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「フィードバック研究会」を実施!

2015年10月29日(木)@東大 

「フィードバック研究会」(1)を実施しました。


(「フィードバック研究会」開催のお知らせ
  http://learn-well.com/blogsekine/2015/09/post_446.html )

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(・文献要約 -研究会で出た意見 ○関根の独り言)

===

−フィードバック(以下Fb)研究は古くからある。
 スポーツ、組織論、学習プランニング等、領域も幅広い。

 Fbに関する日本での文献は少ない。

 「耳に痛いことをどう言うか?」という質問を最近多く受ける。
 企業では、Fbというと「結果通知」である。

===

Sadler(1989)

 Formative assement and the design of instructional systems.

・形成的評価:学生の能力を向上させるためにアウトプットの質を評価
 総括的評価:認定、受身的。

・Fbは、外的情報源。自己モニターは、内的情報源。

・ギャップに作用しないFbは、Fbにあらず。(成績通知≠Fb)

・学習者主体のFbに、つぎの3つが必要:
 1)目指すべきスタンダード、目標レベルの概念を学生が持つ
 2)学生が、自身の実際、現状のレベルを、目標と比較する
 3)学生が、ギャップを埋めるための行動をと売る

・1970年代〜 評価といえば総括的評価
 1980年代〜 形成的評価研究の萌芽

・Fbから自己モニターへ

−アメリカの大学と日本の大学での評価の違いは?
 形成的評価は行われているのか?
−卒論は、日本独自の文化。知的探求として大きな意味がある。

−他人から言われないと分からないこともある。

−自己モニタリングできるようにするために、どうするか?
  メタ認知に関する知識を与え、体験させる。
  Fbした後、そのプロセスを振り替えさせる。
  自己モニタリングをコーチとしてアシストする。
   (自分にどうフィードバックする?等)

===

Sadler(2010)

 Beyond Feedback: developing student capability
 in complex appraisal.

・教師から学生へのFbは、効果的な学びを促進する一手法であるが、
 学生がその内容をきちんと理解できないと効果が薄い。

・解決策として提案したいのは、学生も教師と同じ評価体験をする
 「ピア評価」である。

・評価技術の習得のために、次の3つが必要:
 1)Task compliance タスクの仕様の明確化
 2)Quality 品質
 3)Criteria 評価尺度

・形成的評価は、学生を「自ら学ぶ人」になることを後押しする。

−Sadlerは、教師のFbから、学生による自己モニタリング、
 そして、学生同士のピア評価をすべきという主張になってきた。

−ピア評価することで、評価基準が分かってくる。

−ペアでやると、辛らつな評価をするピアも出る。
 3人ぐらいでやるといいかも。

−ピア評価がルーブリックに基づいているかを、教員がモニタリングする
 Fbの仕方そのものについて、Fbする(受けた人、第三者)

−Fbされて「ありがとうございます!」という学生よりも、
 Fbされたことに対して「自分は〜という意図で書いたんですが、
 書きなおします」という学生のほうが、レポートの質が上がる。

−国をまたいで業務のピアレビューを行う。本音の議論ができていた。

−多面調査によるFbに対して、行動変容する人と、その場を取り繕う
 ような反応をする人がいる。

−Fbする側が、ピア評価することで、自己評価もできるようになる。 

===

Kluger & DeNisi(1996)

 The effects of feedback interventions on performance:
A historical review, a meta-analysis, and a preliminary
feedback intervention theory.


・メタ分析の結果、FIは、平均的にはパフォーマンスを向上させるが、
 1/3以上のケースにおいて、パフォーマンスを減少させていた。

・FIは常にパフォーマンスを向上させると、広く信じられてきた。

・FIの効果は一定ではない。プラスマイナス両方向がある。

・本研究では、Feedback Intervention Theory(FIT)を提示したい。

・Feedback Interventions(FIs)は、外部のエージェントによる
 Task performance 課題達成に対する情報提供の行動である。

・Ammons(1956)のレビューでは、彼の結論と矛盾する研究については
 触れていない。

 このレビューにより、矛盾する結果があるにもかかわらず、
 FIは学習とモチベーション双方を向上させるという結論が流布された

 Ammons(1956)のレビューは、現在もFIの効果的な影響を実証するもの
 として引用されている。

・我々は、評価基準を満たす論文131に対してメタ分析を行った。

・効果量は、0.41であり、FIはパフォーマンスに肯定的な影響を及ぼす
 とは言える。

 しかし、38%の効果は、否定的なものでもあった。

・FITにおける4つの仮説を提示。

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・ソーンダイクの効果の法則(1913)に従えば
 肯定的、否定的フィードバック、両方がパフォーマンスを高めるはず

・ギャップが大きいほど、覚醒の程度が増す(Kluger et al. 1984)
 感情価と覚醒の程度は、パフォーマンスに影響する。

・Moderator analysis 調整変数の分析により、4つの仮説は
 ある程度支持された

・メタタスクへ注意を向けるようなFIは、パフォーマンスへの
 影響が弱まった。

 タスクへ注意を向けるFIは、パフォーマンスへの影響が強まった。

・ほめる(Praise)もやる気をそぐこと(Discouraging)も、
 共にメタタスクへの注目を高めると考えられ、結果的にFIの影響
 は弱まった。

・単純なタスクのほうが、複雑なものよりも、FIの効果が出やすい。

・正しい解決策(Correct solution)というFbは効果があった。
 変化(Verocity)に関するFbも効果があった。

・運動(Physical task)に関するFbは、マイナスの効果。

・FIは、もろ刃の剣である。

○雑誌「人材教育」(15年9月)でも、この研究は取り上げられていた。
 以下、柳澤さおり教授の記事(p.35)から引用。

 「成果を高めるFBの効果について幅広い研究のレビューを行った
  クリューガーとデニシは、人間の“自己”(能力や性格特性など)に
  注意を向けさせるような(ネガティブ)FBは、成果に対する効果を
  減少させるのに対し、取り組む”課題”に注意を向けさせるFBは
  成果に対する効果を増加させることを明らかにしている。」


−効果量0.4は低いが、それはメタへの注意を向けるものも含まれている

−メタにあげずに、タスクに注意を向けるようFbする。
 ただ、もっと上にあがらせたいときは、メタにあげるのも効果がある。

−仮説の5は、個人差なので、今回の研究では取り上げてない

===

Kluger & DeNisi(1998)

 Feedback interventions:
 toward the understanding of a double-edged sword.

・Feedback Intervention(FI)とは、Task performance 課題達成?に
 関して情報を提供することである。

・Kluger & DeNisi(1996)は、1/3の事例においては、FIが
 パフォーマンスを低めていることを明らかにした。

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・失敗に関する情報(ネガティブFI)と
 成功に関する情報(ポジティブFI)
 に異なる効果があるかは実証されていない。

・FIがいかに働くかについては明らかにされていない。

・FIが常にパフォーマンスを向上させると信じられているのは、
 二人の研究者の影響がある。Thorndike(1913)とAmmons(1956)。

・Thorndike(1927)の Law of effect 効果の法則

・Ammons(1956)の Knowledge of results (KR) 結果の知識
 KRは、学習とモチベーションを向上させると考えられた。

・「フィードバックのパフォーマンスに対する肯定的影響は、
  心理学の最も受け入れられている原則の一つである」という
 言われ方すらされている。

・行動主義(Thorndike 1927)も、報酬と罰は、同じように学習を促す
 と考えている。

・肯定的なフィードバックを受けた人々のパフォーマンスが減退し、
 否定的なフィードバックを受けた人々のパフォーマンスが向上する
 という状況もある(例:Podsakoff & Farh 1989)

○これ、俺が読む文献だ。

・FIの効果は、タスクの種類によって違うと考えられる
 (Kluger & DeNisi 1996)

・FIは、諸刃の剣となりうる。

・現時点で、実践家に伝えられるアドバイスとしては、
 「FIは、目標設定と共に行うべき」という点だ。

・事前に設定された目標があれば、注意はタスクに向かうが、
 それがない状態でのFIは、セルフに注意が向く恐れがある。

○設定した目標があるなら、それに対してフィードバックできるが、
 目標がない状態でフィードバックしようとすると、下手すると
 個人、人格攻撃になるってことかな。

−メタレベルとタスクレベルを分ける。

−BeingとDoingを分けてFbする。

−自己効力感が高い人は、失敗をFbされても、人格攻撃と受け取らず
 切り分けられる。

−受け手がどう捉えているかを、Fbする側が観察しながら調整する

−ドゥエックのモデルによって、受け取り方が変わるのでは。

 (参考:「やればできる!の研究 能力を開花させるマインドセットの力」   
     http://learn-well.com/blogsekine/2009/09/post_275.html )

−Fbの目的(例:改善)が相手に伝わってないと、
 ただ言われているだけと受け取ってしまうかも。

−研究で色々言われると、実際のFbがしづらくなる。

−条件がはまらないと、Fbの効果が出ない。
 下手すると、Fbによる否定的効果となってしまう。

−「〜に関するFb」と設定して研究したほうが良いかも。

−評価面談と日々のFbは目的が違う。

−上司がタスクに関してFbしたにも関わらず、
 部下はセルフに関してFbされたと感じて落ち込むケースもある。

−現場のコーチは、ポジティブとネガティブ両方伝えることで、
 ニュートラルに持っていこうとする。

−感情的にFbしてくれる上司のほうが望ましいという研究をしている
 人もいる。タスクは向上しないけど、やる気をださせる。

−Fbする人が二人いるとよいのでは。

===

Podsakoff & Farh(1989)

 Effects of feedback sign and credibility on
 goal setting and task performance.

・関根が担当 

 レジュメを見る


−Fbする人との関係性によるという意見もある

−変数が多すぎて、結局どうやってFbすればよいか分からない。

−タスクの種類によって、効果的なFbの仕方が変わる。

−目標が明確であるかないかによって違うのでは。

−ポジティブとネガティブで使い分けはしていないかも。
 
−褒める、叱るよりも、正確な情報を伝えることを、Fbでは重視。

−目標に近づいていればポジティブ。離れているならネガティブ。

===

Conger & Toegel(2002)

 Action learning and multi-rater feedback as leadership
development interventions: popular but poorly deployed.

・リーダーシップ開発の手法として、アクションラーニングと、
 多面評価がある。

・この2つは、よく使われているが、上手く使われていない。

・ALが上手くいかない理由は
 1)一度きりの学習経験になっている
 2)プロジェクトとリーダーシップ開発のつながりの弱さ
 3)内省的学習をする機会が少ない
 4)チームでの問題解決や学習を強調することへの制約
 5)プロジェクト成果へのフォローアップへの欠如

・正しい自己認識は、効果的なリーダーシップの発揮につながるが、
 自己評価はあてにならないことが多い。

・多面評価の面白さは、評価結果が、周囲の要求や価値基準によって
 異なるという点にある。正しい、間違っているということではなく
 全てが有用な情報。

・他者評価と不一致が起こったとき、マネジャーは次の行動をとる
 1)きちんと努力して、行動を変える
 2)他者から見える部分のみ、ふるまい方を変える 
 3)自分の行動の理由を説明し、正当性を訴える
 4)不満が出ていることに背を向ける

・匿名で評価結果が集計されるため、正直な回答が得られる。

・多面評価は効果が高いが、センシティブである。

・多面評価の最も利用される目的は、能力開発である。
 しかし、人事考課と組み合わせると、能力開発の効果にネガティブな
 影響を与えることがある。

・評価に用いると、自分の肯定的な部分だけに目を向け、自分の現状を
 ふり返ろうとしなくなる。

・多面評価の目的が、評価であった場合、自己と他者との間に
 食い違いがあると、マネジャーは、自分の見せ方を変える
 (戦略的自己呈示)というテクニックを使うことがある。

・行動を変えるよりも、自己呈示のほうが楽。

・一石二鳥を狙おうとする企業があるが、能力開発と評価をを同時に
 狙おうとすると、能力開発を妨げたり、情報をゆがめたり、
 モチベーションの低下につながるため、避けたほうがよい。

・自己レベルに介入されたとき、マネジャーはアイデンティティの
 危機に陥る。リーダーシップ開発とするためにはタスクレベルでの
 かかわりをすることが望ましい。

−実証されていないので「俺はこう思う」という経験則が多い。

−ALは、1回限りではなく、2~3回まわせるほうが良いというのは同意。
 実際、やるのは大変だけど。

−多面評価を人事考課に使うべきではない。

−オープンクエスチョンを入れるのはよさそう。

−行動変容を促す多面評価(形成的評価)を、
 人事考課(総括的評価)で使うのは間違いでは。

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Thach(2002)

 The Impact of Executive Coaching and 360 Feedback
 on Leadership Effectiveness.

・コーチング(360度フィードバック含む)は、リーダーシップの
 育成に効果がある。

 281名を対象に、6ヶ月間。リーダーシップ効果を60%増加させた。

・コーチングのステップは、3~6が多いが、次の3つを含むものが多い。
 1)契約 2)データ収集 3)コーチング

・360度フィードバックのフォローとして、個人コーチングが行われる。
 それは、評価よりも、成長を目的としているから。

・360度は、評価目的になりすぎないよう注意。

・自分で改善したい行動のみを取り上げた「ミニ360度」を、
 6ヶ月後に実施。

−360度の後のコーチングや、評価した人たちとの接点を増やすことが
 行動変容につなげるために重要。

−360度評価とコーチングのセットは、対人関係に関する行動には
 効果がある。しかし、効果は短期的になりやすい。

 ビジョンや戦略作成は、360度ではやりにくい。

−部下に、自分の360度結果を示すことで、本音の話はできるかも。

−「続けられるか心配だ」という人ほど、何とか続けようとする。

−マネジャーはスーパーマンではない。
 他の人が、指導部分をサポートしてもよいのでは。

−評価者が、コーチングすること自体どうなのか。

−評価目的か、成長目的か

−「あいつ、できるけど、人がついてこないよね」

===

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●1日目を終えて皆さんの感想

−フィードバック=結果通知 となってしまっているから、
 言葉を変える必要がある。

−自分の感情をコントロールしてフィードバックすることが大事では。

−どうFbすればよいかは、状況、課題、相手による。

−「こういうFbが、良いFbだ」というものは無いんだ。

−送り手と、受け手の関係性

−Fbはツール。上手く使えるよう、理解を深める必要がある。

−「Fbする」というより「何でもFbだと思える」人材の育成

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●中原先生のブログ

 フィードバックとは「傷口に塩を塗り込むこと」ではない!?
  http://www.nakahara-lab.net/blog/2015/10/post_2501.html 

●舘野さんのブログ

 どのようなフィードバックを返すのがよいのか?
  フィードバック研究会に参加してきました
  http://www.tate-lab.net/mt/2015/11/1491.html

●松下さんのブログ

 研修フォローアップに対する一考察
  http://mattun.hatenablog.com/entry/2015/11/02/002321

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1日目、ご参加下さった皆さん、ありがとうございました!

2日目(11月16日)も楽しみにしています。

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↓ 以下、2回目

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2015年11月16日(月)10時〜17時@東大 「フィードバック研究会(2)」

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秋晴れのいい天気です。


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Walker & Bucley(1972)

 Effects of Reinforcement, Punishment, and Feedback
 upon Academic Response Rate.

・子供のパフォーマンスに対するrewards and punishment 報酬と罰の
 効果に関する研究は多数ある

・罰と否定的なフィードバックが、子供の学習とパフォーマンスを加速
 させるという研究も存在する。

・しかし、報酬と罰を組み合わせた効果についての研究は少ない。

・2人の子供(実験と統制)に対する実験。

・結果から、より多くのフィードバックが、正解と間違いに対して
 行われたほうが、より効率的な学習とパフォーマンスにつながること
 が明らかになった。

・正のフィードバック(正解!)+正の強化(1ポイントプラス!)
 を一緒に適用したほうが、より効果的。

−同じような実験を1、2、3回目と繰り返すことで、
 「次はこうしてみよう!」とドライブがかかる。

 このようなモチベーションの変化を、行動分析学では
 あまり留意しない。

−オンライン学習では、このような知見を参考にシステムが
 作られている。

−行動主義、フィードバック、引用が多い、ということで、
 選んだら出た文献。

−昔の行動主義では、典型的な研究。動物実験をそのまま人間に適用。

−行動主義では、認知等、目に見えないものを科学として扱わない。

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Deci, Koestner, & Ryan(1999)

A meta-analytic review of experiments examining the effects of
extrinsic rewards on intrinsic motivation.

・外的報酬が、内的動機にどう影響するかを検証。128文献をメタ分析。

・その結果、外的報酬は、内発的動機付けをはっきり抑制する。

・ポジティブフィードバック(言語報酬)は、内発的動機付けを促進する

・物的報酬の抑制効果:子ども>大学生

・ポジティブフィードバックの抑制効果:子ども<大学生

・内発的動機付け:興味を喚起する課題に、自分の興味、好奇心、
 達成感に触発されて、取り組み際の動機づけ

・外的報酬は、内発的動機付けを抑制する効果があると、
 Deci(1971)が問題提起。

・3種類の立場:
 1)動機付けアプローチ Cognitive Evaluation Theory
 2)帰属論的アプローチ Lepper(1981)
 3)行動論的アプローチ Scott(1975)

・コントロールと自己決定

−行動論者は、内発的動機付けなど無いとしている。

−自己決定の認知が重要。「自分で決めている」という感じ。

−相手が「コントロールされている」と感じる
 ポジティブフィードバックもある。

−フィードバックは、相手本位。相手がどう捉えるかが大事。

−自分が頑張ったのに、物的報酬が与えられなかったとき、
 大きなネガティブ効果がでた。

−内発的動機づけを、どう育てていくのか

−外発的動機付けを行うと、その行動を継続しなくなる。

−仕事や学習は、内発的動機付けのみでは行けないのでは。

−「食うために仕事をする」のはある。

−「興味のある課題」「興味の無い課題」と分けられないのでは。

−最初は興味がなくても、はじめると、興味が出てくるものもある。
 最初は、外発的動機付けから始まっても。

−日本の研究では「親が設定した課題のほうが、子どもが継続する」

−人間関係が良いと、コミュニティーの中で設定された課題を、
 自身のものと内発的にとらえる。

○今ちょうど、中1長女の期末試験の勉強を一緒に見ているので、
 色々考えさせられるな〜。

===

Amorose & Horn(2000)

Intrinsic motivation: relationship with collegiate
athletes' gender, scholarship status, and perceptions
of their coaches' behavior.

・CET認知的評価理論(Deci & Ryan 1980, 1985)によれば、
 外的報酬が、本人の内発的動機付けにプラスとなるかマイナスとなるか
 は、本人がその報酬に対してどのような受け取り方をしているかによる

 自分の能力が評価されているから、報酬がもらえる:プラス影響
 報酬が自分の行動をコントロールしている:マイナス影響

・386人の大学生 スポーツ選手に対する質問紙調査

・奨学金をもらっている学生のほうが、内発的動機付けが高かった。

・コーチの指導スタイルが民主的で、選手のパフォーマンスに対して
 頻繁にほめ、勇気づけ、情報を与える場合、選手の内発的動機が上がる

・特に、女子選手にとっては、民主的スタイルがより重要。
 女子選手に対しては、コーチからの懲罰的コメントが内発的動機を
 下げる要因としてもより大きく働く。


−内発的動機付けを、自己申告で測れるのか?
 パフォーマンスの変化を見てもよいのでは。

−「何も言われなくても、行動を続けている」ことを、
 内発的動機づけとみなしている。

 例:練習日でないのに、練習しに来ている。

−それも「次の試合に勝ちたいから来ている」ということもある。

−親が、数千万円投資してきたという背景もある。
 責任感、ここではおりられないということもあるのでは。

 内発的動機付けと、くくってしまうのも・・・

−内発的動機付けだけで、動いている活動は大人には無いのでは。
 色々な想いや動機があるのでは。

−内発的動機付けの説明力は、この研究では、16%ほど。

−IT業界だと、オープンソースで、無償で作る人たちもいる。

−外発的動機付けが悪いわけではない。

===

Rai & Singh(2013)

A study of mediating variables of the relationship between
360 feedback and employee performance.

・360度フィードバックを行っているインドの4つの企業を調査。
 198の回答。

・360度を導入していない2社と、
 評価制度としても導入している2社の比較。

・5つの仮説を検証。支持された。

 1)360度フィードバックは、従業員のパフォーマンスに
   肯定的な影響を持つ

 2)対人コミュニケーションが、上記関係に完全な媒介効果を持つ。

 3)LMXの質は、上記関係に少しの媒介効果を持つ。

 4)仕事生活の質は、上記関係に完全な媒介効果を持つ。

 5)組織支援の認識は、上記関係に少しの媒介効果を持つ。

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・本研究により、360度フィードバックと
 従業員パフォーマンスの関係が実証された。

・本研究対象企業では、360度が、
 能力開発と人事考課双方の目的に使用されていた。

 この結果から、360度フィードバックは、能力開発にプラスして、
 人事考課のシステムとしての活用できる可能性がある。

 これは先行研究で言われてきたこと(360度は能力開発目的のみで
 使用すべき)とは違う結果である。

 おそらく、360度が透明性のある状態で、信頼と解放感ある雰囲気の中で
 行われた場合、従業員は建設的批判と欠点を受け入れるのかもしれない。

・「対人コミュニケーション」「LMXの質」「仕事生活の質」
 「組織支援の認識」の4つを、360度フィードバックの効果を最大化する
  ためにも組織は配慮すべき

−論文的には疑問点も多い。

−360度によって業績が上がったというよりも、
 業績が良いから360度を入れられているのでは。

−「マネジャーの行動」というような違うパスがあるのでは。

−病んでいる組織に、360度を行うと、低い評価をつける。陰口的。

−360度の高い組織と低い組織。変化率を見てもよいのでは。

−業績は、景気に影響を受けている。
 それが、360度の回答結果にも影響を。

−満足度と業績の関係は、サービス業においてはある。

−長い目で見ると、組織の風通しのよさが大事。
 倒れそうなときに、歯止めになる。

−HRのアウトカムとして、逆境時の対応みたいなものを考えてもいいかも

−離職率、採用費、教育費は、HRのアウトカムとしては有効。

−Financial outcomeと、HRの関係を求める問いは、そのものが
 「どうやれば儲かる?」と聞いているぐらい、的外れなのかも。

===

Horn(1985)

 Coache's feedback and changes in children's perceptions
 of their physical competence.

・コーチの行動が、子供の能力認識に影響を与えている。

・Harter(1981)は、大人のフィードバックにより、子供は自身の能力を
 評価すると考え、Model of competence motivationを提示した。

・コーチの行動を、9つに分類し、子供の能力認識への影響を分析。

・結果、練習時のいくつかのコーチ行動が影響していた。
 試合のときのコーチの行動は影響していなかった。

・Harter(1981)のモデルを実証。

・子供の成功に対する、コーチの反応は、否定的な影響を及ぼした。

 不適切なPraiseほめ方は、子供に対して低い期待値を設定するのかも。

・チーム内の高い能力を持つ子供達に対してよりも、
 低い能力の子供たちに対して、Reinforcement強化が使われ、
 ミスへの罰は使われていなかった

・プレイヤーの違いによって、コーチが与えるフィードバックは違っていた

○「できていない子」には、自信をつけさせるためにも誉めて、
 「できている子」には、あえてあまり誉めないってことかな。

===

De Luque & Sommer(2000)

 The impact of culture on feedback-seeking behavior:
An integrated model and propositions.

・フィードバック探索行動に対する組織文化の影響を考察し、
 仮説モデルを提示する。

・4つの文化的行動様式
 1)仕事特定または全人格的
 2)曖昧さへの耐性
 3)個人主義、集団主義
 4)権力志向

・Feedback seekingには3つのコストが存在する
 1)Effort cost 探すコスト
 2)Face cost 自分のメンツを失うコスト
 3)Inference cost 解釈するコスト


−フィードバックを自ら求めに行く人は少ないのでは。

−組織社会化の能動性の発揮もこれに近いのでは

−自分を立て直すために、フィードバックを求める人は少ないのでは

−やった後「どうだった?」「何が悪かったか教えて」という人もいる
 成長欲求が高い、聞いたことを治せる自信がある。

−正解が分からない仕事をしている人ほど、フィードバックを求めるかも
 例)営業、企画など。

−誰が適切なことを言ってくれるか。誰から言われるかが大事。

−得られたフィードバックを、捨て去ることも大事では。
 信じなくても良いフィードバックもある。聞き流す。

−研究へのフィードバックもそうかも。

−相手もわかってないで言っているということをわかってないと、
 きつい。学校では先生が答えを知っている。

−フィードバックの取捨選択ができる人は、経験も判断材料かも。
 (就活時代の経験で、新卒時代の苦労を乗り越える)

−誰にフィードバックを求めたらよいかを、目利きに聞く


===

Nadler(1979)

 The effects of feedback on task group behavior:
 A review of the experimental research.

・フィードバックのきっかけと動機づけ効果に関する実験研究を
 レビューし、理論モデルを構築。

−個人へのフィードバックとグループの中にいる個人へのフィードバック
 は異なるというのはありそう。

−「あなたのグループはここがいい、ここがだめですよ」と言われる。

−会社、組織に対するフィードバックも、グループに対する 
 フィードバックと言えるのでは。

−グループの場合、そのリーダーへ責が負わされることが多い。

−研修講師には「うちの会社どうですか?うちのグループは?」等
 聞かれ、フィードバックを求められることも多い。

===

Butler & Winne(1995)

 Feedback and self-regulated learning: A theoretical synthesis.

・自己調整学習は、下記スキルを使いながら、タスクに取り組むスタイル
 1)目標設定 2)適切な方略を選ぶ 3)モニターする

・学習する過程の中で、どのように自己調整していったのかをモデル化

img134.jpg

−自己調整学習では、3つのモデルが使われている。
 Zimmermanが一番引用される。2番目がこのモデル。

−勉強法においても、目標を明確にすることが重要。

−公文式は、ミニテストで、形成的評価を行っている。

−タスクが明確であれば分割はできるが、
 そうでない場合は難しいかも。

===

Hattie & Timperley(2007)

 The Power of Feedback.

・フィードバックは、以下3つの問いで表現できる
 1)Where am I going? Feed Up
 2)How am I going? Feed back
 3)Where to next? Feed forward

・フィードバックの4つのレベル
 1)タスク 2)プロセス 3)自己調整 4)自己

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・自己レベルへのフィードバックは影響力が弱い。


−学習目標+自己効力感+自己調整=能力向上 では。

−ゴール設定時点で間違っていることもあるのでは。

−仕事では、やればやるほどゴールが現れる。

−学校を使った研究では、効果量effect sizeが出やすいかも。

−仕事ができる上司と仕事ができる部下は、あうんの呼吸で
 やっている。これは自己調整では。

−組織から与えられた目標とは関係なく、自分で勝手に目標を
 設定する。特に、できる営業は。

 それができない人には、マネジャーの関与が必要。

−与えられた目標は、自分のものにしにくいのかも。
 目標設定理論によると。

−「現状で満足している人」を、次のステップに上げるのは難しい。

−「自分で勝手にやるもんだ」と思ってるマネジャーは、
 そうでない人たちへの関与が難しい。できない人の気持ちが分からない?

−目標を立てて、それに向かって行動していくということを、
 学んでいない学生さんも多い。

−目的地にいけない、いきたくない人に、どうフィードバックするか。

−ゴールは現実的には、あいまいもことしている。

===

●2日目を終えての感想

−フィードバックという言葉とは違うものなのかも。

−過去の情報を伝えて、未来につなげるのが、フィードバック。
 それに関わる変数が多いから、こうすればよいというのが難しい。

−コーチングの中にフィードバックも含まれるのでは。

−フィードバックは複雑。今も明らかになっていない。
 思考の転換が必要では。

 フィードバックには、ネガティブなイメージが強い。
 未来につなげるためには、明るい言葉が必要かも。

−あけてはいけない箱をあけてしまった。
 見ないほうがよいと思いつつ、見てよかった。

−フィードバックには、情報としての機能。モチベーションの機能があるが
 「相手からの評価を受けている」という側面があまり見られていない。

 評価的な機能がないのでは。相手が人であるからこその関係の重要性も。

−もやっと思っていたことが研究されている。
 「これはやってはダメ」というあたりがつけられるかも。

−フィードバックは、方法ではなく、現象であった。状況による。

−道程が見えない曖昧な世界。目標が見えない中、どうFBするか。
 
−常にFBが起こっている。

−「分からない」と分かったことがたくさんできた。

−フィードバックは「相手あってのこと」

  (する側から見た)受け取る相手
  (される側から見た)言ってくれる相手

===

●中原先生のブログ
  
  「ごくごく自然にフィードバックを行える組織」と「いくら研修しても1ミリも実行されない組織」!?
  http://www.nakahara-lab.net/blog/2015/11/post_2512.html 

===

皆さん、ありがとうございました!

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●参考:「360度フィードバックに関する文献」
       http://learn-well.com/blogsekine/2015/11/360.html

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