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「リーダーシップの光と闇」研究会(3)@東大

2017年3月28日(火)10時〜15時
「リーダーシップの光と闇」研究会(3)を開催しました。


今日は、いい天気ですが、

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「闇ダークサイド系」の文献を、部屋にこもって共有します。


(・文献要約 −意見交換)

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[21]Judge, T. A., Piccolo, R. F., & Kosalka, T. (2009).
The bright and dark sides of leader traits:
A review and theoretical extension of the leader trait paradigm.
The Leadership Quarterly, 20(6), 855-875.

・リーダーシップの特性論的アプローチについて論じる
 (/焚戎翰学 行動遺伝学 社会分析理論をベースに)
・メタ分析の結果、ビッグファイブのうち4つ(誠実性、情緒安定性、外向性、
 経験への開放性)が、リーダーシップの発現と効果に関連。
 それでも性格特性と結果変数の間の相関は高くなく、予測力に欠ける。
・望ましい特性(光)と望ましくない特性(闇)のいずれにおいても、
 ポジティブ、ネガティブな効果がある。
・望ましい特性(光)の闇の側面もある
  例)誠実性の高いリーダーは、カリスマ性が高いようには見られない。
・望ましくない特性(闇):ナルシシズム、Hubris過剰な自信や尊大さ、
  Social dominance支配性、マキアベリ主義
・ナルシシズム(他人からの評価を求める)と、CEOが行う企業買収の数や
 サイズと正の関係があった
・Hubrisヒューブリスティックな起業家は、自信とコミットメントが高く、
 素早く改革を行う。

−自己肥大している人は、会社も肥大する。
−T大統領は、ナルシシスト
−Traits特性には、光も闇もないのでは。
−「リーダーと認められること」と「リーダーシップの発揮」は違う
−「闇の特性」の印象評価(例:冷たい感じがする)
−メタな「Use of Self」傲慢な特性を、この場面ではおさえよう。
−尊大ではないけど、尊大にふるまわざるを得ないときもある。印象操作。
−特性論ではなく、行動論になっていく?
−「内向型」人材
−個人差があるのは、必要だから、進化の過程で残っている?
−自分の特徴を知って、陥りそうな罠に気を付けるという使い方はできそう。

===

[23]Liu, D., Liao, H., & Loi, R. (2012).
The dark side of leadership: A three-level investigation of the
cascading effect of abusive supervision on employee creativity.
Academy of Management Journal, 55(5), 1187-1212.

・「Abusive supervisionパワハラ的指導」に対し、部下がその動機を何と
 考えるか。パフォーマンス向上のためか、単なるいじめとしてか。 
・部門リーダーのパワハラ的指導は、チームメンバーの創造性に対して、
 チームリーダーのパワハラ的指導を通して、負の間接効果を与える。
 この効果は、パワハラ的指導の動機が何かによって和らげられる。
・パフォーマンス向上の動機であったとしても、パワハラ的指導は、
 受ける側の創造性を損ねる。
・社会学習理論により、ミドルマネジャーは、彼らの上司の指導スタイルを
 真似しがちで、パワハラ的指導もまねされる。

−Abusive supervisionで上がっている項目は、かなりブラックな行動。
 (例:皆の前でバカという、プライバシーを侵害する)
−創造性を発揮するには、リスクを負うことが必要、
 そのリスクを負える環境、心理的安全が必要では。
−「なにくそ」幻想 
−動機は、「いじめ」「教育意図」両方がないまぜになることもあるのでは
−「〜さんを想っての指導だからさ」とフォローしてくれる周囲も必要では
−パワハラは伝染する
−チームとして患者へのケアはできていても、チームとして機能しているかは別
 見えているチームワークと、見えてないチームワークがある。
−「ダメだし」の「聞き流し」も大事かも。
−社会科学に正解はないので、相手を言いくるめる技術は必要かも。

●参考:上司のパワハラは「組織内で伝染」して「職場の創造性」をつぶす!?
      http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7502

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[18]Einarsen, S., Aasland, M. S., & Skogstad, A. (2007).
Destructive leadership behaviour: A definition and conceptual model.
The Leadership Quarterly, 18(3), 207-216.

・Destructive破壊的なリーダーシップの3カテゴリー:
 “麁察´脱線 支持的−不誠実

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・組織には貢献、でも部下は疲弊=Tyrannical非道なリーダーシップ
・組織にも貢献せず、部下もかわいそう=Derailed脱線リーダーシップ
・部下に配慮しすぎて、組織目標を達成できない=支持的−不誠実リーダーシップ

−2軸は、PM理論と同じ
−非道なリーダーだけども、数字をあげているから外せない
−Derail脱線、出世から外れたリーダーも含む
−にはまってしまうリーダーもいる。部下に厳しいことを言えない。
−破壊的な「受け身」のリーダーもいる。減点主義の組織だと。
 「やらない」ということを、強い意志で決めている。
−「なぜこの人がマネジャーに…」という組織は、人材がいないから。
−アメリカの管理職は、部下育成を、自分の仕事と思ってない人が多い。
  日本の管理職は、部下育成を、自分の仕事と思っている人が多い。
−アメリカでは、育成責任は無くても、Retention責任はある。
  Retentionのために、モチベーション喚起という手段をとる。
−「育成することは良いことだ」という言説はある。
−「組織の目標に対して育てる」と言うと、うけない。

●組織に背き、部下の生き血をすする破壊的リーダー」注意報!?
  http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7544

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[17]Zhang, Y., Waldman, D. A., Han, Y. L., & Li, X. B. (2015).

Paradoxical leader behaviors in people management:
Antecedents and consequences.
Academy of Management Journal, 58(2), 538-566.

・リーダーの矛盾的行動(Paradoxical Leader Behavior:PLB)という概念を提示
 1)部下を1人1人個人として受け入れると共に、統一的に扱う
 2)自己中心性と、他者中心性の結合
 3)自律性を認める一方で、決定に対するコントロールは維持する
 4)柔軟性は認める一方で、仕事への要求は強化する
 5)距離と、親密さの両方を保つ
・リーダーの矛盾的行動は、ネガティブな結果をもたらしうる

−質問項目は、矛盾行動を聞くので、Double barreled になる
−欧米人はおそらくこのダブルバーレル質問には答えられないかも
−矛盾行動をとれる人は、メタに上がって落としどころを決められる人だから
 かなり高度かも。
−Dilemmma manager 教師研究。全体を見ながら個別指導する教員
−マネジャーは、Trade offの関係に置かれるのが常。
 「あっちを立てれば、こっちが立たず」
−東洋なら、矛盾を内包している成熟したマネジャーに見られるかも。
 西洋だと「どっちなの!はっきりして!」と思われるかも。
−矛盾状況でのジャッジができない新任マネジャーも、経験を積んだり、
 他の人の意見から引き出しが増えたりすると、ジャッジができ始める
−何か提案すると、それに「いいね」という人と「しらけ」る人がいるはず。
 それを事前に想定する。
−「何かやる」と「職場」での肯定的、否定的な人がでる。さらに「組織」
 にも同じような人達が出て、「社会」からの反応も出る。それを想定する。
−どの「視点」で判断するか。
−「常識A」と「常識B」が拮抗すると矛盾する。どちらも正しい。
 どちらかに決めないといけない時、判断軸が必要になる。
−「真理は一つ!」と見る人と「真理は人による(構造主義的)」と見る人がいる

●参考:リーダーシップとは「矛盾」である!?
  http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7506

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[20]Tepper, B. J., Moss, S. E., & Duffy, M. K. (2011).
Predictors of abusive supervision: Supervisor perceptions of deep-level
dissimilarity, relationship conflict, and subordinate performance.
Academy of Management Journal, 54(2), 279-294.

・道徳的排除(moral exclusion)理論によれば、部下へのハラスメント
 (abusive supervision)を引き起こす3つの要因は、
 ”下との間の深いレベルでの違い ⊃祐峇愀犬砲ける対立 I下の業績
・,高いと、△生じ、の評価が下がる。
 そうすると、部下へのハラスメントが生まれる。

−業績が高い部下に、上司はハラスメントをしない
−共感性を高めるトレーニングとして、VRを使ったり、ロープレをしたりする。
−「同じであるはずだ」という前提で、上司が部下に接している。
−他者との間に「深い境界」があるからこその共感。

●参考:共感とは「相手と同じ感情になること」ではない!?
     http://www.nakahara-lab.net/blog/archive/7486

−「ジェンダーの違い」を知った上で「で、どうする?」の判断は本人に。
−ヨーロッパではRetentionのために、従業員よりのマネジメントになってきている
−時間は、主観的なものでもある。フロー状態なら、長時間でも短く感じる。
−労働経済学では、物理的な時間を中心に見ている。
−「時間当たり生産性」で測れるような仕事は、
  今のホワイトカラーには少なくなっているのでは。

===

●ふり返り

−「闇」の研究は難しい。定性的にやっても面白いかも。
−対お客だと共感的なのに、対職場メンバーだと破壊的になる矛盾。
−リーダーシップの闇について考えたことがなかったので興味深い。
−自身の軸足を決めたい。こういう場に参加できるのはありがたい。
−特性論よりも、LMX関係性で見た方がよいのかも。部下によって上司も変わる。
−リーダーシップは、やっぱり「闇」の側面があることを再確認。
−光と闇はいつでも逆になりうる。リーダーシップのもろ刃の剣。
−社長として、ナルシシズム、ヒューブリスティック、マキアベリズムが
  あることを知った上で、メタな視点から、それらとうまく付き合う。
−「特性×LMX」で、注意点を示すことはできるかも。

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●参考:「サイコパス」関連の本

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『サイコパス』中野2016

・サイコパスは道徳によって判断する事は無い。
 合理的だから、それが正しいと考える。
・織田信長は、勝ち組サイコパス。
・ADHDを併発しているサイコパス。
・「脳の一部機能低下」「遺伝子の変異体」「幼少期の虐待」
 の3つが揃わなければ、反社会的行動をするサイコパスにはならない
・「人間ならこうすべきだ」と気持ちがざわつく、情動が生じることが良心
・シリコンバレーの起業家に求められる気質は、サイコパスの性質と合致
・人間の脳は「信じる方が気持ちいい」
 自分で判断を行うことが負担で、それが苦痛に感じる。認知負荷。
・サイコパス向きの仕事(CEO、弁護士、マスコミ、セールス、外科医)を探そう。

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『診断名サイコパス』ヘア2000

・精神病質者(サイコパス)=良心が欠けている without conscience
・社会の影響力や幼少期の経験に由来していると考える人たちは、
 ソシオパスをいう言葉を好み、遺伝的要因も関与していると考える人
 たちは、サイコパスという言葉を使う。
・サイコパスと自分を重ね合わせる。魔性は人を惹きつける。
・成功したサイコパスと呼ぶよりも「隠れ有罪サイコパス」と呼びたい。

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『良心をもたない人たち』スタウト2012

・精神病質(サイコパシー)=罪悪感の欠如
・サイコパシーだけは、当人に不快感がなく、
 患者が気に病むことのない病気
・五感+直感(第六感))+良心(第七の感覚)
・良心=他者への感情的愛着から生まれる義務感
・サイコパスの少ない文化圏もある。日本と中国は割合が低い。

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●参考:サイコパスとその理念が世界を動かしている「悪意の時代」の中で
http://indeep.jp/psychopaths-running-this-world-and-what-can-we-do/

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皆さん、どうもありがとうございました!今回も刺激的でした。

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