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「氷河期はざま社員のユーウツ」
同期少なく業務増加、上下は大量採用世代、海外赴任の機会逃す
・就職氷河期に社会に出た中堅社員に憂うつな気分が広がっているという。
同期は少なく、一人当たりの仕事量が多い半面、大量採用した
二十代の後輩の指導も求められる。彼らの先頭集団はすでに三十代半ば。
・厳しい状況に拍車をかけているのが若手育成の責任だ。
ここ数年、人手不足による新卒の大量採用が目立つ。
新人研修があるとはいえ、職場に配属された大量採用組を指導するのは
中堅である彼らの役目。
「負担が重くなるばかり・・・」と氷河期はざま社員が嘆くのもうなずける。
・景気拡大を支えに企業が大量採用したバブル入社組は92年に卒業した人まで。
その後、大卒求人倍率は下降線をたどり、就職氷河期時代が到来する。
2000年には大卒求人倍率が1倍を切り、就職したい人のすべてが
就職できるわけでなはない状況となった。
リストラが一段落した企業が採用意欲を回復し、雪解け状態になったのは、
05年ごろから。
(リクルートワークス研究所の豊田義博主任研究員による)
(日本経済新聞 2008年4月23日)
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今までは、自分の下に後輩が入らず、自分が一番「下っ端」として
仕事をしていた「就職氷河期」に採用された社員。
採用の狭き門をくぐりぬけてきたわけですから、能力の自負もあります。
90年代、多くの企業が成果主義を導入し、彼らの面倒を見る先輩や上司も
自分のことで精いっぱいになります。
結果、周囲から教えてもらえず、自分で必死になって仕事を覚え、
現在にいたっている人が多くなります。
06年ごろから増えてきた新入社員に対する「OJT担当者研修」を実施すると
よく出てくるのが、
「自分が教わっていないから、どうやって教えていいのか分からない。」
という声です。
そんな20代後半から30代半ばの若手社員が、
今度は新入社員のOJT指導員になるわけです。
正直
「やってられないよ」
というのが本音の社員もいるでしょう。
そんな彼らに対して「後輩育成も評価対象にする」企業が出てきました。
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・後輩育成も評価対象 チームワーク重視 成果主義を「緩和」
小林製薬は08年4月、従業員の人事評価制度を見直す。
人事評価に後輩の育成など組織目標の達成度を新しく盛り込む。
・小林製薬は2005年に全社員を対象に成果主義の人事評価制度を導入した。
その結果、後輩の指導をしない個人プレーに走る社員が増えて、組織が
硬直していた。
・同社は2007年から個人成果主義の見直しに着手。同年7月には
管理職のグループ長と一般社員の間にサブリーダーを設置した。
主に若手社員を指導する役職で、三-五千円の手当が出る。
(日経産業新聞 2008年3月27日)
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・若手育成、評価に反映
(日立ソフトでは)今年度から始めた新入社員育成制度をさらに充実させる。
「パートナー研修」と名付けた、5~10年目の若手社員を
新入社員一人ひとりに付け、公私ともに相談役となる。
このほど相談役となるパートナー社員の指導法研修を従来の一時間から
半日に延長。パートナーの人選も綿密にチェックする。
・部下育成の成果は五段階で評価し、結果は給与にも反映する仕組みも整備した。
(日経産業新聞 2008年3月10日)
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「新人育成も評価対象にするから、頑張って育成して」
そのために「どうやって育成すればよいか」その方法論を学ばせる企業が
増えてきました。
弊社がお手伝いしている「OJT研修」もその一環です。
次の記事は、新人育成に特化していませんが、参考になるのでご紹介します。
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・部下の育成法 改めて教育
「面倒みられない」管理職が増加 若手の心身に不調も
・新手の研修を管理職に課す企業が増えた。特徴は、若い部下の心理にも
配慮し、彼らをいかに育てるかに焦点が絞られていること。
成果主義の急速な普及で、結果追求には熱心でも、部下の心の面倒までは
みられないプレイングマネージャー型管理職が増え、部下が追い込まれる
例が目立つことに対応した動きだ。
(日本経済新聞 2008年2月22日)
*余談ですが、この記事には知人の森田英一さん(シェイク社長)も載っています。
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「いやいやながら、仕方なく新人の指導をしている」
先輩社員もいるかもしれませんが、そうでない人ももちろんいます。
07年から注目している アサヒビールの取り組み
「ブラザー・シスター制度」では、新人教育の先生役を公募しています。
https://www.learn-well.com/blog/2007/04/post_36.html
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・教える側も ともに成長
アサヒビール 新人教育 先生役を公募
計画立案任せ、士気高める
・昨春から先生役を経験した一人は「新入社員を送り込む関係部署や取り引き先
との交渉を通して、熱意をもって話し合うことも大事な能力だと感じた」
と交渉力向上に手応えを感じている。
・先生役は各地区で自主的に集まって、課題を情報交換するなどして、
教育の手法や方針が偏らないように工夫していたという。
そうした効果も志願制ならではといえる。
・改善の余地も見つかり、今春には制度運用に反映させる。一つは
「先生役が関係部署に新人の受け入れを頼みやすいよう、制度を社内に
周知徹底する」こと。
(日経産業新聞 2008年2月18日)
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「自分自身の成長のためにも、新入社員の育成に関わりたい。」
このように考える若手社員も多くいます。
弊社の「OJT研修」でも、初めてOJT担当になる人には、
「OJT担当になることへの期待と不安」を挙げてもらいます。
「期待」でよく出るのは、
・新人に教えることで、自分が学べる。
・仕事の見直しができる。
・新人と接することで、新しい発想に触れることができる。
・いずれマネジメントをする際の勉強になる。
など、総じて「自分自身の成長につながる」というのが、
OJTをする側のメリットとして感じられるようです。
新人育成には時間と労力がかかりますが、
その分得られることも多いですよね。
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