「MBAの人材戦略」
デイビット・ウルリッチ著
○HR(人材経営)に関わるならば、もっと勉強しなくては
と思わせてくれる本。
(慶應MCC「ラーニングイノベーション論」の課題図書でもあります)
(・引用/要約 ○関根の独り言)
●人材経営(HR)専門職への期待
・人材経営専門職は、何を遂行すべきかではなく、何を達成すべきか
という視点への転換を図りたい。
・人材経営の実践から生じる結果、4つの成果
1)戦略の実現
2)効率的経営の実現
3)従業員からの貢献の促進
4)変換の推進
・西欧企業が導入している革新的な人材経営の方法は、1970年代と80年代に、
日本企業で開始されたものが多い。
・「いままで通りに戦略的志向を保つべし」というメッセージが
日本読者には適切。
○この本の日本語版序文は、1997年に書かれている。
・多くの経営幹部は、自らを変革しようとはしない。言行不一致なのである。
人材経営専門職は、パワーを備え、経営幹部に言行一致の行動を求める、
という特別の責任を負っている。
・人材経営専門職も、他の分野の専門職(医師、弁護士、経理部長等)と
同じように、真の専門職として機能し始めなければならない。
人事管理は、誰にでもできる仕事ではない。
・競争力を備えた企業を築く際の人材経営の役割
将来/戦略の重視
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プロセス  ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ 人材
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日常業務/運営の重視
・人材経営専門職=ビジネスパートナー
=戦略パートナー+管理エキスパート+従業員チャンピオン+変革推進者
・人材経営専門職が、企業に付加価値を生み出すためには、単一ではなく、
複合的な役割を果たすことが求められている
・自らが企業内で占めている矛盾含みのポジションをしっかりと認識すること。
●戦略パートナー
・戦略パートナーとしての人材経営専門職は、
「ビジネス上の目標を達成し得る組織をいかに生み出すか」という問いに応える。
・著者とB.エイチンガーは、魅力的で、人気が高く、流行にのった
人材経営の手法を表現する言葉として「万能薬」という言葉を提示した。
万能薬には頼らない。
○万能薬の特徴としてあがっていることは、今売り出されているビジネス書にも
言えることかも。
●管理エキスパート
●従業員チャンピオン
・従業員の労働生活は、悪化の方向に向かっている。
・より多くのアウトプットを生むために、企業は従業員の身体だけでなく、
心と魂もひきつけていかなければならない。
・従業員に課せられた要求が、彼らの入手可能なリソースを上回っていると感じる。
従業員のうつ症は、要求に対応するリソースを備えていないことから発生する。
・自分で小さなビジネスを始めた人の多くが、長時間労働にも関わらず、
仕事に対する満足度が高まる理由の一つが、オーナーとして、自分の仕事を
コントロールできるという点である。
○これは本当にそうだよなー。今小さな会社を経営していて、仕事に対する
不満、愚痴というのは、まったく出てこないもんな。
自分で自分の人生を切り開いている。その実感があるからだろう。
この感覚を、組織に属する従業員にもってもらうのは、正直難しいだろう。
・GEでは、新任管理者の導入プロセスを活用している。
従業員の抱く不安を効果的に処理し、新任管理者の下でスムーズに仕事が
始められるよう支援する。
○いわゆる「リーダーズ インテグレーション」と呼ばれるものか。
(日本ファシリテーション協会の記事
https://www.faj.or.jp/modules/contents/index.php?content_id=882
「ザ・ファシリテーター」著者の記事
http://www.change-mc.jp/service/leadership.html)
●変革推進者
・文化変容において、従業員へのエンパワーメントに基づく方法を成功させる
ためには、単に従業員が集合して、企業がどんな問題を抱えているかに
ついて、苦情を申し述べる会合を持つだけにとどまってはならない。
問題を発見した従業員は、自らその問題の解決に取り組むことが求められる。
○外部講師として、短時間しか組織に関わらないのは、自分の弱み。
組織の中にいる人事教育担当者は、ずっと従業員と共にいる存在。
研修講師は、少しの時間だけ関わる存在。
それだからこそ、できることもあるはず。
だが、自分の限界は把握しておこう。
●人材経営部門のための人材経営
・人材経営専門職は、「紺屋の白袴」が多かった。
○これは確かにそうだよなー。
営業研修を販売している研修会社の営業のマナーがなっていない
という話はよくある。
・人材経営に備わるコンピテンシーには4つの種類がある。
1)ビジネスに対する知識 2)人材経営の運用 3)変革のマネジメント
4)個人的な信用(信頼)
○人事に必要なものとして、人事コンサルタントの田代さん
http://www.tashiro-sr.com/ も「信用」「信頼」ということを言っていたなー。
あの人は、まさにそれを地でいく人だよな。
・人材経営専門職が、自ら唱える理念を模範として示すことで、企業内での
信用を高め、更にビジネスパートナーとして成功を収める確率を高められる。
●人材経営の将来
・人材経営は、人材経営部門のみの責任ではなく、むしろ企業内の広範な部門を
含む人材経営コミュニティーによって責任が担われる。
・企業内で人材経営の実施に主要な責任を負うのはライン管理者である。
・C.K.プラハラード教授は、人材経営が企業経営において当然占めるべき
中枢的地位を占められずにいる理由は、人材経営には理論が欠けているからだ、
と主張している。
・すべての人材経営専門職が「あなたの仕事は、自分の属するビジネスに
どれだけの経済的(財務的)な付加価値を生んでいるのか」という問いに
応えなければならない。
○たとえば、営業であれば売上増加、総務であれば経費削減で、
会社の利益に貢献していると言うことができる。
人事は、どうか? 人の「採用・配置・育成・評価」等の仕事は、
間接的に、従業員の貢献を引き出す。
直接的な影響を証明するのは難しいのかも。
・人材経営は、6つの分野に分類できる。
人材配置、人材開発、業績評価、報償、組織設計、コミュニケーション
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