「ネットワーク分析~何が行為を決定するか」
安田雪
○個人の行為を決定するのは、その人を取り囲むネットワーク。
ネットワーク分析の基本的な考え方が分かる。
(・引用/要約 ○関根の独り言)
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●はじめに
・個人の行為を決定するのは、その個人か、それとも取り巻く社会か?
・ネットワーク分析は、ネットワークがあなたを作り上げるという観点を支持する
・環境は個人よりも強し
・「行為者の行為を、個人的な属性からではなく、その行為者を取り囲む
ネットワークによって説明する」のがネットワーク分析
・個人の意志や感情は、どこにいってしまうのか。
個人の意志や信念は、全く否定されてしまうのか。
○ネットワークによって俺が作り上げられている。
周囲や目の前にいる人との関係性で、俺の行為や振る舞い方が変わる?
何となくわかるような、納得いかないような。
俺の子供の振る舞いも、親である我々の前のものと、学校内、学童内、友達の前、
保育園仲間間のものでは違う。それも本人の意志というよりも、ネットワーク、
他者との関連性?
そうだとすると、確かに個人の意志はどうなるのか?
そのネットワークの中で、そう振る舞うこと、行為をすることを、
本人が決めたとすれば、そこに個人の意志は反映される。そう考えてよいのか?
何にしても、ネットワーク分析、おもしろそう。
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●ネットワーク分析とは
・さまざま「関係」のパターンをネットワークと捉える
・「取り囲む他者の力」を重視することで、個々の資質を要因とする
「属性主義」から自由になれる。
それによって、自身、他人、社会現象に対する解釈の仕方に深みがでる。
・問題は、個人がどのような資質や特徴を内面に備えているかではなく、
その人がどのような他者に囲まれているかなのだ。
○「朱に交われば赤くなる」って感じなのかな。
起業する前は、なるべく既に起業している人と話せ、といわれた。
考え方がぜんぜん違うからと。
確かに、今は当たり前になった(かな)起業家、経営者的な考え方も、
当時はついていけなかった。
既に起業している人たちに囲まれ、かつ自分もその世界の一員になることで、
行動が変わってきたのかも。
「どのような他者に囲まれているか」これは確かに、その人自身を
規定していくものなのかも。
・ネットワークは、道具にも資源にもなる。同時に、ネットワークは、
制約でもあり拘束でもある。
・人々は社会の中で様々な人間関係に制約を受けている。
その拘束のもとでは、個人がいくら望んでも、努力してもどうしようもない
こともある。
・行為を決定するのは、行為者を取り囲む関係構造
・「巨人の肩の上で On the Shoulders of Giants」
先人たちの積み重ねの上で、科学は発展していく
より遠く広く深くを見られるのは、巨人の肩の上に
自分が立っているから という謙虚な認識を持つ
○俺に必要なのは、巨人を知ること。巨人の肩の上に乗れるよう、
先行研究を知ることだな。
そこまで行かないと、スタートラインにたてない。
・企業がどのような企業と取引を行っているのか、その取引相手を調べる方が、
その企業についてより重要な情報を与えてくれる場合もある。
○これは確かにそうだ。
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●ネットワークのデータとモデル
・グラフ理論は、点と線の結びつきの構造について、研究する学問。
・一見まったく異なって見えるネットワークが、実はグラフ理論的には
同じ性質をもっていたりする。
・ネットワークの効用を過大評価することは、ある種の
ロマンティックな「ネットワーク幻想」につながりかねない。
・「人脈を活用する」といったときに連想されるどこか冷徹で否定的で計算高い
イメージが「ネットワークを活用する」と表現されることで、自由で明るく
ポジティブに変わる。
・「バルネラビリティ vulnerability のパラドックス」
ネットワーキングのプロセスにおいては、弱い者、他者の力や助けを
必要とする者ほど、他者から力を引き出す可能性が高いという
「弱者の強さ」という矛盾
○これはあるよなー。
自分もそうだったけど、起業当初、先輩起業家の話を聞こうとする自分は
「弱者の強さ」だった。
強者の方は、俺から得られるものは少なかったはず。
つまり「Win-Win」にはなっていない可能性。
あえて言えば、後輩に教える楽しさ、将来の味方づくり、ぐらいしかないかな。
今、俺のところにも、「独立したい、起業したい、会って話を」という依頼がある。
(時間がとれないことが多いが)
これも「バルネラビリティーパラドックス」だな。
・行為をおこなったまさにその結果として、自分をバルネラブル
(傷つきやすい、攻撃を受けやすい)な立場においてしまうという
2つめのパラドックス。
・情報を出せば出すほど、文句をつけられたり、
非難されたり、面倒なことを頼まれたりする
○ブログでの情報発信にも、この要素はあるかもなー。
・紐帯の力=行為者間の関係の強さ
・調査であれ、フィールドワークであれ、既存のデータであれ、ネットワークの
データを得ることができれば、ネットワーク構造の分析を始めることができる。
・ネットワークの境界の問題=ネットワークの大きさ、範囲を
どのように限定するのかが難しい
・パーソナルネットワークを調査するというのは、それぞれの
人と「社会」との関わりを調べること。
一人の人にとっては、その人が直接接する「他者」がいわゆる「社会」との接点。
・密度の高い、低いネットワーク
○俺のネットワークは、密度は中くらいかなー。
・集団の中で中心的な人物は誰かという問いは、誰が権力を握っているかという
問題と密接な関係にある
中心人物は、もっとも権力をもっている
・似たもの同士は、クラスターとしてグループ分けする
・産業内で結束していない相手を取引相手に選ぶならば、
バーゲニングパワーが自分に有利に働く。
○バラバラな相手の方が与しやすい。
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●ネットワーク分析の応用研究
・ネットワーク上で議論が極端に感情的になり、過激な内容をやりとりする
ような論争は「フレーミング flaming」と呼ばれている。
○「炎上」と同じかな
・グラノベッターの調査では、強い紐帯よりも、弱い紐帯を使って獲得した情報に
基づいて転職をした人の方が、より良い仕事についたという満足度が高い
「弱い紐帯の力」
・自分がいる世界とまったくかけ離れた世界にいる人々は、自分とは異なる
質や量の情報をもっている、そのために、彼らと自分を結ぶ「弱い紐帯」には、
強い紐帯以上の情報収集力があるのだと、グラノベッターは論じた。
・日本では、強い紐帯が転職において重要な役割を果たすという調査結果がでた
・よい理論や仮説は、一つや二つの調査結果だけで、支持されたり、否定されたり
するような性質のものではない。アイデアが、研究対象に投影され、具体的な
作業仮説と概念化を伴って緻密に検証されていく。
○デュルケームの「自殺論」もそうなのかも。
・ボットは、ネットワークの密度が、夫婦の役割分担を決定するという仮説を提唱。
ウェルマンは、世帯の中の課題の量が、ネットワークを限定するという
競合する仮説を提唱。
・夫婦関係が世帯外ネットワークを規定する場合もあると同時に、
ネットワークが夫婦の関係を規定する場合も存在する。
・ウェルマンによる三種類の「コミュニティークエスチョン」
1)コミュニティ崩壊論
2)コミュニティ存続論
3)コミュニティ解放論~地域に限定せずに存在
・会社の内部と外部との接触の場、いわゆる「インターフェース」
にいる人には特殊なネットワークの効果がある。
インターフェース上の位置を占める人々に対しては、昇進速度
に対するネットワークの効果が一層強く現れる。
○インターフェースは、新入社員が職場に入っていくときに、接する人たちのことか。
ネットワークがもつ情報収集機能。
ネットワークを作ることができた新人にはそれだけ情報が入ってくる。
教えてもらえる人が増える。
・個人のもつネットワークを社会資源ととらえる
・産業にとってもっとも有利なネットワークのパターンは、
企業の結束度が弱い産業を取引相手に多数もつこと。
・日本の六大企業集団
・国々の経済発展の違いは、何に起因しているのか。
二つの理論がヒントになる
1)従属論 dependency theory
2)世界システム論 modern world system
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●ネットワークを支えるもの
・個人の行為を決定するのは、構造か、個人か。
それがネットワーク分析の究極の問題。
・「構造」とは、行為者の間の関係がパターン化されたものが、
時間的に見ても比較的長い間、安定して存在していることが重要
「構造」とは、人々の行為が関係を形成し、形成された関係が安定したもの。
・本書では行為者の周囲の構造こそが、行為を決定する重要な要因であると
述べてきた。
ネットワーク分析の考え方は「構造主義」と密接な関わりがある。
・ひとつの現象を単体でとらえるのではなく、周囲の現象との関連でとらえる
・異なった領域の人々の間の対話を可能にするのが、統計学と数学
○やっぱり統計学と数学を知らないと、研究者の世界でやっていくのは
難しいんだろうな
・何らかの特定の事象への問題意識や興味が存在し、ネットワーク
分析を応用して、その関心ある対象を切っていくという研究者
○俺はこっちだろうな。
新入社員の成長に、ネットワークが関連していると考えている。
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