AOM 5日目 「Socialization & Network」

AOM 2014 参加報告

2014年8月5日(火)AOM年次大会 最終日です。
昨日より参加するセッションが減るので、少し楽になります。

(・文献要約 -セッションで出た発言 ○関根の独り言)
===
◎Analyzing Newcomer Socialization at Work 職場での新人社会化の分析
 Program Session #: 1609
 Tuesday, Aug 5 2014 9:45AM – 11:15AM
 at Philadelphia Marriott Downtown in Room 401
●Avoiding Hangover: How Socialization Tactics Can Reduce
 Newcomers’ Declining Job Satisfaction
Author: Danni Wang; Arizona State U.;
Author: Peter Hom; Arizona State U.;
Author: David G. Allen; U. of Memphis
・Boswellら(2005)は、Honeymoon hangover effect 新婚旅行後の失望感
 があることを明らかにした。
・Hangover effect=Declining job attitude 職務態度の落ち込み 
・Honeymoonが良ければよいほど、Hangover(二日酔い/倦怠感)が強くなる
・本研究では、社会化戦術がいかにHangoverの減少に
 寄与するのかを明らかにする
・アメリカの様々な企業に勤める619名の新人を対象に、3か月間の調査を実施。
 入社2週目、6週目、3か月目、6か月目の4回。
・結果、Content 内容的戦術が、Job satisfaction velocity 職務満足変化の早さ
 に正の効果を示し、
 職務満足変化の早さが、Turnover intention velocity 離職意思変化の早さに
 負の効果を示した。
・本研究により、内容的(新人が経験する内容と学習活動のタイムテーブルを
 明示する)戦術が、職務満足の低下速度を遅くすることが明らかになった。
○現場での「社会的戦術」よりも初期の「内容的戦術」が、
 新人の失望感を和らげる。
 新人にしてみれば、自分がこれからどんな風に学んでいくのか、会社がどう
 考えているのかを予告されることで、心の準備ができるのかも。
 いわゆるリアリティーショックに対する「ワクチン効果」かな。
-Verocityとは?←How fast you are becoming satisfied
 どのくらい早く満足するかというChange rate変化の度合い
●How Differently Newcomers Perceive Employer Promise and
 Employee Promise: A Longitudinal Study
 Author: Kyung Min Kim; Korea U.;
 Author: Hyoung Koo Moon; Korea U.
(文献無し)
-Employer promises is overrated, so realistic recruiting is important.
○現実的な採用が大事っていうのは、そりゃそうだけど・・・
 あんまり現実的なことを言っちゃうと、入ってくれないかもしれないし・・・
 Practical implicationで「すべきこと」「できそうなこと」を示した上で、
 それを実践するには「~という難しさがあって」「こうすれば何とか」とか
 あるといいけど、それを論文に望んじゃいけないのかな。
 そのあたりをつなぐ(実際、現場はこうなっている)のが、
 俺らの仕事なのかも。
●They are Watching You!
 The Supervisor’s Role During the Newcomer’s Socialization
 Author: Lucas Dufour; GSCM, Montpellier Business School;
 Author: Meena Andiappan; GSCM, Montpellier Business School
・Supervisors上司の目から見た新人の社会化
・フランスの11の組織で、61名の上司にインタビュー調査を実施。
・結果、上司が新人の適性を判断する3つの段階があることが明らかになった。
・Phase1では、新人の3つの側面を見る:
 1)Complementary person-work fit 補足的な?「個人-仕事」フィット
  
   職場で求められる基本的ルールを、新人が守れるか
 2)Supplementary person-job fit 補完的な?「個人-職務」フィット
   
   新人の職務に対する意欲の高さ
 3)Complementary person-group fit 補足的な?「個人-集団」フィット
   新人のグループメンバーとの接し方
・上司は、下記戦術を使い、新人を教育する:
 
 1)ルールとガイドラインを示す
 2)より現実的な話をする
 3)グループメンバーの期待を伝える
・Phase2では、Complementary person-vocational fit 
 補足的な「個人-職業?」フィットを上司は見る。
・上司は、新人に適切な研修を与えることで支援し、
 お金とは違う職業の意味を新人に教えることで行動を修正する。
・Phase3では、Supplementary person-organization「個人-組織」フィット
・上司は、一度に全てのフィットを見ていない。
 段階に応じて、見るべきフィットを変えている。
・本研究では、いつからいつまでがPhaseなのかという期間までわかっていない。
○面白い! でもやっぱり知りたいのは「期間」
 Phase1の期間は? いつごろPhase3が終わるのか?
 新人と仕事状況によるといったらそれまでだけど、ヒントがあるといいな。
 これは実際、彼と話して聞いてみよう。
 彼に依頼する次のレポートのテーマとしてもいいのかも。
-どのくらいの期間を目安にしたらよいのか?(俺と同じことを思っている人がいた)
-マネジャーたちの感覚としては、
 Phase1:2週間~1ヶ月
 Phase2:1ヶ月~
 Phase3:3か月~1年ぐらい
(2013年の発表内容
  They Need Your Help! Newcomers’ Needs for Socialization Support 
   and Supervisor Responses
  https://www.learn-well.com/blog/2013/08/aom_5_organizational_socializa.html )
この発表の進行役(Chair) Dr. Collinsは、私が学部を卒業した
University of Southern Mississippiの人でした。
http://www.usm.edu/business/management-international_business/faculty/brian-j-collins-phd
その旨を伝えたところ、「USMの学生が、日本でインターンシップに参加している」
と言われました。
また、他のセッションで、「来年から子供が立命館アジア大学に行く」という
インドのコンサルタントとも会いました。
海外から日本に若い人が来てくれるのは嬉しいですね。
===
◎Social Capital, Socialization and Network Resources for
 Entrepreneurial Ventures 社会的資本、社会化、ネットワーク資源
 Program Session #: 1572
 Tuesday, Aug 5 2014 9:45AM – 11:15AM
 at Sheraton Philadelphia Downtown Hotel in Independence C
(セッション参加は無し)
●Tell Me How You Socialize and I Will Tell You Who You Are.
 A Study of Small Firms’ Socialization
 Author: Emilie Bargues; France Business School
・大企業における社会化研究は多いが、小企業に関するものは少ない。
・大企業と違い、小企業では新人の影響が大きい。
・Organizational configuration theoryを適用。
・小企業の3種類:
 1)Traditional
 2)Entrepreneurial
 3)Managerial
・6社を調査。インタビュー、参与観察、社内資料、経営陣との面談。
・結果、3種に共通の社会化方法、および各自独特の社会化手法があることが
 明らかになった。
・新人に対する見方の違い
 1)Traditional:均衡を崩す存在
 2)Entrepreneurial:イノベーションの源
 3)Managerial:生産的な資源
○確かに、小企業と大企業では、新人の社会化方法は変わってきそう。
===
◎Antecedents of Individual Network Development 個人のネットワーク発達
 Program Session #: 1718
 Tuesday, Aug 5 2014 11:30AM – 1:00PM
 at Philadelphia Marriott Downtown in Grand Ballroom Salon L
(セッション参加は無し)
●Settling In: A Study of Factors Contributing to Network Development
 and Socialization of Newcomers
 Author: Susan S. Fleming; Cornell U.;
 Author: Alyssa Goldman; Cornell U.;
 Author: Shelley Correll; Stanford U.;
 Author: Catherine Taylor; Indiana U.
・Workplace network formation 職場でのネットワーク構築が、
 新人の社会化に果たす役割を検討する。
・Interactionist approach 相互作用アプローチを発展させる。
・Network sutructure(configurations and structural characteristics)
 ネットワーク構造(形状?と構造性質?)と、
 複数のOutcomes(Organizational identification、Job performance)との
 関係があることが明らかになっている
 (Jones & Volpe, 2011、Zou & Ingram,2013)
・40名のFaculty member 大学教員に対するインタビュー調査を実施。
・結果、2つのことが明らかになった:
 1)新人の特徴と、職場の特徴が影響
 2)新人のネットワーク形成に影響する7つの要素
・新人の特徴:Active or Reluctant
 職場の特徴:Enhancing or Dampening
・職場の特徴は、職場の長(部門長)が形作っていた。
・Active な新人が、Enhancingな職場にいると、ネットワーク形成が最も進む。
 Relutantな新人が、Dampeningな職場にいると、孤立する。
・新人の社会的統合を促す7つの要因:
 1)職場文化と部門長の役割
 2)メンタリング:Formal、Informal、Not obvious
 3)コラボレーション
 4)Interdisciplinarity 学際的
 5)物理的なロケーション (座っている場所)
 6)部門委員会への関与
 7)同僚ネットワーク
○席の位置や、面倒くさい仕事(委員会等)への関与が、新人のネットワーク
 形成に役立つっていうのは確かにありそう。
===
11時にロビーで待ち合わせで、Lucas、Massimoと昼食を
再度一緒にとりました。
Massimoの「ネットワーク調査」に関する打ち合わせです。
「イノベーションとネットワーク構造」
の観点から、その人個人が、
・現在どのようなネットワークを持っているのか、
・どのようなネットワークをもつと、イノベーションが生まれやすいのか、
 (本当に、Strucural holes や Brokerage の位置づけが重要なのか)
・どのように個人のネットワークが変化していくのか、経年的に見ていきます。
__%203c.jpg
Lucasの奥さんも研究者で、8か月の赤ちゃんを連れてきていました。
奥さんが研究発表中は、Lucasが赤ちゃんの面倒をみるそうです。
===
◎Rocking the Boat but Why? Antecedents of Voice Behavior 
 Program Session #: 1820
 Tuesday, Aug 5 2014 1:15PM – 2:45PM
 at Philadelphia Marriott Downtown in Grand Ballroom Salon J
(セッション参加は無し)
●When are Employees Willing to Risk Being Proactive?
 A Relational Approach to Taking Charge Behavior
 Author: Amy Wei Tian; U. of Western Australia;
 Author: Jos Gamble; U. of London;
 Author: John Cordery; U. of Western Australia
・Change-oriented OCBは、VoiceやTaking charge behaviorsと呼ばれる。
・Transformational leadership 変容的リーダーシップ?を構成する
 Individual-foused leadership 個人に焦点をあてたリーダーシップと、
 Coworker support 同僚の支援、および 
 Supervisor-subordinate guanxi 上司-部下 関係・人脈 が、
 Taking charge behaviorsに影響するというのが、本研究の仮説。
・1社における197名の中国人 上司部下のペアに、1回の質問紙調査を実施。
・結果、仮説が支持された。
○仕事上だけでなく、プライベートでも上司との関係が良いと、
 職場で変化を起こすような行動をとりやすくなる。
 お互い信頼があるので、リスクある行動もとれるということかな。
===
午後は、2日目のPDWでお会いした高橋さんとお話をさせて頂きました。
・5日目午前中に、Xerox社の事例を発表
・AOMには、Spirituality関連のセッションがある
・Mindfulnessについて議論されていた
・Self-commitmentによる行動の継続と発展
その他、色々参考になるお話を聞かせて頂きました。
高橋さん、どうもありがとうございました。
===
今日で、AOM2014 年次大会が、終了しました。
今回も大きな収穫がありました。
このような会に参加できるのも、普段からご支援くださっている
お客様、周囲の方々のお蔭です。本当にありがとうございます。
今回学んだことを、少しでも還元できるよう尽力します。

投稿者:関根雅泰

コメントフォーム

ページトップに戻る