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2014年05月24日

「小商い」本

最近読んだ「小商い」関連本。


弊社(LW)は、家族5人経営の零細企業。
今後どうしていくか、色々ヒントが見つかった。

(・要約 ○関根の独り言)

===

『街を変える小さな店』 堀部篤史 2013年


・京都市左京区が、個人店がひしめく小商いの街として注目されつつある。

・業種を超えて、街に学び、街と共に生きることにこそ、本屋をはじめとする
 小さな店の未来があるはず。

・(レコード屋)何を置くかよりも、何を置かないかが大事。

・ウェブ検索が「知る」ことの最短距離として定着したが、関心のない
 物事に触れる機会がずいぶん貴重なものになった。

・恵文社さんが、左京区を、歴史的、規模的、文化の成熟度的に耕した。


===

『小商いのすすめ:経済成長から縮小均衡の時代へ』 平川克美 2012年

・311の後、問いは一つに絞られた
 「これまでのやり方の延長でやっていけるのか?
  それともこれまでとは違うやり方を見出さなければならないのか?」

・「隣組」とは、1940年に明文化された日本独特の制度であり、戦時体制の
 銃後を守る生活基盤を作るという目的で組織された。

・こどもが安心して、こどもでいられるためには、責任を負ってくれる
 おとなの存在が必要であり、責任あるおとなたちが作っている社会に
 こどもが入りこむことは許されないという暗黙の掟が必要。

・貧乏がおとなを作り、富が日本人から野性を奪った。
・日本が貧乏だったことが、経済の拡大均衡にとって最も重要な初期条件。

・小商いとは、野生の知恵で時代を生き抜くという生き方のフォルム(形式)
・小商いとは、ちいさな問題を考える際に取りうる立ち位置から、ビジネスや
 社会に関わること。
・小商いとは「いま ここ」にある自分に関して責任を持つ生き方。
・小商いとは、自分が売りたい商品を、売りたい人に届けたいという送り手と
 受け手を直接的につないでいけるビジネスという名の交通である。

・小商いとは、様々な外的条件の変化に対して、それでも何とか生きていける
 笑いながら苦境を乗り越えていけるためのライフスタイルであり、
 コーポレート哲学なのである。

○ここは確かにそう思う!独立起業してもうすぐ十年。小さくビジネスを
 やってきてよかったと思うことは、どんな環境になろうとも何とかやって
 いけるという自信をもてたこと。

・放射能と共存する以外にない。それは可能であり、心的な耐性を身につける
 ことこそ、困難と共存する第一歩。

・ニューディーラーの思想は、グローバリズムの思想の対極。
・フクシマを、新たなニューディールのシンボリックな場所にする。


===

『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』 渡邉格 2013年

・自分の「労働力」を切り売りすることを避けようと思ったら、自前の
 「生産手段」をもてばいい。

・「技術革新」は、労働を単純に、楽にする方向で進む。
 労働が単純化することで、いくらでも替えがきくようになる。

・「職」(労働力)を安くするために、「食」(商品)を安くする。
 これがマルクスが解き明かした資本主義の構造。

・「腐らない」おカネが、資本主義のおかしさを作り出している。

・生を全うする根底には「腐る」ことがあるのでは。

・麹菌を使って、お酒や食品を作るのは、日本独特の文化。

・「自然栽培」において、農家の仕事は「土を作る」こと。そうすれば、
 植物は自分の力で「育つ」ようになる。育てるのではなく、育つ場を作る。

・引き算のパン作り。

・お金を使わされるために、働かされているような。

・資本主義経済の矛盾は、生産手段をもたない労働者が、自分の労働力を
 売りしかない構造から生まれている。

・自前の「生産手段」を取り戻すことが有効な策になるのでは。
 そのニュアンスを上手く表現してくれているのが「小商い」という言葉。

・労働者が生み出した分は、労働者にきっちり渡せば「利潤」と無縁で
 いられる

・同じ規模で経営を続けていくのに「利潤」は必要ない。

○俺はここまで割り切れてない。
 利益を出して経営を続けていくことを考える。古いタイプなのかなー。

○「田舎で子供を育てたい」とあこがれて、田舎起業を目指した日々。
 独立してよかったとしみじみ思う。

http://www.inaka-kigyo.com/index.html

===

『Small Giants 事業拡大以上の価値を見出した14の企業』
  B.バーリンガム 2008年

・営利的な目的に加えて、別の非営利的な優先事項をもっている。
 
 その仕事で優れた存在になること、働きやすい環境を作ること、
 顧客にサービスを提供し、サプライヤーと優れた関係性を築くこと、
 生活とビジネスを置く地域に貢献し、自分の生き方に結びつく優れた道を
 見つけること。

 このような目的にも興味を持つ企業を「小さな巨人」と呼ぶ。

・注目した企業は、いずれも「人間的な規模」のサイズで経営。
 組織内の全員が互いに知りあい、CEOが新入社員の面接に当たることができる
 ぐらいのサイズ。

・株式非公開を維持し、成長以外の目標を設置することを選んだ場合、
 見返りに「コントロール」と「時間」が得られる。この二つの組み合わせ
 は「自由」を手にするに等しい。

○これ!これを得たいがために、独立して小規模にとどめているのかも。
 もちろん、大規模にするだけの能力がないのもあるけど。

・小さくても一流で、収益性のあるビジネスを行うことはできる。
 事業を拡大しないという決断。

・あえて他が選ばないような道を選べば、絶大な見返りが得られるかも。

・優れた企業には、優れた人材が必要だが、彼らに成長の余地を与えなければ
 人材を惹きつけることもできないし、維持することもできない。

・従業員のための新たな機会を創出しつつ、社風を維持するという
 「管理された拡大」を行うことが解決策となる。

・必死になって規模の小ささを維持。

・顧客との距離が近いビジネスでなくなると、その会社は次第に勢いを失う

・社風が見込み客の目にも魅力的に映る。

・SGは、いずれも顧客密着型の企業。

・企業、従業員、顧客、業者の間での「持ちつ持たれつの感覚」
 1)一貫した誠実さ 2)プロ意識 3)人間的な結びつき 

・企業人生のどこかで、成長を追求したいという強い誘惑を感じるはず。

 成長は「退屈」を紛らわす。
 薄れ始めた興奮を取り戻すために「成長」したくなる。

 SGは、その落とし穴を回避。彼らを救っているのは「情熱」。

・ドイツのミッテルシュタント(中小企業)は、ドイツ経済のバックボーン


===

『隠れたチャンピオン企業』 H.サイモン 2009年

・ドイツの中堅企業と日本のそれとの違いは「直販」

・日本の輸出実績を上げる為にすべきことは、大企業ではなく、
 中堅企業を成長させること。

・経営陣の世間的な注目度が低いほど、その企業は長期的に成功する。
・無名のままでいる努力
・メディアに取り上げられないことで、自社の事業に専念しやすい。

・大変の隠れたチャンピオンは、市場や顧客の間で、非常に強いブランド名を
 確立している。

・ビジョンには裏付けが必要。市場、財務、従業員、経営能力などの手段を
 検証。この宿題が終わった後で、ようやく野心的なビジョンを発表できる

・市場は狭く。バリューチェーンを深く。
・狭く定義した市場で、包括的で深い製品群を提供することに専念。

・自社が重要人物になれるニッチ市場を支配する。

・特化して隠れた存在となり、市場を小さく保とうする。

・製品と顧客に関してシンプルな構造をとる。

・隠れたチャンピオン企業は、集中とグローバル志向を結び付けている
・戦略の柱 1)狭く絞り込む集中 2)グローバルMktg
・狭いニッチ市場に集中し、世界中に展開。

・狭い市場でさえも、グローバル規模ではかなりのボリュームになる

・品質に関して最も要求が厳しい顧客がいるのは、ドイツ語圏と日本。

・顧客と極めて近しい関係。直販中心。
・隠れたチャンピオンの顧客は非常に要求が多い。

・最も重要で、最も要求の厳しい顧客を惹きつけ維持することによって、
 企業は初めて世界市場のリーダーとなれる

・顧客ニーズと自社の能力が組み合わさってのイノベーション

・最も模倣しにくく、最も持続性のある競争優位は、従業員の資質や
 価値システムに根差したもの

・隠れたチャンピオンにとって、最もチャンスがあるのは、特定大学に
 採用を集中させること。

・隠れたチャンピオンの経営者は、基本的価値観では権威型、実行面では
 協調型のスタイルをとっている

・顧客との顕密な関係は、自動的に競争優位となる。最高の顧客は、
 業績を上げるための推進力となる。

・日本のグローバル企業の候補は、消費財と医療サービス。

・隠れたチャンピオンになるためには、ターゲットに向かって首尾一貫した
 方法で、持久力をもちつつ、小さなことを少しだけ上手く行い、それを
 たくさん積み重ねていけばよい。

○市場を狭く定義し、深く商品、サービスを提供する。
 「あの分野に関しては、LWが一番、商品、サービスが充実している」

 顧客と直接接し、厳しい要求に応えていく。
 「LWはうちの会社のことを一番よくわかってくれ、要望に対応してくれる」

 こういう評価をお客様から頂けるよう頑張ろう。

 グローバルに展開するかはわからないけど、アジアには広げていきたいな。

===

2014年05月11日

小さな会社の経営本(2014年5月)

最近読んだビジネス本。

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『投資家が「お金」よりも大切にしていること』 藤野英人2013年

・真面目とは、本気であり、真剣であり、誠実であること。
 そして「本質とは何か」ということを、しっかり考えること。

・清く豊かに生きることは可能であり、また「清豊」を目指すことが、
 結果的に長期間にわたって、会社を成長させることにつながる。

・日本のNPO、NGOの問題点は、担い手がアマチュアだということ。

・真面目に世の中のために努力している会社しか、成長し続けられない。

・日本経済の足を引っ張っているのは、日本経団連。
 (1990年代 「失わせた10年」)

○「LWは何のために存在しているのか?」
 「何の役にたっているのか?」
 「何の役に立ちたいと思っているのか?」
 「俺にとっての成功、成長、幸せとは何か?」  常に考え続けたい。

===

『最高の戦略教科書 孫子』守屋淳 2014年

・「善く戦う者は、これを勢に求めて人に求めず」

 組織がいったん勢いに乗ってしまえば、部下一人一人をケアしなくても
 部下は十全に実力を発揮してくれるもの

・「将とは、智、信、仁、勇、厳なり」

 全てを高いレベルで完備するのは難しい。そこでパートナーと分け合って
 チームとして完備するというやり方がある。

・何かを捨てることで、一つ上のレベルにおいて新たな可能性が開ける。

・戦いに勝つためには、
 A 崩し技:相手の態勢を崩して、こちらを有利にする技
 B 決め技:最終的に決着をつける技 の2種類の技が必要

・相手の矛盾を突く。相手は、過去の成功パターンを否定しにくい。


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『強い会社はどんな営業をやっているのか?』 小山昇 2014年

・サービス内容を絞り込み、狭い範囲でトップを目指す ランチェスター戦略

・「お客様を選ぶ」一定の層だけに特化したサービスを提供。

・リソースに劣る中小企業が、広い地域を維持管理し続ける(しかも
 一定以上の存在感を発揮し続ける)ためのコストがどれだけになるか。

・知識は体験を伴ってようやく身に着く。そのためのロープレ。

・本当のライバルは、社会、時代。


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『巡るサービス』 近藤寛和 2012年

・真似されない差別化は、オペレーションでしか作れない

・最も耐性の強い共同体とは「成員中の最も弱い者」を育て、癒し、
 支援することを目的とする共同体である。(7人の侍組織論)

・接点の数と利益が比例。

・現場に利益目標を持たせると、一見非合理なサービスをしなくなる。

・本当のところ、誰に何を売っているのか? 

○埼玉県にあるホテル。一度泊まってみたい。

===

『起業 失敗の法則』 鈴木健介 2014年

・今、客がいなくなったとしたら、経営者がなすべきことは、
 客を探すのではなく、客のいるビジネスを探すこと。

・自分に関わる全ての人が儲かっていることが、起業を
 企業に成長させていく基本。

・現状を保とうとすれば、少なくとも2割の新規取引が必要。

===

『キレイゴトぬきの農業論』 久松達央 2013年

・直販農業は、集中と効率化がしにくい分、問題解決の幅が広い。

・お客さんのために引き受けている「面倒」が結果的に参入障壁となっている

・「弱者の戦略」小規模有機農業者はゲリラ。

・価格を決めることは、価値をわかってくれる客筋を見極めること。

・「引っかかり」(お客さんが評価する特徴)が多いのが強い商品
 一つの特徴に頼るのは、環境の変化に弱い。

・プレゼンができる農業者は少ない。

・適性がない人は、人よりも早く自分の立ち位置を考えざるを得ない。
 それは、弱みから生まれる大きな強み。

・「ふぐを目指す」(放射能リスクがあっても美味しいから選ばれる)

・農家は持てる者。農地法のお蔭で、固定資産税、相続税、贈与税等が
 大幅に免除。実質的に相続税がほとんどかからない。


===

2014年05月10日

『インストラクショナルデザインとテクノロジ:教える技術の動向と課題』

『インストラクショナルデザインとテクノロジ:教える技術の動向と課題』

 リーサー&デンプシー(編)2013年


○IDや学習理論だけでなく「専門家としてどう食べていくのか」
 といった泥臭い話もあって面白い。

(・引用 ○関根の独り言)

===

●第1部 領域を定義する

・シルバーン(1965)モデルや初期のIDモデルは、ほぼ全部、
 行動主義を基盤としていた。

・最も人気があり、影響力のあるIDモデルの一つは、
 ディックら(2005)のものである。

・モレンダ(2008)によると、ADDIEという名称は、専門用語として
 形式化されたものではなく、口頭伝承を通じて、非公式に作りださ
 れていったものである。

・戦争中に使用した訓練映画やスライド教材は訓練の道具として
 非常に効果的であった(Saettler 1990)

・1960年代半ばまでには、教育目的でのテレビ使用への関心は
 弱まっていた。

・IDプロセスの起源は、第2次世界大戦にさかのぼる(Dick 1987)
 ガニェ、ブリッグ、フラナガンといった研究者が軍事用訓練教材
 を開発するために召集された。

・ガニェが、学習成果の5つの領域と9教授事象を『学習の条件』で
 提示した(Gagne 1965)


●第2部 学習と教授の理論とモデル

・「学習者の経験と外的世界との交わり」の結果として学習が生まれる

・行動主義理論や情報処理理論とは異なり、状況的学習理論は、個人の
 心理学よりも、社会的・文化的な要因によって学習が決定されるとする

・構成主義的なアプローチでは、学習は中から外へ向かっていくものである。
 学習者は、能動的に取り巻く環境を体系化し意味づけようと試み、その
 プロセスの中で知識を構築していく。

・初心者から中級の学習者を対象にしたインストラクションでは、構成的主義
 に基づいた最小限の指導よりも、直接的で強い教育的指導のほうが、より
 効果的であることがほぼ一様に示されている(Kirschnerら2006)

・構成主義(Constructivism)では、学習を構築のプロセスとして、何かを
 作りりだすプロセスとして見ている。

・構成主義に関連する教授モデル:
 −PBL 問題解決型学習
 −アンカード・インストラクション
 −認知的徒弟制度
 −意図的な学習環境
 −REAL

・構成主義的な学習指針に従うことは可能ではあるが、だからといってそれが
 成功するインストラクションになるとは限らない

・シャンクは、一般的に学習科学Learning sciencesという言葉を使い始めた
 最初の人物として知られている。

・1980年代とその後における学習科学の知見は、構成主義の新たな視点の
 下での教え方の理解と深く関係している。

 学習科学の強固な原則の一つは、教示主義instructionistに基づいた
 直接的な情報伝達を用いずとも、支援的な学習環境は構築できるという
 ものだろう。

 学習科学において教示主義的でない教え方を説明する際に用いる主な比喩は
 「足場がけ scaffolding」である。

・学習は、真正性、関連性の観点から、問題に基づくべきである。

・現在の教育と研修のパラダイムは、工業時代に発展してきた。
 工業時代に必要とされたのは、学習者を序列化(Sort)する教育システム
 であった。

 このことが、学校が基準準拠評価ではなく、集団準拠評価の制度を用いて
 きた理由である。

・脱工業社会における教育パラダイムにおいては、「壇上の聖人」から
 「側にいる案内人」へ、教師の役割は変化してきた。

 案内人でいるためには、3つの主要な役割がある:
 1)学習者の作業のデザイナー 2)学習プロセスのファシリテーター
 3)面倒見のよいメンター

・HPT分野のほとんどの研究者は、パフォーマンスに影響する要因を3つに
 分類している:能力、機会、意欲。

・ケラー(2010)学習意欲の5つの原理:
 1)ギャップの知覚 2)ゴールに関連 3)成功できる
 4)満足な結果 5)自己調整


●第3部 教育プログラム・プロジェクトの評価と管理

・カークパトリック(1959)は、研修に特化した評価モデルを開発した。
 最初は4つの手順として表現していたものが、のちに4レベル評価となった。

・研修評価で使用される研究計画法:
 1)1グループ事後テストのみ(とても弱い)
 2)1グループ事前・事後テスト(やや弱い)
 3)同等でない比較グループ(やや強い)
 4)統制群つき事前・事後テスト(とても強い)

・研修の転移に影響を与える5つの環境(Kirkpatrick 2006):
 1)阻害的 2)非協力的 3)中立的 4)奨励的 5)要求的

・レベル3の評価は、レベル1,2の評価よりも行うのが難しいが、もし
 学習の転移が行われなければ、研修を実施する本来の目的であったレベル4
 の成果を得ることは望めない。

・カークパトリックは、研修とレベル4の成果の関係を実証することの難しさ
 を認めている。研修以外のたくさんの外部要素もレベル4の成果に影響を
 及ぼす可能性があるため、強固な研究計画法が求められる。

・ブリンカーホフの「成功事例法 success case method」は、
 特異グループ解析法、事例研究法、ストーリーテリング手法とを一体化した
 迅速で簡単なプロセスであり、成功事例を調査し、失敗事例と比較するもの

 である。

・プロジェクトマネジメントで最も重要なスキルは、チームを指揮し動機づけ
 る対人スキルである。

・リソースが不足することは、すべての研修組織内の事実である。
 豊富さよりも、希少であることを重視する。


●第4部 パフォーマンスの向上

・パフォーマンスは、行動の成果である。
 成果とは、システムによって高く評価された達成、すなわち業績であり、
 それらが、HPIの中核である。

 パフォーマンスとは、コストがかかる行動によって引き出される価値ある
 達成である。

・ギルバートは、1970年代半ばまでに、行動エンジニアリングモデルを
 構築し、HPTの父とよばれている。

・パフォーマンス支援の目標は「研修をほとんどまたは全く受けていない
 状態で、初日から熟達者並のパフォーマンスを出すこと」である。

 パフォーマンス支援とは、「パフォーマーが必要な時に、様々なレベルで
 情報やツールにアクセスできるシステム」である。

・研修専門家がナレッジマネジメントを考慮すべき理由:
 業務中に利用する知識リソースを(ツールや文書)を研修中にも利用させる
 ことにより、研修の真正性(authenticity)が高まる。

・インフォーマル学習は、フォーマルな研修への依存性を弱め、講師がいる
 教室に依存せず、仕事や生活に上手く取り入れられているプログラムや
 人々への信頼を高める点で魅力的である。


●第5部 多様な場面での動向と課題

・米国単独でも、研修産業は、1999年の625億ドルから成長して、2007年には
 1343億9千万ドルを達成した(Paradise, 2008)

 この約1350億ドルの研修費用のおよそ40%は、外部のインストラクショナル
 デザイナ(すなわちコンサルタント)に支払われていた。

○ということは、米国では約13兆円市場(計算が間違ってなければ)
 日本の研修産業は、たしか約5千億円。1兆円いってない。

・経済と産業がグローバルに拡大し続けると同時に、社員研修の需要も増加。

・IDが最も普及している活用分野は、企業環境である。

・IDの実践の主要な活動領域のうちの一つは、民間部門にある。
 1980年代以来、経済産業分野と軍隊での研修の安定成長が見られた。

・軍隊で働くIDには「効果のない教育は、悲惨な結果をもたらす可能性が
 ある」という認識が必要。


●第6部 IDTの世界的動向と課題

・学習は重要な側面ではあるが、唯一の側面ではないことが多い。

・日本国内の大企業においては、長年、教育研修部門が存在してきたが、
 今日に至るまで、研修の質やROIへの関心はあまり寄せられてこなかった。

 人材開発においては、従業員個人の成長ではなく、単に生産性を重視。
 研修への期待は、従業員をリフレッシュさせることにあった。

・ブルーナーは、誰にでも、いつでも何でも教えることができると主張。

・集団ヒステリーによる最悪の結果の記憶が残る国(ドイツ)においては、
 毎日スタッフに対し、心得の復唱を強いたことが、深い不快感につながった
 に違いない(ウォルマートの失敗)

・研修以外の方法を想定

○解決策を、研修に設定する際は、他責に気を付けないと。
 「できないのは、従業員が悪い。だから、研修する」みたいな。


●第7部 IDTで職を得て成功するために

・独立したコンサルタントとして働くことには、利点と欠点がある。


●第8部 IDTにおける新しい方向性

・構成主義に一つの真に優れた点があるとしたら、それは学習課題を共有して
 作成していくことであろう。

・現在の技術には、学習者が情報を吸収するためにもつ心理的能力を超えた
 レベルで、学習者に対して情報を配信する能力がある。
 これがリッチメディアのパラドックスである。

・無意味な処理をいかに減らすかが教育設計上の重要なゴールとなる。

・熟達度逆転とは、初心者に有益な教授モードや方法が、エキスパートの支援
 にはならず、場合によってはエキスパートの職務遂行を低下させることを
 指す。

・学習スタイルの理論とは反対に、人は3つすべての感覚モードを使って
 効果的に学習している。
 
 学習者の学習スタイルに合わせて授業を設計することを強く後押しする
 ような証拠はないのである。

・あるシステムがどのように働くかについての学習は、提示する資料を
 より少なくすることによって改善されえる(Mayer, 2009) Less is More

・より単純な(Leaner)メディアが、学習により高い効果をもたらしうる。


●第9部 IDTの現在における課題

・認知の障害には、学習障害、自閉症、外傷性脳損傷、脳性麻痺、てんかん、
 神経的障害、または精神疾患などが含まれる。

・インストラクショナルデザイナは、教材の設計者であるが、経験の設計者
 でもある。

・IDは科学ではない。また正当性を維持するために科学として位置付ける
 必要もない。

・最小限からある程度までのガイダンスを与えることは、次のような多くの
 人気が高いIDアプローチに特徴的である。すなわち構成主義、実践共同体、
 協調学習、足場がけなどである。

 今世紀におけるその原点は、おそらくブルーナー(1961)にまで遡る。

 これまでのレビューや評価研究の証拠を見ると、最小限からある程度の
 ガイダンスに留める方法は完全指導型教育と比べて、それほど効果的でも
 効率的でもないことが示されている。

・全ての年齢、課題と文脈で、発見学習には不利で、完全指導型教育を支持
 する一貫性のある証拠があることを示した(Mayer, 2004)

・科学的根拠に基づいたIDモデルに共通する特性を記述した際に、最も
 効果的なモデルは完全指導型教育を推奨している(Merrill, 2002,2006)

・最小限のガイダンスの使用が推奨されてから半世紀がたったが、この手法を
 支持する研究は存在しないように思われる。

 初心者から中級レベルのインストラクションでは、最小限のガイダンスを
 含む構成主義に基づくアプローチよりも、しっかりと直接的なガイダンス
 を行うほうがより効果的であるという結果がほぼ一様に得られている。
 (Kirschnerら2006)

・学習課題に特有の事前知識が高いレベルにあり、より高い一般能力を持つ
 ような小数の学習者は、完全指導型教育からの恩恵をそれほど受けない傾向
 にある。

○ここ面白いなー。初心者〜中級者にはティーチング的な教示主義。
 上級者にはコーチング的な構成主義といった感じなのかな。

===

『インストラクショナルデザインの原理』

『インストラクショナルデザインの原理』

 ガニェら著 2007年


○IDといえば必ず出てくるガニェさんの本。


(・引用 ○関根の独り言)

===

●第1部 教育システム序論

・インストラクションとは「学習を支援する目的的 purposefulな活動を
 構成する事象の集合体」である。

・学習とは、行動に見ることができる学習者の特性や能力が変化する過程
 (Gagne, 1985)

・ISDを行動主義心理学のアプローチと同一視する批判があるが、
 そのような根拠はない。

・IDでは「どんな問題に対してインストラクションが解決法となりうるのか」
 という問いが重要である。

・ガニェとブリッグス(Briggs, 1977)は
 9つの外的教授事象を明らかにした:
 
 1)学習者の注意を喚起する
 2)学習者に目標を知らせる
 3)前提条件を思い出させる
 4)新しい事項を提示する
 5)学習の指針を与える
 6)練習の機会を作る
 7)フィードバックを与える
 8)学習の成果を評価する
 9)保持と転移を高める

・評価の5種類:教材評価、プロセス評価、学習者の反応、学習者の達成度、
 インストラクションの結果

 意思決定の種類:形成的評価、総括的評価


●第2部 学習とインストラクションの基本プロセス

・教育とは、潜在的な能力や性質を引き出し、発達させることであるのに対し
 研修とは、教示された作業のパフォーマンスが容認可能な範囲に達したかを
 重視する。

・学習成果の5分類:
 知的技能、認知的方略、言語情報、態度、運動技能

・インストラクションは、必ず教育や研修の適切なゴールを満足させるために
 設計されるべきである

・説得的コミュニケーションのみを通して、態度や価値を獲得、変容させる
 ことは不可能であることがわかっている(McGuire, 1969)。


●第3部 インストラクションの設計

・IDの構成主義モデルを推奨する人は、学習目標をあらかじめ決めておくこと
 に問題性があると主張する。

 目標をインストラクションの内容として表現することは、学習者が学ぼう
 とすることを制限する危険性がある、とみなすのが構成主義の立場。

・構成主義者(Constructivist)と教示主義者(Instructivist)

 本書では両方を目標とした学習環境の設計は可能であると考える。
 
 意図的な(intentional)学習に焦点をあて、学習活動を設計する前に、
 学習目標が設定されている場合に、最も上手く設計できると主張していく。

○でもやっぱり、IDは教示主義が合いそう。

 初級〜中級の研修参加者に対しては、教示主義的な組み立て。
 上級の参加者に対しては、構成主義的な組み立て、という感じなのかなー。

 両方の参加者が混ざるケースも多いけど。
 

・パフォーマンス目標を構成する5つの要素:
 1)状況
 2)実行される学習の種類
 3)パフォーマンスの内容あるいは対象
 4)行動の観察可能な部分
 5)パフォーマンスに適用される道具、制限、条件

・能力動詞の例:
 弁別する、同定する、分類する、例示する、生成する、採用する、
 述べる、実行する、選択する

・学習者がコース中に行うことではなく、インストラクション後にできるよう
 になることで、コースの目的を記述。

・知識を構築するツールとして、テクノロジーを使用。
 パパートの構築主義(Constructionism)


●第4部 インストラクションの実施システム

・評価のレベル:
 1)学習者の反応(Reaction)
 2)学習者の成績(Learning)
 3)学習の転移(Behavior)
 4)組織の結果(Result) Kirkpatrick, 1959

・形成的評価に、レベル1)2)が使われることが多く、
 総括的評価には、レベル1)2)3)4)が使われる。

・4つのタイプの評価活動:
 1)専門家による審査 
 2)開発中の試行
 3)パイロットテスト
 4)実地試用

===

『クリエイティブ・トレーニング・テクニック・ハンドブック』

『クリエイティブ・トレーニング・テクニック・ハンドブック』


○ASTDで有名なB.パイクさんの本。
 参加型研修の講師にとって「Need to know」な内容。

(・引用 ○関根の独り言)

===

・研修はできる限り、参加者自身が自分たちで行うべき。

・研修の目的は結果を出すこと。

・人は自分が口に出したことは、受け入れやすい。

・研修が解決策と思う前に、考えてもらいたい分野5つ:
 システム、組織開発プログラム、人材配置、コーチング、採用

・3つのグループのためにデザインする:
  送られる人、送る人、払う人

 参加者にとっての研修の成果は?参加者の上司は?研修費を払う人は?

・90/20/8法則:
  90分以上連続して研修を続けず、20分ごとにペースを変え、
  8分ごとに参加者を研修に参画させる。

・感覚を空けながら6回(10分後、1時間後、1日後、3日後、1週間後、
 2週間後、3週間後)繰り返した場合、30日後に90%以上覚えている

・「研修で何を学びましたか?それをどのように実践していきますか?」

・研修内容に本当に興味を持っている講師が研修を行うと、参加者の
 成功によい影響を与える

・ウインドウ パニング:9個までの窓、手書きの簡単な絵、キーワード
  参加者に独自のものを作ってもらう

○これは面白そう!
 「指導員研修」を9マスで表現し全体像を示すのもありかも。

・リーダーとしての役割は放棄しない。前面には出さないが、
 コントロール力は維持し、スケジュール通りに研修を進める。

 できるだけ研修アウトラインに忠実に。取り上げたほうがよさそうなこと
 は、フォローアップに残しておくべき。

・グループディスカッションの後に、自分の意見を言わない。
 参加者は自分の発見に価値を見出す。

・参加者に配布資料を完成させてもらう。

・研修はクロージングを中心に組み立てる。

・研修を開発するために一番効果的なツールは、マインドマッピング。

・研修内容を3つのカテゴリーに分ける:
  Need to know 必ず知っておくべきこと
  Nice to know 知っておいたほうがいいこと
  Where to go どこで情報が入手できるか知っておけばいいこと

・ニューストロムとブロード『Transfer of Training』(1992)は、
 職場での実践度を高めるマトリックスを開発。

 影響力の大きいのは、研修前のマネジャー、研修前のトレーナー、
 研修後のマネジャー。

○この本、買おう。

・1時間なら15分前、3時間なら30分前、6時間なら45分前になったら、
 クロージングに入る。

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