「アフォーダンス 新しい認知の理論」

お薦めの本

「アフォーダンス 新しい認知の理論」

  佐々木正人
○自分の外に情報は実在している。それを発見するのが知覚。
 なんとなくわかったようなわからないような。
 人にわかってもらうのが難しそうな考え方。

(・引用/要約 ○関根の独り言)
・人間は「フレーム問題」に悩まない
・現代の知覚理論は、17Cのデカルトのアイデアに多くを負っている。
・デカルトの「こころ」とは、感覚刺激を統合し、判断し、推論し、
 意味を作り出すメカニズムである。いわゆる「中枢」
●ギブソンの歩み
・ギブソンは、どの著作も10年以上の歳月をかけて構想し、
 執拗に書き直したという。
 どの本も文章はあくまでやさしく、内容はきわめて難解である。
 とてつもない内容がふつうの言葉でかかれている。
 「生涯をかけて一つのことだけを考え続けた人」
○そういう一つを見つけ出せるのは幸せだよなー。
 本の執筆に対して、俺はそこまでの執拗さがなかったよなー。
・「像」ではなく「動き」こそが重要。「形」にではなく「変化」に意味がある。
・「知覚の刺激」の本質は、環境の中で、動き回って、何かを見ようと
 している観察者がその全身の動きとともに発見するものである。
●情報は光の中にある
・「網膜」から視覚を説明することを否定するラジカルな発見が
 間違っていないことを、ギブソンに確信させたのは、ウォールズとの出会い。
●エコロジカルリアリズム
・我々が知覚しているのは「変形」と「不変」である。
 世界の「持続」と「変化」という性質である。
 環境に満ちているのは「持続と変化」である。
・ギブソンの理論は「生態学的認識論」
 これは「情報処理モデル」とまっこうから対立している。
 初期の認知科学は「情報処理モデル」を中心理論としてきた。
 人間は環境から刺激を入力し、それを中枢で加工することで
 意味のあるものにすると考える。
 「情報」は刺激が頭の中で加工された結果と考えられてきた。
 ギブソンの「生態学的認識論」では、情報は人間の内部にではなく、
 人間の周囲にあると考える。知覚は情報を直接手に入れる活動であり、
 脳の中で情報を観察的に作り出すことではない。
○この考え方は面白いよなー。人を取り巻く周囲の環境に、情報が宿っている、
 と考えていいのかな。
 アニミズム信仰がある日本人だと、なんとなく受け入れやすいのかな。
 ものや自然に霊が宿る。
・アフォーダンスとは、環境が動物に提供する「価値」のことである。
○動物がいないと、意味がない。周囲にあるはずの意味を探し出せない?
 「環境が動物に提供する価値」価値を提供できなければ環境に存在意義はない?
・アフォーダンスは、刺激ではなく情報である。
 動物は情報に反応するのではなく、情報を探索しピックアップしているのである。
 アフォーダンスは刺激のように押しつけられるのではなく、
 知覚者が「獲得し」「発見する」ものなのである。
●知覚するシステム
・手を振ることで、形を知覚できる。
○これも面白いよなー。人間は視覚に頼りすぎるが、
 他の感覚も大事にしたほうがよいのかも。
 そういえば、ダイアローグ・イン・ザ・ダークだっけ、
 暗闇でのワークショップもあるなー。
・五感というが、それは「感覚器官」の種類の数ではなく、
 「環境への注意のモード」の種類と考えるべき。
○人は、目、耳、鼻、舌、手足などで、環境を探る、ということか。
・見るシステムが得ていた情報のかなりの部分は、他のシステムに
 よってもピックアップ可能である。
・我々の一人一人は、かけがえのない「わざ」を可能にしている
 知覚システムの束なのである。
○その知覚システムが、鈍感になっているのかも。
 環境に注意を払っていないからか。頭で考えすぎているのか。
●共鳴・同調の原理
・我々は「感覚されたものが脳で処理されて運動を制御する」という説明図式に
 なれ親しんでいるが、これだとあてはまらない知覚と行為の関係もある。
 脳で処理できるスピードをこえているもの
・行為が環境に発見する情報は「未来」に起こることを特定する。
 それは行為の「結果」についての情報になっているので「予見的」情報とよばれる。
○アフォーダンスも「分散認知」の一つの考え方ととらえてもよいのか。
 我々が知るべき情報は、他者の頭の中や道具の中に分かちもたれている。
 それを発見するのが知覚活動?
・D.ノーマンは「誰のためのデザイン?」で、道具はそれを使って
 どのような行為を行うことができるのかがわかるようにデザインしておくこと、
 コンピューターによる設計もそれが何をアフォードしているのかが
 よく「見えるように」しておくことを提案している。
 「物」ではなく「リアリティー」を、「形」ではなく「アフォーダンス」を
 デザインすべきだということ。
○「誰の~」この本も中原先生の推薦図書にあったな。早速読んでみよう。
・精神を広く世界に観察しようとする。精神は人の身体の一部(頭や脳)に
 局在しているわけではない。
・目の前にある現実にどれだけ忠実になれるか。
・情報は環境に実在して、人が発見するのを待っている。

投稿者:関根雅泰

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