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「サーベイフィードバックの古典を読む」勉強会(2)

2020年4月9日(木)13時〜15時、Zoomで「サーベイフィードバックの古典を読む」勉強会(2)を行いました。(前半2回の内の2回目)

今回は、緑本 Survey-Guided Development 1_DATA-BASED ORGANIZATIONAL CHANGE』です。

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・文献の抜粋要約(参加者のレジュメおよび発表より)
‐勉強会で出た意見
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Ch1 Prologue (Iさん)

・成人学習、人材育成、製造業のコンサルティングといった領域で組織開発が急速に立ち上がり始めている。(1970年台に今と同じ文脈!)
・ODの取り組みとしては感受性トレーニング、人間関係トレーニング、チーム開発、プロセスコンサルテーション、ロールプレイングなどの方法で実践されているが定量データに基づいたものではなく、信頼性は記述できない
・なので、データに基づいた、サーベイフィードバック方法を取り組みを今後広めていかねばらない。

・サーベイフィードバックを適応するにあたってベースとなる2つの科学的思想がある
 1)知覚することが動機づけにつながる。
 2)心理工学の視点:人間の能力や性能を定数、仕事を変数と考え、仕事と人間の適合関係を研究する

・チェンジエージェントの役割と活動
 1)組織機能に関する科学的な知見とチェンジプロセス間の変換者として活動する
 2)組織機能モデルに関する知見を持ち実現に向けて活動する
 3)目標志向行動の積極的な擁護者
 4)幅広い知識とスキルを持ち、特定の方法に縛られず組み合わせて活動すること(カスタマイズ、オーダーメード)

-どんな組織モデルをもっているか?
-ベッカードのGRPIモデルを、クライアントと合意して、質問項目を一緒に作っていった。
-自分にもクライアントにもしっくりきたモデルだったので、受け入れられた。

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Ch2 The Organization as a Social System(N先生)

・組織を「どのように」見立てるか、(ここで論じられるのは、客観主義・実証主義的な組織観であることに注意)

・組織とは「ポジションの集合」でもなければ「タスクの集合」でもない
・組織とは「Workgroup」の集合体と考えうるのであり、それらは「Overlapping(相互連結)」している
・勝手に、Emergent 浮かび上がってくる。

・ワークグループの中では・・・
 1.Managerial Leadershipが起こる(上司ー部下)
 2.Peer leadership(部下同士)
 3.Group processが生まれる
 4.Outputをめざす
 そのようななか、直接的作用をもたらすものではないにせよ、間接的に仕事に影響を与える「組織風土」が生まれてていく

・組織風土の4つの側面
 /妖資源の優位性ー従業員のタレント、スキル、モティベーション
 意志決定ーどの程度意志決定を迅速に行えるか?
 コミュニケーションフロー
 さ蚕僂悗離譽妊ネス(準備)
 ニ端への影響力ー組織に何が起こっているかを末端社員がいかに認知するか

・組織の主要な要因(Likert and Bowers 1969)
 すべてはつながっている、個々のワークグループを最適化しても、組織の要素は、つながっているだけに、様々なものの調和をととのえなければならない

-組織開発を行うときに、どのように「組織を見立てるか」は極めて重要
-どんな質問をもって組織調査を行うかもメッセージになる。
-質問項目では見切れないこともある。そこは現場に入って観察やヒアリングする。
-組織開発後に、インタビューで問われたことでさらに変わる。
-組織の全体像を改めて明らかにする。
-コロナ危機で、組織は分散化(自宅待機等)している。乗り越えた先、組織が本当にまとまりを取り戻すことができるのか?これが、次のODの課題なのでは。
-新しい人をチーム組み入れていくのと、顔見知った人をチームにしていくのかは違う。
-「大学って何する場所ですか?」大学に来てないので、新学生はピンと来てない。
-1970年代、ベトナム戦争の影響で、批判的に見る従業員が増えてきた。それも、1970年代のODに影響を与えているのでは。

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CHAPTER3  THE NATURE OF CHANGE (Iさん)

・組織は、通常の健康な状態の下では、環境変化に適応しながら常に変化するもの
・適応や変化は、行動やその先行要因からなる均衡状態の中断である
・変化が適応へと結びつくためには、事前に目標とする状態を導くためのモデル(eg., 3D model)が必要

・Principle of Congruence 妥当な適合が必要
・Principle of Predisposition 組織の中で、変化が最も成功しやすいポイント
・Principle of Succession 次につながるような一連の変化を生じさせる

-疾病治療の考え方を、組織に援用することの利点と限界は?
-組織は、常に病気、問題を抱えているのでは?病気とつきあって生きていく?健康な組織とは?理想の組織?
-健康経営は、社員が健康であることを重視している。
-組織をスポーツチームと捉えて。
-外科的、内科的治療。どう治療するかをどう決めるのか。
-環境との不適合を起こしているから、変わらざるを得ない。

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Chapter 4 SYSTEMIC DIAGNOSIS (Mさん)

・システム診断プロセス
 データを取得する(例:124項目の標準的質問紙)
 データを整理する(大きなデータを捉える、容易にデータを取り出せるよう格納する、データの出所を守秘する)
 データを読み取り、提示する(受け取り手を巻き込む、比較対象できる「標準値」を設定する、分かりやすくシンプルに提示する)

-データの信頼性と妥当性を確保するために、どんな留意を?
-なるべく量をとる
-質的調査と組み合わせる
-先行研究で使われている尺度(質問項目)を使う
-組織の規模や、前提が、70年代と変わってきている

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Chapter 5: The Role of the Change Agent(Sさん)

・チェンジエージェントは、触媒以上の「変換器」 
・ODにチェンジエージェントが必要なのは「組織の機能と人間の行動はプログラム化不可能だから」
・変換器としての関わりには「診断」と「治療」のフェーズがある
・計画的な組織革新のためには、科学的なアプローチが必要
・組織開発における重要はスキルは「診断」
・「診断・治療」に加え「開発設計コンサル」の役割も追加すべきかも

-変換器以外のたとえは? クライアントの自立を促すには?
-チェンジエージェントは中の人を指す。中の掘り起こし。バイアスが重要。
-同じものを違う風に見ている。その違いこそが重要。
-コンサルタントとクライアントの相性もある。
-例えとしては「ミツバチの受粉」もあるのでは。
-チェンジエージェントが、外か中か。
-決めつけない「自分はこういう見方をしているけど、皆さんは」と問う

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Chapter 6 Survey Feedback(Mさん)

・基本的にフィードバックプロセスは、評価的である。
・データを読み、行為したことに対してうまく、まずく物事が進んでいるか行為者に戻す作業である。
・サーベイフィードバックの実態:正解である可能性が高いと認識されるモデルを中心に構築されている
・リソースパーソンは、外部のチェンジエージェントと内部メンバーの間をつなぐ人では

-内部の協力者を作りながら、データ取得とフィードバックを行っている。
-外部のチェンジエージェントと、内部メンバーの間に、問題が起こった時、第三者的に、研究者が出ていくときもある。
-多様な人のハブになれる人がいるとありがたい
-役割期待を超えて、人の人生が豊かになるぐらいのサポート

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Chapter 7: The Evaluation of System Interventions(Sさん)

・多くのODは、適切な評価が行われていない。
・適切な評価をするためには、アウトプットと同様に、インプットとスループットや、それら3つの関係性にも目を向けなければならない。
・データ収集の方法(質問紙、インタビュー、観察、記録資料)
・評価とは「何に価値があるかについて査定、または結論付けること」を意味する。

-サーベイフィードバックの評価として、フィードバックミーティングの最初と最後に文章を書いてもらう。特定の言葉が出てくると、効果があったと判断する
-観察するには、仮説が必要。言いにくいことは、現場にいって観察すると見えてくる。
-どのようにコミュニケーションをしているのかを観察する。(例:上司が部下を呼んで話を聞いている)

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Chapter8 Past Evidence, Present Practices, and Future Needs(Kさん)

・60年代に、SGDパラダイムを採用した実践例が増加。
・将来展望:組織理論、組織診断、介入、能力開発、実行、評価
・より効果的なフィードバック手法の開発が必要。

-SGDの限界とそれを、どう活用していくか?
-最初にゴール設定をしておく必要がある。診断、制御のサイクルを回す、いつまで回し続ける。
-「サーベイ疲れ」いつまで続けるのか。
-サーベイに頼り切らない。
-目が厳しくなってきて、低くつける。だからこそ、現場観察して、事実を見る。
-どっかでいったんやめる。
-組織だと、慣性力が強く、やめられない。
-客観主義、実証主義のSGD。それに対して、社会構成主義だと、リサーチャー自身のバイアスが気になる。中立、客観も疑問視。
-リサーチャー同士に多様性を持たせる。
-組織開発より「職場」開発の方が現実的では。

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●参加者の感想

-日本社会のビジネスの状況に疎かったので非常に参考になった
-同じもの(データ、アート)を見て、解釈するサーベイフィードバックも、対話型観賞も近い。社会構成主義。
-このメンバーに恵まれたことに感謝。
-今のコロナの現状とつながり、人ってあまり変わらない。病気になる前「まずい!」と思う前に変わる難しさ。
-理論ばかりで頭でっかちになっていると、実践例を知れて非常に参考になった。
-この場も多様で、学びが多かった。
-組織開発ではなく「職場開発」は、確かにそう。入社して、その日から、在宅勤務。どうコミュニケーションをとっていくか。
-昔のODは、Tグループのイメージ。70年代にこういう本があったのが、勉強になった。
-人が新しい行動をとろう!と思ってもらえないと意味が無いと再認識した。
-70年代の組織観が色濃く出ていた。
-温故知新 古きを訪ねて新しきを知る。70年代の文献に触れることで、今との違いや共通点を考える機会になった。

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皆さん、ありがとうございました! 次回(後半)を楽しみにしています!

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参考:前半2回の内1回目の様子

●一緒に参加した高橋さんのブログ記事

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