前・日本銀行調査統計局 調査主幹・埼玉県経済総括の
土田浩さんの書籍『日銀から見た埼玉経済』(埼玉新聞社)を読みました。
埼玉県経済について、多面的に、分かりやすく説明して下さっています。
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・企業の設備投資の先行指標は、
製造業では機械受注額、非製造業では建築着工床面積。
・埼玉県の建築着工床面積は、前年比、
2010年13%増、2011年13%増、2012年38%増。
日本全体の動き(5%増、6%増、6%増)に比べると非常に高い伸び。
・実質県内総生産(GDP)は、2000年代入り後、良好に推移。
・埼玉県は右肩上がり。
日ごろから、埼玉県は元気であり、存在感が高まっているとの
印象を持っていたが、統計データからもそれが裏付けられた。
・地方創生の議論の難しさは、単なる地方分散では、国全体の
生産性が低下してしまうこと。
・首都圏に位置する埼玉県の地の利は貴重。
・刺激的な社会人教育の場、自律的な学習人間となる
きっかけ作りの場は、圧倒的に東京に集積しており、
少しの工夫でそうした場に実際に身を置くことができる。
・首都圏という地域経済の一翼としての機能充実も重要な方策。
・研究開発や人材開発の人的交流など、東京に集中している
知的集積に容易にアクセスできることも、首都圏に位置する大きな利点。
・埼玉県経済には元気がある。その要因を一つあげるとすれば、
圏央道の県内全線開通を控えた、大型物流センターの建設ラッシュがある。
・首都圏への物流拠点としての埼玉県の存在感が、今日再び高まっている。
・江戸時代の大江戸100万人を支える重要な物流拠点も川越であった。
・サイクリング、キャンプ、登山といった来客が、
いかに埼玉県にカネを落とすようになるか。
・これまでは当然無料と思われていたものを、ちょっと差別化することで、
有料化するという方法は考えられないか。
・埼玉県は農業も盛ん。日本全国では減少傾向を辿る中で、
当県の農業産出額は、増加を続けている。
・埼玉県は「海なし、温泉なし、世界遺産なし」で、観光資源に乏しい
と言われてきた。それが今日では、体験型・交流型観光というトレンドの
下で、スポーツイベントやアニメの聖地巡礼などが人気を集めており、
これを官民が一体となって後押ししている。
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土田さんには、2015年6月に、ときがわ町に泊まりがけで来て頂きました。
http://tokigawa-machi.seesaa.net/article/421428184.html?1468714857
その時お感じになったことも、書籍の中で取り上げてくださっています。
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・今回の感想を一言述べるとすれば、「選択と集中」の難しさ、
悩ましさを再認識したということ。
・たどり着いたキーワードは「ダイバーシティーとネットワーキング」
個性を相互に尊重しつつ、周囲を巻き込んで地域への求心力を高め、
積極果敢に行動する、という意識を地域住民一人一人が心がけること。
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土田さん、勇気の出るお言葉、ありがとうございます!
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土田さんは、現在、さいたま市にある「ぶぎん地域経済研究所」に
お勤めになっていらっしゃいます。
お近くになった分、また色々お話を伺いたく思っています。
私も微力ながら、埼玉県経済を担う一員として頑張ります!
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