかもと思いました。


ちょうどそういうテーマで短い講演を、JMAMさんでは担当させて頂きました。

●JMAMさん「仕事の教え方」「仕事の覚え方」eラーニング

 http://www.learn-well.com/blogmanabi/2013/12/e.html


===

この10月〜12月は、海外に出たことや、色々偶然も重なったことから
弊社の在り方について考えさせられることが多かったです。

今後、大きくは「組織開発」という観点でも
「新人指導」や「教え方」について考えていきたいと思います。


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2.海外


11月、2週間ほど海外出張に行かせてもらいました。

(大学院関連が忙しかった2009年春〜2013年春までは海外に出られず、
 その反動もあります。)

やっぱり海外に出るのは楽しいですね。刺激が多かったです!


●アジア出張:台湾編
 http://learn-well.com/blogsekine/2013/11/post_396.html

●アジア出張:中国(深セン)編
 http://learn-well.com/blogsekine/2013/11/post_397.html

●アジア出張:シンガポール編
 http://learn-well.com/blogsekine/2013/11/post_398.html

●アジア出張:マレーシア(KL)編
 http://learn-well.com/blogsekine/2013/11/kl.html

●アジア出張:マレーシア(JB)編
 http://learn-well.com/blogsekine/2013/11/jb.html

●アジア出張:ふり返り
 http://learn-well.com/blogsekine/2013/11/post_399.html


インターネットとLCC(ローコストキャリア:安い飛行機)のお陰で、
アジアはホント近くなったと思います。

来年も11月に2週間ほど、またアジア各国に行こうと思います。


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3.研究


●「指導員への影響」調査

東大の中原先生との共同研究「指導員への影響」は順調に進んでいて、
11月に「Time2」の調査を実施しました。

2013年度新人の指導員を対象に、4月(Time1)11月(Time2)、そして
2014年3月(Time3)の3回、縦断的調査を行います。

分析結果は、今後、中原先生の書籍や論文等で公開される予定です。

(調査にご協力くださっている皆様、本当にありがとうございます!)


●Recruitment研究会

中原先生のフェイスブック記事がきっかけで、
「The Oxford handbook of Recruitment」の輪読会をすることになりました。

ちょうどこの近況報告が届くころには、1泊2日の研究会が終わります。
どんな内容だったかは、さし障りの無い範囲で追ってご報告します。

http://learn-well.com/blogsekine/2013/12/the_oxford_handbook_of_recruit.html


●最近よんだ「組織社会化」論文
 http://learn-well.com/blogsekine/2013/12/20138.html


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4.地域


仕事で知り合った方から

「ときがわ町 いいところですよね〜。
 子供が小さかった頃、よく川に遊びにいきましたよ。」

と言われました。嬉しいですね。


●町の運動会
 http://tokigawa-machi.seesaa.net/article/376756181.html

●とうちゃんず「たき火でナンカレー」
 http://tokigawa-machi.seesaa.net/article/379343947.html

●木のくに ときがわ祭り
 http://tokigawa-machi.seesaa.net/article/379345559.html

●近所の山登り
 http://tokigawa-machi.seesaa.net/article/382728730.html?1387068642
 

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【今後の予定】


1)2014年2月末〜「仕事の教え方」が、マンガになります!

 2007年に日本能率協会マネジメントセンターさんから出版して頂いた「仕事の教え方」

 (現在8刷となっておりまして、出版社さん曰く
  「ロングセラーですよ」とのことです。ありがとうございます。)

 この本が、マンガになることになりました。

 マンガ家のあべかよこさんと、編集者さんのお力をお借りして、
 全く新しい本に生まれ変わります。

 漫画家さんとのミーティングは面白いですね。発想が広がります。


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2)3月11日(火)10時〜18時 NBSセミナー

 「若手リーダーが知っておきたい 部下・後輩への教え方 スキルアップ講座 」

  http://www.nikkei-nbs.com/nbs/seminar/140311CF.html


  日経ビジネススクールで、通算10回目の開催となります。
  
  弊社は基本的に企業内でのクローズド研修が中心なので、
  こちらは唯一の公開オープンセミナーとなります。

  
  実は、今回企画して下さった方は、下記eラーニングをご担当されていて、

  「この講座は楽しいので、ぜひリアルの場でも」

  と思って下さったのがきっかけだったそうです。ありがとうございます。


  『部下・後輩が育つ!上手な仕事の教え方入門』
  http://www.nikkei-nbsonline.com/course/kouza_xavb0901.html

  
  もしご興味があればぜひご参加を!

 「若手リーダーが知っておきたい 部下・後輩への教え方 スキルアップ講座 」
  http://www.nikkei-nbs.com/nbs/seminar/140311CF.html


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●次回報告

次回は、1月中旬くらいに「2013年度のふり返りと2014年度の目標」に関して
皆さん宛て近況報告メールをお送りできたらと考えています。

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お陰さまで、独立して9年(会社として8期)を無事終了することができました。
皆さんのご支援のお陰で、今期も黒字となり、しっかり法人税も払えそうです。

何とかやってこられたのも皆さんのお陰です。本当にありがとうございます。
今後ともご指導ご支援のほどよろしくお願いします。

よいお年をお迎え下さい。

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2013年12月24日

The Oxford Handbook of Recruitment 研究会

2013年12月26日(木)〜27日(金)@三浦


師匠の中原先生のつぶやきがきっかけで ↓
https://www.facebook.com/jun.nakaharajp/posts/10201413177224174

The Oxford Handbook of Recruitment の研究会を開催することになりました。


これまでも中原先生と一緒に英語文献の研究会は行ってきましたが ↓

「Workplace Learning」
http://learn-well.com/blogsekine/2011/01/workplace_learning_1.html

「Organization Development」
http://learn-well.com/blogsekine/2011/07/201167.html


今回はバリバリの研究者が中心で、今までとは違った雰囲気になりそうです。

(このブログを最初にアップしたのは、2013年12月24日朝で、研究会の前です。
 自分で読んで理解した範囲の内容を要約しています。

 2013年12月27日以降に、研究会で出た話を、さし障りのない範囲で、
 このブログに追加していきます。)


(・要約 ---・研究会での発言 ○関根の独り言)

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Ch.1 Investigating Recruitment: An Introduction

・Recruitment採用は、単なるHRMの一部分ではなく、組織の戦略的ツールとして
 見られるようになってきた。

・本レビュー論文集は、下記観点で整理されている
 1)Who 2)What 3)When 4)Where 5)Why 6)How

---

・採用研究は、もともと軍隊での研究から始まっている。
 心理測定中心、フラットで科学的な研究を志向。「色」がない。

・「採用」を「入試」というメタファーでとらえると、
 公平や平等という話が出てくる

・採用は、理念的には平等だが、実際は違う。
 企業側から見れば、平等である必要はない。

・産業組織心理学は、アメリカの一人勝ち。
 アメリカは文化的にある種、特殊。
 出てくる知見がヨーロッパとだいぶ違う。

・採用基準が明確になったところでどうなるのか。

===

Ch.3 Recruiter Effects and Recruitment Outcomes

・Recruitmentの定義は様々あるが、本章ではBarber(1998)を使う。

「リクルートメント(採用)は、組織が従業員候補を見つけ、惹きつける為に
 行う実践や活動」

 Barber(1998)は、採用プロセスを三つの段階に分けた:
 応募者を増やす、応募者を維持する、仕事選択に影響を与える

・Recruiter採用者の性質については、3つの理論が参考になる:
 1)Critical contact theory
 2)Signaling theory
 3)Elaboration Likelihood Model(ELM)

・Applicant attraction 応募者の惹きつけ に関する研究は、
 長年続けられてきている

 Jaeger(1955)が明らかにした「親しみがあって、正直で、誠実な人々が採用に
 関わることが、応募者の惹きつけにつながる」という発見は、その後の研究でも
 同じように支持されている。

・Fisherら(1979)は、ラインマネジャーに比較して、人事採用担当の信頼性に
 ついて疑問を呈した

・Chapmanら(2005)は、仕事と組織の性質、そしてどのように採用が行われたか
 どうかが、応募者にとっては重要であり、誰が採用を行ったかはそれほど重要
 ではないと主張した。

・Thomas & Wise(1999)は、採用担当の人種、性別、性格、知識は、応募者が
 マイノリティーであった場合に、より重要であることを明らかにした。

・Recruitment orientation 採用の方針は大きく2つ:
 1)Screening 選別 ふるい分け
 2)Selling 売り込み

・Employment interview 面接が、従業員を選ぶ際に最も使われている手法である
 (Arvey & Campion 1982)

・Recruiter Training 採用担当への研修は、応募者が感じる採用担当の能力や、
 組織の魅力に、それほど影響がないことが明らかになっている
 (例:Taylor & Bergmann 1987, Connerley 1997, Stevens 1998他)

・しかし、採用担当はゲートキーパーの役目を果たすため、バイアス
 (例:アラブ系や黒人系の名前を見ただけで低い評価を下すような)を防ぐため
 の研修は必要になると考えられる。

・採用担当が、採用の成果にどの程度重要な役割を果たしているかは、これからも
 検討されるべき課題である。

---

・欧米では、Campus Recruitingを通して、まずは
 インターンシップに引っ張り込む

・日本でのキャンパスリクルーティングで見るのは、POフィット。

 POフィットが高い若手が、リクルーターになることで、
 POフィットが高い新人が採れるのかも。

・初期説明会は外注のケースもある。
 マーケティング力にたけた会社が、他の会社の説明をする。

===

Ch.5 Recruitment and Job Choice

・Job choice仕事選択と、Job offer acceptance提示された仕事を受ける ことは
 同じ意味と捉えられてきたが、実は違う。

・Job choiceは、応募者が求職過程において行う、3つの行動選択である:
 1)Do I apply? 応募する?
 2)Do I continue? 続ける?
 3)Do I accept? 受ける?

・応募者が仕事選択を行う理由を説明する理論を大きく
 「Content内容」と「Process過程」の2つに分けて整理する。

・Contentに関する理論:
 1)Objective factors theory 客観的:給料、場所、仕事スケジュール
 2)Subjective factors theory 主観的:心理的ニーズの充足
 3)Critical contact theory 採用過程そのもの
 
・Processに関する理論:
 1)Expectancy theory 期待
 2)Generalizable Decision Processing Model

・Arveyら(1975)は、期間があくと、応募者の辞退が増えることを明らかにした。

・採用研究の多くは、警察官の採用に関するものである。

・先行研究をまとめると、場所、仕事の種類、報酬、昇進、POフィットが、
 提示された仕事を受けるか、断るかの理由となりそうである。

・Job choiceはプロセスであるが、これまでの研究は一時点を見るものが多かった

---

・Jobを選ぶのか、会社を選ぶのか。日本の新卒だと後者。

・学生側も、面談を通じて、その企業に関する情報が増える。

・Exitさせにくい場合は、採用に慎重にならざるを得ない。

・採用が成功したかどうか、判断しきれない。
 SPI等で経年比較はできるが。

 新卒の場合、戦力となったかは、7年ぐらいたたないと分からない。

○採用=集客、育成=責任? 

○日本は分業体制。
 採用は、人事の採用担当。教育は、人事の教育担当や現場マネジャー。

===

Ch.9 Job Search and Emotions

・本章では、求職者の肯定的、否定的感情の就職活動に対する影響を検討する。

・Job search 仕事探しと、Job choice 仕事選び は違う。

・本章では、Wanbergら(2005)の定義を使う:

 Job search 仕事探しとは、雇用を獲得するという目標に向けた、目的のある
 意欲的な、自己管理型で、動的なパターンをもつ活動 をさす。

・失業者が、モチベーション管理(例:目標設定やリハーサル)スキルをもつと
 仕事探しの効果が増す。(エモーション管理、否定的感情や自己卑下の管理には  
 その効果がなかった)そしてこのスキルは研修を通じて教えることができる
 (例:Vinokurら1991)。

・emotional 感情的「experiences 経験」「regulations 統制 制御」「contagion 接触 伝染」
 が、求職者の決断と活動、雇用者に対する評価に影響を及ぼす。

---

・感情の制御 一次感情:寂しさ、悲しさ 二次感情:怒りで表現

・「楽しい採用活動」をしても内定受諾までいかないケースもある

===

Ch.11 Strategic Recruitment: A Multilevel Perspective

・Strategic recruitment戦略的採用は、HRM活動と企業の戦略目標を統合したもの。

・「コアコンピタンス」と「RBVリソースベースドビュー」でSHRMを考える。

 RBVによれば、HRMは持続的な競争優位を保つ源泉となる。

・戦略タイプ:
 1)オペレーションの効率化
 2)差別化、イノベーション
 3)特化、顧客密着
 4)拡大

 その企業の戦略タイプによって、採用で重視する点も変わる。

・Cappelli 2009が提示したように、採用をサプライチェーンとして考えるのも有効。

---

・Recruitmentの定義 Wanous?は「募集、惹きつけ」と狭い定義
 それ以外は広く、Selection「選別」までを含むケースが多い。

・採用は手を加えやすい。単年なので。人事制度は変えにくい。

・SHRMは、アメリカでさえ上手くいっていない。
 人事はえぬきの社長はほとんどいない。

・SPIが使われ続けている理由は、企業側が採用に関して
 あまり変わっていないからかも。

 求める人材像、面接重視、ポテンシャル(偏差値)

・採用は本当に重要なのか。入口よりも、途中のほうが重要では。

・とがった人は、丸くなるか、いなくなる。
 組織内での組織社会化の圧力が強い。

・採用は戦略と関係なく動いている。
 新卒採用は若手が担当していることが多い。

===

Ch.12 Research Design in Evaluating Recruitment Effectiveness:
Past, Present, Future

・Staffingスタッフィングは、組織目標を達成するために、有能な人材を惹きつけ、
 選別し、維持する過程である(Ployhart 2006)

 Recruitment採用は、Staffingの下位領域であり、組織が、応募者を見つけ、
 惹きつけ、選択に影響を与える努力に焦点を当てている。

・Carlson & Connerley(2003)のStaffing Cycles Frameworkは、
 採用を分析する際に有効である。
 
 特に、それはお互いの決断が、お互いのその後の行動を規定するという点が
 他の枠組みと比較して特徴的。

 3つの段階:
 1)Initialization 初期 D1,D2
 2)Matching 合致 出会い D3,D4,D5
 3)Employment 雇用 D6,D7

・メタ分析の結果、これまでの先行研究では、Attitudes態度に焦点が当てられ、
 Behaviors行動に焦点を当てたものがほとんどない。

 ほとんどの研究が学生を対象にした実験である。
 (社会人に対して、現場での採用活動を対象にしたものが少ない)

・「質の高い応募者の数」「質の低い応募者の減少」
 「提示した仕事を応募者が受けたのかどうか」といった観点で
 採用活動を評価すべき。

・採用活動についての効果検証はほとんど行われていない。

---

・他の企業の出方によって、母集団形成に影響が出る。

・一括採用の弊害:一人で複数内定を得る人材が出る。

・一括とはいっても、初期の応募者と後期の応募者では、
 人材の質に違いが出る。

・「コネ」での採用 

・営業的観点から、有名人、大企業の子息を採用する企業もある

・「体育会系」というのも一つのコネ

===

Ch.14 Word of Mouth as a Recruitment Source: An Integrative Model

・会社によるコントロールから独立した採用の情報源として、
 Word of Mouth 口コミがあるが、ほとんど研究されていない。

 そのため本章では、口コミに関する知見が多いマーケティング研究から
 採用における口コミについて検討する。

・採用の情報源としての口コミは「特定の仕事や雇用者としての組織に関する 
 人々の間のコミュニケーションであり、それは組織の採用活動からは独立した
 ものである」(Van Hoye & Lievens 2009)

・最近では、ネットによるWord of Mouseの重要性も高まっている。

・肯定的な口コミは、組織の魅力や実際の応募決断に効果を示したが、
 否定的な口コミは、関係を示さなかった(例:Collins & Stevens 2002他)

・組織が口コミを管理する4つの戦略:
 1)Observers 観察者
 2)Moderators 司会者 仲介者
 3)Mediators 仲裁者 調整者
 4)Participants 参加者

---

・「縁故」という非公式なネットワークを持てない人のためにも
 公式ネットワークを作る必要があるのかも

・海外(アジア)では、人づて採用が多い。
 「一族、皆やとってくれ」と言ってくる従業員もいる。

===

Ch.18 Impression Management during the Recruitment Process

・Impression Management(IM)は、「現実あるいは想像の世界での社会的交換に
 おいて、イメージを管理しようとする意識的、無意識的な試み」と定義される
 (Schlenker 1980)

・Tedeschi & Melburg(1984)は、Assertive IM tactics 主張的IM戦術と、
 Defensive IM tactics 防衛的IM戦術の2つを提示した。

・研究の種類として、Selection 選別 選考 と Recruitment 採用 指向がある

・上記2つを組み合わせ、4分類して先行研究を概説する:
 1)応募者による主張的IM 面接者による評価
 2)面接者による主張的IM 応募者の惹きつけ
 3)応募者による防衛的IM 面接者による評価
 4)面接者による防衛的IM 応募者の惹きつけ

・面接者による主張的IMが、応募者の決断に影響を及ぼしているかは、
 今後の研究課題の一つである。
・面接者は、応募者の防衛的IM(例:謝罪)を好意的に受け取るが
 (例:Peeters & Lievens 2006)その理由は明らかになっていない。

・労働人口とスキルある人材の減少により、War for talent 才能獲得競争は、
 今後さらに激しさを増す。

 その際、Selection選別で受けた印象は、その後のRecruitment募集活動にも
 影響を及ぼす(悪い口コミが広がる)

・履歴書や性格テストでも、IMは行われる。

・偽りのIMの見極め、IMと実際の業績の関係、文化的違いは、
 今後の研究課題となろう。

---

・アメリカでの採用面接「Impress me!」と面接官が言ってくる

・本来以上に「もる」学生。学生時代のエピソード。
 「就活エリート」として役割演技をし、燃え尽きてしまう。

・採用には「情報の非対称性」「効果検証の難しさ」がある
 そうなると「言ったもん勝ち」になりやすい。

・落ちた人への説明、なぜ採用しなかったのかの理由
 アメリカだと必要。そのために「テスト」が使われる。

===

Ch.21 Internet Recruiting 2.0: Shifting Paradigms

・50%以上の人事担当者が、LinkedInやFacebookといったSNSを採用に使っている。

・ネットを使った採用に関して、4つの観点で整理する:
 1)豊富なメディア
 2)カスタマイズ
 3)プッシュ‐プル
 4)脱中央化

・ネットにより、コミュニケーション richness と reach を両立できた。

・応募者それぞれに合わせた特定の情報を提供できるようになった。
 カスタマイズにより、求職者が感じる不確実さが減少されるようになった。

・リアルタイムに、継続的に、更新された情報が提供されることで、
 求職者は組織に対して信頼感を抱く。

・人事のみならず、組織の全員が、採用担当となりうる。

---

・「ソー活」は、企業側からのチェックもあるのでは
 「変なこと言っている学生ではないか」

・Linkedinは、ウェブ上の履歴書のようなもの。

・募集-選抜-定着 Recruitmentで求められるものは変わらない。
 ネットが発達しても同じような状況が繰り返されるだけでは。

===

Ch.22 Recruitment: International Cross-Cultural Perspectives

・本章では、本国のHRM施策の進出国への移転に焦点をあてる。

・Institutional theory 制度理論によると、
 HRM施策は isomorphism 同型化する

・National business systems theory によれば、本国と進出国間のやりとりにより
 HRM施策は、congruence 調和する

・日本では、将来の管理職を大学から直接採用し、研修と社会化を通して、
 組織文化に染めていくという方法がとられている(Robinson 2003)

・日本では、外資で働くよりも、国内企業で働くほうが、
 より価値が高いと見られている(Robinson 2003)

・Hofstede(2005)の文化的差異により、採用方法の効果にも影響が出る。
 −Individualism/Collectivism
 −Uncertainity avoidance
 −Masculinity
 −Power distance
 −Long-term orientation

・日本では、履歴書に写真が求められるが、USではほとんどない(Leongら2004)

・文化横断的な採用研究はほとんどない(Ma & Allen 2009)

---

○会計処理で離席

・ホフステッドの日本に関する最新データ
 http://geert-hofstede.com/japan.html


===

Ch.23 Realistic Job Previews: Past, Present, and Future

・RJPは、仕事に関して、肯定的、否定的 両側面の情報を応募者に提示する

・RJPは、離職の減少に効果があるとされてきた(Philips 1998)

・Wanous(1973)により、RJPへの注目が高まり、
 1980年代、90年代は、RJPの黄金時代となった

・RJPは、initial expectations 初期の期待とは関係が見られたが、
met expectations 実際の期待とは関係が見られなかった(Earnestら2011)

 RJPが、自発的な退職と関係するのは、その組織を正直と感じるというメカニズム
 と関連するのかもしれない。

---

・RJPをされていると、新人は感じるのか?

・企業も開き直る「うちは、終電じゃないと帰れないよ」

・ネガティブな情報を出されるだけで、
 学生は「この企業は誠実だ」と感じるのか?

 ネガティブな情報を聞いた上で「それでも選ぶ!」という
 選択コミットメント効果があるのでは。

・インターンシップもRJPにはなりにくい。
 綺麗なことしかやらせられない。

・説明会には「キラキラ採用担当」しかいない。

 「あの人に憧れて」といって入社しても、
 その人は配属先の現場にはいない。

===

Ch.26 How Do You Study Recruitment? A Consideration of the Issues and
Complexity of Designing and Conducting Recruitment Research

・本章は、採用研究の設計と手法に焦点を当てる。

・Recruitmentの定義は幅広い。それらを検討してみると
 従属変数は明確だが、独立変数が不明確なものが多い。

・Saks(2005)は、採用研究は個人レベルの分析が中心で、組織レベルが無い為、
 組織にとって有益な情報を提供できていないと批判。

・本章では、Saks(2005)のモデルに、4つ目の段階(社会化)を追加した
 Recruitment Research Design Model(RRDM)を提示したい。

・採用研究の4種のデザイン:
 1)Single-Stage design
 2)Cross-Stage design 
 3)Multiple-Stage design
 4)Sequential-Stage design

・手法の課題5つ:
 1)分析レベル:組織レベルが少ない
 2)サーベイ、実験、質的:特定テーマは特定手法のみとなりがち
 3)被験者の種類:学生中心、Job offerを受けていない段階
 4)採用実践活動の数と種類:複数の効果をみるべき
 5)採用前と後の結果:採用というより社会化の影響が強い可能性

---

・日本の新卒だと、結果変数が取れない。
 「最後に残ったこの人たちは、良いのか悪いのか」

・採用のゴールは何か?
 離職しない、3年後に頑張れるか?

・採用での各種変数と、8年後の業績評価に、相関は出なかった。

・採用よりも、育成に関する変数のほうが、説明しやすい。

・アメリカでは、応募者から訴えられても勝てるように、
 採用に関する研究が発展してきた。

・「欲しい人材像」に基づく判断は、ほぼ一次面接でカバー。
 2次面接以降は、違う観点で見ているのかも。

===

Ch.24 The Goldilocks Pursuit During Organizational Entry:
Applicants' and Recruiters' Search for the "Perfect Fit"

 ゴルディロックスのように「ちょうど良さ」を、組織参入時に求める人たち:
 求職者と求人者による「完全適合」の探索


○この章は、関根が和訳を担当しました。

 PDFファイルを開く

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・日本では、Jobが明確でないので、POフィットで見ざるを得ない。
 「うちに向いているかどうか」「こいつと一緒に働きたいか」

・採用面接者側のPOフィット判断には共通のものがあり、
 ブレはなかった。

・POフィットには「人と上手くやっていけるか」という側面もある。

・PVフィットといっても、実際に日本にはないのでは。
・学生側は、入りたい企業に自らを合わせようとする。
 
・中途は、フィットが大事。仕事のやり方、上司との関わり方が、
 前職と違うと、かなり戸惑う。

===

Ch.25 You Will Be Known by the Company You Keep:
Understanding the Social-Identity Concerns of Job Seekers

    どの会社に勤めるかで、あなたがどう見られるかが決まる:
    求職者の社会的アイデンティティ関心を理解する


○この章も、関根が和訳を担当しました。

 PDFファイルを開く

---

・M&Aの場合の組織アイデンティフィケーションの難しさ
 ・辞めた後のほうが、強い組織アイデンティフィケーションをもつ
 ケースもある。(例:リクルートをやめて「リ僑?」になる)

・親としてのアイデンティティは、職業アイデンティティに
 影響を及ぼす

 http://ci.nii.ac.jp/naid/110003168256

===

●ふりかえり

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・内定を英語で何というのか?
 
 Unofficial, informal job offer. Private decision?

・採用が上手くいったかどうか、どう判断するのか?
 
 担当者レベルでは「競合と比べて、内定者数が多いか」
 といった観点の話も出る。

・内定式で親を呼ぶ。内定辞退の主たる理由は親の反対。

・メンタル面の問題を排除したい企業側。

 適性検査+面接でも分からない。
 本人も自覚していないので、問うても出てこない。

・大学でのキャリア教育でも、採用については触れない。
 触れると、ハウツー中心になる「どうやれば通りますか」

・高校教員は、大卒ですぐ高校に入るので、それ以外の進路を知らない。
 大学教員よりも、社会との接点は少ないのかも。

===

○参加して

・日本企業人事での分業体制「採用と教育」はしばらく続きそう。

・弊社の場合は、採用ではなく、やはり教育に重点を置く。

・「Swift socialization 素早い社会化」のヒントは、
 採用よりも、内定者教育以降にありそう。


 またこういう英語文献が出たら、研究会を企画したいです。
 ご参加下さった皆さん、中原先生、ありがとうございました。

===

●関連ブログ:

中原先生 「今年は「採用研究会」で仕事納めです!:
The Oxford handbook of Recruitmentを揉む会」
 http://www.nakahara-lab.net/blog/2013/12/the_oxford_handbook_of_recruit.html

舘野さん 「採用に関わる研究をレビュー中!:採用研究会に参加しています」
 http://www.tate-lab.net/mt/2013/12/post-299.html

服部先生 「採用学プロジェクト」
 https://www.facebook.com/saiyougaku/posts/629100180488291


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2013年12月17日

法政大学でのゲスト講演「組織変革の実際」

2013年12月16日(月)午後

法政大学 長岡先生のご依頼で、
学部3,4年生向け「経営組織論」のゲスト講師を務めさせて頂きました。

テーマは「組織変革の実際」です。

授業で「組織開発」や「組織変革」と学んでも、

「組織が変革するってどういうこと?」
「組織開発の手段の研修って何やるの?」 等、

さまざまな疑問を学生さんたちはもつようです。


そこで、さし障りのない範囲で、実際の企業事例を紹介し、
研修の一部を体験してもらうことで、イメージをつかんでもらうことになりました。

小1時間のパートを、次のような内容で進めました。

===

0.導入 (自己紹介、今日の内容と進め方)

1.組織変革の考え方 (現状と目標の差を埋めるための組織変革)

2.組織変革の事例 (「教えあう風土づくり」、研修の一部体験)

3.組織変革の難しさ (合意形成を図るべき相手が多数、危機感は一部のみ、変革疲れ)

===

実際の研修を体験するパートでは、学生さんたちに立って話し合い等を
してもらったのですが、皆さん、熱心に取り組んでくださったのでありがたかったです。


授業では、Twitterでの質問や気づきもアップされていて、
「あ、こういう風に思うんだー」と、私自身とても勉強になりました。

Togetterでのまとめ
http://togetter.com/li/604449


また、ここには記載しませんが、学生さんたちが授業後に書いた
リフレクションペーパーを通じて、貴重な意見や感想ももらえました。


貴重な機会を下さった長岡先生、手伝ってくれた長岡ゼミの皆さん、
ありがとうございました。

2013年12月04日

最近よんだ「組織社会化」論文

最近よんだ「組織社会化」論文です。

(・引用/要約 ○関根の独り言)

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●Support, Undermining, and Newcomer Socialization:
Fitting in During the First 90 Days

・J.Kammeyer-Mueller, C.Wanberg, A.Rubenstein, and Z.Song

・2013年 Academy of Management Journal

・同僚と上司による新人の支援は、最初の90日間で減少していく。
 初期の支援と嫌悪が、90日後の成果に強い影響を及ぼしていた。
 新人の能動的行動は、支援と成果の媒介変数となっており、
 上司の嫌悪は、高い離職率と関係していた。


・これまでの組織社会化研究では「組織」と「新人」に焦点が当てられてきた。

 「Supervisors上司」や「Co-workers同僚」は、新人が能動性を発揮し
 情報を探索する際の「情報源」としてしか捉えられていない。

 しかし「Insiders内部者」は、適応を支援したり、あるいは逆に適応を
 難しくする存在ともなる。

 また「Time時間」も組織社会化において解決されていない問題である。

・本研究で着目するのは、
 1)上司のみならず同僚の支援
 2)新人の適応を妨げる上司や同僚の「Destructive behaviors破壊的行動」
 3)「Hedonic tone快楽調?(ポジティブな雰囲気、幸福感等)」と
   「Proactive behaviors能動的行動(職場に適応しようとする)」
   (↑雰囲気や感情に着目する)

・Social support 社会的支援
 Social undermining 特定個人に対する怒り、嫌悪、批判

・3ヶ月間の縦断的調査を実施 264名が14回の調査に参加。10の仮説を検証。

・「社会的支援」と「社会的嫌悪」が、新人の「快楽調」と「能動的行動」
 にどのように関係し、またそれらが組織社会化の結果変数にどのような
 影響を及ぼすのかを検証。

・新人の能動性は、最初の社会的環境が肯定的で、かつ社会的支援が
 継続して得られるときに発揮されやすい。

○新人個人の性格として「能動的」であるかというよりも、
 能動性を発揮しやすい環境であるかが大事、ということかな。

 
・最初に何が起こるか、第一印象は新人にとって非常に重要。
 第一印象で、新人はその職場全体の社会的環境を判断する。

・新人は社会的支援を継続的に必要とする。

・従来の研究は、上司の影響に焦点をあててきたが、本研究により
 同僚の支援や嫌悪が新人に影響を及ぼしていることが明らかになった。

・新人の最初の1週間がその後の適応に大きな影響を及ぼしている。

・最初の3カ月間の新人適応を調査した結果、初期の上司と同僚による支援の
 程度が、新人のポジティブな雰囲気と能動性を高め、支援の変化はそれら
 2つに影響を及ぼすことが明らかになった。


===

●Developing Trust with Peers and Leaders: Impacts on Organizational
Identification and Performance during Entry

・J.M.Schaubroeck, A.C.Peng, and S.T.Hannah

・2013年 Academy of Management Journal


・本稿では「Trust in coworkers 同僚による信頼」が、新人のパフォーマンスや
 組織との心理的つながりを作る際に果たす役割に焦点をあてる。

・2つの信頼
 1)Cognition-based trust 認知的信頼?:他者の能力、任せられる、頼れる
 2)Affect-based trust 情緒的信頼?:感情的つながり

・成功した社会化は、Social identity社会的同一化と、
 Social exchange社会的交換の過程とみることもできる。

・組織参入研究では、同僚と上司を、新人のinstrumental   
 social社会的支援の源とみてきた。

 本稿では、同僚と上司との信頼がいかに発生するかを検証する。

・アメリカ軍の新人兵士を対象に14週間の縦断的調査(T1,T2,T3)を実施。

・同僚と上司の「認知的信頼」が「情緒的信頼」に影響を与えている。

・まず新人が同僚と上司を評価する。これが認知的信頼を規定する。
 認知的信頼が高ければ、新人は同僚や上司と密な交換関係を築き、
 それが高い情緒的信頼に反映される。

・新人と内部者は、まず認知的信頼を築き、相互依存的タスクをこなしていく。
 一定期間続けていく内に、だんだんと情緒的信頼を築いていく。

○言われてみれば当たり前だけど、大事なこと。

 「能力に対する信頼」から始まり、共に仕事をしているうちに
 「感情的つながり」にいたる、というのは、確かにありそう。

 ドラマでありそうなのは、お互いに力は認めているけど、仲良くはない
 ライバルが、段々と信頼関係を築いていくような感じかな。


===

●組織社会化と組織的同一化の弁別妥当性

・神戸大学 林祥平 ・2013年 経営行動科学

・組織社会化(Organizational Socialization)は、個人が組織の成員性を
 獲得し、組織にコミットすることを一つの終着点とする研究領域。
 
 組織的同一化(Organizational Identification)は、組織と個人の心理的
 距離を縮めることを終着点とし、その結果帰属意識を高めることが可能に
 なる研究領域。

・両概念は、従業員の帰属意識に影響力をもつ点で共通する。

・社会化は学際的な概念であり、これまで主に心理学、社会学、文化人類学で
 論じられてきた。

 組織社会化と社会化の定義に共通して言えるのは、2つ。
 1)個人が成長していくプロセス
 2)個人が社会的性格を獲得

・本稿では組織的同一化を、対象との“認知的かつ情緒的な繋がり”と考える。

・最終的に個人が組織に適応することで、社会化は“成功”したとみなされる。
 適応の代理変数として、組織コミットメント、離職意思、職務満足、役割適応
 が使われる。

 だが、これらは本来二次的な成果であり、組織社会化の結果、直接的に発生
 する一次的成果は「学習・包括性・同化」である(Chao et al.1994 他)

・Jones(1986)によると、個人は脱個人化せずに主体性を維持することが重要。
 つまり個人が組織に適応するということは、社会化の段階を経て、組織の 
 成員性を獲得し、なおかつ主体性を保っている状態。

○改めて、この指摘は大事。

 新人は「組織に染まる」けど「個性を失う」わけではなく、
 「染まっているかもしれないけど、自分はきちんともっている」状態が
 適応と言えるのかも。

・本稿では、理論的に組織社会化と組織的同一化が弁別可能かを検討した上で
 その弁別妥当性の経験的分析(質問紙調査)を試みた。

 分析結果から、適合度の高いモデルでは、常に両概念間に有意な相関が
 見られたため、両概念の弁別を経験的に示すことはできなかった。

○つまり「組織社会化」と「組織的同一化」に違いはなく、
 同じようなことを言っているということ?

・個人は社会化することで、自己アイデンティティを形成し、結果として
 個人が組織に同一化する一因になるとするなら、両概念の因果関係の検討
 は今後明らかにすべき課題である。


===

●若年就業者の組織適応エージェントに関する実証研究
  〜職種による比較分析〜

・甲南大学 尾形真実哉 ・2012年 経営行動科学

・「組織適応」を、組織社会化(職業的、文化的)、組織コミットメント、
 離職意思の3つの概念でとらえる。

・若年就業者の適応を促進する役割を果たすのが「適応エージェント」。
 これらを考察するのに有益なのが「社会化エージェント」に関する研究。

・「適応エージェント」の種類
 1)ピア(メンタリング:知人、同僚、親友)
 2)上司(垂直的交換関係、LMX)
 3)同僚(TMX、職場)
 4)グループ要因(職場のコミュニケーション風土)
 5)予期的社会化

・職種が異なる二つの母集団を比較:ホワイトカラーと看護師

・双方とも、組織参入前の予期的社会化が重要であるということがわかった。

・双方において「人的サポート(上司・同僚)」が組織社会化に影響を与えて
 いなかった。

 組織社会化を促進するエージェントについては、人的サポートよりも若年
 就業者自身の観察学習や経験からの学習、情報探索行動などの主体的行動
 (プロアクティブ行動)が重要になってくると考えられる。

○これは面白い結果。ただ、より詳しくホワイトカラーを見ていくと

 「上司サポート」は「情緒的コミットメント」「離職意思の低減」に影響。
 「同僚サポート」は「文化的社会化」に正の影響。
 「同期サポート」は、影響なし。
 
 細かく見れば、影響が無いわけではない。
 つまり「人的サポート」は、無駄ではない。

 (せっかく新人に関わっても意味がないということだったらちょっと悲しい)

・コミュニケーション風土は、ホワイトカラーの組織適応に影響がなかったが
 看護師の組織適応には影響を及ぼしていた。

 より高度な職種に携わる職場のほうが、職場のコミュニケーション風土が
 重要であるということがわかった。

・若年就業者の組織適応を促進させるためには、サポートのコンテンツと、
 サポートのタイミングを意識しながら、必要な時に必要なサポートを提供する
 ジャストインタイムのサポート提供が必要になってくる。

○これはそうだろうけど、「タイミング」は難しそう。

===

●人材育成研究における身体の意義
  〜新人の組織社会化を例として〜

・人事コンサルタント 伊藤精男 ・2013年 人材育成研究

・人的資源管理論や組織行動論における議論では、大部分が操作的な説明
 変数を中心とするものであり「反省的な」認知を暗黙の前提とした上で 
 新人側からの認知尺度を元に測定したデータから結論を導出するものが多い。

・「非反省的な」身体性の観点から組織社会化を
 とらえようとする研究は皆無。

・「身体という準拠枠」は、重要な研究視点を提供する。

・組織の中で繰り返し「身」(市川1984)をもって経験することが
 「身」のうちに沈殿し習慣化していくとき、すなわち行動の様式が惰性化し、
 無意識のうちに我々の身体的次元にまで浸透するときこそ、
 真に社会化が達成されると言いえるのである。

・組織になじんでいく身体の形成こそが
 組織社会化のプロセスであるとも言い得る。

・モース(1976)は「型(ハビトゥス)の社会性」を指摘。
 身体の使い方は文化によって規定されている。
 ハビトゥスは、威光模倣によって受け継がれ再生産される。

・固有の身体技法(型)を習得することが、特定の組織の人となること。

・型を体現している他者を無意識のうちに身体レベルで「なぞる(野村1983)」
 経験の蓄積が不可欠。

・新人は日常的に組織という場で暮らす中で、組織固有の身体技法(型)を
 獲得することを通じて、その組織人「らしさ(尼崎1990)」(身にしみこんだ
 心身経験の図式としての「型」)を習得するという観点から、
 組織社会化を考察する可能性。

・ルーティンを実施することによって非反省的に身体技法を習得し、結果として
 その背景にある組織における価値を受容し「組織人らしさ」を獲得していく。

・「非反省的な」身体性の変容は、当事者にも自覚され得ない程の微妙な移り
 行きの中で行われ、組織の中で日々のルーティンに巻き込まれて生きる中で
 結果的に達成されていく。

・「組織に適応する身体」が形成されたことによる組織社会化の達成。

○面白い! 

 確かに今までの組織社会化研究は、
 新人の「頭の中」を見ようとしてきたのかも。

 新人が組織のルールや人間関係等を「理解」すれば、
 組織社会化が達成されたと考える。

 でも実際は「頭ではよくわからないけど、なんとなくなじんできた」とか
 「会社での生活に身体が慣れてきた」みたいなことは、確かにあると思う。

 ただ研究として「当事者も自覚しえないほどの変化」を、
 第三者がとらえて形にするのは難しそう。

 人類学者のエスノグラフィーみたいに、長期間入り込んで、
 新人の行動を観察するとかなら見えてくるのかな。

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