08年5月16日(金)午後1時30分~5時30分
ダイヤモンド社さん主催のセミナー
「一人前の仕事力セミナー ~ 若手社員の育成とリテンションを考える」
に参加してきました。
私の理解の範囲内で、印象に残った点をお伝えします。
(・は講演から ○は関根の独り言)
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1.神戸大学 金井教授
「どんな仕事経験が若手を伸ばすか
~キャリアのスタートラインで3年内には経験してほしいこと」
・学校から社会に出る節目は、大きなストレスを伴う経験。
新入社員は「違う世界」に足を踏み入れていることを念頭に置く。
・「節目」はつらいものである。試練としてのイニシエーション。
イニシエーションには2つの側面がある。
「グループイニシエーション」職場になじむ、受け入れられる。
「タスクイニシエーション」仕事面での貢献
・3年以内に「会社に2度入る」経験を積めるとよい。
「ここまでやれたら、このままやっていけそうだ」と思える気持ち。
・一つでも打ち込む領域をもっている人は、他の領域でも打ち込める。
○職場に入っていくことは、「イニシエーション」である。
これは文化人類学を学んでいた自分にとっては非常にすんなり入る言葉。
イニシエーションのつらさを理解していない先輩、上司は多いかも。
(自分たちが新人の頃のことは棚にあげて)
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2.小樽商科大学 松尾教授
「成長する人材の条件 ~ 熟達化理論を背景に」
・熟達化理論 国際レベルの業績をあげるには、最低でも10年の
「よく考えられた練習」を積む必要がある。
・「熟達の5ステップモデル」(Dreyfus1983、Benner2001)
初心者→見習→一人前→中堅→熟達者
3~5年くらいで「一人前」6~10年目で「中堅」
・学習の源は「ストレッチ」である。
自分の「現在の能力」より「仕事をこなすのに必要な能力」が高いと
ストレッチが必要になる。
・ストレッチ&フィードバックが、人の成長には必要。
・人は「実践コミュニティー」で育つ。
○OJTがうまくいっている職場では、OJT担当一人で
新人育成を抱え込んでいない。
うまく周囲(職場の内外の人脈)を巻き込んでいる。
これは新人育成における「実践コミュニティー」を上手く作っているとは言えないか。
「成長する人材」は、中原淳先生の言う「組織ネットワーク」を上手く使っている。
この「組織ネットワーク」を作る手助けを、OJT担当は担っているのでは?
(「十全的実践」共同体に「いざなう人」として)
・「初心者、見習」(1~3年目)では、「成長感」につながる経験は
ほとんどない。そのため「辞めやすい」のでは。
「一人前」(4~5年目)になると「成長感」を与える経験を積む機会が増える。
つまり仕事がおもしろくなってくるのでは。
・聖隷浜松病院では「3年目の研究」をさせている。
2年間の仕事の中で感じた疑問点や改善点を3年目以降の
職場改善に生かしている。それが意欲向上につながっている。
○これは、K社の実践に活かせるかも。
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3.東京工業大学 吉川教授
「気づき・考えさせる教材としてのマンガ」
・学んだことを、「いつ、どう」使うかが難しい。
・教科書から学んだことが業務に生かされていない。
企業はOJTが中心。体系的な教育がなされていない。
学校で学んだことを社会でどう生かせばよいか分からない。
OJTからどう学んだらよいか、新入社員はわかっていない。
実践的な知恵を身につける教育が必要。その手段として、ケース、ゲーム、マンガが有効。
・「見るべき点」と「見なくてもよい点」を熟達者は知っている。
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色々な気づきがある有益なセミナーでした。ありがとうございました。
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