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コーチング&リーダーシップ開発研究会

2016年3月24日(木)10時〜17時@東大
コーチング&リーダーシップ開発研究会を実施。

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東大にいったら、マントを来た学生さん達がいました。
学位授与式です。

親御さん達にとっては、ほんと嬉しいでしょうね。

(・要約 - 研究会で出た意見)

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●特別レクチャー

 欧米組織において注目を集める成人発達理論

  加藤洋平さん 「発達理論の学び舎」 

 http://www.yoheikato-integraldevelopment.com/

・R社の今城さんのご紹介で、発達心理学者の加藤さんによる
 特別レクチャーを実施。

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・加藤さんは『なぜ人と組織は変われないのか」R.キーガンの
 弟子O.ラスキーに師事。
・ボールドウィンは、発達心理学者のピアジェに直接影響を与えていた。
・知性:自己認識、他者認識する力の発達は、
 自己と他者をいったり来たりして起こる。(キーガンの説)
・利己的→他者依存→自己主導→相互発達段階
・利己的段階は、成人人口の10%存在する。自己中な人たち。
・他者依存段階は、成人人口の70%存在する。
・自己主導段階は、成人人口の20%未満。(←社長ぽい)
・相互発達段階は、成人人口の1%未満。
 自己を構成するいかなるものにも同一化していない。
・エグゼクティブは、自己主導的段階が多い。他者依存がいない。
 マネジャーは、他者依存と自己主導が半々ぐらい。
・発達測定で、コーチングの効果を測ることができる。

・加藤さんの書籍「なぜ部下とうまくいかないのか」が、まさに本日発売。
 

・発達測定の仕方は、インタビューや文章完成による。
・発達(上がる)だけでなく、知性の退行(下がる)も想定される。
・知性は、変化する現象である。それに対して、
 もって生まれたパーソナリティー、性格、タイプは変わらない。
・発達は、文化、社会によって変わるのでは?
・社会的役割が付与されたから「自己主導的にふるまおう」
 という行動をとるのでは?
・構造的発達心理学では、個人を見る。

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Behind the Mask: coaching through deep interpersonal communication

J.C.Quick & M.Macik-Frey (2004)

・健康的で発達的なエグゼクティブコーチングのアプローチを提唱する。
 それは個人間アプローチであり、役員を1人の人間として見るものである
・深いレベルでの他者との対話を深めるエグゼクティブコーチングにより
 オーセンティックリーダーシップを高めることが可能になる。
・毒性感情(emotional toxin)の蓄積を防止すべき。

−功利主義に対する批判が、コーチングの考え方にはある。
−意識が発達するときは、乗り越えるべき葛藤がある。
−自己実現ができない状態を続けると良くないよ、という主張。
−解毒機能まで果たそうとするなら、コーチではできないのでは。
 カウンセラーでないと。
−日本人はアメリカ人より愚痴ぐち言う。
 アメリカ人は言わないけど、すぐやめる。
−エグゼクティブは、立場的に吐き出せないから、吐かせることが大事かも
−「ダンサーインザダーク」弱音をはかないという文化。
−予防的コーチングなのかも。
−コーチングというラベルの中に「セラピー」も入ってきている。
 扱えないのに、掘ってしまうと危険。

あなたの会社のトップは「毒性感情」に見舞われている「モヤモヤ経営陣」ですか?
http://www.nakahara-lab.net/blog/2016/03/post_2585.html

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Executive coaching: an outcome study

K.M.Wasylyshyn (2003)

・コーチを選ぶ基準、社内外コーチのメリット、デメリット等について
・心理学(博士課程)をもったコーチは効果的。

−幼児教育では、ピアジェを否定し「発達段階」ではなく
 「発達体験」と考えている研究者もいる。
−コーチと受け手も、カプセル的に一体感が必要な時期もあれば
 そうでないときもあるのでは。
−ピアジェの発達理論では、差異化と統合化が重要と考えている。
−コーチが離れていく時期を、どう見極めるか。
−外部コーチと内部コーチの違い。
 内部コーチのほうが、より二人称的に関わるのでは。
−ビジネスコーチは「手離れさせないことで、儲けようとする」と
 いう批判がある。

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Toward a profession of coaching? a definitional examination of
'Coaching,''Organization Development,'and'Human Resource Development'

R.Hamlin, A.Ellinger, & R.Beattie (2009)

・コーチングの概念と定義に関する研究を質的に調査。
 その結果、ODもHRDも、コーチングも非常に似ていた。
・コーチングを独自の研究領域として立ち上げるのは難しいのでは。

−スタバのスタッフは、ホスピタリティーが高いので、お客様と
 やり取りが長くなり、生産性が下がることもある。
 (もう少し早くレジを回してくれたほうが利益が上がるのに)
 一度、マネジャーとして、スタッフと話し合いをしようと思っている
−違いを主張するのは、主導権をとりたい、予算をとりたい、
 という政治的な側面も入ってくる
−外部コーチとしては、誰がスポンサーかによって違う。
−コーチングは、よく分からない。色々入っている。
 本来、OD、HRD、コーチングは違うのでは。
−臨床心理学では、相手の問題を解決するというゴールが明確。
 どこに向いてコーチが、進んでいるのかよくわからない。

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After-coaching leadership skills and their impact on direct report:
recommendations for organizations

J.Wenson (2010)

・直属の部下は、コーチングを経験したマネジャーのリーダーシップ
 スキルに関して、どのように感じたのかを調べる。
・4人の上司の部下20人に対して調査。
・85%の部下が、上司に明らかな改善が認められたとした。
・内省があることによってのみ、コーチングは有効であり、
 行動の変化が維持される。

−上司が内省したかどうか、どうやって部下が把握したのか。
−直属の部下ほど、上司の雰囲気が変わったか感じ取れるかも。
−解釈学的現象学なので、部下の自由記述をコーディングしている。
−self reflectionの定義が不明確で、漠然としている印象。
−発達理論では、self-reflectionを「視点取得能力 perspective taking」
 と定義。内省に関して、7つの質的レベルの違いがあると考える。
−メタ認知に近い。

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Social support at the workplace, motivation to transfer
and training transfer: a multilevel indirect effect model

A.C.Massenberg, D.Spurk, & S.Kauffeld (2015)

・34チームの194名の従業員を調査。
・「社会的支援」が個人とチームレベルの「転移意欲」を増大させていた

−チームで研修を受けているというのが、この研究の面白い点
−サポートは直接、転移に影響しなかった(Iさんの研究)

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Effective coaching as a transfer of training tool:
effects on productivity in a public agency

G.Olivero, K.D.Bane, & R.E.Kopelman (1997)

・関根が和訳レジュメを担当。

 レジュメを開く

−研修転移研究はあまり進んでいない。
−ソフトスキル(far transfer)と
 何か道具を使えるための研修(near transfer)だと転移の度合が違う
−「使う意欲」「使う機会」「使った後のフィードバック」があると、
 転移は増すと思う
−「研修で学んだことを、職場で使ってますか?」と聞いてあげると、
 5割は「使っている」という回答が得られている(Yさん)

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What does an executive coaching intervention add beyond facilitated
multisource feedback? Effects on leader self-ratings and perceived
effectiveness

L.Nerminen, R.Smerek, L.Kotrba, & D.Denison (2013)

・469名のマネジャーが、15ヶ月間のリーダー開発プログラムに参加。
 コーチあり群と無し群、双方とも360度フィードバックの結果が向上。

 コーチあり群は、自己評価も上がるという効果が出た。
 自己効力感の観点から、コーチングの効果を考察。

−1対1コーチングによって、自信がついて、弱みも強みになることもある
−「ユーミン現象」(自己効力感によって、周囲の見方も変わる)
−低価格のワークショップと、高価格のコーチング。
 上手く使い分けると良いのでは。
−OD効果を換算すれば、もっと大きな効果があるかも。
−他の参加者の力を借りられるのは、ワークショップの大きな力かも。

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Executive Coaching: a review and agenda for future research

D.Feldman & M.Lankau (2005)

・本レビューでは、コーチングの構成概念を探り、コーチのトレーニング、
 クライアントの特徴、コーチングの種類が、いかにコーチングの効果に
 影響するのかを示す。

・60名のコーチの内、45人が博士号を取得。90%が修士号を保有 
 (Judge & Cowell 1997)

−システムアプローチのみ、家族療法から。
 精神力動的アプローチは、フロイトから。
−コーチのバックグラウンドより、クライアントにあわせて
 アプローチを変えるべきでは。
−エグゼクティブコーチングは市場規模が小さいので、その分、
 資格を厳しくして、参入者を少なくしようという点もあるのでは

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Evaluating the effect of coaching on SAT scores: A meta-analysis

R.DerSimonian & N.Laird (1983)

・メタ分析の結果、コーチングはSAT点数に確かに効果があるが、
 その効果は非常に小さいものであった。

−家庭教師的だが、これもコーチングなのか。
−コーチングは、大風呂敷ワード。部活指導もコーチング。
−「コーチング」と言われたとき、思い浮かべるものがみな違う。
−勉強を教えるというより、スコアを上げるためのテクニックを教える。
−この頃のコーチングは、結果を出すこと、勝たせることに集中。
 行動主義的。

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A system for the behavioral assessment of athletic coaches

R.Smith, F.Smoll, & E.Hunt (1977)

・CBAS(Coaching Behavior Assessment System)として、12行動項目を提示
・コーチがやっていることは、この12項目では。
・このCBASの信頼性、妥当性は高かった。
・このカテゴリーシステムの成否は観察者の育成にある

−1970年代に行動科学の影響を受けて流行した教室の相互作用分析がある
−見えないものは、見える化しないと、質があがらない
 プロフェっションになりにくい。
−自分達がやっているコーチングの質を自己確認することが重要。
−認知症介護で「humanitudeユマニチュード」で見える化する。
 熟達者のやっていることを、初心者が学習できる。
−熟達者の「見る力」何をどう見ているか

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Maximizintg returns on mentoring: factors affecting subsequent
protege performance

S.Tonidandel, D.Avery, & M.Phillips (2006)

・メンター関係終了後を調査。
 メンターの業績の高さが、プロティジェのその後の業績に影響。
・好業績メンターとの長期間の指導は、プロティジェには有益。
 低業績メンターとの長期間の指導は、プロティジェに不利益。
 低業績メンターとの関係を断つことが必要。

−保育の現場では、フィードバックしたいが、人も足りなく
 その場で出来ないこともある。
−第三者からのフィードバックをどう得るか。
 ミステリーショッパーはその一つ。
−福祉の現場は、構造的にブラックボックスになりやすい。

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E-coaching systems: convenient, anytime, anywhere, and nonhuman

T.Warner (2012)

・アバターを使ったEコーチングについて
・アバターが、問いを与えるコーチになる。メールが送られてくる。
・Eコーチングは、Job aid(仕事のお助け機能)のように使用できる

−Eラーニングは、知識付与には使えるが、スキル向上には使えない
 といわれてきた。が、このEコーチングなら可能かも。
−今後、注目される手法なのかも。
−5年前、ロボットがキャリアカウンセリングができるかという研究を実施。
 ロボットと人間の1対1より、ピアカウンセリングだと盛り上がる。
 ロボットが頼りないので、他の参加者が一生懸命喋ろうとする。
−前言っていたことを、リマインドしてくれるロボット。
−今後のコーチは、アバターになって、携帯に実装されているかも。

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17時30分〜 懇親会

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オクスフォード大学で、コーチングに関する研究をされた
市瀬さんによる特別レクチャー。

お酒も入っているので、皆さんとのディスカッションがさらに盛り上がりました。

(市瀬さん、ありがとうございました!)

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全3回の「Coaching & Leadership開発研究会」も無事終了しました。

ご参加された方々から

「楽しかったです」「こういう会は貴重ですよ」

といったお言葉を頂くと、嬉しくなり、調子に乗って、また開催したくなります。


中原先生、またやりましょう!


(ご参加くださった皆さん、幹事として尽力してくださった中原研の斎藤さん、
 快く送り出してくれたうちの奥さん、ありがとうございました)

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