『自分ごとだと人は育つ』
○学術知見と自社実践に基づいて書かれた
新人向けOJTの良著。
(・要約 ○関根の独り言)
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・博報堂の新入社員のOJT期間は、配属(5~6月)から3月末まで。
育成の責任者であるOJTトレーナー(8年目以上の社員)と、
実務指導者であるJOBトレーナー(3~6年目)の二人体制。
・新しいOJTがなぜ求められるのか?
1)職場で起こっている変化への対応
-仕事の内容や進め方の変化
-職場のステークホルダーの変化と新人の仕事の空洞化
2)若者の価値観や学習姿勢の変化への対応
-指導スタイルの変化
-新人世代の学習スタイルの変化
3)新種類の仕事が全社員に同時に降りかかってくる変化への対応
-職場での成長モデルの変化
-個に求められる力や姿勢の変化
・見習い期間の際に任せていたような仕事が、職場にほとんど
残っていない。
・今後は「職場で上から押さえつける」「新人だから職場のやり方に
従ってもらう」そのうえで「受け入れなじんだ者を親身になって
かわいがり育てる」といった徒弟制度的な発想は通用しなくなる。
・かつての成長モデルは「サークル型」
今後は「サーチライト型」ロールモデルは複数。
・トレーナーの役割は、水先案内人。
・前半「任せて・見る」後半「任せ・きる」2段階の仕事の任せ方。
・前半(6~11月)のトレーナーの意識は「並走する」
後半(11~3月)は、指導から支援へ。
・トレーナーには、新人に介入せずに任せ切る胆力も必要。
○白井さんのお話で、OJTトレーナーの役割の一つは、
介入しがちなJOBトレーナーを引き離すこととのこと。
・前半、ルーティンワークが8~9割。「任せて・見る」仕事は1~2割。
後半、任せて見る仕事を増やしつつ、1回だけ「任せ・きる」仕事。
・従来のOJTは、帰納的学習:経験してから学ぶ
新人世代は、演繹的学習:学んでから経験する。
・出来/不出来のフィードバックと、任せる仕事の選定が、
新人OJTで最も大事。
○ほんとその通り!研究知見でも同じような結論となっている。
・新人に「任せて・見る」仕事の例:
-議事録の作成
-ミーティングのアジェンダ作成
-打ち合わせ用の企画、アイデア出し
・年末以降、新人が一気に伸びたと感じるトレーナーが多い。
その要因は、新人を囲む非公式も含むサポートネットワークが
形成されたためといえる。
○これはありそう!助けてもらえる人たちのネットワークができれば
今までトレーナーに頼りきりだった状態から脱することができる。
・「任せ・きる」指導のキーワード:
1)初めての背負う経験
2)最初から最後まで一人で経験させる
3)自分で考えさせる、判断させる
4)成功体験で終える
5)後期OJTで一回、最大の山場
・ゴールイメージで語り合うこと。
・トレーナー自身、支援者への切り替え、新人との信頼関係が必要。
○「任せ・きる」仕事をきちんと与えられるトレーナーは、
実際は、2~3割とのこと。確かに難しい課題。
・最年少の若手メンバーとして、新人の存在感を確立する。
・「上手くいっている状態」は、新人の学生時代、あるいはオフの
時の「素の顔」が職場で出せている状態。
・新人の成長課題を、トレーナーの育成課題と捉えなおす。
・フィードバックの積み重ねにより、トレーナーが大事にしている
物差しを伝えていく。
・前期OJTで「できていないことに気づかせる」
後期OJTで「意識してできる段階」に引き上げる。
・OJTの5つの軸:
1)ゴールイメージの共有(6~7月)
2)任せ方(ほぼ通年で重要)
3)ティーチング(6~10月)
4)相互理解(8月以降、11月以降更に重要に)
5)傾聴(12月~2月)
○この流れ、いい!
面白いのは、相互理解が中盤以降になっていること。
仕事を通じてでしか、お互いのことはわからないってことかな。
・新人が求めている「計画性」には2つ:
1)定期的に成長の進捗についてトレーナーがコメントをくれる
2)任される仕事の質が高まり、量が増えて、
求める水準が上がってくること
・トレーナーと新入社員は「社内最小のチーム」である。
○多くのヒントが得られる中身の濃い本。
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