「サクセスケースメソッド」に関する数少ない日本の文献です。
(立教大学院 中原ゼミで、教えてもらったもの)
● 研修効果測定とサクセスケースメソッドによる体系的な研修評価アプローチの検討(安田 2019)
・プログラムは、ゴール(目標)がある活動と定義される。「場当たり的」ではなく、
しっかりとゴールが定まっている研修や支援のみを「プログラム」と呼ぶことが
できるのである。
・より体系的な評価のためには、評価の対象や方法の整理集約が必要であるとし、
開発したのが「4段階モデル」である。
・カークパトリックは、「反応レベル」と「学習レベル」の評価を行わずに、
一足飛びに、「行動レベル」の評価を行い、その結果を参考にして
研修プログラムの良し悪しを評価することに対して警鐘を鳴らしている。
・因果関係が成立されるための3つの条件。
哲学者のJ.S.ミルによって提示された「先行性」「関連性」「唯一性」
・因果関係成立のための3条件を、デザイン上で統制できるのが
「ランダム化無作為試行 RCT:Randamized Control Trial」である。
・RCTの構造を参考にしつつ、現実的に活用可能な実験、準実験デザインを
用いたエビデンスの検証が望ましいと言える。
・「SCM:サクセスケースメソッド」の枠組みは、はたして研修自体の純粋効果を
評価することにどれだけの意義があるのかという点に立脚している。
・SCMにおけるインタビュー調査を行う上で、最も重要となるのが、
成功事例(サクセスケース)の特定である。
・SCMは、カークパトリックの4段階モデルを効果的に補完する役割が期待できる。
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● サクセスケースメソッドによるプログラム評価~「予期せぬ効果の顕在化」に優れた評価方法(斎藤・安田 2017)
・日本の社会科学研究において、SCMが使われるのは稀。
・プログラム評価の実証研究といえば「ランダム化比較実験」を活用したものが主流。
・SCMは、従来の量的方法の弱みを補うものとされる(Brinkerhoff 2002)。
・プログラム直後ではなく、あえてある程度の期間をおいてから、事後調査を行う。
・「非サクセス事例」という枠組みが適切かどうかに関しては、十分な配慮が必要。
(本稿では)「アベレージ事例」という呼称を用いる。
・「予期せぬ効果」は、プレ・ポストの変化を測る実験的スタイルの評価研究では、
顕在化しにくい。こうした効果に気づくことができたのも、SCMの利点である。
・SCMの長所の一つは、経営上層部への示唆が可能になることである。
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