ASTD2008でお会いした際に
東京大学の中原先生がおっしゃっていた
「OJTは、“関係”(上司と部下)でとらえられがちだが、
“環境”(職場で育成を見守っていく)が大事。」
これは、小職が「OJT研修」でお伝えしている
「OJTがうまくいっている職場では、指導員一人で育成を抱え込んでいない。
自分の部署だけでなく他部署も上手に巻き込んでいる。
新人にとっては“教えてもらえる人・訊ける人”を増やしてあげることになり、
新人の社内外人脈形成の支援にもつながる」
という点にもつながるかもしれません。
研修の話になってしまいますが、研修内では参加者に「人脈マップ」
というものを書いてもらいます。
自分がOJT指導員として、新人を育成することを「手助けしてもらえそうな人」や、
「~に詳しい●●さん」をリストアップするためのものです。
新人が困るのは「誰が何に詳しいか分からない」という点です。
OJT指導員は、少し先に職場にいて
「十全的参加」(LPP理論)をしている人です。
「新参者」である新人が「周辺参加」していくことを手助けする
「いざなう人」(佐伯教授の言葉)であるともいえます。
組織の中で上手くやっていくために、組織内の人脈を紹介し
新人が組織内で成長していけるよう「いざなっていく人」が
OJT指導員であると考えられます。
つまり、OJT指導員一人が、新人育成に関わるのではなく、多くの人が
新人育成に関わることで、新人が成長していくのです。
ひいては、新人が入ることで、そして新人を通じて先輩社員がつながることで、
職場のコミュニケーションが活性化されるということもあるでしょう。
私自身は、新人へのOJTは、「不機嫌な職場」と言われる
現在の職場環境を活性化させる起爆剤になるのでは、と考えています。
だからこそ、OJT指導員は新人指導を一人で抱え込むべきではないのです。
新人指導を通じて、職場内につながりを取り戻す。
「今日は、ここまで教えたよ」とAさんが言えば、
「~については結構楽しそうにやっていたよ」とBさん。
それを聞いて「それじゃー、今度は●●をやらせてみましょうか」とOJT指導員。
新人へのOJTは、ボトムアップ式の職場活性化方法かもしれません。
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