「誰のためのデザイン? 認知科学者のデザイン原論」

お薦めの本

「誰のためのデザイン? 認知科学者のデザイン原論」
  D.A.ノーマン著 野島久雄訳

○Sense of Humorあふれる本。読みながら笑ってしまう。
 と同時にデザインに関する問題意識を高めてくれる。

(・引用/要約 ○関根の独り言)
・この本の目的はデザインの問題に対する読者の意識を高めることにある。
 ものを改善することに興味を持ってほしい。
・人がエラーをするのは、その物がよく考えられていなかったり、
 デザインが悪かったりするときなのである。
・道具を使いこなせないと、人は自分を責めるが、デザインの誤りの問題もある。
・日常生活に関する知識の多くは、頭の中ではなく外界の中にある。
・知識と情報の区別はあまりはっきりしたものではない。
・たくさんの情報がつまっているのは、頭の中ではなく、世界の中。
○これは面白いなー。やっぱりアフォーダンスの考え方なのか。
●毎日使う道具の精神病理学
・どう操作したらよいのか目に見える手がかりがある。
・自然に伝えるシグナル。特別意識しなくても自然に解釈される。
 それが自然なデザイン。
・可視性があり、したいこととできそうなことの対応づけが容易なもの
・材料、道具の心理学の出発点となる研究は「アフォーダンス」である。
・アフォーダンスとは、そのものをどのように使うことができるのかを
 決定するもっとも基礎的な特徴のこと
・ものがどのように機能するかについての手がかりは、目に見える構造から
 得られる。とりわけ、アフォーダンスと制約と対応づけからだ。
・概念モデルは、メンタルモデルの一部
 デザインモデル→システムイメージ→ユーザモデル
・使いやすい、ユーザが学習しやすいデザインは、可視性があり、
 対応づけがよく、自然にわかる。
○現場OJTで、新人がたとえば機械の扱いがなかなかできないとき、
 その原因はいままで新人の物覚えの悪さにおかれてきたが、
 機械のデザインという側面もあるのかもしれないな。
・フィードバック ユーザが行った動作が適切に行われたのかがわかる。 
 押すとなるとか。
●日常場面における行為の心理学
・自分をせめてしまうという誤り。悪いのはデザイン。
・説明好きな人間
 メンタルモデルは、ものごとの説明を作り上げようという人の持つ傾向
 から生まれる。
○確かに、人は意味を求めるし、それを他者に説明しようとするな。
 他の動物とは違う特徴なのか。
・自分を責めるというのは「学習された無力感(learned helplessness)」
 と呼ばれる現象で説明できる。
・「教えられた無力感(taught helplessness)」もあるのでは。数学嫌いなど。
・人はどのように作業するか「行為の7段階理論」
 ゴールの形成→意図の形成→行為の詳細化→行為の実行→
 外界の状況の知覚→外界の状況の解釈→結果の評価
・よいデザインの原則
 「可視性」「よい概念モデル」「よい対応づけ」「フィードバック」
○この本は、ぜひ物をつくるデザイナーには読んでほしいよなー。
 確かに格好はよくても、使いづらいものって多いもんな。
●頭の中の知識と外界にある知識
・知識が不正閣であっても正確な行動ができる理由として、
1)情報は外界にある
2)極度の精密さは必要ではない
3)自然な制約が存在する
4)文化的な制約が存在する
・外界に知識を保存しておくための様々な製品
○ブログもそうかも。検索しやすい、外界に知識を保存しておく道具
●何をするかを知る
・アフォーダンスは重要。それはどのように使え、行為でき、
 機能しうるかに関するメッセージを伝える。
・アフォーダンスと制約の両者をよく考えてデザインに利用すれば、
 ユーザが適切な行為を行うことができる。
・4種類の制約「物理的」「意味的」「文化的」「論理的」
・単純な道具にたった一語であっても利用マニュアルをつけなくては
 ならないとしたら、それはデザインが悪い。
●誤るは人の常
・エラーの基本的な形態として「スリップ slip」と
 「ミステーク mistake」がある。
・スリップが生じる前にそれを防止することと、起こってしまったときに
 見つけだし修正する。この2つをふまえてデザインを考える。
・認知科学という発展途上の分野では、人間の記憶や認知に関して、
 2つの異なる見解がある。
 1)思考は合理的で論理的で秩序だったものととらえ、
   記憶のメカニズムとしてスキーマ理論を発展させてきた立場の人たち
 2)脳の働きそのものに基づいた「コネクショニズム connectionism」
  という立場の人たち 思考の大部分は、パターンマッチングシステムから
  生まれるとする。記憶の中にものを放り込んで積み重ねていくととらえる。
・意識的でない思考は、これまでの経験から現在の経験にいちばんマッチ
 するものを見つけることによって機能しているのではないか。
○ノーマン先生も、コネクショニズムの考え方?
・誰でもエラーを犯す。デザイナーはエラーを考慮しないという過ちを犯す。
・必要とされる知識は、外界においておくこと。必要なものすべてを
 頭の中に入れておくことを要求してはならない。
○これは、新人へのOJTでも当てはまるかも。
 実際「メモを取らせて、ノートを作らせる」のは、外界に知識を
 おいておく一つのやり方なのかも。
●デザインという困難な課題
・qwertyキーボードで、F.マグリンが、ブラインドタッチをした。
 そこから広がった。
 英語でよく現れる文字の対は、両手が分担して受け持つようになった。
 (i e など)
・デザイナーは、道具に習熟してしまう。
 ユーザは、その道具を使って行おうとする作業に習熟する。
・一度失われてしまった初心は、簡単には取り戻せない。
○これは確かにそうだよなー。疑問に思わない、当たり前と思ってしまう。
 こういう状態は、自分で意識して「初心を取り戻す努力」が必要になるかも。
 ランチェスター経営の竹田さんの言葉では、経営者も7年間は初心を
 保てるが、10年たったら忘れておごってくる。
 俺は5年たった。まだ初心を忘れていないつもりだが、気をつけないと。
・デザイナーを脅かす誘惑「なしくずしの機能追加主義」と
 「複雑さをありがたがる信奉」
・よいデザインの原則
 可視性、制約、アフォーダンス、自然な対応づけ、フィードバック
●ユーザ中心のデザイン
・ユーザが何をしたらよいかわかるようにしておくこと、
 何が起きているのかをユーザにわかるようにしておくこと、この二つを確実に守る
・対象を目に見えるようにして、実行のへだたりと評価のへだたりに橋を架ける 
 これこそ本書のテーマ
○三宅なほみ先生や佐伯先生(仮名 田中さん)の話もでてきた。
 佐伯先生は、アフォーダンスの考え方を、佐々木先生に紹介した方。
 やっぱりすごいなー。

投稿者:関根雅泰

コメントフォーム

ページトップに戻る