「人材マネジメント入門」守島基博著
○人材マネジメントの全体像が見えてくる本。
自分に足りない知識も見えてきた。
(・引用/要約 ○関根の独り言)
●人材マネジメント
・この本を読んで理解してほしいのは、
人材マネジメントの背後にある考え方である。
それは2つ。
1)「人材は経営資源」であるという経営視点
2)「人材である前に人」という人視点
したがって「企業の戦略達成や競争力維持」と
「人材としての活用や成長」という2つの目的を統合しながら行うのが、
人材マネジメントである。
・人事部のデリバラブル(提供する価値)として、D.ウルリッチは、
1)戦略を達成する
2)生産性の高い組織の仕組みを築く
3)従業員のコミットメントとコンピテンシーを向上させる
4)組織の変革を実現する という4つをあげた
これはきわめて企業の視点にたった人事部のデリバラブルである。
・しかし、今後は4つのタイプの目的(デリバラブル)を、人材マネジメントは
達成していかなくてはならない。
その4つは「短期的目標」「長期的目標」「経営の視点」「人の視点」を
組み合わせたものである。
○09年6月18日に、慶應MCCのセミナーで守島先生のお話を聞いた際に、
失礼かもしれませんが、
「この方は暖かい人だな」
「人材を道具ではなく、人間として見ようとしている方なのでは」
という印象を受けました。
「人材マネジメント」という考え方だとどうしても「人材=資源・道具」と
とらえがちなところを、「人材=人間なんだよ」という点を再度確認させて
くれているのではないかと思いました。
・人は場(仕事、職場、目標)を与えられてはじめて能力を発揮する。
どういう仕事を提供するかも、人材マネジメントにとって重要な課題となる。
仕事と人のマッチングの決め方は、育成の論理で行われるか、
貢献最大化の論理で行われるかで異なってくる。
○これは、守島先生が日経新聞の連載でおっしゃっていたこととつながるかも。
(人事コンサルタント田代さんの記事から
http://blog.tashiro-sr.com/archives/51511449.html )
「できないかもしれない仕事を、育成の目的で、やらせてみる」=育成の論理
「確実にできる人材に、その仕事をやらせる」=貢献最大化の論理
・人は育つのではない。育てるのでもない。その間の微妙な領域を設定し、
そこで上手くリーダー候補に場を提供して、将来の戦略リーダーが確保されるよう
仕組んでいくのが、人材マネジメントの仕事。
場を準備し、現場を説得して、リーダー候補が必要な経験ができるよう
お膳立てしていくプロデューサー的役割なのである。
●採用
・人材スペックの基礎にあるのは単純な考え方。採用にあたって、必要な人材像
(能力や資質、組織との長期的な関係のあり方なども含めて)を、ある程度
明確にしておくべきだという主張である。
・スペックを使って人材をいくつかのタイプに分け、その組み合わせを考える。
これを人材ポートフォリオという。
・人材採用にあたり情報開示 RJP(Realistic Job Preview)が重要となる。
「いいことも、悪いことも、丸ごと伝える」
○RJPができると、学生が企業に入ってきたときの「リアリティーショック」が
少しは減るんだろうな。
・短期的な戦略達成により直接的に貢献する人材は、現場採用。
長期的な企業の強みを支えていく人材はローテーションの必要性などから、本社採用。
○これは、高卒、短大卒(現場採用)大卒、院卒(本社採用)
といった区分にも見られるな。
●育成
・人材育成の目的は、組織が強くなることである。
・長期的にどういう人材が企業にとって必要になるかは必ずしも明確ではない。
将来が見えない以上、自分が強い分野で、新しい戦略が構築できる力を蓄える。
こうした組織能力を形成することが、人材育成の最も重要な目的である。
・人材育成に関して有効な方法は圧倒的にOJTと呼ばれる実際の仕事経験を通じた
学習が大きな効果を持っていることが実証されている。
OJTが有効な人材育成手段である最大の理由は、それが仕事を実際に行った
経験を通じた学習だからである。
OJTは、理想的には、仕事や課題にコミットした状況を作りだし、目標を達成する
経験を通じて学習が行われるときに最も効果が上がる。
・OJTとは、主体的な問題解決体験を中核とした育成方法なので、その効果は
きわめて高い。
○書籍「ダイアローグ」で取り上げられていたトヨタの問題解決型OJTは、
ここでいう一つの理想形なのかも。
守島先生が日経新聞の記事でおっしゃっているように、
コミットしたくなる仕事や課題を「やらせてもらえているか」
というのが大事なのかも。
そうはいっても、どんな仕事でもコミットできるかどうかは
本人の問題もあるだろう。
「燃えるような仕事を与えてもらえない」と
嘆くだけでも始まらないのだろう。
・OJTを中心とした人材育成における企業の役割は、経験の場、すなわち
育つ場を提供することである。それが行われる主な舞台は職場である。
・OJTの客観的な効果測定が難しいからこそ、現場での上司による育成評価や
単純に部下が成長したという実感は大切である。
現場で人が育っているかという判断は、現場のリーダーが最もよくできる。
○「この新人、育ったなー」と周囲から見られる新人はどこが違うのか。
周囲は、その新人の何を見て、そう評価するのか。
ここについてはきちんと調べてみたい。
・Off-JTは、キャリアの節目で、これまでやってきて明確に認識していない
自分の強みや弱みを確認し、次の段階への準備をするために、役に立つ。
獲得した経験や知識を整理する育成だと言ってもよい。
○Off-JTの利点は、じっくり考えられる点にある。
今までの経験を、ふり返り、内省し、整理する。
実務を理論に照らし合わせる。
Off-JT(仕事を離れた教育)だからこそ、できることもあるだろう。
●評価
・評価は、企業が大切にしているものを伝える機能がある。
・負のフィードバックを意図して探すマネジャーは、時間をかけて
トップパフォーマーになっていく。負のフィードバックの威力は大きい。
○これは大事だよな。
起業して上司がいない今、意図的に厳しいことを言ってくれる人を
作っていかないと。
経営者の先輩 Oさん、Fさん
親しいお客様 Yさん、Sさん、Sさん、
コンサルタント Nさん、Oさん
友人 Mさん
それでも少ない。言ってくれる人は、これからどんどん少なくなるだろう。
言ってもらえるよう意識しないとな。
●処遇
・人材マネジメントにおける報酬や処遇は、企業の望む行動を人材から引き出す
ためのものなので、労働や貢献への対価というよりインセンティブと
考えた方が適切。
・報酬や処遇で最も効果的なのは、仕事とおかねである。
●異動
・人材としての価値は、仕事の経験を積むことによってしか獲得できない。
人材としての育成は、キャリアの中でどういう仕事を経験するかで決まって
しまう部分が大きい。
・経験には順番とタイミングが重要。
・内部の人材は、組織内異動を通じて、組織にとって重要なスキルや能力、
価値観などを獲得するように育成される。
・人材マネジメントは、企業の中で、人間の尊厳を守る最後の砦としての
役割が要請されている。
○この本を読んで、改めて自分の知識不足を感じた。
特に「評価・処遇・異動」に関する知識不足。
「育成」だけでは弱い。もっと勉強しないと。
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