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「経験学習とリーダーシップ」勉強会(1)

2016年11月14日(月)10時〜17時@東大で、
「経験学習とリーダーシップ」勉強会(1)を開催しました。

http://learn-well.com/blogsekine/2016/09/post_473.html

『経験学習によるリーダーシップ開発:
米国CCLによる次世代リーダー育成のための実践事例』(2014)

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(・本の中で印象に残った部分の要約 −勉強会で出た意見)

===

●まえがき

・人材開発分野では、リーダー育成の「70:20:10の法則」が注目されている。
 これは、育成効果の70%は仕事経験、20%は他者との関係(薫陶)、残りの
 10%は研修によるというものである。

 この法則はあるコンサルティング企業(Lombardo & Eichinger 1996)によって
 得られた知見であり、今では一般的な法則として利用されている。

・追加調査の結果、「70:20:10の法則」は万能ではなかった。
 (他人との関係や修羅場の経験は、始めの調査よりスコアが高かった)

・本書は、実際の活用事例を収集。実務に使えるケースを伝えるようにした。

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今回は、16名の方々(研究者、教員、事業部マネジャー、コーチ、研修講師、
研修プログラム開発者、人材開発担当等)にご参加頂きました。

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===

●第1部 成長を促す経験 −より多くの人に、より意図的に

1.

・Frame braking型破りモデルの5ステップ

2.

・LEIというツールを開発。

・初級レベル、中級レベル、事業部門リーダーレベル、上級エグゼクティブレベル
 を分ける経験の違いがある。

・リーダーが様々なレベルで遭遇する経験を理解することで、心構えができ、次の
 レベルでの難題に対して効果的に対応するのに必要な能力開発の調整ができる

3.

・現場での成長を促すために
 1)仕事を見直す 2)一時的な仕事を引き受ける 3)職場以外で挑戦する

4.

・リーダーシップマップ

5.

・本だけでなく、ポッドキャスト版も作成。

6.

・計画的な水平異動によるキャリア開発を促す。

・専門ではない職務に配置換えになる。

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●クラスでの意見交換

-「関心の表明化」は、実施している日本企業も多い。
 ただ、イメージギャップ、組織と合わなかった等、問題も発生。

-ラインが優秀な人材を抱え込む。長期的なリーダーシップ開発
 というよりも、短期の業績達成を重視。

-事業部を超えた力を人事がもっていると、水平異動させやすいかも。
 人事は昔強かったが、今は弱い企業が多い?

-「成長する経験」のリストがある。その資源を誰に配分するか
 という資源配分の問題。

 ただ「資源を配分するよ」と言っても、
 「いや、私はいいです」と遠慮する社員もいる。

---

7.

・上級リーダーには、組織横断的な経験に裏打ちされた知識が視点が必要。

・役員能力開発ルートというプログラム。個別対応の柔軟性にとんだ
 マイペース型解決策。

8.

・プロジェクト市場で、特定スキルをもつ社員を探す。

9.

・自然発生的な仕事を能力開発的な視点で見る。

・成功している中核業務に、リーダーシップ能力開発要素を盛り込む。
 ただし、必要以上に盛り込まない。

10.

・イベント企画によるスキル開発。

11.

・社員をシンプルな評価軸で評価。
 1)成長途上社員 2)能力上限社員 3)超優秀社員

12.

・私生活には、リーダーシップを強くする要素が3点ある。
 1)精神的な強さ 2)家族や友人の支え 3)学びの機会

---

●クラスでの意見交換

-限られている「成長する経験」という資源配分を判断できる人は
 現場に近い人のはず。「この経験は、あいつを〜」と。

 現場のマネジャーは、どのくらいこういう概念になじみがあるか。
 成長させるために「ちょっと上の仕事を振っていく」

-本人の能力を育成するという視点で考えている現場マネジャーは、
 2割程度かも。残り8割は危機感はあるけど、やり方がわからない。

-無茶ぶりで結果的に伸びたというパターンが多そう。
 意識的な能力開発は現場では難しいのでは。

-上司が部下を語る言説として
 「できる・できない」「がんばる・がんばらない」が多い。

-成果と成長の両どりを目指すのが経験学習。

-成果は、忙しい人に任せるか、自分でやるかで出せる。

-経験学習でターゲットとすべき人材は? いけてる人、できない人?

 できない人に経験を渡すリスク。危なっかしい。

-イベント(例:地域の祭り、新人合宿研修)による
 リーダーシップ開発。

 イベント(ステークホルダーが多い、相手がある)は、
 裏で走っている人材育成かも。

-スパイシーな経験による学習:マッコール的世界観
 ノーマルな経験学習:コルブ的世界観

---

13.

・ローカルの同僚が準備しているグローバル化の事業構想を研修生が支援。

14.

・ハイポテンシャル人材に職務を6カ月間離職させ、戦略的プロジェクト常勤
 研修生としての機会を与える。

15.

・体系的なジョブローテーションと、個別対応的な能力開発策の組み合わせ

16.

・横断してほしい文化境界を考える。

17.

・ハイポテンシャル人材が、成長市場の開発現場に配置され、コミュニティの
 改善に役立つ彼らの知識とスキルを伝える。

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●クラスでの意見交換

-大学とPBLで組みたい企業が増えてきている

-地域課題解決PJに参加する人は、自分のリーダーシップ能力を
 開発したいとは考えていない

-できる人は、能力開発に興味がない。

-能力開発分野の人は「Learner」という言葉を使うが、現場の人は
 自分がそう呼ばれると「不完全な人」ととらえる。

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18.

・10ヶ月間の研修

19.

・予習に万全を期せば、シャドーイングの経験から最大限の効果を引き出せる。
・役員への質問例

20.

・ソーシャルメディアで、毎日5~10分間。楽しい実験と思わせる。

21.

・リーダーの経験をビデオで見ることで代理経験するケースメソッド学習法。

22.

・最高のカリキュラムは、教室内の参加者の経験にあり、
 最高の教師は、参加者自身である。

・MBA的な学習法はここでは適さない。

・逆境時代の仲間とお互いを認め合うこと、自分たちの周りにあるビジネス的
 リーダーシップ的課題について議論する機会を多く作りだすこと、それこそが
 ここでの学習に真に貢献に値すべきこと。

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●クラスでの意見交換

-本人だけでなく、周りの人のコミットが重要。
 育成コストはかかるし、すぐに結果はでない。

-持っているスキルセットが分散しているほうが異業種交流としてはよい

-企業がお膳立てする経験だけでなく、社員自身が自分で行先を見つけて
 ボランティアするという経験もある。

-学習意欲をどう醸成するか
 「学ぶと楽しい」「学ぶと儲かる」と思ってもらうと変わる。

-営業系だと、研修は遠回り感がある。
 短時間で、すぐ使えるものは、逆に研修より、現場で学べるかも。

-職場にいるなら、仕事以外のことはするなという雰囲気がある。
 
-越境学習している社員は「あいつ、外に出ちゃって」とみられたりする。
「職場では学べないから、外にでるんでしょ」という目で見られることも。

-企業の度量の大きさ、文化が大事かも。

===

13時〜 参加者の皆さんと、東大の学食へ。

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キャンパスは、木々が色づいていました。

===

14時〜


●第2部 リーダー −経験から学ぶための適切な素養

23.

・マインドフルエンゲージメントモデル
・凝り固まった先入観を捨てさせ、改めて学び直させることを支援する。

24.

・PARR(Prepare, Act, Reflect, Review)学習モデル

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・PARRは、当社における「学習の転移」を導くのに最高の手法。
・能力開発における社員とマネジャーの二重責任を正確かつ明確に説明。

25.

・学びのレディネスを評価「GPS・R Goal, People, Stretch, Reflection」

26.

・従業員教育のすべてにおいて「準備段階」「学習段階」「フォローアップ段階」
 の3段階で行うことが徹底。

27.

・教室で成長に役立つことは、
 1)研修参加者に新しい考え方を経験させること
 2)業務に対して新しい行動を促すこと
 3)内省の時間を持たせること
 4)他のリーダーと連携する機会を与えること

・リーダーの学習態度を創り出す機会として、教室形式の研修を利用する

28.

・周囲から恰好悪くみられるのではという心配から、学習を回避する。

---

●クラスでの意見交換

-GPSRを、日本企業で使うとしたら?

 「方向」は答えづらいかも。
 キャリアは明確でないといけないということでもないのでは。

 これを使って、上司と面談するのはきつい。

-経験学習は、基本的に「失敗させて学ばせる」モデル。
 それ以外の学び方もある。

-コチコチではなく、しなやかマインドセットにするには?
 プロセスを評価することが大事では

---

29.

・4つの学習戦術「感情」「行動」「考え方」「他人に相談」

30.

・感情の動き方を観察し、セルフナレーションを行う。

31.

・フィードバックを求める人は、仕事ぶりに創造性があり、
 有能であると評価されている。

32.

・フィードバックを、誰に、いつ、どうやって訊くか
・SBI(Situation, Behavior, Impact)方式で質問

33.

・マイクロフィードバック

---

●クラスでの意見交換

‐フィードバック(FB)は大事だけど、現実には会社の中で弱みは
 見せづらい。

‐PBLでも、SBIの枠組みを使って、フィードバックしている。

‐FBの受け手が、厳しいFBを欲しい時期とそうでない時期がある。

‐色々な人から、色々な種類のFBを受ける

‐怒りの裏には、悲しみ(期待を裏切られた)がある。
 感情の奥のニーズを探る。NVCの考え方。

---

34.

・リーダーシップジャーニー

35.

・アメリカ陸軍が開発した「事後検証プログラム AAR After Action Review」

36.

・足場を固めるための質問
 1)何をしたの? 2)それにどんな意味があるの? 3)次に何をするの?

37.

・「人生の歩み」研修 学習、成長、変化という視点からの経験のふり返り

38.

・学習促進レベル
 1)交流型ファシリテーション 
 2)ソクラテス式問答法型ファシリテーション 
 3)対話型ファシリテーション

39.

・リーダーシップを人に教えられる力 LTPOV

40.

・実行意図 implementation intentions

・もし〜ならば、〜である

41.

・リーダーには、業績達成と経験からの学習という2つの目的を果たすことが
 求められる。

・戦略的な仕事と学習のための、12の質問

---

●クラスでの意見交換

-事実、解釈、アクションプランが、内省の王道のやり方なのかも。

-PDCAと経験学習モデルが似ているので、それに引っ張られる人もいるのでは
 PDCAは事柄のふり返りが中心。経験学習では、感情や視点も振り返るかも

 参考:感情にも着目したALACTモデル
    http://learn-well.com/blogsekine/2014/11/post_427.html

-教師ほど、感情を閉ざすかも。強い自分でいないといけない。
 現場を独りで回す大変さ。

-ストーリーテリングを強要されるのはきついかも。
 フォローとして現場までも「管理されたくない」

-研修で「行動変化の良い言い訳」を作ってもらえるならよいが。

---

42.

・私設顧問団 5名+批判的な2名

43.

・ミシガン大学ロスでの、内省研修

44.

・個人次元の誠実さ:言動の一貫性
 組織的次元の誠実さ:企業全体が共有している価値観
 体制的次元の誠実さ:他の組織と連携して作業

・人はビジネス社会に入れば、もはや一般市民ではなく、別の倫理基準をもつ
 別のプレーヤーになる。

45.

・次世代への恩送り

46.

・電話会議で学習コミュニティを作る

---

●クラスでの意見交換

-バーチャルラウンドテーブルのファシリテーションには、リアルとは
 別のスキルが求められそう。

-バーチャルの場では「安心感」と「緊張感」(さぼり可能なので)が必要

 参考:ZOOM ウェブ会議 http://zoom-japan.net/

 参考:AOM2015での「バーチャルワーク」でのセッション
    http://learn-well.com/blogsekine/2015/08/aom_4virtual_work_intl_hrm_soc.html

-1回対面で会っていれば、オンラインで語るのはやりやすいかも。
 オンラインでの語りは、下記*を参考にステップを踏んで行った。

 *加藤さんの本『自分を立て直す対話』

---

●ふり返り

-「仕事の与え方」の難しさ。2社目を立ち上げたばかりの今の状態だと、
 余裕がなくて、相手の能力開発まで視野に入れた仕事を出せない。

 どちらかというと、その人の既存の強みに期待して、発注している。
 零細企業だと余裕がない時期は、そこまで考えられない。

-部下の能力開発まで責任を負うのは、やはりマネジャーとしては大変。
 業績責任だけで精一杯。

-マネジャーはやっぱり大変。そう考えると、個人が組織を活用して、
 自らの能力開発をはかっていくことが必要。

-マネジャーの意図(能力開発の期待)が、部下には伝わってないこともある

-経験学習では「セットアップ」のモデルがない。

-個人だけではなく、チームとしてのパフォーマンスを上げるような経験学習
 
-経験学習を駆動させるための想いとつながりの重要性。

-周りの人的リソースの活用。その際にオンラインは役立つかも。

-既存の会議を「学びの場」にできるかも。
 忙しい日常の中でも学びはいれられる。

-「感情」に光をあてる

-経験学習では、「成果と学習を両方狙う」勝ちつつ、育てる。
 そうなると、強みベースとなりそうで、弱みを経験を通じて克服する
 というのは難しそう。

 経験学習だけだと、組織や環境のデザインまではカバーできない。

-経験を配分する人が、神のような存在に。

-リーダー経験は転移するのか。
 
 経験学習は現場での学習。ならば現場から離れた所で経験学習を回す
 ようなプロジェクトの意義は? 

===

1日目、終了!皆さん、ありがとうございました。


中原先生のブログ
 http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7112

菊池さんのブログ
http://dkikuchi.net/%e5%ad%a6%e7%bf%92%e3%83%bb%e6%88%90%e9%95%b7%e7%90%86%e8%ab%96/%e3%80%8c%e7%b5%8c%e9%a8%93%e5%ad%a6%e7%bf%92%e3%82%92%e3%82%b3%e3%82%a2%e3%81%ab%e3%81%97%e3%81%9f%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%80%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%83%e3%83%97%e9%96%8b%e7%99%ba%e3%80%8d%e3%81%ab/


===

次回は、11月24日(木)です。以下を共有します。

第3部 人材育成制度 − 経験に基づく能力開発の設計
第4部 組織 − 経験に基づく能力開発を支えるもの

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