皆さん、こんにちは。関根です。
さて、「成果につながる営業教育」第二号のテーマは
「量の管理とは?」です。
前回の創刊号で成果につながる営業教育とは、「営業活動の量と質の管理」を実践させることである、ということをお伝えしました。今回は量の管理とは何で、何故必要か、について考えていきます。
まず、皆さんにいくつかの質問です。
・皆さんの会社の営業は自分が担当している顧客の数
(何社何部門であるとか、販売店は全部で何店であるとか)をすぐ言えますか?
・営業が1日何件ぐらい面談しているか分かりますか?
その内、実のある面談は何件くらいですか?
・1ヶ月に何件くらい提案書を出していますか?受注率はどのくらいですか?
答えられなくても大丈夫です。たいていの会社の方は答えられません。
量の管理には、その前提となる考え方があります。
1)こちらから訪問しないと、受注にはつながらない。
(待っていてもお客さんは来ない。訪問していないと忘れられて、他社にとられる。
ニーズが潜在化しているため、営業が働きかけないとニーズが顕在化しない、など。)
2)訪問にはその目的に応じた「訪問の種類」がある。
(顧客と信頼関係を築く為の面談、相手のニーズを探る面談、提案書を提出し具体的な商談に入る面談など。)
3)一定数の質の高い面談をしていれば、一定数の商談が生まれ、一定数の受注に結びつく。
(前の月に20件良い面談をすれば、今月4件の商談が出来、来月は2件の受注が見える、など。)
4)営業担当者の時間と労力は、それらを注ぐべき「面談すべき顧客」にのみ使う。
(交通費や人件費などコストがかかる人的販売力である営業担当者の時間と労力は、それに見合う相手にしか使わないようにする。電話、メール、ファックスですむ相手、訪問する価値がない顧客には訪問しない、など顧客の見極めを行う)
これらは特に法人営業、生産財営業、代理店・販売店営業に当てはまります。訪問していないと商談が出てこないタイプの営業です。彼ら営業の失敗事例を聞くと、こんなのがあります。例えば・・・
・仕事が忙しくなって、しばらく行ってなかった客先で
「あ、関根さん、最近全然来ないから、社長、A社に決めちゃったみたいだよ。」
・事務処理や雑務、提案書作成に追われ、肝心の訪問が出来ない。
・行かなくちゃと思いながらも行きづらい先がある。苦手な客のいる会社、以前クレームが あった先、新規開拓先など。
・新規開拓は重要だと思っていながらも、既存取引先の方が行きやすいし、新規先で断られるのが嫌だから、なかなか開拓できない。
・一社で大きな案件が出てくると、そこにかかりきりで、他社に訪問できず、次のタネがまけず、結局目標が達成できずに終わる。
などなど、量の管理が出来ていなかったが為に失敗したケースが数多くあります。
量の管理では大きく3つのことをします。
1.面談すべき顧客を見極める。
ここは正直一番難しい部分です。研修という形ですと、今までやってこなかった部分です。 私たち研修会社の顧客である大手企業のほとんどの人事部や営業研修部は、「これはマーケティング部や営業企画部と相談しないと・・・」「これをうちでやるのはちょっと・・・」など、弱腰になり、必要とは思いながらも実施しない。また、実施したとしても、いわゆるマーケティング研修で机上の空論を学ばせる程度で、本当の意味での現場の問題解決につながっていないケースが良く見られます。
難しさの要因として、見極めの基準の不明確さ、見極めることへの不安などがあります。何を基準に見極めるのか?見極めがまちがっていたらどうするのか?本当に一部の顧客を切り捨ててしまって良いのか?など、その会社の営業戦略と密接につながる部分ですので、研修企画の方がひるんでしまうようです。
逆に、量の管理に取り組み始めた企業では、研修部門と営業部門が密接に連携をとり、営業戦略実現の手段として、研修を利用しています。お勉強の為の研修ではなく、成果に直結する研修として。
2.営業担当者が自身の資源配分をする。
面談すべき顧客を見極めたら、そこに営業担当者自身が持つ資源である「時間と労力」を注ぎます。面談すべき顧客に訪問し、質の高い面談で受注につなげる。その為にはまず、営業担当者は「どのくらい訪問できるのか?」という、営業担当者自身が現状もっている資源(現有資源)を把握する必要があります。
営業はなんやかやと色々忙しくしています。客先訪問、電話対応、資料作成など。では実際に営業自身がどんな活動をしていて、どのくらい「面談すべき顧客」に訪問できるのか、その現有資源を整理してみると、以外に少ないことが分かります。その少ない現有資源、訪問件数をどのように配分するのか、ここで営業の戦略的思考が試されます。
通常の営業は短期的視野で、今日の売上、今月の売上、くらいしか考えていません。そこで、戦略的に来月、半年後、一年後の為に、今月どこを訪問すべきなのか、営業自身が考え、訪問件数の配分をします。
また、忙しさという観点では、売れている人もそうでない人もそれなりに忙しそうにしています。ただ、同じ忙しさの中でも、売れていて優秀な営業担当は「成果に結びつく活動」で忙しくしています。例えば面談すべき顧客との面談準備などで。それに対して売れてなくて優秀でない営業担当は、あまり成果とは関係ない仕事、なじみだけど売上の低い客先への訪問、手際の悪い事務処理などで忙しそうにしています。
3.営業担当者と営業マネージャーが、結果を検証する。
行くべき先に行っているのか?面談すべき顧客と面談しているのか?出来ていないとすれば何故か?どうしたら面談できるようになるのか?を営業担当者自身そして営業マネージャーが検証する必要があります。この検証については、今後のメルマガの中で説明します。
量の管理のポイントは、何が成果につながる活動なのかを見極め、そこに営業担当者の時間と労力を注がせることにあります。無駄な活動はせず、成果に結びつく活動に集中させる、ということです。
以上の3つが、量の管理ですることです。
ところで、皆さんの会社では、「量の管理」を意識的にしていますか?
何が「成果に結びつく活動」なのかを把握していますか?
営業の時間と労力を「成果に結びつく活動」に集中させていますか?
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