2020年2月14日(金)10時~17時30分 国学院大学の斉藤さん(中原研)主催「コーチング勉強会」に参加させて頂きました。
『The Center for Creative Leadership Handbook of Coaching in Organizations』の輪読会です。
会場の「セントポールズ会館」
中に入ると、
いきなりフォーク、ナイフ、スプーンがあります。
食事をしながらの勉強会となるのでしょうか。さすが、斉藤みっちゃんの企画、一味違います。
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(・文献内容 -勉強会内で出た意見)
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0 IOC(Institute of Coaching)@Boston 年次総会参加報告 佐藤典子さん
・研究者と実践者の橋渡しを、IOCを行っている。(日本では、アカデミックコーチング学会がある。
・コーチングは、サイエンスである。
・スーザン デービット「心の脆弱性」ネガティブな感情の重要性
・PEA(ポジティブ) vs NEA(ネガティブ)な質問で、脳の反応部分が違う
・『Helping Peaple Change』がおすすめ。
・Wellness coaching 予防医学の一環として
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1 The Rise of Coaching in Organizations Mさん
・多くの企業は、内部コーチへの期待を高めている。
・コーチングにおいては、関係性の質が重要。
・内部コーチには、管理職や人事のコーチが含まれる。
・内部コーチを評価する軸の例:コーチイの満足度、行動変容、退職・在籍率、昇進率等
-Leader developing leader 「上が下を育てる」というよりも、「一緒に探求する」ということも必要では。
-上司が言わずに、外部コーチに言わせる。
-すべての人にコーチングは難しいのでは。その人の「あり方」も重要。
参考:1on1と心理損傷 https://media.moneyforward.com/articles/4108
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2 Assessing Your Organization’s Need for Coaching Yさん
・組織的なコーチング導入を検討するには、まず初めに組織内で、コーチングの置かれた状態とコーチングの使われ方を理解することが必要。
・コーチングが適切なソリューションであるかどうかを判断するためには、対象を特定し、コーチングに求める成果を明確化することが重要。
・組織にコーチングを導入するのが適切な時期であるかどうかを評価する様々なレディネス指標を参照。
-コーチングを嫌う会社もある。「結果がでないじゃん」という人もいる。
-コーチングを受けたことが無い人が、コーチングをするのは難しい。
-コーチング研修を学んだ管理職が、すぐにコーチングスキルを使うと、部下に嫌がられる(誘導的な質問をしたり)
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3 Creating an Integrated Coaching System Aさん
・リーダーシップには、信頼とオープンなコミュニケーションが必要であり、それを実現するための手法が統合的、包括的なコーチングのシステムである。
・統合的コーチングシステムの構成要素として 7 つ:Executive coaching、Mentoring、Peer coaching、HR coaching、 Manager as coach、Digital goal tracking and reminder systems、Team and group coaching
・コーチングを導入して、なにがしたいのか、そのビジョンを明確に示すべき。
-反対派を説得するためにも、小さな成功事例をまず作って、展開してもよいのでは。
-コーチングに反対する理由は、費用、(自分が受けてないので)理解できない
-1オン1の難しさは「良いコーチングを受けた経験がない」人たちであること。
-経営者からは「やって儲かるの?」「面談と何が違うの?」「育成ならやってきたよ」
-「変わりたくない」面倒くさいから、導入したくない。
-コーチングで考えさせるより、自分が教えたほうが早いと思う管理職もいる。
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12時過ぎ、昼食。
美味しく頂きました。
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4 Evaluating Coaching Interventions Iさん
・コーチングの効果は個別性が高いので検証が難しい。
・現状では、個社に合わせた自己申告式のサーベイがほとんど。
・現状は、①偏りのある情報源(ie. 本人やコーチ)②コーチング内で生じたことに集中しており、結果として生じる変化を扱っていないこと
・Common-method bias:自信家は全てに「良い」と答え、謙遜する人は「できてない」と答える。
・CCLの研究による、エグゼクティブコーチングのプロセスに関する3つの重要な要因;コーチングへのレディネス、上司のサポート、自己認識(Eckardt, 2013)
・ともかく数字にしておくことが重要。
-Value-Based Evaluation Model(Kraiger & Surface, 2018)
結果を出すのではなく、プロセス改善のために評価を使う。
2つの質問:上手くできたか?、次に向けて何をやるのか?
参考:Beyond Levels
-相関は、.54あれば、十分高い。
‐評価は、目的による。組織に何を伝えたいのか。
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6 Coaching the Derailing Leader 関根雅泰
レジュメを見る
-できない人は、ずっとできない。
-「脱線」だと、また線路に戻るイメージがある。「転落」リーダーはあるかも。
-異動した人のパフォーマンスが下がりがち。移動前後の面談をしている会社もある。
-プレイヤーからリーダーに上がる環境変化の戸惑いは多い。
-部下育成に熱心でコーチング的な接し方をしていた部長が、統括部長になったら、トップダウン型の指示が多くなり、経営陣を見るようになった。下から見ると「脱線」かもしれないが、上から見ると「レール上」にいる。
-昇格、異動、環境変化に戸惑っている個人には、コーチングが合っているかも。
-人が変わると、力を発揮できない。
-職場環境がガラッと変わり、今までのCapabilityが通用しなくなる。例)英語ができないと、いきなり仕事ができない人になる。
参考:中原先生のブログ 成果が出せない「しくじり管理職」の「脱線」は4つの「どはまりパターン」で引き起こされる!?
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7 Developing High-Potential Leaders Sさん
・HiPosの成長のためには、まずはSenior leadersをメンターに育て上げ、HiPoの直属の上司を、HiPo成長のためのパートナーに育て上げる必要がある。
・リーダー育成には、空間が必要。新しいアイディア、異なるアイディアを出し合い、異なる部署や人が集まり、意味ある議論を可能とし、複雑なチャレンジに対して解を効果的に出せるような場所が必要。
-「Boundary spannning」例:渋谷をつなげる30人
-優秀なリーダーこそ、自分でどうにかすべきという論もある。今はちやほやして、育ててあげる雰囲気。それは、育成投資の対象が変わり、Hiposに投資し、ちやほやしているから?
-日本では、HiPosが、男性リーダーを指していることが多い。
-「養殖」リーダー?お膳立てされたリーダーだと、逆境に弱くなるのでは?
-Retentionのために、HiPosを育成する。
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8 Coaching at the Top Kさん
・経営 Top 層に対する人事部門リーダーによる企業内コーチングに関する解説。
・経営 Top が意図していることと、経営 Top の実際の言動が現場に及ぼす影響との間にはギャップがある。HRが、コーチとして、それに気づかせるべき。
・Marshall Goldsmith の”What Got You Here Won’t Get You There (Goldsmith & Reiter, 2007)は、いかにして過度に、または誤って用いられた強みが弱みに転じるかを研究した著書。
-人事は、経営陣をコーチングするほどのデータをもっていないのでは。
-Trust信頼を獲得できるかどうかが、コーチングには重要では。
-経営者が、個人的に助けを求めれば、助けてくれる人がいた。
-人事部が、上位者に対して、コーチングをするのは難しいのでは。
-「鏡」「ビデオ」になれ
-中には入っているけど「周辺にいる人」が、コーチをするのは効果的かも。
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11 Coaching in Context: The Individual in Relation to Organizational Culture Mさん
・coacheeの所属する産業や職業に対し、コーチが精通することでもたらされるメリットはある。逆に、精通することで作られてしまう、coacheeを見る際のレンズのリスクもあるのでは。
・コーチに業界特有の知識が必要かどうかは、コーチングをどう定義するかによると考えられる。よりコンサルティングや指導助言によったコーチングなのか、それともセルフアウェアネスを高め、気づきや新たな視点や行動を得ることで成長を促すことを目的とするコーチングなのか。コンテントベースか、プロセスベースかともいえる。
・産業ごとに、属する人の性格傾向が見られる、ということが分かっている(Schneider, Smith, Taylor, & Fleenor, 1998)
-コーチングで、スーパービジョンは行われている。コーチ同士でフィードバックしたり、クライアントとのやりとりを、録音して、スーパーバイザーに聞いてもらったりすることもある。
-プロセスワークでも、多重関係は難しいと考えている。( https://jpwc.or.jp/ )
-同じ産業での経験がある外部コーチを求められることもある。最初の親和性を求めているからかも。
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14 Mentoring for Leadership Development Mさん
・コーチングとメンタリングは、両方とも関係を重視し、開発的。
・メンタリングは、長期的、キャリア支援、直接的助言を与える。
・メンタリングの影響:人的資本、移動資本、社会的・政治的資本の獲得等
・悪いメンタリング関係につながる恐れもある(例:不一致、質の高い関係を築けない)
-伝統的には、メンターは師弟関係。同じドメインで、中長期に発達支援をしていく。それに対して「発達ネットワーク」や「関係のConstellation星座」は、直線的な師弟関係ではなく、多様な支援者との関係を持つ
-「リバースメンタリング」若者が、年長者に教える。
-コーチングよりも、助言もしてくれるメンタリングのほうが、より教えてもらえてよいという声もあった。コーチは、アドバイスしない。本人に考えさせる。
-押しつけがましいメンターは嫌われる。
-メンティーが、メンターを自発的に選ぶと成功する。人事が強制的にペアにするよりも。
参考:新人育成のためのメンター制度構築のポイント(PDFブック)
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16 Team Coaching Kさん
・チームコーチングは、介入先がグループである。
・チームの問題は、間違ったメンバーを選んでいることから始まっている可能性がある。
-タックマンモデルは、タスクとゴールを持つチームには当てはまらない。
-「関係の質」は結果であり、目的におくと、上手くいかない。「言えなくなってしまう」
-チームの見立てを変える。チームワークではなく、チームワーキング。Staticではなく、Dynamicなもの。川ではなく、流れる水を見る。
‐関係によって効果が決まる。与える側の研究は多いが、受け手側の研究は殆どない。
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17 Senior Team Coaching 齊藤 光弘
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18 Transforming Organizations: Coaching and Guiding Senior Teams Mさん
・組織変革とは、そこにあるリーダーシップの形を変化せることである。
・相互依存を促すようなリーダーシップ?
-DX(デジタルトランスフォーメーション)に対応するとは、何から何に変えるのか。
-「IT人材」「DX人材」「AI人材」という説に対する違和感
-データを集め、分析し、結果を示せる人材?
-コンピテンシーは、潜在的なものなので、変わりにくいのでは。
-求められるコンピテンシーが変わってきているので、人材も入れ替わっている。
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○メモ:「ちやほや育成」「空間づくり」→「陰からそっと見守る星明子がいっぱいモデル」「失敗して帰ってくる場所作り」
参加者の皆さん、企画して下さった斉藤さん、ありがとうございました!
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参考:https://research.lightworks.co.jp/coaching-roots
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