07年6月25日(月)に、日経ビジネススクールさんで、
人事・教育担当者向け情報共有セミナー
「モチベーションの低下を防ぐ!新入社員教育の取り組み
~春の新人研修のふり返りと今後のフォローアップ」
http://www.nikkei-nbs.com/nbs/shinjin/index.html
を実施させて頂きました。
今回で4回目となる情報共有セミナー
おかげさまで満員御礼での開催となりました。
セミナーの様子を、差しさわりの無い範囲でご紹介します。
まず参加者の皆さんが、今回のセミナーに期待されていたのは、
次のようなことでした。
●セミナーへの期待
・現在当社で実施している新人研修の妥当性を確認する
不足があれば、その知識・ノウハウを得ること。
・早期退職防止のための職場配属後のフォローについて。
・モチベーション維持のポイント
・受身型社員にさせないためにどうしたらよいのか
・パンフレットに紹介されていた「モチベーションの低下を防ぐ」という部分に
興味を持った。
・飽きっぽい新入社員への効果的な研修方法
(例:講義型の内容をどうやって参加型へ導入できるか)
・現スタイルでの新入社員研修で3年経過したが、今年度は
受講者の理解不足が感じられた。本セミナーを来年度への反映の参考としたい。
・社で現在行っている新入職員フォローについて変革を行う際のヒントとしたい。
・新入社員が1~2年経過した際に陥りやすい仕事上のジレンマとは何か。
そこを上手くリードする研修orコーチングにはどのようなものがあるのか。
・希望の業務につけなかった新人へのフォローの仕方
・受身ではなく能動的に学ばせるためには?
・今の新卒社員が教育に期待していることは何かを知る。
・他の企業が行っている新入社員教育の成功事例。
・配属後の新入社員モチベーションアップのヒント
・2年目、3年目社員教育の効果的な進め方、事例など。
・他社ではモチベーションを維持させるのに、どんな取り組みを行っているのか?
それによってどのような結果が得られているのか?
・同じ人材育成に携わる人との人脈作り
・上司(リーダー)にいかに新人(部下)の人生そのものに関心をもたせるか。
・参加者(新卒)の個人差をいかにフォローするか
いかに「理想と現実のギャップ」を埋め、リテインするか、
集中管理のできにくいOJTの効果を担保するにはどうしたらよいか。
・現在実施しているOJT、10月の集合研修、面談の中では
補いきれない部分があると感じているので。
・今年から新入社員研修を受け持つことになったので、
内定者時の研修から入社時、配属後のフォローアップまでの一連の流れを
どのようにすると効果的であるかのイメージを持ち帰りたいと思います。
セミナーは、参加型で各社の取り組み事例を共有するような形で進行しました。
●07年の導入教育(4月の新人研修)で工夫したこと
・(旅行業界)空港やホテルなどの見学をする前に、Eラーニングで
見学のポイント等を学習させた。
・毎日日報を書かせた。気づきや疑問点を書かせ、その日のうちに回収。
翌日にフィードバックした。新人一人一人とのコミュニケーションを大切にした。
・グループで店舗調査をさせた。座学講義から体験型へ変えた。
・工場に仮配属させ、専任のOJT担当をつけた。
現場で先輩が実践している問題解決技法を学ばせた。
・導入教育期間前半では講義、後半では講義内容を基に
「会社パンフの作成」という課題を与えた。
・中長期的に「考える力」「人と協力する力」をつけるために、
「新ビジネス提案」という課題を与えた。
・参加型の研修にした
・レポートを提出させた
・ロジカルシンキングを学習させ、現場で使わせてみた。
・導入教育の期間は短くし、その分、3ヶ月、5ヶ月後にフォローアップをする。
・アサーションの研修を実施 など
●07年の導入教育(4月の新人研修)で苦労したこと
・危険感受性の高め方
・新人の人数が増えた 講師の人数は変わらない カリキュラム調整が大変
・メリハリ (研修と休憩中)
・社会人としての意識付け
・チームに溶け込めない新人の扱い
・本社では総論的な研修にならざるを得ない
・現場とのギャップ
・日報へのコメントが大変
・学生から社会人へ どこまで教えるべきか(漢字や諺)
・話をうわべだけで聞いている
・OJTインストラクターの指導方法
・現場が忙しく面倒が見られない
・教育担当自身が忙しく時間を作ることが大変
07年導入教育での工夫と苦労を踏まえて、
来年(08年)に向けてどうしたらよいのかを考えてもらいました。
●来年(08年)に向けて
・入社時の様子と配属後の様子を、ビデオ撮影し「顔つきの違い」を示す
・教える側も成長させるような仕掛け作りをしたい
・OJTの充実
・事前学習に力を入れる
・講義の前に、質問を考えさせる
・導入教育と現場教育のギャップを薄めるために、
まず本社で教育し、仮配属する。
仮配属中の様子を、新入社員から本社にフィードバックさせる。
(本社でも現場の様子が分かる)
そのあと、本配属する。
つまり、本社教育直後に本配属ではなく、間に仮配属を挟む。
・会社として新人の育成にもっと関心が向くようにしたい
(社員の関心が薄い)など
次に、新入社員の現場配属後の状況について話し合ってもらいました。
●現場配属後、新入社員のモチベーションが下がる要因とは?
・理想と現実(仕事内容、認められない、報酬)
・人間関係
・上司の力量不足
・モチベーションの低い先輩の存在
・周りが楽しそうに働いていない
・周囲が細かく面倒を見られない
・OJTの徹底ができていない
・目標とすべき先輩がいない
・キャリアプランが見えない
・質問できない環境にある
・相談しても根性論で返される
・成長感を感じられない
・好きな仕事だけできない
・現実とのギャップ
弊社からは、
新入社員のモチベーションが下がるのは、
・有意義感
・達成感
・自己重要感
が満たされていないから。
という考えをご紹介しました。
現場配属後、新入社員のモチベーション(意欲)は下がります。
なぜなら「自分の思うようにならない」ということを実感するからです。
・希望の業務、配属地と違う
・職場の上司、先輩も懇切丁寧には教えてくれない
・自分のことをかまってくれない
・仕事も上手くいかない
・何をしたらよいのか分からない ・・・
仕事がおもしろくなってくるのは、
ある程度仕事が「できる」ようになってからです。
「仕事が出来ない、よく分からない」という状況を
楽しめる新人は、あまりいないものです。
つまり、新入社員のモチベーションが下がるのは
ある意味、当然なのです。
(この考え方を補足するために、
P.Schempp教授の「The Five Steps to Becoming Expert」と
G.Land教授の「Grow or Die」成長曲線という考え方をご紹介しました)
「新入社員のモチベーションを下げない」
というよりも、
「新入社員のモチベーションは下がるもの」
という前提で考える。
下がったモチベーションを「下がりっぱなし」にしないための、
そして、下がったモチベーションを高めるための
「フォローアップ」が必要ではないか。
という弊社の考えをご紹介しました。
その上で、各社でどんなフォローアップを行っているのかを
情報共有しました。
●フォローアップの事例
・成功、失敗体験の共有
・現場での成果を、役員の前でプレゼンする
・キャリアプランを考えさせる研修を行う
・ガス抜き
・元気づけ
・導入研修で学んだ問題解決手法の再確認(現場での経験を踏まえて)
・入社時の目標、夢の確認
・不平不満、毒を出させる
・4月に立てた目標の達成状況を確認する
・EQのアセスメントを行い、結果をフィードバックする
・全社的ビジョン、経営理念の確認
・理想的な先輩像を洗い出し、自身のキャリアプランに結びつける など
フォローアップ研修は有効です。
なぜなら
・「学ぶ意欲」が高まっている
・「現場の状況」が分かってきている
・「ガス抜き」ができる からです。
新入社員は「仕事ができない」「どうしたらいいのか」等
様々な問題意識を抱えています。
つまり学習意欲が高まっているのです。
また、入社直後の導入教育時と違い、現場の様子も分かってきています。
ですから研修で伝えられる内容にも実感が伴ってきます。
さらに同期が集まることで、職場ではいえない悩みを吐き出すこともできます。
それによって溜まっていたネガティブな気持ちを外に出し
新しい気持ちで仕事に取り組み意欲も高まります。
現場配属数ヶ月してからのフォローアップ研修は、
学習意欲・内容理解・モチベーション向上
という観点からも非常に効果的なのです。
「本人が困っている」
つまり「吸収力が高く、学ぶのに最も適した時」を逃してしまうのは
もったいないことです。
ここで、弊社がお手伝いしてきた
フォローアップ研修の事例をいくつか紹介しました。
1)ビジネスマナーの再確認とプレゼンテーションの練習
2)内定者教育との連動(内定者からの質問に新入社員が答える)
3)おもちゃを使って仕事の意義を理解
4)体験ゲームで、コミュニケーションとPDCAを再確認
これらの事例については、もう少し話を聞きたかったという方も
多かったです。
また改めてご紹介する時間を作りたいと思っています。
最後に、参加された皆さんの声をご紹介します。
●セミナーに参加して、学んだこと・気づいたこと
・他社の事例により、自社の抱えている問題が自社だけのものではない
ということに気づき、少し安心したとともに、本日のようなセミナーにて
他社担当者様と情報共有していく必要があると感じました。
・外からは「できない」感で落ち込んでいるように見える新人が、
「学びたい」という意欲を強くもっているということ。
フォローアップの方が、導入よりも実は大事かも、と感じました。
・導入研修時の新入社員=できないことに気づいていない
フォローアップ時の新入社員=できないことに気づいている
という視点がとても参考になった。
「できないことに気づいている」のは成長したということ、
今が成長のチャンスというメッセージを送って、気持ちを
前向きにさせるような研修にしたいと感じた。
・OJT指導員へのトレーニングの重要性
・他社も同じような悩みを抱えていると思った。
・フォローアップ研修の大切さ、有効性
・新入社員のモチベーションを下げないためにどのようにすればよいかと
考えていたが、そうではなく「モチベーションは下がるもの」として
いかにフォローアップするかが大切なんだということに気づかされた。
・現場にあるよい事例を教育題材として取り込んでいくということを
もう少しシステマチックにやりうるのではないかということ。
・教え上手 3つのキーワードのうち2つが「相手理解」「信頼構築」という
知識ノウハウとは直結しないものであることを改めて認識、そして
それをOJT関係者に伝える重要性
・タイムリーな企画で、フォロー研修のコンテンツに示唆を頂いた。
特に落ち込むことを前提というのは、これまでの経験上からも正しいと思えた。
・他社の研修担当者と情報共有することで、当社の研修を工夫する切り口が
与えられました。先輩社員とのフリーディスカッション、フォローアップ研修での
内定者との接触など、小さくてもできることから着手していきたいと思いました。
・やれそうなことがたくさん出てきた。
従来行っているものに、一工夫も二工夫もできることが見つかった。
・モチベーション低下のメカニズムが分かった。
・半日、新入社員一人一人のことが頭をよぎって考えられました。
次回のフォローアップ研修に役立てます。
・先輩社員へのOffJTを導入していけたらと思います。
(興味をもってもらうために)
先輩と新人の場の共有を提供してみたい。
・具体的な事例を多く聞けたので、研修のベースは維持しつつ
参考事例を上手く反映させてみたい。
・学習のタイミング(フォローアップ)の重要性
・現場の状況がわかった段階でフォローアップ研修を行うと効果的
・皆さん同じような悩みをもたれていることを共有できただけで、
参加した意義がありました。
・モチベーションが下がるのはしょうがない。
下がったものを下がりっぱなしにしない工夫。
・新入社員は一旦モチベーションが下がり、それが重要な過程であることが分かった。
「モチベーションを下げない研修」から「下がるモチベーションを利用する研修」へと
企画内容を考え直してみたい。
・すぐに取り入れたいと思う研修内容がたくさんあった。
・方法ばかり真似しても、きちんと落としどころをつけなければならないこと。
・モチベーション低下の原因がわかった。
・グループ討議による経験、ノウハウの共有化が有意義であった。
・新入社員の状況により、なすべき研修が違うこと。
・モチベーションの三要素「有意義感」「達成感」「自己重要感」を研修の中で
どう展開していくかなどヒントを頂いた。
●ご意見・ご要望・ご感想
・関根先生の講義、他社の皆さんとの情報共有、ともに有意義でした。
・具体的な事例が多く、実際の研修に取り入れられそうなものが多かったです。
・講師の方がとても親しみのある話し方をされたので、
受講者同士も和気藹々とできました。
・一人で考えて悩んでいたため、色々な方とお話できて、
モチベーションが少し上がりました。
・楽しくセミナーを受講することができました。
講師の先生の明るい話し方を聞いていて、講義の雰囲気作りも大切だと
いうことを改めて感じました。ありがとうございました。
・新入社員研修を実施するにあたり、来年の方向性をつかむことができた。
・力を入れるほどつまりがちなところを、
少し距離をおいて再検討する機会になりました。
・OJTのバラツキをなくすという課題は、組織の分権主義等もあり、
まだ難しい点が多いですが、ヒントはいくつか戴きました。
・具体的なソリューション提案もあり、今後に役立つ。
・参加者に恵まれて、関根さんの話以外の気づきもいくつもありました。
この機会提供に感謝します。
・スムーズな進行でとてもよかったです。ありがとうございました。
・08年度の研修に活かせる情報を得られた。
・企画してみたい教育内容が具体化した。
・研修企画者、講師に使える部分を示してくれた。
・当社は離職率に非常に悩んでいます。育ててもすぐに辞めることから
現場のモチベーションが下がっています。
今日のセミナーを多方面に役立てたいと思います。ありがとうございました。
ご参加された皆さん、ありがとうございました!
企画してくださった
NBSの駒野さん、小川さん、ありがとうございました!
そして、今回もサブ講師を務めてくださった多賀さん、
ありがとうございました!
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