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『Learning as Transformation 変容としての学習』

『Learning as Transformation: 変容としての学習
 Critical Perspectives on a Theory in Progress』

J. Mezirow and Associates (2000)

○メジローの変容的学習に関する本。

(・要約 ○関根の独り言)

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●Preface

・本書は、1998年に開催された変容的学習の会議がきっかけとなった。

・Childhood子供時代は、Formative形成的プロセスであると言える。
 Adulthood成人時代は、Transformative変容的プロセスである。


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●Part1:Developing Concepts of Transformative Learning


1. Learning to Think Like an Adult:
Core Concepts of Transformation Theory

J. Mezirow

・Transformative Learning(TL)変容的学習は、我々が持つ準拠枠
 Frames of reference(意味づけの視点、心の習慣、マインドセット)
 を変容させていくプロセスである。

・Habermas(1984)は、複数の学習領域を提示:
 1)Instrumental learning 道具的
 2)Communicative learning 伝達的?
 3)Emancipation 解放
 4)Normative learning 規範的
 5)Impressionistic learning 印象的

・我々は、全ての課題に2つの面があり、2つしかないと考えがちである

・Discourse 談話? とは、経験の意味をより良く理解するために
 他者と行う活動的な対話のプロセスである。

・Frame of reference準拠枠には、2つの次元がある:
 1)Habit of mind 心の習慣
 2)Point of view ものの見方

・TLの10段階:
 1)A disorienting dilemma 混乱的ジレンマ
 2)Self-examination with feelings of fear, anger, guilt,
   or shame 恐怖、怒り、罪、恥の感情を自己検討
 3)A critical assessment of assumptions 前提の批判的評価
 4)Recognition that one's discontent and the process of
   transformation are shared 自身の不平を知り、変容過程を共有
 5)Exploration of options for new roles, relationships,
   and actions 新しい役割、関係、行動の選択肢を探す
 6)Planning a course of action 行動の流れを計画する
 7)Acquiring knowledge and skills for implementing
   one's plans 計画の実践の為の知識、技術を獲得する
 8)Provisional trying of new roles 新しい役割の臨時的挑戦
 9)Building competence and self-confidence in new roles
   and relationships 新しい役割と関係の中で能力と自信を構築
 10)A reintegration into one's life on the basis of       
    conditions dictated by one's new perspective
    新しい視点を基に人生を再統合する?

・大人とは、自身の行動に責任を持てるだけの年を経たもの

・自身の前提を批判的に内省するのは大人になって起こりやすい

・Self-empowerment 自分に力を与えることこそ、成人教育のゴール。

○この言葉いいな〜。

・よりLiberated自由になるだけの可能性をもっていることを認識する
 ことが、成人教育のゴール。

・成人教育者は、中立ではありえない。

○やっぱりメジローさんの言葉は、何故か魅力的。
 意識の革命を呼びかけるような感じだからかな。

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2. What "Form" Transforms?

R. Kegan


・PeterとLynnの事例:状況が変わったことでゲームそのものが変わった。
 成人のHidden curriculumへの対応が必要な事例。

・エリクソンのアイデンティティ論や、ガードナーの多重知能論、
 そして変容的学習が、最近の興味深い研究の一部である。

・本稿では、TLは、情報的な学習とは区別されるべきであることと、
 認識論的変化を伴うこと、そして成人教育だけに起こるものではない
 ということを提唱したい。

・in-form-ative 情報的な学習は、新しい内容を、我々の既存の知識
 形態に入れ込むようなものである。

 Changes in what we know. 我々が知っていることの変化。

・Trans-form-ative 変容的学習は、自身を変化させるリスクを負う。

 Changes in how we know. 我々の知り方の変化。

○こうやって単語を区切って考えるとわかりやすいね。なるほど。

・もしそこに、Formがなければ、Trans-formも起きない。

 メジローの言う準拠枠(Way of knowing知り方)が、
 そのFormではないか。

・Epistemology認識論は、2つの社会科学の肝である。
 1)教育学では、変容的学習
 2)心理学では、Constructive developmentalism 構造発達主義?

・離婚を決意した女性の物語

 「自分に対する義務を果たす」「自分自身の中から考える」

・It does not mean they did not learn well 
 彼らが、上手に学ばなかったという意味ではない。

○うちの社名「Learn-well」が普通の英文に出てきた!なんか嬉しい。

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5. Transformative Learning as Ideology Critique

S.D. Brookfield

・批判的内省は、変容的学習における欠かせない要素である。

 ただ、批判的内省は、変容的学習の必要ではあるが、
 十分ではない条件である。

・内省は、その定義から言うと、批判的ではない。

・Hegemonic assumptions 覇権的前提を問うということは、
 政治的な次元がどうしても入ってくる。

・Ideology critique イデオロギー批判は、批判的社会理論の
 フランクフルト学派で使われる言葉である。

・Objective reframing客観的リフレーミングは、概念、信念、感情、
 行動を批判的に分析しどのように問題が枠組み化されたかに焦点を置く

・Subjective reframing主観的リフレーミングは前提に対する批判的
 自己内省 CSRA Critical self-reflection on assumptions
 に特徴づけられる。

・メジローの言うCSRAと、Ideology critiqueは近い概念。

・メジローは、CSRAをいくつかの下位概念に分けた:
 1)Narrative CSRA
 2)Organizational CSRA
 3)Therapeutic CSRA
 4)Epistemic CSRA

・批判的内省の目的
 1)パワー関係を外に見えるように探索する
 2)覇権的前提を明らかにする

・Hegemonyとは、深く埋め込まれ、われわれが息をする文化的空気
 (Gramsci 1978)

・批判的内省が、変容的になるのは、それが覇権に挑戦することを
 促進するときである。
 
・成人教育の覇権的前提は、成人教育とは、仕事が要求する自己低下?
 である。

 Adult education is a vocation requiring self-abasement by
 practioners on behalf of learners.

○この英文、上手く訳せてない。

○企業研修の覇権的前提は「企業研修は企業の役に立つもの」
 というのはあるかも。

 個人がいかに学ぼうと、企業にメリットがなければ意味がない
 と考える。

・変容的と呼べるのは、それが根本的な疑問と、我々がどう考え行動
 するかの再構築に関わる場合のみである。

・Paradigmatic assumption パラダイム的前提

○自分の場合、パラダイム転換につながるぐらいの変容経験はあった
 だろうか。

 サラリーマン→独立 は一つのパラダイム転換だったのかも。
 ものの見方、考え方は、確かに根本的に変わった。


・批判的内省があったとしても、それが変容的学習とは言えない。

・社会的行動につながらない、違いを生み出さない批判的内省である
 ならば意味がないというのが、変容的学習に対する大きな批判。
 (Cunningham 1992: Newman 1993等)

○どんな時に、変容的学習が必要になるのか?

 今までの自分の考え方ではどうにもならないとき?
 解決できない問題にぶち当たった時?

 そうなると、こちらから能動的には、変容できない?
 今までの考え方で通用するなら、確かに変容は不要か。


・How we remain critical yet optimistic

 批判的でありながらも、楽観的でいるためには。

・我々には、Critical mirrorとなるCritical friendsが必要。

○俺にはいるかなー。

 直接「言ってくれる人」と
 言わないけど「気づかせてくれる人」はいるかも。


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●Part2: Fostering Transformative Learning in Practice


6. Teaching with Developmental Intention

K. Taylor

・Kegan(1994)は、成人が学校に戻る際の成長を促す
 2つの経験を見逃している:
 1)他者との関係の再交渉
 2)新しい考え方、知り方の促進

・成人教育者として、授業の最後に成人にどうなってほしいのか
 そのゴールは?

・成人の発達は、5つの次元に向かうのではないか:
 1)Toward Knowing as a Dialogical process
    知ることとは、対話プロセスである
 2)Toward a Dialogical Relationship to Oneself
    自身と対話的な関係を築く
 3)Toward Being a Continuous Learner
    継続的な学習者となることをめざして 
 4)Toward a Self-Agency and Self-Authorship
    自己代理人?と自己著者となっていく?
 5)Toward a Connection with Others
    他者との関係

・これら5つの次元に向けての発達を意図した3つの活動を崩壊

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10. Organizational Learning and Transformation

L. Yorks, V.J. Marsick

・成人学習は、しばしば社会的交流活動を伴い、グループは成人の学習を
 促進することがある(Rose 1996)

・チーム学習は、グループが知識を創り出していくプロセスであり、
 それは、メンバー自身のため、システムとしてのグループのため、
 他者のためのものである。

・本稿では、個人、グループ、組織の変容的学習を促す2つの戦略:
 1)Action Learning 2)Collaborative Inquiry について検討する。

・ALは、小集団で意味ある問題に対して行動をとることでの学習である。

・O'Neil(1999)は、ALにおける4つの学派を提示した:
 1)Tacit school 暗黙
 2)Scientific school 科学
 3)Experiential school 経験
 4)Critical Reflection school 批判的内省

・Reg Revans(1970)は、ALの父と言われている。

 Revansは、質問の重要性を強調。

 L = P + Q 
 Leaning = Programmed Instruction + Questioning insight

・変容的学習は、予期できずコントロールもできない。
 簡単に計画もできない。

○そう!そうなんだよなー。
 IDに基づく研修デザインでは変容的学習は促せない。

 そもそも他者が意図的に、相手の変容的学習を促せるのか?
 変容的学習は、その個人の内面の問題中心になるのでは。


・食品企業における3年間の実践事例

・Collaborative Inquiry 共同探査?は、ALのいとこみたいなもの。

・Coinquirer 共に探索する人

・大学での事例

・ALとCIを、変容的組織学習の手段として使えるのでは。

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●Part3: Moving Ahead from Practice to Theory


11. Analyzing Research on Transformative Learning Theory

E.W. Taylor

・変容的学習の著作:
 1)公刊された論文 2)公刊されてない実証研究

・実証研究にはあまり陽があてられていない

・変容的学習は、成人特有のものとして捉えられている。

 その前提として、成人は経験のかたまりをもっているというものがある。

・Clark(1991)は、視点の変容に3つの次元があるとした:
 1)心理的 自己の理解における変化
 2)革新的 信念システムの再考
 3)行動的 ライフスタイルの変化

・個人的出来事が、変容的学習のきっかけとなる。

・他者との信頼関係や他者を支援することが、変容のプロセスでは重要。

・変容的学習を促進する為に、心理的安全、開放性、信頼、自律、参加、
 協働、違う視点、情報へのアクセス、インストラクターの真正さが重要。

・グループでの変容的学習では、メンバーの文化的背景、不調和と対立、
 新しいアイデアに基づく行動が必要。

・授業目標がある中で、いかに個人の深い探索を許容するのか。
 変容的学習は、教室での感情的挑戦となるのか。

・将来の研究の方向性:
 1)理論的比較
 2)深い要素分析
 3)変容的学習を促進する戦略
 4)新しく多様な研究デザイン

===

○メジローの変容的学習と、
 エンゲストロームの拡張的学習の共通点と相違点を
 考えてみるのも面白いかも。

 『変革を生む研修デザイン』
  http://learn-well.com/blogsekine/2011/05/post_341.html

 『New form of learning in co-configuration work』
  http://learn-well.com/blogsekine/2012/07/2012_5.html

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