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Scaffolding(スキャホ)関連論文2

○Scaffoldingスキャフォルディング(スキャホ)関連論文2
 メタファー(比喩)としてのScaffolding

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The role of tutoring in problem solving

Wood,D.,Bruner,J.,& Ross,G.(1976)

〇「Scaffolding」という比喩を、初めて使った論文。

・tutorial process 指導過程:大人または専門家が、まだ大人ではない、または、まだ専門家ではない人を助ける。

・通常の指導においては、一人が答えを知っていて、他は知らないという状況が普通である。

・本稿では、子供のスキル獲得と問題解決の学習を、子供と大人がどのように相互作用のある指導関係で行っていくのかを検証する。

・子供や初心者が、問題を解決する際、誰かの手助け無しに、彼らだけでは達成できない目標や課題があり、そのためにも、いわば「Scaffolding 足場」のようなものが必要になる。

・3歳、4歳、5歳の子供30人に対して実験を行った。

・積み木を組み立てる。

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・3歳児は、チューターの助言を無視した。年上の子供達の方が、チューターリングを受け入れた。

・この実験を通じて、上手なScaffoldingの機能が見いだされた。チューターは、子供達の興味を惹き、子供が感じる矛盾を説明し、子供が一人でできるようになったら任せる。

・Scaffoldingの機能として、6つがあると考えられる

1)Recruitment 興味を惹く、課題に関わらせる
2)Reduction in degree of freedom 自由度の低減、課題の単純化
3)Direction maintenance 方向の維持、特定の目的に向けて進ませていく
4)Marking the critical features 重要な特徴を提示する、相手が感じる矛盾を説明する
5)Frustration control 欲求不満の管理、チューターに頼り過ぎないようにする
6)Demonstration 模範提示、学び手がマネできるよう

https://acamh.onlinelibrary.wiley.com/doi/pdf/10.1111/j.1469-7610.1976.tb00381.x

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The metaphor of scaffolding: Its utility for the field of learning disabilities

Stone,C.A (1998)

〇「Scaffolding」という比喩を批判した論文。

・metaphor 比喩は、強すぎるか、弱すぎるものになりやすい。
・Scaffolding という比喩は、非常に強い。

・最初にこの比喩を使ったのは、Woodら(1976)である。
・彼らは引用していないが、Vygotsky(1962、1978)のZPDを、Scaffolding に結び付けて説明したのが、Cazden(1979)である。その後、Scaffoldingは、ZPDと関連付けられた。

・1980年代半ばから、Scaffoldingの比喩が、教室での指導においても使われるようになった。

・Langer & Applebee(1986)は、効果的な指導上のScaffoldingとして、5つの要素をあげた。
1)Ownership 当事者意識(学ぶべき活動に対する)
2)approprieateness 適切さ(生徒の現状の知識に対する)
3)Structure 構造(思考と活動の自然な流れが内包されている)
4)Collaboration 協働(教員と生徒の間の)
5)Internalization 内化(足場の段階的な取り外しと、コントロールの移行)

・Scaffoldingという比喩は強力な分、批判もされた。大人の役割のみに着目し、仲間の潜在的な役割を無視している、一方通行的である、「与えられる」ものの獲得にのみ有効(Cazden, 1988)

・Scaffoldingの比喩の代わりとして、いくつかの概念が提唱された。正統的周辺参加(Lave 1991) Assisted performance(Tharp & Gallimore, 1988)、Apprenticeship 徒弟(Rogoff,1990)

・Scaffoldingという比喩は残した方が良い。なぜなら、それは豊潤な歴史を持ち、実際に子供の学習に光を当てたから。子供は、他の人に導かれるが、その導きは永遠ではなく、いつかは無くなっていくものだということ。

・障害のある子供達の場合、典型的なScaffoldingの比喩が当てはまらない場合もある。
・学習障害のある子供の場合、より直接的な指導のほうが効果的な場合もある。

・経験豊富な教員ですら、Scaffolding的な指導は、効果的に行うのが難しい。

・どんな種類の技術、概念、やり方が、Scaffoldingを通じて、効果的に教えられるのかが、まだ分かってない。


http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.825.9460&rep=rep1&type=pdf
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Keeping the metaphor of scaffolding fresh—-a response to C. Addison Stone's “The metaphor of scaffolding: Its utility for the field of learning disabilities”

Palinscar,A.S.(1998)

・理論と離れたScaffoldingという比喩の使用は問題があると、私は考えている。
・ZPDは、最も使われているが、最も理解されていない構成物である。

・ZPDは、人々だけでなく、Artifacts人工物も含んでおり、ZPDは、活動と文脈に埋め込まれている。

・Brown et al.(1993)は、教室を「ZPDが重なり合っている」と表現している。

・Scaffoldingは、同じ種類の手助けを沢山するか、少なくするかということではない。

・Scaffoldingは、とても使いやすい比喩だからといって、軽く扱ってよいというものではない。

https://deepblue.lib.umich.edu/bitstream/handle/2027.42/68637/10.1177_002221949803100406.pdf?sequence=2

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From theory to practice: What does the metaphor of scaffolding mean to educators today?

Verenikina, I. (2004)

〇「Scaffolding」という比喩に対する最近の教育者の見方。

・成功するスキャフォルディングを構成する特徴が何かに関するコンセンサスは、教育者の間で得られていない。

・教員による支援全てを表す「Umbrella傘用語」に、Scaffoldingがなっている(Jacobs,2001)

・教育者の間で、Scaffoldingという比喩が、どんどんポピュラーになってきている。
・ただ、うまく教育するための明確なガイドラインを、Scaffoldingは提示していない。

・Scaffoldingは、教育の教室での戦略を正当化する比喩となった。
・しかし、子供たちの理解を導くことと、彼らの自主性をつぶさないようにする、良いバランスのとり方には、スキャフォルディングは示せていない。

・Self-regulated learner 自己調整型学習者になていくことが、ヴィゴツキーのZPD概念の心臓部である。
・教員は、子供達に直接の影響を与えるというよりも、社会環境を整えることで影響を与える。

・Wells(1999)は、ヴィゴツキーのZPD概念を踏まえ、教育的スキャフォルディングには、3つの特徴があると主張した:
1)Dialogic対話を通じて、知識は、Co-constructed ともに作られる
2)Knowing知ることが、環境に埋め込まれているような活動である
3)artefacts人工物が、知ることを、mediate 仲介する

・Lave and Wenger(1991)は、ZPDが、教員と学習者の間の協働や交渉を強調しているのに対し、スキャフォルディングは、一方向的な教育プロセスであると考えた(Daniels, 2001)
・スキャフォルディングは、教え手側が、one-way 一方向的に、足場をかけ、初心者に提供すると見られることもある。
・スキャフォルディングという比喩が、大人主導で、一方向的に感じられてしまう。
・これは、Piaget前の伝統的な直接的指導への逆戻りを起こす懸念にもつながる。

・ピアジェは、Cognitive constructivism認知構成主義とよばれる考え方で、子供たちは、彼らの知識構築や発達における能動的な参加者であると主張した。
・ヴィゴツキーの理論は、ピアジェの考える子供は、Active learner活動的な学習者であることを基盤にしている。

・ZPDは、人が助けがあればできることと、助けがなくてもできることの間の距離を指す。
・ZPDにおいて、子供は受動的な受領者ではなく、大人も単純な専門家のモデルではない。両社は、協働して問題解決活動に注力し、双方が知識と責任を共有するのである。

・ヴィゴツキーは、子供の心理的発達において、もっとも重要なことは、彼らが属する文化の獲得であると考えた。

・Berk(2000)は、スキャフォルディングを、Changing quality of support 支援の質を変化させていくことと考えた。
・McDevitt & Ormrod(2002)は、スキャフォルディングのテクニックとして、模範を示す、課題を単純な段階に分解する、ガイドラインを示す、注意を維持させる、を提示した。

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●参考

ピアジェやヴィゴツキーに関して 「大学院 2010夏合宿@伊香保」
http://learn-well.com/blogsekine/2010/09/post_324.html

行動主義、認知主義、社会構成主義 「デジタル教材の教育学」
http://learn-well.com/blogsekine/2011/05/post_342.html

ピアジェ、ヴィゴツキー 「2011年大学院夏合宿に行ってきました。」
http://learn-well.com/blogsekine/2011/09/2011.html

ブルーナー 『Actual Minds, Possible Worlds』
http://learn-well.com/blogsekine/2020/01/actual_minds_possible_worlds.html

活動理論の一部 『越境する対話と学び』
http://learn-well.com/blogsekine/2020/03/post_507.html

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●講師ビジョンの島村さんからのメール

関根さん

おはようございます。ブログ拝見しました。
以下、感想をお送りします。

(参考になった箇所)
・Langer & Applebee(1986)は、効果的な指導上のScaffoldingとして、5つの要素をあげた。
1)Ownership 当事者意識(学ぶべき活動に対する)
2)approprieateness 適切さ(生徒の現状の知識に対する)
3)Structure 構造(思考と活動の自然な流れが内包されている)
4)Collaboration 協働(教員と生徒の間の)
5)Internalization 内化(足場の段階的な取り外しと、コントロールの移行)

(感想)

スキャフォルディングにおいては、受け手の当事者意識や教える側と受け手の協働的な関わり方が大切だということがよくわかりました。

受け手は、教えて欲しいとなるでしょうから、その受け身の姿勢をどう主体的に変えていくかがポイントになりそうですね。

(参考になった箇所)
・ZPDは、人が助けがあればできることと、助けがなくてもできることの間の距離を指す。
・ZPDにおいて、子供は受動的な受領者ではなく、大人も単純な専門家のモデルではない。
 両社は、協働して問題解決活動に注力し、双方が知識と責任を共有するのである。
・Berk(2000)は、スキャフォルディングを、Changing quality of support 支援の質を変化させていくことと考えた。

(感想)
ZPDにおいて、助けがあればできることとそれがなくてできること自体をしっかりと把握することは、指導者側はそれを大枠で捉えることが大切で教えてもらう側は、大枠に基づいて細かいところで、これは助けが必要、これは助けがなくてもいけそうと提示するというように分けるのが良いなと思います。それが協働的の意味と理解しました。

時代背景的に、テクノロジーを中心に部下の方が知っていることも多い時代ですから、協働的なアプローチが大事だと改めて感じました。

今回もためになるブログありがとうございました!

講師ビジョン
島村

(こちらこそいつもありがとうございます!)

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