「自律する組織人~組織コミットメントとキャリア論からの展望」

お薦めの本

「自律する組織人~組織コミットメントとキャリア論からの展望」
 鈴木竜太

○自律を促すことが、組織への情緒的コミットメントを強くする。
 

(・引用/要約 ○関根の独り言)
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●まえがき
・人はいかにして組織と上手く折り合うことができるのか
・自分らしく仕事をしていきたい。しかし会社や組織がなければ仕事ができない。
○これは御蔭さまで今の俺にはないなー。
 会社や組織に属していなくても仕事はできる。
 お客様を見つけることさえできれば。
・選択肢は、組織を飛び出して自分のキャリアを自律的に歩むことか、
 組織に従い組織のメンバーとして仕事をしていくことの2つしかないのか。
○第3の道の一つとして、組織と契約を結ぶICの生き方もあるよなー。
 田代さんのように。
・組織としても、従業員に自分の強みや特徴を自律的に伸ばしてほしいと思う反面、
 組織に沿う形で仕事をしてほしいと願い、きちんと組織の命令に従ってほしい
 というアンビバレントな考えを持っている。
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●第1章 組織と個人の関係の考え方
・会社との距離感をどのように保っていくのか、会社の要求と自分の目標を
 いかに折り合わせていくのかということをより強くキャリアの中で考えていく
 必要のある時代に入ってきている。
・現代において社会の中での存在を確かめるためには、組織に属し、人と協力する
 ことが必要条件になるのである。そのためにも人は社会と個人の間に、組織と
 いうものをおかねばならない。
○組織を間に置かなくても、社会での存在を確認することはできないか。
 
・「組織と個人の関係はどう考えたらよいか」これは「考えなくてもよい問題」
 である。今までは、自分が考える必要はなく、会社が考えてくれた。
・しかしバブル崩壊後、考えなくてもいい問題は、たまには考える必要がある
 問題になってきた。
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●第2章 組織と個人の関係はどのように表現できるのか
・組織行動論の中の「組織コミットメント」という研究分野。
・社会学は「行動」に結びつくコミットメント。→1)「功利的コミットメント」
 社会心理学および行動科学は「態度」に関わるコミットメントを検討してきた。
  →2)「情緒的コミットメント」
・1)功利的コミットメント: しがらみ、交換関係
・付属的賭けとは、首尾一貫した行動を止めると失われるか、無価値になると
 みなされる個人が投資した価値のこと。
・一見非合理に見える行動をし続ける人間をコミットメントという概念で説明。
 一度はまると抜け出すのが難しい。
・2)情緒的コミットメント: 愛着、一体感、誇り
・仕事コミットメントという概念は存在し研究もなされている。
・仕事の豊かさや役割の状況は、その従業員に会社における意義や重要性を
 認識させる一つのメッセージであり、そのメッセージが好意的であるほど、
 従業員は情緒的にコミットするのである。
・職場の雰囲気が好意的な状況であるほど、そこで働く従業員の情緒的な
 コミットメントは強くなる。
・親和的な組織文化であるほど、そこで働く従業員の組織コミットメントは高い。
・親和的な組織文化とは、困った時に皆が助けてくれる文化や、階層などに関係なく
 意見を尊重してくれる文化といったようなこと。
 職場のメンバーが仲が良ければ、そこで働く従業員の組織へのコミットメントが
 強くなる。
・日本人がいう「忠誠心」と「組織コミットメント」は似て非なるもの。
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●第3章 組織と個人の関係はキャリアの発達と共にどのように変化していくのか
・J字型カーブ
・勤続年数によって変化する「何か」が、コミットメントに影響を与えている。
・リアリティショックへの3つの対処「ギャップの解消」「先送り」「規範性」
・2年目以降は、仕事に慣れてきたことと並行して、組織と個人の関係を考える
 ような機会が極めて少ないことが、組織と個人の関係を停滞させる原因となっている
○2年目社員に対する研修企画は「ネタがない」という話を、教育担当者から
 聞くことが多い。
 組織と個人の関係を考える機会としてもいいのかも。
 1年以上やってきたふり返り、自分が何を会社に期待していたのか、
 会社は自分に何を期待しているのか、今後自分は何をしたいのか、
 いわゆるキャリアのことを考えさせてもいいのかも。
・昇格が、組織へのコミットメントを強くする。
 組織と個人の関係を考えさせる機会となっている。
 昇格という組織の中での次のステージに進むことで、それまでのキャリア上の
 焦りが、仕事や会社への前向きな気持ちに一度整理、消化されるのである。
・組織に長くいるほと、転機をより良い方向に理解する傾向がある。
 
・Jカーブが上昇に向かうのは、大体7年目。それを引き起こす要因は、
 「昇格」「30歳」「結婚」
・二十代後半から三十代にかけて、自分のキャリアを考える人がそれほどいない
 という事実が、調査から分かった。
・キャリアホープを強く感じる人ほど、情緒的に組織にコミットする傾向があり、
 キャリアがドリフトしている状態、つまり自分のキャリアに関心が低い人、
 自分でかじ取りをしていないと感じている人ほど、情緒的に組織にコミット
 しなくなる傾向が見出された。
 キャリアに関心のある人、自身でかじ取りをしていると感じている人ほど、
 会社に対して愛着や一体感を持つ傾向がある。
○これが「寝た子を起こしても」大丈夫そうな理由かも。
 キャリア研修等を通して、改めて自分と組織の関係を考えさせる。
 それがひいては、個人の組織への情緒的コミットメントを高める要因となる。
・キャリアは会社が決めることではなく、自分で決めることだということを考えて
 もらうこと、その上で会社が従業員に示せる可能性をきちんと示すことが
 できるのであれば、従業員の組織へのコミットメントは高くなるのである。
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●第4章 会社は従業員との関係をいかに管理していくのか
・組織は同時に多くの人との関係を持っているが、個人は一つの組織との関係
 しか持ちえない。となれば、関係のあり方に不一致があった時に、パワーを
 持つのは組織の側であるのは必然。
 個人が組織のやり方に沿うこと以外に、良好な関係を維持するのは難しい。
・組織側が考える組織と個人の関係は、マネジメント、経営管理手法に現れる。
・途中で転職すると「見えざる出資」が回収できなくなる。
・企業特殊スキルが大きい従業員は、特定企業に居続けるインセンティブを持つ。
・上記2つは、付属的賭け理論で説明できる。
 「見えざる出資」「企業特殊スキル」は両方とも企業を離れることで無価値になる。
 その結果、功利的に組織にコミットすることになるのである。
・補欠のメンバーのモチベーションやコミットメントが高い時にはチームが強くなる
・コア人材のコミットメントを高めて定着率を上げるというよりも
 非コア人材のコミットメントをいかに維持していくのかということが重要かも。
・サブのメンバーのコミットメントを上げたいと思っても、サブの役割を与える
 ということ自体が、コミットメントを下げる大きな要因になっている。
・失敗への適応過程として、再加熱と冷却という考え方がある。
・企業としてより多くの人を加熱して競争をあおることで、努力やコミットメント
 を引き出すことは重要であるが、同時に選抜されなかった人たちをいかにして
 取り扱うのかが問題となる。
・日本企業は上手に加熱すると同時に、上手に冷却していた。
・情緒的なコミットメントが強い人は「組織市民行動」をとる。
 
 自分の役割ではなくても、組織の一員として行うような行動のこと。
・組織への情緒的コミットメントが強いことの良さは、組織のため、仲間のために
 ほんのちょっとの頑張りや努力が、組織全体で起こることではないかと思う。
 仲間がいるからもう少し頑張れる。
○これは確かにあるよなー。
・社会全体として「自分のキャリアは自分でデザインしていく」ということが
 一般的になった状況が、結果として安定を求めるというパラドキシカルな結果を
 生み出しているのである。
・自律を促せば促すほど、人は不安に陥り、その自由や自律を有効に活用するので
 はなく、その不安を取り除くために体制に対して依存的になってしまうこともある
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●第5章 これからの組織と個人
・状況対応スキルを持っていると認識している30代前半の人ほど、キャリアに
 対しての見通しが立ち、そのキャリアに対して希望を感じているのである。
・30代後半で自律している人ほど、将来の見通しや希望を強く感じることができ、
 同時に組織への情緒的なコミットメントを強くしている。
・自律できることが、自分のキャリア形成に取り組むことになり、それが将来の
 見通しや希望を感じさせ、結果として今の組織に情緒的にコミットすることになる
○キャリアを考えた時に、見通しが立たない状況を再認識してしまったときは
 どうする。
・自律している人ほど、むしろ情緒的にコミットする。
・組織変革を成し遂げる人材は「組織を背負う意識」をもち、
 「組織の未来に対してコミットしている」
 そういう人材は「発言行動」も多い。
・キャリアホープを強く感じ、キャリアドリフトしていない人ほど、組織を背負う
 意識が強い。
 組織の中でキャリア上の希望がしっかりと見え、自分でキャリアをかじ取りしよう
 という意識が強い人ほど、組織を背負う意識が強いのである。
○「希望がしっかりと見え」これを見せるのが大変そう。
・タマノイ酢の事例 ローテーションが早い
 周りが教えたり、支えたりしないと仕事が動かないという現実。
・お互いに教え合ったり、支え合ったりする文化は、他者を大事に思う結果、
 自分がいち早く自律しなくてはならないという意識を強く持つことになる。
○これが新入社員だと、あまりに手厚すぎると依存心が高くなってしまわないか
 という不安もあるかも。
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●自律する組織人
・本書の主張の一つは、自律することと組織との関係を保つことは、決して
 二律背反な事象ではないということ。
 自律をしていくことは、組織から離れることを必ずしも意味しないし、
 組織との関係を強固にすることあ、必ずしも個人の自律を阻害する訳ではない
・自分の意志で組織と関わる
・2つの自律する組織人の姿
 1)自分のアイデンティティを強くもち、それにより組織ときちんとした距離
   にいる存在としての組織人  組織との適切な距離
 2)組織を背負っていくような形での自律する組織人
   その個人の意志や行動そのものが組織の行動となる
・この本は「組織と個人」の続編のつもりで書いた。
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投稿者:関根雅泰

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