「働くみんなのモチベーション論」
金井 壽宏 著
○モチベーション理論の全体像が見える本。
やる気を自分で調整する勇気をくれる。
「研修」を「研究の場」とする可能性を示唆してくれた。
(・引用/要約 ○関根の独り言)
●やる気の自己調整 self regulation
・本書の主張は、誰しもの問題としてモチベーション論を学ぶことによって
自分のやる気を自己調整し、周りの人たちのやる気の自己調整に影響を
与えられる人間になることだ。そのためにモチベーション論を生かしたい。
・モチベーション論の最先端が、自己調整に行き着いたというのは
非常に興味深い。
・モチベーション理論の3アプローチ
1)away-from motivation 緊張系
ズレ、緊張、不協和、欠乏を解消、回避するためにひとは動く
2)toward motivation 希望系
夢、希望、目標、自己実現、達成など、ありたい姿に近づくために人は動く
3)持論系
自分がどうやれば動くか暗黙にあるいは明示的に知っているまま、人は動く
●持論がもたらすパワー
・実際に実践に使われている持論を収集し、そこから理論を帰納的に発掘する
ことも大切。
その際に、会社での研修を上手く設計すれば、教育の場が同時に、研究の場
にも進化、深化させうることにも注意したい。
○これこそ、まさに俺がやりたいことなのかも!
参加型研修で、参加者の声は集められる。ただ、そこで終わってしまっている。
もっと上手い活用の仕方があるのではないか、と常に思っている。
●マクレガー・ルネサンス
・マクレガーのX理論、Y理論と呼ばれるが、彼が構築した理論ではない。
実践家が、モチベーションの持論をいくつかの項目からなる仮定群として
抱いているということを描こうとしたのだ。
・マネジャーたちが、X、Y、どちらに近い持論をもつかによって、
彼らの意思決定とアクションが違ってくる。
・自分が抱くモチベーション持論の前提となる仮定にご用心を。
○自分は、Y理論の持論をもっている(と思いたい)。
・同じようにマネジャーをしている人たちの間に、対照的な2つの持論がある
ことを発見したことこそ、マクレガーの最大の貢献。
・コズモロジー(宇宙観)を、経営者であればもつべきである。
人間観、組織観、事業観、戦略観
○「なぜ?」という問いだろうな。
経営者であれば「そもそもなぜ?」という問いに、
時折立ち返る必要があるんだろうな。
・田中ウルヴェ京さんの文章
○自分をさらけ出している文章。
中原先生のブログも、そういう面がある。
自分はそこまで、さらけ出しているか?
○モチベーションを高めるために、どうしたらよいのか
-目標をもつ -自分をほめる -他者と話す
新人フォロー研修で、新人に伝えていることだが、
これはあくまで、関根の「持論」レベル。
彼らには彼らの「持論」がある。それを尊重しないと。
学術的なモチベーション理論については、この本で「3系統」を学べた。
それを踏まえて、持論の一つとして、自分の考え方を伝えていこう。
●外発的モチベーションと内発的モチベーション
・報酬が罰になってしまう Rewards punish
「これをすれば、あれをあげる(あげない)」
子供が言うことを聞かなければ、この手をつかう。
報酬そのものがコントロールにつながり、自由がなくなる。
○子供に対して、やってしまっているなー。
「ご飯を食べたら、デザートをあげる」
なかなかご飯やおかずを食べないときに、言ってしまう。
・報酬に頼ってしまうと、「何故なのか?」という原因を探す行動が
ないがしろにされてしまう。
実は、行動を変えるべきは親の方なのに、子供に賞罰を与えている場合もある。
・「自発的に動け Be spontaneous」という矛盾
○これは、新入社員に対して導入研修で、教育担当が言ってしまっていることかも。
自分も気をつけないと。
・報酬は使い出したら、簡単にはひけない。
○確かにそうだよなー。怖いな~。
・アンダーマイニング現象は「面白がっていることに、外発的報酬を与えるな」
という意味ではない。
●達成動機とその周辺
・達成動機が喚起されやすい仕事は、営業。
達成動機の高い人に向いた仕事の場は、起業家の世界にある。
○営業経験が長く、起業家の世界に飛び込んだ自分は、達成動機が高いのかも。
・達成動機を喚起する物語が、教育の中で増えて、子供がそれに影響を受けて
育って、実際に経済発展のもととなる活動水準を天下国家レベルで高めて
いくには、それなりの期間がかかる。
○このマクロの仮説は、面白いな~。
今日本で行われている教育だと「達成動機を喚起する物語」は、
おそらく少ないのではないか。
●親和動機
・人と共にいることそれ自体が喜びだ。
・日本人の子供達のピーク経験の最大の特徴は、それが一人で経験されるものでなく
大切と思える他の人々との交わりの中で経験されていることだ。
・進化心理学的にいえば、人といることが嫌いな人は、生存確率が低いのである。
・「社会関係資本(ソーシャルキャピタル)」の議論が盛んである。
自分ができないことでも、できる人を知っていればこと足りる。
ある人を助ければ、逆にその人から助けてもらえることもある。
○ネットワーク型OJTは、ソーシャルキャピタルという概念から考えることも
できるかも。
●目標設定
・目標設定理論は、モチベーション論とキャリア論を結びつけるいい視点にある。
・緊張系理論のキーワードは「未達の課題の想起」だ。これを最も明確に
認識させてくれるのが、ほかならぬ「目標」ではないだろうか。
・目標という概念は、緊張系と希望系の諸理論を結びつける。
・自分の動きは持論によって自分自身が司っているという感覚が究極の
モティベーターとなると主張する最先端の自己調整論(self-regulation theory)
にも、目標は不可欠。
○俺自身、30代半ばには、「独立起業したい」という目標は、
自分をモティベートしてくれた。
(父の死というきっかけもあり、33歳での独立となったが)
ただ、これは、期限を決めての本当の意味での「目標」とは言えなかったのかも。
「長女が小1になる(09年3月末)までに、田舎に家を建てる」
この目標は、独立直後からの自分を引っ張ってくれた。3年間の中期目標。
今、それを達成し、次の中期目標として「2010年4月の大学院入学」を挙げた。
やはり「目標は自分をモティベートしてくれる」というのは、俺の持論となる。
●自己実現-動機づけは可能か
・motivation の訳 「動機づけ」「やる気」「意欲」
・自己実現の欲求以外なら「動機づける」ことは可能。
・マズローの欲求階層説で、本当に大切なことは、自己実現の欲求とそれ以外の
欲求との間に、非常に深い切れ目があることだ。
・一橋大学の沼上幹氏が、経営学で扱えるのは、承認の欲求までだと主張した
のは非常に納得がいく。
・自己実現が生じるためには、社会もそうとういい社会でないといけない。
下位の基本的欲求が満たされている社会でないと、
人は自己実現まではいかないからだ。
○22~23歳のころ、メキシコに一カ月ほど、
スペイン語の学習で留学したことがある。
ボランティアで、英語のスペルを、
学校に通えない子供たちに教えにいったことがある。
貧しく、大変な環境の中、生きている子供たちが、
目をキラキラさせて学ぼうとしていた。
「こういう風景は、日本の学校で見てないなー」と感じたのは、
日本の教育に疑問を覚えたことの一つだ。
「人にとって学ぶことがこんなに大切なことなんだ」と改めて感じさせられた。
親の金で留学し、恰好つけてボランティアに関わっている自分を恥ずかしく
感じたことも覚えている。
ああいう状況の子たちでも、自己実現の段階を目指すことはできると思いたい。
●実践家の持論
・持論をもつことは、実践を強固にする。
・どんなにすばらしい学説でも、一つの理論と心中はしないで。
・一流の学者なら自分で一流の理論を持つべきだが、それを流布するだけでは
足りない。その前に全体の地図を示し、その中で「私はこの部分を研究している」
ということを言うべきではないか。
○これは、自分もできるようになりたい。
・後ろを振り向いたら喜んでついてくるフォロワーがいるかどうかが、その場に
リーダーシップ現象が存在するかどうかの試金石になる問いだ。
○保育園の父親で人形劇をやったとき、ある程度リーダーシップは発揮できて
いたかも。ついてきてくれて、一緒に関わってくれた父親たちがいた。
(保育園のブログ
http://yuzunoki-hoikuen.seesaa.net/category/4174647-1.html)
・学者の理論も、本人の持論からスタートしている。
○俺も、自信をもって持論を持とう。
しかし、他人には他人の持論もあることを尊重しよう。
研修講師として、自分の持論を、研修の場で、他者に押し付けるようなこと
がないよう気をつけないと。
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