09年11月12日(木)12時45分~14時15分
JMAM人材教育主催「人材教育フォーラム2009」
「若手人材の育成で組織を活性化させる」パネルディスカッションに
参加してきました。
私の理解の範囲で、どんな内容だったかお伝えします。
(・講演内容 ○関根の独り言)
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●中原先生による導入
・若手の育成は、学術的には「組織社会化」という観点がある。
・組織社会化のパワフルなエージェントは「人」である。上司、先輩、同僚。
80年代の若林先生の研究でも「最初についた上司の影響の大きさ」が言われている
○この先生の研究を読んでみよう。
・日本企業にかつてあったと考えられる「非意図的で暗黙の仕組み」がなくなった。
・人事部は「若手育成」といったときに対象の若手だけでなく、
上司などにも働きかける必要があるのでは。
・新人が入ることで、組織への影響「相互社会化」もあるのでは。
後輩ができることで、元気になる2年目社員とか。
○これはあるだろうなー。
この分野の研究は、尾形さんの「組織社会化と組織活性化」以外だと、
どんなのがあるんだろう。
これを明確に示せると、新人採用や育成のメリットを、経営陣や現場に
説明しやすくなるかも。
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●あすか製薬 人材開発センター 澤田幹夫氏
・「部下の成長は、上司の仕事」という考え方
・かといって上司だけに、部下育成を任せるとつぶれてしまう。
・若手が受ける研修は、上司もセットで内容を理解し、指導するようにする。
研修前後に、上司がからむよう働きかける。
・会社の重点施策と関連して、部下指導が行えるよう。
研修と業務の紐付けを意識している。
・若手と上司をセットにして、教育を提供。
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●日本旅行 総務人事部 加藤浩章氏
・採用 07年128名、08年148名、09年132名、10年30名
(06年以前は、5~60名の採用)
○07年~09年は、各社ともに採用数が多かった。
この層と、この前後の層の人数構成が、あとあと響いてこないのかな。
バブル期の3年間(バブル、バブラー、バブレスト?)の採用時期のように。
・若手自身に「折れない心」を作ってもらう「心に筋肉をつける」
○この言葉いいなー。俺が考える「学び上手」とも近いのかも。したたかに学ぶ。
・1~7年目までを研修する。(1年目、3年目、7年目)
○7年目で一人前という考え?
・導入教育は、スパルタ 20日間
3日間外部 泣いたり脱走したりするぐらい厳しい研修。軍隊調。
最初やりこめる、3日目には達成感
○これは「組織社会化」の一つのやり方として、Van Maanen(1976)がいう
「新人の地位、価値、品位、評価を下げる経験(debasement experiences)」
というものかな。
「一連の自己卑下や不名誉、屈辱や冒涜を通じて、
新人を型にはめていくプロセス」(尾形2008)
・研修がない年次は、人事部が現場にいって面談をしている。
○これも1人でやっているとしたら大変だよな。研修を回しながら現場にも行く。
でも、それがいいのかも。研修ばっかりまわしていても現場との接点がなくなる。
・「里親制度」を、09年から始めた。各地域において、四半期に一回飲ませる。
・離職率の低下、後輩育成の意識向上
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●森永製菓 人材開発センター 曲尾実氏
・採用 09年50名、10年30名、
・3年間で自律型人材を育成
・新人研修は、3ヵ月。うち5月は、配属される職場での実習。
○これよさそう。自分が働く職場に実際いって、かつ戻ってきて、6月は同期と
研修が受けられる。
かりに「リアリティーショック」があったとしても、尾形さんのいう
「肯定的他者依存型対処」ができるかも。
同期同士で、励まし合って、7月からの配属への準備ができるかも。
・新人のうちからキャリアについては考えさせている。
・1年目研修から2年目研修の間は、通信教育でつないでいる「シゴトレ」
○JMAMさんの「シゴトレ」って結構売れているのかも。(あすか製薬、森永製菓)
・OJTトレーナー制度、メンター的な役割。
配属直前(6月?)、中間(10月)、終わり(2月)の3回「トレーナー研修」
○これは結構手厚いなー。少なくとも、中間のミーティングだけでもやると
いいよなー。
配属直前のOJT研修だけでなく。
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●ディスカッション(近くの方と3人で)
・「育成する側」とセットでという考えが面白い。
・業務と研修の分離は確かにある。
・うちは、スパルタ研修はやってない
・世代に断絶がある。学んでいる技術も違う。価値観も違う。
・育成の概念を変える。「手とり足とり教える」のが育成ではなく「環境を作ること」
育ちやすい環境を作るのが、マネジャーの仕事。
・上司も若手が育たないと落ち込む。でもどうやったらいいのか分からない。
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●質疑応答
・上司と部下のセットとは言っても協力しない上司もいるのでは?
→人事部とラインでのワークショップにより、信頼関係ができているので、
反対はない。
・メンター活動を具体的に
→4年目以降社員が、新人のメンターとなる。ただペアで終わらないよう
上司にも絡んでもらい、上司がメンターと話す機会を作っている。
メンターが相談する相手がいないという状況を作らないよう。
○これってやっぱり大事なんだろうなー。OJT指導員一人に指導を押し付けない。
指導員やメンターにも相談相手が必要。彼らは新人に弱みを見せにくい。
・スパルタに今の新人がついていけるのか?
→ついてきている。ついてくるよう仲間に手を差し伸べるようにしている。
人事は「で、どうしたいの?」と問いかけるだけ。
・「折れない心」をつけさせるために?
→本人が納得いくまで考えさせる。会社を出ることもいとわない。
自分で決めて、会社にいてほしい。あるいは出てほしい。
・新人へのキャリア教育は、寝た子を起こすのでは?
→管理職から先にやって評価が高かったので、全社展開している。その心配はない。
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●中原先生からのコメント
・若手育成を「対処療法」でいくのか「環境作り」でいくのか。
・見直しの単位は「職場」では
・でもどこまでコミットするのか、環境といったときに。
そして、民間ベンダーはどんなパートナーシップを結ぶのか。
○職場に対する働きかけは、何とかできるかも。
外部の人間が、職場にいって、職場内ワークショップをやるのも一つだよな。
これは今後の研修事業の一つとして考えていかないと。
本社に呼んでの集合研修ではなく、現場に飛んでのワークショップ。
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(今回も非常に参考になりました。どうもありがとうございました。)
雑誌「人材教育」http://www.jmam.co.jp/jinzaimm/index.html
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