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2020年06月27日

リモートワーク文献「Virtual Teams」_200627

Is Anybody Out There? Antecedents of Trust in Global Virtual Teams.
Jarvenpaa, Knoll,& Leidner(1998)

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・2週間の trust building exercises 信頼構築演習が、チームメンバーに対する認知に影響があった。
・高い信頼があった3チームは行っていたが、低い信頼であった3チームが行っていない戦略があった。
・「Swift trust 素早い信頼」の存在が示唆された。

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・グローバルチームにおいて、地理的距離が、心理的距離とならないようにするために、信頼が枢軸となる。
・信頼は、グローバルな職場をくっつける糊である。
・信頼は、他者が「期待通りに行動するだろう」という期待が、基盤となる。

・リサーチモデル
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・Univ. of Texas at Austinが、1996年の春学期に、大学院生を対象に、8週間のグローバルバーチャル協働プロジェクトを実施した。
・彼らは、2つのチームビルディング演習を、メールを介して実施した。
・プロジェクトの最終成果物は、ウェブサイトの構築であった。

・彼らのコミュニケーション手段は、電子(メール、ウェブサイト)のみであった。
・チーム内でのメールのやり取りを分析した。

・仮説を検証した結果、チームビルディング演習は、チームメンバーお互いを知ることにはつながったが、直接的に信頼には影響しなかった。

・高い、低い信頼のチームが使っていた戦略
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・低い信頼のチームは、共感を示すことが少なかった。
・高い信頼のチームは、リーダーシップをローテーションさせていた。
・高い信頼のチームは、低いチームより、メールの量が、4倍多かった。

・Swift Trust 素早い信頼 
・temporary team 一時的なチームは、これまで共に働いたことが無く、これから先も働くことが無い。
 こういった一時的なチームでは、信頼をゆっくりと時間をかけて作っていく時間がない。
 そのため、チームメンバーは、最初からそこに信頼があるかのように行動する。
・信頼は、情緒的または認知的構成物だが、Swift trustは、脱個人的な行動と言える。
・信頼するという行動は、信頼に直接的な影響を与える(Boyle & Bonacich 1970)

・グローバルバーチャルチームにおける信頼モデル
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・高い信頼のチームは、Swift trustを実践していた。

https://www.researchgate.net/profile/Sirkka_Jarvenpaa/publication/220591687_Is_Anybody_Out_There_Antecedents_of_Trust_in_Global_Teams/links/0046351cc142760a0b000000.pdf
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Communication and Trust in Global Virtual Teams.
Jarvenpaa & Leidner (1999)

・電子ネットワーク上に作られたチームであっても信頼が存在することは可能であった。
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・「Trust needs touch 信頼するには触れ合うことが必要」(Handy 1995)

・Meyerson et al.(1996)が、Swift trustという概念を提示した。
・チームメンバー間で、信頼を作っていくというよりも、信頼を最初に外から入れ込む。
・チームメンバーは、特定領域の専門家であり、明確な役割分担があるという前提で、素早い信頼を実践する。

・1996年の春学期の6週間、28の大学、350人の院生、75チームで活動。質問紙に回答した29チームを、ケースとして分析。

・Figure3
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・Figure4

・信頼が最初も最後も高かったチームと、信頼が最初は低かったが最後は高かったチームでは、Swift 素早い Depersonalized 脱個人化された Action-based trust 行動基盤の信頼が形成されたと言える。

・response 反応することが重要であり、ヴァーチャルチームでは、反応への高い必要性(Hawisher & Moran 1993)がある。
・電子ネットワークを通じてのやり取りであった為、nonverbal cues 非言語のヒントが無く、文化の違いがあまり影響しなかったといえる。
・チーム内での他メンバーの貢献に対するフィードバックが必要とされた。

http://boardoptions.us/virtualteamsswifttrustandrealtrust.pdf

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●講師ビジョン 島村さんからのメール

関根さん

おはようございます。旬なテーマで大変参考になりました。
以下、参考になった点と現場で実践する中で意識していることを共有させていただきます。

(参考になった点)
・お互いを知るということと、信頼をすることは別物だということが参考になった。
・信頼するとは、具体的な行動を示すことである
・低い信頼のチームは、共感を示すことが少なかった。

・高い信頼のチームは、リーダーシップをローテーションさせていた。
・高い信頼のチームは、低いチームより、メールの量が、4倍多かった
・チームメンバーは、特定領域の専門家であり、明確な役割分担反応することが重要

(現場で実践する中で意識していること)
私がチームで仕事をする上で大切にしているものは以下のような感じです。

1.オンラインでのコミュニケーションを通じてチーム間の「信頼」を獲得する

「行動」により信頼を獲得するため、メール、チャット、オンライン会議などチームの進め方の共有ルールを決めます。バーチャルチームにおける成果行動をチーム間で共有し、それを信頼して行動するようお互いで確認します。それにより、離れていても自分が今どんな仕事をしていて、どんな進捗で、どんなアウトプットを出しているのかが分かることが、相互の信頼を獲得するためにとても重要になると思っているからです。

2.チームメンバー間の多様な個の特徴(多様性)をオンラインでの初期段階で共有し合う

オンラインでは、チーム一人一人の強みとなるスキルや大切にする価値観や現在のワークスタイルを共有しあいます。オンライン上で初めての取引先に可能性がある相手やメンバーの場合には、より丁寧に共有していきます。新しい価値を創出することを考えてもお互いの強みや特徴がわからないとそれは実現できないと考えるからです。

3.チームにいることのメリットを感じられるようにデザインする

バーチャルチームでの仕事は、どうしても個人作業中心になりやすいと思います。なるべくそうならないようにするためにメンバー間での困りごとをチャットなどで共有できるようにし、互いの強みなどを活用してお互いがフォローしあえるようリーダーが促すことが大切だと考えています。会議の場で、メンバーの行動をみんなで称賛したり、メッセージでお互いを褒めあったりする取り組みも大切だなと思います。また、そもそものメンバー構成においても互いの強みが異なるようなチーム形成をすることで、チームに関わるメリットが多く出てくると考えています。

旬なテーマでのブログをいつもありがとうございます。

講師ビジョン代表 島村

2020年06月19日

リモートワーク文献『Distance Matters』_200619

リモートワーク文献『Distance Matters』_200619
G.M.Olson & J.S.Olson(2000)

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・10年以上かけて、組織現場や実験室で、グループ協働について研究してきた。

・その中でも特に、Collocated work 同じ場所で一緒に働くことと、Remote work 離れた場所で働くことを、比較した。

・その結果、4つの鍵となる社会技術的環境条件があることが明らかになった。
1) common ground 共通点(参加者の特徴)
2) coupling of work 連結度(仕事の特徴) 
3) collaboration readiness 協働を受け入れられる程度(レディネス)
4) technology readiness 技術を受け入れられる程度(レディネス)

・共通度が高く、仕事の連結度が低く、協働・技術のレディネスが高いグループであれば、リモートワークは成功する。

・距離は問題なのである。

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・一緒にいて、同時に起こる、相互活動

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・tightly coupled work 固くつながっている仕事(他の人と協働せざるを得ない)
moderately coupled work 適度につながっている仕事
loosely couplece work ゆるくつながっている仕事(一人でできる)

・ambiguous task 曖昧なタスクほど、連結度が高くなりやすい。
・連結度が高い仕事ほど、リモートワークがしづらい。

・リモートワークが上手くいっているグループの事例は、連結度が低く(相互依存していない)共通点が多いのである。

・曖昧で、連結度が高い仕事は、Collocated 同じ場所で、一緒に働くようにすべきである。
・リモートワークでは、曖昧性を減らし、コミュニケーションの取り方の「型」を作った方が良い。

・今後の技術革新によって、「being there そこにいる」よりも、良い相互活動をリモートでも、できるようになるかもしれない。(Hollan & Stornetta, 1992)

beyond being there
https://dl.acm.org/doi/pdf/10.1145/142750.142769

・現在と今後の技術で「一緒にいて、同時に起こる、相互活動」を支援できる可能性

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・メンバーの間に「共通点」を作ることは、Trust信頼のためにも重要である。
・「Trust needs touch」(Handy, 1995)

trust and the virtual organization
https://hbr.org/1995/05/trust-and-the-virtual-organization

・電子コミュニケーションの世界において、信頼は壊れやすい。

・Rocco(1998)のグローバルチームの研究では、長く続く信頼を築くために、遠隔地に足を運び、チームビルディング活動をする重要性を提示している。

trust breaks down in electronic contexts
https://dl.acm.org/doi/pdf/10.1145/274644.274711

・時差や文化の違いも重要である。

・アメリカ人は「Hamburger style of Management」を行う。ハンバーガーのバンのように軽い雑談が入り、厳しいフィードバックを肉として挟み込み、最後に勇気づけの言葉を、下のバンとする。ドイツ人は、肉のみ。日本人は、バンのみなので、聞き手は、肉のにおいを感じ取らないといけない(Browning 1994)

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●講師ビジョン 島村さんからのメール

関根さん

こんにちは。ブログ遅くなってしまいましたが、拝見しました。

感想なのですが、リモートの内容を見ると、この話は、人事制度との話と密接に関わってくるなとすごく感じます。

その昔、私は人事制度のコンサルの鞄持ちを少していた時代があったのですが、その当時、外資の制度と日系の制度をよく比較研究していました。

誤解を恐れずにものすごく簡単にお伝えしますと、2001年当時は、職務か職能かというのがポイントになっていたおりました。

ブログにもありましたように、連結度が高いとリモートがしづらいので、なるべく1人で完結できるようなジョブ型、職務型になるだろうと感じます。それに伴って、業務分析や業務の見直しはだんだんと加速してくると思いますし、ジョブ・タスクの明確化、ジョブディスクリプションの策定などリモート環境を促進しやすいような流れになっていくと思います。

それによって、個人単位での仕事も仕方やOJTのあり方、チームのあり方も徐々に変わってくるだろうなと感じております。

今回も大変参考になりました。いつもありがとうございます。

講師ビジョン 島村


2020年06月11日

「オンライン研修」文献_200611

The promise of online cognitive behavioural therapy training for rural and remote mental health professionals

J. Benett-Levy & H. Perry (2009)

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・オンライン研修により、エビデンスに基づいた教育を、遠隔地域に対しても届けられるようになった。それは、対面研修よりも、コストを50%削減することにつながった。

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・オーストラリアでは、遠隔の田舎に住む人たちに対して、質の高いセラピーを提供することができていなかった。

・そこで、オンラインにより、エビデンスに基づいた教育を、地域のメンタルヘルス専門家に受講してもらい、セラピーの質を高めてもらうことになった。

・CBT研修受講において、以下が示唆された。
 1)短いコース(4~8日)は、効果が低かった
 2)スキルをもつCBTセラピストによるsupervision監督・指導が、適切なスキル発達には必要であった。
 3)長期コース(1年間)が、効果が高かった。

・上記結果から、長期コースで、定期的な指導が必要であることが分かった。

・Declarative knowledge宣言的知識の習得には、読書と講義が有効であった。Procedural knowledge手続き的知識は、ロールプレイが最も有効であった。

・オンライン研修によって
 1)宣言的知識は、講義と読み物によって習得が可能であった
 2)スキルは、動画を通じて、複数のモデルを観察することができた
 3)受講者同士は、Eメールを使って、内省を共有していた
 4)受講途中でいったん停止させ、ノートをとることができていた

・新しい手続き的知識を、他の受講者と共に、ロールプレイで学ばせたい時には、対面研修が必要であった。

・また、対面研修により、新しい学習コミュニティが形成されたのも、受講者が得た便益の一つであった。

・対面研修は、新しいスキルを、ロールプレイと練習経験によって身につけさせたい時に使用すべきである。

・オンライン研修の効果を高めるためにも、
 1)受講者による事前学習が必要
 2)受講者が、指導者や講師に質問できることが必要
 3)高速ブロードバンド環境が必要(オーストラリアの田舎では課題)

・オンライン研修に、指導・監督機能が加わればより高い効果が期待できるだろう。

https://journals.sagepub.com/doi/pdf/10.1080/10398560902948126?casa_token=-HPC_B3ovPMAAAAA:u-eXSnWn03oPgeaVTMsSKOOigd_G39EjexRC6iqNxj3zA6kvVpLcUQ3rLlZqfOdVfz8hE4ebv8iE

○オンラインで出来ることと、対面ですべきことを考える際のヒントになりそう。

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●講師ビジョン 島村さんから頂戴したメール

関根さん、おはようございます。ブログ拝見いたしました!
以下、感想です。

(参考になった箇所)
・オンライン研修によって
 1)宣言的知識は、講義と読み物によって習得が可能であった
 2)スキルは、動画を通じて、複数のモデルを観察することができた
 3)受講者同士は、Eメールを使って、内省を共有していた
 4)受講途中でいったん停止させ、ノートをとることができていた

(感想)
オンライン研修の事前動画などは、一旦停止させてメモをとることができるのは、通常の研修講義ではできないことですし、理解が追いつかない人は考える時間にもなるわけで、より多くの人が学習しやすくなり理解度も増すのでないかと感じます。

また、動画は、知識の説明だけでなく、動作やスキルを習得しやすくする側面もあるのだと改めて感じました。

(参考になった箇所)
・新しい手続き的知識を、他の受講者と共に、ロールプレイで学ばせたい時には、対面研修が必要であった。

(感想)
おそらく、ロールプレイで何を学ばせたいのかで、変わってくるのだと思いました。相手とその場で一緒にいないとできない動作は対面研修でのロールプレイでないといけないが、そうでない場面ではオンラインでのロールプレイも機能すると感じています。

例えば、セールストークをお互いに役割を決めて話すロールプレイや部下との1on1の練習をオンラインでロールプレイをするなどは十分に可能です。

今後、オンライン商談やオンライン1on1は普通になってくるので、オンラインで行っているものをロールプレイにして練習する動きは、より活発になってくると思いました。

今回も貴重な論文を紹介いただきありがとうございました!

講師ビジョン島村

(島村さん、こちらこそいつもありがとうございます!)


2020年06月04日

「評価」関連論文_200604

Practical Training in Evaluation: A Review of the Literature
M. Trevisan (2004) American Journal of Evaluation, Vol.25

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・1965年〜2003年の査読論文18本をレビュー。

・学生に対して「評価方法」を教える手法として、4つのアプローチがある。
 1)シミュレーション 2)ロールプレイ 3)コースプロジェクト 4)実習経験

・評価教育においては、Hands-on 実地訓練や、練習経験が必要である。

・18本の論文全てが、教員側の丁寧な監督と計画の重要性を述べている。

・今後の課題として3つ
 1)教員による監督 2)資源の必要性 3)教育法と学生の成功

・Preskill(1997)は「成人教育」の原理原則 (協働、練習、批判的内省の促進)を、評価教育にあてはめる重要性を主張している。

○今回は、1本だけでしたが、毎週木曜日に、読んだ文献をアップするという自分との約束は果たせました。地味に続けていきます。

●講師ビジョン 島村さんからのメール

関根さん 、こんにちは。ブログ拝見しました。
読んだ中で、成人教育について興味を持ちました。

(気になった箇所)
・Preskill(1997)は「成人教育」の原理原則 (協働、練習、批判的内省の促進)を、評価教育にあてはめる重要性を主張している。

(感想)
成人教育について少し調べてみました。成人教育・成人学習は、アメリカ合衆国の教育学者であるマルコム・ノウルズ(Malcolm S. Knowles)によって世に広められた概念で、ノウルズの理論によれば、成人の学習には、小児と異なった以下の四つの要素があるとのことでした。

成人は自分たちが学ぶことについてその計画と評価に直接関わる必要がある(自己概念と学習への動機付け)。 (失敗も含めた)経験が学習活動の基盤を提供してくれる(経験)。
成人は、自分たちの職業や暮らしに直接重要と思われるようなテーマについて学ぶことに最も興味を示す(学習へのレディネス)。 成人の学習は、学習内容中心型ではなく、問題中心型である(学習への方向付け)。特に1番目の学習の計画と評価に直接関わる必要があるというのが個人的に響きました。

もちろん、研修の評価や効果測定は、経営や部門側にするべきものと思いますが、学習者本人が主体的に学習を計画し、自身の学習を自ら主体的に効果測定をし、自ら報告する流れがあっても良いと思いました。研修を通じた学習のPDCAを自ら回すイメージです。

貴重な論文の紹介をありがとうございました!

講師ビジョン 島村 公俊

(島村さん、いつもありがとうございます!)