リモートワーク文献『Distance Matters』_200619
G.M.Olson & J.S.Olson(2000)
・10年以上かけて、組織現場や実験室で、グループ協働について研究してきた。
・その中でも特に、Collocated work 同じ場所で一緒に働くことと、Remote work 離れた場所で働くことを、比較した。
・その結果、4つの鍵となる社会技術的環境条件があることが明らかになった。
1) common ground 共通点(参加者の特徴)
2) coupling of work 連結度(仕事の特徴)
3) collaboration readiness 協働を受け入れられる程度(レディネス)
4) technology readiness 技術を受け入れられる程度(レディネス)
・共通度が高く、仕事の連結度が低く、協働・技術のレディネスが高いグループであれば、リモートワークは成功する。
・距離は問題なのである。
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・一緒にいて、同時に起こる、相互活動
・tightly coupled work 固くつながっている仕事(他の人と協働せざるを得ない)
moderately coupled work 適度につながっている仕事
loosely couplece work ゆるくつながっている仕事(一人でできる)
・ambiguous task 曖昧なタスクほど、連結度が高くなりやすい。
・連結度が高い仕事ほど、リモートワークがしづらい。
・リモートワークが上手くいっているグループの事例は、連結度が低く(相互依存していない)共通点が多いのである。
・曖昧で、連結度が高い仕事は、Collocated 同じ場所で、一緒に働くようにすべきである。
・リモートワークでは、曖昧性を減らし、コミュニケーションの取り方の「型」を作った方が良い。
・今後の技術革新によって、「being there そこにいる」よりも、良い相互活動をリモートでも、できるようになるかもしれない。(Hollan & Stornetta, 1992)
beyond being there
https://dl.acm.org/doi/pdf/10.1145/142750.142769
・現在と今後の技術で「一緒にいて、同時に起こる、相互活動」を支援できる可能性
・メンバーの間に「共通点」を作ることは、Trust信頼のためにも重要である。
・「Trust needs touch」(Handy, 1995)
trust and the virtual organization
https://hbr.org/1995/05/trust-and-the-virtual-organization
・電子コミュニケーションの世界において、信頼は壊れやすい。
・Rocco(1998)のグローバルチームの研究では、長く続く信頼を築くために、遠隔地に足を運び、チームビルディング活動をする重要性を提示している。
trust breaks down in electronic contexts
https://dl.acm.org/doi/pdf/10.1145/274644.274711
・時差や文化の違いも重要である。
・アメリカ人は「Hamburger style of Management」を行う。ハンバーガーのバンのように軽い雑談が入り、厳しいフィードバックを肉として挟み込み、最後に勇気づけの言葉を、下のバンとする。ドイツ人は、肉のみ。日本人は、バンのみなので、聞き手は、肉のにおいを感じ取らないといけない(Browning 1994)
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●講師ビジョン 島村さんからのメール
関根さん
こんにちは。ブログ遅くなってしまいましたが、拝見しました。
感想なのですが、リモートの内容を見ると、この話は、人事制度との話と密接に関わってくるなとすごく感じます。
その昔、私は人事制度のコンサルの鞄持ちを少していた時代があったのですが、その当時、外資の制度と日系の制度をよく比較研究していました。
誤解を恐れずにものすごく簡単にお伝えしますと、2001年当時は、職務か職能かというのがポイントになっていたおりました。
ブログにもありましたように、連結度が高いとリモートがしづらいので、なるべく1人で完結できるようなジョブ型、職務型になるだろうと感じます。それに伴って、業務分析や業務の見直しはだんだんと加速してくると思いますし、ジョブ・タスクの明確化、ジョブディスクリプションの策定などリモート環境を促進しやすいような流れになっていくと思います。
それによって、個人単位での仕事も仕方やOJTのあり方、チームのあり方も徐々に変わってくるだろうなと感じております。
今回も大変参考になりました。いつもありがとうございます。
講師ビジョン 島村
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