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2020年11月30日

「起業家」本_201130

『新・起業学入門』高橋徳行(2007)

・起業活動の枠組み
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○これ、すっごくいい! ここまで、起業の全体像(しかも運・偶然含め)を分かりやすく示しているフレームワークは無いと思う。これにプラスして、竹田陽一先生の「ランチェスター弱者の戦略」を学べば、鬼に金棒!

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・自分が発見した未開拓の事業機会を実現するために行うあらゆる活動=起業活動と考え、その担い手を、起業家と呼ぶ。

・供給システムのボトルネック(弱い部分)が、創業時の売上高を決める。
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○これ、まさにそう! 何となくそう感じていたことを、明示してもらった感じ。

・GEMでは、3年半以上経過した企業は、不安定な段階を乗り越えたものとしている。創業後、3~4年程度を経過した企業は、起業段階を終えたものと考えることができる。(経営段階に移行)

・「紅茶とミルクの法則」ある財、サービスの需要が伸びた時、補完財に注目する。

・その変化が、どのような事業機会を生み出すか。それは普通の人は気づかない。これを見つけるのが起業家であり、事業機会の認識能力といえるもの。

・事業経営を初めて意識した時期:20代〜30代で、約5割。

・仮説型事業機会(潜在欲求、ウォンツ)
 問題解決型事業機会(顕在ニーズ)

・起業活動の特徴の一つが「個人の信用」をベースに、経営資源を調達したり、供給の仕組みを構築したりすること。

・草の根エンジェルは、時間と手間をかけ、それまで培った経験、知識、ノウハウ、人脈などを駆使しながら、起業家を支援している。

・売上高や事業規模は、供給システムの最も弱い部分で決まる。
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・社会、経済、経営環境の変化は、起業家にとっては追い風である。

・限られた経営資源を得意な活動分野に、集中的に投入する方がより競争的になる。

・起業活動のダイナミズム:同時性、不均衡性、非戦略性

・起業活動には、非戦略的部分が多い所に、一般的な経営活動との大きな違いがある。

○起業と経営を分けて、起業活動の特徴をまとめてくれているのが、ありがたい。一緒くたになっているか、どっちかに偏っているものが多い。

・タフな状況を乗り越える起業家は、「上手い下手は問わず、白紙の紙に絵を描ける人」 起業家になれない人は、他の人が描いた絵を批判ばかりしている人。

・最も重要な資質は「不安と戦うことができる能力」

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『企業家とは何か』 J.A.シュンペーター 清成忠男(1998)

・企業家は、リーダーシップの社会的現象の特殊ケース

・企業家の経済的リーダーシップ:(新結合の内容)
 1)新しい生産物または生産物の新しい品質の創出と実現
 2)新しい生産方式の導入
 3)工業の新しい組織の創出
 4)新しい販売市場の開拓
 5)新しい買い付け先の開拓

・新しいことを断行するという機能の遂行は、企業家の本質を成すもの。
 それに結び付いた利益は、本来的な企業家利益である。

・Selfmademan(一代で成り上がった男、叩き上げ)

・企業家を定義付ける特徴とは、単に新しいことを行ったり、既に行わて来たことを新たな方法で行うと言うことである。

・新しいアイデアを具体化する事業を起こす:Enterprise企業
 ゴーイングコンサーンの管理を指揮する:Management経営

・発明家はアイデアを生み出し、企業家は「事を行う」。

・カンティヨンが「企業家 Entrepreneur」という言葉を初めて用いた。

―――(編訳者による解説)

・かつて、シュンペーターは、新産業の担い手は、新人であり新企業であるという仮説を提示した。のちにシュンペーターはこの仮説を撤回するが、彼の死後、アメリカの経営史は、前述の仮説が妥当であったことを示している。

・シュンペーターは、企業家の「群生的出現」を指摘している。一人の企業家の成功的出現は、単に他の数人の企業家の出現を惹き起こすばかりでなく、ますます多数の、そしてますます能力の乏しい模倣的企業家の出現を惹き起こすのである。

・ドラッカーの「イノベーションと企業家活動」(1985)に、シュンペーターは少なからぬ影響を与えている。

・シュンペーターの企業家論は、なによりもまず、企業家の革新性を強調した点にある。

・企業家とは、シュンペーターにとっては「不均衡を作り出す勢力」であり、カーズナーにとっては「均衡を作り出す勢力」なのである。

・これまでの我が国においては、キャッチアップ型の企業組織、企業間関係、企業文化が形成されてきた。同質、横にらみ、集団主義、ピラミッド型、等々がその特徴である。

・今創造活動を展開するために、企業家風土の形成が不可欠。そのためには、次の4点を重視する必要がある:
 1)個人の自立、自律
 2)異端、異質を認める
 3)失敗の許容
 4)自立を基礎にした連携

○昔も今も同じことが言われてるんだな〜。

・自立型人材の輩出が、企業家風土形成の前提になる。
・対極にあるのが、組織依存型人間。

・自立型人材輩出には、教育が重要であり、かつ有効である。
・自立型人材は、企業家予備軍である。

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●講師ビジョン 島村さんからのメール

関根さん
おはようございます。いつもブログ拝見しています。

>最も重要な資質は「不安と戦うことができる能力」

これは、なくなるものではないかなと感じていますので共存していくことが大切ですし、負けるか!という気合も長く続けていく上では大切だと思います。

また、不安を共有できる仲間がいることも大切だなと思います。一人で歩むのは危険な気もしています。

>社会、経済、経営環境の変化は、起業家にとっては追い風である。
>限られた経営資源を得意な活動分野に、集中的に投入する方がより競争的になる。

変化をチャンスだと思うようなマインドや心がけは本当に大切だと感じます。特に今の時代には尚更ですよね。やはり色々手を出したくなるのですが、集中させることが大切だと思いますし、集中のさせ方として、自分の事業にどう他者の強みを掛け算するのかというのも大切だのではと感じています。

起業家向け内容は、とても興味深いです。貴重な情報をありがとうございます。

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こちらこそいつもありがとうございます!


2020年11月26日

『制度的企業家』

『制度的企業家』桑田・松嶋・高橋(2015)

○経営学の保守本流であり、最新理論の「制度派組織論」の本だそう。

(研究者目線で読んだら面白いのだろうけど、起業家目線で読んで面白かったのは、数か所のみ。でも、その数か所のインパクトは大きかった。)

===

・シュンペーターは、資本主義という制度そのものを説明しようとした。

・シュンペーターは、新奇性の発生を説明するために「新結合」というメンデルの法則をアナロジーにしたものを使用した。

・制度と企業家は、相対するイメージでとらえられている。この二元論的な前提こそ、制度論の誤解を生みだした根源的原因であった。

・我々は、制度化されるほど、個人としての独自性を求める。そうした制度化に反発する多様な利害を持つ人々(補助的制度)の組織化を通じて、新たな制度が誕生する。

・官僚制が、組織を硬直化させるという考え方は、市井に浸透したイデオロギーに過ぎない。
・その一因は、ウェーバーが官僚制を説明する際に用いた「鉄の檻」というメタファーにあるだろう。
・官僚制は、自由な行動を妨げる「鉄の檻」というより、我々に「鋼鉄の甲冑」を与え、未知なる領域へと行軍することを許すものというイメージに近い。

・明豊 創業者の坂田氏。R社との取引。

・明豊の素直な社員たちを育成していくためには、顧客と直接やりとりのできる仕事でなければならないと考えた。そこで、坂田は、顧客と直接やり取りのできるラストワンマイルでの仕事に絞って、仕事を受注していくことを決意した。

○人材育成の為の直販! この一文に出会えただけでも、この本を読んだ価値があった。

・カーネギー学派は、合理性に限界をもつ人間が、意思決定プロセスの探索過程を省略するために使用する決定ルールを、組織ルーティンと捉えていた。これが、組織ルーティン概念の原意である。

・ダイナミックケイパビリティーとは、既存のルーティンを環境適応的に変化させる高次のルーティンと考えることができる。

○ダブルループ学習とも言える?

・デザインサイエンスは、伝統的な科学がバイアスの対象として忌避してきた介入を積極的に志向し、人工物の効果的なデザインを処方する点に特徴を持つ。

・ポピンズは、蓄積された資源の再解釈と転用により、多角化を実現した。

・特定の地域内に存在する埋め込まれた知識の連鎖が競争優位につながる。

・大阪 メビック扇町 クリエイティブクラスターマップ

○福島さんの「職人図鑑」

・コンバージョンEVの面白さを強調することで、利害対立を避けた。

・成功する企業家は、構造的空隙を作り出す人では必ずしもなく、むしろ発見した空隙をどのように利用すべきかを知る人である。

・規制があったから色々な隙間があった。
・制度的障壁は、競合他社から事業を防御するための資源となった。


・フリーランス Free-lance(自由な槍)の語源は、中世の傭騎兵である。

・騎士言説により、企業は、新自由主義が掲げる自由と自己責任の原則に基づき、利潤極大化のための人件費削減を正当化する機会を得る。

・従僕言説により、企業は、働く個人が外部労働市場に身を置くデメリットを周知させることで、より高い自由度を求める従業員を択位に支配し続ける機会を持ちうる。

・とりわけクリエイターたちは、英雄と言う仮面をかぶり、英雄言説を語る。

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○これはあるよな〜。特に、起業を煽る系だと「騎士・英雄言説」を使用し「従僕言説」には触れない。

・1990年代以前の企業家研究は、企業家特性の識別が中心的課題。
・1980年代末から、行動アプローチが主流。

・企業家、敵対者、支援者が、配役された予定調和的なビッグストーリーが生まれた。
・インタビューという相互行為の場面における研究者自身の内省的対話を織り込んだ告白体の記述が求められる。

○社会構成主義の本にあるような感じかな。

・企業による利潤獲得は、企業家精神に担われたイノベーションの遂行によってのみ正当化される。

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●講師ビジョン 島村さんからのメール

関根さん
こんばんは。ブログ拝見しました。

昨日、営業について熱く語ったばかりですので、やはりこの文章響きました。

>社員たちを育成していくためには、顧客と直接やりとりのできる仕事でなければならないと考えた。
>坂田は、顧客と直接やり取りのできるラストワンマイルでの仕事に絞って、仕事を受注していくことを決意した。

自分自身もやはりどんな状況の時も顧客の声を一番聞きやすい立場でいることが、とても大切だなと感じています。だからこそ、その大切な場が、早期育成に適しており、結果としてお客様と関わる人数も増えることで、お客様への貢献度も高まっていくのだとあらためて感じました。

人材育成のための直販を、お客様への貢献度アップと紐付けながら、引き続き意識して行っていきたいと思います。

いつも貴重な情報をありがとうございます。

講師ビジョン 島村

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(島村さん、いつもありがとうございます!)


2020年11月20日

「地域での起業支援」_201120

『ハイテク産業を創る地域エコシステム』西澤昭夫他(2012)

○先週読んだ『地域が元気になるために本当に必要なこと』(2013)で、引用されていた本。
 http://learn-well.com/blogsekine/2020/11/_201112.html


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・MITは「企業家大学」として新たな制度を整備し、これを武器にして第二次世界大戦において、連邦政府から軍事技術の研究支援を受けることになる。

・軍事技術の開発は、軍から開発課題が提示されると、大学が元請けとなり、その下請けとして企業が参加する産学連携組織が組成され、入札が行われる。

・通常の企業活動を行う市場経済を「第1経済(Economy One)」
 支援機関による経済活動を「第2経済(Economy Two)」と区分した(Kenney 2000)

・Triple Helix Spaces 3空間の統合
 1)知識空間 Knowledge Space:企業家大学
 2)コンセンサス空間 Concensus Space:地域がNTBFs支援を承認する
 3)イノベーション空間 Innovation Space:支援機関などの集積
・NTBFs:New Technology Based Firms(Oakey 1994)

・アメリカにおける先行研究では、外的インパクトとしての経済危機が発生した場合には、Influencerが地域から生み出されると言われている(Gibson and Rogers,1994他)

・Entrepreneurの語源である entreprendre は「間 entre」から「手に取る、掴む prendre」という意味を有しており、「民事、軍事のプロジェクトのために労働力や物質を組織する人であった」が、18世紀中ごろから、フランスの政治経済学者によって、価格変動により利潤獲得にリスクある事業に着手する個人という「今日の曖昧な意味」が与えらえれたと言われている(Burt 1992)。

・BANs:Business Angel Networksは、インフォーマルベンチャーキャピタル市場の「教育」の側面に焦点を当てるべき(Jose,Roure, & Aernoudt 2005)。
・BAとしての条件を満たしてはいるが、まだ投資を行ったことのない投資家(Virgin Business Angels)が多く、ヨーロッパで85万人、アメリカで175万人にのぼると推定されている。
・潜在的エンジェル(Latent Angels)を活動的なエンジェル(Active Angels)に転換するための教育として「投資未経験のビジネスエンジェル教育」の役割について指摘している。

○これも大事だよな〜。

・支援制度は、日本の方が進んでいるのではないか。
・しかし、日本での創業活動は活発なものとはなっていない。

・ベンチャー企業の創業に関する研究:
 1)企業経済学者による研究:E=f(π、BE,GR,C)
 2)労働経済学者による研究:個人が決定した判断

・GEM(2007)の創業モデル
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・日本の大企業のように長期雇用慣行が支配的な経済社会環境において、創業は決して経済合理的な選択とはなっていないと考えられる。

・簇業(そうぎょう)モデル  簇:むらがるという意味を持つ
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・小さな地域に集中して資源を投入し(RAを高める)、人材の相互刺激を高める(EEを高める)ことが有効である。

・RA:Resource Accessibility(外的資源の入手可能性)
 EE:Entrepreneurial Expectation(創業への期待値)

・日本では、タネ(技術)は十分にあり、ハタケも耕してあるが(支援制度)、水が無く(市場機会が乏しい)気温が低すぎて(創業の費用対効果が悪すぎる)、発芽しない状態であると言える。

・もう少し気温が上がれば、創業が合理的に思え、創業が増え、それに影響を受けた人も創業を開始するという連鎖が現実のものになるだろう。

○これを、比企という小さな地域で実現したいな。

・人的資源開発の企業間での戦略的連携も重要なアプローチ(Lepak & Snell 1999)
・南カリフォルニアにおいて、受注に失敗した戦闘機メーカーが、ライバル企業に、自社の開発チームを貸し出して、そこで先端的な技術経験をさせることで、戦闘機産業で共通の専門人材の能力開発を共同開発している(Cappelli 1999)
・企業間 准内部労働市場(Gardner 2005)

・クラスター形成の共通要素の一つが「インフルエンサー(Gibson & Rogers 1994)」や「地域リーダー(東2001)」である。
・創発型のクラスター形成における最大の課題は、個々のローカルなイニシアティブをどのようにして融合して、地域レベルの集合的行為にまで高めていけるかということである。そのためのポイントは、行動のベクトルを合わせること。

・メゾ組織構築という企業家活動は、Burt(1992)の主張する「構造的な溝(Structural Holes)」を埋めるネットワークハブとしての企業家。
・企業家活動の「ミクロ-メゾ・ループ」によるクラスター形成。

・USモデルの副作用は、所得格差の再現、拡大。
・第二次世界大戦から、1980年代初頭に、Cloning Silicon Valley政策が導入されるまで、アメリカにおける所得格差は小さく「大圧縮の時代」と呼ばれていた。

・日本の高度成長期において、Statistモデルが、きわめて有効に作用していた(フリーマン1989)。

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●講師ビジョンの島村さんからのメール

関根さん、ブログ拝見しました。

>日本では、タネ(技術)は十分にあり、ハタケも耕してあるが(支援制度)、
>水が無く(市場機会が乏しい)気温が低すぎて(創業の費用対効果が悪すぎる)、発芽しない状態であると言える。
>もう少し気温が上がれば、創業が合理的に思え、創業が増え、それに影響を受けた人も創業を開始するという
>連鎖が現実のものになるだろう。

事業会社の人材開発のご担当者が、講師業、研修業を生業としたキャリアプランを考えていらっしゃる方が一定数いると思うのですが、そこに踏み出す人は意外と少ないなと感じています。

個人的には、人材開発担当者の皆さんが自社で得た知見は、より多くの会社の課題解決に役立てられると思うのですが、一歩踏み出せないのは、社会にとっての機会損失だとも感じます。

タネ(技術)は十分にあり、水(市場機会)はある程度あるが、畑(支援制度)があるようでそれを感じられず、発芽しない状態であると言えるのかな思います。

近い将来、外部講師育成の事業化を考えていますので大変参考になります。
いつもありがとうございます。

講師ビジョン 島村

(こちらこそ、いつもありがとうございます!)

2020年11月12日

「社会起業」本_201112

「ソーシャルイノベーション」「地域活性」関連本。

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『ソーシャルイノベーションを理論化する』高橋・木村・石黒(2018)

○研修者の凄みや、研究の力強さを感じさせる論文集。

・社会的排除:社会問題を当事者の持つ能力に還元するのではなく、既存の諸制度へのアクセスから排除されているが故に生じる問題として捉える。
・社会的排除に起因する社会問題は、社会企業家による制度変革、すなわち、ソーシャルイノベーションを必要とするのである。

・企業が障がい者に付加価値を見出すCSR市場が形成されていた。

・関係論的転回では、企業家精神を個人に内在する動機ではなく、「創造的破壊」が正統化された近代社会において成立するエージェンシーとして位置付ける。

・農業経営者の取り組みを阻害する関係構造(農協)が、農業には存在する。
・余剰資源を有している農業経営者は、既存の関係構造の下で、十分な利潤を得ているため、6次産業化にそもそも動機づけられない。
・農業経営者を苦しめる構造的不利は、農業経営を支援する一連の施策の副産物である。

・ソーシャルイノベーション論における2つの潮流:
 1)新自由主義学派(米国型)
 2)社会政策学派(欧州型)

・アメリカ文化では、貨幣増殖を体現するものこそが「信用できる立派な人」という肯定的存在として捉えられる。
・アメリカ人の性格を形作るのに、ピューリタニズムとフロンティアというものの影響が非常に大きな寄与をしている。

・市場主義に依拠しすぎるがあまり、助成金に頼らず、市場での事業収入で経済的に自立することを極端に主張する議論(例:木下2015)、「ソーシャル」のラベルを貼ることができれば、本質的に営利企業であっても社会的企業とみなす風潮(例:渡邊2005)など、偏った議論を生み出すことにもつながった。

○こういう俯瞰的視点が、研究者の強みだよな〜。

・「厚生」とは、故事から採られたもので「衣食を十分にし、空腹や寒さに困らないようにし、民の生活を豊かにする」という君主の役割を規定したもの。
・日本では、欧米とは異なる社会性理解として厚生概念が生み出されたため、官民連携における実践という形が、自然と社会政策の遂行の中で実行されていった。

・地域活性化研究において社会起業家のスーパーヒーロー仮説の再生産が行われている。

・海士町で就職するのではなく、海士町に仕事を作る力を持つ若者を育てるために「地域創造コース」を、隠岐島前高校に設置。
・地方自治体は、民間にはない資源にアクセスすることができ、かつ民間の自助努力を取り込むことが可能な、強力な中心的アクターとなりうる。

・まちづくり研究では、カリスマリーダーによる価値共有を、まちづくりの成功要因として説明するという論理構造が形成されている。
・企業家をヒロイックに捉え、企業家に係る人々を敵対者や支援者といった役割を与えることで、予定調和的なビッグストーリーから逃れえないもの。
・まちづくりとは、地域資源の新結合である。

・郷土愛や情熱に基づく説得で動かすことが不可能なアクター(商店街店主)
・空き店舗が、貸店舗として価値を持つことを提示し、使用権を譲り受け管理していくことで、近隣から若手起業家を呼び込んで、シャッター通り商店街の再生を図った。

○研究の分析視点としてはそうだろうけど、動くのは人。

・社会起業家を無自覚に倫理的存在として位置付けてきた。

・市場での解決が、同時に異なる社会的課題を助長する恐れ。
・社会福祉法人は、行政寄付金が人数分入ってくるため、安価で仕事(名刺作成)を受けることができる。民福連携の先駆け。
・社会的企業が諸制度からの圧力に対して戦うために、制度との関りを、一時的に「断つ」

・社会企業家を語る研究者の作法
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『地域が元気になるために本当に必要なこと』高橋・村上・鈴木(2013)

・少数派であるアントレプレナーは、多数派である「縁遠い」人達からの無視、時には抑圧と戦わなければならない。

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・本書では、実際に事業を営む起業家ではなく、事業を営む起業家や経営者のために、場所や制度、そして環境などを作り上げる活動をしている人たちにターゲットを当てた。

・地域を離れるほど大きくもなれないが、十分に元気な企業をどれだけたくさん持てるかが、多くの地域経済にとって、活力を維持するための方法である。

・実際に事業を営む人を、第1起業家、環境を整える人を、第2起業家とする。
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○この分け方、スッキリする。俺の場合は、1でありつつ、2を目指してるって感じかな。

・アントレプレナーを殺すのに、ナイフはいらない。「絶対に成功しますか?」と言えば良い。
・総論賛成、各論反対。アントレプレナーは、各論でイノベーションを起こす人。
・地域の自立を考えた時、アントレプレナーシップが重要な要素である。

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●講師ビジョン 島村さんからのメール

関根さん

おはようございます。ブログ拝見しました。

最も印象的だったのは、やはり実際に事業を営む人を第一起業家、環境を整える人を第2起業家とする整理です。なんだか、スッキリ、爽快感があります。

地域視点とは別に、弊社の事業を運営する観点で置き換えて読んでみましたが、社内講師を直接、養成する第一の視点と、社内講師を輩出するための仕組みを整える第2の視点、そして、OJTトレーナーを直接、育成する視点と、OJTトレーナを育成するための制度を整える視点で
お客様と商談しているなと改めて感じました。

商談に議論の展開も、第2視点から入り、徐々にそのプロセスの一つとして第1視点をお客様に提案しているなと振り返ることができました。

また、今後は外部講師も育成することも行っていきたいと思っていますので、色々考えるよい機会をいただきました。

次回も楽しみにしております。

(島村さん、いつもありがとうございます!)

2020年11月02日

「起業」研究文献_201102

○地域で、ミニ起業家を増やすヒントになりそうな研究

○起業準備→「知識、能力、経験」→起業態度有→起業実行

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「就業構造基本調査」から見た起業の希望と準備の要因

松田・土屋(2017)

・日本の開業者数の少なさは「開業希望者」の少なさに起因する。
・日本の開業希望者による開業の実現率は高い。
・開業希望者を増やす支援の方が、開業率の改善に有効。

・高橋ら(2013)では、開業率の違いは「起業態度」の違いに起因することを明らかにした。

・5年ごとに行われる総務省の「就業構造基本調査」調査標本100万人

・10人未満の規模の企業に属する就業者の方が、開業希望と準備の確率が共に高い。この結果は、起業家に向いているのは一部分のスキルに特化したスペシャリストではなくバランスの良いスキルを持つジェネラリストであるというLazear(2004)の指摘と整合的である。

・開業希望を持つ確率が高い人は、有業者の場合「男性の会社役員で、世帯収入と個人収入も高く、小企業に勤務していて、追加就業でなく転職を希望している人」である。

○小さい会社で経験を積むことが、起業に役立つ。

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リーマンショック後に生じた日本の起業活動の変化

高橋(2017)

・2008年9月にリーマンショック。

・日本は、起業態度を有するグループからの起業率が大幅に上昇したものの、起業態度を有するグループが先進国全体ほどには、成長しなかったことが、両者の差が広がった大きな要因。

・日本の起業活動の特徴は、ゝ業態度を有するグループの大きさは小さい、しかし△修離哀襦璽廚らの起業率は高い、ということである。

・日本の起業活動水準を上昇させる方法は3つである。
1)起業態度を有するグループを増やすこと
2)起業態度を有するグループからの起業率を上昇させること
3)起業態度を有しないグループからの起業率を上昇させること 

・3)は意味をもたない 起業態度を有するグループを増やしていく。

○「起業態度」有りを増やす!

===

起業活動に影響を与える要因の国際比較分析

高橋徳行 他(2013)

・GEMの「起業態度」指数
 1)起業活動浸透(ロールモデル)「過去2年以内に新たにビジネスを始めた人を個人的に知っているか」
 2)事業機会認識「今後6か月以内に、自分が住む地域に起業に有利なチャンスが訪れると思うか」
 3)知識・能力・経験「新しいビジネスを始めるために必要な知識、能力、経験をもっているか」
 4)失敗脅威「失敗することに対する恐れがあり、起業を躊躇しているか」

・日本における起業活動の低さは、起業態度の低さに起因する。
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・日本では「知識、能力、経験」がアントレプレナーシップにつながりやすい

・日本のTEA(Total Entrepreneurial Activity)が低いのは、起業に関する認識や態度の問題。

・国際的にも、日本の「知識、能力、経験あり」グループの起業活動水準は、最高位の水準にある。
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・日本では「起業無縁層」が圧倒的割合を示している。
・他国と異なり、日本では、取引上の圧倒的多数のプレーヤーは、起業無縁層である。
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・起業無縁層は、起業活動について、低い評価を与えている。
・このことは、起業無縁層と、起業関係層が接した場合、様々な少しの軋轢をもたらすことを想像させる。

・若い世代が、起業活動に目を瞑っている。

・現在の大学教育は、起業家育成教育というより大手企業に何社、内定させたかを業績とする。指示された仕事を的確にするというサラリーマンを多く、一流企業に入れたことが、大学の業績なのである。

○まさにそう!

・「新しいビジネスを始めるために必要な知識、能力、経験」を有している者へのリスペクト、別の言い方では「独立自活」への敬意がもたれることが重要。

・起業無縁層は、起業活動全体に対して、負の影響を与えている可能性が高い。

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起業態度と起業活動

高橋(2013)

・日本では、起業態度を有する人の割合が圧倒的に少ない。
・GEMのモデルにおける「起業家予備軍 potential entrepreneur」が少ない。
・しかし、起業家予備軍からの起業率を見ると、多くの先進国を上回り、米国並みの水準になる。

・起業家予備軍からの起業率を見ると、地域間に違いは無い。

・先進6か国においては、起業活動指数であるTEAと、起業態度指数には、統計的にも有意な相関関係がある。

・日本の起業活動の低迷の要因は、起業態度を有している人の割合の低さに尽きる。

===

日本の起業活動の特徴は何か〜GEMに基づく分析

鈴木正明(2013)

・GEMによると、日本では成人人口100人あたり約3人が起業活動に従事。
・日本では、そもそも起業しようと計画する人が少ない。
・半面、途中で脱落することは、他のG7諸国と比べて少ない。

・GEMは、起業に関する研究プロジェクトとしては、世界最大。
・各国最低2000人分の回答を電話で収集することが義務付けられている。

・米国では、TEAが、10.3%。10人に一人が起業。

・日本では、起業活動を始めようと計画する人(起業計画者)の層が薄い。

・起業態度指標4つ
・環境指標4つ
1)経済的平等意識「多くの人たちは、全ての人が同じ生活水準であることを好んでいる」
2)望ましい職業「多くの人たちは、新しいビジネスを始めることが望ましい職業の選択であると考えている」
3)社会的地位・尊敬「新しくビジネスを始めて成功した人は、高い地位と尊敬をもつようになる」
4)メディアからの注目「新しいビジネスの成功物語について、公共放送でしばしば目にする」

・起業活動に取り組んだ結果、起業態度が変化するというように、因果関係が逆である可能性、あるいは両者が双方向に影響を与える可能性も考えられる。

○こっちの方があるかも。起業塾に入って、徐々に起業態度有に変わっていった人もいる。

・起業活動浸透(ロールモデル)指標は、起業計画者割合との間に、最も強い相関関係がみられる。

・望ましい職業指標と、起業計画者割合も、正の相関がみられる。

・日本では、起業が「望ましい職業の選択肢と考えられている」と感じている人や、「新しいビジネスを始めるために必要な知識、能力、経験を有している」人が少ないことが、起業計画者割合の低さの要因と言える。

・脱落者が少ないという意味で、起業計画者の質が高い点は、日本の特徴。

・知識、能力、経験を有すると認識する人を増やすことが、日本の起業活動を活発化させる可能性がある。
・しかし、そのための有効な方法は、確立されているわけではない。

○「新しいビジネスを始めるために必要な知識、能力、経験を有している」と感じさせることについては、今やっている比企起業塾が役に立てるのかも。

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新規開業者の事業継続意欲:「就業構造基本調査」匿名ミクロデータによる実証分析

岡室・池内(2012)

・開業から5年未満の自営業者を対象に、事業継続を希望する要因を計量的に明らかにする。
・分析の結果、事業継続意欲は、学歴の高い自営業者において高く、非正規雇用から開業、60歳以上の高年齢層、若年層の女性、および未就学児をもつ女性の自営業者(雇用者への転職志向が強い)において低かった。

・本研究の最も重要な発見の一つは、日本の新規開業者の9割以上が、事業の継続を望んでいるということ。

・鈴木(2007)は、国民生活金融公庫のパネル調査に基づき、開業5年目までに廃業した企業には、開業規模が小さい、経営者の年齢が高く、斯業経験が乏しい、開業前に非正規雇用だったことが多い、等の特徴があることを明らかにした。

・年間事業収益の平均は、新規開業者で、235万円、雇用者では357万円であり、雇用者の方が明らかに高い。これは、日本だけではなく、欧米諸国とも共通する。

・60歳以降の開業の成果は、若い人の開業の成果より、有意に低い。このような結果は、高齢者による開業の政策支援に疑問を呈する。

○シニア起業は、難しいってこと。

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開業時に地域ソーシャル・キャピタルが及ぼす影響度の推定

新井(2012)

・地域社会との紐帯(ソーシャルキャピタル)は、創業時には意味を持たず、創業以降の発展期の過程で大きな要因としての意味を持つ。

・W.Bakerは、ソーシャルキャピタルを「ネットワークから得られる資源」と定義した。

・行政からの支援に関しては、ほとんど全ての推定モデルにおいて、有効に機能しないことが認められた。

○ま、そうだよね。

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起業活動の新しい捉え方−GEMが捉えた起業活動

高橋(2009)

・GEMは、1999年から調査を開始。起業に対する態度Attitude、行動Activity、意欲Aspirationを視野に入れることによって、開業や創業活動をより深く理解しようとするものである。

・固定電話による聞き取り調査を実施。1国あたり最低2000件のサンプルを集める。

○そうなんだ〜。相当大変そう。

・TEAが1%変化すると言うことは、80万規模で、起業にかかる活動が変化していることになる。

・各国ともに、開業動向を把握する以外の目的で実施されている統計調査を用いて、開業率の計算をしている所に問題がある。

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まちづくりと起業家

角田(2008)

・企業家の排出とまちの活性化とか深い関係のあることを理解した。

・企業家を数多く輩出する地域(京都、浜松、広島県東部など)がある。
・企業家がつぎつぎに排出する時期と停滞する時期がある。
・企業家は、辺境から生まれる。
・企業家の排出について、企業家の気質を育む地域の風土であるとか、地域の人々のパトロネージュ(企業家を支援しようという気質)、あるいは企業家の相互支援のネットワークの存在が、地域間の違いを説明する要因として挙げられてきた。

○ここ面白い!起業家を輩出しやすい地域と、時期がある。

・企業家にも、交流分析TAにおける「創造的な人」と共通する自我状態の人が多い。
・企業家は、「自由な子供」の自我状態で「アブダクション」による推論を行う。この仮説を検証するプロセスが、企業家による事業創造である。

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●講師ビジョン 島村さんからのメール

関根さん

おはようございます。ブログを拝見しました。

起業について色々振り返るきっかけになりました。私の父親は、病院のレンドゲン技師から独立して、埼玉の庄和町(現在、春日部市)で島村接骨院を開業し、長年、経営しておりました。

今は、父も定年を迎え、地元の地域では愛される接骨院として店を上手くたたむことができました。

元看護師で父親と二人三脚で接骨院を経営していた母親からは、25年ほどの経営の中で当然ながら浮き沈みもあったわけで息子の私には、正社員で安定した道を歩みなさいと長年言われて育ってきました。

しかし、私は、一軒家の隣が島村接骨院でしたので、いつも一生懸命に働く両親の姿を見ており、独立してやっていく姿をずっと見てきて、このスタイルもいいなと感じてもおりました。

その後、社会人になり、1社目に入った研修会社でパートナーで活躍している講師の存在を知り、その世界を教えていただきました。

その後、事業会社の人事に転職した後も、依頼先の講師が独立して活躍している姿を見て、独立後の世界がイメージできましたし、幸運にも関根さんと出会うことができ、独立後の世界がますます鮮明になり、起業を決断することができました。

起業家教育の中には、その世界で活躍している人の世界に触れることで、その世界は特別なものではなく、頑張れば近づける世界なのだと、なんとなくでも感じれるような取り組みが重要だと個人的には感じます。

そのためには、まずは、小さくとも起業するという世界があるということをお伝えすることと、その世界をなんとなく感じれる取り組みがあり、決して特別なことではないんだと思えることがポイントなんだろうと感じます。

昔を振り返るきっかけになりました!ありがとうございます。

講師ビジョン代表 島村


(島村さん、ありがとうございます!)