« 大学院合同ゼミ_201025 | メイン | 「社会起業」本_201112 »

「起業」研究文献_201102

○地域で、ミニ起業家を増やすヒントになりそうな研究

○起業準備→「知識、能力、経験」→起業態度有→起業実行

===

「就業構造基本調査」から見た起業の希望と準備の要因

松田・土屋(2017)

・日本の開業者数の少なさは「開業希望者」の少なさに起因する。
・日本の開業希望者による開業の実現率は高い。
・開業希望者を増やす支援の方が、開業率の改善に有効。

・高橋ら(2013)では、開業率の違いは「起業態度」の違いに起因することを明らかにした。

・5年ごとに行われる総務省の「就業構造基本調査」調査標本100万人

・10人未満の規模の企業に属する就業者の方が、開業希望と準備の確率が共に高い。この結果は、起業家に向いているのは一部分のスキルに特化したスペシャリストではなくバランスの良いスキルを持つジェネラリストであるというLazear(2004)の指摘と整合的である。

・開業希望を持つ確率が高い人は、有業者の場合「男性の会社役員で、世帯収入と個人収入も高く、小企業に勤務していて、追加就業でなく転職を希望している人」である。

○小さい会社で経験を積むことが、起業に役立つ。

===

リーマンショック後に生じた日本の起業活動の変化

高橋(2017)

・2008年9月にリーマンショック。

・日本は、起業態度を有するグループからの起業率が大幅に上昇したものの、起業態度を有するグループが先進国全体ほどには、成長しなかったことが、両者の差が広がった大きな要因。

・日本の起業活動の特徴は、ゝ業態度を有するグループの大きさは小さい、しかし△修離哀襦璽廚らの起業率は高い、ということである。

・日本の起業活動水準を上昇させる方法は3つである。
1)起業態度を有するグループを増やすこと
2)起業態度を有するグループからの起業率を上昇させること
3)起業態度を有しないグループからの起業率を上昇させること 

・3)は意味をもたない 起業態度を有するグループを増やしていく。

○「起業態度」有りを増やす!

===

起業活動に影響を与える要因の国際比較分析

高橋徳行 他(2013)

・GEMの「起業態度」指数
 1)起業活動浸透(ロールモデル)「過去2年以内に新たにビジネスを始めた人を個人的に知っているか」
 2)事業機会認識「今後6か月以内に、自分が住む地域に起業に有利なチャンスが訪れると思うか」
 3)知識・能力・経験「新しいビジネスを始めるために必要な知識、能力、経験をもっているか」
 4)失敗脅威「失敗することに対する恐れがあり、起業を躊躇しているか」

・日本における起業活動の低さは、起業態度の低さに起因する。
img168%20%282%29.jpg
・日本では「知識、能力、経験」がアントレプレナーシップにつながりやすい

・日本のTEA(Total Entrepreneurial Activity)が低いのは、起業に関する認識や態度の問題。

・国際的にも、日本の「知識、能力、経験あり」グループの起業活動水準は、最高位の水準にある。
img167%20%282%29.jpg

・日本では「起業無縁層」が圧倒的割合を示している。
・他国と異なり、日本では、取引上の圧倒的多数のプレーヤーは、起業無縁層である。
img168%20%283%29.jpg

・起業無縁層は、起業活動について、低い評価を与えている。
・このことは、起業無縁層と、起業関係層が接した場合、様々な少しの軋轢をもたらすことを想像させる。

・若い世代が、起業活動に目を瞑っている。

・現在の大学教育は、起業家育成教育というより大手企業に何社、内定させたかを業績とする。指示された仕事を的確にするというサラリーマンを多く、一流企業に入れたことが、大学の業績なのである。

○まさにそう!

・「新しいビジネスを始めるために必要な知識、能力、経験」を有している者へのリスペクト、別の言い方では「独立自活」への敬意がもたれることが重要。

・起業無縁層は、起業活動全体に対して、負の影響を与えている可能性が高い。

===

起業態度と起業活動

高橋(2013)

・日本では、起業態度を有する人の割合が圧倒的に少ない。
・GEMのモデルにおける「起業家予備軍 potential entrepreneur」が少ない。
・しかし、起業家予備軍からの起業率を見ると、多くの先進国を上回り、米国並みの水準になる。

・起業家予備軍からの起業率を見ると、地域間に違いは無い。

・先進6か国においては、起業活動指数であるTEAと、起業態度指数には、統計的にも有意な相関関係がある。

・日本の起業活動の低迷の要因は、起業態度を有している人の割合の低さに尽きる。

===

日本の起業活動の特徴は何か〜GEMに基づく分析

鈴木正明(2013)

・GEMによると、日本では成人人口100人あたり約3人が起業活動に従事。
・日本では、そもそも起業しようと計画する人が少ない。
・半面、途中で脱落することは、他のG7諸国と比べて少ない。

・GEMは、起業に関する研究プロジェクトとしては、世界最大。
・各国最低2000人分の回答を電話で収集することが義務付けられている。

・米国では、TEAが、10.3%。10人に一人が起業。

・日本では、起業活動を始めようと計画する人(起業計画者)の層が薄い。

・起業態度指標4つ
・環境指標4つ
1)経済的平等意識「多くの人たちは、全ての人が同じ生活水準であることを好んでいる」
2)望ましい職業「多くの人たちは、新しいビジネスを始めることが望ましい職業の選択であると考えている」
3)社会的地位・尊敬「新しくビジネスを始めて成功した人は、高い地位と尊敬をもつようになる」
4)メディアからの注目「新しいビジネスの成功物語について、公共放送でしばしば目にする」

・起業活動に取り組んだ結果、起業態度が変化するというように、因果関係が逆である可能性、あるいは両者が双方向に影響を与える可能性も考えられる。

○こっちの方があるかも。起業塾に入って、徐々に起業態度有に変わっていった人もいる。

・起業活動浸透(ロールモデル)指標は、起業計画者割合との間に、最も強い相関関係がみられる。

・望ましい職業指標と、起業計画者割合も、正の相関がみられる。

・日本では、起業が「望ましい職業の選択肢と考えられている」と感じている人や、「新しいビジネスを始めるために必要な知識、能力、経験を有している」人が少ないことが、起業計画者割合の低さの要因と言える。

・脱落者が少ないという意味で、起業計画者の質が高い点は、日本の特徴。

・知識、能力、経験を有すると認識する人を増やすことが、日本の起業活動を活発化させる可能性がある。
・しかし、そのための有効な方法は、確立されているわけではない。

○「新しいビジネスを始めるために必要な知識、能力、経験を有している」と感じさせることについては、今やっている比企起業塾が役に立てるのかも。

===

新規開業者の事業継続意欲:「就業構造基本調査」匿名ミクロデータによる実証分析

岡室・池内(2012)

・開業から5年未満の自営業者を対象に、事業継続を希望する要因を計量的に明らかにする。
・分析の結果、事業継続意欲は、学歴の高い自営業者において高く、非正規雇用から開業、60歳以上の高年齢層、若年層の女性、および未就学児をもつ女性の自営業者(雇用者への転職志向が強い)において低かった。

・本研究の最も重要な発見の一つは、日本の新規開業者の9割以上が、事業の継続を望んでいるということ。

・鈴木(2007)は、国民生活金融公庫のパネル調査に基づき、開業5年目までに廃業した企業には、開業規模が小さい、経営者の年齢が高く、斯業経験が乏しい、開業前に非正規雇用だったことが多い、等の特徴があることを明らかにした。

・年間事業収益の平均は、新規開業者で、235万円、雇用者では357万円であり、雇用者の方が明らかに高い。これは、日本だけではなく、欧米諸国とも共通する。

・60歳以降の開業の成果は、若い人の開業の成果より、有意に低い。このような結果は、高齢者による開業の政策支援に疑問を呈する。

○シニア起業は、難しいってこと。

===

開業時に地域ソーシャル・キャピタルが及ぼす影響度の推定

新井(2012)

・地域社会との紐帯(ソーシャルキャピタル)は、創業時には意味を持たず、創業以降の発展期の過程で大きな要因としての意味を持つ。

・W.Bakerは、ソーシャルキャピタルを「ネットワークから得られる資源」と定義した。

・行政からの支援に関しては、ほとんど全ての推定モデルにおいて、有効に機能しないことが認められた。

○ま、そうだよね。

===

起業活動の新しい捉え方−GEMが捉えた起業活動

高橋(2009)

・GEMは、1999年から調査を開始。起業に対する態度Attitude、行動Activity、意欲Aspirationを視野に入れることによって、開業や創業活動をより深く理解しようとするものである。

・固定電話による聞き取り調査を実施。1国あたり最低2000件のサンプルを集める。

○そうなんだ〜。相当大変そう。

・TEAが1%変化すると言うことは、80万規模で、起業にかかる活動が変化していることになる。

・各国ともに、開業動向を把握する以外の目的で実施されている統計調査を用いて、開業率の計算をしている所に問題がある。

===

まちづくりと起業家

角田(2008)

・企業家の排出とまちの活性化とか深い関係のあることを理解した。

・企業家を数多く輩出する地域(京都、浜松、広島県東部など)がある。
・企業家がつぎつぎに排出する時期と停滞する時期がある。
・企業家は、辺境から生まれる。
・企業家の排出について、企業家の気質を育む地域の風土であるとか、地域の人々のパトロネージュ(企業家を支援しようという気質)、あるいは企業家の相互支援のネットワークの存在が、地域間の違いを説明する要因として挙げられてきた。

○ここ面白い!起業家を輩出しやすい地域と、時期がある。

・企業家にも、交流分析TAにおける「創造的な人」と共通する自我状態の人が多い。
・企業家は、「自由な子供」の自我状態で「アブダクション」による推論を行う。この仮説を検証するプロセスが、企業家による事業創造である。

===

●講師ビジョン 島村さんからのメール

関根さん

おはようございます。ブログを拝見しました。

起業について色々振り返るきっかけになりました。私の父親は、病院のレンドゲン技師から独立して、埼玉の庄和町(現在、春日部市)で島村接骨院を開業し、長年、経営しておりました。

今は、父も定年を迎え、地元の地域では愛される接骨院として店を上手くたたむことができました。

元看護師で父親と二人三脚で接骨院を経営していた母親からは、25年ほどの経営の中で当然ながら浮き沈みもあったわけで息子の私には、正社員で安定した道を歩みなさいと長年言われて育ってきました。

しかし、私は、一軒家の隣が島村接骨院でしたので、いつも一生懸命に働く両親の姿を見ており、独立してやっていく姿をずっと見てきて、このスタイルもいいなと感じてもおりました。

その後、社会人になり、1社目に入った研修会社でパートナーで活躍している講師の存在を知り、その世界を教えていただきました。

その後、事業会社の人事に転職した後も、依頼先の講師が独立して活躍している姿を見て、独立後の世界がイメージできましたし、幸運にも関根さんと出会うことができ、独立後の世界がますます鮮明になり、起業を決断することができました。

起業家教育の中には、その世界で活躍している人の世界に触れることで、その世界は特別なものではなく、頑張れば近づける世界なのだと、なんとなくでも感じれるような取り組みが重要だと個人的には感じます。

そのためには、まずは、小さくとも起業するという世界があるということをお伝えすることと、その世界をなんとなく感じれる取り組みがあり、決して特別なことではないんだと思えることがポイントなんだろうと感じます。

昔を振り返るきっかけになりました!ありがとうございます。

講師ビジョン代表 島村


(島村さん、ありがとうございます!)

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://learn-well.com/xbitmtop/mt-tb.cgi/1473

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)