「教え方」に関するビジネス書(1989年~2012年)

8.オススメ本/論文

1989年から2012年にかけて発売された「教え方」に関するビジネス書。
(当然、他にもありますが、とりあえず私の手元にある本です。)

===
『いちばんやさしい教える技術』 向後千春 2012年
・学習者検証の原則:相手にきちんと教えられたかどうかを検証する
  ためには学習者を見る
 学ぶ人がいい結果を出せないのは、教える人の責任。
・教える前に、できるようになってほしい具体的なゴールを決める。
・教えるゴールとしての行動は3つに分けられる:
  運動スキル、認知スキル、態度スキル
・運動スキルの教え方:スモールステップ、現状を伝える情報FB
・認知スキルの教え方:分散学習、関連付け、問題解決のパターン
・態度スキルの教え方:命令ではなく質問、コーチングのGROWモデル
・教え方には様々な種類があるが、その基本はごくわずかの原理に集約。
○インストラクショナルデザインで有名な向後先生。
  この先生のブログ記事「研究発表は息継ぎのようなもの」でだいぶ
  気が楽になったことがある。
===
『コーチング以前の上司の常識 教え方の教科書』 古川裕倫 2012年
・駆け出しの部下教育には、コーチングよりティーチングの方が効果的。
・まずはとことん基礎から教えること。何も分からない部下だからこそ
  手取り足とり教える。
・部下がある程度育つまではしっかり教えることが大切。
  はじめにしっかり教えることで部下が育つ。
・教えられることで学び、失敗したり悩んだりする中で、仕事の基本を
  身につける。それを繰り返すことで、やっと自分の考えをもてる。
 
 そこにたどり着いて初めて「君ならどうする?」という問いがいきる。
・教える側がしっかりと信念を持ち、相手がどんな人であれ、軸を
  ぶらさずしっかりモノいうことこそが、教育に大事な姿勢。
・仕事を教えるときには、仕事の喜びも教える。
  満足感や達成感を感じさせる。
・仕事から学んだことで家庭でも活用できることは山ほどある。
・今嫌われても、教えることに注力する。
・若手リーダーに求められるのは、元気でタフで現場のことを一番
  知っている、つまりは「行動力」のあるリーダーです。
・部下を知るための5つのポイント:
 1)部下の長所と短所は何か?
 2)褒めて伸びるのか、叱って伸びるのか?
 3)行動力はあるのか、ないのか?
 4)理解度はどのくらいのレベルか?
 5)どんな考え方をもっているか?
・仕事の流れを教える。今はどの段階で、次は何をするのか。
・合格ラインの仕事をさせるためにも、完成形を見せる。
・スムーズな仕事をさせるためにも、目安時間を伝える。
・まずは精度を求め、次にスピードを求める。
・叱る時のコツ:短く、気づいたその時、そのことだけ、
  場所を選んで、環境や事柄から。
○企業で役員経験のある方が書いた本。
===
『教え上手 自ら伸びる人を育てる』 有田和正 2009年
・教え上手は「技術」と「人間性」をもつ。
・教え惜しむ技術。いかに教えないか。省く技術。
・材料に何を使うかによって教える技術の上手い下手が分かれる。
・何を教えるかは何を問うかにかかってくる。
・思考を絞る、広げる、深める発問。
・わざと間違った事実を提示する。もっとも肝心な部分をあえて教えない。
・教えるとは、疑問から回答までの道のりを、
  自分の足で歩けるようにすること。
・「わかる」の反対は、「わかったつもり」。
・「やさしいところから、難しいところへ」は教え方の常道だが
  上手くいかない。冒頭に一番面白い部分をもってくること。
・「わかった」が7割、「はてな?」が3割、が良い授業。
  そういう授業にするのは、材料7割、技術3割。
・教えるという行為は「空気」がするもの。
・相手を笑わせようと思ったら、まず自分から笑うこと。
  それだけで場の空気はなごむ。
・「可愛くば5つ教えて、3つ褒め、2つ叱ってよき人とせよ
  (二宮尊徳)」
・叱る時の5つのポイント:
 1)強く、短く叱る
 2)相手の身になって叱る
 3)目を見て叱る
 4)他人と比較して叱らない
 5)今のことを叱る
○教員の方が書いた本。
===
『あたりまえだけどなかなかできない教え方のルール』 田中省三 2009年
・教えることの本質:
 1)自分ができることを、相手にもできるようになってもらうこと
 2)教えた相手が、自力でできるように自立してもらうこと
・教える時の3つの段階:
 1)ティーチング 2)コーチング 3)自立
・相手のレベルを確実に理解するために、相手に言葉で尋ねてみて、
  今までの経験や理解度を把握する。
・できるようになる楽しさ、成長する喜びを伝えたい。
・C(楽しさ、やりがい)→B(効果的なやり方)→A(教える内容)
・過去→現在→未来の順番で教えると、聞く側の理解がスムーズに進む。
・研修での休憩は、疲れる前にとる。
・教え終わった後の状況を、先にイメージする。
  教えた後の聞き手の理想的状態。
・80%の時間で教え終わるタイムテーブルを組む。
○塾講師、プレゼン研修講師の方が書いた本。
 (一度お会いしたことがあります。その節はお世話になりました。)
===
『頭のいい教え方のすごいコツ!』 開米瑞浩 2009年
・ティーチング=知識を与えること
  知識を与えるティーチングの重要性はむしろ高まっている。
・コーチングを実際にやろうとすると、それ以前にティーチングが
  しっかりできていないことに気づく。
・「新入りに任せられる」仕事の典型と言えば、コピーとり、書類整理、
 電話番、荷物運搬といった雑用。しかし、IT化(や外注、派遣)が
 進んだ現在では、減少の一途。
・学習モデル:
  基礎知識→発展知識→設問→考慮時間→アウトプット→フィードバック
・知識の構造化:分解、分類整理、関連付け
・コーチングは「知識を教える力の代わり」にはならない。
・業務専門家が伝えたいこと→初心者が誤解しそうなこと
  これらを把握する教育のプロ:構造化、エラー予想、教育シナリオ
・テーマに見合った順番に並べること(順番に意味を持たせる)
・学習効果を上げたいならば「教え方」だけでなく、「学ぶ力」を向上
  させるための手も打たなければならない。
○IT技術に強い研修講師の方が書いた本。
===
『教え方 教えます』 荒巻基文 2008年
・「誤解」は無い。「二つの理解」があるだけ。
・困りごとは、実は自分に何かを学ぶようにと発せられているシグナル。
・相手にとってちょうどよい加減の内容や量を与えることができるのが
  良い指導者。
・浮きこぼれ対策としての「段階的指示 Graded Tasks」
  例)早く終わった人には、発展的な課題を与える
    1)自分なりの工夫を考えさせる
    2)論点をまとめさせる
    3)似たケースが仕事でないか考えさせる
・2つほめてから、Butを使わず、アドバイス。
○産能大学や企業での研修講師の方が書いた本。
===
『できる人の教え方』 安河内哲也 2007年
・「教師たるもの五者たれ」学者、役者、易者、芸者、医者。
・100を知ってこそ、1を教えられる。
・教える仕事は、サービス業。
・「いまどきの若い奴」と言い始めたら、ピークを過ぎた証拠。
・Simplification どこまで教えて、どこから教えないか。
・教える側の目標は、与えられた時間の質を高めること。
  準備の段階で教える内容をバッサリ切り捨てて絞り込むこと。
・ハイテンションで話し続ければ、相手は居眠りを始める。
・叱る際に重要なのは、その前後の信頼関係。
・追いつけそうで、追いつけない。
・「健康で元気であること」は、重要な「教える技術」
  「気」は感染する。
○予備校講師の方が書いた本。
===
『相手を伸ばす!教え力』 齋藤孝 2004年
・教えることの中心は、練習メニューをやらせること。
・学ぶ側ができるようになったかどうか、これだけが教えたことの評価。
・教える側に必要な5つの力:憧れる力(情熱)、評価力、テキスト力、
               ライブ能力、育てる力。
・教える側も現在進行形で学び続けている。
・教える側がもつ「評価力」を学ぶ側にも移していく。
  学ぶ側が、自分で自分を伸ばせるように。
・テキスト選びのセンスは、教える者にとって求められる最大のセンス。
・現場での教え方:
 1)アウトライン(目的や狙い、ゴール)を説明する
 2)やらせてみる
 3)見本(お手本)を見せる=違いを認識させる
 4)もう一度やらせる
 5)反復練習させる
・何かと何かを比較させることが、教え方の王道。
・コミュニケーション能力が高い人は、教育力が高い。
・自分で自分を伸ばせるところまで育てることが、教育。
・教わったらすぐに他の人に教えさせる。
○この方の本は、「参加型研修」を運営する時の大きなヒントになった。
===
『相手がわかるように教える技術』 戸田昭直 2004年
・教え方は経験を積めば必ず上手になるというものではない。
  意識して教えるコツを勉強することが大切。
・2W1Gで、教える準備を:Whom(誰に)Why(何故)Goal(目標は)
・7つのプロセスで教える:
 1)いってきかせる(ガイダンス)
 2)やってみせる(モデリング)
 3)やらせてみる(ロールプレイ)
 4)結果を伝える(フィードバック)
 5)ほめて自信をもたせる(フィードバック)
 6)進歩した点と改善点の指摘(フィードバック)
 7)次の目標を設定する(フォローアップ)
○大学教員の方が書いた本。
===
『教え上手になるためのスキル』 市毛恵子 2004年
・いくら教えても相手が受け取っていなければ、
  教えたということにならない。
・教えることの目的は「相手が行動を起こすこと」
・人が「教えてほしい」と思うのは、
 1)問題にぶつかっている時 2)興味や関心がある時
・人は自分が話を聞いてもらわないと、相手の話を入れる余地が持てない。
  呼吸のように、一度自分のことを吐き出さないと、新しいものが
  入っていかない。
・3つほめてから教える。
・NLPにおける学習スタイル:視覚、聴覚、身体感覚優位
○カウンセラーの方が書いた本
===
『仕事の教え方 できない部下は上司の責任』 多湖輝 1989年
・仕事を教える際に参考になるのは、バンデューラが提唱した
  観察学習、モデリング学習である。
 重要なのは、モデルに賞罰を与えること。
  これを観察することで学習が成立する。
・教えたことが相手の心に入りやすくするためには、相手の心に
  受入体勢が必要。この体勢を作る一つが、相手に考えさせること。
・成功談よりも失敗談を。
・マナー教育のために、新人自身にビデオ教材を作らせる。
・完璧な手本を示されるとかえって萎縮してしまう。
・何か教えた時は、その場で復習させることによって、
  記憶を確かなものにできる。
・教育の語源を探ってみると、英語でも独語でも「かくれたものを
  あらわにする」とか「引き出す」という所から来ている。
・くり返しの単純作業は、心の鬱屈や不安を拡散させる効果がある。
・新人のうちはプロセスをほめ、慣れてきたら結果をほめよ。
○「頭の体操」の先生。
===
最後に拙著もさりげなく(笑)
『教え上手は、学ばせ上手』 2009年

『これだけはおさえておきたい仕事の教え方』 2007年

『教え上手になる!』 2006年

投稿者:関根雅泰

コメントフォーム

ページトップに戻る