2016年秋 東大授業「経営組織論」(6)職場・仕事

授業

2016年11月30日(水)13時~14時45分
東大授業「経営組織論」(6)職場・仕事 に参加。

『関わりあう職場のマネジメント』 鈴木(2013)
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(・印象に残った点の要約 ○関根の独り言 -授業で出た意見)
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●序章
・「関わりあう職場」が、支援、勤勉、創意工夫を、職場メンバーに促す
●タマノイ酢の事例
・声のかけあいにより、仕事ぶりを把握する。
・助けられる側から、助ける側へと変わっていこうという意欲。
・導入研修で行動規範を伝え、ジョブローテーションで行動を引き出す。
・導入時研修で感じたこと(周囲の助けや仲間の存在が重要、
 努力次第でできるようになる)が、職場でも同様に感じれられる。
・職場に常にし仕事に慣れていない人がいるので、助けざるを得ない。
・ただ、こういう職場はかなりきついであろう。
●公共哲学
・コミュニタリアリズムでは、自由を多少制限しても、公共性を確保 
 したほうが善い社会であると考える。
 バランス良く社会的な美徳と個人の権利が維持されている社会。
・「下からの公共性」を念頭に置くコミュニティ
 閉鎖的ではなく、開放的なコミュニティ
・社会的絆が失われた状態では、自律的行動がかえって取れなくなる。
・滅私奉公と、滅公奉私は、両者とも公共性をかいている。
・公私二元論の限界は、公私の区別を明確につけることが難しいこと。
・公-公共-私の三元論による「活私開公」
・組織と個人の間に「職場(公共)」を置き、
 その職場をコミュニティ(関わりあう場)にする。
 参考:「公共哲学」本 https://www.learn-well.com/blog/2016/11/post_480.html
○「民の公共」=「職場」というのは違うのでは?
  職場が「公共」とは、ちょっと考えにくい。
 なぜか?
 1)職場で影響力を持っているのが「個人」(直属長)だから
 2)職場では「公」の意識(世のため、人のため)を
   正直、持ちづらいから(それより数字)
●経営管理論
・コミットメント経営
  それが持つ欠点の一つは、画一性による組織の停滞
・HPWS High Performance Work System
 結果的に、高業績の経営管理(HPWS)とされたのは、従業員の
 コミットメントを高める経営管理手法であった。
  参考:「中小企業HRM勉強会」でも少しHPWSの文献あり。
      https://www.learn-well.com/blog/2015/06/hrm.html 
・人的資本(Human Capital)
 社会関係資本(Social Capital)
 知的資本(Intellectual Capital)
 組織的社会関係資本(Organizational Social Capital)
・職場をマネジメントの中心におくことで、組織規模の大きさに
 影響されることなく、支援と勤勉、創意工夫のマネジメントが可能に。
●組織行動論
・職場における関わり合いの強さ:
 1)仕事の相互依存性 task interdependence
 2)目標の相互依存性
・支援と勤勉:自発的行動(OCB等)
・創意工夫:進取的行動 Proactive behavior
・何故人は組織の中で、自発的に他者を助け、勤勉に働くのか。
 1)見返りを得るため
 2)強い集団の価値やメンバーシップを持っているため
 3)印象操作、印象管理を狙うため
・仕事の相互依存性が高い職場では、OCBとPBが促進される。
 参考:OCB本
     https://www.learn-well.com/blog/2013/08/ocb.html
     https://www.learn-well.com/blog/2013/08/ocb_1.html
     AOM2013
     https://www.learn-well.com/blog/2013/08/aom_4commitmentocb.html
●分析
・基本仮説
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・階層線形モデリング(HLM)によるクロスレベル分析を行う。
・関わりあいの強い職場ほど、メンバーは「支援行動」「勤勉行動」
 「創意工夫行動」を良くしていた。
●終章
・職場でのマネジメント実践:
 1)相互依存的に個々の仕事を設計する
 2)個人の目標よりも、職場の目標を強調する
・職場において他者とかかわり、よい関係を作ることによって、
 職場の中で自分にできることは何かと考えるようになる。
・役割外行動は、コントロールできないが、マネジメントできる。
 促すものである。
・関わりあう職場マネジメントの重要点:
 1)人員の流動性を確保
 2)異論への寛容性 
  →職場を開放的なコミュニティに
○「人員の流動性」に関しては、マネジャーが異動することのほうが
  多いのでは。「落下傘マネジャー」
・関わりあう職場のネガティブな側面:
 1)監視社会、強制的組織、強いピアプレッシャー
 2)緩んだ共同体、甘えがまん延
・心情反射作用
 仲間に対する責任感。
 職場の仲間と関わりあいながら仕事をすることで、
 自分のできることを探し、行動を起こす。
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●参考 鈴木先生の本
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 『組織と個人』(2002)
  https://www.learn-well.com/blog/2009/11/post_301.html
 『自律する組織人』(2007)
  https://www.learn-well.com/blog/2009/11/post_302.html
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●中原先生のイントロダクション
-「職場」という中間概念は、経営学ではあまり着目されてこなかった。
  「個人」か「会社」という視点が多い。
-「職場」は訳しづらい。
-Workplaceは、どちらかというと物理的な場所のイメージ。
  Shokubaは、もっとウェットな感じ。
○参考:組織社会化研究では、職場での社会化を、
     Local socialization と呼んでいる。
     https://www.learn-well.com/blog/2012/04/2012.html
-職場とは、目的を共有し、交流のある社会集団。
  職場とは、責任、目標、方針を共有し、仕事を達成する中で
  実質的な相互作用を行っている課、部、支店などの集団(中原2010)
●クラスでの意見交換
-オフィスの物理的環境も重要かも
-テレワーク、フリーアドレス(席を減らし、コスト削減)
  サテライトオフィス
-自己管理できる人でないと難しい。
-「頭は良いけど、部下がついてこないマネジャー」
  が陥りやすい罠
  →相互依存性・コミュニケーションをコストと見る
-コスト効率で考えると、それぞれの仕事を
  もれなくダブりなく割り振るのが良い。
  仕事の重なりがないよう、非相互依存的に、
  仕事と人をマッチングさせようとする。
-そうなると、M.ウェーバーの「官僚制」が最も
  効率性が良い「縦割」組織になる。
-ただ、上手く回らないのは、
 1)そのように、上手く仕事を割り切れない
 2)役割外行動が必要になる  
   (例:新人に仕事を教えなくてはならない
      ワーママが抜けた分をフォローしなくてはならない)
 3)新しい仕事が降ってくる から
-職場には、支援、勤勉、創意工夫という「光」の面と
  いじめ、ねたみ、反社会的行動といった「闇」の面もある。
  参考:Hazing and bullying in the socialization context @AOM2014
      https://www.learn-well.com/blog/2014/08/aom_4_socialization_training.html
-マネジャーおろし、えこひいきに見える仕事の与え方、無視。
-そういう状態を起こさないためにも、
  上司の評価軸を伝える、期待をかける、意味づける、
  声をかける、マネジャーが観察する、暇を作らない等が必要では。
-「限られた思いやり」
  「会社は嫌いだけど、職場は好き。」という人はいても
  その逆は少ない。
  職場をヘルシーにすることが、一丁目一番地かも。
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どうもありがとうございました。
●中原先生のブログ
  「バブル崩壊後、職場からいつの間にか失われた「TOO」とは何か?」
  http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7152

投稿者:関根雅泰

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