2006年から、教育研修のお手伝いをさせて頂いている
ヤマト運輸さん関連の本。
(・引用 ○関根の独り言)
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『経営学』 小倉昌男 1999年
・創業者の成功経験が、逆に足かせとなった。
・多角化とは反対にたったひとつのサービスに絞ることで、
危機を乗り切ろうと考えた。
ヒントは「牛丼」一本のメニューでヒットした「吉野家」の記事。
・「善い循環」を起こす出発点。その基本的条件は「よく働くこと」
そのために「労働生産性」を高めようと決断した。
・経営とは、自分の頭で考えるもの。その考えるという姿勢が大切。
・私の経営観に影響を与えた講演が3つあった
・業態が違えば、経営の論理が違ってくる。
・共に知り、共に働くという姿勢が、共同体経営。
・どんなものにも、メリットとデメリットの両面がある。
・広く何でもやれる会社と、狭く一つのことしかやれない会社、
どちらの可能性があるだろうか。
・どうしたらデメリットを抑えることができるか。
それを考えるのが経営者の役割。
・考えあぐねているうちに、一つの疑問が浮かんできた。
「個人の宅配の需要は、果たして本当に偶発的で散発的なのか?」
・一台あたりの集配個数をいかに増やすか。
・後方部隊には下請けを使っても、
第一線のお客様に接する者は社員でなければならないと厳命。
・成功の大きなカギを握っていたのが、第一線のドライバー達である。
サッカーのフォワードのように、現場の中心選手として働けるかどうか。
・宅急便が成功するかどうかの鍵は「荷物の密度」ではないか。
とにかく荷物を増やすことが絶対条件。
・家庭の主婦が、買いやすいように、輸送サービスを商品化する必要がある。
・サービスレベルのチェックは、宅急便がサービスの差別化を営業戦略と
している以上、欠かすことのできない大事な仕事。
・サービスとコストは、常にトレードオフ(二律背反)の関係にある。
経営者の仕事とは、この問題を頭に入れ、そのときそのときで、
どちらを優先するかを決断することに他ならない。
・運送業者がサービスを良くするのは簡単である。社員を増やせばよい。
運送業は、労働集約産業であるから、人員を増やせばすぐに
サービスは改善される。
・企業経営において、人の問題は最も重要な課題である。
企業が社会的な存在として認められるのは、人の働きがあるからである。
・「サービスが先、利益は後」という言葉を、社長が言わずに課長が言うと
そこの社長に「お前は利益はなくても構わないというのか」とこっぴどく
叱られる恐れがある。
「サービスが先、利益が後」というのは、社長だから言える言葉である。
だからこそ逆に社長が言わなければならない言葉なのである。
・何でも「第一」の社長は「戦術的レベル」の社長である。
うちの会社の現状では何が第一で、何が第二とはっきり指示できる社長は
「戦略的レベル」の社長である。
・運輸省が、ヤマト運輸のやることに楯ついたのである。
・運輸省と戦うには、世論を味方につけるのが、一番良い方法。
・一般に役人は、新聞紙上に活字となって載ることを
極度に怖がる習性がある。
・SDには「寿司屋の職人」のような働き方が求められる。
彼らのやる気をいかに引き出し、楽しく働いてもらうか、
全員経営の成功はそこにかかっている。
・SDは優しく親切な人が多いとお客様にほめられることが多い。
サービスは受けるお客の立場に立ち、どうすべきかを判断し実行する
という、ヤマト運輸の企業文化が社員の体質にしみ込んでいるから。
・どういう場合にやる気が起こらないかを考えてみよう。
仕事が与えられる。目標も示されている。しかも、やり方は細かく指示
されている。自分なりに考えてみて、どうも別のやり方の方が良いと
思っても、やり方を変えることが許されない場合が、それだ。
・社員全員がやる気を出し、与えられた仕事を自主的かつ自律的にやり、
目標とする成果を達成するには、どうしたらよいのか。
キーワードはコミュニケーションである。
具体的には、まず企業の目的とするところを明確にする。
達成すべき成果を目標として明示する。
時間的な制約を説明する。競合他社の状況を説明する。
そして戦略としての会社の方針を示す。
その上で戦術としてのやり方は各自に考えさせる。
しかも何故そうするのかを納得のいくように説明する。
・組織が大きくなると、社員のやる気を阻害する者が社内にいることが多い。
それは往々にして直属の上司であることが多い。 特に社歴の長い者が
要注意である。こうした社員は、自分の経験をもとに仕事のやり方を
部下に細かく指示したがる傾向がある一方で、会社の方針とか計画を
なぜそうなのか説明することが苦手だったりする。しかしそうなると、
社内のコミュニケーションがそこで途切れてしまうことが多い。
・会社の経営においても、具合の悪い所があったら、シクシク痛むことが
健全な経営を続けるために必要である。そのシクシクと痛みを伝えるのが
労働組合の役目だと思う。
・業態とは、ある事業独自の形態のことを指す。
業態化とは、営業の対象を絞り、サービスとコストにおいて、
競争相手に決定的な差をつけることを目標として、徹底的な効率化を
図ること。
・宅急便もいずれ頭打ちになるだろうが、その時は宅急便のネットワークを
活用して、物品販売の世界に出る必要があるのではないか、という仮説。
・日銭が入ると資金繰りが楽になるほか、商売のやり方を
色々工夫することができる。
・私の結論は、上司の目は頼りにならないということ。
そこで考えたのが「下からの評価」と「横からの評価」
そして評価項目は、実績では無い。「人柄」だ。
・経営者にとって一番必要な条件は、論理的に考える力を持っていること。
なぜなら経営は、論理の積み重ねだからである。
・要するに、自分の頭で考えないで、他人の真似をするのが、
経営者として一番危険な人なのである。
論理の反対は、情緒である。
情緒的にものを考える人は経営者には向かない。
・会社にとっていま何が本当の第一かを判断し、
それを指示するのが経営者の役割。
・経営はトレードオフの連続といってもよい。
・攻めの経営の神髄は、需要を作りだすところにある。
・企業の目的は、永続すること。
企業とは地域の人を喜ばす存在であるべきで、それでこそ社会的存在。
・私が会長職を退くことになった平成7年(1995年)「ヤマト運輸企業理念」
を制定した。これは「社訓」「経営理念」「企業姿勢」「社員行動指針」
の4つの柱で構成されている。
ヤマトが「社徳」の高い会社であることを目指すための目標。
・経営者にとって必要なことは、倫理感であり、
利用者に対する使命感であると確信している。
○名著。何度も読み返す。まさに理念と戦略。パッションとロジック。
ランチェスター戦略の実践例としても勉強になる。
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『経営はロマンだ!』(私の履歴書) 小倉昌男 2003年
・経営はロマンである。だから経営は楽しい。
目標を決め方法を考え実行する。この間の緊張感はたまらない。
・徹底して顧客の視点を重視。
・しみじみ良い仕事を選んだと思った。
それは運送の仕事は極めて人間臭いものだからである。
・障害者は就労のチャンスが少ない。
この豊かな日本で月給一万円はどうしても許せない。
・学校で習ったことで、卒業後も役に立ったことは何かと聞かれれば、
即座に小学校の算術だったと答えたい。
自分で筋道を立てて考える習慣を身に付けたことが、後の企業経営にも
大きな影響を与えていると思う。
・M.ウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義精神」の
講義にも感銘を受けた。
企業の中心には倫理があるべきだと今も信じている。
・何でも第一にする会社がよくあるが、それではいけない。何が第一なのか
はっきりと優先順位を示す経営者にならなければ駄目だと痛感した。
・市民が「あの会社がつぶれると不便になって困る」と思ってくれれば
会社は存続できるはずだ。
・集荷第一、配達第二。
・経営は、論理の積み重ね。
・役人は「弱気をくじき、強気を助ける」性格がある。だから役人と
交渉するときは、下手にでたら駄目だ。論理的に武装し、強気で
立ち向かう必要がある。最善策は裁判で黒白をはっきりさせること。
・管理職の評価は人柄にすべき。
成果主義は考え方としては正しいが、測定が難しい。ある時期に
上がった成果が現任者の功績か、前任者の種まきによるものか、
はっきり分けられないからだ。
それなら「誠実」「部下の面倒見がいい」といった人間性を
重視した方がいい。
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『福祉を変える経営』 小倉昌男 2003年
・一連の共同作業所の事業内容を見学して「これはとても儲かってないな」
なぜならば消費者としてほしくなるようなモノを作っていなかった。
・共同作業所の方々には、作業所を「経営する」という概念が、
決定的に欠けている。
・モノをつくったらそれでおしまい。あとはせいぜいが身内に買って
もらったり、チャリティーバザーに出店するくらい。これでは商売に
なりません。
・障害者に必要なのは、社会に出て健常者と肩を並べて仕事をし、自立
できるだけの給料をとる仕組みを作ることではないか。
それが真のノーマライゼーションだろう。
作業所の実態が、障害者のデイケアが目的というのは、おかしい。
・経営と言うのは企業だけに必要なものではありません。
病院も学校も本来は「経営」が必要です。
・「我慢して働く」ということを教えなければ駄目だと思う。
それが結局は働く喜びにつながります。
・製造業にとって一番大事なことは、コストを下げること。
流通業で一番大事なことは、機会、チャンスを逃さないこと。
・デメリットがあるからビジネスチャンスがある。
・経営の基本は「収入-経費=利益」という式。
・収入を増やすには「売上=単価×数量」で考える。
・業態化を考える上で大切なのは、誰に売るのか、すなわちどんな人が
お客さんになるのかということと、そのお客さんに何をどんな風に
売ればいいのか、売り方を徹底して追求することです。
・人と人が接するサービス業では、いかにやる気のある人材をそろえる
かが成功のカギとなります。
サービス業の要諦は働く人のやる気にあるのです。
そこで忘れてはならないのが、
「労働には不愉快な労働と楽しい労働がある」ということです。
不愉快な労働とは、命令し監督されてやらされる労働です。
やれと言われたから働く、これでは面白いはずがないのです。
一方で楽しい労働とは、誰かに言われたからではなく、自発的に
考えて動く労働です。人は基本的に仕事を任されることで、
やる気が起きるのです。
・経営というのは甘いものではありません。
「まず実行しなさい。そして実行しながら考えなさい。
失敗したら、その時はその時。その失敗を踏み台に、前に進めばいい。
やればわかるし、やればできるのです。」
・企業活動の中で中心になるのは販売活動である。
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『「なんでだろう」から仕事は始まる!』 小倉昌男 2004年
・経営とは、生身の人間とつきあう仕事。
・人間、最後は人柄がものをいうのだと私には思えてならない。
・これは人間同士のコミュニケーションの基本とも言えることだが、
要は「相手の立場で考える」こと。
・リーダーの説明能力は、現場を知らなければ高まらない。
部下に将来を想像させるためには、まず上司の方が部下の気持を
想像しなければいけないのである。
・自分の一挙手一投足が部下に見られていると思ったほうがいいだろう。
部下の視線にはいつだって悪意が込められていると覚悟すべきである。
どちらともとれる行動があれば、ほぼ間違いなく上司にとって都合の
悪い見方をするものだ。
・企業活動はすべて人と人との関係である
・企業の経営者というのは、一種のコーディネーターのようなものだ。
原材料や設備などの物、金、労働力といった様々な要素を組み合わせる
ことで自分の会社に最高のパフォーマンスを発揮させるのが仕事である。
・論理的な思考とは、すなわちシンプルに考えるということにほかならない。
・役人たちが、納税者の利益を無視して、筋の通らないことをして平然として
いられるのも、ひとえに競争原理と無縁なところで仕事をしているから。
・個性のはっきりしている店のほうがいい成績を残す。
・人間にとって一番大切なのは「正しい心」と「思いやりの心」
「倫理観」と「優しさ」と言ってもよい。
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『やればわかる やればできる』 小倉昌男 2005年
・平素から上の人のやることをよく見ていて、私ならこうやろう、と
考えていないと、いざという時にオタオタしてしまうことになる。
・戦術より戦略が大事。
・戦略は将来の需要を創造するのが目標なら、
戦術は現在の市場でのシェアを高めるのが目標である。
・むしろ優しい言い方をする人のほうが、尊敬されることが多いのでは
なかろうか。相手に対して優しいというのは、相手の人格を尊重して
いるからである。
会社には、いばってものを言う人がけっこう多い。
自らを低くする人、へりくだる人こそ、尊敬に値する人だと思うのだが。
・職場における人間関係が良好で、社員のひとりひとりがその持てる力を
十分に発揮することは、その職場の業績を上げるためにも、また社員が
働きがいを感じて充実した毎日を送るためにも、絶対に必要なことである。
人間関係を良くするには、まず職場の人間がお互いに、相手が自分のこと
をどう思っているか、を知ることから始めなければならないが、実のところ
これがはなはだ難しい。
・ヤマトでは、SDが中心となって全員経営体制を作っているが、管理職は
その上にあぐらをかいて、全員経営の精神が欠けているということである。
・退社の理由は、第一に長時間労働、そして職場の人間関係。
・経営は論理。だから考える必要がある。考えて、考えて、考え抜く。
でもわからないことがある。その場合はやってみることである。
やってみればわかる。やらなければわからない。これは私の信条である。
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『小倉昌男の経営哲学』 小倉昌男 2005年
・戦術とは、目の前の戦いに毎日勝ち、シェアを上げるための考え方。
明日の需要をいかに創り出すかが戦略。
・大企業の経営陣は、業務を分担している。
中小企業経営者は、会社全体のバランスを1人で考えなければならない。
・中小企業は、業態という考えを徹底して追求しなければならない。
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『小倉昌男の人生と経営』 小倉昌男 2012年
・完璧な人間などいない。
・意に染まない仕事でも、それを楽しみ方法がある。それは何らかの目標
を立てて、それを実現していくプロセスを楽しみのである。
・本業の周辺に、本業を疎かにしないでも取り組める仕事が転がっては
いないだろうか。そうした付加サービスを工夫していくことで、業務内容
の充実が図られることもある。
・活気がある営業所:
1)メンバーの動きがキビキビとしている
2)掃除が行き届いている。整頓もできている
3)誰に対しても元気よく挨拶している
4)その営業所ならではの工夫や改善が行われている
・たとえまだ仕事ができない後輩であっても、相手の人格を尊重し、
優しく丁寧に教えてあげる余裕をもちたい。
・大切なのは、上司と部下が信頼関係で結ばれることだろう。
・現場のリーダーは、部下たちに「長期的なビジョン」を示す必要がある。
・自己評価と他人の評価とのギャップ。
・努力、人材、経営戦略のうち、最も重要なのは努力である。
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『クロネコヤマト 個を生かす仕事論』 瀬戸薫 2013年
・成長基盤には、大きく2つの要素がある:
1)理念を受け継ぎながらも、時代の変化に対応できるよう
自分たち自身を積極的に変えてきた
2)社員が自発的に動き、1人1人が新しいアイデアを出して形にする
という当社の「組織の力」「集団の力」である
・当社の人間がくり返し言われ続けるのは、ただ「世のため人のためになる
ことをする」ということ。現場では「お客様のためになることをする」と
いうただその一言だけだ。
・ヤマトの持つ物流ノウハウが、災害時にも活用できるということを
行政も知り、現在は防衛省や経産省と協力した取組みも始まっている。
・ゆくゆくの理想は、全国約6万人のSD全員が、お客様の問題を敏感に察知し
当社でできることを提案していけるような体制である。
・たった5つの方針だけで、若手に「宅急便をつくれ」というのである。
・「衆目の一致するところが、一番いい人を見つけられる最後の評価である」
・「会社での役職は、役者が演じる役と同じ」
・ヤマトグループは「ムカデ経営」
・重視されるのは、倫理観。
大方は「人間性がある」とみなされる人物が社長に選ばれる。
・人の上に立つ人間ほど「考えること」を何よりも要求される。
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『どん底から生まれた宅急便』 都築幹彦 2013年
・どん底だった時期(1970年)から宅急便を開始した76年を経て、
全国ネットワークをほぼ完成させた90年までの約20年間を書きしるした
・宅急便を開始するに当たっては、越えなくてはならない2つの壁があった:
社内の壁と社外の壁。
・70年からの5年間がどん底。
・小口配送のカギは「密度化」
・5000万個を超えた時が、社会で宅急便が認知された一つの節目だったかも。
・「経戦」は、専務だった85年に始めた。
毎週金曜日の午前中に行われる会議で、1時間ぐらいずつ提案。
・上司のたった一言が、その人間の運命を決めることもある。
・会社にとって「信頼」「挑戦」「社員」がいかに重要か。
・人は機械ではないのだから、誰もが簡単に育つ方法など存在しない。
1人1人をきちんと見ていけるかどうかである。
===
『未来の市場を創り出す』 木川眞 2013年
・1200か所の営業拠点、15000台の配送車、16000人のSDというヤマト運輸の
ネットワーク力は、郵便、警察、NTTの御三家に次ぐ。
・イノベーションとは、需要創出にほかならない。
・お客様の悩みに答えるというのは、ヤマトのDNAと言ってよい。
・絞り込んだマーケットの5割を取ろう。
・セグメントを絞り込めば、ニッチ市場になる。その分、独自性を出せる。
すなわちオンリーワン商品になる。
・新しい需要を生み出す一方で、他社の参入を拒まずに、市場を拡大して
いくという戦略。
・機能単体ではなく、物流全体を網にかけてお客様の困りごとを解決する。
・「生涯生活支援プラットフォーム」高齢化や過疎化といった社会的な課題
を解決する新しい地域密着型サービスの構築を目指している
・薄く広く、長く対価を頂き、プラットフォーム全体で利益を上げる。
・企業が掲げる理念を、経営者自らが行動で示す機会はめったにない。
被災地への142億円の寄付によって、全社員は改めてヤマトグループの
企業理念やDNAを再認識した。
・褒める制度「満足BANK」の導入
褒めようとするとじっくり相手を観察しなくてはならない。
怒ること以上に、褒める方がしんどい。
・経営とは取捨選択の連続。
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『小倉昌男さんのマーケティング力』 中田信哉 2013年
・小倉氏は優れた経営者だったろうが、それにもまして卓越した
マーケティングマンであり、広報マンであった。
・企業家やビジネスパーソンに最も求められるのは、
マーケティングに対する「センス(感覚)」である。
・小倉さんは本気で「お客は個人」と考えていた。
・セグメントを絞れば絞るほど、
商品、サービスの性格が明確になる。
・「量をまとめる」ことこそ、小倉流マーケティングの基本。
「判然としない個人」をまとめることによって
「整然とした需要」を作り出せることが出来ると考えた。
・産業材としての無形財(運輸、人材派遣、通信など)
・顧客との良好な関係を築くことで、長期的な取引を
継続しようとするマーケティング理論を
「リレーションシップ(関係性)マーケティング」と呼ぶ。
・サービスマーケティングにおいては、一回ごとが勝負。
・宅急便は、色々な事を多くの人に考えさせる面白い存在。
宅急便は「素材」である。お客に「宅急便を使って、
こういうことはできないだろうか」と面白い使い方を考えさせる。
・方向性はシンプル:
1)宅急便に乗せるものを広げる
2)荷物の新しい扱い方を工夫する
3)付加的にサービスをつけていく
・マーケティングにおける顧客志向は単純で、
お客の立場でお客がどう思うかを考えて対応すればいいだけ。
・インターナルマーケティング:ビジネスの最前線で活躍する自社の
サービス提供者に対して、自らのMktgコンセプト、経営方針、理念
を周知徹底せしめ、的確な市場活動をさせるための働きかけ
・小倉さんは「分類」と同時に「対比」も良く行った。
・お客参加型のサービス 例)吉野家のつゆだく
・市場占有率と累積生産量とブランド知名度は深い関係がある。
・「経営は理論である」
・経営者の仕事は戦略であり、戦術は社員の仕事。
・中堅幹部達は、トレードオフの関係にあるものを同時に
実現しようとする。それはできないから、経営者が優先順位をつける。
経営者の役割は、色々な要素を組み合わせ、経営のロジックを
作り上げていく中で、その各要素について優先順位を決めていくこと。
それを戦略と呼ぶ。
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『ヤマトは我なり!SD“サービス力の本質”』 大久保隆弘 2003年
・お客さんから「ありがとう」といわれるときに、この仕事について良かったと
SDは心から思う。
・時間帯お届けサービスの発祥は、東北。
・ヤマトという会社のもっとも素晴らしいところは「団結力」
・上司が部下のことを親身に考えてくれる。それが伝わってくる。
・宅急便のSDに一番必要なのは「集配のセンス」
・コミュニケーションがいいグループは、成績がいい。
労務管理の基本もコミュニケーション。
・宅急便は、主婦の視点を大切にした。
・営業所を作ると、見えないところから荷物が湧くように出てきた。
・ライバル会社は、スピードで配達効率ばかりを狙う。
ヤマトは立ち止まって(お客さんと話す)ことを善しとする。
・2003年から宅急便エリアセンター制度を導入。
サービス向上と事務の集約化を目指した組織作り。
・採用されたSDは、主管支店で安全、営業、経理、人事など
3~4日の教育を受けた後、先輩SDの助手として、「添乗指導」を
受ける。その後、社内運転免許を取得して初めてはじめて一人で乗れる。
・不在票に切れ込みがはいっている。
目の不自由な人がピンクチラシと間違えることがないよう。
・長崎の通販企業を創業期から支えてきたのがヤマト。
・サービスの水準が高まり、種類が増えるにつれ、SDの負担は
年々高まっている。いかにSDの負担を軽減するかが大命題。
・仕事は物を扱う。しかも1日できれいに片付く。
仕事の終わりが「目に見える」のである。
・「自分だけがよければいい」という一匹オオカミ的な考え方が
ヤマトにはほとんどない。
・ヤマトの新サービスは、完璧にノウハウができていないのに、
実施してしまう。現場ができると思うから見切り発車する。
しかも現場も力ずくでそれをやってのけてしまう。
・女性が男性との人間関係で苦労するのは、男性側がきちんと
女性の主張を聞く姿勢がないからだ。
・自己管理の一番は、睡眠。早く寝ることにつきる。
・ヤマトはサービス業であって、運送業ではない。
・せめてお客さんの前では、悠然と仕事をするよう。
余裕を見せれば、仕事の話や情報も舞いこむ。
・昔は荷物をもっていくだけで、お客さんは喜んでくれた。
今は荷物をもっていっても「ありがとう」とも言ってくれない。
これからはお客さんのニーズに応えないと「ありがとう」と
言ってもらえない時代になってきた。
・お客さんのニーズには際限がない。
・労働集約産業というのは、人間性のいい集団でないと務まらない。
===
『クロネコヤマト 顧客満足主義経営』 淵澤進 2001年
・宅急便以降のヤマト運輸あは、常に危機感と使命感を
友に歩んできた
・宅急便は宅配便市場という新しい市場の創造を目的に
生まれたわけではない。
むしろ「郵便局の牙城である個人宅配市場にいかに切り込むか」
という観点から事業を進めた結果、独自の市場を創造するに至る。
・ダントツのサービスを提供するヤマト運輸としては、
マイナス18度は譲れないところだった。
とはいえ、失敗したら経営は傾き、これまで築いた信用にも傷がつく。
薄氷を踏むような決断だったでのはないだろうか。
・コストがいくらかかるかという問題ではない。サービスレベルの差が、
今後の業績にも大きな影響を及ぼすでしょう。
・「これからのわれわれのライバルが出てくるとすれば、
コンビニのようなところなのかもしれません」(有富慶二社長)
・メール便は「宅急便からのパラダイムシフト」
・重くかさばる生活必需品のPB商品の開発。
超高齢社会に対応したデリバリーサービスのアンテナ商品。
・1990年代半ばの開発は、研ぎ澄まされた危機感から発している。
・小倉会長の公正さ、決断力、清潔さに組合員はひかれていった。
・「第一線は増やしたい。お客様に接する人を増やせば増やすほど、
サービスはよくなる。 いかに、第二線、第三線の後方部隊を減らすか、
当社にとっては、絶対的な要請なんです」
・役所は、自分のやったことが公の場で議論されることを好まないから、
法的手段が最良の方法であることは間違いない」
・ヤマト運輸には、透徹したプリンシプルが根付いているように思われる。
・社訓も理念も、ヤマト運輸が何のために存在する企業なのか、自問を
続けた末に導き出された解である。
===
○あらためて、「いい会社さんだなー」と思う。
こういう会社様の教育研修のお仕事を手伝えることを光栄に思う。
期待に応えていけるよう、これからもがんばります!
○我々消費者は、宅急便の便利さを、
当たり前のものと思ってしまっているのかも。
「当たり前」が、実は「当たり前」でなかったことを、再認識させてくれたのが、
2011年3月11日の東日本大震災。
ああいう出来事が無いと、この便利さと、それを支えてくれる人たちがいる
ことへの感謝の気持ちを忘れてしまうのかも。
改めて、いつもありがとうございます。
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