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2017年03月28日

「リーダーシップの光と闇」研究会(3)@東大

2017年3月28日(火)10時〜15時
「リーダーシップの光と闇」研究会(3)を開催しました。


今日は、いい天気ですが、

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「闇ダークサイド系」の文献を、部屋にこもって共有します。


(・文献要約 −意見交換)

===

[21]Judge, T. A., Piccolo, R. F., & Kosalka, T. (2009).
The bright and dark sides of leader traits:
A review and theoretical extension of the leader trait paradigm.
The Leadership Quarterly, 20(6), 855-875.

・リーダーシップの特性論的アプローチについて論じる
 (/焚戎翰学 行動遺伝学 社会分析理論をベースに)
・メタ分析の結果、ビッグファイブのうち4つ(誠実性、情緒安定性、外向性、
 経験への開放性)が、リーダーシップの発現と効果に関連。
 それでも性格特性と結果変数の間の相関は高くなく、予測力に欠ける。
・望ましい特性(光)と望ましくない特性(闇)のいずれにおいても、
 ポジティブ、ネガティブな効果がある。
・望ましい特性(光)の闇の側面もある
  例)誠実性の高いリーダーは、カリスマ性が高いようには見られない。
・望ましくない特性(闇):ナルシシズム、Hubris過剰な自信や尊大さ、
  Social dominance支配性、マキアベリ主義
・ナルシシズム(他人からの評価を求める)と、CEOが行う企業買収の数や
 サイズと正の関係があった
・Hubrisヒューブリスティックな起業家は、自信とコミットメントが高く、
 素早く改革を行う。

−自己肥大している人は、会社も肥大する。
−T大統領は、ナルシシスト
−Traits特性には、光も闇もないのでは。
−「リーダーと認められること」と「リーダーシップの発揮」は違う
−「闇の特性」の印象評価(例:冷たい感じがする)
−メタな「Use of Self」傲慢な特性を、この場面ではおさえよう。
−尊大ではないけど、尊大にふるまわざるを得ないときもある。印象操作。
−特性論ではなく、行動論になっていく?
−「内向型」人材
−個人差があるのは、必要だから、進化の過程で残っている?
−自分の特徴を知って、陥りそうな罠に気を付けるという使い方はできそう。

===

[23]Liu, D., Liao, H., & Loi, R. (2012).
The dark side of leadership: A three-level investigation of the
cascading effect of abusive supervision on employee creativity.
Academy of Management Journal, 55(5), 1187-1212.

・「Abusive supervisionパワハラ的指導」に対し、部下がその動機を何と
 考えるか。パフォーマンス向上のためか、単なるいじめとしてか。 
・部門リーダーのパワハラ的指導は、チームメンバーの創造性に対して、
 チームリーダーのパワハラ的指導を通して、負の間接効果を与える。
 この効果は、パワハラ的指導の動機が何かによって和らげられる。
・パフォーマンス向上の動機であったとしても、パワハラ的指導は、
 受ける側の創造性を損ねる。
・社会学習理論により、ミドルマネジャーは、彼らの上司の指導スタイルを
 真似しがちで、パワハラ的指導もまねされる。

−Abusive supervisionで上がっている項目は、かなりブラックな行動。
 (例:皆の前でバカという、プライバシーを侵害する)
−創造性を発揮するには、リスクを負うことが必要、
 そのリスクを負える環境、心理的安全が必要では。
−「なにくそ」幻想 
−動機は、「いじめ」「教育意図」両方がないまぜになることもあるのでは
−「〜さんを想っての指導だからさ」とフォローしてくれる周囲も必要では
−パワハラは伝染する
−チームとして患者へのケアはできていても、チームとして機能しているかは別
 見えているチームワークと、見えてないチームワークがある。
−「ダメだし」の「聞き流し」も大事かも。
−社会科学に正解はないので、相手を言いくるめる技術は必要かも。

●参考:上司のパワハラは「組織内で伝染」して「職場の創造性」をつぶす!?
      http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7502

===

[18]Einarsen, S., Aasland, M. S., & Skogstad, A. (2007).
Destructive leadership behaviour: A definition and conceptual model.
The Leadership Quarterly, 18(3), 207-216.

・Destructive破壊的なリーダーシップの3カテゴリー:
 “麁察´脱線 支持的−不誠実

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・組織には貢献、でも部下は疲弊=Tyrannical非道なリーダーシップ
・組織にも貢献せず、部下もかわいそう=Derailed脱線リーダーシップ
・部下に配慮しすぎて、組織目標を達成できない=支持的−不誠実リーダーシップ

−2軸は、PM理論と同じ
−非道なリーダーだけども、数字をあげているから外せない
−Derail脱線、出世から外れたリーダーも含む
−にはまってしまうリーダーもいる。部下に厳しいことを言えない。
−破壊的な「受け身」のリーダーもいる。減点主義の組織だと。
 「やらない」ということを、強い意志で決めている。
−「なぜこの人がマネジャーに…」という組織は、人材がいないから。
−アメリカの管理職は、部下育成を、自分の仕事と思ってない人が多い。
  日本の管理職は、部下育成を、自分の仕事と思っている人が多い。
−アメリカでは、育成責任は無くても、Retention責任はある。
  Retentionのために、モチベーション喚起という手段をとる。
−「育成することは良いことだ」という言説はある。
−「組織の目標に対して育てる」と言うと、うけない。

●組織に背き、部下の生き血をすする破壊的リーダー」注意報!?
  http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7544

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===

[17]Zhang, Y., Waldman, D. A., Han, Y. L., & Li, X. B. (2015).

Paradoxical leader behaviors in people management:
Antecedents and consequences.
Academy of Management Journal, 58(2), 538-566.

・リーダーの矛盾的行動(Paradoxical Leader Behavior:PLB)という概念を提示
 1)部下を1人1人個人として受け入れると共に、統一的に扱う
 2)自己中心性と、他者中心性の結合
 3)自律性を認める一方で、決定に対するコントロールは維持する
 4)柔軟性は認める一方で、仕事への要求は強化する
 5)距離と、親密さの両方を保つ
・リーダーの矛盾的行動は、ネガティブな結果をもたらしうる

−質問項目は、矛盾行動を聞くので、Double barreled になる
−欧米人はおそらくこのダブルバーレル質問には答えられないかも
−矛盾行動をとれる人は、メタに上がって落としどころを決められる人だから
 かなり高度かも。
−Dilemmma manager 教師研究。全体を見ながら個別指導する教員
−マネジャーは、Trade offの関係に置かれるのが常。
 「あっちを立てれば、こっちが立たず」
−東洋なら、矛盾を内包している成熟したマネジャーに見られるかも。
 西洋だと「どっちなの!はっきりして!」と思われるかも。
−矛盾状況でのジャッジができない新任マネジャーも、経験を積んだり、
 他の人の意見から引き出しが増えたりすると、ジャッジができ始める
−何か提案すると、それに「いいね」という人と「しらけ」る人がいるはず。
 それを事前に想定する。
−「何かやる」と「職場」での肯定的、否定的な人がでる。さらに「組織」
 にも同じような人達が出て、「社会」からの反応も出る。それを想定する。
−どの「視点」で判断するか。
−「常識A」と「常識B」が拮抗すると矛盾する。どちらも正しい。
 どちらかに決めないといけない時、判断軸が必要になる。
−「真理は一つ!」と見る人と「真理は人による(構造主義的)」と見る人がいる

●参考:リーダーシップとは「矛盾」である!?
  http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7506

===

[20]Tepper, B. J., Moss, S. E., & Duffy, M. K. (2011).
Predictors of abusive supervision: Supervisor perceptions of deep-level
dissimilarity, relationship conflict, and subordinate performance.
Academy of Management Journal, 54(2), 279-294.

・道徳的排除(moral exclusion)理論によれば、部下へのハラスメント
 (abusive supervision)を引き起こす3つの要因は、
 ”下との間の深いレベルでの違い ⊃祐峇愀犬砲ける対立 I下の業績
・,高いと、△生じ、の評価が下がる。
 そうすると、部下へのハラスメントが生まれる。

−業績が高い部下に、上司はハラスメントをしない
−共感性を高めるトレーニングとして、VRを使ったり、ロープレをしたりする。
−「同じであるはずだ」という前提で、上司が部下に接している。
−他者との間に「深い境界」があるからこその共感。

●参考:共感とは「相手と同じ感情になること」ではない!?
     http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7486

−「ジェンダーの違い」を知った上で「で、どうする?」の判断は本人に。
−ヨーロッパではRetentionのために、従業員よりのマネジメントになってきている
−時間は、主観的なものでもある。フロー状態なら、長時間でも短く感じる。
−労働経済学では、物理的な時間を中心に見ている。
−「時間当たり生産性」で測れるような仕事は、
  今のホワイトカラーには少なくなっているのでは。

===

●ふり返り

−「闇」の研究は難しい。定性的にやっても面白いかも。
−対お客だと共感的なのに、対職場メンバーだと破壊的になる矛盾。
−リーダーシップの闇について考えたことがなかったので興味深い。
−自身の軸足を決めたい。こういう場に参加できるのはありがたい。
−特性論よりも、LMX関係性で見た方がよいのかも。部下によって上司も変わる。
−リーダーシップは、やっぱり「闇」の側面があることを再確認。
−光と闇はいつでも逆になりうる。リーダーシップのもろ刃の剣。
−社長として、ナルシシズム、ヒューブリスティック、マキアベリズムが
  あることを知った上で、メタな視点から、それらとうまく付き合う。
−「特性×LMX」で、注意点を示すことはできるかも。

===

●参考:「サイコパス」関連の本

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『サイコパス』中野2016

・サイコパスは道徳によって判断する事は無い。
 合理的だから、それが正しいと考える。
・織田信長は、勝ち組サイコパス。
・ADHDを併発しているサイコパス。
・「脳の一部機能低下」「遺伝子の変異体」「幼少期の虐待」
 の3つが揃わなければ、反社会的行動をするサイコパスにはならない
・「人間ならこうすべきだ」と気持ちがざわつく、情動が生じることが良心
・シリコンバレーの起業家に求められる気質は、サイコパスの性質と合致
・人間の脳は「信じる方が気持ちいい」
 自分で判断を行うことが負担で、それが苦痛に感じる。認知負荷。
・サイコパス向きの仕事(CEO、弁護士、マスコミ、セールス、外科医)を探そう。

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『診断名サイコパス』ヘア2000

・精神病質者(サイコパス)=良心が欠けている without conscience
・社会の影響力や幼少期の経験に由来していると考える人たちは、
 ソシオパスをいう言葉を好み、遺伝的要因も関与していると考える人
 たちは、サイコパスという言葉を使う。
・サイコパスと自分を重ね合わせる。魔性は人を惹きつける。
・成功したサイコパスと呼ぶよりも「隠れ有罪サイコパス」と呼びたい。

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『良心をもたない人たち』スタウト2012

・精神病質(サイコパシー)=罪悪感の欠如
・サイコパシーだけは、当人に不快感がなく、
 患者が気に病むことのない病気
・五感+直感(第六感))+良心(第七の感覚)
・良心=他者への感情的愛着から生まれる義務感
・サイコパスの少ない文化圏もある。日本と中国は割合が低い。

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●参考:サイコパスとその理念が世界を動かしている「悪意の時代」の中で
http://indeep.jp/psychopaths-running-this-world-and-what-can-we-do/

===

皆さん、どうもありがとうございました!今回も刺激的でした。

2017年03月23日

「リーダーシップの光と闇」研究会(2)@東大

2017年3月23日(木)10時〜17時@東大で、
「リーダーシップの光と闇」研究会(2)を開催しました。

今日の文献は「光キラキラ系」が中心です。

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今日は、東大の学位授与式でした。みな、キラキラしてますね。

(・文献要約 −意見交換)
===

[9]Caligiuri, P., & Tarique, I. (2009).
Predicting effectiveness in global leadership activities.
Journal of World business, 44(3), 336-346.

・200名以上のグローバルリーダー(GL)に対する調査結果:
 1)「異文化リーダーシップの開発経験」と「リーダーの人格特性」が、
   「GL行動の有効性」を予測する
 2)「extraversion外向性」が「異文化リーダーシップ開発経験」と
   「GL行動の有効性」との関係を調整moderateする。
 3)「異文化接触の多いリーダーシップ開発経験」は、GL行動において効果的

−経験から上手に学べるよう、内省の仕方等を学ぶのはありかも。
−GLとは何か?グローバルリーダーと、Domesticリーダーの違いは?
−GLは、前提条件がぶっ壊れる(例:いきなり契約を変えろ)経験が多い
 想像もしない事態が起こる
−事前に疑似体験をしていると、心の準備ができる
−コピーしながら(ローテク)先輩の体験談を聞いたこともある
−この研究だと、多国籍企業にいる管理職を、GLとおいている
−Efficacy自己効力感が身につくと、次も経験できる「なんとかなる」と
−無茶ぶりして困る経験をさせないと力がつかない。
 でも「二度としたくない」と思わないよう、自信を持たせる必要もある。
−若いうちに「かばん持ち」経験を出来るとよいかも。

===

[12]Ayoko, O. B., & Callan, V. J. (2010).
Teams’ reactions to conflict and teams’ task and social outcomes:
The moderating role of transformational and emotional leadership.
European Management Journal, 28(3), 220-235.

・より高いレベルの感情管理を含むリーダーの行動は、業績の改善に強く関連。
・リーダーによる高いレベルの鼓舞とビジョンの伝達が、チームメンバーによる
 いじめの減少に直接関連していた。

−海外の看護領域では、いじめを「若者食い」と表現して、
 30年ほどの研究蓄積がある
−「ギスギスしたから、ちゃんと話そうね」と自然に思える職場もある
−「破壊的な反応」と「全然おきない」職場
−「破壊的な反応」を認めない。ガチでぶつからない。
 逃げる、不一致を表面化させない、対立を避ける
−「近くにいる人たちと仲良くやりたい」という欲求
−ぶつかってはいないけど、ハッピーでないという状態はある
−看護師は、患者最優先で、対立を恐れない人も多い。
−長く同じメンバーでいない方がよい。創造性発揮のためにも。

●参考:Katz(1982)The effects of group longevity on project communication and performance

===

[0]Reave,L.(2005) Spiritual values and practice related leadership effectiveness.
The leadership quarterly. vol.16 pp655-687

・リーダーの卓越性とリーダーがもっているスピリチュアルな価値観には、
 関連がある。(150本の研究レビューにより)
・リーダーは、変革行動を、スピリチュアルな言葉で説明しようとする
・リーダーシップは「リーダー個人の誠実さintegrity」から生まれる
・フォロワーはリーダーの行動と内面的価値観に一貫性があるかを
 常に観察している

−スピリチュアルといっても、ここで論じられているのは「価値観」
−「integrity」の訳し方が難しい。真摯さ、誠実さ、一貫性
−「感謝の心を忘れずに」もスピリチュアル?
−因果がはっきりしないものを、スピリチュアルとして説明?
−企業倫理の話が出たころ(2000年〜)から、スピリチュアルな研究も出てきた
 経営者は、金儲けだけでなく、社会的リーダーであるべき(エンロン事件後)
−宗教心の強い欧米の経営者は多い
−スピリチュアルのベースは、欧米だと宗教、日本だと他のことなのかも。
−「開祖がいて、教義があって、教団がある」という欧米宗教

===

[13]Strange, J. M., & Mumford, M. D. (2005).
The origins of vision: Effects of reflection, models, and analysis.
The Leadership Quarterly, 16(1), 121-148.

レジュメを見る

−Mumfordさんは、Leadership Quarterlyの編集長
−「メタ認知」「内省」の力がある人は、良いビジョンを作れる。
−ビジョンを皆で作ると、さえないものになりやすい。
−荒れてなくて順調なときは、リーダーシップはいらないかも。
−「危機のときにリーダーシップ」が必要というけど、
 「危機にならないようにリーダーシップ」が発揮されているのかも。

===

東大学食へ。

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卒業お祝い定食もありました。

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キラキラしてますね。

===

学食での話

−コワーキングスペースは「SNSでの戦闘力3倍増し!」みたいな場所かも。
−若者目線で、お店をフィールドワークしてもらう
−インスタに上げる前に相当の労力をかけている。

===

[1]Herd, A. M., Alagaraja, M., & Cumberland, D. M. (2016).
Assessing global leadership competencies: the critical role of assessment centre methodology.
Human Resource Development International, 19(1), 27-43.

・GLの評価、選抜にとって、質問紙調査だけでなく、AC方式も有効では。

−AC方式は、やはりコストがかかる。
−適性テスト、AC方式、両方を使うことが、管理職選抜に有効という研究はある
−GLに、AC方式を使うというのは、日本ではほとんど聞いたことがない。
−ACだと、同じことをさせるので、評価しやすく、安定しやすい。
−ただ「〜力」みたいな個別に「何が有能か」を特定するのは難しい。
−就活グループディスカッションも、ゆるやかなAC方式。
 対人関係力を見ることができる。
−リーダー選びの慎重さ
−「肩書リーダー」と「実際リーダー」

===

[16]Mumford, M. D., Scott, G. M., Gaddis, B., & Strange, J. M. (2002).
Leading creative people: Orchestrating expertise and relationships.
The leadership quarterly, 13(6), 705-750.

・創造性ある人々をリードするには、専門知識と関係を、オーケストラのように
 調律する必要がある。
・フォロワーから見たリーダーの専門分野における知識量(すごさ)に依存する

−創造性ある仕事は苦しいこともあるので、社会的支援は必要。
−「馬鹿にされたら」リーダーシップは発揮しにくい
−リーダーは「猛獣使い」
−こんなにも全部できるリーダー、ほんとにいるのか。
−リーダー=すごい人? 

===

[14]Hambrick, D. C., & Mason, P. A. (1984).
Upper echelons: The organization as a reflection of its top managers.
Academy of management review, 9(2), 193-206.

・組織成果は、経営幹部の価値観と認知を反映したものである。
・組織の3機能の内、出力機能の経験が多いと、成長が高い
  出力:商品開発、Mktg、セールス
  処理:生産、工程管理、経理 周辺:法務、財務

−不完全な状況で判断しなくてはいけない
−「誰がトップになったからといって企業業績は変わらない」という研究もある
−ただ、トップによって企業が変わるということもある

===

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皆さん、ありがとうございました。

次回(3月28日)は「リーダーシップの闇:ダークサイド」が中心です。

●中原先生のブログ
  http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7495

2017年03月16日

ACC: Academic Chemistry Camp 2017 に参加してきました。

2017年3月15日(水)〜16日(木)東大中原研主催

「ACC:Academic Chemistry Camp 2017 (各領域のフロントランナー達が出会い、
化学反応?するキャンプ。各研究領域の最新トピックに触れる旅)」
@三浦海岸に参加してきました。

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今後のために、印象に残った点を記録に残しておきます。

1.ゲストセッション

●安斎先生

・会社を設立。Mimicry design

・化学反応(結合、切断)を起こすには?
 1)良い問い 2)突っ込み 3)相互依存構造 4)類推
 5)合意非形成 6)多様性とアイデンティティー 7)あそび

・人はなぜ協力するのか? 一人では解決できないから。

・矛盾する問いだと、創発的コラボが生まれやすい
 例「危険だけど居心地が良いカフェ」

---

●石山先生

・働く=雇用 と考える日本人が多い。
 1955年までは、雇用は50%ほど。残りは自営業だった。

・キャリア権:働くこと、学ぶこと、自分で決めること

・「構造的空隙」と「構造的重複」

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●松下先生

・職場のメディア論

・SpaceとPlaceの違い。「サード・スペース」
 コワーキングスペース(プレースではなく)

・Virtual=Nominal(名目上) であり、Not realではない。

===

2.ポスターセッション

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ときがわカンパニー(同)の活動として「林業営業」について紹介しました。

たくさんのコメントやアドバイスを頂戴しました。
どうもありがとうございました。

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・林業は、時間軸が違う。
 それを一般の人に分かってもらうのが大事では。
・木を伐ることはやってみたい。チェーンソー体験。
・単独ではペイできなくても、
 複合させることでペイできるようにできれば。
・「都会に近い森林」というのは、企業研修でも魅力。
・皮はぎ体験
・徳島県上勝 てるぺん
・大地を守る会 自然住宅
・花粉症患者による寄付で、スギ伐採は魅力的。
・森林面積、杉の量等、数字も含め、マニアックにならないよう説明すべき
・「まくあけ」の役員との接点(Siさん)
・応援しやすくなるよう。

・地域社会化 社会化エージェントが、半年間のなりわい塾を実施。

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東大 中原先生にも「木育て、ときがわ」パンフレットをプレゼント。

===

3.グループ内での話

・異分野の人を巻き込む、デザインプロセスを参考にする、
  ターゲットのペルソナ化を行う

・シナリオを書ける編集者、地理に詳しい人、歴史に詳しい人

・「地理人研究所」どこと比べればよいかのアイデアが豊富
http://www.chirijin.com/

・ジョブスタ http://heart-quake.com/jobsta.html

===

企画運営にご尽力くださった東大中原研の皆さん、ありがとうございました。

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●中原先生のブログ
   http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7433

2017年03月13日

「リーダーシップの光と闇」研究会(1)@東大

2017年3月13日(月)10時〜17時@東大で、
「リーダーシップの光と闇」研究会(1)を実施。

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曇り空。

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東大の合格発表。ここで、色々なドラマがあったのでしょうね。

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会場のセッティング。10時、いよいよスタート。


(・文献要約 −意見交換)

===
[6]Mumford, M. D., Zaccaro, S. J., Harding, F. D., Jacobs, T. O., &
Fleishman, E. A. (2000). Leadership skills for a changing world: Solving
complex social problems. The Leadership Quarterly, 11(1), 11-35.

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・リーダーシップ=スキル(課題解決・社会的判断・社会的)
・リーダーの仕事=課題解決
・スキル発揮には、知識が必要。
・リーダーシップは開発可能。
・スキル獲得には、一定の時間がかかる。

−個人特性に対して、スキルが媒介し、問題解決し、パフォーマンスが発揮される
−スピリチュアルのイメージは、1970年代のニューエイジ。
−不確実な中、決めなくてはいけないリーダーの場合、何らかの軸が必要。
 そこで、宗教が必要になるのかも。
−宗教は、目には見えてないけど、秩序が存在すると考えること
−これに従っていれば、間違わないという頼れる軸?
−神社は、混沌とした現状から離れられ、深い内省が得やすい場
−価値は、状況と切り離せない

===

[15]Mumford, M. D., & Gustafson, S. B. (1988). Creativity syndrome:
Integration, application, and innovation. Psychological bulletin, 103(1), 27.

・社会的影響力が大きい創造性(MJC)と小さい創造性(MNC)
・MJCの発揮度は、若年成人期の終わりに急速に低下。
 MNCと生産性のピークは中年期。
・創造性の発揮には「問題発見」活動が大きな影響を与える。
・創造的な学生の多くが頻繁に夢を見て、その心理的意義について考えていた。

−「参照枠組みのズレ」が、新たなアイデアを生むことがある。
 例)Perfumeの「ポリリズム」(リリリが、音飛びだと思われるという人)
−日本人のプレゼンスが低い
−MJCででかいのを狙うばかりでなく、MNCでやるべきことをやることで、
 大きな差が出てくることもある。
−ブラッシュアップという名の「そぎ落とし」が、上への説明において行われる
−MNCが、きちんとできる人材をそろえたほうがよいのでは。
−MJCは、会社の戦略との合致が必要。
−他のことをやらせれば、創造性が発揮されやすくなる。
−創造性を形にできる組織構造が必要では。
−「融和」なのか「討伐」モデルなのか(価値観の違う上の世代に対して)

●中原先生のブログ
   http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7439

===

[7]Carmeli, A., Reiter-Palmon, R., & Ziv, E. (2010). Inclusive leadership and employee involvement in creative tasks in the workplace: The mediating role of psychological safety. Creativity Research Journal, 22(3), 250-260.

・インクルーシブリーダーシップとは、フォロワーとの関係におけるリーダーの
 「開放性」「近づきやすさ」「有用性」を指す。
・インクルーシブなリーダーシップが「心理的安全」を促進し、創造的な仕事への
 従事につながる。

−グーグルも「創造性発揮」には「心理的安全」が必要と発表。
−「素でいられる」
−破壊的なDistruptiveなリーダーシップが、創造性を発揮するケースもある。
 その際は、同僚等が心理的安全を担保しているのかも。
−「心理的安全」があれば、創造性ある個人が、ピンとして立ちやすい。
−「言いだしっぺがやらされる」と、発言しなくなる。
−アメリカでは「インクルーシブ」という概念が出てきたということは、
 実際はそういう状態にはない(例:傾聴しない、オープンでない)ということ。

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===

[2]McDonnell, A., Lamare, R., Gunnigle, P., & Lavelle, J. (2010).
Developing tomorrow's leaders—Evidence of global talent management in
multinational enterprises. Journal of World Business, 45(2), 150-160.

・MNEの規模が大きいほど、GTMシステムが導入されている。
・世界的な継承計画は、6割のMNEで実施されている。最も一般的なアプローチ

−GTMと聞いても、日本企業だと「もうやってる」と感じるかも。
−「外から採ってくる」「中で引き上げる」派

===

[4]Ng, K. Y., Van Dyne, L., & Ang, S. (2009). From experience to
experiential learning: Cultural intelligence as a learning capability for
global leader development. Academy of Management Learning & Education, 8
(4), 511-526.

・駐在中の経験から、いかに学ぶのか。
・文化的知能指数(CQ)が、重要な学習能力。

−海外で「すごい経験したよね」というのと「そこから何を学んだか」は違う
−「ガツンとすごい経験」だけでなく「細かい経験」も大事では。
 さっきのMNCのように。
−海外で学んだことが、日本に戻ると活用する機会がないこともある。
−「異質な海外に行くと鍛えられる」という信念を、日本企業はもっているが
 その割に、社会人大学院に行くことは歓迎されない。
−どう育てていいかわからないので「とりあえず外に出して、育ってこい」
 になっているのかも(大学のPBL等)
−海外駐在、大人数マネジメントも、以前経験したかどうかは大きいかも。
−その経験は次のフェーズに入るための「通過儀礼」という位置づけもあるかも
−できる人は、どんな経験もCriticalにする。「あとづけ、意味づけ」力が強い。

===

[8]Gonzalez, J. A., & Denisi, A. S. (2009). Cross‐level effects of
demography and diversity climate on organizational attachment and firm
effectiveness. Journal of Organizational Behavior, 30(1), 21-40.

・人材の多様性が、組織への定着度と企業業績に与える影響を検証。
・「多様性風土」が調整変数として影響する。

−同質な仕事をしている場合、
多様性は生産性に負の影響をもつという先行研究有
−多様性が成果を発揮するには、時間が必要というのは
当たり前といえば当たり前


===

[22]Paulhus, D. L., & Williams, K. M. (2002). The dark triad of personality: Narcissism, Machiavellianism, and psychopathy. Journal of research in personality, 36(6), 556-563.

レジュメを見る

−サイコパス的メンタリティーを持つ集団の一部が、サイコパスになるのかも。
  病的なサイコパスと、サイコパス的メンタリティーは、当然違う。
−「資質」か「学習」か
−経営者には、フィードバックがかかりづらい
−印象マネジメントとして、あえてこのような「ダークトライアド」を
  演じている場合もあるのでは
−バランス
−他者との関係をいかに大事にするか
−多くの人に受け入れられるために「良心」や「道徳」を掲げる可能性
−よりどころがない、自分がすべてだからこそ、宗教にすがるのかも
−やっていることがはたして正しいのか、良かれと思ってやっていることが
  悪用される恐れ。デュアルテクノロジー。
−自己評価と他者評価、どちらが正しいとは言えないというのが
  心理学の現時点での結論。
  なぜそういう行動をとるのか意図は他者からは見えない。
−創業者にはサイコパス的メンタリティーが必要な時もある。

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1日目、終了。 濃くて、楽しい、時間でした。(皆さん、ありがとうございました)

次回は、3月23日(木)です。