セミナー講師をするからには、参加者全員に満足してもらいたい、と思うのは
当然のことです。
ただ、セミナーによっては、参加者のレベル、目的意識、セミナーへの期待
がバラバラなときもあります。
初心者には満足できても、経験者には満足してもらえない。
経験者に満足してもらおうとすると、初心者には分からなくなる。
参加者全員に満足してもらうには、どうしたらよいのか?
今回は、「参加型・対話型」セミナーの手法により、いかに参加者に満足してもらうのか、
という点について考えていきます。
○参加者の問題解決を第一に
「参加型・対話型」セミナーの基本的な考え方は、「参加者の問題解決」です。
そもそも、セミナーとは何のために行われるのか?
講師が持っている情報を伝えるためではありません。
参加者が解決したい「問題」を抱えていて、その問題に対する「解決策」として
セミナーが行われるのです。
ですから、私達講師も参加者の問題解決につながるように、セミナーを組み立てます。
当然、参加者も、自分達が抱える問題が解決されれば満足します。
では、参加者の問題解決につながるセミナーを行うためには、
どうしたらよいのでしょうか?
まず、そもそも参加者が抱える「問題」とは何なのか?
一般的に、「問題」とは、「現状(現在の状況)」と「目標(望んでいる状況)」の差である、
と定義されます。
ですから、参加者の問題を把握するためには、
●参加者の現状(現在の状況)
●参加者の目標(望んでいる状況)
を把握すればよいということになります。
そのためにどうしたらよいのか?
いくつかのやり方があります。
・事前インタビュー
(セミナー企画者や、セミナー参加者から事前に話を聞いておきます。)
・事前課題
(現在の課題、困っている点、セミナーに期待すること等を、事前に提出してもらいます。)
・セミナー時の発表
(自己紹介時に、セミナーに参加した目的、セミナーへの期待、等を発表してもらいます。)
基本的に、事前に参加者のことが分かっていれば、それに合ったセミナーを
企画することが出来ます。
「参加型・対話型」セミナーの第一歩は、参加者を理解することです。
それが、参加者の問題解決につながり、ひいては、参加者の満足感につながってきます。
○「できること・できないこと」の明確化
参加者が不満に感じるのは、セミナーが自分の「期待」に応えられなかったときです。
「こういう点が学べると思ってきたのに、学べなかった。」
「こういう情報を期待していたのに。」
「自分が知っている話ばかりだった。」など。
つまり、参加者が「セミナーに何を期待しているのか」が分かれば、対策も打てます。
「セミナーへの期待」は、前述したとおり、事前課題や当日発表で把握することが出来ます。
ここで、重要になってくるのが、把握した「セミナーへの期待」に対して、
今回のセミナーがどの程度まで期待に応えられるのかを、参加者に伝えるということです。
これを伝えないと、全ての期待を満たせると考えてしまう参加者が出てきてしまいます。
つまり、今回のセミナーで「できること・できないこと」を明確に伝えるということです。
例えば、
「皆さんが、今回のセミナーに期待しているのは、〓と、〓と、〓ですね。」
「このうち、〓と、〓については、今回のセミナーで何らかのヒントが得られると思います。」
「ただ、〓については、今回のセミナーではカバーしていない分野なので、必要があれば、
後ほど個別にお答えさせて頂きます。」
このように、セミナーで「できること・できないこと」を伝えておくことで、
ヘンな期待感をもったままセミナーに参加し、それが満たされない、ということも起こりません。
「裏切られた!」といった不満感、不信感をもたれずにすみます。
参加者の期待感に、どの程度まで応えられるのかを、
事前に明確にしておくことが、セミナー後の参加者の満足感につながってきます。
○ふり返りの重要性
情報提供型セミナーの場合、「これでもか」というぐらいに情報を提供します。
そうしないと、参加者に満足してもらえない、という講師側の不安感もあるからです。
ただ、そうすると参加者は「情報過多」の状態のまま、セミナー会場を出て、
結局なにを学んだのかあいまいなまま、終わってしまうケースもあります。
それに対して「参加型・対話型」セミナーの場合、
一旦たちどまって、情報を整理する時間をとります。
参加者自身が、セミナー内容をふり返り、
「自分が何を学んだのか? 何を得たのか?」を自問する。
この作業によって、学習効果が高まり、セミナー内容が自分のものとして
落とし込まれていきます。
セミナーで「学んだこと・気づいたこと」は何だったのか?
この「ふり返り」を、セミナーの一番最後に行うのが、
参加者の満足度を高めるために、効果的です。
なぜなら、人は自分のとった行動、この場合はセミナー受講が、無駄であったとは
考えたくないので、この最後のふり返りでは、セミナーに対する肯定的な意見が多く出てきます。
「こんなことが学べた。あんなことも学べた。」
「こんなことに気づいた。あんなことにも気づいた。」
など、参加者自身が、セミナー内容をふり返り、セミナーのよかった点をあげていってくれます。
しかも、これらの内容を、他の参加者と共有すると、更に効果が高まります。
他の参加者も、自分と同じように満足していることを知ると、自分の考えが
更に強化されるからです。
以上のように、参加者の満足度を高めるためには、
1.「参加者の問題解決」につながるセミナーを行う。
2.セミナーで「できること・できないこと」を伝える。
3.セミナー後に「ふり返り」を行う。
という3つが重要であるという点をお話しました。
少しでも皆さんのご参考になれば幸いです。
これからも参加者の為になるセミナーを実施し、
参加者の「問題解決」を支援していきましょう!
コメントフォーム