知的営業になる

教育担当者向け 【成果につながる営業教育】

第三号 「質の高い面談を実現するには?(1)」 

皆さん、こんにちは。関根です。 さて、「成果につながる営業教育」第三号のテーマは 「質の高い面談を実現するには?(1)」です。 前号で営業が成果を出すためには「面談すべき顧客」を見極め、訪問し、「質の高い面談」をする必要がある、ということをお伝えしました。そこで今回は「質の高い面談」を実践させるにはどうしたら良いのかについて考えていきます。 まず、「質の高い面談」とは何か?というと「顧客・営業ともに満足できる面談」であると言えます。顧客も営業と会った時間を無駄と感じずに「あ、いい情報が得られたな」と感じられる。営業も顧客からの情報収集や商品説明など、訪問した目的・目標を達成できる。単にだらだらと世間話をしたり、「何とか一つ入れて下さいよ」と押し込むセールスではなく、顧客・営業ともに満足、いわゆる「両者満足」できる面談が「質の高い面談」であると言えます。 では、両者満足できる質の高い面談を実現するには、どうしたら良いのか?  1.目的を明確にする。 これには「仕事の目的」と「訪問の目的」の2つがあります。 まず、自分が何の為に営業をしているのか? 会社の利益貢献の為、生活のため、自分自身の成長のため、など、営業が自身の仕事を何の為にしているのか、営業の「仕事の目的」を明確にすることが必要になります。 研修を通して、「皆さんは、何の為に営業をしているのですか?」と聞いてみると、優秀な営業が考えている「仕事の目的」に共通項があるのに気づきます。彼らは共通して、営業の「仕事の目的」は「顧客の問題解決による満足を通して利益を創造することである」といった考え方を持っています。 その為、彼らの営業活動は、商品・サービスを売り込むことより、まず顧客の問題が何かを知ろうとする活動となっています。営業が自分の仕事は「モノ売り」であると考えるなら、彼らがすることは、まず商品・サービスの説明になります。しかし、優秀な営業は自分の仕事は「顧客の問題解決」であると考えていますから、彼らは顧客がどんな問題を抱えているのかを知ろうとします。 つまり、「仕事の目的」は、営業活動の進め方(モノ売りになるのか、問題解決者となるのか)にも影響を与えているのです。 また、自分自身の「仕事の目的」が明確になれば、数字があがらない時、顧客に罵声を浴びせられた時、営業会議でつめられた時など、つらい時に原点に立ち返り、自分をはげますことができます。 次に、「訪問の目的」です。今日、自分は何の為に訪問しているのか?今日の訪問の結果、自分が顧客から得たいもの(訪問のゴール)は何なのか?を明確にする必要があります。例えば、「今日の訪問は新規の初回訪問である。まずは相手の警戒心を解き、継続してお邪魔できるような関係を気づきたい」とか、「今日は相手から情報を収集して、次回提案の許可を得たい」など。 「訪問の目的」が明確になれば、自分が何をすべきか?が明確になります。そうすれば、訪問の目的に基づく「面談の準備」が可能になります。 2.面談の準備をする。 営業の世界では良く「準備8割」「良い準備が良い結果を生む」などと言われますが、ほとんど実践されていません。皆、準備の大切さは分かっていても、仕事に追われ、ほとんど準備が出来ずに面談に挑んでしまっています。「何とかなるさ」「営業は予定通りに進まない」など口八丁、手八丁でこなそうとしても上手くいかず、結局目的が達成されないケースがほとんどです。 逆に、優秀な営業は忙しい中、次回訪問までに必要な情報を集めたり、資料を作成したり、と確かに準備に時間と労力をかけています。彼らはそれが良い結果を生み出すことを知っているからです。 また、優秀な営業は、これから進める面談を頭の中でイメージできます。「こんな風に切り出し、話しを進め、最後は次回アポに結びつけよう」など。面談の進め方のイメージをしっかり持っているが為に、面談の主導権を握れる、予期せぬ顧客からの言葉にもあわてず対応できる、といったことが出来ます。 優秀な営業は次のことを理解しています。「確かに目の前のお客さんは予期せぬ事を言うし、面談そのものをコントロールすることは難しい。しかし、自分が確実にコントロールできるものがある。それが面談前の準備だ」と。その為に彼らは「面談の準備」に力を入れているのです。 顧客の立場から見ると、準備をしっかりしてくる営業の方が、好ましく見えます。自分との面談を無駄なものしないよう、有意義なものにしようとする営業の姿勢が見えるからです。また、的確な準備、顧客が望む他社事例などの情報、分かりやすい資料などは、営業の能力が伝わり、「頼りになる営業だ」という認識にもつながります。 「そうは言ってもうちの営業は準備しない」という場合、どうやって準備させたら良いのか?については、別の機会に触れます。 以上、「質の高い面談」を実現するために必要なポイントを確認してきました。まず、営業の「仕事の目的」は「顧客の問題解決」であることを理解する。そして、それぞれの「訪問の目的」を明確にし、訪問の目的に基づき「面談の準備」をする。 ところで、皆さんの会社の営業は「質の高い面談」をしていますか? 自分の「仕事の目的」をどのように捉えていますか?(モノ売りですか?問題解決者ですか?)目的を持った訪問をしていますか? 準備に時間と労力をかけていますか?

投稿者:関根雅泰

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第四号 「質の高い面談を実現するには?(2)」

皆さん、こんにちは。関根です。 さて、「成果につながる営業教育」第四号のテーマは、前号に続いて「質の高い面談を実現するには?(2)」です。 前号で「質の高い面談」を実現するには、訪問目的を明確にし、面談準備をしっかりすることが必要であることを確認しました。今回は目的を持った訪問を実現するにはどうしたら良いのか?を見ていきます。 訪問目的を明確にするとは、今日何の為にお客さんを訪問するのかをはっきりさせることです。その為には営業活動全体の目的と個々の面談の目的について考える必要があります。まず営業活動全体から見ていきます。 営業の仕事の目的が「モノ売り」でなく「問題解決」だとするならば、お客さんに会う究極の目的は「問題解決」をすることであると言えます。ただ、いきなりお客さんに会って、「問題解決させて下さい!」と言っても受け入れられません。 お客さんが「この営業となら問題解決を一緒にやっていっても良い」と思うことが重要になります。つまり問題解決に至る一連の流れが必要になるのです。 問題解決に至る一連の流れを、ここでは「営業活動のプロセス」と呼びます。お客さんの問題を解決するには、プロセスを踏んだ営業活動が必要になるということです。営業活動のプロセスには大きく5つあります。 1)位置づけ(Positioning) 2)信頼構築(Relating) 3)問題合意(Discovering) 4)解決提案(Advocating) 5)決定支援(Supporting) お客さんに会うためには、まずお客さんが「この営業になら会っても良いな」と感じる必要があります。その為に営業と「会う価値」を感じさせる「位置づけ」というプロセスが必要になります。他社と何が違うのか?忙しい中会う価値があるのか?というお客さんの疑問に応える。 会ってみたくなる電話アポの取り方、第三者の紹介、パブリシティによる信用など、様々な手法を駆使し、「お客さんに会う」という第一関門を突破するのが、「位置づけ」というプロセスです。 お客さんに会えたとしても、お客さんは「どうせ売り込みだろう」「今後も会う価値があるのか?」「他社と何が違うのか?」といった警戒心を持っています。お客さんの営業に対する警戒心を解かない限り、お客さんは営業と一緒に問題解決をしていこうなどとは考えません。「そもそもどんな奴なんだ?何ができるんだ?」というお客さんの疑問を解消し、問題について話し合っても良いという信頼関係を築くことが重要です。 「信頼構築」のプロセスで、お客さんの警戒心を解いたならば、次の段階は「問題合意」です。お客さんは何を問題と認識しているのか?そもそも問題が存在するのか?問題があっても解決の必要性を感じているのか?などを、このプロセスではっきりさせていきます。 「問題合意」のプロセスで重要なのは「質問・傾聴」のスキルです。お客さんから問題を聞き出す、問題について考えさせる、問題解決の必要性に気づかせる、など「質問・傾聴」のスキルによりお客さんと「確かに解決しなければならない問題はこれだね」と合意に至ったならば問題の「共有」ができたと言えます。 「問題合意」ができたならば、次にやるべきことは問題の解決策の提案です。お客さんに対して「問題はこれで、解決する為にはこれ(営業が扱う商品・サービス)が必要」と提案する。お客さんへの説明で重要なのは「何故」この商品・サービスでお客さんが抱える問題が解決できるのかの論理的な説明です。これが出来るために、営業には (1)お客さんの問題が何かを理解している (2)自社の商品・サービスを熟知している (3)お客さんの問題と自社の商品・サービスを結びつけることができる、 という3つが求められます。この中で難しいのは(1)と(3)です。お客さんと信頼関係が出来ていないと、お客さんの問題が把握できない、ということと、結びつけはそれぞれの営業の頭の中で起こっている活動である、といった理由からです。どの業界を見ても、この2つが出来ている営業が成果を出していると言えます。 「解決提案」でお客さんに問題解決の提案を論理的に説明した後、残るプロセスは「決定支援」です。お客さんの意志決定に伴う不安「本当にこれに決めてしまって良いのか?」「上長に後で何か言われるのでは?」「成果が出なかったらどうしよう」を解消する段階です。 このプロセスで重要なのはお客さんの立場に立って不安解消の支援をするということです。人は誰でも何かを決める時、特に高い買い物をする時は緊張する、ということを理解し、お客さんの緊張緩和の手伝いをすると言うことです。 これら5つのプロセスに共通するのは、お客さんの立場に立って、お客さんがどんな疑問を持つのかを想像し、その疑問に応える言動をとる、ということです。つまり顧客の側から営業活動を捉え、お客さんが営業にどう接してほしいのかを常に考えるプロセスであると言えます。お客さんと営業という「買う人」「売る人」という対立関係でなく、同じ人間として一緒になって問題解決をしていく協働関係を築いていくのが、「営業活動のプロセス」なのです。 営業活動をプロセスとして捉える2つのメリットがあります。一つはお客さんとの「現在位置が分かる」ということ、もう一つは「対策が打てる」ということです。お客さんが警戒心を持っているという「現在位置」が分かれば、営業が今すべきことは「信頼構築」である。「信頼構築」が出来たならば、次回訪問ですべきことは「問題合意」である、といった具合にです。 つまり、営業活動全体の目的とプロセスが明確になったのならば、個々の訪問の目的も明確にすることが出来ます。 個々の訪問の目的が明確になれば、第三号で確認したように「面談の準備」が出来ます。警戒心を持っているお客さんに対して、警戒心を解くために、例えば紹介してくれた人との関係を説明できるよう準備しておく。「問題合意」の段階のお客さんに対しては質問を準備していく、などです。 このように営業活動全体の流れをプロセスとして捉えることにより、目的を持った訪問をすることができます。お客さんとの現在位置が分かるため、面談前に必要な準備をすることが出来、「質の高い面談」を実現することが出来ます。 ところで、皆さんの会社では営業活動をプロセスとして捉えていますか? それを実践していますか? 目的を持った訪問ができていますか?

投稿者:関根雅泰

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第五号 「営業スキル研修を選ぶ際のポイント」

  皆さん、こんにちは。関根です。 さて、「成果につながる営業教育」第五号のテーマは 「営業スキル研修を選ぶ際のポイント」です。 前号で「質の高い面談」を実現するためのポイントを整理してきました。今回は「質の高い面談」を実現させるという目的で導入される「営業スキル研修」で、間違った研修を選ばないようにするためのポイントを確認していきます。 一般的に「営業スキル研修」では、お客さんと会ってから何を話すか、セールストークに焦点が当てられています。お客さんの警戒心を解くラポール(rapport)の技術、質問技法、魅力的なプレゼンスキル、クロージング話法、など。 大概の営業スキル研修では、お客さんとの面談場面や営業プロセスに応じてアプローチ、ニーズ把握、プレゼン、クロージングなど、いくつかの段階ごとにスキルや技法といったものを学ばせていきます。 正直、どの会社の営業スキル研修もほとんど大差ありません。それでも、参加者からの評価が低い研修や、あまり効果的ではない研修も確かに存在します。そこで、そのような営業スキル研修を選ばないようにするポイントを整理してみます。ここでは新人営業ではなく、中堅以上を対象にした研修に絞ります。 中堅以上向けの営業スキル研修で、「こうやりなさい」と言っても受け入れられません。「そんなこと知っているし、実際に今現場で営業やっているのは俺たちだ。何も知らない奴らが偉そうな事言うな」と。 それでは、中堅以上の営業担当者の営業スキルを高め、質の高い面談を実現させる為には、どんな研修を実施したら良いのでしょうか? 彼らが「良かった。役に立ちそうだ」という研修には、下記の3つの要素が含まれています。 1.今までの営業経験が整理できた。 2.他の営業が何をやっているのか、情報共有が出来た。 3.何か新しいことが学べた。 そこで、彼らに対しては、彼らが今まで現場でやってきたこと整理でき、また他の営業との情報共有ができる。そして何か新しいことが学べる営業スキル研修が望ましい、といえます。 1.営業経験を整理できるものを。 営業スキル研修で多くあるのが、「こういう場面ではこう言いなさい」と訳も分からず反復練習させるものです。企画側や講師側としては、進行が楽ですし、一応参加者がしゃべれるようになるので、評判の良いものもあります。 ただ、現在は「良い商品・サービス」があって、それを説明出来れば売れる、という時代ではありません。今の営業には「考えること」が求められています。今目の前にいるお客さんの問題は何か?何が原因なのか?当社の商品で本当に解決できるのか?何故なのか?等「考えること」が、今の営業には強く求められます。 営業に考えさせ、そして営業経験を整理させるには、「何故?」を考えさせると効果的です。今まで自分がやってきた事が「何故」上手くいったのか?逆に「何故」失敗したのか? 「何故」という理由が分かれば、営業は2つのことが出来るようになります。「再現できる」「指導できる」。「再現性」は優秀な営業の特徴でもありますが、「何故上手くいくのか」その理由を理解することにより、現場でも「意識」して使い、成功パターンを繰り返すことが出来ます。 また、後輩や部下の報告を受けた時や、同行したときに「何故上手くいったのか、あるいは失敗したのか」を説明することができますから、後輩、部下に対する指導・育成も出来るようになります。 2.情報共有できるものを。 せっかく高い交通費や、現場の営業を数日離れて営業研修をやる訳ですから、集まってこそ出来るものをする必要があります。特に今では「e-Learningで出来ないのか?集合させる意味は?」とうるさく言われる時代ですから、集合研修でしか出来ないことが求められます。 では、集合研修でしか出来ないこととは何なのか?いくつかありますが、ここでは営業同士の情報共有の場として考えます。 ただ、営業研修において注意しなければならないのが、情報共有という名前を借りた雑談中心のディスカッションです。研修が終わってから話せば良いような内容を研修中に話してしまう。 また、営業の情報共有とは言っても、通常営業は自分がどんなことをしているのかをあまりおおっぴらにしようとはしません。自分が売れれば良い、別に他の人間にやり方を教えても得にならない、と言った具合に。 そこで、情報共有のテーマとして営業が話したく、また他の人の意見が聞きたくなるようなものを選ぶ。また雑談にならないよう講師あるいはガイド役が進行を見ながら、話し合ってもらう。 例えば、「新規開拓先で不信感を示すお客さま」というテーマで、自分の例を話し合ってもらう。ただ、いきなり話し合えといっても難しいので、まず「不信感を示すお客さま」の例をビデオで観察してもらう。それに照らし合わせて、自分の経験を個人作業で書き出してもらう。それからグループで何分間か話し合う。といった具合に、話しやすいテーマで、話し合い易いよう段階を踏んで考えてもらい、進捗状況に応じて時間調整を講師の方で行うことが効果的です。 3.新しいことが学べるものを。 新しいことと言っても、何か今まで無かったようなスキルとか、顧客を絶対獲得できる必勝理論とか、そういったものである必要はありません。今まで見てきた経験の整理や情報共有でも、十分新しいことを学ばせることは出来ます。今までの見方とは違った見方を知る。自分が考えなかったような事を考えてやっている営業がいる。そのことを発見するだけでも、新しいことが学べたと言えます。 中堅以上向けの営業研修では、講師の側が一方的に「営業とはこうあるべきだ!」と語り、訳も分からずスキルを反復練習させるのではなく、営業が「何故?」という理由を考えることができるようにする。自分の活動を振り返り経験を整理でき、そして他の営業と経験を共有できる。これらを満たす「営業スキル研修」を選ぶことが、「質の高い面談」を実現させるために必要だといえます。 ところで、皆さんの会社の営業スキル研修では、営業に「何故?」を考えさせていますか? 実のある「情報共有」をさせていますか? 何か新しいことを学ばせていますか?

投稿者:関根雅泰

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第六号 「何故、研修内容を実践しないのか?」 

皆さん、こんにちは。関根です。 さて、「成果につながる営業教育」第六号のテーマは 「何故、研修内容を実践しないのか?」です。 前号で、「質の高い面談」を実現するという目的で導入される「営業スキル研修」を選ぶ際のポイントを整理しました。ただ、営業スキル研修を数日間やっても、現場に帰ると研修内容を実践しない。「研修は研修、現場は現場」と、研修で学んだ内容が現場で活かされない。といったケースが多く見られます。何故なのか?それについて考えてみたいと思います。 「営業スキル研修」を受けても、現場でその内容を実践しない理由としていくつか考えられます。 1)使えると思えなかったので、使わなかった。(Do not want to use) 「何だこれ、こんなの現場じゃ使えないよ」と研修を受けた時に思ってしまう。その原因として、「これなら確かに使える!」と納得感のあるコースを提供できなかったということが考えられます。 例えば、講師の進め方が単調で、「この講師じゃ営業やっても売れないだろうな」と思われた。古き良き時代の営業のやり方を教えられ「今の時代、そのやり方じゃ売れないよ」と思われた。営業の学びたいこと、研修へのニーズに合わず、「こんなの既にやっているよ」と思われた。 2)研修内容を現場の活動に結びつけて考えることが出来なかったので、使えなかった。 (Can not use) 「研修はあくまで研修であり、現場では使えない」という思いこみがあり、自分の活動に落とし込んで考えようとしない。理解力の問題で、研修内容を自分の営業活動に結びつけて考えられない、などがあります。営業研修が自分の活動の中の、どんな場面で、どんな風に役立つのかを、結びつけて考えることが出来ないので、現場で使うことが出来ない、ということになります。 3)忘れてしまったので、使えなかった。(Can not use) 研修で学んだ内容を忘れてしまったので、使うことが出来なかった。研修中や研修直後は「よし、やろう!」と思っても、日々の業務に追われる内に、その時のインパクトが薄れてしまう。研修内容を思い出す機会もなく、いつのまにか忘れてしまう。 4)職場の雰囲気が、使うことをためらわせた。(Wanted to use, but) 研修を受けた本人は「よし、やろう!」と思い、研修内容を現場で実践しようとするが、職場の雰囲気が、それをためらわせ、結局実践できずに終わってしまう。大きな原因として、上司の理解がない、ということがあります。「そんな回りくどいやり方するな!」「そんなの使えないから、とりあえず俺の言うとおりやってろ!」とか、直属の上司が、研修内容も理解していないのに、研修内容を否定する。上司に研修は現場では使えないという思いこみがあり、反対する。 また、職場の他のメンバーは、研修を受けていないために、話が通じない。仮にスキルの説明をしても「何それ?使えるの?」と、研修内容を理解していれば伝わる話も、伝わらない。 結局、自分一人少数派の為、研修内容を実践しようという意欲はあっても、使えずに終わってしまう。 5)使ったが、上手くいかなかった。(Tried to use, but) とりあえず学んだスキルを使ってみたが、上手くいかなかった。何度か失敗する内に「やっぱり研修は現場では使えない」とあきらめ、使うのを止めてしまう。スキルの使い方が悪かったのかもしれないが、それを修正する機会もない。結局、研修内容を実践せずに終わってしまう。 以上が、研修内容が現場で実践されないいくつかの理由です。 整理してみると、研修内容が現場で実践されない原因は「研修室」「職場」「客先」にありそうです。 「研修室」で、納得感のある研修が受けられず、また研修内容を現場の活動とリンクづけることが出来なかった。 「職場」で、上司やメンバーの研修への理解がなく、実践することができなかった。 「客先」で研修内容を実践してみたが、上手くいかず、使うのを止めてしまった。 次回は「では、どうやって研修内容を現場で実践させたら良いのか?」について考えていきたいと思います。 ところで、皆さんの会社では、研修内容が現場で実践されていますか?  実践されていないとすれば、どこに原因がありそうですか?

投稿者:関根雅泰

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第七号 「研修内容を現場で実践させるには?(1)」

皆さん、こんにちは。関根です。 さて、「成果につながる営業教育」第七号のテーマは「研修内容を現場で実践させるには?(1)」です。 前号で、研修内容が現場で実践されない原因は「研修室」「職場」「客先」にありそうだ、ということを確認してきました。 今回は「では、どうしたら研修内容を現場で実践させることができるのか?」について考えてみたいと思います。 「営業スキル研修」で学んだ内容を現場で実践させるには、次の3点がポイントになります。 1)「研修室」で「これは使える!」と思わせる。 2)「職場」で研修内容を忘れないようにさせる。 3)「客先」で使ってみて「使える!」実感を与える。 1)研修室での納得感 営業スキル研修を受けた時に「これは確かに使える。効果的だ」と思わない限り、営業はスキルを使おうとはしません。その為に彼らが納得感をもてるような研修内容、研修の進め方、講師の力量が重要になります。研修内容と研修の進め方については第五号「営業スキル研修を選ぶ際のポイント」で確認をしました。 講師の力量に関しては、正直その研修を実際にやっている所を見たり、企画者である皆さん自身が研修を受講してみない限り、分からないでしょう。ただ、講師自身が営業もしているのならば、その営業の進め方を、または彼が属する会社の営業の進め方を見れば、営業スキル研修のレベルも推し量れるのではないでしょうか。ある意味偉そうに「営業のあるべき姿」を指導する立場にあるわけですから「言っていることが出来ているのか?」を見ることにより、その講師の力量を見ることが出来ます。 私自身は、研修の講師でもあり営業でもありますので、営業スキル研修で伝えていることの実践を常に心がけています。「研修内容の体現者」自分自身が「生きているモデル」であるという認識で行動しています。(たまに上手くいかないこともありますが) また、納得できる研修という観点で重要なのが「研修での気づき」です。「気づき」とは「経験が整理されること」「成功・失敗の理由が分かること」「腑に落ちること」です。短期的な研修の成果でもある「気づきを与える」こと。何故、気づきを与えることが、研修では重要なのか?それは「自己納得」が「行動変容」を促すからです。「あ、なるほど。そういうことだったのか。だからこの間の面談は失敗したんだ。」という風に自分で納得しないと、人はなかなか自分の行動を変えようとはしません。逆に納得すれば、行動を変えようとします。 イリノイ大学教育開発センターのマクガイヤーさんという方が、こんなことを言っています。「教育とは単に教えることではなく、学習者の行動を望ましい方向に変容させ、かつそれを習慣づけることである。教育は習慣形成をもって終了する。」研修での気づきにより、行動が変わり、それが習慣化することが教育そして営業研修の最終ゴールである。研修室で納得感のある営業スキル研修を受け、気づきが得られても、それだけでは足りません。習慣化させる為に重要なのが、「職場」での意識的活用です。 2)職場での意識的活用 研修内容が実践されない最大の理由は、研修内容が普段の仕事とリンクしていないことです。その結果、時が経てば、研修内容を忘れてしまいます。では、研修内容と日常業務を連動させる為にどうしたら良いのか?忘れさせない為にはどうしたら良いのか? まずは、研修内容を忘れさせない為にどうしたら良いかを見ていきます。研修内容と日常業務との連動は次号以降で見ていきます。 研修内容を忘れさせない為には、本人の努力、上司の指導、職場メンバーの協力、が必要です。 まず、「本人の努力」ですが、研修内容を自分の営業活動に結びつけ、それを実践するように心がけることです。ただ、研修最後のアンケートに「これからは研修で学んだことを職場で実践していきます」などと書いている人に限って、やらないケースがほとんどです。      また、「よし、やろう!」と思ってもどうやっていいのか分からないこともあります。 そこで、研修室での研修中に「現場でどうやって活用したらよいのか?」を本人達に考えてもらうのが効果的です。研修では駆け足で色んな事を学んだという印象を受ける参加者も多いので、いったん立ち止まって、現場の活動に結びつけて考えられるようにします。 例えば「先ほど学んだスキルは現場のどんな場面で使えそうですか?」といったテーマでのグループディスカッションを研修の途中に入れます。すると参加者は、それまでに学んだ内容を現場の活動に落とし込んで考えることが出来ます。 また、現場で実践させる為のツールを提供することも有効です。ツールといって、面倒くさい入力があるモノやフォローアップシートなどといった書き込みの多いモノをやらせようとしても逆効果になります。それではどんなツールが良いのか? 参加者に聞いてみると、現場で活用するためには「何をやれば良いかが明確」「面倒くさくなく」「実際に使える」モノが良いという声が多く出ます。研修を受けた参加者が困るのが「で、結局何をどうやったら上手くいくの?」が分からないまま研修が終わってしまうことです。そこで、例えば新規開拓先への訪問ならば、その時に何をすれば上手くいくのか、一枚のシートに全ておさまるようなツールがあると便利です。 第三号で「質の高い面談」を実現するには、面談の準備が重要である、ということを確認しました。現場で実践させるためのツールとして効果的なのが「面談準備シート」です。 この「面談準備シート」は、「訪問の目的」を明確化し、その目的に沿った準備を可能にします。お客さんの立場に立ってどんな疑問をお客さんが持つかを想像し、その疑問に応えるための準備をする。研修で学んだスキルをどうやって使えば良いのかがすぐ分かる。 「面談準備シート」は、研修中のロールプレイの準備の際に実際に使ってもらいます。すると参加者から「これは使いやすい」「簡単だ」「面談の流れが事前にイメージできる」といった声が出てきます。私自身このシートを使って、普段の営業活動をすすめていますが、「準備の時間が節約できる」「的はずれな面談にならない」「お客さんから感心される」といった点からも、シンプルですが非常に有効なツールだと思っています。 面談前に常に「面談準備シート」を使うことにより、研修内容を思い出すことが出来ます。(詳細は添付資料をご参照下さい) 「職場メンバーの協力」という点では、やはり職場メンバーも研修内容を理解していることが大事です。良く言われますが「研修内容の共通言語化」がない限り、研修内容の職場実践は難しいと言えます。ではどうやって「共通言語化」を図ればよいのか? 一番良いのは、メンバー全員が同じ営業研修を受けるということです。ただ、コスト面等で難しいという会社さんも多いかと思います。そこで、良くとられる方法が、マネージャーが講師役となり、現場展開を図ったり、研修を受けた担当者をトレーナー役とし、職場で研修内容を伝える、といった形です。また、e-learningで研修内容を伝えるという方法もとられます。 ミーティング、営業会議、ちょっとした立ち話の時に、研修で学んだ言葉、例えば「信頼の確立」や「問題の共有」が出てくれば、研修内容を忘れませんし、共通言語化が図られているしるしだと言えます。 最後に、研修内容を職場で意識させる際に最も影響力をもつ「上司の指導」に関しては、第九号から掘り下げていきます。 3)客先での実践 研修内容の実践を習慣化させる一番の方法は、それが上手くいって、お客さんから認められ、受注につながることです。「研修で学んだことをやってみたら、上手くいった」この繰り返しが、習慣化になります。上手くいくための近道は前述の「面談準備シート」を活用することと、「上司の指導」です。 研修内容の具現化である「面談準備シート」を活用し、面談の準備に力をいれることにより、お客さんからの評価は確実にあがります。お客さんは準備をしっかりしてくる営業を認めますし、また評価をしてくれます。認められた証としての受注や、受注に結びつかなくても口頭で褒めたり、担当者の上司にその評価を伝えてくれます。 お客さん、営業ともに満足できる「両者満足」の面談を実現するためにも、「訪問目的」を明確化し「面談の準備」に時間と労力をかける。それを簡単に実現する「面談準備シート」を活用する。「面談準備シート」を活用させる為に「納得感のある研修」を提供し、使い方を教え、実際に使ってその効果を確かめる。職場では研修内容をメンバー全員が理解し、共通言語となっている。上司の指導も研修内容に基づいている。 ところで、皆さんの会社では、研修室で納得感のある営業研修を提供していますか? 職場での共通言語化が図られていますか? 営業が職場で研修内容を忘れないようどんな工夫をしていますか?

投稿者:関根雅泰

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教育担当者向け 【成果につながる営業教育】

第八号 「研修内容を現場で実践させるには?(2)」

皆さん、こんにちは。関根です。 さて、「成果につながる営業教育」第八号のテーマは、 前号に続いて「研修内容を現場で実践させるには?(2)」です。 前号で研修内容を現場で実践させるには、「研修室」で納得感のある営業研修を提供すること、「職場」で研修内容を忘れさせないようにすること、「客先」で研修内容を使わせてみること、だということを確認してきました。 また、現場で研修内容が実践されない最大の理由は、研修内容が普段の仕事とリンクしていない為であるということを確認しました。そこで今回は、研修内容と日常業務を連動させる為にどうしたら良いかを見ていきます。 研修内容と日常業務を連動させるには、その会社の営業戦略、現場のシステムへの組み込み、現場のマネージャーによる指導が必要になります。 1.営業戦略 研修を研修として終わらせない為には、会社として「この研修で言っていることが出来れば、営業戦略実現につながる」という認識を持つことが重要になります。成果を出すためには、確かに営業活動の「量」と「質」の管理が必要である。それを実現する一番の近道が、今回の営業教育である、といった会社の理解、「営業戦略実現の手段としての研修」という位置づけにするのが、ベストです。 ただ、「そうは言っても、研修部門で出来ることは限られているし、全社的に巻き込んで研修をやるのは難しい」という方も多いでしょう。しかし、会社の戦略実現の手段としての教育という位置づけにしない限り、本当の意味での研修の定着化を図ることは難しいですし、中長期的な成果である会社の売上貢献という成果に結びつけるのは難しいです。 その為に私たち研修会社も、研修部門だけでなく、営業企画部や推進部の方と会うようにしています。また、会社によっては、直接経営トップと会って、営業教育に関してディスカッションをします。会社によって、と書いたのは、それが出来るのは、私の経験の範囲では「外資系企業」が多かったからです。日本の会社では、何故かトップに会うことが難しいです。本当の意味で社員教育に一番関心を持つべきなのは、経営者であるにも関わらず。 ある会社の例では、差別化が難しい製品を扱っていて、価格勝負に持ち込まれるといった課題がありました。そこで会社として「ソリューション営業」を実現しよう、付加価値サービスをつけて売っていこう、といった方針が打ち出されました。ただ、現場からは「ソリューション営業?良く聞くけど、具体的に何をやればいいの?現場はそんなかっこ良くいかないよ。もっと泥臭いんだよ。」といった反応が出ました。また「付加価値サービス」を取り違えて、お客さんへの無料奉仕といった形で更に忙しくなったというケースが出てきました。 そこで、その会社のトップから「ソリューション営業を実現できるよう営業教育を行え!」というかけ声の下、成果につながる営業教育がスタートしました。最初は現場を知るために営業担当者、マネージャー、お客さま数十名に対するインタビューから始まり、ソリューション営業(問題解決策を提案する営業)を実現させるために「営業の質を高める」研修、現場でマネージャーが研修内容に基づき指導できるよう「営業コーチング」研修、職場で活用できるよう「eメールでのフォローアップ」などといったお手伝いをしています。 また、ある会社では、競合他社に比べて少ない営業担当者でエリア内の販売店を担当しなければなりませんでした。ただ今までは営業の「カンとフィーリング」で訪問すべき販売店を決めていた。数字がそこそこあがっているから良いが、もっとシステマチックに訪問すべき販売店に力を注がせたい、といったトップの問題意識がありました。 そこで、訪問すべき販売店の見極め、訪問するための営業の時間・労力といった資源配分、いつ訪問すべきか販売推進策の策定、など、成果を出すための量の管理手法を研修で学び、現場で実践させる為のマネージャートレーニングを行う、というお手伝いをしています。 2.システム(仕組み) システム(仕組み)への組み込みという点では、営業が普段使用する会社内のシステムと研修内容がリンクしていることが重要です。ではどんなシステムを研修内容と連動させるべきか?まず営業が普段使用する社内のシステムの一つとして「帳票類」があります。 仕事を上手く回す為の仕組みの一つである帳票類。(特に現在は、これらの帳票類を社内LANで活用するグループウェアと呼ばれるコンピューターソフトが数多くあります。)その中でも、「営業日報」や「面談記録」など、営業に関する帳票類を、単に「どこそこへ行って何をして、交通費をいくらぐらい使ったか」などの管理ツールとして使うのではなく、研修内容を意識させ「面談の質の向上」を図るツールとして使用することが出来ます。 「質の高い面談」をするためには「訪問目的」を明確にし、その為の準備をすることが必要です。そして営業が実際に面談したら、その振り返りをすることが必要になります。つまりPDCAサイクルのCheckにあたる部分です。これをしないと、目的を持った訪問や、次回面談へのスムーズな流れができなくなります。 どんな準備をしたのか?(Plan)実際の面談の様子はどうだったのか?(Do)目的が達成されたのか?(Check)次に何をするのか?(Action)というPDCAサイクルを回すことが「質の高い面談」を実現するためには不可欠です。 もちろん、営業はこういう帳票類(特に「面談記録」)への記録や入力を嫌がります。「面談内容はメモにとってあるから大丈夫」「頭の中に入っているから十分」「これ以上仕事を増やすな」などといった具合に。 ただ、この「面談記録」は業務命令で「やれ!」と命じても良い程、やらせる必要があります。 何故かと言いますと、まず記録に残しておかないと、お客さんと会って自分が何を話したのか?何を聞き出したのか?忘れてしまうからです。記録に残しておかないと、面談がぶつ切りになり、問題解決に至る一連の流れ(営業活動のプロセス)がスムーズに進まなくなります。毎回会うたびに同じような話や世間話ばかりで、本題に入れない。お客さんも忙しい時間を割いてまで会う価値を感じなくなってきます。 また面談記録を書くことによって、自分の面談内容を冷静に振り替えることが出来、何故上手くいったのか?あるいは上手くいかなかったのか?を「考える」ことが出来ます。第五号でもご紹介しましたが、今の営業には「考える」ことが求められています。 社内の情報共有の観点からも、面談履歴が残っていると、仮に引き継ぎが発生しても、顧客情報がきちんと伝わります。今までは、担当者さえ分かっていれば良かったかもしれない顧客情報。今そしてこれからは、組織として顧客情報を管理し、売上に結びつけていく必要があります。その為にも、それぞれの顧客とどんな「情報のやりとり」をしたのかを、記録に残すことが重要です。 最後に、面談記録を分かりやすく書く訓練により、営業自身の能力向上につながります。面談記録を分かりやすく書ける営業は、お客さんにも分かりやすく説明できる営業です。 つまり、「面談記録」とは、上司への報告の為や、本社の管理ツールというよりも、営業担当者本人のため、「面談の質」を高めるためのものなのです。 この「面談記録」の中で使われる言葉を研修内容と同じものにすることにより、普段の業務と研修内容がつながってきます。例えば、今回の訪問目的は「問題合意」である。面談中はこんな情報が収集できた。次回面談は「解決提案」である、など。営業が普段入力しなければならない「面談記録」を研修内容とリンクさせることにより、研修内容を会社のシステム(仕組み)に組み込むことが出来ます。 研修内容とリンクした面談記録の例として「面談PDCAシート」があります。(詳細は添付資料をご覧下さい) その他の帳票類、例えば実際に訪問する顧客のリスト「訪問計画」なども、「量の管理」研修で学んだものを使用すると、研修が研修で終わらず、効果的です。研修で取り上げた「面談すべき顧客」のリストアップ、その優先順位付け、いつ訪問すべきかの計画などを実際の業務でも使用させるということです。 また、売上結果、見込み数字の入力も営業研修の内容と連動させます。「質の管理」研修で学んだ「営業プロセス」に基づき、「今この顧客との関係は問題の共有の段階である。次回提案の説明をし、何月頃これだけの数字が見込める」など。普段の営業活動で使う帳票類を営業研修とリンクさせ、会社のシステムの中に組み込んでいきます。 (研修とシステム、帳票類等の関連全体像は添付資料をご参照下さい) 3.営業マネージャー 現場の長である営業マネージャーによる指導に関しては、重要な部分ですので、次号以降の「営業マネージャーによる指導」で深く見ていきます。今まで色々な会社で営業研修を企画、担当してきましたが、研修内容の定着化、そして成果につながる営業教育の鍵を握るのは、営業マネージャーだと思います。 以上、研修内容を日常業務と連動させるには、研修が営業戦略実現の為の手段であるという位置づけと、営業が普段使用する会社内の仕組みに研修内容が反映されていること。そしてそれらをまとめる営業マネージャーによる指導が重要である、ということです。 ところで、皆さんの会社では、営業研修が営業戦略実現の為の手段として行われていますか?単に研修の為の研修に終わってはいませんか? 研修内容と日常業務がリンクしていますか?

投稿者:関根雅泰

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教育担当者向け 【成果につながる営業教育】

第九号 「営業マネージャーによる指導(1)」

皆さん、こんにちは。関根です。 さて、「成果につながる営業教育」第九号のテーマは、「営業マネージャーによる指導」です。 前号まで、研修内容を現場で実践させるにはどうしたら良いかを確認してきました。研修内容の定着化において鍵を握るのは、現場の長である「営業マネージャー」であることに触れました。これから、成果につながる営業教育におけるマネージャーの役割を「質の管理」「量の管理」の観点から見ていきます。まず今回は「質の管理」からです。 営業マネージャーが「質の管理」ですべきことは、部下である営業担当者が客先で「質の高い面談」をしているのかを見ることです。「質の高い面談」をするために必要なことは、営業スキル研修で伝えている訳ですから、いわば研修で学んだこと「やるべき事をやっているのか?」を管理するのが「質の管理」です。 では、「やるべき事をやっているのか?」を把握し、部下を指導、育成するためには、何が必要なのか?まず営業マネージャー自身「何がやるべきことなのか」を整理する必要があります。その為に営業担当者と同じように、営業活動をプロセスに分けて考え、それぞれの段階での面談目的やお客さんに対して「何をすれば良いのか」を理解することが大切です。 営業担当者と同じ言葉、共通言語を使い、お客さんとの現在位置を確認し、その対策を指導する。「今あのお客さんとの関係は信頼構築だな。じゃーどんな準備をする?」といった具合に。営業にとっても分かりやすく、マネージャーにとっても指導しやすくなります。営業研修の共通言語化(少なくとも担当者とその上司間)は、効率的・効果的な指導の為に必要です。 とは言っても、営業マネージャーは忙しいです。自分自身担当顧客を持っているプレイングマネージャーであったり、以前はいたスタッフ課長クラスがおらず一人で面倒を見る部下の数が多い、といったケースも多くあります。 ではそんな忙しい営業マネージャーが効率的・効果的に部下指導を行う為にはどうすれば良いのか?その為に、まず営業マネージャーがどんな場面で指導できるのか、を整理してみます。 現場の営業マネージャーに「仕事で部下と接するのはどんな場面ですか?」とインタビューをすると、大概次の3つがあがります。 1)部下に指示をする時、部下から報告を受ける時 2)同行訪問をする時 3)会議をする時 この3つの場面を有効に使うことで、効率的・効果的な部下指導が出来るのではないでしょうか。例えば、報告を受ける際に、営業プロセスに基づき訪問目的が達成できたかを確認する。「今日の面談は問題合意だったよね。できた?」「出来なかった?何故?」など。部下に「何故?」を考えさせ、成長を促す「コーチング」の考え方に基づき部下を指導する。身近な報告場面を部下指導の機会として活用する。 同行訪問をする際も「思いつき」や「決め」の為の同行だけでなく、「教育」の機会として活用する。お客さんと接する部下の現状はどの程度のレベルなのか。面談前の準備はしっかり出来ているのか?準備したことを活かす面談はできているのか? 同行訪問時に営業マネージャーが模範を示し、部下にどこが良かったのか?何故良かったのか?を考えさせる。部下と長時間接する同行訪問を有効な教育の機会として活用する。 会議中も教育の機会として活用する。売れている人間は発言するが、売れてない営業は何か言われないよう縮こまっている。他の営業がつめられているのを見て「あー良かった。今回は俺じゃないや」と安心する。「今月あといくらやるんだ?」とつめるだけでなく、営業同士の情報共有の場として会議を活用する。 ターゲット顧客との進捗状況はどうなっているのか?営業プロセスのどの段階にいるのか?次のプロセスに行けないとすれば何故なのか?どうすれば良いのか?営業同士が知恵を出し合って、情報を共有する。営業同士、他の営業にアドバイスすることによって、成長する。マネージャーも担当者の発言からその営業の成長の度合いを知る。だらだらした数字の羅列だけの営業会議でなく、情報共有の場として会議を活用する。 忙しい営業マネージャーが効率的・効果的に部下指導を出来るよう、場面を絞ることが有効です。本社への報告業務や客先へのクレーム対応など忙しい営業マネージャーに「あれやれ、これやれ」と言っても出来ませんので、逆に「この3つの場面だけで良いから部下指導をして下さい」とすると、マネージャーも実践しやすくなります。 「いつ、どのように部下指導をすればよいか」を明確にすることによって、マネージャーによる部下指導の平準化が図れます。 「質の管理」を行う為に、営業マネージャーが、部下と顧客がプロセスのどの段階にいるのか、現在位置を把握し、それに合った対策を打つ。営業が客先で「やるべきことをやっているのか?」を把握し、指導するために、報告時、同行時、会議時を活かす。 ところで、皆さんの会社では営業マネージャーが「質の管理」をしっかりしていますか? 部下と接する場面を有効な部下指導の機会として活用していますか? 部下の成長を支援するような指導(コーチング)が出来ていますか?

投稿者:関根雅泰

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教育担当者向け 【成果につながる営業教育】

第十号 「営業マネージャーによる指導(2)」

皆さん、こんにちは。関根です。 さて、「成果につながる営業教育」第十号のテーマは前号に続いて「営業マネージャーによる指導(2)」です。 前号で、営業マネージャーには、営業の「質」と「量」を管理する必要がある。「質の管理」とは営業担当者が「質の高い面談」を実現するために「やるべきことをやっているのか?」を見ることであるということを確認しました。 また、忙しいマネージャーが効率的・効果的に部下指導を行えるよう、報告時、同行時、会議時を教育の機会として活かすべき、ということを確認しました。今回は「量の管理」について見ていきます。 「量の管理」とは創刊号、第二号でも見てきましたが、「面談すべき顧客」と面談する件数を管理することです。「行くべき先に行っているのか?」を見ることです。そこで、営業マネージャーによる「量の管理」には2つの検証が求められます。 1.「面談すべき顧客」への訪問計画の検証 基本的に、部下である営業担当者が、自分自身の「訪問計画」をたてます。自分の担当エリア、業界などから、「面談すべき顧客」をリストアップし、いつ頃何回ぐらい訪問するのか、訪問件数の配分をします。(詳細は添付資料をご参照下さい) 部下が立てた「訪問計画」から、マネージャーは2つのことを見ていきます。「面談すべき顧客」の見極めが正しいのか?訪問回数はそれで正しいのか? 「面談すべき顧客」の見極めについては、その会社の営業戦略、営業マネージャー自身の戦略、そして営業担当者の判断基準がそろっている必要があります。「量の管理」の研修を通して、見極めの基準を統一し、「面談すべき顧客」のリストアップをします。 「面談すべき顧客」のリストアップが出来たのなら、次はその優先順位付けです。優先順位が高い顧客に対しては、営業の訪問回数は多いはずです。月何回の訪問、半年で何回の訪問等、「面談すべき顧客」と定期的、継続的に面談し、商談が発生するようにする、または商談が出たときに土俵に乗れるようにしておく。 ただ、ここでマネージャーが気をつけなければならないのは、営業は「行きやすい所に訪問する」ということです。優先順位が高くて、本当は訪問回数を多くしなければならないのに、新規先で怖いから訪問回数を少なくしたり、あるいはなじみの客で訪問しやすいから、訪問回数を多めに設定したりするケースが見られます。 そこでマネージャーの方で、訪問「計画」の時点で、「本当にここは行くべき先なのか?」を検証します。 2.「面談すべき顧客」との訪問結果の検証 「訪問計画」に基づく営業活動が動き出したのならば、次にマネージャーがすべきことは「訪問結果の検証」です。「面談すべき顧客」と会っているのか?面談内容については「質の管理」で行いますので、単純に「行くべき先に行っているのか?」を見ます。これは「行ったなら行った」「行かないなら行かない」と事実を基に指導が出来ますので、指導しやすい部分です。ただ、指導しやすい分、あまり数字にこだわると、「何だよ、こっちの事情も知らないで、行けないのには理由があるんだよ。」と営業は否定的に受け取る傾向があります。 そこで、「面談すべき顧客」と会えない、行くべき先に行けていないとすれば「何故」なのか?どうすれば行けるようになるのか?原因を明確にすることと、その対策を考えることの方が、部下を成長させるという観点では当然有効です。「行くべき先に行けない」原因はいくつか考えられますが、営業担当者自身の苦手意識、相手の警戒心を解けない(つまり信頼構築が出来ない)、継続的に訪問するネタが無い、などがあります。それぞれの原因が分かれば、対策を打つことが出来ます。 訪問「結果」から、「行くべき先に行けたのか?行けないとすれば何故か?どうしたら良いのか?」という部下指導の切り口が得られます。 以上、「量の管理」を通した部下指導では、「計画」段階で部下の判断は間違っていないのか?を検証し、「結果」の段階で部下の行動を事実をベースに検証します。 ところで、皆さんの会社では、「面談すべき顧客」の判断基準が明確にありますか?検証の機会はありますか?

投稿者:関根雅泰

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教育担当者向け 【成果につながる営業教育】

最終号「何をもって成果とするのか?」

「何をもって成果とするのか?」 皆さん、こんにちは。関根です。 さて、「成果につながる営業教育」もいよいよ今号で最後となります。最終号のテーマは「何をもって成果とするのか?」です。 私たちはこの半年間「成果につながる営業教育」とは何で、具体的に何をすれば良いのかを見てきました。ただ、ここで一つの疑問が出てきます。「成果につながる営業教育」とは何をもって成果とするのか?営業教育をして結局何が得られるのか? これがはっきりしないために、研修教育という分野では「効果測定」という言葉が良く出てきます。「この研修をやった効果は?どうやって成果を測るのか?」私たちがこの半年間見てきましたように、単発の研修で成果を出すことは難しいです。よって研修効果を測ることも難しいですし、測れたとしても少しの成果しか示せないでしょう。 「成果につながる営業教育」では、その会社の営業戦略実現の手段としての研修という位置づけにする。「質」(営業スキル)だけでなく、「量」(マーケティング・訪問回数)も見ていく。研修の定着化を図るために、営業マネージャーと担当者が同じ研修内容を理解する共通言語化が必要。営業マネージャーによる指導も「質」と「量」を管理し、部下指導を研修内容に基づき行う。 ここまでやらないと、営業教育は成果につながりません。では、ここまでやった結果、どんな成果が期待できるのか?最終的に営業、マネージャー、会社として何ができるようになるのか?「成果につながる営業教育」によって、皆さんが「何を得ることが出来るのか」を見ていきます。 得られることは大きく3つあります。 1.営業担当者の売上数字があがる。 「量」と「質」の管理により、「面談すべき顧客」と「質の高い面談」をする。「質の高い面談」件数が増えれば、商談につながる件数も増える。商談において的確な提案をすれば、受注する件数も増える。 これら「商談率」「受注率」が高まれば、売上数字もあがります。今までは「行きやすい所」に訪問していた営業。話が出ればラッキー。出なくても行きやすいので訪問する。そんなレベルであったとしても「量」と「質」の管理により、受注の可能性が高い所に訪問し、質の高い面談をすれば、受注の確立が高まり、売上があがります。 「本当かな。こんなに上手くいくかなー。」という方もいるかもしれません。ただ、私は断言します。「量」と「質」の管理をすれば、売上数字はあがります。 私の経験の範囲で恐縮ですが、一社目の教材販売では、組織的にこれに取り組んで成果を出していました。(ただ、営業は仕組みの中の駒でしかなかったので、私には耐えられなかったのですが。)前職の研修会社でも、研修という「目に見えない商品」を社内で2番目に売っていたのですが、それも「量」と「質」の管理のおかげです。また、講師として様々な業界を見ても「量」と「質」の管理が出来ている営業担当者は、数字があがっています。 2.営業マネージャーによる指導の平準化が出来る。 「量」と「質」の管理の良いところは、営業マネジメントにおいて「何を、どのように見れば良いか?」が明確になるという所です。「量の管理」においては、「訪問計画と結果」を見れば良い。「質の管理」では、「プロセス」で面談の質を見る。といった具合に、営業マネージャーが部下指導をする際に、どこを見れば良いのかが明らかになります。 その結果、今までは自分の経験に照らし合わせてしか指導できなかったマネージャー、あるいはこの変化の時代に何をすれば良いのか、道が見えなかったマネージャー。そんなマネージャーに「成果を出すためには、これをすれば良いんだよ」と明確に示すことが出来ます。マネージャー自身が試行錯誤を繰り返しながら、成果を出そうとする。そこにかかっていた時間と労力を減らすことができます。 また、配属先のマネージャーによって、本来伸びるハズであった若手などがつぶされてしまう。将来の有望な人材の可能性をつみ取ってしまい、会社に見えない損害を与える。そのような今まで見えなかったコスト削減にもつながります。 3.会社として情報共有が出来る。 「成果につながる営業教育」の会社にとってのメリットは、今まで「KKD」(カン、経験、度胸)や「暗黒大陸」(何をやっているのかよく分からない)と言われてきた営業活動を「目に見える」ようにするということです。 今まで、どこをどういう基準で訪問しているのかもよく分からない。外で何をやっているのかも見えない。とりあえず客先を訪問していたら営業として仕事をしているように見えた営業。そんな営業に「何が成果に結びつく活動なのか」を明確に示す。成果に結びつく活動以外は、無駄であるという観点からコスト管理も出来るようになります。 第五号「営業スキル研修を選ぶ際のポイント」で確認しましたが、「成果につながる営業教育」では、集合研修で営業の経験を整理し、情報を共有します。これはいわば営業担当者個人の中に埋もれているノウハウを形あるものとし、会社の財産として共有を図ることだと言えます。 つまり「成果につながる営業教育」とは、「研修」というよりも「ナレッジマネジメント」の取り組みであるということです。 以上、「成果につながる営業教育」の成果とは、担当者の売上があがる、マネージャーによる指導の平準化が出来る、そして会社としてナレッジマネジメントが実現する、ということです。 ところで、皆さんの会社では、研修によって何が得られるのかを明確にしていますか? 研修をナレッジマネジメントの取り組みとして見ていますか? 成果につながる営業教育、一緒に取り組んでいきませんか?

投稿者:関根雅泰

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教育担当者向け 【成果につながる営業教育】

最後まで読んで頂きありがとうございました!

最後まで、読んでいただきありがとうございました。 この記事が、皆さんの研修企画や営業活動というお仕事に少しでも役に立てば幸いです。 営業や教育は、とてもやりがいのある仕事です。 お互い、がんばっていきましょう! 何か分からない点、聞きたい点等ございましたら、遠慮なくご質問ください。 http://www.formzu.net/fgen.ex?ID=P59765718 このたびは本当にありがとうございました。 このご縁を大切に、今後ともよろしくお願いします! 株式会社ラーンウェル 代表取締役   参加型セミナーコンサルタント 関根雅泰

投稿者:関根雅泰

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