職場に配属された新入社員の面倒をみる「OJT指導員」。
彼らの多くは「業務との両立」に苦労します。
(ご参考:2011年度「指導員研修」アンケート結果分析
https://www.learn-well.com/blog/2012/07/2011ojt.html )
もちろん新人指導も自業務のうちと捉えている指導員の方もいるですが、
「ただでさえ忙しいのに、新人指導もあって大変・・・」
という指導員も多いのが実情です。
そのような指導員に対して、多くのマネジャーや研修担当の方は
「指導員になることは、皆さんにとっても成長の機会」と
前向きなメッセージを発せられます。
指導員の中には「それは分かっているよ・・・」と
冷めた反応を示す人もいます。
確かに、新人指導をすることは、
指導員にとっての成長の機会となるでしょう。
Feldman(1994)は、組織に新人が入ってくることで、職場にいる個人、
そして会社全体に、プラスとマイナスの影響があると述べています。
ここでは、OJT指導員のような「個人」に対する影響を取り上げると、
【プラスの影響】
・職務態度の向上
・意欲と努力の増加
・組織知識の増加
・専門知識の増加
【マイナスの影響】
・時間と労力をとられ、負荷が増える
・ストレスが高まり、パフォーマンスが低下する
・不公平感が助長される
(例「自分は中途で教わってきてないのになぜ新人にこんなに手厚く・・・」)
・新人に過剰な配慮をしてしまう
(例「ちょっと叱ると辞めてしまうのでは・・・」)
があるとしています。
尾形(2006)も同じように、個人レベルと集団レベルでの新人参入の影響
について述べていて、個人レベルの影響だけ取り上げると
【ポジティブな影響】
・学習機会の創出
・指導機会の創出
・原点回帰
・モチベーション向上
・個人的職務再設計
【ネガティブな影響】
・心理的負荷
・時間的負荷
・職務負荷
があるとしています。
これら「マイナスの影響」や「ネガティブな影響」こそ、
指導員未経験者が不安に感じ、実際に指導員になってみて苦労すること
と言えるでしょう。
そして「プラスの影響」と「ポジティブな影響」で語られていることこそ、
新人指導をすることで、いかに指導員が成長するのかの理由付けにつながる
と言えます。
しかしこれらはあくまで仮説(Feldman 1994)であり、
尾形(2006)もインタビュー調査による探索的研究の結果です。
今後、これらの仮説や質的調査を裏付ける量的調査が必要になってきます。
そこで、東京大学大学院 中原准教授のご指導のもと、
弊社のお客様数社にご協力頂き、
「組織縦断研究:指導員への影響」(仮称)
という共同研究を、2013年4月~2014年3月にかけて行うこととなりました。
(ご協力下さっている皆様、本当にありがとうございます。)
調査結果は、中原先生の論文あるいは書籍として公開されます。
弊社では、調査結果を引用しながら、研修等で活用していきます。
皆さんにも折を見て、調査結果についてご報告できると思います。
「指導員を経験することで、指導員にどんな変化/影響が起こるのか?」
お楽しみに!
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ご参考:中原先生のブログ ↓
「OJTにおける、はじめての後輩指導経験は、指導した本人に
一体何をもたらすのか?」
http://www.nakahara-lab.net/blog/2013/03/ojt_1.html
(関根のツイッター: https://twitter.com/masahiro_sekine/status/316296262024589312)
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